【番外編】Swoosh!!(あるいは流線形の未来)(NIKEロゴ)
以下は【丸ブー🌀艶競べ♥】に含めちゃおうかと迷ったんだけど、ちょっと思うところもありってことで・・・。
そもそもツルがよくわからないのは、なぜ「丸ブー」がそこまで一世を風靡したのかということです。流されやすい国民性は少しずつ変わりつつあると思ってきたけど、最近はまたそうでもないみたい(特に若年層が)。孤立を恐れるというより、Catastropheを怖れるんですかね。
今に続く丸ブーという意味では、多分これが元祖なんだと思う。(「丸」なしの「ブーメラン」だけですが)
Nike, Inc.
Logomark "Swoosh"
Carolyn Davidson
Wikipediaによれば・・・
-----
スウッシュ (Swoosh) は1971年に商標登録されたナイキのロゴマークである。勝利の女神ニーケーの彫像の翼をモチーフにデザインしたとされている。また、「勢いよく動く」という意味で、その形状は躍動感やスピード感を表現している。日本では「スウォッシュ」と誤読・誤記されることが多い。
ロゴのデザインは1971年、創設者であるフィル・ナイトが会計学の講師をしていたポートランド州立大学で出会った、キャロライン・デビッドソンが制作した。ナイトは、グラフィックデザインを専攻していたキャロラインが製図の課題をしていたところを捕まえ、ロゴのデザインを依頼。まだデザインを仕事にして間もないキャロラインは、スウッシュのデザイン料として僅か35ドルの請求書をナイトに提出した。
----
とある。
この逸話はよく知られていると思う(当時の固定為替レート1ドル=360円で換算すれば12,600円だ)。
そしてまた、12年の後、成功したPhilからランチに招かれたCarolynが、ダイヤモンドのSwooshをあしらった金の指輪と封筒に入ったNIKE社の株券とを贈られた話も(どうやってリングサイズ調べたんだよ)。きっと「CarolynこそNIKEにとっての勝利の女神であった」とかなんとか感動的スピーチをしたんでしょうなー。ちょっと「いい話」状態です。
単純にして明快、かつ形而上的なものだったわけですね、丸ブーの嚆矢は(Philは当初あまり気に入ってなかったらしいが)。躍動感やスピード感というよりむしろ、端的に言えば「未来感」を表すものであったと思う。その後、このロゴはEntrepreneurismをも象徴する文脈で社会に浸透していく。
よく見ると、このブーメランの右側の輪郭って直線なんですね、意外にも。とんがった印象を受けるのはそのせいなんかな。95%の人が「ナイキのロゴは全て曲線でできている」と思ってるんじゃないかしらん。
極めてシンプルなフォルムだから、パロディもたくさん生み出されてます。秀逸なものを2つほど厳選しますと。
うはははは、どちらもよくできてますねえ!Swoosh by adidasなんて、ironyのspiceもピリッと利いてるし。
丸ブーの魅力と言えば、何はともあれ「未来感」でしょ。だから平成大合併でも皆この形に飛びついたんでしょ。ある意味、左右非対称で不安定な印象を与えるにもかかわらず。Streamlined Future, Streamlined World.
しかし、わかりやすさだけを念頭に置いた丸ブーデザインは、いつのまにかその身上の未来感すら失ってしまった気がする。
それはまた、「流線形の未来」自体に錆が浮いていることの証しでもあるだろう。地方の小規模自治体同士が合併して「将来こんなによくなります」なんて言ったところで、本気で信じている住民はどれほどいるんでしょうか。
« 西條八十 ぼくの帽子 vs 角川春樹 信長の首《二》 | トップページ | I.G.Y.(あるいは流線形の世界) »
「Visual界:キャラクター/シンボル/ロゴ」カテゴリの記事
- 【加筆編】咲き損ねた花(宇美町ナンバープレート)(2021.02.28)
« 西條八十 ぼくの帽子 vs 角川春樹 信長の首《二》 | トップページ | I.G.Y.(あるいは流線形の世界) »
コメント