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2011年5月 4日 (水)

シルヴァスタイン:おおきな木 その10

・各国語版にはアジア圏のもあるんですよ。中国語版では「愛心樹」、なるほどぉ!悪くない。簡体字も繁体字もありまっせ。

中国語版−簡体字版 中国語版−繁体字版

ちなみに中国語版だと「M.E. & T.」、「M.E. & Y.L.」は英語のままです

ハングル版だってあるんですねえ。デザイン的になんかかわいい。これまた全然読めないけど。

ハングル版

・確かにこの本は読む人を選ぶ本だと思うけれど、つまるところ、この本を好きになるかそうでないかは、木と少年のどちら側に立って読んだかってところにかかってるんじゃないだろうか。
率直に言って、ツルはtree側でした。そういうふうに自分の中に入ってきたんだよね。どんだけいい奴やねん、ワシ。いやいやそうじゃない。人格がまだ固まりきってなくていろいろと模索していた時期に出会ったということだと思う。
代償を求めない愛であるとか、幸福とはそれを求めてあくせくするところには存在しないのだろうとか、そんなことを素直に考えたわけ。あこがれたとも言える。

この本を初めて目にしたのは確か20歳前、京都百万遍の児童書専門店「きりん館」でだった。その年齢でよかったと今でも思います。
これがまあ、子育て真っ最中なんかに出会ったんだとしたら、確かに感想は違ったものになっていたかもしれない。それは否定しません。

boyの側に立って読んだ人は、やはり、まず心の痛みを感じてしまうんじゃないかなと思うんだけど、どうでしょうか。

シビアに見れば、このお話は愛の物語ではなくてdiscommunication(OR miscommunication??)の物語だろうから(本書に対する批判の中心もつまりはここにあると思う)、このことは一層重みを増します。

・だから、新版の本の帯のあざとさには一言文句をつけておきたい。次のように書かれているんですが。

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・・・あなたはこの少年に似ているかもしれません。それともひょっとして、両方に似ているかもしれません。あなたは木であり、また少年であるかもしれません。あなたがこの物語の中に何を感じるかは、もちろんあなたの自由です。それをあえて言葉にする必要もありません。そのために物語というものがあるのです。物語人の心を映す鏡のようなものなのです。・・・
(村上春樹/訳者あとがきより)
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あとがきにこんな空虚なこと書くのもまあどうかとは思うんだけど、そのことではなくってさ。

この中の第1センテンスは大きい文字であたかも見出しのように扱われているのだけど・・・
実は、訳者あとがきには、この抜粋部分の直前にまず「あなたはこの木に似ているかもしれません。」という一文があるのです。敢えて意図的にこのセンテンスを抜かしたとしか考えられない。
「あなたはこの少年に似ているかもしれない」というのは、やはり心の痛みを感じさせることにはなるでしょう。それを効果として狙ったのだと思うんですね。人目を惹くために。でも、これは限りなく歪曲に近いのじゃないかなあ。「たろう と はなこ」なんかより。
言っとくけど、ツルは本の帯マニアじゃありませんよ。率直に言って、ただの付属物に過ぎないと思っていますが。

・本田訳と村上訳を見てきたわけだけど、村上訳が先に出て、本田訳が後に出たのならまだ話がわかりやすかったのに、という気がだんだんしてきた。
文章量は減って、しかし情報量は多くなっているということが言えるのかもしれない。
言い換えれば、村上訳→本田訳の順に読んだ方がどうもいいような感じ。原文に(一応)忠実な前者に対して、後者はやはり解釈が深化している気がするのです。

・最後の最後にもう一つだけ。夜更けなんかにこの本を静かに読む時に最適のBGMを。
それは、Stevie Wonderの「Love's in Need of Love Today」。1976年にリリースされ大ヒットしたアルバム「Songs in the Key of Life」の冒頭を飾る曲です・・・日本語タイトルは「ある愛の伝説」、ダサいけど。
四半世紀後、2001年の同時多発テロに関しての追悼コンサートのオープニングで彼が歌った歌でもある。
静かで柔らかなゴスペルコーラスが極上。泣けるかもしれません。

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