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2013年3月11日 (月)

七五調の呪縛

前回【その28】で「黒田節」のことを書いてて思い出した。

黒田節もそうだけど、昔の歌の歌詞って、七五調になってるものがとっても多い。五七調よりもとりわけ、って意味です。
メジャーどころから、オール七五調のものをいくつか並べてみませう。春らしいものも取り混ぜて。黒田節なんかは二番の詞が艶やかなのでそちらの方を。めんどくさいから現代かな遣いでいっちゃえ。

みねのあらしか まつかぜか
ほたるのひかり まどのゆき
はるのうららの すみだがわ
われはうみのこ さすらいの
うまれてしおに ゆあみして
はるこうろうの はなのえん

たずぬるひとの ことのねか
ふみよむつきひ かさねつつ
のぼりくだりの ふなびとが
たびにしあれば しみじみと
なみをこもりの うたときき
めぐるさかずき かげさして

こまひきとめて たちよれば
いつしかとしも すぎのとを
かいのしずくも はなとちる
のぼるさぎりや さざなみの
せんりよせくる うみのきを
ちよのまつがえ わけいでし

つまおとたかき そうふれん
あけてぞけさは わかれゆく
ながめをなにに たとうべき
しがのみやこよ いざさらば
すいてわらべと なりにけり
むかしのひかり いまいずこ

黒田節(二番)
 福岡県民謡

蛍の光
 原曲:スコットランド民謡
 作詞:稲垣千穎(ちかい)


 作詞:武島羽衣
 作曲:滝 廉太郎

琵琶湖周航の歌
 作詞:小口(おぐち)太郎
 作曲:吉田千秋

我は海の子(二番)
 作詞:不詳
 作曲:不詳

荒城の月
 作詞:土井(つちい/どい)晩翠
 作曲:滝 廉太郎

どうです。全部見事に七・五音×四行になってます。蛍の光なんて元歌は外国の曲なのにねえ。
・・・こんなのはテンプレ仕事とは言わないのかしら(これっ!)。「互換性が高い」と表現しておきませう。

こうした古い歌は、歌詞の細部にいろいろバリエーションがあったり(とりわけ二番以降)、順序や作成年代に差があったりする。なのでそこは突っ込まないでね
特に戦後だと、富国強兵・皇国史観一掃の関係で書き換えられたり、旧歌詞が用いられなくなったりしてます。「黒田節」「蛍の光」「我は海の子」にもそんな側面が。

「そうふれん」は「想夫恋」で、もともと雅楽の曲の名前。鎌倉末期の「徒然草」には「想夫恋といふ楽は、女、男を恋ふるゆゑの名にはあらず。もとは相府蓮、文字の通へるなり。晋の王倹、大臣として、家に蓮を植ゑて愛せし時の楽なり」とあって、本来「丞相邸の蓮の花」ぐらいの意味だったらしい。一方この曲は、平安中期の源氏物語にも、和琴/わごんによるもの(「常夏」帖)、箏/そうと琵琶によるもの(「横笛」帖)が出てきて、そこでは既に艶っぽい意味合いになっている。

そうそう、忘れんうちにもう一つ。「琵琶湖周航の歌」という曲名なんですがね。「琵琶湖就航の歌」と表記されてる場合があまりに多い!それじゃ琵琶湖に新しい観光船でも導入したみたいですがな。これはね、琵琶湖を船で巡っていくって歌なの!(ある意味滋賀県のご当地ソングか。)京都に住んでたツルとしちゃいささか馴染みのある歌なんで、これはちょっといただけませんな。

繁る枝葉はこのぐらいにしといてと。

つまりは文語体においては詩歌といえば韻文詩のことで、日本語で韻文といえば七五調か五七調のことだったってわけでしょう。言文一致してから後の日本の詩歌というものは、ある意味その呪縛から抜け出るための闘いの歴史だったのかもしれない。

このあたりまではなんとなーくわかってたんですよ。でも。

(続く)

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