« 続:デザイン文化に対する暴挙を許すな(ぺるりん)後編 | トップページ | 【番外編】・・・うす紅の花びら こぼれた:2番(八幡平市章応募作品) »

2016年11月22日 (火)

【番外編】・・・うす紅の花びら こぼれた:1番

(承前)

cf.
2016.06.25〜29「青空に燕が おどって・・・」

しこたまご当地公募斬りをしてきて、プロセスの不備や制定側の落ち度を感じることも多いわけですが、では逆に、望ましい公募プロセスとはどんなものだろうか(AIGAのいう "Spec Work" 批判などとは別の観点で)。
この点非常に興味深いのが、次の自治体章のケース。

-----
(2005.10.07 安房7町村合併協議会 第7回会議 資料)

第1次選考に係る審査について

1 アドバイザーの初期スクリーニング(予備審査)基準
(1)デザイン性が高い作品,個性的な作品(補作により可能性が高まるものを含む)

→ コンピューターで作成され,さらに高解像度のカラープリンタを使用した「体裁の美しい」作品が選ばれがちです。コンピューターという「道具」が使えなくても,個性的でデザイン的に光るものがある作品は,補作を前提として通過させることがよくあります。

(2)VⅠ(ヴィジュアル・アイデンティティ)として展開できる,シンボルマークとしての機能を有するもの

→ さまざまな場面で表示された場合に,周囲のデザイン要素とはっきりと区別でき,十分に視認性が保てるマークかどうかを考慮します。

※ この段階(初期スクリーニング)では,上記2点を満たしていれば,他のマークとの類似(著しいものは除く),デザイン趣旨については厳しく問わないこととします。

2 選考しない作品は
(1)複雑で意味不明なもの(応募条件未達成含む)

(2)マークではなくイラストの作品

(3)デザインアプローチが古く,新鮮さが感じられないもの

(4)よく見かける,ありきたりなもの(最近の応募デザインに氾濫している,ありがちなもの)

(5)マークとしての機能は備えているものの,特徴がなく南房総市の市章としてふさわしくないもの

(6)デザイン的には優れているが,バランスが悪いもの

(7)同一作品のバリエーション
-----

す、すげえ!!!
上記は、株式会社ぎょうせいと株式会社ぎょうせい総合研究所の社員を中心とする外部スタッフのみにより行われた第1次選考に関する審査基準。極めて明快。
そしてこうした記載も↓。

-----
選考にあたっての留意事項

1 市章の選考基準
(1)南房総市のイメージ(風土・歴史・自然・まちの将来像等)にふさわしい市章であること。

(2)市旗,バッジ,印刷物等にも使用できるデザインであること。

(3)用紙の地色を含め4色以内とする。なお,グラデーション(ぼかしを入れたり,色の濃さを段階的に変えること)は不可とする。

(4)単色で表現してもイメージや安定感が損なわれないものであること。

(5)自作の未発表の作品であること。

(6)他の市町村章や他の商標等と類似しないデザインであること。

2 選考にあたり考慮する項目
(1)独創性があること・・・・・・類似したものでないこと

(2)視認性があること・・・・・・どこから見ても分かり易い

(3)記憶性があること・・・・・・覚えやすい,印象が強い

(4)拡大,縮小への配慮・・・・・拡大,縮小しても分かり易い

(5)再現性があること・・・・・・複雑でないもの

3 文字をモチーフにした作品についての考え方
(1)アルファベットの「M」・「B」・「S」や,平仮名の「み」,漢字の「南」・「房」等の文字をモチーフにした作品については,特定の形にとらわれず選考を行う。

4 選定作業のポイント
(1)まず,印象として
ア 固有の地域性(風土・歴史・自然・まちの将来像)を感じるもの

→ 南房総市の頭文字,「み」やローマ字「M」をデザインのモチーフとした作品も多いはずです。
しかし,「み」や「M」を頭文字とする自治体は,他にもたくさんあります。同じ「M」をモチーフとしていても,本当に「地域らしさ」が表現されているか,そこが重要なポイントです。
また,作品全体の傾向をつかみ,ご自分の選定した作品が,同じ傾向,同じモチーフを持つ作品だけにかたよっていないか,チェックしてみてください。

イ 「新鮮さ」「躍動感」「明るい未来」を感じさせるもの

→ 市(町村)章の傾向について,昭和時期に制定されたものと,比較的最近(平成時期)のものをまとめてみましたので,ご参照ください。

ウ 市内やよく通る道,施設,病院,企業などのマークと似ていないもの

→ 地元の人が多く目にする看板等のマークに「似ている」と思われましたら,ご指摘ください。
なお類似の判断は,見る人の主観に大きく左右されるため,極めて難しいものがあります。

(2)市章として表示される場面をイメージして
ア 例えば,ご自分の名刺や市役所の封筒に市章がはいったらどうか。
そんな場面も想像してみてください。

→ 市章が使用されるのは,特に印刷物の場合,原作よりもかなり小さい,15〜30mm程度の場合がほとんどです。

イ 単色で表現した場合でもイメージや安定感が損なわれないもの

→ カラーの作品でも,使用される場面はモノクロ(1色)という場合が多々あります。

※ 上記すべてを考えながらの選考は難しいかもしれません。その場合は,まずは(1)−ア,(1)−イの視点から選考してください。
今後作品を絞り込むに当たって,まちで暮らしている住民(委員)の方々が,新しい市やそのシンボルとなる市章に対して,どのようなイメージ発信をしていくかを知るうえでの重要な資料になります。
-----

すごく丁寧・・・。こちらは基準などというより、「南房総市」市章候補選考委員会における審査心得、ガイダンスみたいなもんでしょう。

これらは募集要項とは別に定められたもので、繰り返し「独自性」が語られている。何と言っても文中の白眉は「選考しない作品は」のくだりだよね。よくもまあここまで書いたものと思う。(合併自体は相当モメたんだけど)
ツル的には快哉を叫び、公募ガイダー的には手痛い一撃というか。「テンプレ排除」の姿勢をこうまでハッキリ打ち出したわけですから。

2005.09.21の13:30〜21:00までかかって行われた第1次選考では、応募総数1,103名2,044点から95点に絞り込んだ。報告資料には、『公募デザインの「常連さん」の作品も散見されました。』という一節もあって大いに笑えます。

この公募はさすがにガイダーの関心を惹いたようで、例の某公募系BBSには;

-----
446:2005/10/15 00:11
ここのP21〜P23見てよ!

[URL:安房7町村合併協議会第7回会議資料]

今後の参考になるぜきっと!

447:2005/10/15 00:50
>>446
>2 選考しない作品は
>(4) よく見かける,ありきたりなもの(最近の応募デザインに氾濫している,ありがちなもの)

丸ブーが想定されていれば、安房市[引用註:正しくは南房総市]も見所があるんだが。
期待半分、諦念半分。

449:2005/10/15 03:11
>>446
こんなまともなことを書いているのを初めてみた
ただ古い=悪いというのはどうかな
紋型のマークでも優れているものはあるからね
まぁ結果が楽しみ
-----

と書かれている。

して、結果はどう出たか。

(続く)

« 続:デザイン文化に対する暴挙を許すな(ぺるりん)後編 | トップページ | 【番外編】・・・うす紅の花びら こぼれた:2番(八幡平市章応募作品) »

Visual界:キャラクター/シンボル/ロゴ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【番外編】・・・うす紅の花びら こぼれた:1番:

« 続:デザイン文化に対する暴挙を許すな(ぺるりん)後編 | トップページ | 【番外編】・・・うす紅の花びら こぼれた:2番(八幡平市章応募作品) »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のトラックバック

無料ブログはココログ
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想