廻廻廻 家紋夜話
えー、あと1回でめでたく大団円、というところまで来てたんですけどぉ。ある事実に気づいたので、意表をついてあと1回だけ急遽延長いたします(汗)。
その事実とは・・・いや、最終回で種明かし。
家紋にも新旧はあって、例えば水仙紋や朝顔紋は明治以降のものらしく、古い紋帖には見出だせない。桜紋も、家紋としては江戸期からってのが意外です。
で、今回は逆に、歴史が古かったり格式が高かったりする紋をひとくさり。
「有職(ゆうそく)鳳凰」の有職とは有識と同義、有職故実なる言葉もあるように、蘊蓄というほどの意味。公家装束等に用いられた文様に由来する一群です。
その昔、お姉様が有職鶴の絞り染めでクッションを一つお作り遊ばし、後には僕が使ってたなあ。玉葱の皮で染めたんじゃなかったっけ?
「菊蜀紅(しょっこう)」の蜀紅も、もとは錦(本来は二色以上の糸で織った絹地)に使われた連続系の有職文様ですね。蜀江の都の錦、とかの謂われだと思う。
「千鳥」は浜辺の小禽、波の間に間に群れ飛ぶ姿が古来から愛されました。古事記にも確か「あめ、つつ、ちどり、ましとと」という四種の鳥の名が出てくる。でもやっぱ饅頭思い出しちゃうネ、ひよこみたいだし。
万葉集 人麻呂
近江の海 夕波千鳥 汝が鳴けば
心もしのに 古へ思ほゆ
「澪標」は航路を示すため川中に立てた標識。元来「水尾つ串」で、「つ」は沖つ白浪/睫毛=眼つ毛同様「の」の意ね。尚美紋でしょう。八百八橋の水都大阪の市章にもなってます。
百人一首 元良親王
わびぬれば 今はたおなじ 難波なる
みをつくしても あはむとぞ思ふ
やや時代が下り、畠山家の「小紋村濃(むらご)」は珍紋としてよく取り上げられる紋。村濃とは染めのムラによる模様を指し、本来この紋は濃淡をもって表されたらしい。ハーフトーンを用いたというのは、他の紋にはない特徴です。点々はその名残りなんだとか。
「祇園守(ぎおんまもり)」も不思議な紋ですね。祇園精舎のお守りのことなんだけど、なぜこんな複雑な形をしているのだろう。どことなく異国風ですらある。
柳川藩主立花氏が、これをやや崩したバリエーションを家紋としています。
コメント