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2011年5月 2日 (月)

シルヴァスタイン:おおきな木 その8

1月に途中までアップしたまま中断していたShel Silversteinネタ、久方ぶりに再開です。

・古い言語つながりでは、ラテン語版「Arbor alma」ってのもあった。英語版Amazonには「あなたもこの本で高校時代に習ったラテン語のリフレッシュをドーゾ」的なことが書いてあって、ちょっと笑えます。

ラテン語版

ラテン語系では、イタリア語版「l'albero」やスペイン語版「El Arbol Generoso」のほかにポルトガル語版もあって、これが「A Arvore Generosa」。

ポルトガル語版

変わったところだと、エスペラント版の「La Bona Arbo」なんてのもある!

エスペラント版

・二人の訳者のことをいろいろ書いたんだから、原作者のことも押さえておかずはなるまいっ。

シルヴァスタインのサイン

シルヴァスタインは、日本では専ら本書を中心とした児童書/絵本の分野で知られているけど、本田訳のあとがきには、作詞作曲家として活動していたとか、プレイボーイ誌に漫画を描いてたとか、風来坊と呼ぶにふさわしいライフスタイルだったとかいうようなことが出てくる。で、英語版のwikipediaで調べてみました。

Shel Silverstein、本名Sheldon Allan Silversteinは、1930年(※)9月25日イリノイ州シカゴに生まれ、1999年5月10日フロリダ州キーウェストに死す。享年68歳。1999年かー・・・。
(※)日本語や他国語のwikipediaには1932年とありますが、村上訳のあとがきにも1930年と出てくるので、その方が正しいだろうと思います。

詩人、ソングライター、ミュージシャン、イラストレーター、脚本家、etc。多才な人であったことは間違いなさそう。

Art Institute of Chicagoを1年で中退後、Roosevelt UniversityのChicago College of Performing Artsに入ったらしい。
1950年代の兵役中(朝鮮戦争の時代ですね)には米国国防省の運営する新聞Stars and StripesのPacific版に漫画を描いていて、これをまとめた「Take Ten」(1955年)が最初の単行本となる。
シカゴに戻ってからは、シカゴ球場でホットドッグを売る傍ら(@_@)、Sports Ilustrated誌などに漫画を描き始めた。
1957年にはPlayboy Magazineのleading cartoonistの一人として、"Shel Silverstein Visits ..."のタイトルで世界各地のイラスト入り紀行文を連載し始めた。これは没後の2007年に「Silverstein Around the World」というタイトルで単行本化されていて、同誌のオーナー、かのHugh Hefnerが序文を寄せている。

音楽活動においては、Johnny Cashに提供した「A Boy Named Sue」がグラミー賞を受賞している。
どんな歌なのかと興味が湧いて調べてみたら、Sueという(通常は女性につける)名前の若い男と、その名前だけをつけて去った父親との間の葛藤と赦しを描いた作品でありました。Youtubeでも見られると思うよ。

A Boy Named Sue -- by Johnny Cash

ちなみにキャッシュはカントリー/ロック歌手の大御所ですが、懐かしのTVドラマ「刑事コロンボ」の「白鳥の歌」の回でゲストスター出演しています。
他には、Dr. Hook & the Medicine Showの楽曲はほとんどと言っていいほど彼の手になるもの。「シルビアズマザー」とか「憧れのローリングストーン」を含めて。
それから、1975年にNHKの「みんなのうた」で、「パパおしえて」という彼の作品を岸部シローが歌っています。

シルヴァスタインを児童書の世界に引きずり込んだのは、本田訳のあとがきにも出ているけれど、友人のTomi Ungerer。
ウンゲラーは日本でも;

Crictor(1958年)
 へびのクリクター

The Three Robbers(1961年)
 すてきな三にんぐみ

Zeralda's Ogre(1967年)
 ゼラルダと人喰い鬼

などで知られている超有名絵本作家。1931年にフランスのストラスブール(アルザス地方の都市だから、時代からしてドイツ領有下だったのではないかと)に生まれているので、シルヴァスタインとは同年代なんですね。1956年に米国に移り住んでいる(今も存命ですよん)。

ウンゲラーによりニューヨークの出版社Harper & Row(現 HarperCollins)の児童書部門の伝説的編集者Ursula Nordstromに引き合わされ、以降、主に同社から;

Lafcadio: The Lion Who Shot Back(1963年1月)
 ライオンのラフカディオ(わじまさくら訳1987年)
 人間になりかけたライオン(倉橋由美子訳1997年)

A Giraffe and a Half(1964年11月)
 おかしなおかしなきりんくん(藤田圭雄訳1976年)
 ゆかいないっぴきはん(大島省子訳1988年)

The Giving Tree(1964年)
 おおきな木(本田錦一郎訳1976年12月/村上春樹訳2010年9月:実は藤田圭雄訳で1976年9月に実業之日本社からも出ているらしいけど不詳)

Who Wants a Cheap Rhinoceros?(1964年:英国Macmillan)
 おとくなサイはいかがです?(よしかわみちお訳1988年)

Uncle Shelby's Zoo(1964年:米国Simon & Schuster:没後の2008年にDon't Bump the Glump!と改題)
 コノヒトタチつっつくべからず(川上弘美訳2009年)

Where the Sidewalk Ends(1974年)
 歩道の終るところ(倉橋由美子訳1979年)

The Missing Piece(1976年)
 ぼくを探しに(倉橋由美子訳1979年)

A Light in the Attic(1981年)
 屋根裏の明かり(倉橋由美子訳1984年)

The Missing Piece Meets the Big O(1981年)
 続 ぼくを探しに ビッグ・オーとの出会い(倉橋由美子訳1982年)

Falling up(1996年)
 天に落ちる(倉橋由美子訳2001年)

Runny Babbit(没後の2005年:未訳)

とコンスタントに児童書を発表した。

ちなみに、講談社から刊行されるシルヴァスタイン作品はいずれも倉橋訳だったが、2005年に倉橋が没した後に出た「コノヒトタチつっつくべからず」では川上が訳した。

倉橋訳のものはツルは一切持ってません。資質が合わないんじゃないかということは前に書いたけど、一般的評価も高くないんだよね・・・

こうして見てくると、なんとなく、シルヴァスタインって結婚してなかった、あるいは離婚の1回や2回はしてるんじゃないかって風に勝手にイメージしてたんだけど、どうもよくわからない。

シルヴァスタインには2人の子どもがあって、1人目は1970年、Susan Hastingsとの間に娘Shoshanna(愛称Shanna)が生まれている。しかし、Susanは1975年に亡くなり、Shannaも1982年に11歳で病死した。その後、1983年に息子Matthewが生まれている。
1981年のA Light in the AtticはShannaに、1996年のFalling upはMatthewに捧げられており、また、Who Wants a Cheap Rhinoceros?(1964年)の1983年再版は、母親の死後Shannaを育てた彼女のおば、Marshall夫妻に献じられている。
(結局、結婚していたかどうか、息子の母親が誰なのかってところは明らかでないんだけど。)

これでわかったことがもう一つ。

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このL'Arbre au Grand Coeursで不思議なのは、冒頭の献辞が(少なくともツルが持ってる1988年の篠崎書林版では)「Pour Shanna」となっていること。英語版では「For Nicky」なのに。確か、どちらもシルヴァスタインの子供だと思いましたが・・・
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L'Arbre au Grand Coeurs(の1988年篠崎書林版)で献辞が「Pour Shanna」となっているのは、1982年に死んだ愛娘に捧げられたものなのかもしれない。あ、1973年HarperCollins版でどうなっているのかはわかりませんが。
ちなみに、本書が米国外で初めて出版されたのが1973年のフランスで、だから米国のHarperCollinsから出たんじゃないでしょうか。

ちなみに、Shoshannaとはヘブライ語でlilyまたはroseの意味なんだとか。
ここでまた、シルヴァスタイン本人の出自とともに、本書にヘブライ語版がある理由も明らかになるように思う。ユダヤ系なんですね。

To be Continued, Again...

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