かつらのうつわ
ハワイに住んでる知り合いの日本女性(ダーリンはアメリカ人)が子どもを産んだ。二人目の赤ちゃん、男の子。といっても、昨年5月のことですけど。お祝い何にしよ、ってずっと気になっていた。
ベビーのMiddle Nameは「Kei」、漢字で書けば「桂」。日本名という意味合いもあるのでしょう。ちなみにお兄ちゃんの方は「蒼」。BlueとGreen、ある意味とてもハワイらしいご兄弟かと(微笑)。これで3人目に姫君が生まれたりなんかした日にはもう「茜」か「桃」で決まりねっ!(勝手)
で、このことを伺うや、「これしかないっ」って感じで、「桂」材でできたお祝い品を探してたんですよね、ずっと。カツラすなわちCercidiphyllum japonicumを。
ちなみにこの植物は日本の固有種なので、英名は特になくて英語でも「Katsura」でよいのだとか・・・ほんとかね。
で、その桂製品ですが・・・!?うーん、積み木とか?でも二人目だからきっと持ってるだろうし。うーん、うーん・・・
・・・となって頭に浮かんできたのが漆器。つまりjaponicumのjapanですな、ふふ。
桂材でできた、できれば白木に近い風合いの拭き漆とか摺り漆とかいうやつの、シンプルなサラダボウルとかマグカップとか(赤ちゃんへ、というよりママへという感じか)。華美でない、日常使いに近いもの、別に金銀蒔絵とかじゃなく。コンセプト的には。
ところが。桂製の漆器って、なかなかないんですねえぇ。欅Zelkova serrataとか栃Aesculus turbinata/horse chestnutとかが中心で。(もちろん材質のわからないものもあるし、「桂または栃」なんて表示のも多くてさー)
デパートやらネットやらいろいろ探し回るうち、だんだんわかってきたのは、桂というのは漆器では特に鎌倉彫りに使われるらしいこと。彫りやすい木だから、ということだそうです。
はーん、なるほどぉ。でも、鎌倉彫りのサラダボウル?マグカップ??あんまし聞いたことないなあ。
そもそも今どき鎌倉彫りってどうなんよ。赤黒っぽい色合いで、彫り跡をたくさん残して牡丹やら梅やらをあしらってあるアレやろ?デパートの漆器売場にもほとんど置いてないじゃないか。拭き漆とかのイメージもないよなあ。コンセプトちょっと違う?
でもまあここは現地に赴いて調べてみまっしょい、日本橋や新宿では埒があかん、てなわけで重すぎる腰を上げて行ってきたわけっす、冬の鎌倉に。
予想してたとおり、鎌倉彫りって「平物」が多いんですね。平皿とかお盆とか茶托とか。浅目のボウルもあったんですけど、ちょっとなんだかイメージと違う・・・
悩んでいたところにふと重箱が目に止まり。重箱ぉ!?んな大仰な。どこが日常使いやねん!ハレの日の器ではないか。
でも・・・お店の人はみな「海外のお客様には重箱は人気がありますね」と口を揃えます。
あー、蓋つきの四角い器ってあちらには案外ないのかも(タッパーウェアあるじゃん)、しかも2階建てのって!(収納スペース余計に食うじゃねーかよ)パーティタイムにはよいかも、おーいっつわんだほー的に。
そういやこちらのGood Housekeeping的雑誌でも、時々「お正月を迎える花を重箱に飾ってみる」とか「一の重にお花、二の重にお料理を入れてテーブルで蓋を開ければ海外からのお客さまのおもてなしにもぴったり」的な記事が載ったりもしてるようですなー。
てなわけで日本伝統手工芸的鎌倉彫北海道産桂材六寸五分春蘭文朱漆二段御重箱箸付(以上三十三文字)と決め、発送してきた次第です。
・・・えー、ここに至るまでには、心楽しき紆余紆余曲折もあって。
(To be Continued...)
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