« ああ、母親の命日が彼女の命日とかぶるなんて | トップページ | 「たかこ」と言えば「貴子姫」、そして吉永小百合 »

2012年2月17日 (金)

絵本「たかこ」が面白い♪

久しぶりにすげー面白い絵本を見つけた。その名も「たかこ」。ふつうの小学校に一人の女の子が転校してきて・・・というおはなし。
ぼくはおしょうがつにもらったおとしだまでかいました(ウソ)

たかこ

このたかこちゃん、十二単を身にまとい、いつも檜扇で顔を隠してるという「平安女子」(゜o゜)
授業中ノートを取るにも墨を磨って筆で巻物に書きつけるは、音楽の時間には縦笛の代わりに琵琶を掻き鳴らすはというマイウェイぶり。笑えます。

最大のみどころというかおかしみは、いつも平安時代の言葉で話すってとこ。「こころやすく ならむ」「あぢきなし」「あはや。かたじけなし」あたりはまだ簡単な方。夜更かしして眠そうに学校に来た朝には「ものがたりを えたり。(中略)はしる はしる これを みるより ほかのことなし」なんて宣うといった具合。
めっきり本格的な古文で、現代語とは意味合いの違う単語も構わず(or 敢えて?)使ってある。現代語訳というか説明チックな文章も最小限に抑えてあって、子ども用に「落として」ない感じ。しかも歴史的かな遣い!「ぢ」と「じ」も書き分けられてるし!

ちょっと変わってるってことでからかわれたりもしますが、そんな時には「らうぜきなり。やすからず」と、扇を手にして男の子を追いかけ回す勝ち気な一面も。
そのうちある出来事が起こるのですが、ここがちょっと劇的で、たかこちゃんカッコいい。「わが うはぎを つかひたまへ」ですけんね、うふふふ。これにはヤラれましたよ。
言葉のことだけじゃなく、襲(かさね)の色目の話なんかも出てきて、オッと思わせます。子どもの絵本で「くれなゐの ひとへ」なんて書いてあるんだぜぇ(笑)つまりは文系エンタテインメント。

作者は文の方が清水真裕(しみず まひろ)、絵の方が青山友美(あおやま ともみ)、ともに女性です。
清水氏は1989年生まれ、わ、若い・・・。お茶の水女子大の学生だそうな。なんでも、出版元の童心社と日本児童文学者協会の共催した「第2回 絵本テキスト募集」(2009年)で、満場一致で優秀賞を受賞した作品なんだとか。

全体を通してのツルの印象は、すごくwell madeというか、(悪い意味じゃなく)優等生的によくできた作品という感じ。これがデビュー作(!)とは思えない手練れ。
「転校生」という伝統的というか古典的というか陳腐になりやすいネタを、姿と言葉は変わってるけどつまりは今どきの子どもと変わりはしないじゃん、というエピソードを積み上げることでうまく料理してある。
そこあたり、ひたすら平安キャラで押しまくる「おじゃる丸」とはちょっと違うわけですね。「人と違っていてもいいじゃないか」というメッセージの込め方も結構clever。
語り手にはクラスメートのふつうの男の子を持ってきて(ここはおじゃる丸とおんなじだ)、本格王朝言葉と現代日本語の掛け合いになってるのも面白いです。この男の子が「たかこちゃん」でも「たかこさん」でもなく「たかこ」と呼び捨てにして語っていくのも心憎い。

転校生の話だから、最後はまた風のようにいなくなるのかと思いきやさにあらず。アンチクライマックスでおだやかに終わるのでちょっと肩すかしを喰らうんだけど、かと言って「みんなと仲よくなりました」な常識的な締め括り方でもない。このあたりも周到に用意されていて、読後感、だんだんいい感じに膨らんできます。

何やら売れ行きもいいらしい。「よい絵本」というと昨今はすぐ「読み聴かせ」なんてことが出てくるんだろう(それも微妙に気持ち悪いが)けど、誤解を恐れずに言えば、この絵本は、読み聴かせで最大の魅力を発揮するわけじゃない。そこんところがまた特長だと思う。
子どもって、変わった言葉とか珍しい古語とか使ってみるのって結構好きですよね、意味なんかわからなくっても。まあ、子ども時代なんて、そもそも意味のわからない言葉の方がずっと多いわけだし(子どもの世界は昏いのだ)。
その意味で、自分で(声に出して?)読むのが一番楽しいように思います、この本は。
もちろん、親に「この言葉、どんな意味?」って尋ねるっていうコミュニケーションも楽しそうだけど。
ネット上の書評では、若いお母さんなんかだと「わたしも意味よくわからないわ」ってこともあるみたい。でもそれでいいと思うんだよね、子供に訊かれて答えられなくても。なんとなくストーリーがわかって、あとは言葉の響き楽しんでれば。

« ああ、母親の命日が彼女の命日とかぶるなんて | トップページ | 「たかこ」と言えば「貴子姫」、そして吉永小百合 »

文化Field:子どもの本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ああ、母親の命日が彼女の命日とかぶるなんて | トップページ | 「たかこ」と言えば「貴子姫」、そして吉永小百合 »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

無料ブログはココログ
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想