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2014年7月24日 (木)

Communicationの獲得 ― 絵本「あらしのよるに」・「雪国の豹オレッグ」

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それとも、絵本「あらしのよるに」のメイとガブみたいな関係かしら(^_-)。
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ああ、枝葉が繁って止まらない。

あらしのよるに
 作:木村裕一/きむらゆういち
 絵:あべ弘士(ひろし)
 (1994年〜)
あらしのよるに あらしのよるに 愛蔵本

メディアミックス路線に乗って(1980年代の「はれときどきぶた」シリーズ by 矢玉四郎を思い出す)だいぶ手垢がついてしまったけど、話の展開の巧みさ、意外さはやはり出色だと思う。一言で表せば「わかり合えない(はずの)者同士の物語」。

Silversteinの「The Giving Tree/おおきな木」や佐野洋子の「100万回生きたねこ」が(どちらもツルのAll Time Bestだけど)いわばDiscommunicationの物語であり、そこに好悪の分かれるところもあろうのに対して、この絵本は確かに真っ向からのCommunicationのストーリーだと思える。

あらしのよるに 映画 あらしのよるに DVD

派生作品では2005年の東宝による劇場用アニメ映画化(声:成宮寛貴・中村獅童)が最も話題になったと思うが、ビジュアルがカワイイ路線に走り過ぎて、原作に親しんでいると違和感を持った人も多いのではないか。というか、いかにも安っぽい。
劇場用ポスターの背景が雪山になっているのは、12月の冬休み時の公開だったからだろう。

画を描いたあべ弘士(本名:阿部 寛)はあの旭川市旭山動物園で飼育係を長く勤めていた。画風はかわいくなんかまるでない。アニメ化されたヤギとオオカミの画をどう感じているのかな。
舞台化も何度かされているけど、意外なところでは朗読+音楽劇として市原悦子がメイを演じている。ミッキー吉野もおばさんヤギの役で出演したとか(+_+)。

絵本はシリーズ本編6巻+α、1巻読んだらきっとすぐに次を読みたくなるストーリーだとは思うけど、悪いことは言わない、たっぷり時間を置いて次にかかる方が絶対幸せだと思う(ツルはたまたまそうで、結果ラッキーだった)。あれこれと想像の翼を広げる愉しさよ。
だから、映画化や舞台化より、週1回のTVアニメ化なんかの方が相性のよい作品かもしれない。ハッピーエンドのすれ違いメロドラマ、「めぞん一刻」by 高橋留美子と同じ匂いがする。一気に読むより、待ち遠しく次回を心に描いている方が深く残る作品もあるのだと思う。

この話はおそらく、Minorityを自覚している人たち ――例えばすごい歳の差カップルとか、入籍してない/しないカップルとか、はたまた同性のカップルとか―― にはとりわけ響くものがあるのじゃないだろうか。
その意味では次の絵本も思い出される。クジラがヒョウに恋する(アザラシが、だったかな?)、みたいなシュールなお話(絶版)。

雪国の豹オレッグ/OLEG LE LEOPARD DES NEIGES
 文:Jean-Claude Brisville
 絵:Daniele Bour
 訳:串田孫一
雪国の豹オレッグ

そう言えば、メイの性別は原作では不詳だけれども、映画アニメではやや♀寄り、TVアニメでは明らかに♀。うーん、いつかこの話がNational Theatre of the Deafあたりで演じられるような時があれば(The Giving Treeみたいに)、やっぱり性別の明確化は不要とされるんだろうな、きっと。

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