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2013年3月

2013年3月28日 (木)

そして実家の今

老司大池のナノハナ

家の近くにある池の堤にナノハナも咲いていた。住んでた時にはなかったのに、いつの間にかいい景色ができあがってる。独特の甘い香りと、モンシロチョウと。

そもそも今回帰ったのは、長く無住だった裏のおうち(♪うちとおんなじね〜)が、持ち主が変わって、境界確定の必要が出てきたため。モメたわけじゃないけど。
帰ってみると、すでに解体が済んで更地になってました・・・新しい景色、今だけ限定。

実家からの新しい眺め 隣家からの今だけの眺め

ツルが高校の時通販で買って植えたクヌギ(何故にそんな木を)もいつもと違う角度から。

クヌギ

で、〆はいつものとおり、除草の成果。ま、こんなもんすか。

今回の成果

2013年3月27日 (水)

実家の春

クサボケ

クサボケの花が咲き残っていた。放春花の名に恥じない朱赤の一重。寒い時だとこの花が一身に陽を集めてるって感じになるんだよな。

裏へ回るとこれまたびっくり、見覚えのない白い花が。キイチゴだと思うけど、こんなの去年までなかったぞ

キイチゴ

渋いとこじゃこげなもんも。

シュンラン1 シュンラン2

中学の頃かな、高校の時かな、父親と一緒に佐賀の天山という山で採ってきたシュンラン。唇弁に紅点の少ないタイプ。最近だと山採りは山盗りってなわけでいろいろマズいだろうけど、その時はまあ山の一区画を所有していて、そこで採ってきたってことで許してつかあさいm(__)m。うちに来て枯れちゃうかなと思っていたら、ヤマモモの木陰という環境が合ったのか、かなりな大株に育った。
緑色の花も好きなんです。木洩れ陽を浴びていい感じ。

春を告げるのは花だけじゃない。こんなものも見つけた。

ツクシが!

きゃあっ、かわいいっ(≧∇≦)♪

腹這いになって撮るの大変でしたよ(^.^)

でも庭にツクシの生える家って一体・・・

【番外編】最強の悪夢継続(十六茶CM)

今さらなんですが。
アサヒ飲料の十六茶の宣伝のこと。新垣結衣が全国の54体のご当地キャラと共演するってやつね。(知ってました?十六茶ってもとはシャンソン化粧品の開発によるもので、1985年から販売されてたんですよ)

アサヒ十六茶

ツルはほとんどテレビを見ませんが(子供の頃あんなにテレビっ子だったのに!)、ご当地キャラ調べをするにつけ、このCMが先月からオンエアされていて、これに採用されたとか言っちゃあいろんなキャラクターのサイトが大騒ぎしてたのは存じてます、はい。全国バージョンとか地方バージョンとか大変なこっちゃ。(とは言っても、TVCMは54体出ているようには見えないが。)
それに、ツルの勤務先の売店にこれの販促用タペストリーやボードが置いてあって、内心「あ、欲し★」とか思って熱視線送っちゃったガッキーのファンでもなければましてやご当地キャラのファンでもない(キッパリ!)のに。資料用にですよ。

で、最近は「間もなくオンエア終了!」てなサイト記事を見かけたりしてやれやれと思っていたら甘かった。新バージョンが始まるんかい!
まあ、「暇人が暇つぶしに」こんなこと書いてるわけだからいつかは取り上げることになるだろうとは思ってたけど、フフッ。

54体全ての素性を調べ倒しちゃえ、なんてことは考えてません。ただ、こうした販促物を眺めてて思ったんだけど、この陣容、塩キャラあるいは塩キャラ的なるものの割合が低過ぎないか??例えば【その13】で挙げた常連陣は15人、その15人の割合はこの54体の団体さんの中でどのくらいになるのだろう。
ツルが今まで調べてきた限りでは、真正塩キャラと判明しているのは大阪府「おづみん」(本シリーズ未紹介)しかない。鹿児島県「さつまるちゃん」も限りなく怪しいけど調査が追いついてません(笑)。

ツルが思うのは、図像として似通ったものは外すという意図が働いているのではないかということ。制作サイドで「類似キャラが多いのはCM好感度上マズいんじゃないか」と思ったとしても不思議はない。作者名でスクリーニングをかけてダブりがなるべく少なくなるようにするなんてことだってあり得たんじゃないかなと。制作会社の方、お疲れ様です。
もちろん、キャラ選定にはかのグランプリなんかのランキングも影響しているだろうし、こういうのは権利関係が複雑だろうから、テレビ出演NGなものもあったろうとは思いますがね。

考えてみると54という中途半端な数は何だろう?きりのいい50でもないし、「十六茶」の16×3=48でもないし。おそらくは当初、47都道府県から1体ずつという計画だった、なんてことはいかにもありそう(想像ですが)。

もひとつ気になるのは、ガッキーが持ってる旗に描かれた「イキイキ!JAPAN」というロゴマーク的なデザイン。東日本大震災の後、「がんばろう日本」といったアクションは多く取られている。そのロゴマークに日の丸を取り入れたものもまた多いように思う。十六茶の宣伝は、そのイメージを利用、いや借用してはいないか。「日本全国、みんな元気にならなきゃね」という、いかにも全うなテーゼに便乗する意図が隠れてはいないか。

きっとこのCMは好感度調査でも上位に食い込むだろうと思う。けど、これは公共CMでも何でもない。商品を売るための一企業の宣伝販促活動です。
宣伝というのは常に消費者を強いイメージで幻惑(眩惑?)して「あなたの欲しいものはこれです」と誘導していくものだと思うけれど、この場合何かひっかかる。「日本の活性化のために」(あるいはもっと端的に言えば「被災地の復興のために」?)あなたはこれを買うんです、ってなってない???

意見を異にする方大歓迎、なんですけど。

北海道・東北地方
北海道・東北地方
■北海道 あさっぴー
■青森県 たか丸くん
■青森県 たっこ王子
■岩手県 しわまろくん
■宮城県 さくらっきー
■秋田県 たんぽ小町ちゃん
■山形県 かねたん
■福島県 なしポチ

関東地方
関東地方
■茨城県 ハッスル黄門
■栃木県 与一くん
■栃木県 とちまるくん
■群馬県 ころとん
■埼玉県 ムジナもん
■千葉県 ふなっしー
■東京都 にしこくん
■東京都 あづちゃん
■神奈川県 えぼし麻呂
■山梨県 吉田のうどんぶりちゃん

中部・北陸地方
中部・北陸地方
■新潟県 レルヒさん
■新潟県 あぶらげんしん
■富山県 キラリン
■石川県 もんちゃん
■福井県 ちかもんくん
■長野県 だんQくん
■岐阜県 うだつくん
■静岡県 出世大名家康くん
■愛知県 せとこま;こまちゃん
■三重県 いが☆グリオ

関西地方
関西地方
■大阪府 おづみん
■大阪府 滝ノ道ゆずる
■京都府 いでたん
■兵庫県 ぼっくりん
■滋賀県 よいとちゃん
■奈良県 さららちゃん
■和歌山県 かきおうじ

中国・四国地方
中国・四国地方
■鳥取県 むきぱんだ
■島根県 しまねっこ
■岡山県 里ちゃん
■広島県 ローラ
■山口県 湯田ゆう太くん
■徳島県 ふじっこちゃん
■香川県 みとよん
■愛媛県 バリィさん
■愛媛県 しまぼう
■高知県 こーにゃん

九州・沖縄地方
九州・沖縄地方
■福岡県 モモマルくん
■福岡県 じーも
■佐賀県 くねんニャン
■長崎県 ウンゼリーヌ
■熊本県 うとん行長しゃん
■大分県 あ!官兵衛
■宮崎県 ミッシちゃん
■鹿児島県 さつまるちゃん
■沖縄県 ピカリャ〜

2013年3月26日 (火)

実家の花:その他球根類

ヒアシンスも細々ながら咲いていた。香りはいいねやっぱり。ピンクはレディ・ダービー、球根に傷をつけたりして1球から殖やしてきたもの(ヒアシンスは放っておくと全く球根が殖えないんで)。青紫は品種不明だけど、往年の銘花マリーあたりだろう。

レディ・ダービー マリー(?)

ハナニラ(=イフェイオン)は随分殖えてもはや雑草化。品種はウィズレー・ブルー。昔はこの品種が最も濃い青色で、これと決めて植え付けたんだけど、今やもっと濃い青をはじめ、ピンク花とか果ては黄花まで出てきてるのには時代を感じる。ピンクあたりと混色植えってのもありだろうか・・・春ガーデンは基本的に優しい色合いで。

ハナニラ ウィズレー・ブルー

と思ってたら、今回ちょっと驚いたのがこれ。

ムスカリ

ムスカリがどこからか飛び込んで濃青色の花を咲かせていた、2球だけ。球根植物ながら種もよくできると聞いたことがあるから、鳥が運んだんだろう。ムスカリなんてあんまり好きじゃないけど、やっぱこの濃い青は目立つ。ここで遭ったも何かの縁、いっちょ殖やしてみっかあ。

2013年3月25日 (月)

実家の花:スイセンコレクション

おおっ、きれいd=(^o^)=b

手前:ロマンス/奥:不明 不明

花ざかり

アイスフォーリス
キングアルフレッド(多分)

年度末ってことで有休をちょいと取って実家に帰ってました。

他にも、ピンクや青紫のヒヤシンス、薄青色のハナニラ(イフェイオン)とか咲いてますけどね。
やっぱツル邸の春のウリはスイセンってことで。この時期に帰れることはなかなかないので、スイセンの花、久しぶりに見ました。無人ながらこれだけ咲いてくれれば御の字でしょうよ。
レンギョウとユキヤナギも咲き残ってる。

他はまた明日にでも。

2013年3月24日 (日)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その30:藤四郎くん・駄知どんぶりまつり)

(承前)

大河ドラマだけじゃない。ご当地キャラとなると、「歴史」やら「伝統」を盛ってアピールするものは多いよね。

愛知県瀬戸市
陶祖800年祭マスコットキャラクター
藤四郎くん
福添(ふくぞえ)あゆみ(36歳)
藤四郎くん

[かぶりモノ系]ですねぇ。ちょびひげ生やしておめめキラキラ、[丼]ひっくり返して頭に乗っけちゃったこの奇態なおっさんは誰なのか。
瀬戸市の瀬戸焼や岐阜県土岐市・多治見市の美濃焼の開祖とされる伝説的な陶工、加藤四郎左衛門景正(1168?〜1249?)、略して藤四郎です。ご当地では「陶祖」と呼ばれているから[陶]の字散らしの王朝コスチューム。[狛犬]は、ご当地の深川神社にある、藤四郎作とされる(我が国最古の!)陶製の狛犬を表すアイテムと見た。

急に思い出したけど、中世のお伽草子に「鉢かづき」というお話があって、ツルが小さかった頃は講談社あたりのよい子の絵本なんかでも「はちかつぎひめ」てのがあったけど、いつの間にか見なくなった気がするなあ。

で、陶祖800年祭とは何の800年を祝おうとしているのか。これがさっぱりわからない。
瀬戸市のサイトには;

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陶祖に関する祭事として過去には、宝暦2年(1752)に五百回忌法要、安政2年(1855)に陶祖650年祭、明治43年(1910)に春慶翁700年祭、昭和27年(1952)に陶祖700年忌などが行われたという記録が残されています。
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とある。ええぇー、いくら伝説的人物とは言えこのユルさは何なんだ、違う意味でゆるキャラだよ。もちっと見てみなきゃ。

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そして、700年祭から100年を経過した今、陶祖を様々な角度から見つめ直して、その偉業を広く紹介する800年祭を実施しようとの機運が陶磁器業界を中心として高まり、陶都瀬戸の再発見と発展につなげていくことを目的とする陶祖800年祭記念事業を平成24年度から平成26年度までの3年間にかけて展開していくこととなりました。
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ハァ、さよかあ。つまりは明治の700年祭が起点になってるということらしいけど、結局ナニの記念なのかはわからずじまい。そんなことでいいのかね(苦笑)。
とにかく、何かの800年祭はもう始まっているのだ。どうやら、毎年4月第3土曜〜日曜に開かれる「せと陶祖まつり」が主な舞台となるらしい。

でもこのキャラ、アナウンスされたのは2012年9月10日(月)。毎年9月第2土曜〜日曜に開かれている「せともの祭」で人気投票を行って、得票第1位のキャラをお祭り終了の翌日に(すんなり;伏線)発表した由。
ってことはですね・・・

【その17】の福岡県「ふくよかくん」by まさよのところで;

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読売新聞が「ちっくん」「たき丸」の類似を報じたまさにその日、2012年9月5日の決定だから、県の担当者はこれが人気投票1位にならなかったことでむしろ胸を撫で下ろしたんじゃないでしょうかネ。
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と書いたけれど、こちらの「藤四郎くん」もこの報道直後だったわけよ。しかもホントにこれに決まっちゃったしぃ。担当者は作者名(とデザイン)の類似に気がついたろうか。「福添あゆみ」と「塩崎あゆみ」じゃ微妙なとこですかねえ・・・??

瀬戸がこうくるなら美濃はこう出る。

岐阜県土岐市駄知町(ときし だちちょう)
駄知陶磁器工業協同組合
駄知どんぶりまつり イメージキャラクター
(優秀賞作品)
塩崎エイイチ
駄知どんぶりまつりキャラ(優秀賞)

[丼]乗っけた[かぶりモノ系]なのは藤四郎くんと同じだけど、こっちはひっくり返してないところと蓋がついてるところが差別化ポイント。[丼]の字+[イベント名]で塩キャラmannierismeもがっつりアップ!ですね。

♪父は美濃焼 娘は瀬戸よ
(海は荒海 向こうは佐渡よ)

土岐市は美濃焼の大産地で、陶磁器生産日本一の座にある由。瀬戸市と異なる点は、市内の各町ごとに扱う品が違っていること。駄知町は丼作りが盛んなんで、だから毎年10月第1土曜〜日曜に行われる陶器市も「駄知どんぶりまつり」なのっす。

すごいと思うのは、この一帯の美濃焼の各産地が毎年同一日程で一斉に陶器市を行っていること。2012年は10月6日〜7日に;

丼の土岐市駄知町で「第17回駄知どんぶりまつり」
徳利の土岐市下石町(おろしちょう)で「第16回下石どえらぁええ陶器祭り」
盃の多治見市市之倉町で「陶の里フェスティバルin市之倉2012」
タイルと茶碗の多治見市笠原町で「かさはら窯ぐれ祭り2012」

が開かれている。さすがですわ。ちなみに土岐市と多治見市、そして前述の瀬戸市は互いに隣接する位置関係。

当初、駄知町キャラはまつりの会場で発表予定だったところ、応募が予想を上回ったとして急遽まつりで一般投票を行うことになり、結局決定したのは瀬戸市から遅れること1ヵ月余りの2012年10月20日。まあ、前月にキャラを作った瀬戸市が投票プロセスを噛ませたのも影響しただろうことは想像に難くない。ただ、「理事、企画委員の票数に来場者票数をプラスして選定」という、より複雑な方式にしたために時間がかかったものかと思われるけど、微妙にアヤシげっすな。
もう一つ、この公募では初めから「どんぶりをイメージした、女の子でお願いします」という縛りがかけられていた。これも、ひょっとしたら藤四郎くんのことを意識したのかもしれない。もっとも、他の町だって陶磁器キャラ作ってんですけどね。
いずれにせよ、隣接する二つの市で、類似した用途の類似した塩キャラが同時期に入賞したわけだ。

おまけ。優秀賞4点のうち塩崎エイイチを含む2人には現金5,000円、他の2人は同額の図書券が渡された。社会人か学生かの違いですよね、これってきっと(* ̄▽ ̄)

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【2015.02.07 追記】
おまけのおまけ。「駄知どんぶりまつり」、2014年10月の第19回をもって終了してしまったそうな。キャラクターを作ったわずか2年後にして(>_<)。
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(続く)

七五調みたび(補遺) − 「あゝ玄海」の歌詞の意味

有休を取って福岡の実家に帰省しているツル。ちょいと調べてみました。

以下、詞の出典は実家にあった旧制福岡高校の同窓会名簿『青陵会 会員名簿 平成九年(一九九七) 創立75周年 第31号』、および『福岡高等學校 學而寮史 昭和二十四年』(@_@)(@_@)であります。


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福岡高等學校 寮歌
あゝ玄海
 作詞:權藤 茂
 作曲:不詳


あゝ玄海の 浪の華
銀蛇の舞に 似たる哉
今神風に 旗高く
莫邪の劍 手に執れば
金鼓震ひて 蓋世の
雄師は迫る 敵の陣

輿望は重し 丈夫の
颶風の翼 身に借りて
征塵高く 蹴立つるを
防ぎ止むる 者在らば
天地貫く 自治の氣に
征衣の露と 打ち拂へ

戰はん哉 時到る
あゝ勝たん哉 時來る
天の暦數 指顧の中
見よ九天の 雲晴れて
虹は色濃き 筑紫潟
凱歌は籠る 梅の花
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まず、「旗」は「神風」との関連から見て日章旗すなわち日の丸を表すのだろう(スポーツの試合などでは「校旗」ということにもなるだろうが)。

「莫邪/ばくや」は『寮史』には「冥邪」とあったが誤植と考え、『名簿』に従った。「冥く邪(よこしま)な剣」ではなく「邪を莫き(なき)ものとする剣」でなければ意味が通らないし、いくらなんでも「冥」を「ばく」とは読むまい。

「震ひて」は、『名簿』『寮史』に従った。「金鼓」とは戦で用いる鉦/かねと太鼓のことだから、「奮ひて」あるいは「振ひて」だろうかと思ったのだが、考えてみれば剣を手にしながら同時に鉦や太鼓を打ち鳴らすというのも変だ。
うーむ、でもそうなると、金鼓はひとりでに鳴り出すのか?という疑問も湧いてくるが。

「蓋世/がいせい」は『史記』の「抜山蓋世」すなわち「力は山を抜き気は世を蓋う」から来た語で、意気盛んな様。しかしこれは、項羽が戦中に虞美人とともに最期を迎える場面で己を指して言う言葉である。

「雄師」も『名簿』『寮史』に従った。「敵の陣」に「迫る」のだから「遊子」つまり「家を離れて他郷にいる人」か、と取ったのだけれど、「蓋世の」からの続き具合では確かに「雄師」か。

「輿望」は「衆望」で、何を望まれているのかは後になってわかってくる。「颶風の翼」は「烈しい風を巻き起こす翼」といった意味だろう。

「蹴立つる」は「蹴立てる」の文語「蹴立つ」の連体形だが、昔からよくわからなかったのが「蹴立つる」と「防ぎ止むる」の主語。「在らば」を「防ぎ止むる者在らばこそ」で反語と見れば、前者が味方、後者が敵方となる。「征衣」は「旅衣」のほか「戦衣」の意がある。

「暦数」は『寮史』には「歴数」とあった。「天の暦数」は「天の定めためぐり合わせ」、特に「天命により当然に帝王となる運命」のこと。古代中国の「三皇五帝」の一人、聖君と称えられた尭帝が自分の子ではなく臣下の舜に位を禅譲する時に述べた言葉だという。後世、清の乾隆帝の諱/いみな「弘暦」を避けて「歴数」とも書くと。

「指顧」は「指図」と「呼べば答えるほど近いこと」の二つの意味がある。ここでは後者のはず。

「九天」は、古代中国で天を方角により九つに区分したもの、といったことはおそらくこの際どうでもよく、「九州」が掛けてあるのだろう、「筑紫潟」が出てくることも考え合わせると。

また、凱歌を宿すのが「桜花」でなく「梅の花」である理由は、福岡市近郊の筑紫国大宰府(現 太宰府市)の連想で、大宰権帥/だざいのごんのそちに左遷された菅原道真が梅花を好んだ故事から来ているのだと思う。


以上、つまりは神国まさに大東亜共栄圏の帝座に就かんと欲すの時代をもろに反映した歌詞だったわけだ。「自治」も、学生自治ぐらいのことかと思っていたがとんでもない、列強の帝国主義との対比という文脈で捉えるべきなのだろう。

権藤 茂氏は同校の第2回生(大正15年3月卒業 文乙)だった。

ちなみに『名簿』には楽譜も載せてあるが、やはりというべきか、ツルの記憶にあるものとも、YouTubeにアップされているものとも多少違っている。

いやあ、お勉強になりました(+_+)

2013年3月21日 (木)

【番外編】天に星、地に花、犬に愛。(かねたんファミリー・にゃん小町・米沢市田んぼアート)

直江兼続つながりで言うと、大河ドラマ「天地人」の主たる舞台となった山形県米沢市では何も作らなかったのか?って話で。

ちゃーんとありました。2009年の放送に先立って2008年6月に作られたのが次のキャラ。ご当地が舞台となることは公表済みだったわけだから、タイプとしては兵庫県姫路市「かんべえくん」と同じく「大河ドラマがやって来たキャラ」です。

山形県米沢市
天地人推進プロジェクト
米沢観光物産協会
マスコットキャラクター
かねたん
岡野亜記(株式会社クレヨンマキ:大阪市中央区)
かねたん

もともとは、「米沢 愛と義のまち 天地人博2009」(2009.01.24〜2010.01.11)のPR役だったもの。

ほーれ、ここでもやっぱり[愛]じゃないか。でも意表を突いて[イヌ]キャラだとはねw(°O°)w他の主要登場人物のキャラクターも一緒に作られてるけど、みんな[イヌ]です(≧▽≦)

かげっちさま
かげっちさま

お船ちゃん(おせんちゃん)
お船ちゃん

けーじろー
けーじろー

制作意図に曰く、「犬をモチーフにしたのは、多くの人から愛され、また頼りにもされるイメージから。兼続は美男子だったということから犬だけどりりしい眉毛!」と。
フーン。マジではないよなあ。いやまあ作者の意図は「犬って忠義の象徴」にあったとしてもだよ、選んだ側としては、ヒト型キャラだと妻夫木クンとイメージ違うなんてクレームつきそうだし、「わんこキャラの方がいぐねべが?」「んだんだ」とかなんとか考えたんじゃなかろうかと、これはツルの勘繰り。(東北地方の言葉にはとんと疎いす

かねたんの最終選考を行った審査委員会は、「観光事業関係者、デザイン専門家、美術関係者など8名で結成された」由。へっ!?美術関係者・・・美術・・・嘘だろ。
(こんなとこ深掘りするから「陰湿極まりない」とか言われるのかしら。陰湿じゃありませんよ、ただ冷酷なだけ。汝、才能なき者よ退場せよ、うはははは!)

メインキャラクターかねたんの著作権は米沢市観光物産協会が持っているのに対し、他の3点はクレヨンマキ側に留保された模様。問い合わせ先が違っているからです。そんなこともあるんだ。
この会社、1979年創業でそこそこ歴史もあるのに、サイトを見てもブログを見ても、現在の仕事のことがほとんど出てこない・・・「かねたん」絡み以外は。ご当地関連では他に、同社デザイナーの岡野に、かねたん決定のすぐ後から小野川温泉キャラの依頼が舞い込んだ(公募ではなく委嘱)とか、2012年に米沢市田んぼアートをデザインした、なんてことが判明するのだけれど。一山当てりゃこんなもんかね。

にゃん小町

米沢市田んぼアートデザイン

で、小野川温泉(小野小町伝説のあるところです)のイメージキャラクター「にゃん小町」は、かねたんのガールフレンド的立ち位置で[ネコ]キャラとなった次第。変則的ながらこれも派生キャラ。

岡野は大阪市城東区在住の由で、同区が2012年12月に塩キャラを選んだ際(cf.【その18】)、ほんのりと批判めいた書き込みをしているのだけど、同じ一族による新潟県長岡市「よいたん」のことはご存じないかも

かねたん受賞時の岡野のコメントはこう。

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大賞をいただいてとってもうれしいです。選んでくださった皆様、本当にありがとうございました!これから、たくさんの人に知ってもらっていっぱい愛してもらえる「かねたん」となってくれたらうれしいです。私もぜひ米沢に行ってみたいと思っています。ありがとうございました。
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まるで塩崎一族からコピペしてきたような文章で、「どうせ行きゃしないだろ」とツッコミたくなるけど、でもちゃんと実際に行ってるみたいです、この人。上記のとおり日常的にかねたんファミリーのことを応援してもいるわけだし。まあ、メシの種でもあろうけど。

一方、長岡市与板支所としては、2012年10月のキャラクター制定の時に、米沢市キャラのこのあたりにつけ込む隙、じゃない活路を見出したわけやね。うちは真正ヒューマノイド系兼続公キャラでいこうと。
さらに言えば、あれだけ直江兼続べったりーの、まるだしーのなキャラだったのに、なぜ愛称は「なおたん」「なおっち」「かねたん」「かねっぴー」などでなく(人物名から取るのが一番普通やろ?)、地名由来の「よいたん」だったのかってこともほの見えてくる。先達の「かねたん」に近づき過ぎることを警戒しつつもあやかりたかった、そんな感じ。

さっ、「よいたん」と「かねたん」、あなたはどちらの兼続公がお嫌い、じゃなかったお好き!?

よいたん かねたん

2013年3月17日 (日)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その29:よいたん・ともなりくん)

(承前)

大河ドラマで塩キャラ、もう1点いってみよう。

新潟県長岡市
長岡市与板地域ふるさと創生事業
よいたキャラクター
よいたん
塩崎まさよ
よいたん

天地人さまからこのキャラのことをコメントいただいたのが2012年12月8日だった。やっと(T_T)まとめることができました。それにしても引っ張り過ぎですねm(__)m

こりゃまた大変わかりやすい(or わかりやす過ぎてやれやれな)、[愛]字の兜の武将、直江兼続のキャラクターです。
ご当地は2006年1月に長岡市に編入されるまで三島郡与板町だったところ。へー、新潟にも三島って地名があったんだなんて呑気に構えていたら「さんとうぐん」でした。ツルは地理や歴史は苦手なクチで、いつ化けの皮が剥がれるかと冷や汗ものっす

[ハナショウブ]は与板地域の花、遡れば旧 与板町の花。町の木だった[サクラ]も今はおそらく地域の木になってるんだろうけど、確認できなかった。
それにしてもハナショウブお好きです、塩崎一族。【その3】の三重県明和町「めい姫」、【その4】の大阪市旭区「しょうぶちゃん」、京都府城陽市「イルミン」と、エイイチ・まさよ・アユミ、一族総出で描いてます、ほっほっほっ(まだありますよ、いずれそのうち)。あ、表現は基本みな同じだからわざわざ見返す必要もないすが
与板十五夜祭りに因む[提灯]のポシェットには、[地名]に加えて国指定の伝統工芸「打刃物」による[鑿/のみ]もキッチリ押さえてあって、細部まで塩キャラDogma。[寄り目ハイライト]で馬鹿っぽさが強調され、さらにはお馴染み[No.1ポーズ]+[ん系ネーム]までもれなくついて塩まみれ。
あ、愛称とワンセットの募集っす。ただし「注意事項」には『愛称は必ずしも採用されるとは限りません。場合によっては別の愛称とすることがあります。』とあって(多分一般的なやり方なんだろう)、100%塩崎まさよによるとも言い切れないが(伏線)。

公募主体は長岡市与板支所。平成の大合併では、旧自治体の枠組みが新自治体に残されるのはごく普通のことで、そうなると、旧いキャラクターや花・木等のシンボルを新自治体内の当該「地域」や「地区」でそのまま利用するのもよく見受けられること。例えば長野県木曽町日義地域の「よしなかくん&ともえちゃん」もそう(2013.02.25「舞はぬものならば」)。
でも、与板地域でこのキャラが決まったのは2012年10月。合併後7年近くも経ってってのがまずびっくり。

この公募は「与板地域ふるさと創生基金事業」として行われたもの。ほら、バブル絶頂の1988〜1989年、全国の市区町村に気前よく1億円ずつばらまいたってアレですよ。え!もう四半世紀前になるの!?
Wikipediaの「ふるさと創生事業」の項には、『使い道に困った自治体の中には「○○基金」として活用することを選択するところも多かった』とある。当時の与板町も「1億転がり込んだ、どうすべえ」だったんだろうかしら。とにかく、こんなことに使えるぐらいお金はまだ残してあったのね、25年間も(-_-)。

しかし、このキャラクターに対する疑問は次の2点に集約されるのじゃないか。

・なぜ越後なのに直江兼続なのか
・なぜ今になって直江兼続なのか

第一に、直江兼続(1560〜1619)は出羽国米沢藩上杉家の家老、というよりNHK大河ドラマ「天地人」の主人公として一躍知られた人。だけど、主家はもともと越後の出で、上杉謙信(長尾景虎)と甲斐の武田信玄の川中島の戦いはあまりにも有名。その後、養子の景勝の代に越後 → 会津(加増) → 米沢(減封)と国替えを食らっていった次第。
だから、直江兼続も振り出しは越後の与板城主だった。講談物で美丈夫として描かれる兼続は、幼い頃景勝の小姓として寵愛を受けてたなんておハナシもある。いわゆる美童上がりってやつね。誰ですか、妻夫木聡の顔を思い浮かべてるのは。ちなみに景勝を演じたのは北村一輝、「メガシャキ!」のCMの人、ウホッ

わからないのは第二のポイント。「天地人」の放映は2009年だったのに、それから3年も経って兼続キャラを制定してるんですよ。諸々考え合わせると、ご当地ってひょっとしたら時間の流れが緩やかなのではないかしら(これっ(゜゜;)\(--;))
つまりは、「大河ドラマを呼び寄せようキャラ」の石川県津幡町「よしなかくん&ともえちゃん」とも、「大河ドラマがやって来たキャラ」の兵庫県姫路市「かんべえくん」とも違う、「大河ドラマの余禄に与ろうキャラ」なんすわ。『与板地域の魅力や特性を効果的に活用』とか言ってみても、「愛字の兜」をしゃらっと採り入れちゃった時点でそう見られても仕方ない。だってこの突拍子もない前立てデザイン、大河ドラマによって広く知れ渡ったわけだから。(実はこの兜、現物は山形県米沢市にある。)
そもそもこの「愛」って何なんだ。ツルは「愛染明王」あたりと思っていたんだけど、どうやら愛宕神社(cf. 2010.10.17「愛宕神社につきお勉強」)への戦勝祈願に由来するらしい。必ずしも「愛情」「仁愛」なんかじゃないかもってことやね、ドラマで如何に描かれたる乎は存知兼候供。

「よいた」があるなら「やいた」もあるでよ。

栃木県矢板市
つつじの郷やいた ともなりまつり PRキャラクター → 矢板市キャラクター
ともなりくん
塩崎榮一(イラストレーター)
ともなりくん1 ともなりくん2

こちらは、ご当地にあった川崎城の初代城主で、鎌倉幕府将軍源実朝の側近だった塩谷朝業(しおのや ともなり:1174〜1248)のキャラクター。坂東武士ながら和歌も能くしたので、[短冊]やら[筆]やら[笏]やらを盛ってお公家風のなり。
もともと、ご当地で毎年11月3日に開かれる「つつじの郷やいた ともなりまつり」のPRキャラクターで、だから[ツツジ]を盛ったのだろうが、実は市の花はレンゲツツジ。ただのツツジにしか見えないんだけど、ツルには。蕊が4つしかないとか、そもそも「つつじの郷」と銘打ちながら秋祭りというのも解せない。
お披露目は2010年の第22回ともなりまつりで、この時「ともなりくんイラスト表彰式」も行われた(榮一の出欠は不明に候)。同市サイトには2011年のともなりまつりでデビューと書いてあって、でもそれは着ぐるみのこと。デザイナーの地位、微妙に低いっすねえ。
ご当地では「ともなり文芸祭り」というのも毎年2月に行われ、短歌・俳句・川柳・詩を募っているので、そもそもそちらの方に親和性の高いデザインだという気もする。

2012年夏には矢板市キャラクターに昇格し、(いまいちはっきりしないけど)この時[笏]Versionを基本形として、[市名]に加え[愛称]まで入れるデザイン補整を行った模様。安易にそんなことをするから、おなまえ書いたハンカチを胸につけて得意顔の幼稚園児か、自分の名前も弁えぬ徘徊老人みたくなっちゃった。ご当地のコンビニで売られてるグッズはこの[笏]バージョンらしいけど。

塩キャラの海原広しと見渡せど
 名入れの例し露無かりけり

左手に球持たせれば
 即野球

でもこの頃、ご当地はとんでもない事態に直面していた。2012年8月2日、業績の悪化したシャープ株式会社が、ご当地経済の要たる市内栃木工場の大幅縮小を発表。市は支援のため市民に対し同社家電購入への助成金交付まで行った(予算枠1,000万円だったけど)。9月3日には、ご当地を原発事故の指定廃棄物最終処分場の候補地とする旨を民主党政権が突如発表し、蜂の巣を突ついた大騒動を引き起こした。公式キャラ昇格の発表は8月23日だけど、およそそれどころではなかったはず。その後政権は自民党に戻り、処分場の件は2013年2月に撤回されている(栃木県は言わずと知れた自民王国)けれども、ご当地の不安不信が俄に消えるものではないでしょう。

(続く)

2013年3月16日 (土)

七五調よたび − 寮歌にツッコミを入れてみた

卒業生以外誰も知らんような歌で締め括っちゃ申し訳ないので、も少し知られたオール七五調を旧制三高の寮歌から。

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第三高等學校
逍遙の歌
 作詞:沢村胡夷(こい)
 作曲:k.y.(*)


紅萌ゆる 丘の花
早緑匂ふ 岸の色
都の花に 嘯けば
月こそかゝれ 吉田山

緑の夏の 芝露に
残れる星を 仰ぐ時
希望は高く 溢れつゝ
我等が胸に 湧き返る

千載秋の 水清く
銀漢空に 冴ゆる時
通へる夢は 崑崙の
高嶺の此方 ゴビの原

ラインの城や アルペンの
谷間の氷雨 崩雪
夕べは辿る 北溟の
日の影昏き 冬の波
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(*)作曲者k.y.には、三高から京大に進んだ澤村胡夷(つまりこの歌の作詞者)と、京都音楽界の中心人物だったという吉田恒三(「こうぞう」ではなく「つねぞう」らしい)の二人が擬せられていて、真面目な検討が加えられているのだけれど、いまだに解決を見ないらしい。元々はあるクラスの「クラス歌」(*_*)で、しかも長調のメロディだった由。

ああ、暗い歌やわ。と言って悪ければ京風にはんなりどすなあ。
三高(および後身の京都大学)では、むしろ「紅萌ゆる」の名で知られるこの歌が「寮歌」で、「七五調の呪縛」で取り上げた「琵琶湖周航の歌」が「学生歌」ではなかったかと思うけど、記憶が定かでない。どっちもあんまり元気の出る歌じゃなくて、応援歌にゃ不向きですよね。まあ、両者ともいわゆる寮歌としちゃあメジャーだってところはさすが京大という気はするが。京都で坊さんと学生さんに楯突いたら生きてかれしまへんえ。

琵琶湖周航の歌の方がよく広まってるのは、1971年に加藤登紀子(「東大生歌手」として世に出た人です)が歌って、寮歌の範疇を超えた叙情歌謡として認知されたからでしょう。「紅萌ゆる」も彼女は吹き込んでるけど。

ツルがこの歌についてぶった斬りたいのは、この歌詞そのものです。ずばり、すごく変だと思う、どこぞからクレームつきそうだけど。実際にはなんと十一番まであってダラダラ続いていくんですが、初めの一〜四番が四季を表してるというので上に挙げてみました。でも、緊密な構成ってものが感じられない、既に。

なぜ、秋・冬になって唐突にInternationalに展開しちゃうのか?春の吉田山(三高の裏山です)の情景に始まって、秋に大陸へ目を向け、冬はさらに遠く欧州に想いを馳せていくのならば、夏にはまず本朝を俯瞰しておくぐらいの根回しってもんが要るでしょうが(笑)。
寮歌にカタカナ地名というのはかなり珍しいと思うんだけど、戦時中に書き換えを余儀なくされたわけでもない(らしい)のは、同盟国ドイツの地名が入っていたためだろうか、それとも三高反骨精神のなせる技か。

「銀漢」とは月のことかと思ったら銀河だそうな。銀河って「冴ゆる」ものなんですかね・・・?「月」や「星」ならわかるけど、それぞれ春と夏に使っちゃってるんだよね。月は秋の季語だから春に用いるのはおかしい、なんて言ってるのではありませんが。

しかも、「崑崙の」と大きく出たなと思いきや「高嶺の此方」ですよ、「高嶺の彼方」ではなくて。そんなとこで引き返してちゃいつまでたってもライン川の古城には辿り着けませんて。

夏は夏で、昼なのか朝なのか夜なのかもよくわからないし、下を向いて歌っているのか上を向いて歌っているのかも定かでない。要するに、視点がはっきりしなくて情景が極めて断片的なんです。

冬の「夕べは辿る北溟の」だって、いきなり丹後半島くんだりの浜辺まで足を延ばしたんかい、それとも北欧辺りの海を思い起こしとるんなら固有名詞出しなはれとどつきたくなってくる。「溟」は海のことです、ざっくり言えば。

でも、最大のツッコミどころは、「都の花に嘯けば」でしょう。ここ、「都の春に嘯けば」でなければならないはずなんです。二〜四番には「夏」「秋」「冬」の字が入ってるのに、一番だけ「春」がない。代わりに「花」が二度も出てくる。そもそも断片的だから目立ちにくいけど、全体の意味が通らなくなっている。この問題は当初から関係者の頭を悩ませたらしくて、「都の春に」としてある資料もある。

冒頭の「紅萌ゆる丘の花」についても、「萌」の字はおかしいのじゃないかという意見が昔からある。「花が燃えるように紅い」のであって、「草木の芽が萌え出る」のではないというのがその論拠。これは「早緑匂ふ岸の色」の対句が続くことを考え合わせると確かに説得力がある。

その「岸の色」だって限りなく突飛です、吉田山にそうした池なんてないのだから。(ほんとは「龍神池」とかいう小さな小さな池があるのだけど、あまりに小さくせせこましくて「早緑匂ふ岸の色」の風情にはおよそ程遠い)

「丘」だって、「岡」じゃないのかとかいやいや「丘」が正しいんだとか侃々諤々。

そんなこんなで、今、吉田山に建つ石碑には「紅もゆる 丘の花」と彫り込まれています。

同じような問題は「琵琶湖周航の歌」にもある。
よく知られているのは、六番で「西国十番 長命寺」と歌われた滋賀県近江八幡市の長命寺が、実は西国三十三所の十番札所ではなくて三十一番札所であること。ここの一つ前の三十番札所が、この歌の四番に「古い伝えの竹生島」と出てくる、琵琶湖に浮かぶ竹生島/ちくぶしまにある宝厳寺/ほうごんじ(cf. 2012.03.19「八王子 − 三女神・宗像大社・厳島神社に近づいてみた Part II」)。長命寺へのお遍路は宝厳寺から船で渡っていたのだから、確かに琵琶湖周航には縁があるんですけどね。
実際に「西国十番」に当たるのは三室戸寺/みむろとじだけど、これは京都府宇治市だから琵琶湖とは別に関係がない。つまりは語呂のよさだけで選んじゃったわけ。
そもそもなんで京都の学校が「我は湖の子」なんて具合に滋賀の琵琶湖を詠み込んでいるのか。これがもとは三高漕艇部の部歌で、琵琶湖がその練習場所だったからです(今も京大ボート部の部歌だとか)。作詞した小口太郎も漕艇部員で、琵琶湖周航は実体験だったはず、なんですがね。

紅萌ゆるにせよ琵琶湖周航の歌にせよ、三高生、結構適当やなあ。

七五調みたび − 寮歌とか応援歌の記憶をたどってみた

オール七五調は明治〜昭和の「文部省唱歌」あたりだけじゃなく、軍歌や校歌、寮歌や学生歌、応援歌まで枚挙に暇がない。マイナーだけど、ちょっと見てみましょう。Eins, Zwei, Drei!!

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福岡高等學校 寮歌
あゝ玄海
 作詞:權藤 茂
 作曲:不詳


あゝ玄海の 浪の華
銀蛇の舞に 似たる哉
今神風に 旗高く
莫邪の劍 手に執れば
金鼓震ひて 蓋世の
雄師は迫る 敵の陣

輿望は重し 丈夫の
颶風の翼 身に借りて
征塵高く 蹴立つるを
防ぎ止むる 者在らば
天地貫く 自治の氣に
征衣の露と 打ち拂へ

戰はん哉 時到る
あゝ勝たん哉 時來る
天の暦數 指顧の中
見よ九天の 雲晴れて
虹は色濃き 筑紫潟
凱歌は籠る 梅の花
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わー、なんか難しいけどすっげーカッコいい!!マッチョな九州男児のイメージ(-.-)y-~。益荒男振りってこういうことですかね(いや、修辞を凝らしてんだからそうでもないのか)。古今好みの七五調だけど、なんてこの際どうでもよろし。軍国主義的とかなんとかも、この際どうでもよろし。
難読ぽいとこは、ぎんだ/しんぷう/ばくや/きんこ/がいせい/よぼう/ますらを/ぐふう/せいじん/けたつる/れきすう/しこのうち/つくしがた、です。漢語には誤りがあるかもしれませんm(__)m。旧漢字、どこまで表示できてるかなー。

なお、ネット上では「奮ひて」「遊子」としているものもあるが、詳細については別稿に譲る。

旧制福岡高等学校は、現在の県立福岡高等学校の前身、ではなくて九州大学の教養部(これも1994年に廃止されましたが)の前身。実はツルの父親の母校だったりする

九州には戦前のいわゆるナンバースクールが二つもあって、熊本に第五高等学校、鹿児島に第七/だいしち高等学校。でも福岡にはなかったんです、昔から微妙に意外だった。全国たった8校のうち九州に2校もあったとやけん、もう置かんでよかっちゅう気もするばってんがくさ。
つまりは昔は福岡なんてド田舎だったってことでしょ。黒田五十二万石といっても、熊本藩は五十四万石、薩摩藩は七十七万石だもんね。一方でクリスタルキングの「大都会」は福岡の街がモデルになったと堅く信じている在外博多っ子(「遊子」ってつまりこういうことです)のツル。

ナンバースクールの置き方には明治政府の土肥薩長体制も大きく影響してるはず。昔から中央官庁の九州の出先機関は多く熊本に置かれてきた。例えば財務省の外局たる「九州財務局」は今も熊本市に置かれていて、福岡市にあるのはその下部組織の「福岡財務支局」。もっとも、前者が熊本・大分・宮崎・鹿児島を、後者が福岡・佐賀・長崎を管轄するという体制だから、実質的には対等orそれ以上(管轄地域の人口の点において)ということは否めないと思うが。そうだ、金融商品取引法(旧 証券取引法)の条文も「各財務局又は福岡財務支局、沖縄総合事務局」てな具合なんだ。

これって、あまり大きな声では言えないけれど、細川家・島津家が英明の藩主を輩出したのに対し、そうでもなかった黒田家ってことにもなりそう。ぶっちゃけ闇君続き。如水・長政親子の次の代には早速黒田騒動という御家騒動が起きてるし、明治早々、藩ぐるみの太政官札偽造つまり贋札製造なんて大スキャンダルが起き、黒田家は知藩事を解かれてたりもするし。

そしてもう一点気になるのが、藩校との関係です。福岡藩には修猷館、熊本藩には時修館、薩摩藩には造士館という藩校があった。ツルは、旧制高校(当時じゃ旧制どころか最先端だよ)というのは新政府による官立学校だから、旧体制下の藩校とは相容れないんじゃないかと思っていた。えーと、日本神話の「天つ神」vs「国つ神」みたいなもん?
調べてみるとそうとも言い切れず、造士館は細々と続いた後(西郷隆盛の「私学校」に食われたところもあった由)、島津家の意向(と寄付)もあって名前だけはなんとか七高に引き継がれ、だからここだけ正式名称は「第七高等学校造士館」。まあ、明治政府≒薩摩勢力ってことですかね。これが現在の鹿児島大学につながる。
時修館はあえなく廃校です。
修猷館は明治初期に一旦廃校となり、15年ほど後に黒田家の負担で復活し、旧制中学を経て新制高校となった。今も福岡県立修猷館高校と言えば、県内人脈をがっつり牛耳っている公立最上位進学校であることは福岡県人なら知らぬ者はないハズ。修猷にあらねば人にあらず。(ツルは違いますよ)

実はこうした裏で松本と新潟が次期ナンバースクールの座を争ってたのだけれど、そんなわけで7番目は鹿児島にかっさらわれ、8番目も名古屋に持ってかれ、そこでナンバリングは打ち止めになった。

現在、その旧制松本高校校舎に隣接して「松本市立博物館分館 旧制高等学校記念館」なる施設がある。いつぞやツル父が所用で上京した際、ここに行きたいというもんで、敬老の日直前に苦労して宿を取り連れてった記憶があります。何やら同窓会の世話役をしてた関係で旧制福高の資料を寄贈したりしてたからだと思う。やれやれ、泣く子とジジイには勝てぬわ。
そういやツル父、よく「寮歌祭」ってのに出てたっけ。なんだかすごく楽しそうだった、今思い出してみると。昔はテレビ放送されたりなんかもする風物詩でしたね。子供の頃ツルもよく連れてかれてたので、「ああ玄海」はよく聞いた気がする。いや、ぶっちゃけ今でも歌えます、旧制高校出身でも九大出身でもないのに(笑)。意味はあまりわからなかったけど、勇ましいメロディとか、「銀蛇の舞に似たる哉」の歌詞とか好きだった。

YouTubeを見てみたら、どこぞのGlee Clubが歌ってるのがあるんだけど、なんだか微妙に残念な感じ・・・まあそんなものでしょう。小さかったツルの頭に刷り込まれたのは、一世代以上前の若者達によって記憶を頼りに永く歌い継がれ歌い崩された歌だろうし、記録された譜面どおりに歌われたものなんか、もはや寮歌とは呼べない、ものなのかもしれない。
いずれにせよ、誰がユニゾン以外で校歌とか応援歌とか聞きたいんだっつうの。

あ。ツルの母校にもよく似たものがあったんだ。(ほとんど悪ノリ、てへぺろ)

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福岡県立筑紫丘高等学校
応援歌


聴け玄海の 波洗う
その名も古き 筑紫野に
久遠の幸を 寿ぎて
新たに立てる 我らこそ
栄ある歴史 飾らんと
胸轟かす 健児かな

栄ある友よ 若き日の
進取の意気に 奮い立ち
覇業目指して 直ぶるに
鍛えし腕 名を込めて
千里の道に 鞭当てん
奮え筑高健児かな
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えー、「筑紫丘」は「ちくしがおか」と読みます、「つくしがおか」じゃありません。タモリの卒業した高校でもあります。
旧制福高寮歌と同じ音節数とは今まで気がつかなかった。そんな例は山ほどあるだろうけど。でも、うーん、比べるとだいぶ格調落ちるのは否めないなあ。

2013年3月15日 (金)

七五調ふたたび − 起源を探ってみた

(承前)

そもそもなんでこんなに七五調ばかりが多いのか。深掘りしてみたら、いろいろわかってきた。ちゃんと理由があったんです。
それとともに、長年の小さな疑問で解けたこともある。

話は一気に平安末期まで遡る。その頃大流行した「今様」という音楽 ― 歴史の教科書で習いましたね、いわば当時のJ Pop ― が、七五七五七五七五の「七・五音×四行」から成り立っていたんですよ!今様ってそうだったんだ、知らなかった!!
この形式がず〜っと現代まで続いてきた(@_@)というんですね。どんだけ定形詩好きな民族なんだよ。(そう言えばシャ乱Qの「ズルい女」のシングルにはなぜか「黒田節」が入ってた)

五七調の歌が万葉世界の長歌にルーツを持つならば、七五調の歌だって末法の世の今様に遡れるというわけです。

今様と言えば「梁塵秘抄」ですよ。梁塵秘抄と言えば後白河法皇ですよ。若い頃には今様を歌い過ぎて三度も喉を潰した、と自ら書き残している常軌を逸したJ Pop狂いの歌バカ一代、かぶき者ですよ(和歌は不得手であらしゃりました由)。
後白河が編んだというこの歌本から最も知られた今様を。

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あそびをせむとや うまれけむ
たはぶれせむとや うまれけむ
あそぶこどもの こゑきけば
わがみさへこそ ゆるがるれ
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何も説明が要らないぐらい現代人にもわかりやすい詞だけど、昔、「これは(子供を持てない)遊女の心情を歌ったものである」という説に出会って驚いたことがある。それによれば、四行目も「我が身がよじれるように悲しい」という解釈になっちゃうんですね(*_*)
ふうむ。この歌詞、「花」や「我は海の子」のメロディに乗せて歌ってみると、一般的な「ああわらわべのいとしさよ」的解釈がいかにもふさわしい感じ。でもこれが「黒田節」、「荒城の月」になると俄然「ああかなしやな」説も説得力を持ってくる(笑)。

ここでいろんな疑問が一気に氷解した。
「黒田節」は別名「筑前今様」というんだけど(博多でこの名前で呼ぶ人はあまりいないと思う)、名前の雰囲気があまりに違うのを不思議に思ってたんだよね。「筑前今様」なんて一つの曲の固有名詞じゃないみたいだもん。それに、一番の「酒は呑め呑め呑むならば」と二番の「峰の嵐か松風か」と、あるいは以降の歌詞とで内容があまりに違い過ぎていて統一感がない。
実は、今様のうちで最も流行したのは、雅楽の「越天楽/えてんらく」の節に様々な詞を当てて歌った「越天楽今様」だった。つまり「雅楽で替え歌ごっこ」してたわけですよ。
これが九州に入り「筑前今様」としてまとまっていったんですと!だから、必ずしも一つの曲名、一つの内容じゃなかったんだ、もとから。「黒田節」=「黒田武士の歌」として捉えることにそもそも無理があったんだ。

そして今様形式は九百年余をしぶとく生き抜き、遂に現代に至る。この手の七・五音もの、たくさんあるから重宝するんですよねー、替え歌にも。
童謡「どんぐりころころ」と水戸黄門の主題歌あたりは有名っすね、「どんぐり黄門」という呼び方まであるぐらいだし。つまりはこれ、「今様合わせ」って感じですな。
でも、さすがに口語の時代だから、七五調とはいえ「八・五」音あたりの字余りが入って乱れてもくる。もちろん今までに挙げたどの歌とも取り替えっこできますけどね。

ちょいとシャッフルしつつ、悪乗りの乱拍子。どのように歌って下さっても結構ですよ。

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じんせいらくありゃ くもあるさ
つきのさばくを はるばると
あかりをつけましょ ぼんぼりに
どんぐりころころ どんぶりこ

たびのらくだが ゆきました
おいけにはまって さあたいへん
おはなをあげましょ もものはな
なみだのあとには にじもでる

ごにんばやしの ふえたいこ
きんとぎんとの くらおいて
どじょうがでてきて こんにちは
あるいてゆくんだ しっかりと

ぼっちゃんいっしょに あそびましょ
きょうはうれしい ひなまつり
じぶんのみちを ふみしめて
たびのらくだが ゆきました
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ああ人生に涙あり
 作詞:山上路夫
 作曲:木下忠司

どんぐりころころ
 作詞:青木存義(ながよし)
 作曲:梁田 貞(ただし/てい)

うれしいひなまつり
 作詞:サトウハチロー
 作曲:河村光陽

月の砂漠
 作詞:加藤まさを
 作曲:佐々木すぐる

2013年3月13日 (水)

五七調の歴程

(承前)

オール七五調の歌はたくさんあるのに、オール五七調ってのはなかなかなさそう。たいていが七五調と五七調のミックスです。
七五調の方が流麗繊細で旋律に乗せやすいということなんだろうか、いわゆる手弱女振りの古今調で。

てなわけで、音楽の素人が記憶の底からやっと拾い上げてきた、一応オール五七調の歌ひとつ。

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椰子の実
 作詞:島崎藤村
 作曲:大中寅二


なもしらぬ とおきしまより
ながれよる やしのみひとつ
ふるさとの きしをはなれて
なれはそも なみにいくつき

もとのきは おいやしげれる
えだはなお かげをやなせる
われもまた なぎさをまくら
ひとりみの うきねのたびぞ

みをとりて むねにあつれば
あらたなり りゅうりのうれい
うみのひの しずむをみれば
たぎりおつ いきょうのなみだ
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はー、美しいですねえ。漸進法っていうんですかね、この歌詞。叙景から始まってだんだんと胸に迫ってくる。手弱女振りに始まって益荒男振りに終わるって感じもあり。形式から言うと、五七五七五七・・・と重ねていく長歌/ちょうかに当然似てくるわけだ。(因みに舞台は愛知県田原市の渥美半島の先端、伊良湖岬とされる。民俗学者柳田國男の実体験を島崎藤村が聞き取って詩にしたという。)

ところがですよ。三番まで歌い終えた後、さらに結びというんでしょうか、短いフレーズがくっついてくる。

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おもいやる やえのしおじお
いずれのひにか くににかえらん
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ここでいやが上にもぐっと盛り上がるわけです。この部分はやっぱり外せない。だからと言って、即座に一番 → 結びというわけにもいかんでしょう、それじゃ味わいってもんがね。ということは結局この歌、二番三番も省略できず、フルコーラスで歌う/聞くしかないだろって気がします。
で、言いたいのは、最後の最後になって「七・七」音が現れるってこと。

この歌の「一番 + 結び」と全く同じ音節パターンになっているのが次の例。詞の区切りはまるで違っているんですがね。

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ああ栄冠は君に輝く
 作詞:加賀大介
 作曲:古関裕而

くもはわき ひかりあふれて
てんたかく じゅんぱくのたま
きょうぞとぶ わこうどよいざ
まなじりは かんこにこたえ
いさぎよし ほほえむきぼう
ああえいかんは きみにかがやく
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おなじみの夏の高校野球の歌です。こちらは確かに雄渾って感じですな。

こういうのってやっぱり、「五・七」音を連ねた末に「五・七・七」を入れて締めるという長歌の構成に似ている。この長歌に対する反歌として、五七が一回だけのものを置き、これが五七五七七の短歌として独立していくわけですよね。


山上憶良

うりはめば こどもおもほゆ
くりはめば ましてしのはゆ
いづくより きたりしものぞ
まなかいに もとなかかりて やすいしなさぬ


しろがねも くがねもたまも
なにせむに まされるたから こにしかめやも


五七調の歌は万葉集の長歌にルーツを持ってたわけだ。

Well, ということはだよ。ひょっとして、憶良のこの長歌&短歌のペアから「やすいしなさぬ」と「なにせむに」あたりをさくっと削っちゃえば、「椰子の実」や「ああ栄冠は君に輝く」のメロディに乗せて歌い切ることができるんじゃないか?

♪うりは〜め〜ば〜
 こども〜お〜もほ〜ゆ

ほらね!(これは「椰子の実」バージョン)

♪し〜ろが〜ね〜も〜
 くがね〜もた〜ま〜も〜
 まさ〜れるた〜か〜ら〜
 こ〜にし〜かめ〜や〜も〜

おお、最後の盛り上がりもばっちりです!!(こっちは「栄冠」バージョン)

ああ、高柳順子氏に教えてあげたいわ。

(続く)

2013年3月11日 (月)

七五調の呪縛

前回【その28】で「黒田節」のことを書いてて思い出した。

黒田節もそうだけど、昔の歌の歌詞って、七五調になってるものがとっても多い。五七調よりもとりわけ、って意味です。
メジャーどころから、オール七五調のものをいくつか並べてみませう。春らしいものも取り混ぜて。黒田節なんかは二番の詞が艶やかなのでそちらの方を。めんどくさいから現代かな遣いでいっちゃえ。

みねのあらしか まつかぜか
ほたるのひかり まどのゆき
はるのうららの すみだがわ
われはうみのこ さすらいの
うまれてしおに ゆあみして
はるこうろうの はなのえん

たずぬるひとの ことのねか
ふみよむつきひ かさねつつ
のぼりくだりの ふなびとが
たびにしあれば しみじみと
なみをこもりの うたときき
めぐるさかずき かげさして

こまひきとめて たちよれば
いつしかとしも すぎのとを
かいのしずくも はなとちる
のぼるさぎりや さざなみの
せんりよせくる うみのきを
ちよのまつがえ わけいでし

つまおとたかき そうふれん
あけてぞけさは わかれゆく
ながめをなにに たとうべき
しがのみやこよ いざさらば
すいてわらべと なりにけり
むかしのひかり いまいずこ

黒田節(二番)
 福岡県民謡

蛍の光
 原曲:スコットランド民謡
 作詞:稲垣千穎(ちかい)


 作詞:武島羽衣
 作曲:滝 廉太郎

琵琶湖周航の歌
 作詞:小口(おぐち)太郎
 作曲:吉田千秋

我は海の子(二番)
 作詞:不詳
 作曲:不詳

荒城の月
 作詞:土井(つちい/どい)晩翠
 作曲:滝 廉太郎

どうです。全部見事に七・五音×四行になってます。蛍の光なんて元歌は外国の曲なのにねえ。
・・・こんなのはテンプレ仕事とは言わないのかしら(これっ!)。「互換性が高い」と表現しておきませう。

こうした古い歌は、歌詞の細部にいろいろバリエーションがあったり(とりわけ二番以降)、順序や作成年代に差があったりする。なのでそこは突っ込まないでね
特に戦後だと、富国強兵・皇国史観一掃の関係で書き換えられたり、旧歌詞が用いられなくなったりしてます。「黒田節」「蛍の光」「我は海の子」にもそんな側面が。

「そうふれん」は「想夫恋」で、もともと雅楽の曲の名前。鎌倉末期の「徒然草」には「想夫恋といふ楽は、女、男を恋ふるゆゑの名にはあらず。もとは相府蓮、文字の通へるなり。晋の王倹、大臣として、家に蓮を植ゑて愛せし時の楽なり」とあって、本来「丞相邸の蓮の花」ぐらいの意味だったらしい。一方この曲は、平安中期の源氏物語にも、和琴/わごんによるもの(「常夏」帖)、箏/そうと琵琶によるもの(「横笛」帖)が出てきて、そこでは既に艶っぽい意味合いになっている。

そうそう、忘れんうちにもう一つ。「琵琶湖周航の歌」という曲名なんですがね。「琵琶湖就航の歌」と表記されてる場合があまりに多い!それじゃ琵琶湖に新しい観光船でも導入したみたいですがな。これはね、琵琶湖を船で巡っていくって歌なの!(ある意味滋賀県のご当地ソングか。)京都に住んでたツルとしちゃいささか馴染みのある歌なんで、これはちょっといただけませんな。

繁る枝葉はこのぐらいにしといてと。

つまりは文語体においては詩歌といえば韻文詩のことで、日本語で韻文といえば七五調か五七調のことだったってわけでしょう。言文一致してから後の日本の詩歌というものは、ある意味その呪縛から抜け出るための闘いの歴史だったのかもしれない。

このあたりまではなんとなーくわかってたんですよ。でも。

(続く)

2013年3月10日 (日)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その28:かんべえくん・トピアちゃん)

いやあ、携帯も新機一転、多少は慣れてきたかな・・・(苦笑)

(承前)

今回は西から塩キャラです。しかもこれまでになく重大な問題を抱えたキャラだったりする。
決定されたのは2013年2月8日、もう1ヵ月も経っちまったじゃないか。1月は往く、2月は逃げる、3月は去る、はー。

兵庫県姫路市
官兵衛イメージキャラクター
かんべえくん
塩崎歩美(37歳:キャラクターデザイナー)
かんべえくん

ええええっ!そんな馬鹿な!!これが塩キャラ?そんなはずが!!

そんな声を上げたよねっ、アナタもきっと!

これではまるでマンガのキャラクターではござらぬか。とは言え何か新風を感じるかっつうとそうでもなく、1970年代あたりの感じだけど(それも学研の「科学」や「学習」のいわゆる教育漫画、ネ)。

低純度塩キャラと言えば、笠間市「笠間のいな吉」 by 榮一(その6)、東洋大姫路高校「オーリー」 by まさよ(その25)なんかがあったけれど、それどころじゃない。作者名を伏せて塩キャラだと見抜ける人はまずいますまいて。
こんなの困るんだよぉ。ぶっちゃけ、一族にはまだまだ別の手駒もいるらしいから、名前違うは作風違うはじゃー、もう調べようもなくなっちまうじゃないかぁぁ
こったらもんワダスは塩キャラってゃー認めねえずら(こっちが自我崩壊してまうがな)。
いやいや、ここは「あゆたんだってやればできるじゃん」って励ましてあげるのが大人ってもんかしら(爆)

≪・・・・・どこ・・・・・≫

なに?コンセプトじゃと?

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シンプルで親しみやすいキャラクターを描く。白黒、縮小にも耐えられ、幅広く使用できる。羽織に[白鷺]模様を入れ、同時に姫路をPRしている。
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あ、ちょと安心。この書きぶり、全体で(^-^)、確かに塩崎一族だ。紋所は[左三つ藤巴](cf. 2009.02.18「家紋夜話」第1夜)。兜というより陣笠、陣笠というよりお椀かぶった感じですけど(伏線)、「如水の赤合子/あかごうす」として知られた兜なんです。

一体なんで「官兵衛キャラ」なのか。そう、2014年1月から始まる次回の大河ドラマの主人公の再キャラクター化なんですよ。主演は岡田准一。

≪・・・・・この・・・・・どこか・・・・・たしか・・・・・≫

デザインは「デザイナー又はデザイナーを志す方を対象に」公募された。全国の「デザイナーを志す方」、残念でした。やる気出させといて結局は塩キャラ、巧みよのう。

でもね、お姉さんが教えてあげるわ、大人の世界。賞金が20万円もあったのよ、塩崎一族が出てこないわけがないじゃない。そういうものなの。
同時にキャッチコピーも「大河ドラマの本市誘致に取り組んだ団体を対象に」募集されて、選ばれたのが「ひめじの官兵衛 見参!」ってわけね。でもゆかりの地は姫路だけじゃないわってことで「はりまの官兵衛 見参!」も一緒に決まったの。あららー、なんてベタなのかしら!考えたのはJTB姫路支店のおじさんとかOLさんとかね。

ごるぁぁあっ!責任者出て来んかあぁぁっ!

あらら、取り乱しちゃってごめんなさい。まさか誘致合戦に旅行代理店まで噛んでるとは思わなかったのよ、広告代理店ならわかるけれどね。こういうのを難しい言葉で「臆面もない癒着の構造」っていうの。

≪・・・・・この眼・・・・・どこかで確かに・・・・・あった・・・・・≫

つまりはご当地も、大河ドラマ人気を当て込んで町興しを狙う自治体の一つなわけだけど、津幡町「よしなかくん&ともえちゃん」とは一線を画する。こちらは「大河ドラマ化決定記念」の完全便乗キャラ。2012年10月の「軍師官兵衛」制作発表から半年近く経っての決定です。あな浅まし。

黒田官兵衛(1546〜1604)は確かに播磨出身の戦国武将。だけど福岡県人のツルとしては、筑前国福岡藩五十二萬石の祖、黒田如水て言うた方がわかりやすかー。まさか福岡でもおんなじごたるキャラば作っとらんめえねえ・・・

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【2013.07.25 追記】
悪い予想は見事に当たり、7月に福岡でも官兵衛塩キャラができちゃいました。はーーー。詳しくは2013.07.04の【その41】をご覧下さい。
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「酒は呑め呑め呑むならば」の福岡民謡「黒田節」も、黒田如水とその子長政に仕えた母里(ぼり/もり)太兵衛友信の逸話によるものです。

≪でも、この眼・・・・・どこかで確かに・・・・・あった・・・・・そう・・・・・≫

福岡の話はさておいて、めでたく2014年大河ドラマの栄冠を手にしたというのに、ご当地観光の目玉、世界遺産&国宝の姫路城は2015年3月まで改修中なんすよ。「平成大修理が終わる前年の放映は絶好のタイミング」と触れ回ってるお人好しもいてはるそうですが。

≪でも、この[眼]にはどこかで確かに出逢ったことがある。そうだ、これだ!≫

新潟県阿賀野市
サントピアワールド
マスコットキャラクター
トピアちゃん
塩崎まさよ
トピアちゃん

いくら身を窶そうともこの眼は欺かれぬぞ(掛詞)。実はこのキャラを見つけた時もにわかには信じられなくて、扱いに困ってたんす(笑)。塩キャラにおける新たな[眼]の表現、これは一大ニュースだ(よね?ね?)。あ、繰り返しになりますけど、このキャラは塩崎まさよ、「かんべえくん」は塩崎歩美によるものですよ。やっぱり姉妹だから似ちゃうんですねーーーーー。

同園はご当地にあるローカル遊園地。「水と緑と太陽のユートピア」がキャッチコピーだから、[水色の髪]と[緑色の服]と[ヒマワリ]はそれを表してるんでしょう。髪が表す[水]は当然の標準搭載アイテム。[施設名]も英語で入ってる。
残念ながら2011年9月に民事再生法適用を申請したのだけれど、営業は継続するとのこと。このキャラは心機一転、2012年春の公募により、それまでの「サンちゃん」という社長をモデルにしたキャラから置き換えたものらしい。いろいろあるのねえ。これ以上の詳細は不明です、だって12月から3月まで現在冬季休業中なんだもん。

元気な男の子が女の子に取って代わられた点では、富士宮市のフーちゃん → さくやちゃんの例を思い出させる(cf. 2013.02.20「三島宿、ひともとの柳いと高きぞありける:その4」)。やはり今どきの日本は女性で持ってんのね(笑)

(続く)

2013年3月 4日 (月)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その27:なすからちゃん)

【2013.05.03 追記】
本稿掲載後、4月に入ってそれぞれの愛称が決定したということなので、内容を全面的に書き改めました。改稿版は2013.05.03「その27の2:なすからちゃん 改め ここなす姫」および「【番外編】ここなす姫騒動記」をご覧下さい。二部構成でPowerupだよん。以下のものは旧稿です。

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(承前)

全く油断も隙もありゃしない。1月から2月にかけ、仕事がかなり忙しかったり、高柳順子に流し目をくれたりしてる間に、塩キャラがまた製造されちゃってました、東と西で2粒。まずは東から。

栃木県那須烏山市
イメージキャラクター
なすからちゃん(仮?)
福添あゆみ
なすからちゃん

あなや、姫様御乱心!烏の物の怪に取り憑かれておはしまするぞ。
[かぶりモノ系]の女の子というよりそんな感じ。でも、背後霊に憑かれながらもなお両手を広げてこちらに歩み寄ってくるのは塩キャラの悲しい性。
然りながら[カラス]は当然市の烏、否、市の鳥だからまあ良からう。問題は乱心の姫君の御髪に挿せる(あるいはお洒落なカラスが頭にちょいと乗っけた?)白い花。市の花[コブシ]だそうなんですがね、下野新聞記事によると。これぜってーコブシじゃねーよ!モクレン科のコブシを5弁花に描くなんてあり得ないし、花のつき方も蕾の形も全く違う。ツルはバラ科のナシかと思うてご当地産品調べ回りましたがな、ケッ。(結論:梨の商業栽培はご当地では行われていません、多分)
下野新聞には「キャラクター全体で市の特徴を表現」ともあって、これぞ本人の説明をそのまま引いてきたるは必定なり、そう「全体で」。あはは。

緑のポチッとした半円が表すのはご当地の[山あげ祭](すんません、発表直後なもんで小さい画像しかないんすよ)。和紙作りの「山」を組み上げるという八雲神社の神事とか。御祭神が牛頭天王で季節も夏だから、元は京都の八坂神社の祇園祭同様に疫病退散の祭礼なんでしょう(cf. 2012.03.03〜11「祇園社につきお勉強」ほか)。この山を舞台にして素人歌舞伎等が余興に演じられるようになり、いつしか祭の主従も逆転して今や「日本一の野外劇」を名乗っている。奥行100mに及ぶ巨大な舞台だから日本一ということらしいんですが、同市サイトを見ても説明が一向に要領を得ない・・・これじゃ「市の魅力」もよう発信しまへんえ。

珍しくも、同サイトにはこうした盛りアイテムの件が一切書かれてない。単に力が入ってないのか、デザイン補整でも入れるつもりなのか。ツルは後者と見ましたが、どうなることやら。

もう一つ腑に落ちないのが愛称。同サイトには2013年1月31日付で「愛称等については今後、原作者等と調整し決定して参ります」とあるのに対し、翌2月1日の下野新聞記事だと『大阪市のグラフィックデザイナー福添あゆみさんの「なすからちゃん」が501点の応募作品から選ばれた』となっている。あまりにベタなので迷ってるんでしょうが(苦)、募集時にわざわざ「必ず愛称をつけてください」と断り書きをつけたことは忘れなさんなよ、総合政策課さん。
記事によれば、市の総合政策課曰く「県内のほとんどの市町でゆるキャラが誕生しているので」云々。それじゃまるで「アユたんが持ってるクレヨンとおんなじのが欲しいぃ〜」と駄々こねてる3歳児のエイイチくんと同じだよ。

駄々っ子だからこんな無体なことも宣っちゃう。

(優秀賞)
からすけくん
遠藤寿美子(那須烏山市)
からの助
松本由起子(那須烏山市)
からすけくん からの助

3点も着ぐるみ作っちゃうんですよw(°O°)w。最優秀賞が5万円、優秀賞が1万円×2点と、わりかしチンケな賞金額だったのに比べて大変な大盤振る舞い。いや、着ぐるみ沢山作るから賞金の方を抑えたんですね、ほれ、市民の血税だし
塩キャラをメインに選んでおいて、次点に住民の作品を持ってくるのはよくある話。これもいささか人を小バカにした話ですが・・・
それでですよ。3点とも時代物っていうのは、烏山藩のお家騒動を描いた川口松太郎の小説「蛇姫様」(1946年)に絡めたらしいんですね。だったら姫様、蛇も頭に盛っとけよ(実際にはそんな憑依変化系ホラー小説じゃないようですが)。
いやいや本当にそんなデザイン補整考えてたらどうしよう。この3点セットなら、確かに「なすからちゃん」「からすけくん」「からの助」という名前の取り合わせは決してよくないし。だから「愛称は今後調整」て具合にStep Backしちゃったのかね・・・。とは言え、「なすから姫」じゃどうしても「茄子から生まれたお姫様」になっちゃって、「桃から生まれた桃太郎」にも「もと光る竹の中いとうつくしうて居たる人」にも劣る感じ。
そもそもだよ、「なすからすやま」なのにナスのキャラ/アイテムが一つも入ってないのはなんで?(ツルも完全に塩キャラに毒されてんな)

それにさ、いくらご当地舞台の大人気小説(当時の)とは言え、3回も映画化されてるとは言え、半世紀以上前のネタを持ち出す感覚ってどうなんだ。今時「蛇姫様」つったらONE PIECEのキャラクターでしょ、マンガの。
「若者や商工、観光関係者ら」で選考してたはずなのに。それこそ日本一のぶっ飛び市章を擁する土地柄なのに(^O^)

栃木県那須烏山市
市章
三上信也(31歳:青森県)
那須烏山市章

やっぱここはホレ、レトロ狙いってことでっか?

あれ?よく考えると、これもある種の出来レースなのかも。真の意図は蛇姫様にあり、とかで。(いろいろ怖っ)

(続く)

2013年3月 3日 (日)

お断りと口上

えー、愚blog「空中庭園@下丸子」、ご時世に逆らっていつもガラパゴス携帯からものしているのですが、この度そのパートナーがついにお亡くなりになったという話で。悩んだ挙げ句、新しい相方もまたガラ系にしちゃいました、今どき。
えっと、塩キャラ斬りの最中にツールを変えたくなかったんです、これはマジで。Smartでない携帯電話でどこまで迫れるかトライしてみようって意図も実は本シリーズにはありまして。だから検索にも敢えてパソコンはほとんど使っていません。

ところがですよ、前のをあまりに長く使っていたもので、同じガラ系の同じメーカーでも使い勝手が随分違う・・・ぶっちゃけ前より不便感、今浦島状態。
ま、それは追々慣れりゃいいってだけのことですが、せっかく溜め込んだ塩キャラ画像も、未紹介のものを含めて多数が飛んじゃいました(泣)。でも負けないわアタシ。また探せばいいんだもの。頭の中には大概入ってるし。
ただ、慣れるのにも探すのにも調べるのにも結構手間暇かかるものですから、しばらくは更新が間遠になることも予想されます、相済みません。(決して塩キャラ斬りに飽きたわけじゃないんですけど。)

今までupしてきた画像の見え方も、思ったよりクォリティが変わってるしなー、予想はしてたけど。これもできれば何とかしたいよな。

まさに新機一転、一層精進してまいりますので、今後ともご贔屓に預りたく宜しくお願い申しあげますm(._.)m

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