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2010年11月 6日 (土)

本当に残念なこと;佐野洋子 死去

『100万人の 人が,その ねこが しんだ とき なきました。』

在りし日の姿(1988年)

11月5日朝、佐野洋子/さの・ようこが亡くなった。絵本作家、エッセイスト。1938年6月28日生まれ(初めて知った)、享年72歳。北京に生まれ → 戦後に引き揚げて → 武蔵野美術大学 → 白木屋デパート宣伝部 → ベルリン造形大学留学。
谷川俊太郎の三人目の ― そしておそらくは最後の?m(__)m ― 妻、正確には元妻。
今朝の朝日新聞は、顔写真に加えて1冊の著作の写真(いずれもカラー!)を添えて大きく報じています。

100万年も しなない ねこが いました。100万回も しんで,100万回も 生きたのです・・・

代表作はなんといってもこの「100万回生きたねこ」でしょう。
もう、名作中の名作。泣けます。(ストーリーは敢えて明かしませんが)

ツルがこの本と出会ったのは高校の時、刊行から日も浅くて、この本がまだそんなに有名ではなかった頃。
たまたま本屋で立ち読みして、初めは特になんてことも感じなかったように思うけど、それでもやっぱり何か心に残るものがあったんだろう、だんだん気になってきて、結局、誕生日のプレゼントとして長姉から買ってもらった。「克ちゃんへ 16才の誕生日を祝って ○○子」と姉にサインを入れてもらったその本は、ちょっと色褪せてしまったけれど、今でも宝物。いちばん好きな絵本2冊のうちのひとつ。(And I feel no shame!)

1977年の発行だから、39歳頃の作品だったんですね。以来、現在に至るまでロングセラーを続けていて、実に総発行部数178万部なんだとか!今でもちょっとした本屋には必ず置いてあります。発行当時の価格は880円でした。今は税込1,470円。
英語版もハワイ大学から出ていて、もち、持ってる。ただし、誤訳 ―― あるいは不適当な訳 ―― がいささかあるように思われるけど。日本語が磨き抜かれている分、気になります。
90年代だったかと思うけど、ミュージカルにもなった。主演はなんと沢田研二と山瀬まみ(@_@)

ツルの住んでる近所に小さな児童書専門店があって(そう言えば京都は百万遍の「きりん館」は今もあるのだろうか)、1年ぐらい前かな、思い立って彼女の絵本をまとめて大人買いした。「おぼえていろよおおきな木」「空とぶライオン」「だってだってのおばあさん」「おじさんのかさ」「わたしのぼうし」「おれはねこだぜ」「わたしクリスマスツリー」・・・
その時、作者が今乳ガンで闘病中だと聞いて、陰ながら案じていました。

佐野洋子の絵本は、よく言われることじゃあるけど、鮮烈な印象を心に残していく、というものが多い。初めは単純な反復が続いていて、突然ぐさりと突き刺さる頁が出てくるという感じで。あ、いい意味、切ないって意味でね。もう、泣けるんです(T_T)

念のため言っとくと、1989年出版の「一杯のかけそば」by 栗 良平という児童書が、「これ読んで泣かない奴は人間じゃねー」的に国会で(+_+)取り上げられて、『100万人の 人が,・・・なきました』的に一大社会現象を巻き起こしたけど、その時ツルは『1回も なきませんでした』(ニヤリ)。てか、あの立身出世至上主義的ストーリーがもう気持ち悪くて。

もう10年ぐらいまえだったか、とある電車の中吊り広告に彼女がエッセイ的な文を書いていて、毎日のように目にしてたけど、それも佐野洋子ならではの内容だった。てか、もうよく覚えてないんだけど(赤面)。確か引越業者の広告だったように思う。誰か覚えてませんかねえ??

「100万回生きたねこ」のカバーに週刊朝日の書評として出ている次の文章が、佐野洋子の作風を最も簡潔によく表していると思う。
『これはひょっとすると大人のための絵本かもしれないが,真に大人のための絵本ならば,子供もまた楽しむことができよう。それが絵本というものの本質であるはずだ。・・・』

そのせいか、この本などは、最近「子供の手を離れてしまって心配」みたいに評されることもあるようだけど、それっていささか的外れなんじゃないかなあ。
でもその一方で、自分がこの本を知ったのが、ほんとの子供だった頃ではなくてadlescence(思春期という言葉はいつもこっ恥ずかしい)さなかの16歳だったことは、むしろ恵まれてたという気もするのだけれど。


佐野洋子さん、やっぱり天才でした。心よりご冥福をお祈りします。


そうだ、あの本屋、今日また行ってみよう。

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