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2015年5月26日 (火)

【番外編の拾遺:2】永遠に独りでいることを知る(日タイ修好120周年・日・ブルネイ友好30周年)

(承前)

周年記念モノ、もっと広域化すりゃ国家レベル、いや国際レベルである。

外務省
日タイ修好120周年(日タイ交流年) ロゴマーク
杜多利香(デザイナー助手)
〔2006年9月採択〕
日タイ修好120周年(和) 日タイ修好120周年(英)

1887年/明治20年の「日タイ修好宣言」から数えて120年目が2007年。ありがたや、お国のためのお仕事ですよ、応募総数、ロゴマーク39点、キャッチフレーズ64点とは言え。
きれいなマークではある。色使いの印象から、ちょっとこれを思い出します。

【2015.05.04「十年に一度の逢瀬:11」】
熊本県・大分県
阿蘇くじゅう国立公園
指定80周年 ロゴマーク
(作者不明)
〔2014年3月決定〕
阿蘇くじゅう国立公園80周年

でもそこんとこよりも、"Diplomatic Relations" を「修好」と訳した明治官僚の手腕というか才覚にツルは脱帽しちゃう。

外務省サイトには、「作者による作品解説」と、おまけに「採用についての感想」まで載っている。

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タイ王国の国花[ラーチャプルック]と日本の国花[桜]を、手をつなぐような輪で表したデザイン。それぞれの国の風土を象徴する国花で日本とタイの人々の華やかな笑顔をイメージし、友好を表現しました。
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ロゴマークを採用していただき、ありがとうございます。タイと日本の修好120周年記念という節目にデザインを通して参加することができ、嬉しく思います。今回ロゴマークを創るにあたってタイについて調べているうちに様々な魅力を知りました。両国にとっては120年記念ですが、私にとっては興味の始まりの記念になりました。
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ラーチャプルック/Ratchaphruekとはマメ科(ジャケツイバラ亜科カワラケツメイ連)ナンバンサイカチ属のナンバンサイカチ/Cassia fistulaのこと(マメ科の分類はいろいろ変遷があってややこしいけど)。タイの言葉で「草木の王」の意味なんだそうな。

ラーチャプルック1 ラーチャプルック2

カシア類(アカシアとは違うよ)の植物は日本の湘南あたりでも時々庭木として見かけるし、近縁のセンナ属のハブソウ/Senna occidentalisも近縁で、いずれも黄色の鮮やかな花をつけます。
さらに脱線すると、ハブソウの種子が漢方にいう「望江南」で、「はぶ茶」とは本来これのことだけど、現在この名で飲用されるのは同属のエビスグサ/Senna obtusifoliaの種子「決明子」。ケツメイシのグループ名はここから来ている(∵メンバー中2名が薬学部出身)。ツルは決明子とはカワラケツメイの種子のことだと今の今まで思ってますた。

それなりに気の利いたことも述べている杜多に比べ、がっくし来るのが同時公募のこちらの方。

〔キャッチフレーズ〕
新井理香子(デザインコンサルタント:ウエルケンアライド株式会社代表)
「微笑みが心をつなぐ愛のかけ橋 日タイ修好120周年」

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私とタイとの最初の出会いはアメリカの学生時代です。キャンパスアパートでのルームメイトは4人のタイ人女性でした。そのうちの一人は、夏の間研修にきていた40才前後の写真の先生でした。彼女は時には大笑いもするけれど、いつも微笑んでいたのがとても印象的な人。その見守るような微笑みに、私はたびたび助けられました。微笑みによって、愛に満ちた世界になりますよう心より願いをこめて。
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それで、何。どこが、作品解説。感想は、こう。

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常に『微笑みの人』だった父が亡くなって今年でちょうど7年。銀行でたまたま手にとった小冊子に、日タイ修好120周年の記事があり、なぜかとても気になり応募しました。いつものように微笑む父が夢に現れてから数日後、『キャッチフレーズとして採択されました』というメールを突然いただいたので、驚きました。
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だから、何。
本当に新井はこの作品を作ったのだろうかとさえ思えてくる。創作への情動という意味でのリアリティがおよそ欠けているからです。ここにあるのはまず「タイ=微笑みの国」というラベリングであって、そこにリアリティの衣をまとった個人の記憶を強引に引き寄せただけではないのか。あるいは新井の父親はタイ出身だったということであろうか。(それともデザイナーって、そういうものですか?)

こうしたIconで気になるのが、描かれた「日本」のイメージ。

外務省
日・ブルネイ友好30周年 ロゴマーク
荻原正機
〔2013年12月発表〕
日・ブルネイ30周年

「友好」は「修好」と違って普通に "Friendship" なんやな。その一方で、やっぱりここでも日本は[桜]なんですねえ。

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両国の末永い友好を祈念し,ブルネイの国花である[シンプール](和名:カンボクビワモドキ)と日本の[桜]が交わり合うイメージに,友好年の文言をあしらった
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は?灌木枇杷擬き!?何ですかそりゃ。調べてみるとビワモドキ科というのが古くから立てられていて、シンプール/SimpurはDillenia suffruticosaのこと。

シンプール1 シンプール2

英語版Wikipediaには、ディレニア属の花は "superficially similar in appearance to Magnolia flowers" とあるけれども、モクレン類というより黄色いフヨウといった感じにも見えます、この画像では。因みに大きさ約10cm、フヨウと同じく一日花。裂開した果実の様子がまた美しいけど、五弁花なのに実は八裂というのがちょっと不思議です。

ボルネオ島(北部 マレーシア領:南部 インドネシア領)の北部にあるブルネイ・ダルサラーム国、通称ブルネイがイギリスから独立したのは1984年の元日、かくして2014年の30周年に至る。
21世紀に今なおスルタンによる絶対君主制を敷くこの富裕な小国と、その年のうちに日本政府が友好を結んだ理由は、石油/ガス資源以外にはないと思うんだけどさ(太平洋戦争中、日本の統治下にあったという歴史はあるにせよ)。

(続く)

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