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2012年3月16日 (金)

八王子 − 五男神にこだわってみた

> 各地の八王子神社でも祭神がすげ変えられ、「牛頭天王と頗梨采女との間に生まれた八人の御子」から「須佐之男と天照の誓約/うけひによって生まれた五男三女神」になったりしたのだ(@_@)。
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最近すっかり故事ヲタクのツルです。

この時に生まれた三柱の女神は「宗像三女神」として知られ、ツルの出身地福岡県は玄海灘寄りの、宗像大社に祀られているのだ。
そんなわけで、ここら辺をちいっとお勉強してみたんですが・・・どつぼにはまってとっぴんしゃん。

アマテラスとスサノオの姉弟の誓約というのは、古事記と日本書紀でちょっと内容が違っている。

古事記では、天照大御神は建速須佐之男命/須佐乃袁尊の十拳剣/とつかのつるぎを噛み砕いて三柱の女神を生み、スサノオも同様にしてアマテラスの勾玉から五柱の男神を生む。アマテラスは「自分の持っていた玉から生まれた男神の方が自分の子だ」と唱え、スサノオは「自分の持ち物から生まれたのが心優しき女神なのは自分に邪心がないからだ」と応じて、スサノオの勝ちとなる。

なんだか不思議な話ですねえ・・・

[A]まずは、アイテムを交換して生まれてくる子キャラが、親キャラではなく「アイテムの元々の持ち主キャラ」に帰属するという設定だけど(ゲーム感覚でいっちゃいかんですかね?)、この「物実/ものざね」の思想は必ず取り上げられるところだからちょっと措いといて。
[B](スサノオの)剣から生まれ出るのが女神で、(アマテラスの)玉から生まれるのが男神というのもちょっと不思議。普通はアイテムを逆に設定しそうなもんだよな。
[C]「八王子」でせっかく偶数なのに、男女比をわざわざ5:3に崩してあるのも不思議と言えば不思議なり。

一方の日本書紀では。
この書物は本文のほかに注記として多数の異説を列挙してあるのが特徴で、この時代の史書しかも国家の正史で複数記載を許容したものは世界に例がないらしい。革新的。当然、日本書紀を読むというのはこれも含めてっていうことで、現代の我々に格好の研究材料を提供してくれてるわけです(ああ、めんどくさい)。

で、その本文に曰く、天照大神が素戔鳴尊/素戔男尊の十握剣から三女神を、スサノオがアマテラスの勾玉から五男神を生み、スサノオが勝つあたりは古事記と同じに見える。
でも!これはあらかじめ「男子が生まれれば『赤心/きよきこころ』、女子が生まれれば『黒心/きたなきこころ』としよう」と約した上でのことなのです。うわー、臆面もない男尊女卑。
スサノオが勝つ理由が古事記とはまるで逆。しかも「物実」思考(志向?)はないことになる(ここは上記の不思議[A]への回答にもなりそうだ)。
ところがこのあとで事情がねじれ、アマテラスが物実を言上げして五男神を自分で養うこととする。

さらに、注記の「一書曰/あるふみにいわく」だとバリエーションが広がって、その(一)ではアイテム交換はせず、アマテラスは「自分の」剣(三振り)から三女神を、スサノオも「自分の」玉から五男神を生む。言い換えるとアイテムが初めからすり変わっているわけで、武装していたのはアマテラスなのだからこっちの方が理に適う気もする。
(二)では、アイテムは交換するが、アマテラスはスサノオの「玉」から三女神を、スサノオはアマテラスの「剣」から五男神を生むのが本文と異なる(ここは不思議[B]に呼応するな)。
(三)では(一)とほぼ同じだが、スサノオが生むのは「六男神」。女神の倍の数になるわけだ、てことは九王子でエンネアドか、ほほぉ。(これは不思議[C]の手っ取り早い解決になるな・・・)

もともと宇気比という占いは初めに条件を呈示して行われるものであり、また、複数で競う類いのものでもない。
たとえば、「大鏡」の「南院の競射」の件りで、藤原道長が政敵である甥伊周/これちかの邸で「道長が家より帝后立ち給ふべきものならばこの矢当たれ」「摂政関白すべきものならばこの矢当たれ」と言って弓を引いたところ二度とも見事に的の真中心を射抜き、伊周は(結果的に)すっかり気圧されてしまった、なんて話が一つのパターンか。
その意味で、古事記の宇気比はどうも後出しジャンケン的な奇妙さが残る。

妙なところはもう一つ。宇気比で生まれた五男神兄弟の長男を、古事記では正勝吾勝勝速日天忍穂耳命/まさかつあかつかちはやひ あめのおしほみみのみことと言い、この長い名前の前半部分は「正に勝った、私は勝った、日の昇る速さで勝った」といった意味。スサノオは「(私の剣で)女神が生まれたから私の勝ちだ」と言っておいて、勝ち名乗りともいうべき名前は男神の方につけているのだ。あ、そりゃしょうがないのかな、だって三女神の方の命名権はアマテラス側にあるだろうから。
ちなみにこの男神は、日本書紀では次男とされていて名前も天忍穂耳命とだけ。

(To be Continued...)

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