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2014年1月

2014年1月31日 (金)

【番外編】泣きキャラ評定記 丙ノ巻(やまっち)

(承前)

前田作品、多少違う切り口からも見ていこう。

長野県東筑摩郡山形村
山形村観光協会
イメージキャラクター
やまっち
前田昌克(55歳:大阪市北区)
やまっち(当初案) やまっち(最終版)

微妙にたてつけの悪いキャラです。村指定文化財の[慈眼山清水寺]本堂の屋根をかぶってるのに「五穀豊穣の見習い神様」としてて、無理くり神仏混淆的な魂の入れ方にまず無理を感じるわ。村の花[サツキ]を盛って、胴体は村の木[イチイ]というんだけれども、これもちょっとこじつけだよねえ。「山形村だから山型だろ」と思うよな。もっともご当地には山らしい山はないそうだし、「山形」を前面に出したくなかったのかね?性別は女子と明記されているから、[っち系ネーム]も得策じゃないと思う。

当初書き込まれていた[村名]がデザイン補整で削られているので、盛岡の「開運かなえちゃん」とは逆のパターンになるのかもしれない。やっぱり山形県下の村だと取られることを恐れてのことでしょうが(あるいは2006年3月に久慈市と合併して消滅した岩手県九戸郡山形村との混同も?)、この誤解はご当地に永遠について回るんでしょうね。正面きって「山形県でも岩手県でもなくて信州長野にある山形村!」とアピールし続けない限り。
[サツキ]が6弁から5弁に減らされた結果、キキョウにしか見えなくなったのはご愛敬。

農山村系ご当地キャラにありがちな「んめぇもん、ありったけ盛り」の傾向(塩崎一族作品が全国の「田舎」に蔓延する所以でもある)はやっぱり表れていて、別バージョンには何やらいろいろ盛られている。

やまっち2

[長芋]+[アスパラガス]+[ブルーベリー]+[リンゴ]あたりまではわかったのだけれど、最後の一つがわかりませんでした。ご当地自慢の、という点からは間違いなく[サクランボ]のはずなんだけど(今度こそ山形県とごっちゃにしてませんよ)、図柄からはどう見ても[トマト]。[右目ウィンク]も登場しています。

それにだよ。上述のイチイ/Taxus cuspidataは東北ではオンコとも呼ばれて生活に密着した木ながら、種子にはタキシン/taxineというアルカロイドが含まれていて有毒なんですね。赤い果実は甘くて食べられるけど、だからこそ一層ご注意を。アガサ・クリスティの「ポケットにライ麦を」では、邸内にあるこの木の種で主が殺される。微妙にグルメネタとは相性がよろしくないようで(笑)。

お気をつけあそばせ

さて、ここまでは前置き。この「やまっち」、塩キャラ的なる流れの中でどんな位置を占めているのか?[かぶりモノ]に注目して時系列で並べてみれば。A dark side of the big tide.

〔2008.11.28デザイン決定〕
富山県 きときと君
塩崎歩美
【その9】
きときと君

 ↓

〔2010.03.11決定〕
北海道沙流郡平取町 ほろりん
長崎チヨ
【その9】
ほろりん

 ↓

〔2010.04頃決定〕
福島県耶麻郡 磐梯観光エリア イメージキャラクター(優秀賞)
深川重一
【2013.01.03「その川は本当に深く淀んでいないのか − 上」】
磐梯観光エリア

 ↓

〔2010.11.07決定〕
長野県東筑摩郡山形村 やまっち
前田昌克
やまっち

 ↓

〔2011.11.01報道〕
富山県中新川郡上市町 つるぎくん
深川重一
【2013.01.04「その川は本当に深く淀んでいないのか − 中」】
つるぎくん

 ↓

〔2011.11.30報道〕
香川県さぬき市 さっきー
塩崎歩美
【その5】
さっきー(最終版)

 ↓

〔2012.02.27発表〕
長野県大町市 (特別奨励賞)おおちゃん
塩崎あゆ美
【その9】
おおちゃん

ねー?すごいっしょ、仁義なきパクり合い闘争。ツルにはどうしても「才能ある人たちのせめぎ合い」には見えなくて、「才能の涸渇した老頭児の面子争い」にしか映らないんです。つまりCreationを感じられない。知らずに巻き込まれつき合わされるご当地それぞれ(の住民)こそいい迷惑である。

甲ノ巻〜丙ノ巻と取り上げてきた前田作品合わせて9点、もう一つお気づきでしょうか。このうち5点が2011年の制定なんです。もちろん他にもあるでしょうけど。すごい勢い。

2011.05.20 やっぴー
2011.05.26 サケリン
2011.09.29 えっちゃん
2011.11.03 ダイトン
2011.11.03 はーとん

おそらくそれは、この作家の絶頂期というより、一般的なキャラクター制定のピークもこのあたりにあったということなんじゃないか。
2011年は東日本大震災の年として永く人々の記憶に残るだろう(阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件の1995年とともに)。社会がやたらと「絆」を求めたがった年でもある。而してご当地キャラの記憶は如何に。

(続く)

2014年1月29日 (水)

【加筆編】運気呼び込むキャラの弥栄(開運たまえ)

【2018.01.07 加筆】

(承前)

前回取り上げたこのキャラクターについて、少しばかりの訂正が。

岩手県盛岡市
盛岡駅前商店街 シンボルキャラクター
開運かなえちゃん
前田昌克
(愛称)志水恵子
〔2009年11月決定〕
開運かなえちゃん

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愛称は別途公募です。てことはだ、このアルファベットの[地名]?はデザイン補整の段階で書き加えられたと考えなければ辻褄が合わない気がする。商店街の名前に「開運」の語が入っていないからです。
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と書いたけれど、どうやらそうではなかったらしい。

開運かなえちゃんが岩手県内の商店街キャラの第1号として制定された際、この商店街では「地域のランドマークでもある『開運橋』をキーワードに地域起こしをしてきた。名前が決まってからはこのキャラクターを使って、さらに振興策を練りたい」とコメントしていた。だからむしろ、「開運/KAIUN」のネーミングや表示は既定路線だったようです。

4年ほど経った2013年2月、このキャラの「オトモダチ兼助手」という立ち位置で次のキャラを作った時もそれは同じ。

岩手県盛岡市
盛岡駅前商店街振興組合
盛岡駅前商店街 シンボルキャラクター
開運たまえ
堀江 豊(広島県)
(愛称)澤 久美子(盛岡市)
開運たまえ

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[岩手山]を擬人化したキャラクターで、頭には盛岡駅前を象徴する[開運橋]をかぶっており、胸には[新幹線]と盛岡駅前商店街で建立した開運神社の[鳥居]。そして、盛岡駅前商店街がコンセプトとしている人と人とのつながり(縁)を感じさせる[ハート]を持っているキャラクターです。
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ほれ、やっぱり[開運橋]はかぶってるっしょ。商店街が勧請した神社というものの御利益の微妙さは当方もスルーしますがね。
どちらかというと貧相な体つきの開運かなえちゃんに対して、ふくよか体形アイドル。山というよりむしろ[鳥]系、ペンギンじゃないかと思うのだけれど、そのような情報はなし。なぜかこっちは「ちゃん」づけではありません。

今度も、「開運かなえちゃんと一緒に行動することも考え、開運をテーマにしている商店街というのをアピールできると思い『開運たまえ』に決めた。盛岡駅前商店街を全国へPRしたい」として意気込んだわけ。
「一つの商店街に2つのキャラクターがある」のがご自慢らしい。でも、逆にツルはなぜ2点も作ったのか、そこが知りたい(つまり、それってトータル戦略上不利じゃなかったのって訊きたいわけで)。2点目を作るのは、あくまで「かなえちゃん」をさんざん使い倒してからのことだろうよ。

開運かなえちゃんは震災前、開運たまえは震災後の制定。そんなことも影響しているのだろうか。
あ。むしろ新幹線開業の方ですか?でも、それは大宮−盛岡が1982年、盛岡−八戸が2002年、八戸−新青森が2010年・・・。そこは関係ないみたいです。

2014年1月28日 (火)

【番外編】泣きキャラ評定記 乙ノ巻(やっぴー・ゴーどん・開運かなえちゃん)

(承前)

かぶりモノとチークカラーとハイライトだけが前田の特徴というわけではない。深掘りしてみませう。

千葉県習志野市
谷津商店街協同組合
谷津遊路(やつゆうろ)商店街
キャラクター
やっぴー
前田昌克(大阪市北区:デザイナー)
やっぴー

鳥が花に変わっても[かぶりモノ系]。ピンクの[バラ]の極盛りヘアに[地名]のアルファベットを刻み、[No.1]を示しながら[双眼鏡]を持って[野鳥]観察をする[ぴー系ネーム]の幼児、とくればこれはもう立派な変態さんである。
ここでのポイントは、彩度と明度の高い色使いだと思う。本シリーズでは今までほとんどキャラクターの色彩について論評したことがありませんが、それはツルが色彩感覚に劣っているから(苦)。けど、前田は常連陣の中でもとりわけビビッドカラー好きと言えるんじゃないですかね。

ご当地は、京成電鉄の谷津駅と同社の運営する谷津遊園を結んで発展してきた商店街で、谷津海岸への行楽客でも潤った。しかし埋め立てが進んで海岸線は遠のき、1982年には谷津遊園も京成電鉄のTDL出資のあおりを受けて閉園。現在はその跡地にできた谷津パークタウンを商圏としつつ、習志野市に運営が引き継がれた同園内の谷津バラ園(*)、1993年6月にラムサール条約に登録された谷津干潟への通り道にもなっているという次第。何やら浮沈が激しいですねぇ(^^)。
活性化のためには、世界三大花木の一つ、南米のジャカランダを街路樹にするなんて無茶もやってのけた。咲くのかなあ?日本で。で、このキャラ制定に至ったのが2011年5月。

(*)お隣の八千代市にある「京成バラ園」はもともと谷津遊園のバラ園に供給するためのバラを育てていたところで、現在も京成グループが運営している。世界的なバラのブリーダーでもあります。そんなわけでか、バラを市の花にしたのは習志野市ではなく八千代市。

余談ですが、谷津干潟って当然海岸なのかと思ってたら、四角い「池」なんですね、水路で海とつながってるそうだけど。近年はアオコの異常発生がある上、ラムサール条約登録に伴い造成が行われた結果、皮肉にも野鳥の飛来数が激減しているそうな。都会の中の干潟という、いわば最も脆弱な自然環境を守るため、相当の人手もかかっているようです。

谷津干潟

閑話休題。このキャラでツルが一番興味深く感じたのは、着ぐるみを着てくれる人をおおっぴらに募っていること。

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★やっぴーに入りませんか?

トクトクセールやお祭りで、チーバくん&やっぴーに入ってくれるボランティアを募集しています。
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「内臓」募集、いとをかし。こういうのってよくあるん?とんと疎いんだけど。そりゃー、無給でも入ってみたいって人はいくらでもいるでしょうよ。「中に人なんかいません(プルプル)」なんて言い張るのよりよっぽど人気出そうじゃん。
ていうかさ、政治家や皇族にこうしたキャラが御目文字することもあるわけじゃないですか。そういう場合のセキュリティチェックはどんな風にやってるんだろう。まあ、日本は確かに安全で平和な国でしょうけど。

お次もバラキャラです。

岐阜県安八郡神戸町(あんぱちぐん ごうどちょう)
マスコットキャラクター
(入賞)ゴーどん
前田昌克(大阪市)
ゴーどん

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神戸町の町の花である[バラ]をメインモチーフに、名産である[アルストロメリア]を重ね合わせ、様々な年齢の方々に親しみ易いキャラクターを表現しました。キャラクターは胸に[GODO]、手に名産の[小松菜]を持ち「神戸町」を象徴しています。
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昨年12月末に結果発表されたばかりの最新公募です。10月12〜13日の「GO!ご〜どんとこい祭り」で行われた総選挙で2位に食い込んだ。採用されたのは塩崎歩美ですが、それはまたイロイロあるので稿を改めるとして。

2年前の「やっぴー」の使い回しであることは否定のしようがないだろう。いささかマイナーなアルストロメリアは、ご当地名産だからというより、2013年5月決定のこれ↓を意識したんじゃないかと勘繰りたくなる。(もっとも前田には、市原のような左右対称性への強い固執は見られないが。)

【2013.05.23「直立不動で御神楽舞える?」】
北海道上川郡東神楽町
マスコットキャラクター
かぐらっきー
市原麻奈美
かぐらっきー

もうおわかりですね、今一つのポイントも。まずいでしょ、これ。「ゴーどん」も「やっぴー」も「ダイトン」も胴体の形が同一、緩い[ハート型三角形]。この上にデカい頭を乗っけて右手で[No.1ポーズ]なんか適当にさせりゃ前田キャラは誰にも作れる。後は、Cheek & Highlightのお作法を守って、派手目に塗り絵。

2009年11月まで遡ると、この胴体は正三角形だった。

岩手県盛岡市
盛岡駅前商店街振興組合
盛岡駅前商店街 シンボルキャラクター
開運かなえちゃん
前田昌克(大阪市:デザイナー)
(愛称)志水恵子(61歳:千葉県松戸市:主婦)
開運かなえちゃん

ご当地では知らぬ者とてない盛岡駅東の[開運橋/かいうんばし]+[Vサイン]。市の公式キャラではないけれど、市の鳥[セキレイ]が盛られている。
愛称は別途公募です。てことはだ、このアルファベットの[地名]?はデザイン補整の段階で書き加えられたと考えなければ辻褄が合わない気がする。商店街の名前に「開運」の語が入っていないからです。

そして2010年4月、同じ盛岡市内の(+_+)公募では、胴体が逆に真ん丸のキャラが入賞した。

【2013.01.05「泣きキャラ そして 大阪−東京、漢字−ひらがな」】
岩手県盛岡市
盛岡さんさ踊り実行委員会
盛岡さんさ踊り33回記念 マスコットキャラクター
(佳作)サーサちゃん
前田昌克(大阪市:デザイナー)
サーサちゃん サーサちゃん2

微妙に色合いの異なる2パターンがあるようで、佳作だからデザイン補整でもないだろうけれどもよくわからない。この花笠、ベニバナを表してるのかと思ったら(そりゃ岩手じゃなくて山形だよ)、[蓮華]または[牡丹]を表している由。であれば赤い方がBasicなのかしらん??
首のスカーフも、ほんとは五色(または七色)の[腰帯]だそうな。

さらに言えば、一口に「さんさ」と言っても「伝統さんさ踊り」と「盛岡さんさ踊り」の区別があり、岩手県各地に各種伝えられてきた前者を統合して近年生まれたのが後者。前者ももちろん今も舞われている。この状況って、場所は離れてるけど、沖縄のエイサーに似てますね。そうだ、前にサーサちゃんを取り上げた時も深川重一のエイサーキャラ絡みだったんだ。

「サーサちゃん」と「開運かなえちゃん」が共通するポイントは[右目ウィンク]。つまり、採用されたキャラクターのアイテムを、半年経たぬうち同じ市内の公募に盛って出したけど佳作に甘んじたというわけ。いいのかよ、こんなんで。このウィンク、「えっちゃん」の「デザイン」版にもあったぞ。

使い回して使い回して、作者は飽きることがない。しかし、世間一般には決してそうは言えないと思いますがね。飽きられることが予定されて生まれてくるキャラクターって、悲しい。

(続く)

2014年1月26日 (日)

【番外編】泣きキャラ評定記 甲ノ巻(ダイトン・ハートン 改め はーとん・えっちゃん)

今までも何度か爼上に載せてきた前田昌克/まさかつについて。常連陣の中ではややアクの強い作風であり、それをツルは「泣きキャラ」と評した。

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【2013.01.05「泣きキャラ そして 大阪−東京、漢字−ひらがな」】

(1)赤系チークカラーが目の真下に位置している点(ちょっと泣きはらしたようにも見える)と、(2)目の中のハイライトが「右側に三角形」で入る点
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しかし、そのわかりやすい特徴に眩惑されて、本質を捉え切れてなかった気がする。で、ぎっちり見直してみます。とは言え、やっぱりリサイクル噺になってしまうんだけど。

枕はその時取り上げたこれ。

新潟県村上市
観光キャラクター
サケリン
前田昌克(55歳:大阪市:デザイナー)
サケリン サケリンペパクラ

日本海の[波]+ご当地名産[サケ]の[かぶりモノ系]。サケは別に市の魚でもないけど、「[鮭]・[酒]・[人情/なさけ]」でキャラをという三題噺の公募だった(「酒」は胴体の[徳利]で表現とか)。

ペーパークラフトは【その77】の新潟市社協「きらりん」と同じく相場 聡(新潟県燕市)によるもので、新潟県内のキャラクターのペパクラは今にこの作家の手で制覇されちゃいそうってな勢いだそうな。まあ、二次元の図像がこれだけパターン化されてる以上、大したことはない(辛口一献)。ぶっちゃけ、かわいくないし。
ただ、相場作品の全てが無償作成という点はすごいと思います。こういう御仁は年賀状もさぞや凝って作らっしゃるに違いない。

2011年5月のサケリン制定の半年後にはこんなものが。

大阪府大東市
マスコットキャラクター
ダイトン
前田まさかつ
ダイトン

市制施行55周年記念のキャラですが、フォルムはそっくりサケリンの使い回しですね。やはり[かぶりモノ系]な頭はイニシャル[大]の変形と説明されてるけど、つまりは[市章]のバリエーションとも言える。アルファベットの[地名]に、[キク]は市の花です。

大東市章

実はこれ、大阪府の「いいデザイン100プロジェクト」に選ばれてるんですよ(cf.【その50】)。

〔044〕前田まさかつ
大東市 市制施行55周年記念 マスコットキャラクター制定事業(ダイトン)

前にも書いたとおり、前田作品には在住地が大阪市北区のものと東京都目黒区のものとがあって、この公募ではいずれとも明らかでないけど、名前がひらがな表記であるところからおそらく後者と推測されます。(cf. 2013.01.05「泣きキャラ そして 大阪−東京、漢字−ひらがな」)

西でダイトンが大東市制施行55周年記念式典でお披露目された2011年11月3日、まさに同じ日に東では「第32回はとやま祭」で次のキャラが発表されていた。ひらがな名義で。

埼玉県比企郡鳩山町
マスコットキャラクター
ハートン → はーとん
前田まさかつ(東京都目黒区)
はーとん

こちらは町制施行30周年記念。町の鳥[ハト]の[かぶりモノ系]にして、頭に町の花[ツツジ]+胸に[町章]と発想は基本何も変わらず、頭に汗をかいたのは目の表現ぐらいだと思える。[No.1ポーズ]もここまで全て共通してます。
[ん系ネーム]は、鳩山の「ハート」と音声の「トーン」から来ている由。デザインとワンセットの募集で、当初はカタカナ表記だったようです。愛称まで「ダイトン」と同じノリだったとはね。

ハートン

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作品は、応募者本人のオリジナルで未発表(同一作品を他のコンテスト等への応募や個人使用していない)のもので、他のデザインに類似していないものとします。
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≪フフン、そんなんチョロいがな≫

鳥の種類を変え、目を通常に戻して出来上がるのが次の作品(実際にははーとんより1ヵ月強早い発表ですが)。

福井県越前市
コウノトリ イメージキャラクター
えっちゃん
前田昌克(大阪府:デザイナー)
えっちゃん

どこまでいっても[かぶりモノ系]なんですねえ。「コウノトリが舞う里づくり構想」の一環として作られたキャラです。胴体の[市章]は、武生市(たけふし)と今立郡今立町(いまだてちょう)が合併して越前市が誕生する際、2005年4月に制定されたもの(by 酒井 一:福井市)。

越前市章

問題なのは[赤ちゃん]。これを特盛りアイテムとして入れてしまったために、「Sustainable」が後退して「少子化対策マスコットキャラ」みたいになっちゃった。同構想の趣旨はあくまで環境保全だったのに、「キャラクターで親しみやすさを」の観点がそこからいつの間にか逸脱しちゃったわけ。無理が通ればエコが引っ込む。

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キャラクター説明
[コウノトリ]が「[赤ちゃん]を運ぶ姿」をモチーフに、様々な年齢の人にも親しみやすいキャラクターを表現しました。キャラクターの基本ポーズ(正面)は、胸に[市章]を飾り、越前市を示しながら、市の将来に向かって果敢に歩む姿を象徴しています。

デザイン説明
[里地]、[里山]の緑と[川]や[空]、生息する[鳥]や[虫]をモチーフに、恵まれた自然環境を総合的に表現しながら、生物多様性の保全再生のイメージを表現しました。また、デザインの中心には、市の木と花である[サクラ]と[菊]で自然の美しさを示しながら、生きものと共生する「越前市」を象徴しています。
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後半の「デザイン」というのは、「キャラクター」とワンセットで募集されたこの画のことを指します↓。

越前市デザイン

ごまかされてはいけない、キャラクターそのもので「環境保全」を表現することができなかっただけのこと。

国の特別天然記念物コウノトリは現在越前市の鳥になってますが、指定されたのはキャラ公募より後の2012年7月になってから。その際にも「自然の再生、農業の振興、環境教育の推進など、市民と共に市の政策を推進していく上で、そのシンボルとする」と謳っている。

結局「コウノトリが赤ちゃんを」的な要素はどこにも登場してきません。そもそもこの吉祥伝説は、人家の煙突の上にも巣を作る習性のあるヨーロッパ産のシュバシコウ/朱嘴鸛/Ciconia ciconiaだから成立するお話で、アジアのコウノトリ/Ciconia boycianaはそんなに人間の生活圏に近づかないのよ。
それでもこの子育てキャラもどきが選ばれたというのは、無理くり双子キャラに仕立てられた岩手の「ぶるっぱ&べりっぱ」命名縁起を思い起こさせますな。(cf. 2014.01.11「ブルーベリー物語 遠野編」)

(続く)

2014年1月25日 (土)

【加筆編】ちょっとついでに(ちょちょら・ついで)

【2018.01.05 加筆】

(承前)

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【その77:その3】

ちょちょらとは何ぞや。新潟市中央区社会福祉協議会のキャラクターで、詳細はわかりませんが、Basicきらりんより後に制定されたもののようです(詳しくはいずれ気が向けば)。
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気が向いたので、ちょっとばかし。

新潟市中央区
新潟市中央区社会福祉協議会
キャラクター
ちょちょら&ついで
株式会社誠晃舎(新潟市中央区)
ちょちょら ちょちょら&ついで

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人々のやさしい気持ちから生まれた妖精。種まきが得意な「ついで」と一緒にやさしさの花であふれるまちづくりを目指している。
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これって[ブタ]ですよね!?「猪々良」と漢字を当てたくなるけど、よく考えりゃ人々の気が凝り固まってブタになっちゃったの!?だとしたら人間たちはどんだけ貪欲なんだ(笑)。ついでながら、サブキャラ「ついで」はほとんど活用されてないようです。

このカラーリングを、先輩格かつ格上の新潟市社会福祉協議会「きらりん」が採り入れてみたわけ、お戯れに。

ちょちょらカラーきらりん1 ちょちょらカラーきらりん2

新潟弁で「ちょちょら」≒「適当」。例えば;

「ちょちょらにしねで、もっと満足にせや」
(適当にしないでもっと確実にしなさい)

のように使うらしい。意外や、アクセントは「ら」に置かれる。
もっとも、「適当」の語にポジティブ・ネガティブ両面の意味があるように、「ちょちょら」にもプラスの意味合いはあって、この愛称には「福祉・介護は、根詰めず、適度にいい塩梅で、お互い楽しくやりましょう!」とのメッセージが込められているんだとか。
この言葉、南九州で使われる方言「てげてげ」あたりと似たニュアンスと見ました(「てげ」=「大概」だと思う、多分)。

「ゆるキャラ」ちゅうのも「ちょちょらキャラ」「てげてげキャラ」ぐらいの意味合いでしょ、と受け取れば諸々腹も立たないかもしれぬ。
でも一方で、ゆるキャラやご当地キャラの類いが負わされている(という)役割なるものを考えていくと話はまた別。その辺り、まさに「ちょちょらにしねで、もっと満足にせや!」(笑)。

(続く)

2014年1月24日 (金)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その78:カンピー・なんばった)

(承前)

【その72】の「ポッポ・ポティ」からの流れで鳥の塩キャラを見てみますと。

群馬県甘楽郡甘楽町(かんらまち)
イメージキャラクター
(優秀作品)カンピー
塩崎榮一
カンピー

昨年11月に決まったばかりのもので、[キジ]のキャラクターなのは町の鳥になっているからです。どうして羽織袴で衣儀を正しているのだろう?同じ時代物でもキジなら武者姿の方が似つかわしい気がするけどな。紋所は五花木瓜/ごかもっこうぽく見えるけれども、これまた由来がわからない。
なぜキジが町の鳥なのかってとこもわからん。別に桃太郎伝説がありそうでもないし、「焼け野の雉子(きぎす) 夜の鶴」だのの諺にゆかりがあるわけでもなさげ。

調べてみると、ご当地の町の花はソメイヨシノ、町の木はアカマツ、そして町の鳥がキジ。[サクラ]は袖にちょいと盛られてますね。むむう、国花に国鳥か。国の鳥(と同時に猟鳥でもあるが)をご当地の鳥にするというのもちょっとどんなもんかいな。僭越とかじゃなくてもね。保守的と言おうか没個性と言おうか日本の縮図的と言おうか、な北関東の町(ジモティ、すまぬ)。
とはいえ、キジを県市町村の鳥に選んでいるご当地は全国に数多くある。群馬県だけでも甘楽町の他に、みどり市(旧 新田郡笠懸町(かさかけまち)+山田郡大間々町+勢多郡東村(あずまむら))・東吾妻町・昭和村。ま、いいんですけど。

このキャラクターで、しかし問題なのは[町名]入りの[幟]。説明的な要素がケシカランとかそういう小難しいことじゃなく、読みがなの「かんらちょう」が誤りなんです。WikipediaにもJPの郵便番号検索サイトにも「かんらまち」としてあるもん。そこってまず初めに調べろよ、な基本のき。ダメじゃん、つうか応募の態度として失礼じゃん。

余談ながらこの公募の最優秀賞は八谷早希子(北海道)の「かんらちゃん」が獲得していて、彼女、少しずつ塩崎帝国の牙城を崩し始めている気がします。

で、鳥の塩キャラということでお次はアレやらコレやらにいこうかな〜と思ったところの裏をかきまして。

虫をついばむ鳥のありゃ、鳥のついばむ虫もあろ。

埼玉県富士見市
難波田城(なんばたじょう)公園
イメージキャラクター
なんばった
塩崎あゆ美
なんばった

自由律ながら心に一句浮かびました。

虫にしてもsalt

こちらは羽織袴というより[地名入り]の法被姿でせう。[寄り目ハイライト]だとやっぱりすこうしおバカさんに見えちゃいます。
[バッタ]にしたのは当然「なんばた」からの語呂合わせだろう。この公園に棲息していることをあゆ美自ら確かめてきたんですよ、きっと。ナニワから埼玉の難波田城まで出向いて(微妙にややこしいな)。
だって募集要項に;

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国籍、住所、年齢、性別、個人、団体、資格、職業、プロ、アマの別を問いませんが、難波田城公園を訪れたことのある方に限ります。
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って書いてあるんだもん(笑;伏線)。しかしそこは疑り深い連中というものは常にいるわけで;

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(2010.10.21)
おいシオピーwww
この公募ってその場所に行かないと応募資格がなかったはずwww
またやりやがったなw 行った事あるのかよw

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ぶっちゃけ普段表彰式に代理でもいく父親のほうならまだしも表彰式にすら行かない娘がそんな公園に行った事あるとは思えないw
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などと囀られております。表彰式は2010年9月26日に行われてますが、作者の出欠のほどはわかりません(笑)。ま、いいんですけどね、いろいろ、どっちだって。

ご当地富士見市と言えば、富士見市 vs ふじみ野市、伊豆市 vs 伊豆の国市という「平成大合併びっくりこっぱず隣接類似地名四天王」の一つです、ツル的には(各ジモティよ許せ)。
富士見市・上福岡市・入間郡大井町・同 三芳町の2市2町間で進められた合併話はありがちにモメた末、2005年10月に上福岡市と大井町だけで合併して「ふじみ野市」ができた。Wikipediaの記述は今も何やらドロドロが漂っててスゴいです。

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市名の由来となった東武東上線ふじみ野駅は富士見市北西部の富士見市ふじみ野東1丁目26−1にあり、「ふじみ野」の名称は1993年の駅開業時に「富士見市民」への公募の中から富士見市に因んだ名称として決定されたものであり、駅所在地の富士見市では、この「ふじみ野」の名称を利用されることに困惑し、市議会では東武鉄道に対して「ふじみ野駅」を「北富士見駅」などへの改名を要請することを求める意見もあった。しかし富士見市は冷静な対応をし「ふじみ野駅」周辺の整備に努めている。
富士見市や富士見市民の反感をかってまで新市名に「ふじみ野」を採用したことは、将来的には2市2町合併の仕切り直しを検討しているからだともされると新聞掲載されたこともあるが、今後「2市1町で合併する」ことがあれば、過去の合併交渉の経緯から「合併前に使用していた名称は利用しない」としてきているので、富士見市・ふじみ野市・三芳市・上福岡市・大井市はあり得ないことになる。

〔中略〕

上福岡市と入間郡大井町の合併協議会では上福岡駅の名称を利用した新市名案を提案すべきところであったが、「合併前の名称を利用しない」という合併交渉時の取り決めに抵触しないことと、都市化の進む富士見市北西部にあるふじみ野駅周辺のイメージが良いことなどから2005年「ふじみ野市」としてしまったものである。
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両市とも人口は約10万人、けれども双子のような存在というには遺恨を残しちゃってる感じ。

ああ、でもほんとどうでもいい。ツルが言いたいのは

 埼 玉 で 富 士 を 名 乗 る な

です。「富士見」だって1956年に入間郡鶴瀬村・同 南畑村(なんばたむら)・北足立郡水谷村が合併して入間郡富士見村が誕生した時からの自治体名。
富士山がよく見えるから富士見市/ふじみ野市、というロジックの幼稚さ。どこもかしこも「富士見」だらけになっちゃうよ(事実、「地名」としては関東一円ほうぼうにある)。今時ご当地でどれほど見られるんでしょうか。
まあ、福岡出身のツルとしては「埼玉で上福岡と名乗るな」「東京で東久留米と名乗るな」という方に肩入れしちゃうんであるが。

ふじみ野市の方は工藤和久の類似丸ブー市章採用でも仰天させてくれたし(cf. 2013.07.08「類似って何なんだっけ:下」)、なんつってもあの塩キャラがいるとこ↓。

【その4】
埼玉県ふじみ野市
ふじみ野市PR大使
ふじみん
塩崎マサヨ
ふじみん

「ふじみん」は2010年12月決定だから、ふじみ野市はキャラ作りでも富士見市を少しだけ後追いした形になる。そしてまたもや真正塩キャラ。・・・お見事っ!(≧∇≦)

(続く)

2014年1月23日 (木)

【番外編】総合芸術家の作り方:Formula 3(筑波交流協議会・とわだ逸品)

(承前)

どのようにこの作家は作られていったのか。

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(2005.04.02 東奥日報)
中泊町 筑前町(福岡) 東御市(長野) 十日町市(新潟)/新4市町が“顔”に採用/工藤さん(弘前)制作のマーク/「全国に足跡残したい」

弘前市在住のデザイナー工藤和久さん(40)が手掛けたシンボルマークが、昨年から今年にかけて「平成の大合併」で誕生した本県の中泊町など全国四つの自治体で市章や町章として採用された。工藤さんは「どうせなら全都道府県に自分の足跡を残したい」と、家業のリンゴとコメ作りを手伝いながら、精力的に作品づくりに励んでいる。
工藤さんのデザインをシンボルマークに採用した自治体は、中泊町のほか県外の福岡県筑前町、長野県東御(とうみ)市、新潟県十日町市。工藤さんは「七十件ほど応募した結果としては、それほど高打率ではないかも」と話すが、四市町のほか十件ほどが次点などに入選した。
工藤さんが、デザイナーとして活動を始めたのは五年ほど前。「弘前工業高校を卒業して、市内の機械メーカーで鉄を削るような仕事をしていたが三十三歳の時、ふと思い立って退社。何か技術を身に付けようと親に借金してパソコンを買い、独学でコンピューターグラフィックスに挑戦したのがきっかけ」という。
以来、津軽広域連合や弘前市上土手町商店街をはじめ、茨城県つくば市の研究組織筑波流協議会[引用註:正しくは「筑波研究学園都市交流協議会」]や北九州放射線技師会[引用註:2013.08.23〜 「北九州診療放射線技師会」]などが工藤さんのロゴデザインやキャラクターを採用。
作詞では「全国自治消防隊テーマソング」、「白神の詩コンテスト」(秋田県八森町[引用註:現 秋田県山本郡八峰町(はっぽうちょう)])、「須磨の盆踊り唄」(兵庫県)などで最高賞を射止めている。
自称・総合芸術家としての活動は年ごとに広がりを見せており、工藤さんのデザインや歌詞が使われている都道府県は、すでに三十を超えた。
工藤さんは「時流を見極め、感覚を磨くことを心掛けています。好きな歌の世界で、自分のCDを十万枚以上売るという野望もあるんです」と笑った。
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はあ、なるほど。「感覚を磨くことを心がけていると告白する芸術家」という時点でもうがっかりである。
専門教育を受けていない(?)ことを貶めるつもりはありません。しかし、この作家がプロフェッショナルとしての倫理を学ぶ機会に恵まれなかったらしいことは遺憾です。そうか、これは「本職ではなく素人」と述べている中本竹識にも言えることだろうか。(cf. 2013.11.02「今様竹取物語:中の巻」)

その後工藤は「行動する作家」否「行動する総合芸術家」として自らを育てていく、塩崎一族とは違って。陸奥新報の読者欄に投稿してみたり、表彰式にも積極的に参加したり、「母親」が採用されたという公募の表彰式まで代理出席しちゃう勢い(^_-)。しかし自身の制作態度とその成果が、そうした行動に見合うものであったと言えるかは甚だ疑問です。自我の肥大を招いただけではなかったのか。

〔2005年3月24日 表彰式〕
茨城県つくば市
筑波学園都市交流協議会
ロゴマーク
工藤和久(40歳:青森県弘前市:デザイナー)
筑波交流協議会 工藤和久@筑波交流協議会

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[T]を基調に未来へと躍動する[人]を表現。[橙]は太陽、[緑]は大地をイメージ
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「つくばの印象は?」との質問に「つくば万博の時にお兄さんと来て以来だが、街は以前と変わらず人工的で整然としている印象ですね。」と話しました。
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さすがに常連ともなるとこの手の質問は想定済みです。応募資格に地元関係者限定の制限がついている場合のexcuseとして、「子どもの頃に家族と旅行で訪れた」は多分最後の防波堤になるらしい。「小さかったので細かいところはよく覚えてません」で切り抜けられるでしょうから。

〔2007年12月23日 表彰式〕
大分県日田市
日田市民文化会館 パトリア日田
ロゴマーク
工藤ハツネ
パトリア日田ロゴ パトリア日田開館式

青森のリンゴ農家のおっかあが次のような文章を書くもんかね。次男坊(?)に代筆してもらったのかしら、それとも。

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日田市の[ヒ]の文字を基調に、地域の文化を担い、元気に躍動する[人]で、パトリア日田を象徴的に表しています。[緑色]は大地、[水色]は清流、[橙色]は太陽で、豊かな自然に恵まれた日田市をイメージして表しています。
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(↑ cf. 2013.06.02「Family... Business?? Part 1」)

〔2011年9月26日 表彰式〕
青森県十和田市
とわだ逸品マーク
工藤和久(青森県弘前市:グラフィックデザイナー)
とわだ逸品 工藤和久@十和田市

市長さんと一緒。ご当地産品のキャッチコピー「奥入瀬の自然がギュッ 十和田市逸品」のイメージに合うマークをという公募です。どうしてこんな小刻みの公募なんかかけちゃうんだろう。情報過多の中で小間切れの発信などみんな辟易してるのに。それでも応募総数は57点と微妙に健闘したけれど。市民投票もやったそうだし。

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十和田市の[と]をベースにして、[青]で清流、[緑]で青葉を描き、十和田市の豊かな自然をイメージしました。また、かわいらしい笑顔を入れることで親しみのあるデザインに仕上げました
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うふふ、6年以上作風とコスチュームは変わっていないようで

2014年1月22日 (水)

【番外編】総合芸術家の作り方:Formula 2(垂水中央中学校・高畠中学校)

(承前)

全国防衛協会 〜 大山ダムとほぼ同時期に行われたのが次の公募。

〔2009年3月〕
鹿児島県垂水市(たるみずし)
垂水市立垂水中央中学校
校章
工藤和久(青森県弘前市)
垂水中央中学校

〔2013年9月〕
山形県東置賜郡高畠町(ひがしおきたまぐん たかはたまち)
高畠町立高畠中学校(仮称)
校章
工藤和久(48歳:青森県弘前市:総合芸術家)
高畠中学校

作者コメントも並べておくと。

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垂水市の花[ツツジ]を基調に、輝く自然の中で未来に花咲く垂水中央中学校を象徴的に表現しました。4つのツツジは統合する4つの学校を表しました。[橙]は太陽、[ピンク]は花、[緑]は大地できらめく自然に恵まれた故郷・垂水をイメージしました。現代的で、シンプルで、親しみやすく、多くの人々に長く愛される校章デザインです。
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出た、〆のcliche。

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町の花[つつじ]の花弁と町の木[アカマツ]の葉がそれぞれ4つ描かれ、町内の4つの中学校が1つになることを表しています。[橙色]は太陽と光、[緑色]は大地と青葉、[ピンク色]は花で豊かな自然と風土に恵まれた高畠町を表現しています。
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高畠町教育委員会では「多くの人に長く愛されるようなデザインになった」と評してましてね(爆)。

ちーとは本人も「これはちょっとまずいかな、てへぺろ」なんてとこはあるのかな?それともこの業界じゃこんなもの類似のうちにも入らないのかね。ツルに言わせれば十分似通ってると思うんだけど、デザインも、文章も。

後発たる高畠町の公募の際、4校の統合だ、町の花はツツジだと知った時、この作家の頭の中には4年前の垂水市の時のことしか頭に浮かんでこなかったのだろうか。だとしたらそれは創造力の涸渇に他ならない。
工藤も50歳目前です。Growing old, passions cold. それは五十路に突入してしまったツルも日常から実感しているところ。自分が一番知っている。しかしこの作家はそれを円熟の技量とか何とかで補うことはできなかった。表面を取り繕うテンプレートワークをずっと続けてきた報いではないのか。やっぱり、そのどこが「総合芸術家」なのだという思いは拭えない。

因みに高畠町の方はまだ開校していません。2016年春の開校を目指して2013年秋に発表したということで、今の1年生たちが卒業するまで待ってからということなんでしょうか。しかしずいぶん早く校章を決めたもんだねえ。
1958年に建設された一中・三中の校舎は体育館以外解体、1982年に作られた四中は雨漏りや歪みが生じているため解体予定、二中は屋代小学校として活用するのだそうで。80年代に造られた校舎でもう雨漏りや歪み!?と思ったけど、ご当地は米沢市の北隣、雪深い土地柄のはず。建物の維持管理にも大きな苦労があることでしょう。

二つのご当地に共通していることはもう一つある。どちらも域内に公立中学校が1校だけになってしまうという点です。

垂水市立垂水中学校
垂水市立垂水南中学校
垂水市立協和中学校
垂水市立牛根中学校
 ↓
垂水市立垂水中央中学校

高畠町立第一中学校
高畠町立第二中学校
高畠町立第三中学校
高畠町立第四中学校
 ↓
高畠町立高畠中学校(仮称)

生徒数は前者が400名強(2010年度)、後者でも680〜690名程度だそうだから、単純計算すると400÷4÷3=33.3名、690÷4÷3=57.5名となって、統合前は垂水市で各学年1クラス、高畠町でやっと2クラス程度しかなかった/ないことになる。(実は人口も高畠町の方が多いんです、どちらも減少が続いているけど。)

うーーん。垂水市/垂水中央中と高畠町/高畠中(仮称)、立場はよく似ている。人口規模/生徒数も比較的近い。一方で鹿児島と山形、南と北、気候ももちろん全く異なる。姉妹校提携なんかにうってつけな感じです。でもそんな縁組、平気で結べるでしょうか?同一人物によって作られた二つの校章、かえって障害になりゃしませんかね。人口が垂水市<高畠町であることなんかより。

さても一体、どのようにしてこの作家は作り出されていったのであろうか。

(続く)

2014年1月21日 (火)

【番外編】総合芸術家の作り方:Formula 1(全国防衛協会連合会・大山ダム・上野南中学校)

これまた何度も取り上げて、いい加減うんざりという感じではあるのだけれど、見るたびに呆れてしまうのがこの作家のこと。どーしてもツッコミ入れずにはおられんくなるとです。

〔2009年3月〕
全国防衛協会連合会
ロゴマーク
工藤和久(青森県弘前市:イラストレータ)
全国防衛協会連合会

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尊い国土を守る人が大きく和をつくる姿で全国防衛協会連合会を象徴的に表現した。[赤]は日本、[青]、[緑]、[水色]は、陸・海・空の自衛隊を爽やかにイメージした。シンプルで、親しみやすく、印象的で多くの人々に長く愛されるロゴデザインである。また、縮小、単色、モノクロにも耐えられ、多用途な使い方が出来る。
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同連合会の創立20周年記念で作られたもの。いつものとおりの紋切りclicheだけど、detailがちょーっと変。「陸・海・空」なら「[緑]、[青]、[水色]」の順に書かなきゃいかんでしょうよ。それに、ここは「水色」じゃなくて「空色」と書くべきところじゃないのかね。あ、というより「[緑]、[水色]、[青]」なのか。

白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
     牧水

「しらとり」と読むのでありますかぁッ!

全国防衛協会連合会とは「防衛意識の高揚を図り防衛基盤の育成強化に寄与するとともに、自衛隊の活動を支援・協力することを目的とした民間の全国組織です。」とサイトに書かれている。
自衛隊員の再就職支援なんか行っているんじゃないかと思いきや、それは「自衛隊援護協会」の仕事でした(なんでも自衛隊自身や防衛省には職業紹介の権限がないそうな。天下りは姿を変えただけ)。どちらも本部は東京都新宿区にあります。
となると同連合会が何をしている団体なのかよくわかりません。おそらく、いやきっと、工藤にもわかってはいまい。よく読めば、工藤の文章は自衛隊そのものを想定したものである。

ここからがツッコミ本番です。国防の4年後には、水防のこんなものが出た。

〔2013年1月〕
大分県日田市
水資源機構 大山ダム建設所
大山ダム水源地域ビジョン ロゴマーク
工藤和久(48歳:青森県弘前市:グラフィックデザイナー)
大山ダム1

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大山ダムの[O]の文字を基調に笑顔で豊かな水源の森として夢づくりの未来へ人と自然の環をつくる姿で大山ダム水源地域ビジョンを象徴的に表現しました。[緑]は大地と青葉、[水色]と[白]はダム湖と水源を明快にイメージしました。
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何だかねえ・・・・・・そうきたか。ちょーーっと、いじった、感じぃ。ダムのマークだと聞けばご当地のことは何一つ知らなくても作れるデザイン。自分で「明快にイメージ」とか説明するのは、(総合)芸術家として恥ずかしいことでしょ?あわよくば選考側に言葉の呪文をかけるサブリミナルな効果を狙っているのだろうけれども、それも浅ましい。
あ、これも「ロゴマーク」でよろしいんですかね??

このダムは2010年に完成した後、試験湛水を行っていたもので、2013年4月からの供用開始を控えてこの公募を行ったもの。
ここで不思議なのは、同時に募集されたダム湖の名称の方です。むしろこっちがメインだったんだろう。近くの烏宿(うしゅく)山にちなんだ「烏宿湖」という珍しい名前がついた。大山ダムなんだから「大山湖」でいいじゃん。いえいえ、そういうわけにはまいりません。ご当地で同じ筑後川水系にある松原ダムのダム湖にも「梅林湖」という雅な名前がついてるんですから。

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(2013.01.20 大分合同新聞 抜粋)

ダム湖名とロゴマーク、決まる 大山町

「烏宿湖」は町内の会社員中嶋なるみさん(48)が命名。「烏宿山には烏宿(からとまり)神社があり、中腹の『御池』の水は大飢饉の際に住民を救った」とされることから名付けた。

大山ダム2
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ああ、ネーミングの方はきちんと筋が通っているんですね。カラーリングがなぜこれだけ違うのかはよくわかりません。デザイン補整の問題かもしれないけど、必ずしも緑系の方が最終版とも言い切れない気がする。だってこのロゴマーク、惜しむらくは同建設所サイトを見ても活用されてる様子が一切ないんだもん、確認できなくて。

さらに驚くべきことに、この2点の間に割り込んでくるものがある。

〔2011年8月〕
三重県伊賀市
伊賀市立上野南中学校
校章
工藤和久(青森県弘前市)
上野南中学校

そ、そんな・・・。校章だぜ!?成和中学校と丸山中学校を統合して2012年4月にできた新設校です。古き酒を新しき革袋に盛る;-)、生徒達が知ったら怒るだろうなあ。14歳のツルだったら間違いなく先生達に食ってかかったと思う。

(優秀作品)
安田照夫(東京都江東区)

(児童生徒部門 佳作作品)
北岡理沙(伊賀市立成和中学校(現 上野南中学校))

〔校歌歌詞〕
(最優秀作品)
本田秀雄(滋賀県大津市)

(優秀作品)
庄司義行(三重県四日市市)

(児童生徒部門 佳作作品)
山下高生(伊賀市立古山小学校)

え!?庄司が校章でなくて校歌で入賞している!それもまた驚き。

工藤には、実はこの↑セットと時系列でほぼ重なる仕事がもう1組ある。これがまたスゴいんですが・・・

(続く)

2014年1月20日 (月)

【番外編】懲りもせずまたも官兵衛(へそのかんちゃん・くろさき官兵衛タン)

新年1月5日から、めでたくNHKの新大河ドラマ「軍師官兵衛」の放送が始まりましたそうで。いまいちの視聴率らしいですけど。

官兵衛便乗キャラは今までこんだけ↓見てきて、さすがにもう出てこないだろうと思ってたんですが。

【その28】
 かんべえくん

【その41】
 ふくおか官兵衛くん

【2013.07.18「官兵衛乱立戦国時代」】
 くろかんくん
 かんべいくん

【2013.07.27「官兵衛乱立戦国時代 拾遺」】
 あ!官兵衛
 しろまるひめ官兵衛version

【2013.08.07「宍粟市も踊る官兵衛」】
 しーたん官兵衛version

【2013.08.08「誰も彼も踊る官兵衛」】
 みらっこ官兵衛version
 シロカン君&クロカン君
 はんべえ&かんべえ
 くろかんカフェ

甘かった!駆け込みで9月と10月に2点、できてたんです。しかも、既に「かんべえくん」@姫路市 by 塩崎歩美を擁する兵庫県と、「ふくおか官兵衛くん」@福岡市 by 福添あゆみを擁する福岡県で。乱は乱を呼び、乱立は乱立を生む。

兵庫県西脇市
西脇市「官兵衛の里」推進協議会
イメージキャラクター
へそのかんちゃん
こばやしあやき(西脇市)
へそのかんちゃん(原画) へそのかんちゃん(最終版)

ゆ、ゆるいよ・・・
「シンプルに」とか「縮小した時にも・・・」とかの云々かんぬんを全く超越したビジュアルです。デザイン補整で「左三つ藤巴」の紋所が加わって(もりおか歴史文化館にある実物にはこの家紋は入っていない)、姫路市「かんべえくん」や「ふくおか官兵衛くん」、山陽塩業「クロカン君」と同じになった。てか、この[赤合子兜]さえ盛ればナンだってカンだって官兵衛なのは今まで見てきたとおりっす。直江兼続の「愛字の兜」以上だわ。

これはどうやら公募ではなく委嘱らしい。こばやしあやきはご当地の女性イラスト作家。画風からして(童画と言ってよいと思う)、武将とかキャラクターとかの原画を依頼するには程遠い気がする(固定観念はいかんけど)。

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こばやしさんは、絵本の専門学校卒業後、叔母さんの居られる高田井町で創作活動を行っているとのことでした。可愛い女の子と生き物を童話の世界を見るように描いています。いつか絵本が創作できるように、材料を蓄えておられているとのことでした。
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愛称に「へそ」が入っているのは、東経135度線、北緯35度線が西脇市を通過しており、列島の中心になるとしてご当地が「日本のへそ」を標榜しているからです。

そもそも西脇市が官兵衛戦線に参入したのは、官兵衛がご当地で誕生したと読める古文書が見つかったという理由だけれど、正確にはこれは旧 多可郡黒田庄町(くろだしょうちょう)のことで、2005年10月に西脇市と合併したばかりのところ。何だかねー。
2013年4月、地元で「北播磨黒田官兵衛生誕地の会」が結成され、11月には古文書の見つかった荘厳寺(しょうごんじ)で「黒田の里 官兵衛まつり」が初めて開催された(主催:西脇市「官兵衛の里」推進協議会・北播磨黒田官兵衛生誕地の会)。言っとくけど「軍師官兵衛」の大河ドラマ化発表は2012年10月です。「おっとり刀」という言葉がどうしても頭に浮かんでくる。

もっとスゴいのは次のキャラクター。

福岡県北九州市八幡西区
軍師 黒田官兵衛と二十四騎黒田武士PR推進委員会
黒崎地区 黒田官兵衛 マスコットキャラクター
くろさき官兵衛タン
くろさき官兵衛タン

なんか、今までの官兵衛キャラの中でも一番ユルいんですよ、プロセスが。

地元企業や市民により同委員会が発足したのが2013年9月。遅っ!!キャラクター誕生はその翌月ですが、なんと;

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(2013.10.09 NHK 抜粋)

八幡西区のイメージキャラクターとして使われていた、たぬきの着ぐるみを再利用したもので、官兵衛が愛用した朱塗りのかぶとや、黒田家の家紋が入った陣羽織をはおっています。
黒崎地区は、江戸時代のはじめに官兵衛の息子・長政によって黒崎城が築かれたほか、地元の春日神社には「黒田二十四騎」と呼ばれる黒田家の24人の家臣がまつられるなど、官兵衛にゆかりが深いことで知られています。
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う、うっそぉ・・・(+_+)(+_+)・・・リサイクル。タヌキがお椀かぶって官兵衛に化けたんかいっ!赤合子兜、万能っす(爆)。

黒崎といえば北九州市有数の繁華街ですが、ぶっちゃけ、今世紀に入ってから大型商業施設の閉店・撤退が続き、否定しようのない凋落が続いている。お金も決して潤沢じゃないだろうとは思うんですけどねえ。

へそのかんちゃんもくろさき官兵衛タンも、ほんとに官兵衛ゆかりの地だと思うなら、もちっと段取り考えようよ。

願わくば、官兵衛キャラがもうこれ以上出てきませんように。

2014年1月19日 (日)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その77:きらりん)その3

(承前)

きらりんバリエーションには年中行事モノや区社協モノだけではなく、コラボバージョンらしきものもあるんです、が。

ちょちょらカラーきらりん
ちょちょらカラーきらりん1 ちょちょらカラーきらりん2

西区社協「サンセットオレンジきらりん」と同じく、ボラセン時代と区社協時代の2パターンがある。

ちょちょらとは何ぞや。新潟市中央区社会福祉協議会のキャラクターで、Basicきらりんより後に制定されたもののようです(詳しくはいずれ気が向けば)。そのカラーリングを模したDerivativeバージョンというわけ。

えーと、ツッコミたいのは要するに、中央区社協ではなんと新潟市社協とは別にキャラを作っちゃったという点ですね。
同様の状況は北区社協にもあって、イメージキャラクター「キータン」が2009年8月頃に制定されている。

あのさあ。やっぱこういうの、よくないと思うんだよねーー、戦略上。やりたい放題で作るだけ作っといて、後の活用や棲み分けはどうするのか。「ちょちょら」と「ちょちょらカラーきらりん」と中央区カラーに因む「ウォーターフロントブルーきらりん」の関係は、「キータン」と北区カラーの「ネイチャーグリーンきらりん」の関係は、どう考えたのか。きらりんは官兵衛キャラの乱立を笑えまい。
その辺りきっちり考えとかないと、濫造の故にかえって各キャラの(ひいては各団体の!)アイデンティティを稀薄化させるだけです。

こう見てくると、全国社協ゆるキャラコンテストで1位となったのも、吉だったのか凶だったのかわからなくなってくる。強過ぎる思い入れがキャラの未来を閉ざすこともあるだろう。
つまりはみんな、おらがキャラをただ作りたかっただけなのね。市社協側が暴走しちゃったのか、それとも中央区社協/北区社協側がなりふり構わずやらかしちやったのか、それは定かでないけれど。

コラボ物はまだあって。

アルビカラーきらりん
アルビカラーきらりん

これこそ社協やボランティアセンターの活動とは何の関係もない、サッカーJ1リーグ「アルビレックス新潟」のファンだから作っちゃったという勝手バージョンです(+_+)。
実は数あるバリエーションの中でこれが最も古く、作成されたのはまだ「きらりん」の愛称も決まっていなかった時。

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(2008.09.19)

マスコット、アルビversion!

ボランティアセンターのマスコット、「アルビカラーバージョン」です!
新潟市出身のデザイナーW氏がボランティアで作成してくださいました。
半袖のオレンジ色のユニフォームを着ています。
そして、手に持つ白い星は、白星=アルビの勝利を表しています!
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やっぱり、バリエーション展開に作者の塩崎一族は絡んでないらしい。
「アルビレックス」とは白鳥座のアルビレオ+「王」から来たチーム名なんですな。アルビレオがオレンジの星と青の星からなる二重星ということで、チームカラーは[オレンジ]と[青]、そして白鳥と雪から採られた[白]。オレンジと青は、日本海に沈む夕日と、日本海&信濃川をも表している(・・・だったらいちいちマイナーな天文蘊蓄ネタ咬ませないでストレートに「白き帝王」+夕日+日本海でいいじゃんよ)。
あ、ていうことはだ、このきらりんの[wand]の[星]こそ、白星じゃなくオレンジ and/or 青(実際にはかなーり黒に近い紺だけど(笑))でなくてはならんのじゃないっすか?

次のあたりになると、もうええからよしんしゃいと叫びたくなる。

パンダカラーきらりん
パンダカラーきらりん

「得に意味はないのですが、なんか可愛いでしょ。」(原文ママ)だと。

やるに事欠いたかとうとうこんなものまで。

AAきらりん
AAきらりん

ナンや?こんなものASCII Artの範疇にすら入らねえだよ。

うううむ。やっぱし絶対無自覚症候群/Absolute Identity Deficiency Syndrome。これって最近だんだん増えている気のするご当地キャラの暴走、例えば;

・「日本の侵略戦争が全てのはじまり」等のTwitter発言で活動停止に追い込まれた北海道山越郡長万部町「まんべくん」(2011年8月)
・テレビの相撲対決で「放送事故」として「内臓」を見せちまった東京都国分寺市「にしこくん」(2012年9月)
・オールナイトニッポンでの猥褻ワード連発で活動自粛の佐賀県鳥栖市「とっとちゃん」(2013年10月)
・千葉県船橋市「ふなっしー」をパクってキャラ界永久追放になっちゃった同県銚子市「きゃべっしー」(2013年11月)

あたりと同じ根っこじゃないのか。

結局、おらがキャラで何を目指すのかが見えていないなら、「注目されれば」「注目されなきゃ」の呪縛に絡め取られてどれだけあれこれ繰り出そうが、それは皮相なこと。(もしかしたら一番雁字絡めに縛られているのはツルかもしれないが。)
「バリエーション展開」=「粗製濫造使い捨て」≠「キャラクター進化」に陥ってしまう場合もあるだろってことで。

(続く)

2014年1月18日 (土)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その77:きらりん)その2

(承前)

2009年2月に新潟市社協のキャラクターになった後も、「きらりん」のバリエーションは出てますが、傾向と内容がだいぶ変わってくる。区の社協ごとのバリエーションが加わります。

新潟市東区社会福祉協議会
アクアブルーきらりん
アクアブルーきらりん1 アクアブルーきらりん2

新潟市江南区社会福祉協議会
スプリンググリーンきらりん
スプリンググリーンきらりん

新潟市西区社会福祉協議会
サンセットオレンジきらりん
サンセットオレンジきらりん1 サンセットオレンジきらりん2

2007年に政令指定都市となった新潟市には、8つの行政区それぞれにイメージカラーが決められている。これでもって、各区の社会福祉協議会のカラバリきらりんにしたわけ。

北区:ネイチャーグリーン
東区:アクアブルー
中央区:ウォーターフロントブルー
江南区:スプリンググリーン
秋葉区:フローラルグリーン
南区:ブリーズブルー
西区:サンセットオレンジ
西蒲区(にしかんく):ハーベストイエロー

新潟市行政区イメージカラー

さすがにこうなってくると、ちょっとノリでバリエーションを作ってみたともいかないようで、事務所のパネルに仕上げたり、「東区区民ふれあい祭」のギブアウェイに使ったり、ペパクラ(by 相場 聡:新潟県燕市)を用意したりという展開になってきます。「内輪」から「外向け」へ、「裏」から「表」への活用が増えてきた感じ。
2010年12月には「にいがた愛いっぱいキャンペーン」で8区社協8カラーのきらりん缶バッジ配布なんてこともやっていて、マニアには垂涎の品でありましょう。
因みに西区社協のサンセットオレンジきらりんに2種類あるのは、ボラセン時代(青)と区社協時代(黄)の違いで、よく考えるとこれも前者が「ちょっち作ってみた」ノリである証左という気がしてきます。

区ごとのイメージカラーなんて、こじゃれた趣向と取るか、これじゃ戦隊物ヒーローの名前じゃねえかよとツッコミ入れるかは、人によりますわねえ。
うーん、緑系が3色、青系が3色。もうちょい何とかならんやったもんかいな・・・。トータルカラーコーディネーションだけ考えて各区のアイデンティティは等閑にされたのか、それとも各区に選ばせたら緑と青に人気が集中しちゃったという単にありがちな事態だったのか。
基本南の人間のツルはすぐ「雪国なんだからフレッシュスノーホワイトきらりんなんてのがあっても面白いんじゃない?」とか思っちゃうけど、それは豪雪地帯に住んでる人の苦労を知らないからなんだろうなあ

「表」への転換点は、実のところ、2009年2月の社協キャラへの昇格以前、2008年11月にあったのかもしれない。「大津市ボランティアフェスティバル」の「全国社協ゆるキャラコンテスト」で、人気投票1位の「きらりde賞」に選出されている。その辺りから自分たちのキャラに対する意識も変わり始めたのじゃないかと思ったりします。

こうしてご当地団体系キャラクターとしての名と実とを整えていったわけだけれども、ツッコミどころはまだまだ盡きない。

(続く)

2014年1月17日 (金)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その77:きらりん)その1

(承前)

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【2014.01.13「杏物語 信州編」】

バリエーションを増やしたり、ペーパークラフトの設計図をサイトで公開したりといった地道な取り組みは、キャラクターに命を吹き込む上で大切と思います。
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ふむ、それは確かにそう。でも今回は、一歩誤るとこんなことになるという話で。

新潟市
新潟市ボランティアセンター マスコットキャラクター → 新潟市社会福祉協議会 キャラクター
きらりん
塩崎歩美
きらりん

いつもながらに[ハート]を盛ってこちらへ歩み寄る、defaultな社協系塩キャラです。没個性なのに一目で作者がわかっちゃうというのもある意味スゴいっす(笑)。ウサギっぽいけど種別は不明、性別はナシという、これぞ未確認小動物、[USA系]キャラクター。マフラーと[星]の[wand]の意味はわかりません。
「ボランティアの心(ハート)をモチーフに、出会う誰もがほんわかと優しい気持ちになるようデザインされている」のだそうで。

来歴を明らかにしておくと、新潟市ボランティアセンター(現 新潟市ボランティア・市民活動センター)の20周年記念のマスコットキャラクターとして2008年7月にデザインが、同年11月に愛称が決定され、2009年2月には新潟市社協キャラクターに昇格したという[藁しべ長者系]。
愛称の方は市民公募で、幼稚園児(仲山春香:新津第二幼稚園すみれ組)ほか7名の作品に決まったそうな。

このキャラクターにも、着ぐるみはもちろんのこと、ペーパークラフト(最近ではペパクラと言うらしい(@_@))や紙芝居、携帯用FLASH待受画面まであるし、そのいずれもがボランティア or 勝手作成によるもの。
グッズ関係だと、お定まりのボールペンやストラップやピンバッジに加え、ネクタイやらチロルチョコ(いわゆるDECOチョコですな)やらが作られている。そこらへん、外形的にはちゃんと整えられているんです。

デザインバリエーションも結構ある。まずはイベント事のバージョンからいきましょう。

赤い羽根きらりん
赤い羽根きらりん

お正月きらりん
お正月きらりん

節分きらりん
節分きらりん

バレンタインきらりん
バレンタインきらりん

ひなまつりきらりん
ひなまつりきらりん

「きらりんは、性別不詳・性別無し?なのでおひなさまにはなれません」とあって、笑えるというか、それでもひなまつりバージョンを作っちゃった執念を感じるというか。

冬場の行事に異常に集中しているのが不思議な気がしますが、それは、2008年11月に愛称が決定してから翌年2月に同社協のキャラになるまで、つまりボランティアセンターのキャラクターであった短い期間に作られているので(2009年10月の「赤い羽根」を除く)、そうした季節的な事情によるものです。
でもその割に「クリスマスきらりん」がないのも意外。お立場上、歳末にはサンタより赤い羽根の方が重要ミッションなんでしょうね。もっとも、赤い羽根共同募金をやっているのは社会福祉協議会ではなくて共同募金会だけど、つながりは深いんだろう(cf.【その15】)。

しかし季節のイベントでご当地キャラクターが衣替えをすること自体は、ごく当たり前にあるはず。そのどこが気に入らんというのか。
それは、このキャラの場合、内輪で遊んでいるだけと思えてならない点です。

上述のバリエーションが掲載されているのは、同ボランティアセンター/社協のサイトではなく、ボラセンスタッフblog。このキャラを(ひいては自分たちの団体の活動を)盛り上げていきたいというより、時節柄こんなのちょっと作ってみました、てな感じ。(記事の中には塩崎歩美のことは一切出てこないから、バリエーション展開に一族が関わった可能性は極めて低いと言えるだろう。)

軽いノリなのは構わない。新しいバージョンをblogで公開するのも構わない。けど、情報発信の性質の差を考えた場合、なんで本サイトに載っけないんだろうと思っちゃう。blogやtwitterって即時性/一過性のより強いものでしょ。
もったいないとは思わなかったのかな?着ぐるみなんかは無償だったろうけど、元は賞金つきで「公募」したわけじゃん。それって・・・

こんな風に思った理由は他にもある。実はキャラクター入りネクタイは「職員向け販売」(@_@)。ストラップも当初はそうだったんです。チロルチョコなんて「非売品」扱い、製作時期もバレンタインの2月じゃなく11月。「オータムジャンボ宝くじが1万円当たった」お金で作ったと書いてあるから(マジ)、そんなものを本気で突っ込んじゃイカンという気もしやすがね(笑)。

きらりんチロルチョコ

担当者が惚れ込まにゃ始まらんだろ、とかいう話とはちょっと違うんですよ。結局、何のために作ったの?どのように活用しようとしていたの?つまりは何がやりたかったの?ボラセンスタッフの方々は。そこが一向に見えてこないんです。

ツルは、「キャラクター」なる存在が、覗き込まれる対象、あるいは世相や時代の憑り代として、「鏡」の役目を負わされやすいものだと感じていたので、制定側がそれについて無自覚というのはいささか意外でした。

それでも社協キャラにスピード昇格したというのは、キャラクターという新しいモノがとにかく脚光を浴びてた時代ということになるんでしょうか。

(続く)

2014年1月16日 (木)

【番外編】マルチな才能の行く末(市立伊丹病院・米子医療センター・ていじゅうろう・小笠原返還40周年)

いろいろご当地キャラ/ロゴを斬ってきて、「テンプレート度合いが最も高い」と感じるのは、しかし、塩崎一族ではなく、中本竹識でもなく、駒井 瞭です。

まずはオードブルから。こんなことは日常茶飯事。

兵庫県伊丹市
市立伊丹病院
シンボルマーク
(優秀賞)
駒井 瞭(大阪府)
市立伊丹病院(駒井案)

鳥取県米子市
米子医療センター
ロゴマーク
駒井 瞭(大阪府東大阪市)
米子医療センター

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さわやかな[水色]映えて、太陽輝く日本海、中海、日野川、大山、弓ヶ浜半島、皆生温泉の豊かな自然を背景として、患者さまと職員が向き合った姿で、患者さま中心の医療提供とYONAGO(米子)の[Y]、MEDICAL(医療)の[M]、CENTER(センター)の[C]の文字をまごころ、信頼、安心、良質の医療をイメージする[ハート]に組み合わせ「米子医療センター」の明るく元気な姿をデザイン。
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前者は2010年の2〜3月募集で8月発表(次点だから趣旨コメントは非公表)、後者は2013年1月に募集告知されたもの。3年前の次点作品の自己パクりを何とも思ってはいないらしい。それにしても本当に読みにくい文章だ、何も語っていないにせよ。
ここに在るのは単なる「連想」であって、思いの強さ深さも発想の飛躍も見られない。定めし伊丹では[い]の字を[ハート]に組み合わせて云々と述べ立てていたことであろうよ。

前にも書いたとおり、駒井は「顔」入りのシンボルで質量ともに圧倒的な類似性を見せつける。「でも人気あるから選ばれてんでしょ」という声をも黙らせてしまう凄みさえ感じる。その意味で公募界の「闇」と「負」を最も背負った作家だと思う。詳しく知りたければ【2013.11.01「今様竹取物語」】をご高覧あれかし。

メインディッシュに移ろう。このところ取り上げてきたあれね。

岡山県備前市・兵庫県赤穂市・兵庫県赤穂郡上郡町
東備西播定住自立圏形成推進協議会
圏域バス ロゴマーク
ていじゅうろう
駒井 瞭(78歳:大阪府東大阪市:グラフィックデザイナー)
ていじゅうろう

これまたコメントが傑作です。

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東備西播の豊かな自然を背景として、圏域バスをモチーフに、運行ルートでの「であい」・「ふれあい」・「めぐりあい」のあい(愛)を[ハート]に、
[と]=右手、
[う]=頭・顔左上部、
[び]=頭部・顔部・ハート、
[せ]=頭部・顔部、
[い]=右手・顔左上部、
[ば]=右手・頭部・顔部・ハート・右足、
[ん]=頭部・顔下部
の文字を組み合わせ、「東備西播定住自立圏圏域バス」の明るく元気な姿を、子どもたちから高齢者のみなさんまで誰にでも一目見てよくわかり広く愛し続けられるよう少しキャラクター的にデザインし、21世紀をリードする「東備西播定住自立圏圏域バス」が力強く飛翔発展する勇姿を象徴した。
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ううう・・・ひょっとして本ボケ入り始めたのではあるまいか。圏域バスのマーク作るのに「圏域バスをモチーフに」やて(失笑)。
それに何より、絶対無理でしょ、このへのへのもへじ。図解まで添えられてて、ということは「解説」されなければ成立しないデザインってことですよね。

隠れ文字解説書

ここまで説明されたって、納得できる人がどれほどいる?ちっともきれいじゃないし。東備西播定住自立圏圏域バス愛称等選定委員会もそんなギミックに気を取られててはだめだよ。
「とうびせいばん」を背負った「ていじゅうろう」ってのも妙にややこしい。でも実は、図解をよく見ると「ていじゅうろう」でも成立することがわかります(爆笑)。

表彰式には、駒井はんは5年前の赤穂線利用促進の時と違って出席してます。今度は晴れての採用だったからでしょうか。

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(2013.11.08 赤穂民報)

来年3月からの本格運行へ向け、上郡と備前から赤穂を結ぶ「圏域バス」の愛称が「ていじゅうろう」に決定。ロゴマークも決まり、7日に加里屋の赤穂市役所で授賞式が行われた。
圏域間の移動手段として親しみをもってもらおうと東備西播定住自立圏形成推進協議会が公募。愛称357件、ロゴマーク38件が寄せられた。
愛称の“生みの親”になったのは、尾崎[引用註:赤穂市]の山本俊郎さん(69)。「柔らかい語感で、子どもから大人まで親しみやすいように」とすぐに思いついたという。ロゴマークは東大阪市のグラフィックデザイナー、駒井 瞭さん(78)が考案。青、赤、緑の3色で描いた笑顔のキャラクターで、デザインの中に「とうびせいばん」の文字を織り込んだ独創性が評価された。
いずれも本格運行に合わせ、停留所や車両のボディなどに表示される。高齢者福祉施設で働く山本さんは「公共バスはお年寄りにとっても大切な交通手段。より親しまれるバスに愛称が役立てばうれしい」とにっこり。駒井さんは「バスに乗って出掛けて、活発に交流してください」と期待していた。

山本俊郎&駒井 瞭
(圏域バスの愛称「ていじゅうろう」とロゴマークを考案した山本俊郎さん(左)と駒井 瞭さん)
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山本のコメントは確かに地元民の生の声だろう。「左」は間違いじゃありませんよ(^_-)。

しかし、ロゴマークなのに愛称がついたということにはやっぱり不思議です。全国的趨勢たる「シンボル/ロゴのキャラクター化」がここにも表れているのでしょう。
そもそもなんで単なるバスに愛称つけにゃいかんのだ、観光バスでもないのに。そう思ったアナタは頭が古いんです、ツルもだけど。

この「圏域バス」はご当地3市町を結ぶものですが、実は赤穂市と上郡町には各地域内にも自治体の関わるコミュニティバスがあるんですね(一方備前市では旧 吉永町地域に市営バスを運行している)。赤穂市には2005年10月から市内循環バス「ゆらのすけ」が。上郡町には2011年8月から事前予約型乗合タクシー「ほほえみタクシー」、2012年2月からコミュニティバス「愛のり号」が。ほれ、どれにだって愛称があるんですもん。「ゆらのすけ」なんて車体にキャラクターもついてるしさ。

ゆらのすけ

お金の問題もついて回るから利用率は重大問題なわけで、拡大のためにはニックネームでもキャラでもロゴでも使わなきゃってことですな。
因みに「ゆらのすけ」はかの赤穂四十七士の頭目、浅野家筆頭家老、大石内蔵助良雄の芝居における役名である大星由良助から来てるんでしょう。一捻りしてあるわけや。

ともかく、この圏域バスの首がつながったのはよかったよかった。けれど会見時にこんなことを言い出すKY記者がいたら、その場は凍りついてしまったであろうよ。

「これってあなたの6年前のこの作品の使い回しじゃありませんか、作家としてのモラルはどこにあるんですか」

〔2007年11月〕
東京都(郡なし)小笠原村
小笠原諸島返還40周年記念事業 シンボルマーク
駒井 瞭(72歳:大阪府東大阪市)
小笠原返還40周年

応募総数26点でも公募は公募

ということで、結局3回にわたった東備西播ネタ、とっぺんぱらりの昔まっこう。

2014年1月15日 (水)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その76:JR赤穂線利用促進・小田急多摩線延伸促進)

(承前)

【特別編】に書いた「東備西播圏域バス」が走り始めたのは2012年からだけれど、ご当地ではその4年ばかり前、2008年からこんな動きが起きていた。

岡山県備前市・備前商工会議所ほか
JR赤穂線利用を促進する会
ロゴマーク
塩崎栄一(大阪市生野区)
JR赤穂線利用促進

画質が激悪で相済みません(__)。それほど昔でもないのにどうしても画像が見つからなくて、さるファイルから抜いてきてしまいました。(cf. 2013.11.01〜03「今様竹取物語」)
でも、[車体]をプラットフォームに[制帽]を盛り付けて、[線路]で囲んで、ぐらいはわかるでしょ?それさえわかればOKの、ぶっちゃけテンプレ。どうせ、東備西播圏域バスと大差ありませんから。

赤穂線は、兵庫県の相生駅と岡山県の東岡山駅を結んでいる。簡単に言えば、山陽本線より南側(海側)を、東から;

相生市
 
赤穂市
 
<県境>
 
備前市
 
瀬戸内市
 
岡山市

と走っていて、起点と終点で山陽本線につながる。つまりは「東備西播」のローカル線です。

当時、備前市などが増便を求めてこの会を結成しており、公募したこのロゴマークと「赤穂線 あなたが応援 町おこし」by 菊川清人(備前市日生町日生)のスローガンをあしらった看板を、伊部(いんべ)、備前片上(びぜんかたかみ)、日生(ひなせ)の各駅に設置したりしたわけ。

ご当地ではこの頃既に人口減少やコミュニティ維持の問題が現実のこととして懸念されていたということでしょう。しかし残念ながら増便は認められなかったようで、逆に2013年3月16日をもって、赤穂線を全線通して運転される定期列車はなくなった。播州赤穂駅(兵庫県赤穂市)を境目として運転系統が分断されたからです。
東備西播圏域バスの誕生はこれと引き換えだったんですね

東備西播圏域バス

赤穂線の公募ではロゴマークの優秀賞に駒井 瞭(大阪府東大阪市)と中本竹識(福岡県北九州市小倉北区)が入っている。一方、東備西播の最優秀賞は駒井が獲った。ということは、お気づきでしょうか。

2008年10月の赤穂線利用促進では塩崎栄一が採用、駒井 瞭が次点。
2013年10月の東備西播圏域バスでは駒井 瞭が採用、(塩崎一族のPNと考えられる)フォルムが次点。

ぞくぞくしてきます。交替した形となったのは偶然だろうか?それとも塩崎作品があまりにテンプレだった(爆)から?それとも・・・。

赤穂線の表彰式は2008年10月18日、ご当地の「備前焼まつり」会場の伊部駅前で行われたというから、それなりに力は入っていたんでしょうか。けど、ロゴマークは11点しか応募がなかった。これに対して受賞は栄一、駒井、中本の3名。すげえ高確率、というよりこれではほとんど公募の名に値しないじゃないか。しかも授賞式には全員欠席してるし(スローガンの受賞者3名はジモティで全員出席)。
あのなぁ、まだ広島に移る前の中本はんは別としてもやで、大阪の塩崎はんと駒井はんは行ってやんなはれや(伏線)。新快速で一本やないの!しぶちん言わんと赤穂線にも乗ってきてあげぇな(--;)!たとえ副賞がICカード乗車券だけだったとは言え。

実は、栄一の「赤穂線利用促進」とフォルムの「東備西播圏域バス」の間に入る2013年1月にはこんなのもできてます。

神奈川県相模原市
小田急多摩線延伸促進協議会
マスコットキャラクター
ロマンくん
塩崎歩美
ロマンくん

ううう・・・何度目だろう、[車体]+[制帽]+[線路]、ハイ同じ。電車もバスも、栄一も歩美もフォルムも、基本変わりゃせんのよ。
でも何か変だ・・・おわっ(◎o◎)、線路の上を「歩いて」おるがなっ![矢印]は「延伸」を表しているそうですが、駒井 瞭よろしく屹立した男根のメタファがありますね、ってこらこら
愛称の「ロマンくん」はやはり公募による本沢直人(相模原市南区)の作品ですが、小田急の特急「ロマンスカー」から来ているのだと思う。率直に言って安直。ちなみに読み方は「ろまんくん」ですよ、間違えないでね

これ、同協議会の設立10周年記念なんだそうで。それってのもすごく微妙・・・(笑)。ある意味、JR赤穂線利用を促進する会 ――今はもうないと思うけど―― にとっては羨ましい、いや妬ましいことだったでしょうね。

(続く)

2014年1月14日 (火)

♦♠新春スペシャル企画♥♣️【特別編】お正月だよ!PNまつり!! 第7弾(東備西播圏域バス)

(承前)

 

既に睦月も半ばにぞ入りてしまひにけり、でありますが、ちょっと拾遺的ながらこんなものを。

 

2013.10.27に【PNまつり 第5弾】として「フォルム」なるペンネームを取り上げましたが、そのわずか3日後、10.30にこんな発表がされておりました。チッ。

 

岡山県備前市・兵庫県赤穂市・兵庫県赤穂郡上郡町(かみごおりちょう)
東備西播定住自立圏形成推進協議会
圏域バス ロゴマーク
(入選)
フォルム(67歳:大阪府)
東備西播圏域バス

 

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地域の皆様の便利な足「圏域バス」をわかりやすく親しみをもっていただくように明るく描いた。
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熱意のまるで感じられないコメントは、やっぱり塩崎一族ならではのものだろう。[車体]をプラットフォームに、[制帽]を盛り付けて、[輪っか]っぽいのがあったりして、ああ、このあたりに似てますねえ。↓

 

【その14】
大分市
大分バス株式会社
マスコットキャラクター
(優秀賞:サブキャラクター)
福添あゆみ
〔2010年8月〕
大分バスキャラクター

 

【その14】
秋田県鹿角市
花輪線利用促進協議会
JR花輪線全線開通80周年 イメージキャラクター
彩(さい)ちゃん
佐藤秀子(大阪市)
〔2011年7月〕
彩ちゃん(最終版)

 

どうやら塩崎一族の場合、列車やバスのキャラクターとなるとデザインのテンプレ度合いが高くなって、表現幅も一層狭まるようです。さもなくば、八俣遠呂智/八岐大蛇を用いた「おろっち」のように別アイテムに持ち込んでかわすわけだ。(cf.【その25】)

 

でも、あれれ?これって「ロゴマーク」なんですか?「キャラクター」ではなくて?この連載をずっと書いてきて、いまだに「キャラクター」「シンボルマーク」「ロゴマーク」あたりの違いがよくわからないの。

 

おそらく最近の流行りとしては、(民間企業を除けば)純然たる「ロゴマーク」は減少していて、[顔]と[愛称]を持ちキャラクター性を帯びたデザインにシフトしているんでしょう。それを「シンボルマーク」と呼ぶのも、「キャラクター」で一括りにするのも、どうなんだかなあと思いますけど。
ついでに言えば、何でも「ゆるキャラ」呼ばわりするなどもってのほか。リテラシー最低。「ゆるキャラだけどゆるくない」とはネット上でしばしば見かける表現だけど、出発点が間違っている(やっぱりみうらじゅんの罪は重い)。

 

ツルはこのシリーズを書き始めるに当たってこれをどう表現するかだいぶ悩みました。「公募キャラ」では微妙に狭すぎるだろうし(当初は塩崎一族にデザインを委嘱するような場合もあると思ってたの)、「ローカルキャラ」「地域興しキャラ」もなんか違うし、「着ぐるみ」はより低次の概念だし。その挙げ句、「ご当地キャラ」としました次第。「全国ご当地キャラニュース」とかぶっちゃったのは偶然ですが、平成の大合併後に「ご当地」という言葉が表している概念は新しいものであるような気がする。「ローカル」や「ふるさと」とはどう違うんだろう・・・。

 

東備西播定住自立圏

 

閑話休題。「東備西播定住自立圏」というのは、ご当地3市町が県の枠組みを越えてまちづくりを進めようという構想らしい。「地方の人口減少や急速な少子高齢化を背景に、人口定住を促進していこうとする、広域的市町村連携の新しい仕組み」と説明されている。
つまりはそうでもしなければ、コミュニティ機能を確保できない、経済基盤やご当地の誇りも崩壊しかねない、けれど諸般の事情から合併はいたしかねる。そういう背景なんだと思います。

 

東備西播圏域バス バス停

 

この圏域バスは、2012年2月から2ルートの「実証運行」が行われていた。2年以内と期間を区切って、継続していけるかどうか検証していたわけ。課せられた基準は「市町域を越える利用者は1便当たり1人超、かつ、1日当たりの総利用者は16人以上」・・・。それだけのことなんですが。
で、検証の結果めでたく2014年3月からの本運行が決定し、2013年10月にロゴマークと愛称をそれぞれ公募で決めた次第。

 

こうしたコミュニティバスの仕組み ――あるいは自治体によるそれへの財政支援―― は、このところ非常に増えたと思う(伏線)。多くの場合、通常の路線バスより小型のマイクロバスやワゴンで運行されている。民間のバス会社は経営効率化の名のもとに不採算路線をビシバシ切っているし、田舎住まいの爺ちゃん婆ちゃん(予備軍も心すべし)は病院通いはおろか日常の買い物にも事欠く有り様。「移動手段の確保」でさえ地方行政の重要なミッションになってきたようです。急速な高齢化を迎え、自家用車に頼り過ぎないインフラ作りが急務ということなのでしょう。
中にはもちろん、続かなくて廃止されてしまうものもあるだろう。今や日本は少数の都会と大多数の過疎地だけになりつつあるのね。(But, コミュニティバスなんて地方の市町村での話でしょと思ったら大変な心得違いで、東京23区内にだって多くあります。)

 

「定住」を謳うからには、ご当地でもアレをやっているだろうと思ったら、ドンピシャだった。3市町とも形態の違いはあれ、それぞれ婚活イベントを開いています。これも広域化しちゃえばよいものを。効果のほどはわからないけれど。

 

うーん、日本の未来を論じるblogではないので(笑)、今日は取り敢えずここまで。でも、この東備西播圏域バス、まだまだ深いものがあったんです。それはまたの機会に。

 

(1点だけじゃ、「まつり」とは言えないかな?もう少し待っていればまた現れ出てくるのかしら😆)

 

(多分続く)

2014年1月13日 (月)

【番外編の番外編】杏物語 信州編(ヤシロウ)

(承前)

埼玉県児玉郡美里町のミムリンで、もっと気になったのがこのバリエーション。

ミムリン86
ミムリン86

行田市にある埼玉(さきたま)古墳群に因んで、というわけでしょうか?やや離れてるけど。でも、これってあれじゃないか。

長野県千曲市
屋代駅前商店街
シンボルキャラクター
ヤシロウ
竹内裕矢(長野県松本市:news設計室)
ヤシロウ

ご当地の「森将軍塚古墳」が造られた1600年前の衣装と、[みずら]に結った髪に、顔は[アンズの蕾]、鼻は[アンズの実]。うーん、おしゃぶりに見えてしょうがないけど、こちらも一般受けしそうなキャラクターとは言えるだろう。ただし、ご当地キャラに武器を持たせたのはどうなんだという気はしないでもないが。
この作者の竹内も若くて、当時27歳の建築士。授賞式にはちゃんと出席してます。因みに、この時に次点としてサブキャラクターとなったのが【その46】で取り上げた塩崎マサヨの「やっぴぃ」(他1点)。
今やこんなBadなバリエーションまでできていて、[夜死露]の字が笑えます。

ヤシロウBad

ツルは初め、(A)ミムリンがヤシロウを真似る意図をもってこのバリエーションを作ったのだと思った。でも逆に、(B)ミムリン86をパクってヤシロウが作られたということだって十分考えられるわけです。
ミムリンは2009年11月決定、ヤシロウはそれより新しい2011年1月の決定(募集は2010年8月〜10月)。一方ミムリンのバリエーションの制作時点まではわかりません、残念ながら。

ただ、仮に(A)だったとしても、それは必ずしも江黒本人が竹内作品を拝借したということには直結しないはず。「ぶるっぱ&べりっぱ」でも書いたけれども、バリエーションを増やしていく時に、やはり原作者が携わるのか、選考側から依頼された第三者スタッフが担当するのかがよくわからない。真正塩キャラでも福島県郡山市「がくとくん」by アユミの妹分「おんぷちゃん」の追加作成がそうだった(cf.【その7】)。多分どちらもあるんでしょう。

あるいは、仮に真実が(B)だった場合、ヤシロウの採用を取り消すに足るものなのか ――― 難しいですねえ。

そうは言っても、やっぱり誰かのパクり、もといインスパイアはあったんだよね??どちらの場合も。

バリエーションを増やしたり、ペーパークラフトの設計図をサイトで公開したりといった地道な取り組みは、キャラクターに命を吹き込む上で大切と思います。ショートアニメを掲載するなんてことも効果的なんでしょう。(あるいは「すがもんのうた」を作るなんてのもあるだろうけれども、これはまたちょっと別の問題がありそうに思うので、気が向いたらまたいつか。)

お金かけて着ぐるみ作ってイベント事に貸し出したり、ストラップなんかのグッズを販売したりするばかりがキャラクターの活用法だとは決して思わない。
美里町サイトには100種近いミムリンのバリエーションがあって、しかもそれぞれ線画バージョンまで用意されている。初め「?」と思ったけど、小さい人たちの(大きい人たちも可)塗り絵用だったんだ。

けれど、そこにもやっぱり類似とか盗作といった問題は絡んできちゃうんですね。

2014年1月12日 (日)

【番外編の番外編】ブルーベリー物語 埼玉編(ミムリン・すがもん)

(承前)

遠野とは違う意味でびっくりの連続なのが、もう一つのブルーベリーキャラ。

埼玉県児玉郡美里町
マスコット
ミムリン
江黒公美子(児玉郡上里町)
ミムリン(最終版)

実はご当地こそ[ブルーベリー]の作付面積日本一。てなわけで、美里村が誕生して55周年、美里町に代わって25周年を迎えるのを記念して、2009年7月まで募集、同年11月に決定された(伏線)デザイン。作者の写真を拝するに麗若き女性です(ひょっとしたらプロのアニメーターかもしれない)。

こちらも愛称は別途公募によるもの(by 為我井敏雄@東京都目黒区)なんですがね。

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美夢里(みむり)、美里町の未来、夢のあるキャラクターをイメージしました。
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ひょっとしたら「美夢里」→「ミムリン」と[ン系ネーム]にしたのは制定側だったのかもしれません。

鳥の種類は明らかにされておらず、ついでに言うとご当地では「町の鳥」は制定していない。原案の眠そうなお目々はデザイン補整でパッチリしちゃった。

ミムリン(応募案)

万人受けする可愛らしいキャラだとは思いますよ。しかしだ。残念ながらこれと似ていると言わざるを得ない。

東京都豊島区(としまく)
巣鴨地蔵通り商店街
イメージキャラクター
すがもん
すがもん(現行版)

鳥はもちろん[カモ]。けど作者名を含めて不明な点が多いかも、東京のご当地キャラなのに。公募されたのかどうかもわかりません。
2009年6月には「すがもんTシャツ」が作られていて、これはミムリンの募集よりわずかに早い。さらに、2007年7月の「新潟県中越沖地震被災者支援 チャリティー盆踊り」(東京のお盆は7月だからね)の時には既に、少し異なるデザインで存在していた、しかもペアで。いつ今の姿にリデザインされたのかはこれまたわかりません。

すがもん(当初版)

いろいろ妄想していると、ミムリンの目が変えられたのはすがもんとの相似を避けたかったのではないかとか、あるいは江黒はすがもんもデザインしたのではないかとか、そんな風にさえ思えてくる。軽々なことは言えませんが(新年の戒め)。

埼玉県には鳥のキャラが結構あって、美里町ミムリンの他にも;

・埼玉県「コバトン」
  ← 県民の鳥 シラコバト

・三郷市「かいちゃん」
  ← 市の鳥 カイツブリ

・比企郡鳩山町「はーとん」
  ← 町の鳥 ハト

・越谷市「ガーヤちゃん」
  ← 越谷産長ネギ&厳選合鴨肉の奇跡のコラボ「こしがや鴨ネギ鍋」

なんてものが目白押し。鳥のキャラだから、どれもなんとなーく似たり寄ったりにはなってくるんですよね。ガーヤちゃんはカモのキャラクターです、因みに越谷市の鳥は埼玉県と同じくシラコバト。
埼玉県と言えば全自治体にキャラクターを置くというご当地キャラ王国だけど、そろそろ収拾がつかなくなってきてるんじゃないの?

ツッコミどころはまだまだ。見つけちゃったんですよ、こんなバリエーションを美里町サイトで。

ミムリン46
ミムリン46

塩キャラばかり見過ぎた弊害かもしれないけど(笑)、これ↓との相似を感じちゃう。

(2013.10.27【PNまつり 第5弾】)
株式会社山田養蜂場
キャラクター
フォルム
山田養蜂場

これは2009年の5月か6月に作られているから、ミムリンより半年ほど早い。偶然の一致なのだろうか?そもそもが、「鳥」のキャラに「ミツバチ」の格好までさせた発想やシチュエーション、必然性はどんなものだったのかしらん。(お固いのぅ)

(続く)

2014年1月11日 (土)

【番外編の番外編】ブルーベリー物語 遠野編(ぶるっぱ&べりっぱ)

2013.11.02の【今様竹取物語:中の巻】で、遠野ブルーベリーの森のキャラクターと埼玉県美里町のマスコットのことを、リサイクル/パクりの例として取り上げましたが、この二つの公募の採用作品にまつわる経緯もなかなかツッコミ甲斐があるんです。

まずは遠野からまいります。採用されたのは次のペアキャラ。

岩手県遠野市
遠野ブルーベリーの森株式会社
遠野ブルーベリーの森
キャラクター
ぶるっぱ&べりっぱ
野口順子(茨城県)
ぶるっぱべりっぱ

遠野物語の里にふさわしく、[河童]を[ブルーベリー]に重ねた[ペアキャラ]で、ペアの関係は双子という設定。ご当地キャラにはやや珍しく、輪郭なし・グラデーションありなのが目を惹きます。

本公募ではデザインと愛称が別々に募集された。それはよくある話だけれど、しかし。実はこのキャラ、2008年4月のデザイン決定の時点では単体だったんですよね。

ぶるっぱ(当初案)

選評にも;

「遠野のカッパとブルーベリーの精の間に生まれたというキャラクター設定で、可愛らしさの中に遠野固有のメルヘンの世界が表現されている」
「キャラクターの表情に遠野人らしい、素朴で控えめな人間性が感じとれる」
「品位と独創性がある」

などとあるものの、「双子」とはどこにも出てこない。(ツルは、「遠野人らしい、素朴で控えめな人間性」という点を挙げた審査員はさすがだと思いました。)

これが双子になったというのが、同年9月の愛称決定の時らしいんです(@_@)。

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双子という設定が意表を突き、多数の応募作品の中から最優秀作品に選ばれたのは群馬県の長谷川雅秀さんの「ぶるっぺ」と「べりっぱ」。
「ぶるっぺ」+「べりっぱ」=ブルーベリー。
二人の名前を合わせて[ブルーベリー]ということがわかるという、可愛らしいネーミングです。
「人口減少の時代に双子は明るいアイデアである」と、満場一致で決定しました。
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ほえーー、なんと大胆な。キャラクター自体のあり方をも変えてしまうネーミング!なんで果樹園のキャラクターが人口減少にまで気を回さにゃイカンのだ。しかもですよ、「満場一致」で決めたはずが、いつの間にか;

「ぶるっぺ&べりっぱ」
 ↓
「ぶるっぱ&べりっぱ」

になっちゃった(苦笑)。よく考えもせんで安易に流れて決めてしまうけん後で裏方が苦労するったい(苦言)。ま、微妙に覚えにくいし(絶対「べりっぴ」とか呼ばれっしまうばい)、林家ペー&パー子のごたるけんね。

でも、たまがるとはまーだ早かとよ。この経緯、どうやら作者の野口は関与していなかったらしいことが本人サイトから窺えるんです。

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萬絵屋 犬小屋兵衛門

遠野ブルーベリーの森 キャラクター募集にて★最優秀賞★をいただきました。
双子の『ぶるっぱ』『べりっぱ』(べりっぱは原型が…ごにょごにょ…)として活躍することが決まっております。
ぶるっぱ、べりっぱをよろしくお願いいたします。
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うへえーー、そういうもんなん??クリエイターの地位、低うぅ。そりゃ、著作権は移転しちゃうだろうけどさ、別個体を作ってペアを組ませるとなると話が別でしょう?改めて原作者に依頼するのが筋なんじゃないの??
このサイトをよく読むと;

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萬絵屋 犬小屋兵衛門とは
イラストレーター野原 惇(のばら じゅん)の屋号であるとともに自身のWebサイトの名称でもある。

萬絵屋とは?
「よろづえや」と読む。
萬絵は野原の造語。野原の創り出す、ジャンルに囚われない二次元作品のこと。

なぜ犬小屋兵衛門?
犬小屋は犬好きの野原が屋号にどうしても犬を入れたかったためについた。
当初「犬屋」の予定であったが、姓名判断等を参考にして「犬小屋」に。
「兵衛門」は「ひょうえもん」と読む。野原の生家の屋号に由来。
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とあって、自分を表すのに、メタボっぽいおっさんアザラシがタバコをふかすイラストまで使ってある。サイト上の人格としては男性らしいのでこれまた意表を突かれました。

野原惇(野口順子)

しかしblogやTwitter等を覗くと牛久市在住の女性イラストレーターで、別にTransgenderというわけでもなく、2012年にウェディングドレスを着ています。

ご当地キャラにもいろいろ大人の事情があるのね。

(続く)

2014年1月10日 (金)

もう一つの新年の戒め;ロッテ/2014/丑年で三題噺の初笑い

松も取れてしまいましたが、2014年元日、ネットでちょっと見かけた話題で。

お菓子のロッテが自社サイトにこんな年始の挨拶を載っけた。

ロッテ2014年年始のご挨拶

あちゃー、丑年・・・。初笑い。お正月ヒマしてたDQNがさっそくこれに食いついた。

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面白いね。
漢字読めないチョンが「午年(うま年)」を「牛年」と勘違いして「うしどし」と入力して
「丑年」と出てきたのをそのまま使ってしまった。ってことだな。
漢字のわかるまともな日本人のいない会社なんだね。

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朝鮮人ってリアルに漢字読めないんだなw

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ちょっと調べたら韓国どころかベラルーシにも干支がある模様
しかし韓国も午年だったw

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これじゃその内材料も間違えたりしないだろうか心配になるな
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うーむう。「午」と「牛」は確かに似てるけど、「うしどし」と入力して平気顔ってことがあり得るのかね。しかし若い世代だと十二支をそらで言えないDQNも結構いるからなあ、日本人でも。漢字で「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」と(手書きで)書けない者となればもっと増えるだろう。これって、年賀状(メールじゃなくて葉書の!)を書かない層と相当かぶっているのじゃないかしらん。

それにしても社内のチェック機能は働かなかったのか。そのことはやはりネットでも指摘されている。

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こういうの最終確認とかしてないんかねー
ありえない間違いだ

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社内で何人も見てるだろうに、一人も気づかないところにロッテ社員の知的レベルがうかがえるな。
外注という言い訳は聞かんぞ。
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そらそうですわ。
ここは韓国ベースの企業だからこそ間違えちゃいけないところだったんだよね。ネトウヨも一層騒いだわけです。

そんな中で最も秀逸だったのは次のコメント。

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webデザイナーに与えられた指示が
「閲覧数を増やせ」だったら
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うおぉぉぉっ!!その考えがあったか!あはははは。

人間のやることだからミスはしかたのないこと。You are only human.
ツルも仕事で、役員の姓に「檀」とあるのを「壇」と書き間違えたままサイトに載っけちゃったことあるし、「Manager」を「Manger」としてたこともある(どちらもスペルチェッカーで挙がってこないんです;言い訳)。和文版で「10億円」ってのを英文版で「10 billion yen」として平気だったこともあったっけ。
もっとヒドかったのは、「○○電機」と「○○自動車」と得意先の社名を書き間違えたことで(隣の部署でだけどね)、この時はネットで社外から指摘されて初めて気がついた体たらく。あれはさすがに恥ずかしくて言い訳ができなかった(それは今、ロッテの社員さんたちも同じ気持ちでしょう(T-T))。
でもミスってそんなもん。

ロッテの当該記載は1月1日の午後3時半〜5時の間に削除されたらしい。ちょっと時間かかり過ぎのような気がするけど、元日のこととて人員手配に手間取ったのでしょう。そこは理解する。

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確認する人も韓国人なんじゃね?
社員呼び出しで修正するだろ
ただ絵の差し替えって準備して無いだろうから
その画像を出ないようにすればいいな
または別の画像に置き換える
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現在同社のサイトにこの件の痕跡は何もありません。単なる削除のみでお詫びも何もないというのもちょっとどうなんでしょう。
実害のない記載だったからそれでいいと考えたのでしょうが(もちろんアクセス解析等もしたろうけど)、一般化して言えば、そのような実質的ポイントを基準にするのはかなり危険なことだと思う。せめて「公開されたということ」がどの程度客観的形式的な拡がりを伴うものであったかを基準とするのでなければ、階段を踏み外してしまう危険がある。
ツルに言わせれば、2014年が始まって半日以上経っているのだから、公開の実体は十二分にあって、本来は削除に関して何らかのコメントを残しておくべきです。15分で気づいて引っ込めたのとは違うでしょ。情報発信におけるしくみ作りの問題として。
ここにあるのは近視眼的な事勿れ主義であって、隠蔽の温床になりかねない問題を孕んでいる。まぁそうは言っても、重要な情報かどうかというより、あんまり恥ずかしいミスだから「なかったことにしたい」という気持ちはわかりますがね。

あ、うちの会社ですか?もちろんロッテと同様にだまてんで直しましたけんども(おいっ!)。

付言すれば、これはもちろん企業の国籍の問題では決してない。この国の名だたる大企業、雪印乳業(2000年)や西武鉄道(2004年)の事件、昨年のカネボウ白斑、昔から繰り返される食品偽装の問題と何ほど違うのか。
誤謬 is one thing, 隠蔽 is another.

ちなみに今年のお正月にはこんなこともあったそうな↓。

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エプソンダイレクトのホームページも笑えるぜ。

謹賀新年 平成二十五年。
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因みにエプソンは外資系じゃありませんよ。

そうだ。外資系といえば、10年以上前、確か某欧州車メーカーだったけど、テレビCMの画面で「直噴式エンジン」を「直憤式エンジン」と書いていたのを見た記憶がある。ツルは自分の目がどうかしたんじゃないかと思いましたよ。エンジンがじかにいきどおってどうすんの(笑)。
これも一日か二日で何事もなかったかのように修正されてオンエア続いてましたっけ。でも当時、Wikipediaのその会社の項にこの件が出ていたんだよね。どこの会社だったか、もう思い出せないけど。どなたか覚えてませんかね??

正月や 浜の真砂は 尽きるとも
世に過ちの 種は尽きまじ

2014年1月 9日 (木)

新年の戒め

米国のCNNが、「ツィートする前に考えよう」と題したオピニオン記事で、「人生を台無しにしないための8ヵ条」なるものを紹介しているそうな。

(1)ツィートを読み返す

(2)人種差別的なツィートは即失業

(3)匿名でもいつかはばれる

(4)ツィートは削除できない

(5)有名人でなくてもクビになる

(6)冗談でもクビになる

(7)(特定の人に送信する)ダイレクトメッセージと混同してはいけない

(8)不安なら(投稿しても解雇されないか判別してくれる)アプリを使おう。

何やら、メディア関係の会社の幹部が人種差別的書き込みで職を失ったとかで。
8番目は宣伝臭いですけど。

いろーいろ、インスパイアされるわぁ。他人事ではないや、肝に銘じよう!


【おまけ】
ツィート/tweetって語はもともと、「小鳥の(甲高い)さえずり」のことですね。

オーディオ、特にホームオーディオで、3wayスピーカー、つまり一つの筐体/enclosureの中に低中高3種類のスピーカーユニットがついているものの場合、高音域を受け持つユニットをツィーター/トゥィーター/tweeterと呼ぶのはここから来ている。
中音域はミッドレンジ/midrange、低音域はウーハー/ウーファー/wooferね。こちらは「大型犬やオオカミ、ライオン、トラなどの唸り声」を意味する語だそうな。

ミッドレンジは別名スコーカー/squawkerと言って、これは「ネズミやリスの鳴き声、あるいはカラスの鳴き声」だとか。でも確か、イメージがよくないとして(少なくとも?日本では)この名はあまり使われず、ミッドレンジの呼び名の方が一般的だと思う。

実はツルは今の今まで、スコーカーというのはスーパーツィーター(4wayの場合の最高音域担当ね)の別名だとばかり思い込んでました。ソレ系の会社の社員としてめっちゃはづかしいワ。これも戒めとしよう。ちゃんちゃん。

2014年1月 8日 (水)

【番外編】リサイクル品の作り方(ミ守君・田沢湖高原温泉郷三兄弟)

前回考察したところを最近の実例に当てはめてみると。

もう何遍も何遍も見てきた作家だけど・・・

広島県江田島市
江田島市社会福祉協議会・江田島市見守り支援ネットワーク推進協議会
えたじま見守り支援ネットワーク キャラクター
(応募作品)ミ守君
中本竹識(広島市)
ミ守君

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見守る→「身を守る」で[牡蠣]の殻をモチーフにデザインしました。頭部に分かりやすく[ハート]をあしらいました。
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「応募作品」(=ボツ作品)なのに「ミ守君」という愛称がついているのは、デザインとワンセットの募集だったからです。「見守る」⇔「身を守る」では行為の主体と客体が転換しちゃってる気がするし、「身を守る」⇒「牡蠣」となる理屈もわかるようでようわからん。あっ、それがクリエイターの自由な発想、本領発揮ということかいな(笑)。
カキはご当地の「市の魚」になってるんですよね。魚じゃねえぞ、とは思うけど、こうした例はいくらかあるようで、例えば北海道函館市の市の魚はイカ。魚介類なら、海の幸ならOKって感じでしょうか。
ばってんくさ。とにかくサトイモキャラにしか見えんとたい。なんでカキがこんな色しとると?

これがあるのであれば、あれもやはり同じ作者だったと考えるのが順当であろう。

【2013.12.02「ああ、お手上げ〔おまけ〕」】
埼玉県久喜市
ヒューマンソーシャルハーモニー研究所
双葉郡ブランド ふたば
キャラクター
(応募作品 282)
双葉郡ブランド キャラクター282

調べてみると、「ふたば」の発表が2013年6月、「えたじま」の募集がその4ヵ月後の10月(頃)。つまり、甲はA市への応募時点で、「B市の結果がボツだった」ことを知っていたと考えられるわけです。ということは、これは;

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事案(イ):デザイナー甲はA市のキャラ公募に際して、過去に自己が/乙がB市のキャラ公募に提出し、B市において採用作/次点作として入賞した作品「Bたん」と同一/類似の作品「Aぴー」を提出した
-----

といったケースで、かつ;

-----
事例(イ)において、B市に応募していたが採用も次点入賞もならず、単にボツになっていたという場合はどうなのか。
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という境界事象に向き合うことにもなります。

ツルは、ちょっと前の公募のボツネタを(手直しして?)使い回すなんてのはやっぱりアカンと思う。くどいようだけれど;

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(1)甲/丙はA市/C市の公募で知的生産を全く/ほとんど行っていない。自分の過去の作品/他人の作品に乗っかってるわけです。
-----

という点が未解決だと思うから。(四半期末毎にご当地公募の結果が出ることが多いことを勘案すれば、「4ヵ月後」というタイミングは絶妙だったのかも。)

けれど、同じ時期に同一/酷似作品を見境なく送りまくったという、前回挙げたいちき串木野市章 vs 伊勢市章の小島貞彦のケースや、伊勢市章 vs 八幡平市章の三好健一のケース(cf. 2013.12.28「さよなら三角、まねしてまん丸 ≪三≫」)よりはかわいいもんかしら。いやいや、やっぱり五十歩百歩、目糞鼻糞の世界だ。

ただ、ふたばの公募が通常と少し違っていたのは「応募全作品の公開」です。ロゴ部門 646点、イメージイラスト・キャラクター部門のうちイメージイラスト 17点、キャラクター 295点を選考段階から公開してweb投票にかけたわけ。
(全点公開は例えばえたじまでも八幡平市でも同じだけど、えたじまは応募総数28点らしいから実務の上でだいぶ具合が違うし、八幡平市の場合は上記のとおり伊勢市との間で募集〜決定の時期がほぼダブっていたという状況が異なる。)

ツルは、応募全作品の公開というのは、それ以降、作者側・応募側を心理的に縛る効果があると思っていたんです。(全点を人気投票に持ち込むことの是非は全く別の問題で、それが優れているとは決して思いませんが。)
ばってん、甘かったごとある。過去作品がweb公開されとろうが何やろうがお構いなしに、コピペのテンプレ仕事を続ける輩は絶えることがないとかいな。
つまるところ、「自作・未発表」という条件の「発表」という言葉を、「作者側による(作品の)発表行為」と捉えるか、「選考側による(結果の)発表行為」と捉えるかという違いなんでしょうか。

・・・とまあ、真面目にしこしこ考えたわけですが、ツルは海千山千の相手を見くびっていたようです。リサイクルの天才たる中本竹識には、上記2点より2年ほども前、2011年9月に発表されたこんな作品まであったのだ。

秋田県仙北市(せんぼくし)
田沢湖高原旅館組合
田沢湖高原温泉郷 マスコットキャラクター
(審査員特別賞)田沢湖高原温泉郷 三兄弟
タ〜ちゃん&コ〜ちゃん&オ〜ちゃん
中本竹識(福岡県)
田沢湖高原温泉郷 三兄弟

作者の居住地が「えたじま」と違っているのは、2013年3月頃に福岡→広島へ転居したからと考えられます。が、そんなことはどうだっていいですよねこの際。

「ふたば」は田沢湖の「コ〜ちゃん」に[ハート]を盛っただけ、「えたじま」は逆に[ハート]を抜いて[牡蠣]を被せただけではないか。手抜きだとかいうレベルを超えている。

コ〜ちゃん

こういうものを繰り返し平気で出せるのを破廉恥というのではないのか。こういう者を公募界に放置しておいてよいのか。

 答 は 「 否 」 で す 。

デザイナー村で「これってマズいんじゃない?ウフフ」で済むことだとしても、世間一般に通るものではない。気持ちが入っていかないこともあるさ、というのは甘えです。そんな時には公募への応募自体をやめるべき。依頼された仕事なら話はまた別でしょうが。

ああ、我ながら良識の権化みたいな顔してこんな文章書いてること自体がイヤだ。でも書かずにはおれない。

講評には以下のように述べられているのが痛ましい。

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審査員特別賞は【田沢湖高原温泉郷 三兄弟】と【案内妖精 きてたんせ】でした。
審査員特別賞に輝いた2作品です、最優秀賞に優るとも劣らないすばらしい作品です。
「審査にたいへん時間がかかった」というのが頷ける作品です。
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いくら作品が高い評価を得ようが、いやそうであればあるほど、後には簡単に自己パクりの対象にしてしまうわけです。おそらく「次点なんだから著作権は移転してないし、何やったって勝手じゃん」というところなんでしょう。しかし、権利を主張するなら義務も負え。「自作かつ未発表」という責めに任ぜよ。それができないならば、その行為は権利濫用であり、公共の福祉、公序良俗に反する。ツルはそう思います。

田沢湖高原旅館組合が出した募集要領を読むと、珍しいほどしっかりとわかりやすく書いてあって感心しましたが、その話はまた別途。

2014年1月 7日 (火)

【考察編】自己パク既遂時点について 2

(承前)

こうしたことが最もクリティカルに表れてくるケースとしては、事案(ロ)のような「未発表」タイプで、作者が同じ、かつ、「Cっち」と「Dりん」が同一だった場合ということになるだろう。例えば次の2組のように。

事案(ロ-1):【2013.09.24「Les Enfants Terribles(上)」】

〔2005年3月1日〜31日 募集・5月30日 決定〕
丙=太 裕希 / C市=愛媛県宇和島市 / Cっち=市章(高校生以下の部入賞)
宇和島市入賞(太)

〔2005年1月20日〜2月28日 募集・3月10日 決定〕
丙=太 裕希 / D市=鹿児島県日置市 / Dりん=市章(優秀賞)
日置市入賞(太)


事案(ロ-2):【2013.12.29「伊勢の罰、薩摩の罪。」】

〔2005年4月15日〜5月31日 募集・8月25日 決定〕
丙=小島貞彦 / C市=鹿児島県いちき串木野市 / Cっち=市章(最終候補 → 除外)
いちき串木野市章(小島貞彦案)

〔2005年4月1日〜5月31日 募集・7月14日 決定〕
丙=小島貞彦 / D市=三重県伊勢市 / Dりん=市章(優秀賞)
伊勢市次点(小島)

こうなるとさすがに、大昔のものと同一のものを出すということも少ないだろう、タイミング的に同時期の応募が多いのだろうと推測される。つまり「リサイクル」というより「重複応募」の問題ね。募集期間が、いちき串木野市 vs 伊勢市の場合はほとんどダブっているし、宇和島市 vs 日置市でも近接している。(だから、(実質的に)同一の自作を7年も経って使い回した小寺光雄の市原市 vs 渋川市の例はやはり異常さが際立っていると思う。)

これまで考えてきたところに沿って言うなら、宇和島市もいちき串木野市もアウトなのはもちろんのこと、日置市、伊勢市においても(本質的には)何らかのsanctionがあって然るべきではないのか。一般的なビジネス感覚としては。

もちろん;
・日置市と伊勢市では採用作ではなく次点である
・渋川市では過去の周年記念作品であって今は使われていないであろう
という事実はあるにせよ、それらは構成要件そのものではなく違法性の阻却事由に過ぎないと思ったんだけど。

こうした制作態度で続けていけるほど、「自営業」って甘いもんじゃないでしょう。自分が好きなこと、心が自然と向かうことを生業として選んだことにつきまとう苦しみは、どんな世界にもあると思う。

いや、そんな問題でもないか。ツルは、技量と信用第一の顧客商売の世界で、それでもなお、薄暗い片隅でこそこそ後ろ暗いことをやっているというイメージがどうも拭えなくなってきました、公募というものに対して。
それでも選ばれちゃえば「このかわいいキャラクターの生みの親、○○さんです!」と褒めそやされるわけだから、なんというか、おいしいというより因果な商売です。

以上の考え方は「公正なプロセス」「不当な結果の回避」という大義名分がある一方で、必要以上の束縛によって創作側を萎縮させてしまうものだろうか。

そもそも、次点作品や過去作品のリサイクル/パクりの場合は利益の侵害自体が起こっていないとも言い得ようし。でも市原市はそうは考えなかったわけで。賞金が絡むとやっぱりまずいということですかね。(賞金の出ない「公募ランティア」でも本質は変わらないでしょうが)
要項に必ず加えられている、「自作未発表のもの」という一見至極当然な条件にしても、こうして解釈の幅や意見の相違が大きくあり得る。≪未発表か否かがポイントなのであって、未提出か否かじゃないでしょ。≫

「類似/同一作品の選定」の抑止という観点を徹底するのなら、「将来、他の公募等に同一作品または類似作品を提出しないこと」というのもつけとくべきだということになるけど、さすがにそこまではなかなか踏み出せない。将来を縛る文言は入れにくいもんだよな。

意見の相違が大きいという点では、「募集対象をご当地住民に限るか否か」の問題も同様だと思う。
常連陣のテンプレートワーク横行を背景に、「(たとえクォリティ低下のリスクを招くとしても)住民に限るべきだ」という声が一般社会には根強いと感じられるのに対し、クリエイターサイドでは逆の意見が支配的。最近も;

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2013/11/13
北海道の公募は道内在住者しか受賞させないクソ公募。
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なんて○○書き込みを見かけたような次第で。(ちょっと違う問題だけどね)

ツルは現在、どちらかと言えば、基本的に資格の制限をかけるべきではないという立場に傾斜しています。もちろん、その前提になるのは、テンプレ制作を許さないこと、あるいはそのための仕組みが確固として存在していることだけど。現状は、登録商標制度にせよ弁理士にせよJAGDAにせよ、決してきちんとワークしているとは思えない。でも、だからといって応募資格制限の方向に走るのはちょっと違うんではないかと。
一発勝負のジモティならば一生懸命考えるだろうということはあるだろう(もちろんこれにも宇和島市 vs 日置市のような例外は出てこようが)。でも、だったら、常連陣にも同様に一生懸命考えさせよというのが本筋なのであるはず。プロならプロらしく。選考側は、少なくとも「過去のボツ作品の使い回し」なんてことは想定外だろうし、それが判明すればやっぱり除外するのじゃないのかなあ??

いちいちそんなことしてた日にゃ世の中のグラフィックデザイナーは疲弊しちゃいますかね。≪よほど才能に恵まれてない限り。≫

うーん、なんだか今回、全然考えがまとまってない気がしますが・・・・・・(汗)。

2014年1月 6日 (月)

【考察編】自己パク既遂時点について 1

(承前)

今回は、ボツになったものを惜しんでいる暇があったら新しいものを創り出せ、という誠に峻厳なお話を前後編で。

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【2013.12.29「伊勢の罰、薩摩の罪。」】
作者にとってもおそらく会心の出来映えだったろう。でもだからといって重複応募が許されるはずもない。
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この問題ほど、一般社会と応募側とで意識の乖離が大きいものもないように思う。

ツルは、「未発表の自作品に限る」という募集要項の規定には、当然に「応募した時点で、発表したものとみなされる」という趣旨が含まれるものと考えていました。そうしなければ、よそと同一/類似のデザインを選んでしまうリスクが回避できないからです。
でも、どうやらデザイン界の常識は違うらしい。≪発表されるまではそりゃ「未発表」でしょ。≫

次のようなケースを考えてみると。

事案(イ):デザイナー甲はA市のキャラ公募に際して、過去に自己が/乙がB市のキャラ公募に提出し、B市において採用作/次点作として入賞した作品「Bたん」と同一/類似の作品「Aぴー」を提出した

この場合に甲の保護が認められないことは、まず異論のないところだろうと思う。「自己が」なら「自己パクり」・「リサイクル」、「乙が」なら「パクり」となるわけですね。

あ、いずれも今まで見てきた中に転がっていた実例ですよ(^-^;。

事案(イ-1):【その14】

〔2011年12月〜2012年1月 募集〕
甲=塩崎アユミ / A市=岡山県津山市阿波地区 / Aぴー=エコあちゃん(?)
エコあちゃん

〔2010年12月 お披露目〕
甲'=塩崎あゆ美 / B市=青森県三戸郡南部町 / Bたん=剣ちゃん
剣ちゃん

事案(イ-2):【2013.12.21「光輝く夢と未来へ:1」】

〔2012年4〜6月募集〕
甲=小寺光雄 / A市=千葉県市原市 / Aぴー=「50年! 輝け市原 ひろがれ未来」(→ 受賞取り消し)

〔2005年制定〕
甲=小寺光雄 / B市=群馬県渋川市 / Bたん=「50年! 輝け渋川 ひろがれ未来」

まだまだあるけど、それはまたいずれそのうち。

じゃあこれはどうか。

事案(ロ):デザイナー丙はC市のキャラ公募に際して、過去に自己が/丁がD市のキャラ公募に提出し、D市において現在選考中の作品「Dりん」と同一/類似の作品「Cっち」を提出した

ツルは、甲同様に丙もアウトだと思った。そしてそれは、B市/D市の発表が済んでいるのであれ未済であれ、変わらないと。
∵;

(1)甲/丙はA市/C市の公募で知的生産を全く/ほとんど行っていない。自分の過去の作品/他人の作品に乗っかってるわけです。(いいやそうではない、そこにも知的労働はあったと言うのなら、それはクリエイターとしての甘えor趣旨の履き違えだ。その労働を省くためにやったことではないと言い切れるのか。)「リスペクト」とか「オマージュ」とかも、公募で振りかざしてはいかんでしょうし。

(2)丙はC市の公募に際して、「Cっち」を提出することによってそのなし得る行為の全てを完遂するのであって、その後は、C市が同作品を(採用作として/次点作として)入賞させるか否か、また、それをどのように公表するかには関与できない。従って丙は、D市と「類似/同一の作品の選定」という不当な結果を招かぬよう、C市への提出時に注意義務を尽くすべきであったところ、それを怠った。

てとこかな。その辺りは事案(イ)の既発表の場合と何ら変わるものではないと考えたわけです。

これはA市/C市ばかりでなくB市/D市においても同じこと。だから、見方を変えれば、B市/D市への応募行為が完結する、つまり行為の既遂が成立する時点というのは、作品を提出した時、具体的には郵便ポストに投函した時、メールの送信ボタンをクリックした時だと考えた。B市/D市が選考結果を発表した時ではなくて。つまり、その時点以降は同一/類似作品をA市/C市に送ってはいけなくなるという意味で。

厳し過ぎる?いや、今のしくみが甘いのだと思いますツルは。ご当地公募におけるデザイナー側のコンプライアンスは、どこでも問われることがなく、せいぜい審査の最終段階に至ってごく少数が調べられるに過ぎない。≪どうせ審査員はレベルの低い素人のおっさん連中だろ。≫
いわば、常連陣のデザイナーは「そんな観念は創作活動の範疇外」とばかりに、めんどくさい問題を全部選考側におっかぶせて、自分はやりたい放題ということになっちゃうじゃん。いや、事実そうなってるじゃん。そんなのは一部の輩かもしれませんがね。その道のプロとして、いや単なる職業人としても、リスペクトできない。
「デザイナー村の閉鎖性」みたいな問題もあるのだろうか。

もちろん以上の考え方にも欠点はあります。著作権の移転はいつ行われるのかと言えば、最終決定時点 or laterだろうから、それまでは作者側に権利があるのだから何してもいいじゃないかということも言えるのかな??
それに、次点以下はそもそも権利移転自体がなされないわけで、(決定後 or 発表後には)ボツ作品を手直しして他の公募に出すのも勝手だ、あるいはそれを認めてやらないと酷だ、という声も上がりそうだ。

ツルは、そんな諸々は権利濫用だと思っちゃうけどネ。というより、ボツになった作品をどこかでまた使ってやろうという魂胆をなんで認めてやらにゃいかんのだ、という考えが根底にあるわけでして。
やっぱり、ややこしいけど「権利はあるが、制限がかかっていて行使できない」みたいな理屈を考えざるを得ないように思うんだけど・・・。

でもやっぱり限界事象は出てくる。事例(イ)において、B市に応募していたが採用も次点入賞もならず、単にボツになっていたという場合はどうなのか。「類似/同一の作品の選定」という観点から見た場合、ボツなら実害は何もない。けど、スッキリしない感じなんですよね・・・。上記(2)の問題は起こらないにせよ、(1)の問題が残るからです。八幡平市のようにボツ作品まで全公開してたりすれば、その中に類似品を見つけたひにはそりゃあ非難されるでしょうし。

(続く)

2014年1月 5日 (日)

カンナ8号線 vs 南の花嫁さん

カンナ/Cannaという夏の花がある。炎天下にずっと咲いてるイメージの夏の花。品種もそこそこあって、赤、黄、オレンジの他にピンクの花なんかもあるし、葉っぱに赤や黄白とかの派手な斑が入るものもある。ショウガ科とばかり思っていたら、カンナ科というのがあるそうで。
しかし最近では、不定形の炎の形をしたこの花はすっかり人気が凋落してしまったようです。鄙びた農家の庭先なんかに咲いてるイメージかも。ツルも昔から決して好きな花ではなかったですが。

カンナ

さりながら、この花を歌い込んだ歌(数は少ない気がするけど)の中から、新旧、いや旧旧取り混ぜて2曲ほど。

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カンナ8号線
 作詞・作曲:松任谷由実
 歌:松任谷由実
 (1981.11.01リリース アルバム「昨晩お会いしましょう」より)


チェックのシャツが 風に膨らむ 後ろ姿を
波をバックに 焼きつけたかった 瞼の奥に
それは儚い 日光写真 切ない陽炎
胸のアルバム 閉じる日が来るの 怖かったずっと

雲の影が あなたを横切り・・・

想い出にひかれて
ああ ここまで来たけれども
あの頃の二人は もうどこにもいない

カンナの花が 燃えて揺れてた 中央分離帯
どこへ行こうか 待ち遠しかった 日曜日
いつか誘って 昔のように 笑い転げたい
恨まないのも 可愛いくないでしょ
だから気にせずに

ドアを開けて 波を聴こうよ・・・

想い出にひかれて
ああ ここまで来たけれども
あの頃の二人はもうどこにもいない

想い出にひかれて
ああ ここまで来たけれども
あの頃の二人はもうどこにもいない

想い出にひかれて
ああ ここまで来たけれども
あの頃の二人はもうどこにもいない

想い出にひかれて
ああ ここまで来たけれども
あのころの二人はもうどこにもいない・・・
-----

あー、青春やねえ(遠い記憶やわ)。1981年ってツルが大学に入った年じゃないか。ツルだって若かったのよ。あのころのツルはもうどこにもいないのね(T-T)

この歌にカンナが出てくるのは、東京の環状8号線とかけてあるからでしょう。ユーミンだからさすがに農家の庭先じゃなくて道路のグリーンベルトなわけ。でも、詞の中で特段の感情がこの花に託されているわけではなさそうです。(ン?じゃあなんでタイトルにまで入っているのだ、なんてことはこの際考えないことにします)

園芸植物としてのカンナの地位が低下した理由には、昔より南方系のものが増えてきたとか、切り花にしにくいからとかいったこともあるだろう。微妙に寒さに弱くて、新しい品種は植え付け後数年のうちに絶えてしまい、結局昔からの品種だけが残ってしまうという点も挙げられるのではないかな。その意味ではキョウチクトウ/Oleanderに似ている(アレもピンク八重咲きだけが残る感じだし)。
でもぶっちゃけ、「清潔感のある花じゃないから」というのが正鵠を射ているように思います(カンナちゃんごめんね)。このあたりで、同じ不整形の花でもショウガ科あたりのものにシフトしてるんじゃないかなーと。

カンナが出てくるもう一つの歌は、太平洋戦争中のこれです。無邪気にかわいい歌で、戦時中の歌とは知らなかった(さすがにリアルタイムで知ってるわけじゃないので)。

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南の花嫁さん
 作詞:藤浦 洸(こう)
 作曲:任光
 歌: 高峰三枝子
 (1942リリース)

合歓の並木を お馬の背なに
ゆらゆらゆらと
花なら赤い カンナの花か
散りそで散らぬ 花びら風情
となりの村に お嫁入り

お土産はなあに 籠の鸚鵡
言葉もたった一つ
いついつまでも

椰子の葉陰に 真赤な夕陽が
くるくるくると
回るよ赤い ひまわりの花
楽しい歌に 微笑む風情
心は躍る お嫁入り

お土産はなあに 籠の鸚鵡
言葉もたった一つ
いついつまでも

小川のほとり お馬を止めて
さらさらさらと
流れに映す 花嫁姿
こぼれる花か 花簪に
にっこり笑う お月さま

お土産はなあに 籠の鸚鵡
言葉もたった一つ
いついつまでも
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作曲の「任光」についてはネットで調べるといろいろなことが出てきた。

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私と同年代の人ならば、子供の頃にテレビで「おみやげ〜は、な〜に?」という節の唄をコマーシャルか何かで聴いたことがあるはずです。『南の花嫁さん』という唄で、古賀政男さんの作曲(原曲のメロディをもとにして、日本の唄にしたそうです。)ですが、その原曲は、実は中国人の作曲によるものでした。
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任光が1935年に創作した曲。もとは広東の民間音楽「彩雲追月」という歌詞なしの曲。日本に伝わって高峰三枝子が歌う「南の花嫁さん」になる。その後、この曲が逆輸入で台湾に入り「幾度花落時」というタイトルで歌われている。
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作曲者の任光という人だが、中国人で、日中戦争が始まるや、第二次国共合作でできた抗日統一戦線の「新四軍」に加わり、1941年、つまり上の歌が出る前年に戦死しているのだ。
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そうそう!「おみやげ〜は、な〜に?」のフレーズがCMか何かで使われていたのはツルもじかには知らないけど、小さい頃親が時々この部分をおどけて歌うことがあった。だから、そういうことはあったんだと思う。そんなわけでツルもこのフレーズだけは昔の頃から知ってましたが、そのオリジンとしてこんな歌があることを知ったのはだいぶ後になってからです。

今回調べて、「インスタントラーメンか何かのコマーシャルだった」というのがあったのと、「おみやげは なあに シャープ せんたっき 愛情よ」というCMがあった旨の記載を見つけた。後者はやはり花嫁姿のものだったそうな。バリエーションの利きそうな歌詞だから、時代を超えて複数に使われたりしてるのかも。

こちらのカンナには、確かに当時の島国日本の南方への憧れが投影されている感じがありますね。
「南」が大東亜共栄圏における南方とか南洋とかを表しているであろうこと(詞はやっぱ東南アジアのイメージかな。ミクロネシアくんだりまでは行かなそうだ)はすぐ気がつくけれど、抗日の戦士が作った曲が大戦中に日本で愛唱されていたとは!
どんな経緯があったのだろう、というより、それも日本の国の政策/戦略だったのかというところが気になります。どうやらこの歌は(その柔弱な雰囲気にもかかわらず)発禁等を喰らったりはしなかったらしい。因みに、戦後に歌詞が一部変えられたらしい記述も見つけたけれど、詳細未確認です。

歌ったのは松竹の「歌う映画スター」、高峰三枝子(1918.12.02〜1990.05.27)。Youtubeにこの歌のステージ映像(後年のものですけど)が出てます。
取り立てて邦画ファンでもないのであまり彼女の出演作を見てるわけじゃないけど、ツルの年代としては1976年の東宝/角川映画「犬神家の一族」を挙げないわけにはいかないでしょうねえ。血まみれの演技、凄かったです。

高峰三枝子@犬神家の一族

驚いたのは、もともとこの歌は李香蘭(後の山口淑子;1920.02.12〜)が歌うことになっていたということ。李香蘭と言えば、日本人であることを隠して当時の中国でトップスターになった女優。日本公演でも中国人として通し、1941年の日劇(現在の有楽町マリオンの場所にあった)での「歌ふ李香蘭」公演では劇場の周りを観客が七回り半取り巻いたという伝説があります。
彼女のストーリーは劇団四季の「ミュージカル 李香蘭」にもなった。戦後日本に戻った彼女は後に政界に転身し、自民党から出馬して参議院議員になっている。

戦時日中史の生き証人として数奇な運命を辿った李香蘭がこの「南の花嫁さん」を歌っていたらと考えると、それはそれでとても似つかわしいと思えてきます。李香蘭伝説が一つ増えていたことだろう。

以上、なんで夏の花のカンナを取り上げたかって?それは今日が「寒の入り」だからさ

2014年1月 3日 (金)

【番外編】幻の巨大魚に捧げ奉る(くえ太郎&くえ美・くえどん・クエ太郎&クーコ):その弐

(承前)

日高町の「クエ祭り」のことを調べてみると。

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(ふるさとスナップ)

クエ神輿用のクエを解体(阿尾(あお))

9月9日(日)、クエ祭(10/7・本祭)で神輿に使われるクエが、阿尾漁港内で白鬚神社の若田宮司と当屋(とや)衆らの手で解体されました。

この日解体されたクエは、長崎県五島産の体長1.3m、重さ28.7㎏の大物。
古式にのっとって、宮司が包丁を左手に持ち、クエの腹に第一刀を入れ、解体が始まりました。そして、供物用にする身を慎重に取り出した後は、骨と皮だけになるまで、身や内臓物を取り出します。
こうした作業は、包丁など様々な道具を使い分けながら、約2時間ほど続きます。

クエ神事

やがて、骨と皮だけになったクエは、2週間ほど塩漬けにされた後、祭りの前日まで天日に干されます。

【クエ神輿】
祭り当日の早朝には、天日に干されたクエの腹に藁(わら)を詰め込み、畳針で縫い合わせて、クエの原形に復元します。
さらに、クエの口元に太いしめ縄を通し、丸太棒に固く結びつけて、クエ神輿が出来上がります。

【クエ祭】
10月6日(土:宵宮)、11日(日:本祭)
豊漁を祈願して行われる秋祭りで、奇祭として知られています。
当屋衆と若衆が、クエ神輿を奪い合ってもみ合う「クエ押し」が、この祭りの最大の見ものです。
(和歌山県指定の無形民俗文化財)
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以上は2012年の日高町サイトの記事です。ご当地に300年がとこ伝えられてきた祭礼らしい。

ここに出てくる神社は、猿田彦を御祭神とし、全国に300社近く(和歌山県神社庁のサイトによれば約150社)ある、白鬚神社(白髭・白髯とも)のことだろう。総本宮は滋賀県高島市の白鬚神社。猿田彦は道祖神・塞(さい)の神と同一視された神格だから海とはあまり関係なさそうだが、海で漁り(すなどり)している時に比良布貝(ひらふがい)に足を挟まれて命を落としたというから、そのあたりの関係なのかな。あるいは道中安全が海上安全に変わったものか。
とにかく、和歌山市ふじと台辺りのマグロ解体ショーなんぞとは違うのよ。え、でも長崎産クエなの?(笑)。

しかし、2013年になると、もはや笑い事では済まない事態となっている。

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(2013.08.28 日高新報)

日高町の奇祭クエ祭 今秋から形態変更

日高町阿尾、白鬚神社(若田正孝宮司)の秋の祭礼クエ祭で、一番の見せ場の「クエ押し」が今秋から廃止される。少子高齢化が急激に進む中、参加者の負担軽減を図って祭礼をできる形で継続していこうと実施主体となる地元区で協議した結果、正式に決まった。クエ祭は江戸時代から数百年続く伝統行事。県無形民俗文化財に指定され、町の観光資源の中心にもなっている。全国的に奇祭として知られるゆえんの呼び物が姿を消せば、祭り自体は続けられても周辺に大きな影響を与えそうだ。

阿尾区の木村泰史区長や白鬚神社の上出貞和総代長らによると、祭礼挙行方法の変更はことし5月中旬から区の役員、神社総代、若田宮司の計13人で協議。「少子高齢化の著しい進捗により旧来通りの祭礼を挙行することが困難になっている事情を鑑みて、形態を変更することで祭礼の維持を考えてみよう」と4カ月ほどかけて原案を作成し、今月25日に開かれた臨時区民総会でほぼ異論なく承認されたという。大きな変更点として「クエ押し」の廃止のほか、奉納行列の縮小、祭りの準備から運営までに携わる当番の負担軽減などが決まった。

区内の戸数は少子高齢化に加え、地元を支える漁業の後継者不足なども絡んで年々減少。現在は約160戸とされ、ピークの3分の2を下回る。クエ神輿の準備からクエ押しにも参加して祭礼行事を担う当番の13人は毎年男性73歳、女性70歳以下を対象に持ち回りで選出されるが、ここ数年はなり手を探すのにひと苦労。クエ押しに参加する45歳以下の若衆も少なくなり、ここ数年10月の3連休に実施するなど日程を変更して参加者確保に努めてきたものの、昨年までと同じ形態での祭礼実施が困難と判断された。

木村区長は「参加者の負担をできるだけ軽減し、祭礼の維持を大前提に今秋から挙行方法を変更します。ことしはこの形態でやってみて、不都合や変更があればみんなで考えていきたい」と話しており、今後区民から声が上がればクエ押し復活の可能性も残っているようだ。

昨年までのクエ祭は午前10時半ごろからお渡りが始まり、神置きの当番衆宅から神社まで奉納行列。神社の鳥居周辺に到着したあと、クエ押しがスタートする。クエ御輿を早く神前に運んで祭礼を終了しようとする当番衆と、それを阻止する奇抜なメークや衣装の若衆が荒々しくぶつかり合うクエ押しが最大の呼び物。多くのアマチュアカメラマンらでにぎわい、町のPRにも一役買ってきた。ことしは10月12日宵宮、13日本祭りの日程。お渡りは午前10時半ごろから始まるが、クエ神輿や女装した男性の桝取りなども出ない。神事はこれまで通り行われる。
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ギリギリまで来ている、これが現実なのですね(日高町全体では決して人口減少に悩んでいるわけではなく、むしろ漸増傾向であるにもかかわらず)。代わりに「ご当地キャラ」という新たな文化(財?)が育ちつつあるのかもしれないが。

とまあ、話がキャラクターからだいぶ離れてしまいましたが、ツルが個人的に気に入ったのは、白浜町商工会(クエピィ)の公募で優秀賞に入った次のデザイン。かっこよく装飾的で(^_-)、「九絵」と呼ばれる体の模様も[温泉マーク]で表してある。クエ愛、地元愛がこもっている気もしてさ(「親しみやすくシンプルな」今ふうキャラとは違うでしょうが)。

(優秀賞)林 茂徳(白浜町)
林 茂徳 白浜町クエデザイン

2014年1月 2日 (木)

【番外編】幻の巨大魚に捧げ奉る(くえ太郎&くえ美・くえどん・クエ太郎&クーコ):その壱

(承前)

白浜観光協会で2008年度に作られたのは次のもの。

和歌山県西牟婁郡(にしむろぐん)白浜町
白浜観光協会
キャラクター(?)
くえ太郎&くえ美
くえ太郎&くえ美

作者名を含めて詳細は不明っす。これはこれで愛嬌のある[ペアキャラ]だけど、なんで同じ白浜町内で商工会と観光協会は別々にクエキャラを作ったのか(しかも同時期に)、そこがまずわからない。
くえ太郎とくえ美の関係もよくわかりません。元は単なるオリジナルイラストという位置づけだったかもしれないし、くえ美はくえ太郎より遅れて制定されたようでもある。

くえ太郎

着ぐるみもくえ太郎くんのは確かに作られているけれど、くえ美ちゃんは確認できない。どうやらくえ太郎の単品売りがメインのようだけど、どーーもいまいち来歴のわからないペアです。

くえ太郎

さらに2012年12月、「くえ太郎」の弟分というのが作成されていて、これがまた着ぐるみを見るところかなり兄貴にクリソツ。

白浜観光協会
キャラクター(?)
くえどん
くえどん

兄弟見分けのポイントは、兄にだけある尻尾(前に突き出てるのでタヌキの○ャ○○○みたいかも)です。どうして、何のために、2点目いや3点目(クエピィまで入れれば4点目だ)を作ったのだろう?

その答えはひょっとしたらここにあるのかもしれない。

和歌山県日高郡日高町
キャラクター
クエ太郎&クーコ
クエ太郎 クーコ

こちらも作者名不明の[ペアキャラ]。いかにもゆるキャラ的デザインで1994年から存在している20年選手です。白浜町は同じ県内のこれを憚ったのじゃないかと推測する次第。「キャラ更新」ではなくて「キャラ愛称更新」ね。(だからといって、白浜くえ太郎兄貴がお払い箱になったわけでもなさそうだが。)
というより、白浜観光協会は初めて町興しのクエキャラを作る時、日高町のクエキャラを意識しなかったのだろうか?(あいたたた)

こちらのペアはイベント出演も基本的に一緒の模様で、関係性もはっきりしており;

・クエ太郎は日高町沖のクエの里から来た好奇心旺盛な男の子
・クーコはクエ太郎の元カノで天然で悠々自適な女の子

なんだそうで(+_+)。
実はですよ、「クエのクーコ」とは書かれてないんですね、デザイン見てもクエらしからぬことはすぐ気づくけど(それを言ったらクエ太郎だって五十歩百歩か)。「クラゲのクーコ」かもしれないが、和歌山という土地柄からはマンボウなんじゃないかと思ったりもします。「好きなもの」に「イカ」も入ってるし、「好きなアルファベット」はなぜか「M」だし。

なんでもこのペアキャラ、「ゆるキャラグランプリ2012」で、みうらじゅんによって「ゆるさと郷土愛にあふれる、これぞゆるキャラ20体」の一つとして「ゆる2UMA賞」に選ばれ、「ゆるゆるキャラ」の称号が与えられた由。さらには、みうら監修という2014年カレンダー「ゆるキャラ オールスターめくり」に「魚系ゆるキャラの代表格」として掲載されたそうな。ご当地も盛り上がるわけでしょう。

キャラブームにおけるみうらじゅんの罪は重い。本人も自覚している様子ではある。でもそれについては稿を改めませう。

日高町におけるクエへのアプローチは、しかし、白浜町とはまたいささか異なっている。

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和歌山県日高町には江戸時代から続く「クエ祭り」(県指定無形民俗文化財)がある。その伝統と名を汚さないためにも日高町では、本物しか出さない。・・・・・日高町旅館民宿組合の心得
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日高町旅館民宿組合加盟の宿でご提供しているクエは、正真正銘の天然クエです。近年、幻の味の高級魚として全国的に知られるクエは、和歌山県日高町で自慢の郷土料理として宿泊客にふるまわれ、美食家達の間で大変な評判となったのが始まりです。クエ料理はクエの元祖、本場・日高の宿で。
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そう、「天然」がキーワード。もちろん、白浜町と日高町、養殖と天然それぞれの考え方はあるでしょう。でも、そういうことじゃなくって。

日高町が「天然クエ」に賭けているのは、単なる白浜町との差別化や対抗心からではないだろう。ご当地でクエは神の憑り代として祭礼に供される霊魚であって、これを食する目的も本来は漁師町で神の加護を願って特別な海の幸を戴くことにあったはず。「信仰」に「振興」が乗っかってきたというところではないかしらん。ところが。

(続く)

2014年1月 1日 (水)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その75:クエピィ)

(承前)

あけましておめでとうございます。ツル@博多帰省中です。本年もよろしくお願いいたします。

ツル家でもお正月には親戚で集まって宴会やったりするのですが、毎年メニューは決まっていて、「ふく宴会」。下関からお取り寄せして、年に一度のぜいたく。やっぱり一番の美味は薄造りネ。「ふぐ」のことです。
このあたりでは、「不遇」に通じる「ふぐ」の語を忌み、「福」に通じる「ふく」と呼ぶ風習がある。ましてや「てっさ」「てっちり」とは決して呼ばない。フグを「鉄砲」と呼ぶのは「当たるとこわい」からでしょうが、本場下関あたりでそんなことがあったりすれば市場全体の死活に関わる一大事でしょうし。

というわけで、新春一本目はお魚塩キャラお届けしましょう。とはいえフグではない、けどやはり超高級食材として知られるこの魚で。

和歌山県西牟婁郡(にしむろぐん)白浜町
白浜町商工会
クエ・マスコットキャラクター(?)
クエピィ
塩崎アユミ(30歳:大阪市生野区:自営業/グラフィックデザイナー)
クエピィ

「奇怪な外見ながら美味な魚」の代表格として知られる巨大魚クエの町興しキャラクターです。ほんとはグロテスクじゃなくて風格があり過ぎるって風貌だと思いますが。
もちろん、高級食材だからキモキャラにするわけにもいかないので、そこは塩キャラDogmaに従って、かわいく楽しげに大口開けて笑って、わかりやすく[ブランド名]入れた[法被]着て、[鉢巻き]締めて、[温泉マーク]つけてと。塩キャラの場合、「食」がらみだと途端に法被キャラが増えるみたい。鰭の両手は、袖口と微妙にズレているせいか、大きく広げているというより、後ろで組んだ手に持った何かが覗いているようにも見えて、ちょっと消化不良気味。

クエキャラといっても、調べてみると事情が結構込み入っているけど、その前にまずはクエのお勉強。
クエという魚は九州ではアラと言われる、というのが一般的な説明(「美味しんぼ」にも出てきたかと)。「アラ」だったら博多出身のツルは小さい頃冬場の鍋物として結構食べていた気がする。この言葉は魚の種類を問わずに「捌いた後の残りの部分」みたいな意味にもなるから(「魚のあら汁」ていう場合はそっちですね)、子ども心に「アラっていうとは二つの意味があるとやねー」と思っていた。
ところが「アラ」にはまた、ハタ科マハタ属のクエEpinephelus bruneusの九州名であるアラとは別に、ハタ科アラ属のアラNiphon spinosusという種類の魚もあるそうな。姿も似ていれば、やはり漁獲量も少ないという高級魚らしい。
ツルが食べていたのはどちらの「アラ」だったんだろう。そんなに高級食材という意識はなかったのだけれど、それは子どもだったからでしょうか。わりと食卓に出てきて、当時鍋物全般がキライだったツルをげんなりさせていた記憶はあるんだけど・・・。

ご当地にある近畿大学水産研究所が、「幻の高級魚」クエの人工孵化に成功したのは1988年。その後量産化や食味の研究を重ねて、安定供給がなされるようになったのが2007年。で、白浜町商工会、白浜観光協会、白浜温泉旅館協同組合が中心となって紀州クエのブランド化に乗り出したわけ。「クエはもう幻の魚ではない」を合言葉に。南紀白浜って、意外に名物料理がなかったらしいんですね。この養殖クエ、サイズが天然物の20〜30㎏に対して3〜5㎏と小ぶりで、ホテルや旅館等の提供側が使いやすいというメリットもあったそうな(もっとも、最低10kgはないと本当のクエの旨さは味わえないとする説もあるようだけど)。

近大の水産研と言えば魚介の養殖・品種改良ではトップクラスで、クロマグロの完全養殖に世界で初めて成功して話題になったとこです。最近ではさらにクエとその同属のタマカイEpinephelus lanceolatusとのハイブリッドを誕生させたりしているらしい。タマカイは体長2.7m、重さ400kgにもなるというとんでもない巨大魚で、まさしく「ハタ科の王様」。
因みにこうして世に出ていく魚たちを「近大卒の魚」と呼ぶ。(ほんとです)

閑話休題、白浜町のクエはそこからが複雑。商工会では、経済産業省下の中小企業庁の「地域資源∞全国展開プロジェクト」の一環として、「クエ創作料理コンテスト」などに取り組むことになった。この中から2008年11月に生まれたのがこの「クエピィ」です(愛称決定は2009年1月)。

実はこのころ、クエというブランド食材は受難の時だった。クエと偽ってギンダラ科のアブラボウズを販売するという事例があったりして、2008年3月に農林水産省が注意喚起を出してたんですね。漁獲量が少なく幻の魚とされてきたせいか、前々からこの手の偽装はあったようで、1990年頃にはノトテニア科のメロを味醂漬けにしてクエと詐称した例もあったらしい、覚えてないが。当時はまだメロを「銀ムツ」と呼べてた時代ですね(標準和名 マジェランアイナメ:cf.【その48】)。淡白なクエと脂の乗ったメロではまるで味の方向性が違うじゃないかと思うけど、そこは味醂漬けってことでごまかしたんやな。食品偽装の問題は今も昔も変わらんのう。傷ついたクエのイメージ回復はご当地でも喫緊の課題だったことでしょう。

一方、観光協会では、県の「和歌山県やる気観光地魅力アップ協同事業」を利用して情報発信を始めたわけですが・・・。

(続く:新年早々こらこらこら)

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