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2015年10月25日 (日)

【番外編】いはばしる バイクの臀の プレートの;C(鎌倉市・川口市 ナンバープレート)

(承前)

垂水作品の一つの頂点はこれだと思う。

神奈川県鎌倉市
オリジナル・ナンバープレート
垂水秀行(38歳:香川県丸亀市:グラフィックデザイナー)
鎌倉市ナンバープレート(最終版)

或る日の江ノ電[鎌倉高校前駅]周辺を切り取った風景。スナップ写真を描き起こしただけじゃん、という批判もあろうけれど、そんなことじゃないんです。
作者の「作品に込められた思い」は残念ながら公表されてないけれど、古都の数多の名所や行事を一切使わずに(*)生活者の視点だけで押してきた、そこが一番の勝負どころだったはず。[海]も、海水浴やマリンスポーツのそれではない。ガイダンスとして「兜、流鏑馬、海など」という形の列挙がされていたにもかかわらず、です。
そして応募総数91点の中から5点が一般投票にかけられ、投票総数2,861票のうち1,693票(59%)と圧倒的な支持を集めて採用された(2位は365票(13%))。結果は2013年11月に発表されてます。

(*) 実際には、投票時までは「鎌倉市」の表示の左横に[大仏の顔]があしらわれていた。これが生首みたいで不評だったのだろうが、削ったのは英断だったと思う。

鎌倉市ナンバープレート(応募案)

作者側、制定側だけでなく、投票側まで含めたレベルの高さなんてことを感じさせられたりします。
投票時の感想なるものを抜粋すると;

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・ナンバープレートなので、道とか景色のデザインがいいと思いました。鎌高前踏切の景色は、まさに鎌倉。
・しつこさが無く老若男女OK
・思わずバイクに乗りたくなりました。
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ははあ。3番目なんか最上の賛辞だよね。
「市の内外にPRするため」という枕詞は本公募でも謳われていたのだけれど、考えてみれば、この観光都市の住民からは、もはや「外」向けのものなどあまり求められていないのではないか。見方を変えれば「『まちづくり/まちおこしにあくせくしてるひと』の乗ってそうなバイク」にはしたくなかったんですね。欲しいのは日常に根差した「内」なるデザイン。ご当地キャラとは違って自分の生活に直結するものだしね。そんなところと、このデザイナーの「ジモティの求めているものに形を与える」というスタンスがピタリと合致した、そんな気がします(勝手な想像だけど)。
いわば、主語が「わたしは」ではなく、「あなたは」の世界、作者から見て。

もう1点、秀逸と思えるものを。

埼玉県川口市
ナンバープレート
垂水秀行(39歳:香川県丸亀市:グラフィックデザイナー)
川口市ナンバープレート

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働く歓び像に象徴されるように、「鋳物のまち」として鋳造業の町工場をモチーフにデザインしました。経年の風合いを感じさせるざらついた線とシルエットがレトロな雰囲気を醸し、「川口市」を作り上げてきた先人たちへの敬意を込め、その精神を受け継ぐまちを表現しています。遠くから見ても[鋳物]がわかる明快さと、どんなバイクにも似合うようにクールな中に愛らしさのあるデザインを目指しました。
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鎌倉市のものとはアプローチがまた違うけれども、これはこれで一つの到達点を示していると思う。何より印象が鮮明で、町工場の活気と騒音まで聞こえてくるようです、[溶鉱炉]の熱も伝わってくる(ツルの住んでる東京大田区の下丸子界隈もそんな雰囲気が残っている)。しかもこれだけインパクトがありながら、ナンバープレートとしての視認性には全く影響がない。

いくらご当地に鋳物業で発展してきた歴史があろうと、今の時代に「キューポラのある街」でもあるまいし(微伏線)、そこをアピールポイントにすることには当然リスクも反対も出てくるはず。ぶっちゃけ、川口という土地柄のイメージが決して高くないことも考え合わせると。
でもそこに敢えて真正面から挑んで、そして勝ち取ったんですね。6点を対象にネット上で人気投票が実施され、全2,328票中最多の779票(33%)を得ている。

この公募でも、ちょっとしたガイダンスが出ていた。(ほんと余計な誘導だと思う。こんなん自分で調べれ

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参考1:あいうえおのまち「川口」
あ [荒川・芝川] 川のまち
い [いもの] 産業のまち
う [植木・花卉] 緑のまち
え [映像] Dシネマのまち
お [御成道] 将軍社参のまち

参考2:川口市マスコット「きゅぽらん」

参考3:市章

参考4:シンボルマーク
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しかし、垂水はここでも既存のキャラやマークには見向きもせず、抽象性の最も(?)高い「1-い」ただ一本に絞ってきた。このアプローチは、次点となった2作品(あるいは愚blogで見てきた全般)が拠って立つ「てんこ盛りDogma」とは明らかに異なるものです。

(優秀作品)
嶋村 忍(川口市)
北野公一(和歌山県田辺市)

これもまたデザイナーとしての矜持を示すもののはず。無論ハズしちゃうリスクもありながら、安直な方向へ流れずこれだけの実績を残しているのは評価に値するだろう。

この2点がそれぞれのご当地の(外からの)イメージを高めるかどうかはわからない。ぶっちゃけツルは否定的。けれど、住民の誇りには確かになると思います。

(続く)

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