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2016年4月10日 (日)

【VSOP編】東京五輪エンブレム再公募について(その2)

(承前)

第一印象で即興的にいろいろ書いてみたけど、一晩かかって頭を整理してみて、ツルがなお気になるのは大きく次の2点。

まず、どの作品も意味性が薄いと感じられること。その点まで図式化され手をかけてアク抜きされた印象です。落語「目黒のさんま」を思い出した(わかりにくいたとえですみません)。ツルは、今度の再公募ではConceptualな部分はすごく丁寧に扱われるだろう、そうじゃなきゃね、と考えていたのだけど、そこ、ハズレでした。「わかりやすさ」の前に精神性と独自性はなにがしか犠牲になった形。
それから、全般的にデザインの偏差が狭いこと、特に(各論になるけど)CとDにおいて。簡単に言えば、どっちか一つでいいでしょって感じ。だからこちらの期待値を下回ったというか、ワクワク感がちょっとしぼんじゃった。

反面、面白いと思ったのは意見募集中の次の項目です。

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2. 7つのキーワードのうち強く印象を受けるもの(複数可)

※キーワード:
スポーツの力
日本らしさ・東京らしさ
世界の平和
自己ベスト・一生懸命
一体感・インクルージョン
革新性と未来志向
復興・立ち上がる力
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これらはデザイン募集時から出されていたガイダンス。それをこのような形で一般参加のツールに用いるとは思わなかった。精神性を補強するのは国民の皆様、というわけね。作者が一人で「シンプルで、親しみやすく、子どもからお年寄りまで多くの人に長く愛されるデザインです」と押しつけてくるなんてのを鵜呑みにしないってさ。

選択肢は五輪憲章の精神にも照らしてさすがによく考え抜かれていると思う(英訳にちょっと手こずりそうだけど)。2011年11月の島峰 藍の招致エンブレムには、「復興・立ち上がる力」と「世界の平和」はあったが「スポーツの力」は全く感じられなかった。昨夏の佐野問題直後からネット上にうじゃうじゃ出てきた凡百の私案は「日本らしさ」しか考えていないものがほとんどである。

しかしこの辺りは、むろん衆愚のおそれも孕んでいる。やっぱ「日本らしさ」ばかりが優越しそうな気もするんだよね。それがアナタの島国根性です。一方「復興」のキーワードの比重が招致の時より軽くなるのはもう致し方ないところだろう。既に、各作品の趣旨説明でもこれを取り上げたものは皆無である。

ともあれ、エンブレム委員会としてはやっとここまでたどり着いてやれやれだと思うのだけど、これらの最終候補に対する様々な難癖がつけられるのもこれからでっせ。マスメディアの格好の標的。早速こんな記事が出始めている。

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(2016.04.09 日刊スポーツ)

東京五輪エンブレム最終候補「敗者復活」に疑問の声

2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は8日、新エンブレムの最終候補として公表した4作品のうち、1点は一度落選したものを繰り上げたと明らかにした。「敗者復活」は当初の選考方法に含まれていなかった上、繰り上げの事実を発表していなかったことで、報道陣からは選考の公正さを疑う指摘が相次いだ。
組織委のエンブレム委員会は1月までに最終候補4、次点4の計8作品を選んだが、商標調査の手続きをクリアしたのは計3点だったという。中村英正企画財務局長は、2次審査を通過した残りの56作品を対象に、委員の投票で追加の1作品を選び直したとし「できるだけ多くの(作品で)意見を聞いた方がいいとの判断」と説明した。
中村企画財務局長によると、一度は選外となった作品が最終審査で新エンブレムに決定した場合でも、国際オリンピック委員会(IOC)の意向でその事実は公表しない方針という。
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この書き方には悪意を感じる。類似調査で多くを振るい落としたのは悪いことでも何でもなくて、むしろ厳格な運用として望ましいことであろうし、繰り上げ採用も合理的なプロセスとして認められよう。
メディアとしてその辺りの非公表が気に入らんというのはわかる。2016.01.09に「最終候補4点が決まった、今から商標調査に入る」と報じたところから実に3点も入れ替わった、そこに斬り込みたいのもわかる。けどそれらを「選考の公正さを疑う」に安易にすり替えてしまったところが微妙に下品。
アンタ、そりゃおかしいでしょ。だって佐野案取り消しの時、「次点を繰り上げ採用しないのはおかしい」と散々噛みついてたのは自分達だろが。禁反言、エストッペル。大衆迎合。

同系列ながら、一般紙となるとさすがに客観的。

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(2016.04.08 22:24 朝日新聞 抜粋)

東京五輪エンブレム、最終候補4作品を公開 25日審査

2020年東京五輪・パラリンピックの新しいエンブレムを選び直す大会組織委員会のエンブレム委員会(委員長=宮田亮平・文化庁長官)は8日、国内外の商標調査を通過した最終候補4作品を公開した。
組織委はインターネット(www.emblem-comments.jp)やはがきで17日まで、4作品に対する評価や意見を国民から募る。

〔中略〕

新エンブレムは昨年11月に募集を開始し、1万4599作品が集まった。予備審査で64作品に絞り、1月の本審査で4作品と次点の4作品を選んだ。選考の際、委員たちには、作者の氏名や年齢、性別など、「評価に先入観を与える恐れのある要素」は、すべて伏せられたという。
だがその後行った商標調査を、上位4作品のうちの3作品、次点4作品のうちの2作品がクリアできなかった。このためエンブレム委は、本審査で次点にも入っていなかった作品1点を委員の投票の末に繰り上げ、8日の公表に至った。

〔中略〕

25日の最終審査の議論と投票は非公開だが、21人の委員が、過半数の票を得る作品が出るまで最下位を振り落として投票を繰り返すやり方で、一つの作品を選ぶ。理事会の承認を経て即日、新エンブレムが公表される。
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つまり、余裕を見て8点を予選して(2016.01.07〜09)グローバルに類似調査をかけてみたら3点しか残らなかった、だからもう1点追加で選んだ、そのどこに問題があるというのか。

いちいち引用しないけど、やくみつるという、年々木村カエラ/大島美幸化するCharacterが「3点でよかった、余計な憶測を呼ぶ」とコメントしているのも噴飯。メディアにとって大変使いやすい役割を敏感に嗅ぎ取って演じてくれる文化人Iconに過ぎない。

ついでに言うと、委員長の宮田亮平はこの4月から東京藝術大学学長の3期目に入り、かつ新たに文化庁長官に就任している。政治的能力に長けたヒトだと思っていたら、今度は政治的権力を手にしたのネ。今んとこ三足の鞋っす。
ツルは、宮田は子どもの落書き風のを入れてくるのではないかと密かに予想していたので、そこも外れちゃいました。

もうそろそろ期限切れ気味になっているから急がにゃならんのでしょうが、GW前に決定するとはねー。社会的関心の高さから(でしょ?)膨大な数のオピニオンが集まることが予想されるけど、わずか1週間でそれを整理し分析し咀嚼することはほぼ不可能じゃないのかしらん。人気投票ではなくて意見募集、パブコメなんだよ。
結局ポーズなんですね、この際それで十分とは思うけど。

(続く)

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