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2015年6月28日 (日)

【番外編】とんぼのめがねは色眼鏡(赤とんぼくん・ひろぼー・コマガンボ)

ご当地のシンボルとしての「花」や「木」や「鳥」はこれまでたんまり見てきました。だから次は「虫」。そうなると強いのはホタルだろうと思うけど、これも【2015.01.12「無明の闇(その2)」】あたりで挙げたところです。

で、今回は[トンボ]を。幼虫期が水生であるところがホタル(地生の種類もあるけど)とは共通し、「きれいな水、豊かな環境」をアピールするにはうってつけなアイテム(と思う)。

因みに、ホタルやトンボより身近な存在であるはずのチョウは案外シンボルになっていない感じ。
例えば、これも環境保護のアイコン的に扱われるギフチョウ/Luehdorfia japonica(アゲハチョウ科)は、岐阜県内では全く指定されておらず、一方で岡山県苫田郡鏡野町の「町の蝶」に(ジャコウアゲハとともに)、長野県飯山市の「市の蝶」になっている。
これは、「春の女王」と称えられるこの美蝶が岐阜県では絶滅状態だからでしょう。この名称も、「岐阜に多い蝶」の意味ではそもそもなく、岐阜県郡上郡祖師野村(ぐじょうぐん そしのむら)(現 下呂市金山町)で1883年(明治16年)に採集された個体によって新種確認されたってだけの経緯らしい。
さらに脱線すれば、日本の国蝶オオムラサキ/Sasakia charonda(法令で定められているのではなく、日本昆虫学会が選んだものだそうな;タテハチョウ科)は山梨県北杜市の「市の昆虫」になってますが。

で、トンボの話でした。

兵庫県たつの市
イメージキャラクター
赤とんぼくん
瀬戸良一(47歳:香川県高松市:グラフィックデザイナー)
赤とんぼくん

こちらは別に動物学上の重要性とか環境保全の役割とかを帯びているわけじゃありません。龍野出身の三木露風(1889.06.23〜1964.12.29)が作詞した童謡に因んで、[赤とんぼ]が[水色めがね]をかけているの図、胸の[T]は「たつの」と「とんぼ」のイニシャル。ご当地ではこの郷土の偉人の顕彰に努めており、例えば市の文化会館の愛称もも「赤とんぼ文化ホール」になってるぐらい。

デザインは2009年11月に決定され、愛称はその後別途募集されて2010年11月に前田悠兵(12歳:たつの市:市立龍野西中学校1年)らの作品が採用されたもの。1年もかかって公募で決めた結果が「赤とんぼくん」だなんて、はっきり言ってどっちらけ、税金の無駄遣い。市民の認知度を上げたいなら、他にもっと効果的な手段はなかったのかね。
そりゃたつの市だって無策だったわけじゃない。愛称と同時にお披露目された着ぐるみは「男性職員が交代で着用し、各種イベントで活躍する」と発表された。ほーら、これだけでも十分話題になるでしょ(^O^)。

・・・あれ?待てよ!?なんかおかしいぞ。

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赤とんぼ
 作詞:三木露風(1921年)
 作曲:山田耕筰(1927年)


夕焼け小焼けの 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か

山の畑の 桑の実を
小籠に摘んだは 幻か

十五で姐やは 嫁に行き
お里の便りも 絶え果てた

夕焼け小焼けの 赤とんぼ
止まっているよ 竿の先
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つくづく残念な歌だと思う。4番の歌詞が全てをぶち壊しにするからです、てな話はおいといて。
「水色めがね」はどこにも出てこない。それだったらこっちですね。

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とんぼのめがね
 作詞:額賀誠志(1948年)
 作曲:平井康三郎(1949年)


とんぼのめがねは みずいろめがね
あおいおそらを とんだから
とんだから

とんぼのめがねは ぴかぴかめがね
おてんとさまを みてたから
みてたから

とんぼのめがねは あかいろめがね
ゆうやけぐもを とんだから
とんだから
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1949年にNHKラジオ「幼児の時間」で流されたというから、戦後の童謡なんですね。
額賀は福島県双葉郡広野町(当時 楢葉郡広野村)の医師で、往診に出かけた時に見た子供達の情景を歌にしたとされているそうな。平井は「山は白銀 朝日を浴びて」の「スキー」で知られる(南国高知の出身ですが)。

で、だ。この歌に真に因むキャラクターはないのかというと、それがちゃーんとできてるんです(笑)、2014年7月になって。町興しに使えるものなら何でも使え。

福島県双葉郡広野町(ひろのまち)
イメージキャラクター
ひろぼー
海山 幸(うみやま さち)(ペンネーム:35歳:宮城県仙台市:イラストレーター)
ひろぼー

こちらも[トンボ]をプラットフォームに、名産のミカンを模したという[ヘルメット]をかぶって、[水色めがね]をかけて、[町章]も入って、スカーフにはご当地名所、浅見川渓谷の[大滝]を盛ったという塩梅。
「町の復興に向けた取り組みをアピールする」という役目を負わされていて、童謡出身で幼児性の強い外見の割には硬派かもしれない。

似てる、と思うでしょ。実は、たつの市・広野町ともトンボをご当地シンボルに指定していないという意味でも、上記2点は共通しているんです(こらこら、長い前振りは何だったんだよ)。文学/芸術的アプローチだったわけね。

しかし同工異曲のデザインは他にも結構ある。前にこんなのを見てたっけ。(cf. 2014.08.27「足し算と引き算と・・・」)

長野県駒ヶ根市
観光PRキャラクター
(入選作品)コマガンボ
(作者不明)
コマガンボ

「こまかっぱ」の公募の際に入選したものです。市の昆虫[ハッチョウトンボ]を捕らまえてるんですが、今度こそよく似てますねえ、特に「赤とんぼくん」に。2014年1月の発表だからこちらの方が後です。

駒ヶ根市公募結果

トンボネタは塩キャラにもあったよな。

【その132】
静岡県磐田市
イメージキャラクター
(優秀賞)いわたん
塩崎あゆ美
いわたん

こちらは2012年1月決定、盛られたのはおそらく市の虫[ベッコウトンボ]。

なんでだか、どれもこれも戦闘機の操縦士っぽくなっちゃいますねえ。
でも一番興味深いのは、2010年11月の赤とんぼくんお披露目の際、朝日新聞記事に「遅まきながらゆるキャラ界へ参戦した」とあったこと。この時既に、です。その後も延々とみんなでテンプレネタを生産し続けているとはね。

(続く)

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