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2016年1月

2016年1月31日 (日)

【番外編】花めかしたりや、きらめかしたりや(みずほ・きらめき回廊):ロゴマークの帖

(承前)

「みずほ・きらめき回廊」の公募、実は濱口は愛称だけでなく同時募集のロゴマークでも採用されている。

東京都西多摩郡瑞穂町
水・緑と観光を繋ぐ回廊計画(みずほ・きらめき回廊)
〔ロゴマーク〕
濱口温男(高知市)
みずほ・きらめき回廊(応募案)

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みずほの[み]をモチーフに「水・緑と観光を繋ぐ回廊計画」を象徴的に表現しました。[ブルー]は、狭山池、残堀川の清流。[グリーン]は、狭山丘陵やさやま花多来里の郷などの豊かな緑。[ピンク]は、町の花[つつじ]を表しています。中央の[笑顔]は、住民や観光に訪れる人々を表し、瑞穂町の未来のために自然環境を大切にする願いが込められています。
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なかなかお洒落なアルファベット綴りになってますなぁ。中国語みたいでもある。しかし、せっかく「花多来里の郷」を宣伝してる割にはカタクリじゃなくツツジを盛っちゃったというambivalence。ツツジなんて都道府県市区町村の花に最も多く採用されている「ありきたりのネタ」なのに(それでもツルはこの花に一入の思い入れがありますが)。もっとも、作者はちゃーんとカタクリVersionも応募してて、ツツジVersionの方が選ばれただけのことかもしれないけど。プロのガイダー仕事にはよくあること(爆)。

これ、前に優秀賞だけちょっと取り上げました。

【2015.03.27「十年に一度の逢瀬:1」】
(優秀賞)
重田律子(神奈川県川崎市)
みずほ・きらめき回廊(重田律子案)

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瑞穂のイニシャルの[M]をモチーフに、[緑]は狭山丘陵、[青]は狭山池・残堀川、[花]はさやま花多来里の郷を表し、自然環境・景観・歴史等の資源をイメージに、水と緑と花に囲まれた美しい自然環境の瑞穂町が目指す回遊性を高め、観光と住民生活の向上や水・緑と観光を繋ぐ回廊計画をデザインテーマに愛され親しまれ、明るく元気!美しく躍動する瑞穂町を表現しました。
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これまた訳ありのガイダーだよ・・・。
しかし長いっ!!くどいっ!!原文170文字もあるがな。ま、本公募では珍しく文字数制限が200字以内とユルかったので、そこはOKなんだけどね。要は水ぶくれが問題、ガイダンスどおりに打ち返すの弊。

こちらの投票では幸い、最優秀賞が373票(うち町内在住、在勤、在学者 161票)、優秀賞が269票(107票)と、ややこしいことにはなりませんでしたが。

最終的な御託はこうなっとります。

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〔ロゴマーク〕
みずほ・きらめき回廊(最終版)

・全体の形は、みずほの[み]をモチーフに表現しました。
・[ブルーのライン]は狭山池、残堀川をイメージしました。
・[グリーンの葉]は狭山丘陵、さやま花多来里(かたくり)の郷などの豊かな緑をイメージしました。
・[オレンジの花]は町の花つつじをイメージしました。
・中央の[笑顔]は、町民や訪れる人々をイメージしました。

〔愛称〕
みずほ・きらめき回廊 愛称デザイン

・全体的に水辺や緑のきらめく自然環境を象徴するイメージにしました。
・字の形に丸みを持たせ、親しみやすくしました。
・みずほの後に、町のきらめきを表現するアイコンを付けました。
・「廊」の字の点を、豊かな緑を表す葉にしました。
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デザインがマイナー補整されたのはまあいいとして、ああ、どこまでもいちいちツッコミどころが目についてかなわんわ。
なんで[ピンク]から[オレンジ]ってなことにしたわけ!?しかも色自体は変えていないのに。あのね、ツツジにはオレンジ色なんてないんだよ(ツツジ/Rhododendron属の中で橙〜黄のカロチノイド系色素を持つのは落葉性のレンゲツツジ系統の種だけ。こちらをシンボルにするのだったら必ず「レンゲツツジ」と定めるものです。単に「ツツジ」と言ったら園芸界では常緑性なの!)。
返り太刀を浴びせれば、ご当地の町の花は「つつじ」に加えて「茶の花」(「東京狭山茶」の産地だけどどうしても「埼玉の狭山茶」の借り物の感が否めない)、「もくせい」もあるんですが、そこら辺どうなってるんでしょうか。

「愛称」だって、名前なんだかデザインなんだかロゴマークなんだかロゴタイプなんだか、どうでもよくなった感たっぷりっす(≧∇≦)。中身なんてもう問わないのね。結局何がしたいんだか。

結論。
東京都内とは言え、若気の至りとは言え、田舎公募。

2016年1月29日 (金)

【番外編】花めかしたりや、きらめかしたりや(みずほ・きらめき回廊):愛称の帖

昨年大晦日の【PNまつり 第15弾】で、「かすていら」による東京都立川市「まち・こころ 花めかそう!キャンペーン」について書いた時、何かDejavuを感じていた。

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『花めかす』という言葉は、“はなやかに浮き立つ”、“はなやかに時めく”、“時節に合って栄える”といった縁起の良い言葉。
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ずっと気になってたんですが、これでした。

東京都西多摩郡瑞穂町
水・緑と観光を繋ぐ回廊計画
〔愛称〕
「みずほ・きらめき回廊」
濱口温男(高知市)

この公募の「愛称決定の理由」にこうあったんです。

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(3) 「きらめき」という言葉は、光り輝くという意味のほかに、平安時代から鎌倉時代にあらわされた説話集(今昔物語集、古今著聞集)で、使われている意味で、「華やかで人目をひく」「盛んにもてなす」といった意味があること。
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あー、そういうことですか。
2010年春にスタートした「まち・こころ 花めかそう!」に対して、このプロジェクトは2012年春から始まっており、公募で愛称とロゴマークが決定されたのは2014年3月。こちらははっきり「2020年 まちに“魅力”いっぱい!」と謳われているから、ご当地もやはりオリンピックを当て込んでいるんでしょう(そりゃ東京都内だし)。人寄せという意味において立川市と同趣旨の企画に、同趣旨のキーワードを紛れ込ませたんだな。てことは、「花めかそう」の方はうまくいってるということなんですね??(そんな認識なかったんですが m(__)m

作者の「意図」はこう書かれている。

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瑞穂町の地域の特徴である日光街道、狭山遺跡、五輪様の柿の木など多くのきらめく歴史的資源や狭山丘陵や狭山池、残堀川、さやま花多来里の郷などの水辺や緑のきらめく自然環境を象徴するイメージです。
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散りばめられたキーワードはもちろん制定側から出されていたガイダンスの受け売りで、これぞ必勝、鸚鵡返しの技です。
「花多来里の郷」は「かたくりのさと」と読むんだぜ。おっと「残堀川」は「ざんぼりがわ」でOK、そこんとこ夜露死苦、綺羅迷駆(`_´〆)!

今やカタクリ/Erythronium japonicumはフクジュソウ/Adonis ramosa (synonym: Adonis amurensis) やミスミソウ/スハマソウ/Hepatica nobilis (synonym: Adonis hepatica)(園芸名 雪割草)などを抑えて、Spring Ephemeralの女王といった風潮であります。ここだけの話、「花多来里の郷」がなんと「防衛省補助事業」になってる所以ですわ。(ただし、山野草園芸の世界ではこれとは逆の順番で品種化が進んでいて、雪割草なんて野生の小輪一重花から改良された千重咲き、万重咲きの大輪花が我が世の春である。)

この公募の「愛称決定の理由」、他のを見てもイロイロとイロイロです。

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(1) 住民等による投票の結果を参考にすると、作品番号1と2は、他の作品とは票差が、その2つの作品の票数の差は、大きくないこと。

(2) 文字のわかりやすさから、ひらがな表記の方が子どもから大人まで、親しみやすいこと。

(3) 〔上述〕

(4) 「きらめく」という言葉から、いままで町の風土が培ってきた「歴史」「文化」「自然」が「きらめく」といったように、今あるものを大切に未来に引き継いでいくという意味が連想できるので、この計画が目指す方向性に合っていること。
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こういうの読むと、思わずツッコミたくなりますねえ(笑)。
(4)の、「きらめく」→「未来に引き継いでいく」というロジックはどう見ても破綻してるでしょ、てなことも上から目線で教えてやりたいすが、一番気になるのは(1)です。意味がわかんない(何か言葉が抜けてるようだけど、発表された原文ママ)。調べてみると、「やっぱり感」が漂う。

投票結果を得票順に並べ直すとこうなる;

1位:作品番号2「みずほ水と緑の夢回廊」
246票(うち町内在住/在勤/在学者 109票)

2位:作品番号1「みずほ・きらめき回廊」
228票(90票)

3位:作品番号3「ぐるっと瑞穂」
150票(59票)

4位:作品番号5「みつけて・みんなの・みずほ」
141票(70票)

5位:作品番号4「きらめく瑞穂 ぐるっと瑞穂」
135票(47票)

ああ、ガサツなところが多過ぎ。あのさー、事前審査でつぶしとかなきゃいけない問題でしょ、作品番号3と4の重複なんて。
(2)を挙げるくらいならなぜ4位の作品番号5を採用しなかったのだ、という気もするけど、そこは「第4次瑞穂町長期総合計画将来都市像」に「みらいに ずっと ほこれるまち」という冠付けの名文句があるので、そことぶつかり合うわけにはいかなかったんです(多分)。
それから、投票対象を「町内在住/在勤/在学者」以外にまで拡げる必然性はあったのかね。人気投票なんて、対象を増やせば増やすほど不正の働く余地も増える。ゆるキャラグランプリでも知れること。

つまりは、「きらめき」の言葉の放つ光芒に目が眩んだのでしょう。
しかしだよ、(1)は「一番人気ではなく二番人気のネタを選びましたよ悪しからず」ということを、それとはわからぬよう婉曲ぅうに書いたものだったわけで。「投票結果では作品番号2がトップだったが、」という言葉を故意に削って発表したのではないかということに思い至ります。「若手職員のプロジェクトチーム」の仕事にしては随分老獪かつ狡猾。だんだん出来レースの色合いも帯びてくる。

一方、逆転された「作品番号2」なんですが、これがまた・・・。

(優秀賞)
「みずほ・水と緑の夢回廊」
小寺光雄(愛知県名古屋市)

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瑞穂町の水と緑の回廊計画から大きな夢が生まれます。
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ツルはこの作者名を見ただけでアレルギーが出るし、制作意図の一際なmeaninglessnessにも絶句ですが、それはもうこのガイダーにいつものことだから(cf. 2013.12.21〜23「光輝く夢と未来へ」)、今回はthrough。
最終的に「・」が追加されとりますね。重箱の隅をつつくようですが、これとて最優秀賞に都合よく合わせたものではないか。(1)にほの見える「どっちだって変わりゃしないからいいでしょ」な言い分を正当化するためにイジられた印象。

ツッコミどころは「愛称」に限らず「ロゴマーク」にもあるんですが、まずはここまで。

(続く)

2016年1月28日 (木)

【対決編】丸ブー艶競べ [14b](十日町市章候補・IPカルチャー)

(承前)

他の自治体同様、十日町市章公募でも繰り返されたのは、作家に問題ありなら選考プロセスもグダグダというパターン。

十日町市章

5点対象に実施された全世帯アンケートの結果は・・・。

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作品番号3が最も多かったものの、作品番号5のデザインの完成度、シンプルさまた親しみやすさなどが評価され、作品番号5が新市の市章作品として決定されました。
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ひんやりしてくるけど、この情報とて十分ではない。採用された上掲の「5」=和久案は投票1位ではなく、しかし2位でもなく3位だった。「5」の得票率は、1位の「3」の4割強に対して1割強。誰がどんな魔法を使ったやら、圧倒的票差を覆しての大ドンデンだったんです。

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全世帯数 19,880世帯(04.12.01現在)
回答数  1,732
回収率  8.7%

番号 投票数 割合
1   134  7.7%
2   161  9.3%
3   720 41.6%
4   489 28.2%
5   204 11.8%
その他  24  1.4%
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間の2位に割って入った「4」はこれ。

新潟県十日町市
市章
(候補作品 番号4)
十日町市章(井口案?)

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頭文字[十]をモチーフ、合併した貴重な歴史や産業・文化と「夢を耕しつづける感動と創造のまちづくり −自立した市民の知恵と協働−」豊かな自然(雪・農が織りなす温もりと躍動の大地)と生き生き共生し、シティカラーの[ブルー]・[グリーン]は輝かしい未来に向かって発展・繁栄する十日町市の明るい元気な姿を表現しています。
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意味不明なClicheの羅列、井口やすひさ以外ではあり得ないね。

しかし、アンケート結果にかかわらず、合併協での最終決選投票はこの「4」を差し置いて「3」と「5」の2点の間で行われた。なぜ「4」がFinal Stageに進めなかったかと言えば、こんなことが判明したからです。

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(2004.12.24 第7回十日町広域圏合併協議会 会議録 抜粋)

事務局

〔前略〕

5つの作品が商標登録されているデザインと類似のものがあるかどうかについて、長岡市の黒田特許事務所さんにお願いして調査をしていただきました。

〔中略〕

E[引用註:「4」のこと]については6ページにございます、社団法人発明協会の商標11に近いということでDと同じ判断でございます。

〔中略〕

私ども素人目にも似ている感じがありましたので、社団法人発明協会の新潟県支部を通じまして本部に問合せをさせていただいたのでありますけれども、明確に発明協会さんの商標を侵害しないという回答をもらえなかったところでございます。発明協会自体は知的財産権の普及に努めている組織でございまして、商標登録に精通している方がいらっしゃるわけでございますけれども、類似性があると判断した人、問題はないのではないかと判断した人と分れたというようなことでございますし、また、検討の過程で市章のデザインが将来何に使われるかわからないというようなことも回答が慎重になった原因であると、新潟県支部ではお話しておりました。市の旗やバッジなどの部類であれば特に問題は生じないということであろうかと思いますけれども、商品の宣伝などに使われた場合はどうかということと思っております。
このようなことでありますので、もう一人の弁理士さんからご指導をいただいたのでありますけれども、1番として、類似と判断される可能性が高いデザインであるというようなことでございます。2番として、市章そのものは商品でないから商標登録上問題がないとされた場合であっても、著作権法とか不正競争防止法上の問題が生じる恐れがあるということでございます。それで、Eの商標でありますが、報告書では4番の作品は避けた方がよいというご意見をいただいております。
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類似を指摘された先はこれ。

社団法人(現 公益社団法人) 発明協会
IPカルチャー シンボルマーク
(優秀賞)
彦根 正(47歳:グラフィックデザイナー)
IPカルチャー

シェー、やすひさ撃沈

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[i][P]の文字を組み合わせ、知的創造活動の全てのプロセスを尊重し支える社会的基盤の認知の広がりを表現しています。「IP」が人々の、社会にとって「財産」となる認識の文化の広がりが、社会の「成長」へ「貢献」するよう願いを込めました。[紺]は知的創造活動、[緑]は国民一人ひとりが「オリジナリティー」を大事にする熟成した文化の「広がりと成長」をイメージしています。
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ぎゃはははは(涙)、これまたlogic不明、英訳に困る日本語の好例やわ。「熟成した文化」は何かの間違いじゃないかと。

この公募では、選定委員会 chaired by 東京藝術大学名誉教授壽美田與市(1924〜2006.05.17:プロダクトデザイン畑だった)が優秀賞1点・入選3点を選んだ。つまり彦根作品の優秀賞というのは最高位で実際に採用もされたけれども、同時募集の標語部門では同委員会が最優秀賞1点・優秀賞3点・佳作6点・入選11点を出したのに引き比べ、何をか況んやである(-.-)y-~~。

話を十日町市に戻して。
本公募の類似調査では、つまり発明協会(2003.11.04発表)との類似は炙り出された一方、みなべ町章(2004.10.01制定)との類似は滑り落ちたわけだ(タイミング上、公的データベース類に未掲載だったとは思えないが)。

ならば、投票2位の「4」(のみ)を除外したのは致し方なかったのか?そうは言い切れぬとツルは思う。そもそも調査の結果を待って(≒類似作品を除外するなりして)投票にかけたのではなかったからです。
ただ、2004.10.23には新潟県中越地震が起きて十日町市も甚大な被害を受けており、そのため「5点絞り込み」が1ヵ月ほども遅れた(10.28→11.22)という状況はあった。アンケートが行われたのは12.10〜21で(回収率が8.7%しかなかったのも地震のためと思う)、2005.04.01の合併に向けてこれ以上日程を遅くできなかったのであれば、そこはまさに致し方のないギリギリのところではあったろう。

それでもなお、異を唱えたい。調べてみると、市章選定小委員会が候補を選んだ時点では、「3」<「5」の評価だったことが知られる。しかしアンケートでは逆に、「3」:「5」は4:1近い差で「3」が圧倒的トップとなったわけで、それでも協議会は「5」を選んだ。

その結論自体はいいでしょう、合併協議会としてそのように機関決定したのだから。しかし、「アンケートとは異なる小委員会の意向が通る」形となったのであり、そこについては通常より重い説明責任が課されていたはず。しかし、会議録をめくってみても、「アンケート結果を尊重すべきではないか」「民意と異なる形で決定することにつき、住民に対してどのような説明が必要か」が真摯に討議された形跡はありませんでした。

結局、アンケートとか人気投票とか総選挙とか、そういった外見上ハッキリした手段にだって抜け道はいくらでもある。要は制定側のスタンスの(ブレのなさの)問題です。

ひょっとすると、公正の観点から一番大切なのは、審査プロセスにおける透明性と覆面性とをいかに両立し確保するかってことかもしれない(つまり後者は、どんな仕組みで作者情報を確実に伏せるかってことネ)。「あの青森の/東京の有名な作家先生から出された作品だからコレが一番間違いねえべ」と安易に流れる虞はどのようにして排除し得るのだろうか。

(続く)

2016年1月27日 (水)

【対決編】丸ブー艶競べ [14a](みなべ町章・十日町市章・種子島開発総合センター)

(承前)

深入りしたくないなんてつべこべ言いながら、魅惑の自治体章ネタ、もひとつまいります。公募ガイダー村では有名なものだと思うんですけれど。

まずはこれから。

和歌山県日高郡みなべ町
町章
荊木眞一(和歌山県那賀郡(ながぐん)岩出町(現 岩出市))
みなべ町章(応募案)みなべ町章(最終版)

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清冽な水と緑をみなべ町名産の[梅の花]のフォルムにあしらった。
カラーは山の[グリーン]、海川の[ブルー]
又、1色でも映えるシンプルデザインとした。
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途中で補整されて、家紋等にある斜めタイプから正形タイプに変わってます。あ、そういや自治体名も「南部町 + 南部川村」→「みなべ町」の補整ですな。

これと対をなすのはこのご当地。

新潟県十日町市
市章
工藤和久(青森県弘前市)
十日町市章

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十日町市の[十]の字を基調に、豊かな自然の中で輝く十日町市民を象徴的に表現しました。[橙]は太陽、[緑]は大地、[水色]は清流で、自然に恵まれた十日町市をイメージしました。シンプルで親しみやすく、多くの人に長く愛されるデザインです。また、縮小、単色、白黒にも耐えられ、多用途な使い方が出来ます。
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ああ、またあのClicheだ。てか何から何までテンプレだ・・・。
ただし同市サイトに現在載っている説明はそこそこ違ってます

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市章は「十日町市」の[十]の字を温かみのある「人」のイメージにデザイン。明るい未来を照らす太陽、豊かな恵みをもたらす母なる大地、大地を潤す大河[信濃川]、そしてキャンバスは雪と未来を表し、豊かな自然の中で、新たな発展を目指す十日町市民の夢と希望を表現しています。
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どう言おうがダメなものはダメ、十日町市が背負い続ける十字架ってことです。「キャンバスは雪と未来を表し」に至ってはほとんど理解不能だし。現代美術の祭典、「大地の芸術祭 越後妻有(つまり)アートトリエンナーレ」開催地の名が泣くぞ。

ツルに言わせりゃ、こんなものが類似調査で挙がってこなかったなんてほんとにどうかしてると思う。いや、そもそもこんなものが別の作家から出されてくること自体が間違いでしょうよ。
それぞれの経過は次のとおり。

みなべ町章
2004.02.01〜03.31 募集
2004.05.31 図案決定
2004.07.22 リデザイン報告
2004.10.01 日高郡南部町・同 南部川村が新設合併

十日町市章
2004.08.05〜09.23 募集
2004.12.10〜21 全世帯アンケート
2004.12.24 決定
2005.04.01 (旧)十日町市・中魚沼郡川西町・同 中里村・東頸城郡松代町(ひがしくびきぐん まつだいまち)・同 松之山町が新設合併

ここからまず導かれることは(伏線)、「和久はみなべ町章のデザインを知った上で十日町市章に応募した可能性が高い」という点である。もう、ツッコミどころの宝石箱やぁー(古い?)

でも、これでは済まない。7年後の2011.08.01にはこんなものまで出現する。

鹿児島県西之表市
種子島開発総合センター 鉄砲館
シンボルマーク
堀江 豊(広島県廿日市市)
種子島開発総合センター

同市サイトには;

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「種子島の[T]を背景に火縄銃から飛び出す[玉]の造詣をモチーフに、全体のフォルムで明るい未来に向かって輝き・発展・飛翔する鉄砲館の姿をイメージしたデザイン」の作品です。
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とあるけれど、どう考えても「造形」だろうよ、あはははは。誰が間違えたのかしらんけど、あー、お腹痛い。(笑ってられる場合でもないが。)
因みに賞品は「シンボルマーク認定証」と「種子島開発総合センター招待券」のみで即ち「公募ランティア」状態、亦して応募総数19点。だから手を抜きやがったか・・・。

しかしね、RewardがなければSanctionもないだろうとガイダー村の住民が考えがちなのは、社会常識の欠如というもんですぜ。

いつもながらに後味悪いので、口直しに荊木の10年後のありようについても少し触れておこう。

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(2014.10.25 ニュース和歌山 抜粋)

荊木眞一さん会員最高金賞
二科展デザイン部「不条理」表現

美術作品の公募展「二科展」デザイン部の自由テーマ・ポスター部門で、海南市の荊木眞一さん(58)が会員最高金賞を受賞した。二科会の会員となって10年。女性をテーマにコラージュ作品を発表してきたが、今年は趣向を変えた。「今までも『面白い』と評価してもらいましたが、本当に人の心に訴えるデザインができているかとの思いがいつもありました。新しい挑戦が認められた」と喜びを隠さない。

Beef or Chicken?

受賞作は、[エビ]が飛び出す椀をかぶったウエートレスが、シーフードレストランにもかかわらず「ビーフ・オア・チキン?」と尋ねるポスター。
女性の顔は正面と横顔の合成で、ピカソの『泣く女』のように、平面の中で3次元を表現するキュビズムの手法を取り入れた。さらに、バックには日本らしい[唐草模様]と、アフリカの[バオバブの木]をあしらった。「異質なものが同じ平面上に存在する。世の中の不条理を表したかったのです」
同展には30年以上、作品を出し続けてきた。今回は特に、プロのデザイナーである審査員に「良いと思ってもらえる」ことを念頭に、インパクトを与えられるデザインを意識。さらに、制作する中で、「自分の原点に戻れた」と実感できたのも収穫となった。

〔後略〕
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うはー、デザインよりパロディっつうか、差別スレスレっつうか(記者子もそれを悟ったのか、記事に[黒人女性]の語は一度も出てこない)。こったらもんで「世の中の不条理」たら「人の心に訴える」たら「キュビズム」たら語れるてば、はーァ、まっことえれえもんでげすな。
・・・・・・二科展ね・・・・・・。(ナニが言いたい)

あんまり後味よくもならないか。

丸ブーの熱き想ひに触れもみで
寂しからずや道を説くツル

柔肌の熱き血潮に触れもみで
寂しからずや道を説く君
     晶子

(続く)

2016年1月25日 (月)

【対決編】丸ブー艶競べ [13](阿賀町章・小城市章・志布志市章・能登町章)

(承前)

昨年末、番外編のSubseries【アは阿呆のア,A is for Absurd】で、取り上げそびれていたものが一つありました。このご当地で採用された作品。

新潟県東蒲原郡阿賀町
町章
加藤雅丈(49歳:東京都)
〔2004年12月〕
阿賀町章

愚blogの貴重なネタ元の一つ、総務省の「合併デジタルアーカイブ」サイトに残る情報によれば;

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阿賀野川と緑に囲まれた豊かな自然。包み込む緑の腕が明るいまちや輝く文化を支え、築いている様子を表現。
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してるんだそうな。

因みにこのサイト、法定合併協議会なんかの情報がどっさり載ってて大変重宝してるんですが、昨年10月下旬、何の前触れもなくいきなり閉じられてしまって焦りました(1ヵ月ほどで再開したけど)。
思えば自治体章公募というのも深入りするとご当地キャラ公募以上に大変なことになるのはうすうすわかっているので(それだけ「類似」が蔓延しているということです)、ここは公募の神様がもうこれぐらいにしておけとツルにおっしゃったのかもしれません(歳のせいか弱気)。

ツルは初め、この作者は工藤和久に違いないと思ったんですね。だってこうだもん、上下ひっくり返した風情で。

佐賀県小城市(おぎし)
市章
工藤和久(青森県弘前市)
〔2006年3月〕
小城市章

こういうのもあったでしょ。

【2014.01.21「総合芸術家の作り方:Formula 1」】
全国防衛協会連合会
ロゴマーク
工藤和久
〔2009年3月〕
全国防衛協会連合会

三重県伊賀市
伊賀市立上野南中学校
校章
工藤和久
〔2011年8月〕
上野南中学校

大分県日田市
水資源機構 大山ダム建設所
大山ダム水源地域ビジョン ロゴマーク
工藤和久
〔2013年1月〕
大山ダム1

けれどそうすんなりいくと思ったら甘い。作者の決めつけはご法度ってのが公募界の怖いところでね。

鹿児島県志布志市
市章
河内善彦(東京都:グラフィックデザイナー:株式会社ヒットスタジオ)
〔2005年9月〕
志布志市章

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[s]を図案化し、未来に向かって行く活気のある住民を感嘆符に見立て、右には豊かな自然の恵みにあふれた大地を、左には志布志湾を表し、誰もが住みよい、住み続けたいやすらぎとにぎわいの町を意味しています。
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感嘆符!これが!!むしろ疑問符じゃないの??(左右反転させればね。)

志布志市章 鏡像

ツルの世代としては「夜のヒットスタジオ」の関係者かと思ったけど(笑)、そうではないようです。

かと思えばこんなのも見ました(すいません、またひっくり返します)。

【2013.10.18「I am the Alpha and the Omega ― 1」】
鹿児島県奄美市
市章
佐藤 聡
〔2005年11月〕
奄美市章

バリエーションはまだまだ広がる。

石川県鳳珠郡能登町(ほうすぐん のとちょう)
町章
〔2004年10月頃?〕
能登町章(最終版)

ご当地は2005年3月に鳳至郡能都町(ふげしぐん のとまち)・同 柳田村・珠洲郡(すずぐん)内浦町が新設合併したところで、この時「郡」もまとめられて鳳珠郡と名づけられている(あおりを食らってお隣の穴水町まで鳳至郡→鳳珠郡にされちゃった)。能登の都となるべしという望みも断たれてしまったわけです。能都はいらんかいね。

小ネタはさておき、現在能登町サイトには次のように紹介されている。

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アルファベットでNOTO町の頭文字である[N]の形から、人と人とが手を取り合って見えるように表し、旧3町村が活気あふれる町となるよう願いを込めたデザイン。
配色は、左側が[緑色]で豊かな野山に茂った木を表し安らぎを与える。右側は[水色]で海や川を表す。中央は[橙色]で太陽を表し、人々に活力を与えてくれる配色。
町章は旧3町村の小・中学生を対象に募集が行われました。
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小学校10校から478点、中学校6校から496点、合計974点の応募があったそうで、まずまずの手応えと言えるんじゃないかな。

ところがこれ、最終選考時まではこんな配色だったんです。左側が応募原案、右側が調整図案。

能登町章(応募案)

最終選考に残った5点には全てこのような「調整」がかけられているから、米原市章のような不公平はさすがに存在しなかったわけだ(cf. 2015.12.01「丸ブー艶競べ [10]」)。しかし、そこからまたこれだけ変遷があるっていうのはやはり問題なしとはしないでしょう。

某blog(のとツーリズム)には、作者コメントの原文が引用されている。

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(2004.10.02)

イメージしたのは“自然とふれあう人”です。左側にある[緑]は自然を表し、右側の[黄色]は人を表しています。そして全体は能登町の[N]を、安心感を示す緑と元気で明るい黄色で示しました。新しい町が自然とともに生き生きとしていけるように願ってつくりました。
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全然違うしww。

「黄色」は白地の上では飛んでしまいやすい色だから、それを避けたかった実務上の要請は一応わかる。でも小中学生限定という道を選んだ時点で、そうしたリスクは呑み込んでおかなければならなかったんじゃないのかね。その覚悟なかりせば、初めから限定公募などにすべきではなかった。「赤丸よかんべ」などと言い出したのは一体誰だったのか、それはもう永遠にわからないけれど。
次代を担う者たちに広く募ったという本公募の一番のAdvantageも、安易な補整を行ったがために消し飛んでしまったと思うわけです。

・・・もっともツルは、↑みたいな文章を小学生だか中学生だかが書いたということの方が微妙に不気味ですがね。

(続く)

2016年1月23日 (土)

【対決編】丸ブー艶競べ [12](嘉麻市章・洞爺湖町章)

(承前)

自治体章(の類似)というのも一度ハマるときりがないということはだんだんわかってきたので、もうあんまり深入りしたくはないんですが・・・。でも今回はちいと変化球を繰り出します。

前回、年末の「艶競べ」でこれ↓を取り上げたについては、隠れた意図があった。

山梨県南巨摩郡南部町
町章
山梨県南部町章

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南部町の頭文字[N]をモチーフに、曲線で造形された右上に伸びる「N」の文字は、全体に躍動感が溢れ、未来に飛躍する南部町を表現している。
また、清流や渓谷を表した[青色]、山々や竹林、お茶を表した[緑色]、紅葉や火祭りを表した[赤色]の三色で構成された「N」の文字は、町内の多彩な風景と新町の将来像である「水と緑が溢れるふれあい豊かなまちづくり」に相応しいイメージを表現している。
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いろいろ渉漁するうちに、こんな類似品を見つけたんですよね。

福岡県嘉麻市
市章(アンケート対象作品(C))
嘉麻市章(作品(C))

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自然・歴史・文化・人が交流し、時の流れの中で一体化し大きな力となり未来に向け飛躍する同市の姿を1市3町の融合から生まれる情熱あふれるイメージと共に躍動感いっぱいにシンボライズ。
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北海道虻田郡洞爺湖町
町章(候補作品:作品番号71)
洞爺湖町章(作品番号71)

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豊かな自然(湖海・火山・緑の大地)が一体化し、未来に向け大きく飛躍する同町の素晴らしさを誇らしくアピールする姿を、Touyakoのイニシャル[T]をアレンジして躍動感いっぱいにシンボライズ!!
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この2点、デザインはほぼ鏡像関係に立っているし、文章も似てますね。ついでに言うと、プロセスから時期まで似ている。

嘉麻市章公募:
2005.05.30〜07.15
 募集
2005.09.15〜10.14
 住民アンケート
2005.11.18
 第12回嘉穂南部1市3町合併協議会で決定
2006.03.27
 山田市・嘉穂郡の稲築町・碓井町・嘉穂町が新設合併

洞爺湖町章公募:
〜2005.08.31
 募集
2005.09.22〜30
 住民等投票
2005.12.19
 第14回虻田町・洞爺村合併協議会で決定
2006.03.27
 虻田郡の虻田町・洞爺村が新設合併

合併の効力発生日なんか全く同じですもんね。因みに山梨県南部町章は2004.01.05制定。うーん、嘉麻市も洞爺湖町も南部町章を類似作品とは見ていなかったということでしょうか。あるいは南部町章にインスパイアされたってなもんかね。
でも気にする人はいたわけで。

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481:2005/09/22 09:50
洞爺湖町町章候補54点!
洞爺湖町71番嘉麻市Cと酷似...。選定途中だけど通報に値しないかな?

(洞爺湖町)
[URL]

(嘉麻市)
[URL]

483:2005/09/22 10:06
>>481
右向きと左向きで両方が採用されたら、おもしろいんじゃないかな?

484:2005/09/22 11:03
これくらいならいいんじゃね?
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でも結局採用されたのは次の作品。

福岡県嘉麻市
市章
高倉孝之(41歳:北海道札幌市)
嘉麻市章

北海道虻田郡洞爺湖町
町章
知久真巴(ちく まさみ:「巴」は「巳」の誤記?)(東京都世田谷区)
洞爺湖町章

片や丸ブー、片や風景画調。どちらがお好きでしょうか?

(続く)

2016年1月21日 (木)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その154:下呂ネットサービス)

(承前)

満を持して、顔入り真正塩ロゴ採用作品、登場です。今回はアルファベット遣いでいきましょうかね。

岐阜県下呂市
下呂ネットサービス
ロゴデザイン
塩崎歩美(30歳:大阪市生野区)
下呂ネットサービス

下呂ネットサービスとは、旧 下呂ケーブルテレビが2007年6月に名称変更し、2008年4月から光サービス提供を始めるとともに対象エリアを拡大したもの。と同時に指定管理者制度(ということはやはり行政が一枚噛んでいたわけだ)を敷き、株式会社NTT西日本−東海(現 NTTビジネスソリューションズ株式会社)がサービス実施事業者となった。
という時代の流れの中で、2007年12月に制定されたロゴです。審査員に岐阜市長 山田良司、NTT西日本岐阜取締役部長 伊藤功康が含まれていたのも、そこらの事情と見ました(肩書表記がいい加減ですが、岐阜新聞の記事がそうなってたからしゃああんめえ)。優秀作品には村瀬まゆ美(52歳:岐阜県加茂郡川辺町)ほかが入っている。

デザインの方は「ケーブル」でも「光」でもない気がしまする、[電波]ってだけ^ロ^;。テクノロジー系になると途端にコンセプトが曖昧模糊としちゃうのが塩崎一族の弱いとこです。
そちら方面不得手なのは年齢的にも仕方がないとして(おっとこれは歩美作品であったか)、テーマ、コンセプト、モチーフと分けて考えた場合、「テーマ」は普遍的に「かわいい」なのは間違いないでしょう、シオザキデザインって。それは栄一が生涯をかけて一代で築き上げ、そして墓場まで持っていくものである。公募バカ一代、花伝書なし。
で、「コンセプト」など実は常に不在で、「モチーフ」ばかりに頼るから、そのモチーフ=具象的な盛りアイテムも乏しいとなると当然弱くなる。そのようにツルは理解しています。

結局、「シンボルマークなのかキャラクターなのか」という境目は、一族にとって、「シンボルマークの募集なのかキャラクターの募集なのか」という点ではなくて、「十分な盛りアイテムを見つけられたかどうか」にあるんじゃないかと思えてくる次第。
この作品であれば、それはイニシャル[G]しかなかったわけですね。この文字をプラットフォームにしたものは前にもあったな。

【その83】
ガルエージェンシー株式会社
イメージキャラクター
(優秀賞)
塩崎(大阪府)
ガルエージェンシー株式会社(塩崎案)

まあ、「温泉」を盛らなかった分だけましとしましょうか。

以下はおまけ&蛇足。
二昔ほど前にはマルチメディアの大本命だの放送と通信の融合だのFTTH/Fiber to the Homeだのと、甘やかにして威勢のいい話題に満ちていたCATV業界も今やすっかり気息奄々。
というより、"Home"に未来の夢は誰も見なくなってきているのじゃないかという気がする。オーディオは既に遠く消え去り、テレビもビデオ(広義での)も立場を失い、パソコンすら沈み始めて久しい。地デジの諸機能を日常的に使っている人なんてどれほどいるんだろう。
これらの機器、というより機能は、おうちの中でどっしり座って使うものじゃなくて、携帯性と結びついて四六時中使いこなしていくべきものに変容しつつある。ちょっと前盛んに言ってたユビキタスって、こういうことだったのかしら?
むしろおうちの中に今求められているものは、それらから解放される時間、安らげる空間ではないのか。

代わって情報化の最先端を切り開く役が回ってきてるのは "Car" なんじゃないっすか?クラウド化が現在最もわかりやすい形で実用化されているのもクルマの世界だし、ハイテク日本としては2020年の東京五輪の頃には「自動運転」や「安全・安心」に具体的成果を出したいところだろう。そうなりゃカーナビはもはやコックピットの司令塔に変容していくんじゃないかしら。(となると、最近若い人がクルマに乗らないってことが業界的には頭痛のタネでしょうけど。)

もっと言うなら、「双方向」という漠たる殺し文句も、つまるところ明確な必要性・必然性がなければ効果を持たない、成果を生んでいかないということではないですかね。

(続く)

2016年1月19日 (火)

【番外編】水は高きより低きに流れる、とかや(奥州市章・匝瑳市章・安平町章応募作品・八幡平市章応募作品)

(承前)

旧年中に取り上げた、この作者のことについて。

【2015.12.15「アは阿呆のア,A is for Absurd ― 4」】
鹿児島県奄美市
市章
(受付番号2416:優秀賞)
水窪義信(宮崎県都城市:華道家元)
〔2005年11月〕
奄美市章(水窪案)

調べていると、ちょっとひっかかることが出てきました。

岩手県奥州市
市章
(No.0597:優秀賞)
水久保義信(宮崎県)
〔2005年10月〕
奥州市章(水久保案)

千葉県匝瑳市
市章
(優秀作品)
水久保義信(宮崎県都城市)
〔2006年5月〕
匝瑳市章(水久保案)

やはり複雑系丸ブーにいたくご執心のようですが、そのことよりも。
奄美市章公募を挟んだ前後では、いずれも「久保」の字になっているんですね。なぜ奄美市だけ「窪」なんだろう。「華道家元」と何か関係があるのだろうか。

でももっと驚くのは、奥州市で隣に並んだこれかもしれません。

岩手県奥州市
市章
(No.0207:優秀賞)
東 信慶(福岡県)
〔2005年10月〕
奥州市章(東案)

あちゃー、やっちゃいましたか。

【その151】
滋賀県米原市
市章
(入賞)
塩崎栄一・塩崎歩美
〔2004年12月〕
米原市章(塩崎父娘案)

【2015.07.03「丸ブー艶競べ [8a]」】
福岡県朝倉市
市章
三浦喜雄
〔2005年9月〕
朝倉市章

東センセ、アナタやっぱり類似ネタ多いですよ(cf. 2015.12.19「アは阿呆のア,A is for Absurd ― 6」)。
確かに、三角の[山]の下に丸く[水=川/湖/海]を表した丸ブー自治体章デザインはしこたま多い。おそらく公募をかければ必ず送られてくる類いのモチーフなんだろうと思います。例えばほれ。

北海道勇払郡安平町
町章
(応募作品)
〔2005年10月〕
安平町章(応募作品)

岩手県八幡平市(はちまんたいし)
市章
(応募作品0268)
〔2005年6月〕
八幡平市章(応募作品0268)

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八幡平市の頭文字を「八」を数字の[8]でモチーフに岩手山、八幡平、安比高原の恵まれた地域、[山]と緑自然の恵みに感謝と感動の地。「農(みのり)と輝(ひかり)の大地−交流新拠点をめざして」将来像を目指し岩手山、八幡平、安比高原の自然をイメージしつつ、交流新拠点を[ダ円]で描いています。人と自然との調和を生かした交流新拠点 八幡平市の誕生です。
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けれど、だったらそうしたものは避けるのがデザイナーの心意気ってもんじゃないのかね。

しかし八幡平市のこの文章、そこはかとなく次のあたりにも似てるなー。

【その54】
愛知県愛西市
市章
塩崎栄一
〔2005年2月〕
愛西市章

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愛西市の頭文字をローマ字の[a]でモチーフに濃尾平野の豊な緑と清清しい空気、長良、木曽川の恵まれた自然。海部西部4町村が一つに。
人々が連帯し飛躍する地域の皆様の姿を思い、[赤]の[太陽]で地域の飛躍を「人と緑が織りなす 環境文化都市 愛西」人が元気、町に活力。
今、愛着の地に愛西市の誕生です。
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鹿児島県日置市
市章
(優秀賞)
塩崎栄一
〔2005年3月〕
日置市章(栄一案)

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日置市の頭文字を漢字の[日]でモチーフに。薩摩半島の豊かな自然に囲まれた地域、神之川、八重山、東シナ海等山、川、海、自然の恵みに感謝と感動の地。地域の皆様のイキイキ飛躍する姿を勢いの[波]にたとえイメージしています。地域の歴史も繰り返す波々で現在の伝統を大切にする日置市民の気質で「地理的特性と歴史や自然との調和を生かしたふれあいあふれる健やかな都市づくり」をシンボライズ、自然と調和の日置市の誕生です。
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ブツ切れで意味の通らなさ加減も、〆のセリフもね。気になるけど、継続検討ってことで(^_-)。

閑話休題。
水久保は奥州市章公募の少し前、R-10氏のblog「新燃岳のふもとより」に風変わりな一文をコメントしている(抜粋)、しかも自らの氏名・住所・電話番号入りで

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(2005.02.21)

水久保義信
故郷に感動。出逢いに感謝。18才でふる里宮崎、都城を後に東京へ一旗上げに、一流の商業デザイナー、プランナーになりたくて、夢と希望を胸に、夜行列車で旅立ち。36年、良く飯を食えたもんです。この度、36年ぶりに都城に一旗下げに帰ってきました。長男ですので、両親82才の面倒を見る為に。が、しかし、このまま下げるわけにはいきません。今日は合併調印式。新たな街の大事な一歩の日。あまりにも街づくりが、ひどいものです。これから、新たなる発想で街づくり、人づくりに、挑戦していくつもりです。よしのぶ 決意     都城市今町****-** TEL 090-***-***** ****-**** はじめまして 乱文お許し下さいませ。
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ただのお花の師匠ではなかったわけだ。
この書き込み、blogの記事内容とは全く関係のないもので、ちょっと呆気に取られますが。
因みに都城市は2006年の元日に北諸県郡(きたもろかたぐん)の山之口町・高城町(たかじょうちょう)・山田町・高崎町(たかざきちょう)と新設合併しているので、「合併調印式」とはそれを指しているんでしょう。

前々回挙げた「デンターネット」にもこんな書き込みが載っていてまた驚かされる。

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(2012.07.12)

匝瑳市の市章でともに入選した 水久保義信と申します。
大丈夫ですか。元気ですか。生きていますか。
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ツルはこういう書き方は不躾なものとして嫌いです。歯医者さん達が情報交換するサイトじゃなくて、歯医者さんに関する情報を交換するサイトだから、小松のレスも当然ついてはいませんが(水久保はおそらく勘違いしている)。

その小松は・・・。

千葉県匝瑳市
市章
(優秀作品)
小松秀男(宮城県気仙沼市)
匝瑳市章(小松案)

こりゃまたどこにでもありそうな丸ブーですな(笑)。よく類似調査にひっかからなかったものと感心します。

他人のblogでいきなり自分語りを始めたり、公募で知り合った(?)相手の(震災からの?)安否をこんな形で尋ねたり、いささかの自己肥大を感じる。翔んでるお師匠さんのようです。

(続く)

2016年1月17日 (日)

【番外編】21年目の朝に(はばタン)

愚blogでは図らずも震災のことに触れることが多くなっていますが、今回は震災といっても、21年前の今日、午前5時46分に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)に関わることを少し。

兵庫県
第61回国民体育大会「のじぎく兵庫国体」・第6回全国障害者スポーツ大会「のじぎく兵庫大会」 大会マスコット
 ↓
兵庫県マスコット
はばタン
JUNBOw(本名 金 成俊(キム・ソンジュン):兵庫県神戸市:デザイナー)
はばタン(当初版) はばタン(現在版)

ひよこではありませんよ。2006年秋にご当地で半世紀ぶりに開かれることとなった国体のマスコットとして、2003年1月に制定されたキャラクターで、1995年1月17日の地震発生から11年が経つということで、不死・再生の象徴[フェニックス]に震災からの復興のコンセプトが重ねられたわけ。別途公募の愛称は兵庫県赤穂市の小学5年生の案が採用された。
大会スローガン「“ありがとう”心から・ひょうごから」も同じ趣旨でしょう。

ツルはまるで知らなかったんですが、ご当地では圧倒的な人気を誇るらしく、着ぐるみは国体前の時点でなんと80体以上あったらしい。尼崎市バスやJR姫新線(きしんせん)などの車両にもラッピングされたり、国体直後、2006年11月の尼崎市長選では投票PRにひっぱり出されたりしてたそうな。翌年4月から県のキャラクターに出世したという典型的[藁しべ長者系]です。今や肩書きも「ひょうご観光大使」「ひょうご農(みのり)大使」など様々ある。
因みに男の子、もちろんスポーツ万能。人気者だからパチもん、いやいやおともだちも「ぱなタン」「ぷくタン」「わるタン」などたくさんいるはばタンです。

でも今回、取り上げたいのはキャラクターそのものじゃない。

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(2014.06.29 神戸新聞)

震災「20周年」やめ「20年」に 兵庫県、遺族に配慮

昨年11月に発表された兵庫県「震災20周年事業」のロゴマーク
震災20周年

現在の兵庫県「震災20年事業」のロゴマーク
震災20年

阪神・淡路大震災から20年となる来年1月に向けて展開する「県民総参加事業」について、兵庫県が従来の「震災20周年」の表記を改めて「震災20年」に統一した。「周年」は祝い事に使われることが多く、「たくさんの人が亡くなったのに、違和感がある」との声に配慮したという。県は「『周年』は誤りではないが、多くの人に受け入れてもらうため」としている。(森本尚樹)

広辞苑によると、周年は「(1)まる1年(2)転じて一周忌のこと(3)ある時から数えて過ぎた年数」の意。一般的には「開業20周年」「結婚10周年」など祝い事に使う印象が強い。
兵庫県は震災翌年から、式典や関連事業の名前などに一貫して「周年」を使ってきた。「15周年」の記念式典で被災者らから疑問が投げ掛けられた際も、担当した県防災企画課は「『周忌』と同じ意味で、他の災害の式典でも使われている」と説明した。
震災20年に向け、県は2月の新年度予算案発表でも「20周年記念事業」と表記していた。今後も「阪神・淡路大震災20周年事業基本方針」などの計画名や「震災20周年事業班」などの組織名は変更しないという。
神戸市は毎年の式典や事業で「周年」は使っておらず、来年に向けても「震災20年継承・発信事業」を展開していく。
震災で妻を亡くし、2004年の神戸市追悼の集いで遺族代表を務めた中島喜一さん(67)=同市東灘区=は「おめでたいことなら『周年』で良いが、遺族としてはずっと引っ掛かっていた。被災地ではそれぞれの人にそれぞれの思いがある。私にとっては『20年』の方が受け入れやすい」と話している。
一方、今年3月の東日本大震災3年の政府追悼式典は「3周年」が使われ、10月の中越地震10年に向けて新潟県は「10周年」事業を展開している。
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ああ、そうか。ずっとなんとなく感じていた違和感はこれだったんだ。「周年」はやはり、「予定されていた事柄」に対して使う言葉ですよね。
もう20年前の話になるのか。

似たようなことはツルも仕事の上で指摘されたことがある。投資家向けAnnual Reportの原稿で東日本大震災のことを「the Great East Japan Earthquake」と書いたところ(一般的な表記だとは思います)、弁護士レビューで「"Great" というのは通常いいことに使う単語だから何か他の語に言い換えた方がいいのではありませんか」とコメントが入った。適当な代替も見つからなくて結局そのままにしたけれど、被災者の立場からすればやはりあの地震をGreatとは言ってほしくないだろうなとは思います。

2016年1月15日 (金)

【番外編のおまけ】四海波 静かにて(本吉響高校・白石高校)

(承前)

前々回のこれの作者のことなんですが。

宮城県気仙沼市
ご当地ナンバープレート
小松秀男
気仙沼市ナンバープレート

もう6年も前のこととて、情報は気仙沼市サイトにも残っていないんだけれども、意外なところでヒットする。歯医者検索サイト「デンターネット」がそれ。

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(2010.01.21)

サメを可愛らしくあしらった「ご当地ナンバー」が、サメの水揚げ日本一の気仙沼市で採用される。プレートのサメをデザインしたのは、同市東八幡前の歯科医院長小松秀男さん(61)。「親しみやすさ」を意識したという。今年中に125cc以下のバイクなどに交付され始める予定だ。(掛園勝二郎)

くの字に跳び上がった笑顔の[サメ]が、ナンバープレート上部の「気仙沼市」表記の左横に描かれる。制作者の小松さんは「気仙沼を訪れる人たちを歓迎し、陽気に跳びはねるサメを親しみやすく表した」という。自身のデザインがご当地ナンバーに採用されたことは「微力ながら協力できて市民としてうれしい」と話している。
小松さんは、小学生の夏休みに数十枚の絵を描き、教室に張り切れず体育館にまで展示されたというほど絵が好きで、いまも描き続けている。デザインを始めたのは平成の大合併で各地で新市、町のシンボルマークの募集が相次いだ十数年前。気仙沼市本吉町の本吉響高校の校章や、今年4月に学校を統合してスタートする白石高校の新校章も小松さんのデザインだ。
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どうやら2010.01.18の朝日新聞記事の転載らしいです。その時点で平成大合併が「十数年前」というのはちょっとおかしいよね。
本吉響(もとよしひびき)高校は1999年に校名を津谷高校から変更しているので、校章もそれに合わせてリニューアルしたんでしょう。おそらくこれが「十数年前」の意味するところではないかと。

絵心豊かな歯科医が作った校章とはこんなデザイン。

宮城県気仙沼市
宮城県本吉響高等学校
校章
小松秀男
本吉響高校

宮城県白石市(しろいしし)
宮城県白石高等学校
校章
小松秀男
白石高校

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白石の[白]をモチーフにして、大きく羽ばたく鳥を表した。校訓の「志操凛風・進取創造・自彊不息」を意識して、素晴らしい未来に向かって大きく飛躍する白石高校を図示。
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白石高校の校訓は「しそうりんぷう」「しんしゅそうぞう」「じきょうやまず」と読みます。最後だけ訓読みかいっ!
因みにどちらも県立高校ですが、ご当地では「宮城県立」ではなく「宮城県」と冠するらしい。

ちょっと訂正させてもらおうか。「絵心豊かな」→「流行に敏感な」。[丸]こそなけれ、いずれも立派な[ブーメラン]です。

白石高校は、2010年4月に、旧 白石高校(男子校)と白石女子高校が統合され、男女共学校となったところ。同校サイトには;

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ここに掲載する写真は、地震発生直後の本校の様子を撮影したものです。震災直後は生々しく、また忌まわしい記憶を呼び起こす恐れもあるため非公開としてきましたが、震災から満4年を経過し、記録・記憶の重要性が指摘される中で、公開することにしました。
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として、かなり詳細な記録が掲載されています。
対して本吉響高校サイトには、震災の記憶につながるものは何も残されていない。けれどもこれは、同校の体育館が遺体安置所になっていたという事実も考え合わせると、一層生々し過ぎて簡単には呼び起こせないということだと思います。たった5年前の話、なんだろう。

― Title Inspired by「四海波」:謡曲「高砂」より ―

♪四海波 静かにて
 国も治まる 時つ風
 枝を鳴らさぬ 御代なれや
 あひに相生の松こそ めでたかれ
 げにや仰ぎても 事も疎かや
 かかる代に 住める民とて豊かなる
 君の恵みぞ ありがたき
 君の恵みぞ ありがたき

(続くんだなこれが。)

2016年1月13日 (水)

【番外編】もうやめようよ、ご当地ナンバープレートとか。 ―― 日本経済研究所のこと:3(東京五輪記念ナンバープレート)

(承前)

かくしてバイクのご当地ナンバープレートは、日本経済研究所サイトによると、今や「導入市区町村数」が382となっているそうな(ようけアホらしいこと調べたもんやな)。

2006〜2010年 小計27
2011年 46
2012年 78
2013年 87
2014年 92
2015年 52(11月2日現在)

累計 382市区町村

でももちろん、数が重要なのじゃありませんよね。大切なのはクォリティ。でもそれだとて、もはや主流は今まで見てきたようなオリジナルのデザイン(公募とはいえ)でさえなく、単に既存のご当地キャラか、あるいはそれすらなくば単に人気マンガやTVアニメの大御所キャラをあしらうだけになっちゃった。ウルトラマンやらニャロメやらゲゲゲの鬼太郎(水木しげる先生に瞑目)やらルパン三世やらメーテルやらキャプテン翼やらコナンやらののちゃんやらエヴァンゲリオンやらのプレートなんて、ほんと愚の骨頂です(全て実在する)。集客力を当て込んだ人寄せパンダ以上のものではない。だから画像はお見せしません。(なぜ仮面ライダーのはないんだろう、そのものズバリなのに^^;)
あと10年もしてまだこの勢いが続いていたら、アンパンマンやジバニャンのナンバープレートなんかもマジに出てくるかもしれないな。お豆腐屋さんがアンパンマンのバイクで売り歩いてたらちょっと空気が変。猫の地縛霊乗っけたバイクなんて、おかしくって ちょっと ばか。

現在、周年記念事業としてロゴを作ったりナンバープレートを企画したりしているご当地はそれなりにある様子。つまりはご当地キャラだの周年ロゴだのと同じこと。
周年ロゴは昨年3〜5月にSubseries【十年に一度の逢瀬】〜【百年に一度の邂逅】でたっぷり斬りまくったところだし、ナンバープレートだって、垂水作品だけ取っても;

四万十市:市制・合併10周年
廿日市市:市制25周年
高原町:町制80周年
藤枝市:市制60周年
行田市:市制65周年
久喜市:合併5周年

といった具合。ご当地潮流の新しいバリエーションと言えるんでしょうか。
もっとも、2015年はご当地ナンバープレートの新規制定自体が大幅減のようだし(ナゼなんでしょうね)、日本経済研究所サイトもちょっと前まで月に1回は更新されていたのに、昨年からはどうも半年1回のペースに落ちている。旗振り役が息切れしてどうすんのよっ(-_-)。

ツルの目下の懸念は、国の管掌する自動車の世界でも、2016年度(?)からご当地デザインナンバープレート(既に実施されている「ご当地ナンバー」とは意味合いが異なる)が解禁されるらしいことです。

そう言えば昨年10月、東京モーターショーに行ったら、全国自動車標板協議会というところが「ナンバープレート展」(後援:国土交通省・外務省)てなものを会場の隅っこでやっていた。デザインナンバープレートも検討中、とあって、サンプル展示を見ると図柄はいかにも五輪記念ぽい[富士山]&[桜]のひたすらな乱舞・・・。やっぱり「ニッポン」を鼓舞するものでしかないらしい。だったらどうせのこと、ゲイシャ・ガールまで入れればいいのに(^_^)y-゜゜゜。

2020年オリンピック・パラリンピック東京大会 特別仕様ナンバープレート(案)
東京五輪記念ナンバープレート1 東京五輪ナンバープレート2

初め五輪マークがついていたのが取れちゃったんですね、これは諸般の事情ってやつかしらww。さらにこれは例のエンブレム問題のあおりを食らって、当初予定の2015年度内導入が遅れることとなった由(IOCに、オリンピックナンバープレートを作る際にはエンブレムを入れざるべからずという規則があるそうで。いやはやなんとも)。こちらも公募するらしいから、腕に覚えと脛に傷持つ方はどうぞチャレンジなすって下さいな。

結局、「かわいいから」「楽しいから」、「手間をかけずに税収増が見込めるから」、あるいは「欧米でも行われているから」、「オリンピック/パラリンピックを開くから」という理由だけで、それが何のために必要なのか、どんな効果があって政策として優れているのか否かなどを深く追究することなしに走っちゃうんですかね。今度は国家レベルで。

2016年1月12日 (火)

【番外編】もうやめようよ、ご当地ナンバープレートとか。 ―― 日本経済研究所のこと:2(気仙沼市ナンバープレート)

(承前)

清水の書いた「まちの紋章」、馬鹿馬鹿しくて真面目に取り合う気にもなれないのだけれど・・・。

まず、冒頭段については、平成の大合併による新自治体の誕生で自治体章というものが大きく様変わりした現状を認識しておらず、これが書かれた2010年段階で既に事実から大きくかけ離れていたことを指摘したい。(いわゆる丸ブー自治体章では「漢字」や「平仮名」をベースにしたものが極端に少ないのは、愚blogで今まで見てきたところ。)

もう一つ、清水の言う「まちの紋章」、すなわち「市民みんなが親しみやすい紋章」なる概念は、いわゆる「ご当地キャラクター」にその役割として与えられているものではないのか。使用目的/地域が限定され、対外的発信力の面で明らかにご当地キャラクターより劣るご当地ナンバープレート(つまりはNicheである)に、なぜ「地域主権を試す第一歩としてわかりやすいコンテストである」という命題を課さなければならないのか、何の説明もされてはいない。

ツルは、一般論としては「どれもユニークな形ばかり」とはとても言えないと思うし、例えば「フカヒレのまち気仙沼」が「陽気にとびはねる[サメ]」を描いた「かわいい」原チャリ用プレートを作ったからといって、「対外的なPR効果もたいへん大きい」とも全く思わないです。よしんば一過性のニュースで取り上げられる僥倖があったとして、その後はジモティが利用するだけである。それは一体人口の何%になるというのか。着ぐるみキャラクターみたいによそへ出かけてPRしてくるわけにもいきませんしね。(上記は震災前の記事だから、これ以上鞭を打つのも意味がないのでやめますが。)

宮城県気仙沼市
ご当地ナンバープレート
小松秀男(61歳:気仙沼市:歯科医師)
気仙沼市ナンバープレート

果ては最終段の締め言葉である。『バッジ、シール、旗、絵葉書などに形を変えて拡がれば、市民の誇りを写した未来の「まちの紋章」になるだろう』、こんなものはまさにご当地キャラクターで求められ実践されているところを横滑りさせてきただけではないですか。この論稿のどこに耳を傾けるべき独自性があるのだろう。

「地域未来研究センター」の「研究主幹」として取り扱うべきは何なのか。こんな思いつき程度の事象を吹聴して回ることじゃないでしょ。
ご当地キャラがマンネリに陥った弊をご当地ナンバープレートで繰り返さないという視点こそが必要ではないのか。あるいは、こうしたご当地ネタの限界まで予測することが「地域未来研究」を標榜するシンクタンクの役目ではないのか。「できること」と「すべきこと」とは異なる。

(続く)

2016年1月11日 (月)

【番外編】もうやめようよ、ご当地ナンバープレートとか。 ―― 日本経済研究所のこと:1(松山市ナンバープレート)

個別の作家に肯定的評価を下したからといって、ツルはご当地ナンバープレートそのものに価値を認めたわけではありません(いきなり挑戦的)。

で、このことを斬る上でどうしても無視できない存在が、「財団法人 日本経済研究所」です。
サイトを見ると、全国のご当地ナンバープレートに関する情報が網羅されている(みたい)。社協キャラのことなら小野市社会福祉協議会に行け、ご当地ナンバーなら日経研に訊け、全てがわかる、ってなもん。

なんでそうなのか。「経済効果は○億円と試算され・・・」的なものだと思うでしょ。ところがそんなユルい(笑)ものではないのだ。
「全ての市区町村にご当地プレートが導入されることを目的に本サイトを2011年4月に開設しました。」というんだからもう大変、埼玉県知事も尻尾巻いて逃げ出す勢いです(あっ、昨年8月の選挙では自ら定めた多選自粛条例の抜け穴をくぐっての四選目、おめでとございまス上田センセ。県議会とはまだだいぶモメとるようでがすの)。
大震災直後からそんなものが始まっていたというのが驚きですが、ああ、つながりたかったのだねきっと。

「日経研月報 2010年12月」にはこんな文章が載せられている(同サイトに現在も載ってます)。

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地域研究
地域文化シリーズ 15

まちの紋章

財団法人日本経済研究所 地域未来研究センター 研究主幹
清水希容子

 わが国の市章は、名前の漢字や平仮名を単純に崩した“マーク”が多い。このため、実際に目にするのは役所の書類くらいで、その存在を認識する市民は少ないのではないだろうか。市民みんなが親しみやすい紋章はと思ったところ、御殿場市で富士山型ナンバープレートの原付バイクに出合った。全国一律で画一的な形にとらわれず、独自の形状や図柄のプレートが市区町村ごとに次々と登場し、2008年に3、09年に4、10年に6市町村で既に導入されている(地図参照)。
 倉敷ナンバーなど19の「ご当地ナンバー」が2006年に登場したことは記憶に新しい。自動車の場合、道路運送車両法によりプレートの形状や図柄まで国の管轄下にある。だが、総排気量125cc以下のいわゆる原付バイク、小型特殊自動車、ミニカーのプレートは、市区町村の条例に基づく地方税課税のための標識であり、その形状や図柄は自治体だけで自由に決められる。国や県との間に許可や報告の義務はなく、事後的に地元警察に届け出ている。原付バイクの「ご当地プレート」は、些細なことだが、地域主権を試す第一歩としてわかりやすいコンテストである。
 ご当地プレートに初めて取り組んだのは、2007年の愛媛県松山市で、市役所内で自動車のご当地ナンバーのように独自なことができないかと考えられた。司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」のまちづくりにちなんで雲の形とし、その柔らかなイメージは温暖な気候や暮らす人々のおおらかさを表している。地名標記を「松山市」から「道後・松山市」と変え、地域ブランドの道後温泉を活用し親しみを演出する。御殿場市の富士山型は、ご当地ナンバーの縁を生かして、静岡県6と山梨県7市町村で共通して使用されている。
 どれもユニークな形ばかり。真田幸村ゆかりの地である長野県上田市は上田城の櫓の形に旗印の六文銭の図柄、将棋の駒の生産量日本一の天童市では駒の形に、ササニシキ米の主産地の宮城県登米市はコメの形を、造船業が盛んな尾道市では船の形、ねずみの形を選んだのは雪舟の里・岡山県総社市。
 カラー化した特徴的な図柄では、山形県東根市のさくらんぼ、奈良県大和郡山市の金魚と桜などがある。その他、調布市のゲゲゲの鬼太郎(作者の水木しげるが在住)、三鷹市のPoki(スタジオジブリの宮崎駿デザイン)など、まちにゆかりのキャラクターを使用しているものも。地形、歴史、食べ物、植物などをモチーフにしてまちの特徴を上手に表現している。ユニークなプレートが、これから全国1,750の市区町村の数だけ見られるようになれば楽しい。
 宮城県気仙沼市では、郷土愛を深め、全国に発信して地域振興や観光振興を図ろうと、水揚げ量日本一のサメを図柄に採用した。導入した2010年8月には通常の約3倍の交付申込みがあったという。担当する気仙沼市税務課主幹の三浦幸彦氏は「公募で選ばれた図柄は『フカヒレのまち気仙沼、人々を歓迎し陽気にとびはねるサメ』を表現したもの。多くの市民から、“かわいい”という声も聞かれ、対外的なPR効果もたいへん大きいと思う。」と語ってくれた。
 プレートをどのような形状や図柄にするかは、まさに各市区町村みんなのアイディア勝負。創られたプレートが市民に親しまれ、まちの様々な場面に登場する人気者になってほしい。
 市民みんなの決めたデザインが、バッジ、シール、旗、絵葉書などに形を変えて拡がれば、市民の誇りを写した未来の「まちの紋章」になるだろう。
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ぽかーん。理念なき研究者の妄想の罪とはこういうことであるか。ツッコミどころだらけでもう満艦飾の満漢全席状態ですが、そこは次回まわしにして、取り敢えず今日は、後進に道を拓いた初めの一枚だけ。

愛媛県松山市
「雲をイメージしたかたち」のナンバープレート
松山市ナンバープレート

でも実態は、ここから始まったものが、どんどん易きに流れていったわけです。

(続く)

2016年1月10日 (日)

【番外編】悪夢、あるいは回帰熱(プライベート・ビエラ):後編(レルヒさん)

(承前)

プライベート・ビエラの出演キャラクター、知名度と背の高さから言えばこのあたりですか?

新潟県
にいがたスキー100年委員会
日本スキー発祥100周年記念キャラクター
 ↓
新潟県観光キャンペーン キャラクター
レルヒさん
レルヒさん

知ってるぅ。のっぽなやつね。

2009年、公募ではなくコンペで選ばれたもの。採用された株式会社タカヨシのサイトに、これまた「誕生ストーリー」が乗っていて、やたら面白い。

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レルヒさん、それは新潟県の観光キャンペーン「日本スキー発祥100周年」のメインキャラクター。愛知万博のモリゾーとキッコロ、彦根のひこにゃん、そして新潟ではトッキッキ等が活躍する“ゆるキャラ”ブームにうまく便乗したタカヨシの提案が、大手広告代理店など並み居る競合を打ち破ってコンペで採用された、新潟県お墨付きの(?)キャラクターである。
レルヒさんは、1911年に新潟県高田町(現 上越市)でスキー指導を行ったオーストリアの軍人「テオドール・フォン・レルヒ少佐」に由来している。“レルヒ少佐”だから“レルヒさん”という非常に安易なネーミングはここから。彼の指導が日本で初の組織的スキー指導であったことから、2011年は日本スキー発祥100周年なのである。丁寧に「さん付け」にして何か悪いことがあろうか。
もともとこのコンペ、「キャラクター」ではなく「ロゴマーク&スローガン」を決めるためのものだった。華やかなりしスキーリゾートも今は昔、バブル後の景気低迷とレジャーの多様化により利用客減少の一途をたどる新潟のスキー場。ふたたびウインタースポーツに光を! じいちゃんと父ちゃんに昔取った杵柄を! そしてかわいい孫には雪遊びをさせよ! という崇高な理念のもと企画された「日本スキー発祥100周年」には、いったいどのようなロゴが相応しいのか……そこで天啓が閃く。「じゃあ、流行りの“ゆるキャラ”でいこうかな。」

だいたいにおいて自治体のロゴマークやらスローガンは、「製作者以外の誰にも思い入れが無い」ものと相場が決まっている。思い入れがないから、誰もそのロゴやらを旗印に頑張ろうとか思わない → 予算は使ったけど結果はビミョー → 期間も過ぎたし担当者も異動になったから忘れよう、ということになりがちなのである。だったらまずは「自治体の担当者(およびその周辺)」にとって「公務だと忘れるくらい面白い」モノを提供することが大事であり、その答えが「ゆるキャラ → レルヒさん」だったのである。
レルヒさんの造形を担当したのは、外部スタッフであるデザイナーのI氏。タカヨシから出した注文は「“気になる”“怪しい”ヤツに」というもの。単純に「カワイイ」だけではなく「ひっかかる」「記憶にのこる」キャラにしたいということ。ハッキリ言ってキモチワルイあの表情はたぶんそのオーダーから生まれた(たとえば“ド●ガバチョ”みたいな、という打ち合わせがあったかどうかは内緒)。

キャラクター制作のもう一つの狙い、それは「スキーを滑らせる」こと。ポスターなどの印刷物、またwebサイトを通じた情報伝達の有効性は誰もが認めるが、「そこで滑っているレルヒさん」のインパクトには絶対にかなわないのだ。そのため、ゲレンデでのスキー滑走を視野に入れた着ぐるみの制作は、最初から規定路線として進められた。そして完成したのは身長250cmの「うすらでかくて不気味な」着ぐるみ。その姿を見て“子どもが泣いて逃げるのでは”“急斜面で大惨事”等の危惧は、タカヨシのスタッフも県の担当者もとりあえず忘れることにした。

さて、当初の「担当者に面白がられたい」という狙いはまんまと当たった。県担当者の土日をつぶしてのPR活動の結果、イベント、ブログ、加藤清史郎くんや泉田知事との競演等、現実とバーチャル双方でレルヒさんはひっぱりだこ。2月など休みなしであった。この結果露見したのが、キャラクター制作の効果である「メディア話題性」。テレビ、ラジオ、新聞等のマスコミや、同業でライバルでもある広告代理店、そしてもちろん一般の人々がこの“レルヒさん”を、記事やブログという形で話題にし始めたのだ。「思うツボ」である。

〔後略〕
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ええと、「天啓」とは「閃く」ものではなく「得る」「受ける」「授かる」「打たれる」「下される」「舞い降りる」ものではないか、「規定路線」ではなく「既定路線」だろ、とかいう高尚なツッコミはさらりと流しましてと。

そうか!!どこかで見たような懐かしさは、「ひょっこりひょうたん島」のキャラとの相似から来ていたのね。

もともとはロゴマークとスローガンを決めるものだった、という件りは「くまモン」誕生の経緯とよく似ている(cf. 2014.08.01「静岡の恥辱、山梨の呪縛。」)。
あるいは、映画 "Blade Runner"(1982)で、監督のSir Ridley Scott(1937.11.30〜)に起用されたカーデザイナー Syd Mead(1933.07.18〜)が、デザイン画を車両のみならず背景まで細密に描き込んできたことから、小道具やセット、さらには街の混沌と猥雑まであらゆるデザインを任され、つまりはこのカルト映画の世界観そのものを造り上げてしまったことをも想起させます(大げさ?)。

ゆるいどころか、ゴリゴリに筋肉質な肉付けを持ったキャラクターだったんです。やっぱり非公募キャラの方がなんぼか面白いな。

2016年1月 9日 (土)

【番外編】悪夢、あるいは回帰熱(プライベート・ビエラ):前編(コバトン)

(承前)

昨年、もう一つ意外だったのは、パナソニックが「プライベート・ビエラ」のCMにご当地キャラを起用したこと。今度のメインは綾瀬はるか嬢で、何やら新境地な小芝居を披露してるらしい。

綾瀬はるか in プライベート・ビエラ

このキャンペーンを意外に思ったのには二つの理由がある。
一点目は、長く続いたご当地キャラブームも遂に下火となってきて(要出典;某グランプリの投票数が過去最高だったというのが信じ難い)、メディア露出もめっきり減った(ツルはほとんどテレビを見ないんですが、愚blogを続けて久しいことを知っている知り合いが、皆そう言いますもん)今になってこれを打ち出してきたこと。
二点目は、耐久消費財のCMであること。たかだか150円の十六茶とは商品単価の桁が違います。ま、それを言ったらスズキ アルトなんかもっと高額じゃないかよと返されそうだけど。
ともあれ、ターゲティングやら好感度調査やら何やらを綿密にやってあのCMもできあがっているんでしょう。

で、肝心の出演キャラは。

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【北海道・東北地方】
北海道(北海道物産センター夕張店) メロン熊

【関東地方】
茨城県 ねば〜る君
群馬県 ぐんまちゃん
埼玉県 コバトン
千葉県(潮騒市場グループ) ぴーにゃっつ・Pマン
東京都(東京タワー) ノッポンブラザーズ
神奈川県 かながわキンタロウ

【中部・北陸地方】
新潟県 レルヒさん
長野県上田市真田郷 ゆきたん
岐阜県 ミナモ
愛知県岡崎市 オカザえもん

【関西地方】
大阪市浪速区(通天閣) ビリケンちゃん
兵庫県尼崎市 ちっちゃいおっさん
奈良市 しかまろくん

【中国・四国地方】
広島県三原市 やっさだるマン
香川県(本場さぬきうどん協同組合) うどん脳
愛媛県今治市 バリィさん

【九州・沖縄地方】
佐賀県唐津市 唐ワンくん
長崎県壱岐市 人面石くん
宮崎県延岡市 チキなん番長
鹿児島県伊佐市 イーサキング
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以上、21組。あれ、少ない。47都道府県の半分もないじゃないか。東北なんて皆無、塩キャラもゼロ。一方民間キャラもちらほら混じっている。

そうなんですよね。

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パナソニック株式会社は、ドラマや映画など多方面で活躍中の綾瀬はるかさんと日本全国のご当地有名人およびご当地キャラクターを起用した、ポータブルテレビ『プライベート・ビエラ』の新CMを2015年11月27日(金)から放映いたします。
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そんなハイブリッドって、なんか立ち位置すごくびみょーー、中途半端やのーー。まあそれがご当地キャラの現在置かれている状況なんでしょうか。

2013年からの十六茶やアルト エコへの出演との重複は次のとおり。(cf. 2015.02.28「最強の悪夢の名残り(十六茶2015):リスト」)

−●▲− 群馬県 ぐんまちゃん
−−▲◆ 埼玉県 コバトン
■−▲◆ 新潟県 レルヒさん
−−▲◆ 岐阜県 ミナモ
■−−◆ 愛媛県今治市 いまばり バリィさん
−−−◆ 佐賀県唐津市 唐ワンくん
−−▲◆ 鹿児島県伊佐市 イーサキング

全回出演の猛者はいなくなったか。「ふなっしー」ではなく「ねばーる君」が採用されたのも時流ですかね。

各論もちょっとだけ覗いてみませう。

まず何よりも初めに。
「ちっちゃいおっさん」は連れ合いが十六茶2014で目立ってましたが、遂に旦那もCM出演を果たしたことになる。天国の池田進太郎氏もさぞお喜びでしょう。(cf. 2014.04.30「最強の悪夢、増殖拡大 PART 9」・2014.07.28「訃報」)

古株としては、2000年5月デザイン決定のこれだろうか。

埼玉県
第59回国民体育大会「彩の国まごころ国体」マスコットイメージ
 ↓
埼玉県マスコット・埼玉県特命宣伝部長
コバトン
(デザイン)竹腰博晃(埼玉県立川越工業高等学校3年)
(愛称)小松 稔
コバトン(最終版)

埼玉ゆるキャラ王国の中でもちょいと別格。埼玉県サイトには「コバトン誕生秘話」なるものが載っている(抜粋)。

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デザイナーは当時の高校生

〔前略〕

当時高校生だった竹腰さん。学校のデザインの実習授業で、埼玉国体のマスコットイメージに応募しないかという話になりました。

竹腰さん
「コンピュータグラフィックの授業の時間に作って応募しました。だいたい5分から10分くらいで書いたんじゃないかと記憶しています。まあ、よくこれで通ったなって思います(笑い)」。

その時の原画がこれです!今のコバトンと違ってくちばしが長く、全体的にスリムだったんですね。

竹腰さん製作の原画
コバトン(応募案)

〔中略〕

吉澤教諭
「彼は2つデザインを製作したんです。彼が一生懸命やってたのは、たしかサクラソウをモチーフにしたデザイン。そのほかにシラコバトをモチーフにしたデザインも出してきて、手元に2作品になったんです。動きのあるデザイン、県を代表するようなもの、色数は4色前後ということで、どちらかと言えば、シラコバトの方がいいかなということで、私は何も考えずにすんなりこちらで応募してしまったんです。実は彼はサクラソウの方を出すつもりだったと。先生間違えて出しちゃったんだというのが後になってわかって、ビックリしました。」

〔中略〕

知名度アップに向けて頑張った

今では大人気の「コバトン」も誕生当初のちまたの反応は、「なんじゃこりゃ」、「知らん」という感じで。着ぐるみも今ひとつかわいくない・・・。
そもそも国体の知名度アップのために誕生した「コバトン」。当時の国体実行委員会では、「2面作戦」を展開しました。
1つは、「ありとあらゆるイベントに着ぐるみコバトンを出演させる」、もう1つは「様々なコバトングッズを開発し販売する」というもの。
この作戦が功を奏したのか、ある日イベントにコバトンが出没すると、小学生から「あっ、コバトンだ〜」という声が。担当者一同が振り返る。なぜ、この子たちはコバトンを知っているんだ…。
「ねえねえ君たち、何でコバトンを知っているの?」と聞くと、「だって、給食の牛乳にコバトンが書いてあるもん」。

そして県内の人気者に

イベントに出向いてのこまめなPR活動と、コバトングッズの販売で、子どもから大人まで愛されるマスコットに成長。平成16年の「彩の国まごころ国体」も大成功のうちに幕を閉じました。グッズの販売額は総額1億円を突破し、「彩の国まごころ国体」の運営費用の一部に充てられました。

〔後略〕
-----

うー、絵がヘタでもキャラ親にはなれる(笑)。
他にも、提出された時は単に「『シラコバト』をモチーフにした作品」というタイトルであったとか、別途公募による命名の趣旨は、「彩の国まごころ国体のマスコットとしてあちこちを軽やかに飛び回る愛らしい[シラコバト]は、人から人へ、大会から大会へ、みんなの熱意と真心を繋ぐ[バトン]のような存在」というものだったとか、いろいろ載ってます。

手違いによって偶然生まれ出たマスコットはその後、県を代表するキャラに出世していく。[藁しべ長者系]の埼玉的筆頭格です。その歴史はそのまま、ご当地キャラなるビジネスモデルが明確な形を取っていく過程でもあったろう。
2008年12月にはバリエーションが300種類を突破し、26歳となった竹腰にはゆるキャラ県知事上田清司から感謝状が贈られた。

竹腰博晃

そうか!こういうのこそが、「母校の誇り」ですよね(cf. 2016.01.05「Glorious Days, Afterglow: 1」)。

(続く)

2016年1月 8日 (金)

【番外編】お団子頭の異端児(ブラックチェリン)

(承前)

昨年末、久しぶりに山形県寒河江市「チェリン」by まさよについて書いた時(cf. 2015.12.20「下ぶくれなる謎の神々:3粒目」)、このキャラのことを思い浮かべていた。

山形県寒河江市
寒河江臥龍ライオンズクラブ
寒河江市(非公認)ぶっとびゆるキャラ
ブラックチェリン
太田広樹(27歳:山形県村山市:会社員)
ブラックチェリン

昨年2月に、同LCの結成25周年記念で作ったものだとか。例によって、ここが何を考えてこれを企画したのか、このキャラで何をしていきたいのか、そこんところはいまいち不明ですが、お金はある(だよね?)団体のこととて6月には早速着ぐるみもお披露目してます。

Devil風の味つけで、小さい赤い目に口元から[牙]、頭の[サクランボ]には[槍]がついてるという要領。蕎麦の[マント]で身を包んでいるのは、チェリンの「蕎麦マフラー」に対するアンチテーゼです(そったら大層な。胴体手足のデザインが面倒だっただけだろ)。「いつもチェリンの邪魔ばかりする設定」なんだそうで。

あんまり人気出そうにないっすね。悪役だからってわけじゃなく、単に陰湿で狡そうな顔してるから。
え?キャラを顔で判断しちゃいけないって?ご冗談を。ご当地キャラが顔で損しとってどうする。

似たような立ち位置の「ヒッヒー」あたりと比べてみると、好かれるべき要素ってむしろ悪玉キャラの方で重要なんだなと改めて思わされます。

【2014.08.27「足し算と引き算と・・・」】
長野県駒ヶ根市
市民夏祭り・KOMA夏!! キャラクター
ヒッヒー
ヒッヒー

しかしまあ、カワイイばかりが圧倒的多数を占めるご当地キャラ界にあって、非公認系がとんがっているということの新しい例証だとは思うし、さらに考えれば、キャラ乱立の負の効果を極小化しつつ話題作りを絶えず行っていくという二律背反に敢えて挑んだものと言えるのかもしれない。

しかしまあ、どんな運用の仕方してるのか知りたいもんです。同LCでは「市の活性化につながるのであれば、制約を設けず自由に活用してもらう方針」と至ってお気楽なもんですが、ブラックチェリン単体ではどうにも出番が少ないだろうに。

つまりはさ、チェリンだけでは何が欠けていたんですかね?

チェリン2

2016年1月 7日 (木)

【番外編】妻を娶らば才長けて 毒を食らわば皿までも(田尻町キャラ・かんらちゃん・ひのでちゃん・いたちゃん・榛東村キャラ)

(承前)

前々回書いた、このことなんですが。

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井口一族にはこのパターンが他にもいろいろありますんで、また遭遇したら取り上げることもあるでしょう(^_-)。
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もちろん遭遇してますとも。次点レベルになるとそれこそごろごろ。

まず思い出されるのは次のもの。

【2013.12.02「ああ、お手上げ〔おまけ〕」】
埼玉県久喜市
ヒューマンソーシャルハーモニー研究所
双葉郡ブランド ふたば キャラクター

(応募作品 169)
(作者不明)
双葉郡ブランド キャラクター169

(応募作品 170)
(作者不明)
双葉郡ブランド キャラクター170

そうか!「ほこまる」現行版でも用いられている、「A」の横棒を省略したフォントは、フォントメーカーの顧問アドバイザーを務めた経験なかりせば実現しなかったこだわりだったのネ!!(cf. 2015.01.16「Free Lancerの栄光と残照 二:不誠実」)

さらにはこんなのもあって・・・(cf.【その102】・【その78】・2015.12.16「下ぶくれなる謎の神々:2粒目」)

大阪府泉南郡田尻町
マスコットキャラクター
(決定投票候補 5位)
(作者不明)
田尻町キャラクター候補

町の花[コスモス]+お腹に[町章]+[前髪ちょろ]まではすぐに気づいたんだけど、その後の盛りアイテムがどうもわからない。頭のeuroマークのなり損ねみたいなのはイニシャル[t]から来てるんでしょうが、別にシンボルマークなどではなさげ。何より、背中にしょってる黄色い[羽]みたいなのは何なのおおおっ??嗚呼、わからんことをわからんまんまにしとくのってFrustration溜まるわー(Stressには極めて打たれ弱いツルであった)。

群馬県甘楽郡甘楽町(かんらまち)
イメージキャラクター
(優秀作品)かんらちゃん
井口やすひさ
かんらちゃん

甘楽町ではGWの頃、谷あいにワイヤーを張って多数の[こいのぼり]を吊るし(∴揚げる、ではないね)「こいのぼりの里」と称している。現在、約400匹。今ではよそにも増えたイベントだけど、1983年からやっているというのがご当地のご自慢です。町の花は[ソメイヨシノ]。

妻も内助の功とばかりに引っ込んではいられない。

東京都西多摩郡日の出町
イメージキャラクター
ひのでちゃん
井口千鶴子(群馬県高崎市)
ひのでちゃん

[日の出]を描いた[日の出山](ほんとにそんな名前の山があるのさ)のお帽子に、町の花は[サクラ](とフジ)。そう言や1980年代、中曽根首相がご当地に持っていた「日の出山荘」の名は新聞の政治欄でよく見ましたな。
なんと千鶴子はここでも、2013.11.02に「日の出町産業まつり」で行われた表彰式に出席していたのであった(*_*)。

♪飾りじゃないのよ女房は ハッハ〜〜
 代理と違うの千鶴子は ホッホ〜〜

ここまでは全て、やっぱり「つるりん」や「たかちゃん」や「こふくちゃん」と同じく2013年の作品だけれども、しかし過去形にはしてしまえないみたい。

これにも遭遇していたのを失念してました、相済みません井口センセ。(cf. 2015.03.11「最強の悪夢の名残り:分析6」】・【その132】)

群馬県邑楽郡(おうらぐん)板倉町
イメージキャラクター
(優秀賞)いたちゃん
井口やすひさ(群馬県高崎市)
いたちゃん

2014年6月に発表になったものです。採用されたのは「いたくらん」by 竹浪かおる、15点もあった優秀賞には榮一も入っている。
[町章]+町の花[サクラ]、ってこれで何回目だよ(笑)。名産アイテムはコシヒカリを表す[稲穂](ひょっとしたら麦かも)+[キュウリ]+[紅しぐれ大根]、[トンボ]は・・・ああめんどくさい。「いたちゃん」という愛称も結構イタいです。

そして2015年9月、遂にはあの榛東村のキャラ候補入りに至る。

群馬県北群馬郡榛東村
マスコットキャラクター
候補作品 作品番号7
(作者不明)
榛東村キャラクター候補 7番

[ブドウ]の他には村の花[ ヤマユリ]と村の鳥[ウグイス]。
むぐぅうう。榛東村が、候補作品の住民投票が終わるとすぐに募集・投票関係の情報をサイトから全て消してしまったのは、応募側からの圧力によるものではなかったかとの仮説を立ててはいるんですがね。そうしないとこのご時世、さすがに次に使い回しにくくなるでしょ(爆)。
3点も候補に入っちゃった新鋭八谷早希子、同じ群馬県内在住の御大井口やすひさ/千鶴子、あるいは。真実はどこにあるのやら。

そうそう、上掲7点が7点とも、いや、「つるりん」「たかちゃん」「こふくちゃん」まで含めて10点が10点とも、[町章/村章/シンボルマーク]と[前髪ちょろ]が盛ってありますねえ。[歩み寄りポーズ]は言うまでもない。
ついでに挙げると、特徴的なのはもう二つ、[グラデーションチークカラー]と[ボウタイ] or [スカーフ/マフラー]です。ま、そんなこと気にしなくても作者名はすぐわかるってなテンプレ度合いだけど(痛)。

つまりはテンプレートのプラットフォームにお決まりのアイテムをちょこちょこ盛りつけただけ。そのどこが知的労働なのですか?

― Inspired by「飾りじゃないのよ涙は」中森明菜(1984.11.14リリース)―

2016年1月 6日 (水)

【加筆編】Even After the Afterglow: 2(宮古島市キャラ応募作品・群馬県明和町キャラ投票対象作品・江刺野菜ロゴマーク)

【2018.02.19 加筆】

(承前)

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あのね、やすひさセンセは東京時代から何度も何度も使い回しているんだよ。
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例証を続けよう。井口やすひさの東京リサイクルマジックには、こんなのもあります。

沖縄県宮古島市
イメージキャラクター
(応募作品2)
(作者不明)
宮古島市キャラ(応募作品2)

群馬県邑楽郡(おうらぐん)明和町
オリジナルキャラクター
(投票対象作品 63番)
(作者不明)
群馬県明和町キャラ(投票対象作品 63番)

作者不明!?ふんっっ。

宮古島市は2009年12月に選定されたもの、明和町は2010年1月に発表されたもの。やすひさが東京都文京区から群馬県高崎市に移り住んだのは2010年なので、これら2点はいずれも東京時代の最晩期の作ということになる。
因みに前者で採用されたのは「みーや」by 塩崎アユミ、後者で採用されたのは「メイちゃん」by 信貴正明。さらに言えば、明和町社協キャラ「キクちゃん」も塩崎一族の別名義の一つ、房本正美によるもの(cf.【その34】・2017.12.19「大御所厳選!Countdown, 10!!」・【その15】)。類は友を呼び、自己目的化したテンプレDogmaはご当地アイデンティティの喪失を招くんですな。

おそらく作者は、次の辺りと合わせて「一連の連作をなすものであり自分の作風である」などと主張するのでしょうが・・・。

【2016.01.05「Glorious Days, Afterglow: 1」】
茨城県鉾田市
鉾田市観光協会
鉾田市マスコットキャラクター
ほこまる
井口やすひさ
〔2008年11月頃デザイン決定〕
ほこまる1

兵庫県赤穂市・赤穂警察署ほか
鍵かけ防犯マスコット
キー坊
井口やすひさ
〔2008年11月頃デザイン決定〕
キー坊

全てが型どおり。否、それ以上。知的生産に欠けるというのがツルの主張です。憤りすら感じる。

今度は群馬移住後の2014年6月に発表されたものを見てみよう。

岩手県奥州市
JA江刺(岩手江刺農業協同組合)
江刺野菜ロゴマーク
井口やすひさ(69歳:群馬県高崎市)
江刺野菜ロゴマーク

デザインについてはもういちいちコキ下ろさないけど(厭きました)、2014年7月発行の同JA広報誌「すてむ」No.387にはこんなことが書いてあって↓、ひどく驚いた。

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最優秀賞を受賞された井口さんは、50年程前に江刺区岩谷堂でグラフィックデザイナーとして活躍されていた及川利臣さんから公募の基礎を学ばれたとのことです。江刺の[江]の字と主力品種[キュウリ]・[トマト]・[ピーマン]をモチーフにした、明るく元気なロゴマークを応募していただきました。
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及川利臣【2014.10.31「丸ブー艶競べ [3]」】で取り上げた、江刺に名だたる(so-called)芸術家一族の三代目である。というより、脛に傷持つガイダーである(2012年7月物故)。平成大合併時、2004年12月に茨城県東茨城郡城里町(しろさとまち)の町章公募で一旦採用決定された作品が、新町成立直後の2005年2月になって旧い自作の岐阜県郡上郡白鳥町(しろとりちょう)(現 郡上市)の町章をリサイクルしたものだとバレ、採用が見送られたという。
遠い日、やすひさは一体いかなる薫陶を受けたものやら。きっとこんな技ばっかり教わったのだろうな↓。

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このたびは私作品を“最優秀賞”に選んでくださり、光栄に存じ誠にありがとうございます。ロゴマーク募集要項に添った趣旨にマッチした私なりの作品をデザイン応募させていただきました。
「江刺野菜」ロゴマーク誕生を機に、新しい岩手江刺農業協同組合の“顔”として、更なるご発展、向上、繁栄されますことをデザイン制作者として、心よりご祈願いたし、謹んで御礼申し上げます。
   (有)井口デザイン研究室・井口やすひさ
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微妙に日本語が妙なのも目をつぶるとして、「ロゴマーク募集要項に添った趣旨にマッチした私なりの作品」とは何たる物謂いであるか。その要項やら趣旨やらの中身を既に忘れ去っていたのを適当に言いくるめたということでしょ。
前に書いたけれど、「新しい公募を始めるとき、普通は一から考えるのに、この人は以前作ったものをちょっとだけいじって使えないかと考えることから始まるように思える」というやすひさ批判は(cf. 2017.05.23「「公募ガイド」の大罪;実証2」)、ビジュアルだけではなくコメントについてもあてはまるものだったわけです。

【加筆編】Even After the Afterglow: 1(阿波市章)

【2018.01.19 加筆】

(承前)

井口やすひさのデザイン使い回しの術にはツルも相当つきあってきて、相当飽きてきてもいるけれど、やはりこれも見過ごせないので一筆認め申し上げ候。

兵庫県赤穂市・赤穂警察署ほか
鍵かけ防犯マスコット
キー坊
井口やすひさ
〔2008年11月頃デザイン決定〕
キー坊

前々回取り上げたものです。古い話で誠に恐縮m(__)m、井口一族の東京在住時代の最後の辺りの作品ですが、さらにこれより4年前、2004年10月にこんなルーツが存在した。

徳島県阿波市
市章
(優秀作品)
井口やすひさ(59歳:東京都文京区千石)
阿波市章(やすひさ案)

板野郡の吉野町・土成町(どなりちょう)、阿波郡の市場町・阿波町が新設合併して阿波市となったのは2005年4月、それに先立って公募されている。

びっくりだよねえ、善良なる一般市民としては。フォルムはめっきり使い回しじゃないか!!そりゃまあ、「キー坊」が技と暇を惜しんだ小細工、あるいは「まるで手間のかからない子供」だったことは、既に調べがついてるけどさ。

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(選考理由)
力強く動きのある形はシンプルな[円形]にまとめられ、躍動的であり新鮮な感じがする。
緑と水に囲まれた生命を思わせる形である。
シンプルで覚えやすく描きやすい親しまれるかたちである。
[ア]には見えるが阿波までの連想に乏しい。
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阿波までは遠かったかもしれないが、赤穂には近かったということだ。阿波と赤穂、直線距離にして70km、隔てるものは瀬戸内海だけではなかったらしい。

徳島県阿波市
市章
(最優秀賞)
尾浦孝夫(63歳:神奈川県横浜市栄区犬山町)(cf. 2013.10.19「I am the Alpha and the Omega ― 2」)

(優秀作品)
井口やすひさ
信貴美和(37歳:新潟県燕市中央通)
神保米雄(55歳:千葉県松戸市高塚新田)
工藤和久(39歳:青森県弘前市前坂箱崎)

もっとも、「阿波市の連想には乏しい」という評価は神保作品にも和久作品にも進呈されているが(苦)。

賞金は最優秀賞が30万円、優秀賞が各5万円、応募総数は1,174点。いやー、いろいろと昔日の感がありますなァ。

こうしたものについては;

(1) 既発表のデザインであるから、その作者といえども類似作品を他所に提出することは許されない
(2) 次点に終わったのであるから、自己によるデザインのリサイクルには問題がない

の両様の考え方があるものと理解しているけれども、両者の斗争は永遠に続いて終わることがないのだろう。けれど、ツルとしてはやはり、(2)の立場を許せば感覚が麻痺していって、いつしか採用された過去作品まで平気でリサイクルするようになる気がします、すごく。そこは懸念というより確信に近い。そうして自分で自分の顔に泥を塗っていくのではないか、それが愚blogで公募ガイダーなる人種を斬り続けてきてのツルの実感です。

一方で、(1)に対しては、「類似」の取り方が厳格に過ぎればデザイン業界が萎縮ないしは疲弊してしまうという声もきっとあるだろう。そこをどこまで許容してやるかということだろうなあ。しかしツルに言わせりゃ、そんなもんで疲弊するぐらいだったら業界でやってはゆけまい。「新しいものを生み出せ」というのは、公募というより創作活動全般に最優先で適用される鉄の掟であって、それが叶わなくなった時には活動停止するのが身のためである。

でも、某公募系BBSにはこんな意見もあった。

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2005/10/07
つかい回しでも、自分のボツのやつだったら十分OKだね。何度もつかうのはなしだけど。だから、自分のボツは宝の山だよ。
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ああ、やっぱりそういう考え方か。あのね、やすひさセンセは東京時代から何度も何度も使い回しているんだよ。その姿勢は群馬に蟄居した今に至るも変わらぬまんま。
そりゃ、他の常連ガイダーにもそんな手合いはたくさんいる。でも井口一族の場合は、萎縮だの疲弊だのというレベルの問題ではない。「バレなきゃいいや」「わかりゃしないだろう」を超えて、「バレた時にはこう答えれば済む」「叩かれたらここを攻め返せば相手はたいてい黙る」というMethodまで確立しているところが、並のテンプレガイダーとの格の違いなんだと思います

2016年1月 5日 (火)

【番外編】Glorious Days, Afterglow: 2(加子母村章・足和田村章)

(承前)

"Afterglow" の部分ばかり書くのも片手落ちなので、"Glorious Days" についてもひとくさり。

岐阜県恵那郡加子母村(かしもむら)
村章
井口靖久(26歳:東京都:グラフィックデザイナー)
加子母村章

1971年12月25日発行、「広報かしも」第39号より。イニシャル[か]と[し]を[山林]のイメージで意匠化、ですか。「コンパスと定規を使用するだけで、比較的画き易い」というくだりがさすがに昭和を感じさせますが、この頃はまだ「生き生き共生」だの「あらゆる情報交流発信」だののSuper Clicheも編み出してなかったようでありますな(^o^;)。

加子母村は、2005年2月、平成の大合併で同じ恵那郡の坂下町・付知町(つけちちょう)・福岡町・川上村(かわうえむら)・蛭川村・山口村とともに中津川市に編入され消滅した自治体。それがこういう古い情報までネット上ですぐに見つかるというのには驚くばかりです。ほんとすごい時代だなあと思っちゃう。
因みにこの号では、現職の曽我継松村長(69歳)が12月6日に心筋梗塞で急逝という椿事を巻頭ページ全面で取り上げている。そのせいか、村章決定の記事は最終ページに押しやられてしまってます。

作者は26歳にして「最高賞を実に五十余回獲得」というのだからまさに「輝しい経歴の持ち主」。どんな俊英だったであろうと遠い昔が偲ばれます。

ここでちょっと道草を食って、ひょっとしてと思って調べてみたら、村の木はやはりヒノキだった。ご当地には伊勢神宮の20年ごとの式年遷宮に用いるための「神宮備林」もあるし(*)、姫路城の昭和大修理で使われた心柱もご当地の木だそうな。

(*) 正確には、長野県木曽郡上松町(あげまつまち)・王滝村・大桑村と岐阜県中津川市加子母・付知町にまたがる。また、現在は正式には「神宮備林」の名称は用いられない。

姫路城の昭和大修理は第一次六ヵ年計画(昭和25〜30年度)と第二次八ヵ年計画(昭和31〜39年度)から成っていた。大天守の修理が行われたのは後者。

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(Wikipedia 抜粋)

天守を解体した時、これを支えていた東西の「心柱」のうち、西の心柱が芯から腐って再利用不能であると判断され、ただちにこれに替わる巨木探しが始まった。
兵庫県神崎郡市川町の笠形神社境内の檜が検討されたが、上部に曲がりがあり、根元に腐っている疑いがあって保留された。1959年(昭和34年)になってようやく岐阜県恵那郡付知町(現 中津川市)の山中に最適な檜が発見されたが、これは切り出す途中に折れてしまい、その近くで発見されたもう1本は森林鉄道を用いて運搬する途中でそのあまりの長さゆえに折れてしまった。窮余の策として、折れた2本目の根本側と笠形神社の檜とを継ぎ合わせて使用されることとなった。
実は修理以前の西心柱は元々二本継ぎで作られており、修理開始の段階ではその理由が判明しておらず、そのため分割なしの1本の柱を立てることが計画されたのであるが、交換部材が前述のアクシデントで2本継ぎとされることが決まり、実際に組み立て作業が行われる段階になって、これは構造上中央部で2分割しないと立ち上げ時に先に立てられた東心柱に干渉し、狭い作業空間内で正しく組み上げられないことが判明した。
これらの檜は姫路市民総出で大手前通りを祝い引きされ、姫路城内へと運び込まれた。
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なんか、様々な時代の先人達の苦労にじぃん(T^T)ときますね(村章のことじゃないけど)。

Wikipediaにはこんな記事も載っている。

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基礎部分は工事前の調査で南東に44cm地盤沈下していると判明し、礎石のままでは天守の重量を支えきれないため礎石を撤去し、新たに十弁式定盤基礎という鉄筋コンクリート製の強固な基礎構造物が姫山の岩盤上に直接構築された。
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これが、現在の姫路城が「鉄筋コンクリート造り」と陰口を叩かれる所以でしょうが、そこにもまあ様々な困苦のあったことならむ。

加子母村の記事の中に出てくる先行事例、足和田村の村章とはこれ。2003年11月に河口湖町・勝山村と新設合併を行って富士河口湖町になったところです。

山梨県南都留郡足和田村
村章
井口靖久
足和田村章

こっちは当然[富士山]なんでしょう(^_-)。ひょっとしたら英文イニシャル「A」も意識にあったかもしれないな、と思ったら;

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[ア]の文字を図案化し、雄飛発展の意志と力と調和をシンボライズし、村の産業・文化の輝かしい発展、融和・向上を象徴した。
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と説明されてました。残念、アルファベット入り自治体章の先駆けかと思うたに。

いずれも今から半世紀近く前だし、丸ブーなんか影も形もない時代の話だと思うでしょ?でも、足和田村章制定と同じ1971年、アメリカではこれが商標登録されていたのだよ(cf. 2015.08.24「Swoosh!!(あるいは流線形の未来)」)。

Swoosh

やっぱアメリカってすげーー!!(爆)

【番外編】Glorious Days, Afterglow: 1(キー坊・ほこまる・こふくちゃん)

めでたい正月ネタもそろそろ切り上げましてと。

昨年のご当地ネタでツルが最も驚いたのは、塩崎一族の活動停止(?)よりも東京都大田区のキャラ/マーク公募よりも、実はこの件でした。

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(2015.11.04 静岡県浜松市立浜名中学校 blog)

井口やすひさデザイン展

本校を昭和35年に卒業され、グラフィックデザイナーとして活躍されている井口やすひさ(靖久)氏のデザイン展を、本日から本校の本館1階廊下にて開催しています。

校長室にて作品をバックに校長先生とツーショット。(左:井口氏)
井口やすひさ@浜名中学校

井口靖久氏のプロフィール
昭和20年に浜松市浜北区(旧 浜北市)平口法師軒[引用註:ひらくち ほうしけん]に生まれる。
心豊かなエコ環境にやさしいデザイン創作活動に心がけ、シンボルマーク・ロゴマーク、ロゴタイプ、和英、筆文字、キャラクター、年賀状、商品パッケージデザインなど約3,500点を手がける。
最近では、3高校(科学技術・清流館・浜松湖北)や引佐北部小中学校の校章をデザイン。全国各地のゆるきゃらも6点デザインしている。なお、本校野球部OB会のシンボルマークのデザインもされている。

本日から12日(木)まで、展示しています。よろしけば、是非ご来校の上ご覧ください。
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そんなことを、あの井口が!!わー、すごく行きたかったですねえ、それも初日に(爆)。
どうやら50点ほどを選んで展示したようです。既に古稀を越えられたこの大御所ガイダーの回顧展にしては、規模にせよ中学校の廊下って場所にせよ、地味過ぎるんじゃないの?

何が一番驚いたかといえば、出展作の選び方における、「類似」「模倣」に対する鈍感さ(五輪エンブレム騒動の余波でこうした話題が世間の注目を集めていたにも関わらず)。例えばこの18点の中だけでも・・・↓

井口やすひさデザイン展より

兵庫県赤穂市・赤穂警察署ほか
鍵かけ防犯マスコット
キー坊
井口やすひさ(63歳:東京都文京区:グラフィックデザイナー)
キー坊

茨城県鉾田市
鉾田市観光協会
鉾田市マスコットキャラクター
ほこまる
井口やすひさ
ほこまる1ほこまる2

ほとんど同一人物だよ、こりゃ(-.-)y-~。片や[ア]、片や[ほ]、いずれも[ハート]を掲げて赤穂と鉾田に○○Twins(自主規制により伏字)。調べてみればどちらも2008年11月頃のデザイン決定(愛称は各々別途公募)、ただし後者はいつしかハートをどこかに置き忘れたようです(このほかもう1点変えられたとこがあるの、わかりまス??)。
つまりは、平成大合併に伴う新自治体章制定が一段落した後、行き場を失った丸ブーデザインが擬人化/characterizeの過程を経て活路を見出だそうとしていた頃、ということになるんだろう。

既に取り上げたこのあたりも見えてますね。(cf. 2013.07.03「頑張れ、爺ちゃん(婆ちゃんも可) :上」・2015.01.18「Free Lancerの栄光と残照 三:破廉恥」)

青森県北津軽郡鶴田町
マスコットキャラクター
つるりん
井口やすひさ
つるりん

群馬県高崎市
高崎市社会福祉協議会
イメージキャラクター
たかちゃん
井口千鶴子?井口やすひさ?
たかちゃん

「たかちゃん」をとうとう我が物にしちゃったよ。同社協サイトには今も「最優秀には、群馬県高崎市箕郷町にお住まいの井口千鶴子さんの作品が選ばれました」と出ているし、制定時の広報誌(2013.03.15 社協たかさき 第56号)には晴れがましく表彰を受ける千鶴子の写真まで載っているというのに(*_*)(*_*)。
無論、嫁も同罪です。

2013.02.23井口千鶴子@高崎市社協表彰式1

2013.02.23井口千鶴子@高崎市社協表彰式2

かと思うと、今から1年前の時点では、日本タイポグラフィ協会サイトのやすひさの会員情報に;
 AD:井口やすひさ
 D: 井口千鶴子
とクレジットされて載っていた(いつの間にか更新されて画像ごと引っ込められちゃってるケド)。
ふむぅ。ある種の作為を感じる。ひょっとすると井口ご夫妻、愚blogを目にしたことがあるんでしょうかね??もしそうだとすれば、気を配る相手が違っとるだろうが

この2点↑はやや時代が下っていずれも2013年2〜3月の採用だけど、それだけでは済まない。まだ同類項が見えてるでしょ。

静岡県湖西市(こさいし)
湖西市社会福祉協議会
法人化30周年記念社協キャラクター
こふくちゃん
井口やすひさ
こふくちゃん

こちらも同じ年、9月の発表。こんなものまで展示したとはやるせない。因みに市の花は[クチナシ]、言ふもおろかなり。

もうひたすら使い回しているわけ。井口一族にはこのパターンが他にもいろいろありますんで、またそのうち取り上げることもあるでしょう(^_-)。

それにしても一体どういう神経をしているのか。こんな展示を若い目に触れさせるな。
浜名中学校にも美術部はあるわけでしょ多分。部員の子たちは熱心に見たでしょうね。それは別に(おそらくは学校側の意図した)「母校の偉い大先輩」とかいった観点ではなくて、デザインに対する純粋かつ旺盛な興味を持って。そしてガッカリした、というより腹が立ったろうと思う(遠い昔、中学時代に美術部だった自分のSentimentを呼び起こせば)。Adolescenceって、そんな潔癖なとこ、あるよね。

今まで、「老残」という言葉は極力避けてきたけれども、中学生たちの目にはそのようにしか映らなかったのではないだろうか。

(続く)

2016年1月 4日 (月)

【番外編】さわらびの もえいづる はつはるに(土佐清水市ナンバープレート)

(承前)

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そっかー、垂水のご当地ナンバープレートは2015年5月現在で19点あったのかあ(その後11月に1点増えてるけど)。ツルが見つけた採用作はそこまでの既発表分で17点だから、かなり網羅できてたことにはなるんだな。(cf. 2015.11.01「いはばしる バイクの臀の プレートの;〆」・2015.11.29「いはばしる バイクの臀の プレートの;再び」)
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あんまりこれ↑、正しくなかったですね。
2015年8月に土佐清水市で採用されていたのを取りこぼしてました。「その後8月と11月に1点ずつ増えてるけど」がベター。(むろん、他にもあるかもしれないけれども。)
つまり垂水にとっては21点採用ってことになるのかな。

高知県土佐清水市
ご当地ナンバープレート
垂水秀行(40歳:香川県丸亀市:グラフィックデザイナー)
土佐清水市ナンバープレート

この公募では、「作品への思い」は「できるだけ詳しく」とされていて、まさに垂水のためにあったようなもの(笑)。

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【作者の作品への思い】
[足摺岬灯台]を背景に、[漁師]が[清水サバ]を一本釣りする姿を描きました。荒波の中の躍動感や臨場感あふれるダイナミックなシーンがまちの活気を呈し、コミカルで愛らしいタッチが土佐清水の人々の陽気さや人情味を感じさせます。遠くから見ても清水サバがわかる明快性があり、近くで見ると[な]と[ま]の文字の中に向き合う魚がいて、「さかなのまち」を象徴するワクワク感満載のデザインに仕上げました。老若男女問わず誰からも愛されるデザインをめざし、ナンバープレートのスペースをうまく使って、図柄と文字が重ならないように視認性にも配慮しました。
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へっ!?!?「向き合う魚」!?新春特大画像で見てみましょう。

土佐清水市ナンバープレート

やられたーー!こんなの大好きっ!!
秋田県横手市や埼玉県行田市で;

横手市ナンバープレート

行田市ナンバープレート

「遠くから見ても雪景色とかまくらが認識でき近くで見ると無数のミニかまくらが並ぶ神秘的な光景に、白鳥の姿が添えられているのがわかります」とか、「忍城の石垣には、B級グルメのゼリーフライやフライ、市の木イチョウ、足袋、前方後円墳、古代蓮も描かれている」としていた隠し絵趣向が、今度はこうなったわけやね(cf. 2015.10.29「いはばしる バイクの臀の プレートの;E」)。

これがとりわけcleverだと思うのは、「さかなのまち」のフレーズを入れることはお題として初めから指定されていたもので、それをそのままでは終わらせなかった点です。

1人1点のみ限定、副賞は1万円相当の特産品、而うして応募総数41点。まあ、そんなもんでしょうけど(笑)。

ご当地の潮焼けした漁師の兄貴やおっちゃんたちはみーんな全員、原チャリのプレートをこれに交換すべしである。漁協でも補助金出してやんなさいっ。
400枚限定、まさに今月今日の今時点、1月4日午前8時30分から市役所と各市民センターで交付が始まったところです、先着順だよ。

2016年1月 3日 (日)

【番外編】遠い祭りの音と 郷土の匂いと:下(かがわオリーブオイル・電子国土賞)

(承前)

垂水の地元ネタ、もう一つみておきましょう。

香川県
かがわオリーブオイル品質表示制度 ロゴマーク
垂水秀行(39歳:香川県丸亀市:グラフィックデザイナー)
かがわオリーブオイル

[オリーブ]の枝にイニシャル[香]をかけたわけですな。募集時には「かがわオリーブオイル品質認証制度」とされてたんですが、諸般の事情で「認証」から「表示」に表現が変わったらしい。2014年10月に決定され、同年12月出荷の製品からこの表示がついているそうです。
誤解のないよう言っとくと、これは「香川県産」と「小豆島産」の2種類に分けてそれぞれに「スタンダード」と「プレミアム」があるというものです、小豆島産だから即プレミアムという意味合いじゃないので、念のため。

もちろん賢い奥様はこうした表示を鵜呑みにしたりはなさいますまい。
「小豆島オリーブオイル」は2015年10月、特許庁の地域団体商標(地域ブランド)に登録されたんですが、これを報じた地元紙に驚くべきことが書いてある。

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(2015.10.31 四国新聞 抜粋)

商標登録することで類似品を防いだり、ブランド力を強化しようと昨年10月に登録を特許庁に申請。23日付けで登録された。今後、小豆島、豊島産のオリーブを100%使ったオリーブオイルのみが「小豆島オリーブオイル」として販売できるようになる。
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え!!小豆島産じゃないのに小豆島オリーブオイルって名乗っていいってお墨付きを出しちゃったの!?どうして??
豊島(てしま)は小豆島の西隣にある。二昔ほど前、産廃問題で大揺れした島です。そこからの再興のためにもオリーブを植え、やっと育ってきたということらしい。そこはいいです、でもそこは小豆島ではない。「日本のオリーブ栽培発祥の地 小豆島」という消費者の期待値を裏切るものです。

どうしてこんなことになるかと言えば、行政上、豊島は小豆郡土庄町(とのしょうまち)に属してるんですが、この自治体は小豆島の北西部をも占めているんですね。つまり「小豆島町および土庄町で作られたものを小豆島オリーブオイルと呼ぶ」というロジックなんだろう。組合なんかの問題もありましょうし。
しかしこの問題は必ずや将来、小豆島のオリーブ産業を根本から揺るがすことになると思いますよ。もちろんそれは多かれ少なかれ地域ブランドというものについて回る問題であって、例えば「黒くて太い博多ナス」が福岡県南部の筑後地方でも作付けされているなんてのもあほらしいとツルは思う。けれど、「島」というわかりやすい特殊性からして、いっそう顧客の理解を得られにくいところだと思います。

ああ、またギスギスしてきちゃった、お正月だというのに。最後はユルく締めましょう。

垂水は何もLocalityを前面に押し出した作品ばかりを作っているわけではない。これもこの作家の手になるものです。

国土交通省 国土地理院
電子国土賞 ロゴマーク
垂水秀行(香川県:グラフィックデザイナー)
電子国土賞

音も立てず、匂いも味もしないモノを相手にしたわけですな。

電子国土賞なるご褒美は、「電子国土基本図等の国土地理院のデータを活用し、地理空間情報の高度活用社会の形成に貢献するGISソフトウェア及びGISコンテンツの中から、優れたものを表彰する」ものなんだそうです(皆様おわかりになります??)。
日本の地図作りの総本山、国土地理院(英語じゃGeospatial Information Authority of Japanと言うそうな)が2012年からスタートさせた制度で、ロゴマークは同年の6月頃に発表された様子。

どんなものかはよく知らないけど、こんなものにマークが要るのかどうかはよくわからないけど、とにかくこの目玉みたいなマークは見たことあるなあ。
こういうものこそ、作者の制作意図が読みたいもんですねえ。

2016年1月 2日 (土)

【番外編】遠い祭りの音と 郷土の匂いと:中(小豆島 島T計画)

(承前)

きれいにすっきりと、と言いながら、「上」がやや後味のよからぬ終わり方になってしまったので、少しく気を取り直しまして。

垂水が登録している「loftwork」のサイトにはこんなものも載っています。

香川県小豆郡(しょうずぐん)小豆島町
株式会社459
小豆島オープンクリエイションプロジェクト 島T計画
(審査員特別賞)小豆島をつくる人々
垂水秀行

(醤油職人)
小豆島をつくる人々(醤油職人)

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フェリーに乗って坂手に寄港したとき、醤油のほのかな香りが出迎えてくれます。
そんな小豆島の名産である醤油をモチーフに描きました。

小豆島の名産品は、職人さん達の魂が宿っているのを強く実感できます。
「醤油をつくる=小豆島をつくる」という思いを表現しました。
「SHOW YOU!」というキャッチは、「醤油」に重ねた言葉遊びだけではなく、多くの方々に小豆島を見てもらえるよう思いを込めています。

背中には「小豆島」の文字だけを描きました。
切り絵や版画をイメージして直線で描いた文字は、歴史や伝統とともに哀愁をにじませています。
「小」の漢字の中には幸せを呼ぶハートのオリーブの葉を添えました。

袖には「SHODOSHIMA」のタグを付けました。
小豆島を応援する者の腕章をイメージしながらも、主張しすぎないように心掛けました。
表はキャッチーで楽しさに溢れていても、人々が肩を組み、その姿を後ろから見ると、背中の「小豆島」と袖の「SHODOSHIMA」が一体感を強め、そこには郷土と仲間を大切にする強い気持ちが感じられる、そんなTシャツを目指しました。
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(そうめん職人とオリーブ農家)
小豆島をつくる人々(そうめん職人とオリーブ農家)

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職人や農家の皆さんは、作るものは異なっていても、仲間との繋がりを大切にする思いが伝わってきます。
自らの腕に誇りを持ちながらも、お互いに敬意を表している姿が印象的でした。
そうした想いを、小豆島の代名詞でもあるオリーブとそうめんを組み合わせることで表現してみました。
そして、空や海の自然な青との相性を考えた彩色を心掛けました。

小豆島の穏やかな空気は、瀬戸内の温暖な気候だけではなく、きっと島の人々の温かい心が作り出しているものだと思います。
島の人々にとってのなにげない日常の光景が、島を訪れる人にとっては癒しでもあります。
そのようなほのぼのとした雰囲気が伝わり、島の人々の温もりが感じられるようなデザインを目指しました。
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小豆島にあるこの「株式会社459」という会社も興味深い。ご当地産品を手がける企業です。代表の真鍋邦大は、高松市→東大→リーマン証券入社→リーマンショック→Uターン→東京→東日本大震災→小豆島移住→起業という道を歩んできた人。同社の資本金も459万円と、徹底して四国にこだわってます(笑)。
ここがloftworkと組んで、2013年開催の「瀬戸内国際芸術祭」に向け、Tシャツデザインおよび「Tシャツを活用して島の活動を盛り上げるアイデア」を募集したということらしい。正確には公募ではなくオープンコンペで(どう違うのかよくわからんけど)、2012年の春先に結果発表されたようです。

瀬戸内国際芸術祭というのは、人の噂にうるさい売れっ子北川フラムを総合ディレクターに据え、2010年から3年に1度、トリエンナーレ方式により備讃瀬戸の島々で行われているアートイベント。今年も開かれます。総合プロデューサーは福武聰一郎、言わずと知れたベネッセグループ(岡山市発祥)の総帥。ベネッセは小豆島にも程近い直島(香川県香川郡直島町)に美術館やらホテルやらを作っていて、現代美術の拠点いや聖地としたい考え。今や「直島詣で」なる言葉まで生まれてをりますね。巨大水玉カボチャが出迎えてくれますよん。

赤かぼちゃ
草間彌生
赤かぼちゃ

南瓜
草間彌生
南瓜

赤いかぼちゃ黄色い南瓜と置きにけり

因みに、西が瀬戸内国際芸術祭なら、東は新潟県十日町市・中魚沼郡津南町で2000年から行われている「大地の芸術祭 越後妻有(つまり)アートトリエンナーレ」。今や世界最大級の現代アートのお祭りネ。こちらにもベネッセと北川がついているという

おっと脱線。垂水の文章を鑑賞していたのでした。
ここでもやはり、平明でわかりやすい文章という印象を受けますが、理系にしてはEmotionalな物の見方をするのねというか、デザイナーにしては自制の利いた文章を書くのねというか。きっと、垂水にとっても小豆島はSympathyを感じられる場所なんでしょう。

赤い椿白い椿と落ちにけり
     河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)

(続く)

2016年1月 1日 (金)

【番外編】遠い祭りの音と 郷土の匂いと:上(宇和島伊達400年祭)

改めまして、あけましておめでとうございます。

と新春の賀詞を言上するのも、愚blogで2012年秋に「もうやめようよ、ご当地キャラとか。」シリーズを書き始めてからなんと4回目(*゜Q゜*)。ほんとに我ながら驚くばかりです。
その間にはとうとうラスボス塩崎一族の活動停止(多分ね)なんていう大変化もあったので、そろそろ潮時かなとも思ってるんですが(コンスタントに書いてくのも結構消耗するしねえ)、一方で五輪エンブレム問題なんかも出てきているし、ええい、乗りかかった船じゃ、行くところまで行かいでか!な心意気で、あと少し(?)、続けてまいりたく存じます。
本年もよろしくご贔屓のほど、お願い申しあげます。

さて。基本、不愉快なマターばかりを好んで取り上げている本シリーズですが、さすがにお正月ぐらいはきれいにすっきりとまとめたく御座候。
というわけでここは一つ、旧年中にツルがひいきしちゃったこの作家の文章を取り上げませう。

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(2015.05.02 四国新聞 抜粋)

特集/丸亀お城まつり あすから2日間 一年で最も笑顔あふれる日

 丸亀城を見上げるのが好きです。その雄々しい姿は、何事にも臆することなく立ち向かう勇気を与えてくれます。そして、出張帰りに車窓から眺める丸亀城と飯野山のある風景は、誰よりも真っ先に「おかえり」と出迎えて、疲れた心身をねぎらってくれます。
 城郭の花の盛りも足早に過ぎ、市内はお城まつりのムードに染まってきました。いつも歩いている無機質なアスファルトの道も、この日だけは提灯や屋台の明かりをまとったランウェイに様変わりします。
 小学生の頃、トロンボーンの虜だった私は、お城まつりのパレードで仲間たちと音楽を奏でながら歩きました。祭りをもり立てる一員として参加したのは、このときが初めてです。自分たちのパフォーマンスで沿道の人たちが笑顔になってくれるのがただうれしくて、きっと、この経験が、表現者としての今の自分の原点になっているのだと思います。
 お城まつりは一年で最も丸亀が笑顔であふれる日。それぞれのスタイルで祭りを楽しむ人たちが城下町を華やかに彩ります。そんな昔も今も変わらない情景を一つの作品として描きました。今年はどんな笑顔に出会えるか、とても楽しみです。

■たるみ ひでゆき
 グラフィックデザイナー・プログラマー。1974年生まれ。丸亀高を経て神戸大大学院で画像処理を研究。医療情報機器メーカーに勤務していた2007年にグッドデザイン賞を受賞。11年からフリー。小豆島町、四万十市、鎌倉市など19自治体の原付ご当地ナンバープレートを制作。丸亀市合併10周年シンボルマークなど多数のイラスト、キャラクターも手掛けている。

イラスト・文 垂水秀行
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そっかー、垂水のご当地ナンバープレートは2015年5月現在で19点あったのかあ(その後11月に1点増えてるけど)。ツルが見つけた採用作はそこまでの既発表分で17点だから、かなり網羅できてたことにはなるんだな。(cf. 2015.11.01「いはばしる バイクの臀の プレートの;〆」・2015.11.29「いはばしる バイクの臀の プレートの;再び」)

さらりと書いてさらりと読ませるあたり、やはり地頭(じあたま)のよさを感じます。「表現者」、この言葉はそんじょそこらの公募ガイダー、いえいえ名だたる公募界の大御所や常連陣の先生方に対しては決して用いちゃならぬものと心得ておりますよ、ツルも

イラストがネット上に出ていないのが残念ですが、代わりに、「扇の勾配」で知られる石垣を持つこのお城の画像を貼っておきましょう。高さ22m、日の本一を誇るその石垣を。秀行少年の心を育んだその石垣を。

丸亀城

おや?ということはだ。隣県のこのイベントの公募の時も、垂水は丸亀城を思い浮かべながら作ったんだろうな

愛媛県宇和島市
宇和島伊達400年祭 シンボルマーク
垂水秀行(香川県丸亀市)
宇和島伊達400年祭

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伊達秀宗の[兜]をモチーフに、シンプルながらも直感的に伝わるようにデザインしました。兜の中には[伊達]の文字が隠れていて、横線が放射状に広がるさまが日の出のようなめでたい雰囲気も醸しています。[2015]の赤色は、宇和島の代名詞でもある牛鬼の色をイメージしています。未来へと繋がる要素として、[UWAJIMA]のアルファベット表記を添え、[U]は兜飾りに模しています。
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牛鬼とは西日本を中心に各地に伝わる妖怪の名で、ご当地ではこれを夏祭りの山車に仕立てるそうな。残念ながら、2015年の牛鬼まつりでは観客を巻き込んだ重大事故が起きてしまったようですが。

(続く)

年またぎ!スペシャル立体企画【特別編】あけおめことよろ!PNまつり!! 第16弾(横綱羽黒山キャラ)

(承前)

謹んで2016年申年のご祝詞を申しあげます。

皆様、明けましておめでとうございます!本年もよろしくお付き合いのほど、お願い申しあげます。(つい2時間ほど前に年越しのご挨拶を言上したばかりという気がいたしますがww)

お正月のしょっぱなは一応それらしく和風なところで、お相撲さんキャラといきましょうか。

新潟市西蒲区(にしかんく)
中之口先人館
西蒲区文化施設を運営する市民の会
第36代横綱羽黒山 イメージキャラクター
(優秀賞)
コスモス
横綱羽黒山キャラ

二段目の左のやつね。
戦時中の横綱、羽黒山の生誕100周年企画として行われたキャラ公募です。発表は今からちょうど2年前、2014年のお正月頃。

横綱になり損ねてや角力取

ってとこですか。盛りアイテムもへったくれもないけど、ここは塩キャラ判定に問題はないでしょう、このPNは他にも例があるし。

【PNまつり 第10弾】
宮城県仙台市青葉区
冠婚葬祭互助会あいあーる
あいあーるキャラクター
あいるちゃん
コスモス(大阪府)
あいるちゃん

羽黒山政司(はぐろやま まさじ)(本名 小林正治:1914.11.18〜1969.10.14:享年 54歳)はご当地の西蒲原郡松長村(現 新潟市西蒲区)出身。横綱在位1941年1月〜1953年9月だからもちろんツルも生まれてませんが、名前だけは知ってる気がする。当然山形出身だと思ったら新潟の力士だったんですね。

新春早々、ここで一発目の脱線をぶっこきますと。
Wikipediaの「松長村」の項には、1954年3月に燕町・小池村・小中川村との新設合併により「燕市」となった(つまり上述の「新潟市」ではなく)とあって、情報に混乱があるように思える。ツルは基本的に地理/歴史に明るくないんですが、調べてみるとえらく複雑な推移がありました。

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1889(M22).04.01
町村制施行に伴い西蒲原郡の羽黒村・姥島村(うばじまむら)・真木村が新設合併して加奈居村発足

1901(M34).11.01
松長村・加奈居村が新設合併して松長村となる

1954(S29).03.31
燕町・松長村と西蒲原郡の小池村・小中川村が合併し市制施行して燕市発足

1954(S29).07.07
燕市の一部(旧 松長村(旧旧 加奈居村)の大字羽黒・大字姥島・大字真木の3集落)が分離し西蒲原郡の小吉村(こよしむら:中蒲原郡の小吉村とは別)・道上村(どうじょうむら)と新設合併して中之口村発足

2005(H17).03.21
中之口村が新潟市に編入合併

2007(H19).04.01
新潟市が政令指定都市に移行
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まさか「合併直後の分離」という荒技をかけたとはねえ!

ついでに脱線もう一発いきませう。
相撲の番付表(独特の「相撲字」で書かれた、下の方へいくと虫眼鏡が必要って驚異のアレです)では、東方が右側、西方が左側に刷られます。角界にもまるで詳しくないツルですが、これには昔からちょっとばかりひっかかっていた。
平城京や平安京では御所は条里の北端に置かれたから、そこから見て左側(つまり東)を左京、右側(西)を右京と呼ぶわけでしょ。御所の中の紫宸殿前の「左近の桜、右近の橘」、あるいは大宮人の役位の「左大臣、右大臣」も同じ趣旨です。
そこらに沿うなら、天覧相撲なんかでも貴賓席は北側に設けられるであろうから(実際にどうだかは知りませんよ)、だとすればそこから見る体で左側に東方、右側に西方を置くのが正当なんじゃないのと疑問に思ってたわけ。そうなってないということは、つまり普通に地図と同じに表示したのだってことになりそう。
ところがです。日本相撲協会のサイトを覗くと、HTMLのいわゆる「地の文」では、左側が東方、右側が西方になってるんですね。刷り物の番付表や地図とは逆。ちょっと驚きました。これってどういうことだろう。

現在、大相撲の番付は基本的に 東 > 西 という序列だとされている。ということは、その序列に厳然と従うという前提に立って;
・番付表=縦書き文化、つまり右(東)→左(西)の流れ
・サイト=横書き文化、つまり左(東)→右(西)の流れ
ということなのだなと結論づけた次第。
ってえと、次点に入ったコスモスの塩キャラは東西いずれの大関でござんしょう。因みに最優秀賞の池田克也(埼玉県)の作品は「はぐろちゃん」と名づけられてます。

閑話休題。
いずれにせよご当地は米どころ新潟でも有数の穀倉地帯らしい。ってことは、お百姓さんの数々の苦労とともにあった土地柄です。
公募の窓口となった「中之口先人館」も、「実り豊かな中之口地区は、水と闘い、土地を開拓してきた先人たち、そして教育や文化、産業などの分野で、地域の発展につくしてきた多くの人たちの努力によるものです」として、先達の功績を顕彰し次代へ伝えていこうとする施設なわけです。
まあ、その趣旨とお相撲さんとはあんまり関係がありませんけどね。

こうしたご当地のLocalityまで表したキャラクターは、もう1点の優秀賞だと思えてくる。横綱と米俵、このアイテムなら無理なくしっくりきますね。
その意味で、池田やコスモスやその他の入賞作品は、越後であろうが北海道であろうが九州であろうがモンゴルであろうがジョージア(旧称 グルジア)であろうが変わりゃせん、つまりはいつものテンプレワークってことになりそうですが、いかがでせうか。

・・・しかしなんで地色が派手派手ラスタカラーなんだよ。せめて歌舞伎の定式幕の三色ぐらいにしとけよって(笑)。

(続く)

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