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2009年2月 8日 (日)

蘭奢待 解の巻(げのまき)

蘭奢待、漢字で書くと、
「蘭奢待」の三文字に
「東大寺」の三文字が
隠れてるのは有名な判じ物。で。

植物の沈丁花/ジンチョウゲ/Daphne odrataの名の由来と言えば、「沈香/じんこうorちんこうと丁香/ちょうこう(つまりスパイスの丁子/ちょうじ即ちクローブ/clove)を合わせたほどの芳香を持つ花」。

その「沈香」は、香木の「伽羅/きゃら」の最高級品のこと。

「伽羅」とは、東南アジア産の数種の樹に特定のバクテリアが寄生し、その部分が長年のうちに樹脂化してよい香りを放つようになったもの。これを香の材料「香木」として用いるわけ。(平たく言えば木が腐っとるんかい!)

伽羅は重いものほど佳いとされていて、特に良質なものは水に入れると沈むのでこれが即ち「沈香」、または「沈水香/ちんすいこう」とも。香道でもとりわけ格の高いものとして貴ばれる由。扇子なんかにもする白檀/ビャクダンあたりの比ではないらしい。

日本に伝来した沈香の中で、最良かつ最大の貴品とされたのが「黄熟香/おうじゅくこう」、すなわちここから固有名詞だと思います。

この「黄熟香」は皇室の持ち物で、奈良の正倉院に収められてまたの名を「蘭奢待」と呼ばれるようになった。どちらもゴージャス感満点のネーミング!「波照間島」と同じぐらい、素敵的ぴったり感!

正倉院は東大寺の宝物殿。東大寺は聖武帝の勅旨により仏法興隆を祈願して全国に建立された国分寺の総本山。言うなれば天皇家の寺、国家の寺(だから今も東大寺は一般の檀家や墓地を持っていない)。従って、天皇家の黄熟香が正倉院に入り、東大寺を表す蘭奢待の呼び名をつけられたのも不思議はありませぬ(三文字熟語、乱れ打ち)

この銘香中の銘香は正倉院御物として現代まで伝わっており、奈良国立博物館で毎年春と秋に開かれる正倉院展にも時々出品されます。確か40センチ以上はある結構大きなもの。

今なほ薫香逸せざる、いとをかし。伽羅香の香りの元は不揮発性物質なので永く保つのだとか。同じく正倉院に伝わる丁香つまりクローブの方は、香りがすっかり飛んでしまっているそうですが。ま、香辛料そんなにしまい込んでんなよって感じ。

香木というものは値段も大変高く、少しずつ切り取って細かくして秘伝工夫を凝らして各種混ぜ合わせて、炭火を熾こして香炉の灰に埋めて雲母板置いてその上に載せて燻らせて使うもの、ああ大変。これを互いに較べ合って「当てっこ」するのが香道。

しかしながら、なんつっても御物となれば簡単には使わせてもらえない。「蘭奢待切り」と言えば大変な事件で、歴史上これをやらせたのは三人しかいないことになってをります、公式には。足利将軍の誰かかな?(義政?)、織田信長、そして明治天皇。切った箇所にはその旨の紙が貼り付けられているというおおごとぶり。

ちなみに日本に産する「キャラボク/伽羅木」はまるで別種の植物で、矮性のコニファー類の一種。カイヅカイブキ/貝塚伊吹とかの親戚筋の針葉樹です。まあ、コニファーも葉が有香のものが多いから。

・・・久しぶりに蘊蓄大炸裂・・・

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