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2016年12月12日 (月)

【番外編】趣向を凝らして双子ロゴ(蕨市協働事業・阿武隈川にぎわいプロジェクト)

(承前)

気が向いたので、早速またまた小池斬りです。2015年の作品から。

埼玉県蕨市
蕨市協働事業 シンボルマーク
小池友基(群馬県)
蕨市協働事業

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蕨市のローマ字での頭文字[W]をデザイン化し、市民と市が協働し、より良い蕨市を作り上げていくことを表現しています。また、上部のカラフルな[○]が5つの地域の問題解決、創造していくイメージで、笑顔の表情により、親しみやすいデザインにしました。
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面積で全国最小の市(5.11km2)だけど、その割に名前は知られてると思う。でも、全国の市町村中で人口密度が最高(14,300人/km2)とは知らなかった。

キャッチフレーズも同時募集されていて、選ばれたのは「想いをカタチに ともに創るまち わらび」by 大山 藍(茨城県)。見た目に楽しい、聞く耳に響きがよいばかりで中身がはっきりしませんが;

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「協働」とは、市民と市が目的を共有し、それぞれの役割を認め合い、自立した対等のパートナーとしての関係を築きながら、地域の課題や社会的な課題を解決するために協力して取り組むこと。
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「対等のパートナーとして」というところが不気味っす(苦)。2016年度は;

1 わらび防災大学校(蕨防災士会)
2 大荒田交通公園のSL整備による文化財保護と地域貢献(わらてつ倶楽部)
3 デートDV防止啓発事業(蕨市男女平等推進市民会議)
4 蕨と鉄道 にぎわい創出PJ 〜鉄道を中心とした地域貢献〜(わらてつまつり実行委員会)
5 笑(び)ってフェスタ2016!(NPO法人ふうせん)

の5提案が採択されている。でも、翌2017年度には提案自体が3件に減っていて、かなり気になります。「埼玉県ふるさと創造資金」の補助を受けてシンボルマークまで作ったのに、盛り下がってるんかねえ

デザインの肝はもちろん[五色玉]で、それがなかったら次のあたりと見分けがつかない・・・

【2013.11.20「志とは裏腹に Part 2」】
山口県
やまぐち男女共同参画推進事業者 シンボルマーク
立志哲洋
〔2008年1月発表〕
やまぐち男女共同参画推進事業者

・・・でもそこがまた問題でして。

福島市
阿武隈川サミット実行委員会事務局・国土交通省福島河川国道事務所
阿武隈川にぎわいプロジェクト ロゴマーク&ロゴタイプ
小池友基(群馬県高崎市・グラフィックデザイナー)
阿武隈川にぎわいプロジェクト

「ロゴマーク・ロゴタイプの両方をデザイン」というワンセットで募集されたもので、これは前回の「ロゴマーク = シンボルマーク + ロゴタイプ」とは異なる考え方に立つもののようである。
こちらは[四色玉]で大きさもばらつきがあるのは、「にぎわい」4文字のロゴタイプに呼応させたからだろう。そこは「趣向を凝らした」ところなんでしょうが、これって好都合な言い訳にもなってる気がする、「だから蕨市と類似してません」っていう。
因みに蕨市は2015年7月31日発表、阿武隈川はその2015年7月31日まで募集して10月9日発表と非常に微妙なタイミングで、小池は前者を射止めたことを知った上で後者に提出したという可能性も捨て切れない。

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阿武隈川のローマ字での頭文字[A]と[川]を阿武隈川の流れにデザイン化し、にぎわい溢れる阿武隈川を表現しています。
人々がにぎわう阿武隈川を取り戻し、地域や人々と阿武隈川の繋がりをさらに進化させていく目的が一目でイメージできるデザインです。
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ああ、やはりコメントの中身が薄くなって、その分押しつけがましさが増してきてるよなあ。5回も川の名前を繰り返す必要ないし。しかも後半は募集趣旨の鸚鵡返しの技をかけただけ。

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東日本大震災以降、阿武隈川から人々のにぎわいが遠のいてしまいました。しかし震災から4年が経過し、少しずつ震災前のにぎわいが戻りつつあります。「阿武隈川にぎわいプロジェクト」は、人々がにぎわう阿武隈川を取り戻し、地域や人々と阿武隈川の繋がりをさらに進化させていくことを目的に活動をはじめました。
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1994年から開かれていた「阿武隈川サミット」(事務局:福島市建設部河川課)が、震災後数年を経て変容してきて、2015年からこの形式になったというのが真実らしい。

募集の趣旨は、プロジェクトの目的「人々がにぎわう阿武隈川を取り戻し、地域や人々と阿武隈川の繋がりをさらに進化させていく」を視覚化したらどうなるか、それを示せというものである。ならば添えられるコメントも当然同じロジックを備えているべきではないか。そこの手間を惜しんで[鸚鵡返し]なんてまるでダメでしょ。
ついでに言えば上記の真のキーワードは「にぎわい」ではなくって「取り戻し」です、ツルの考えるところ。

にしても一体、「(阿武隈川で)人々がにぎわう」とはどんな状態を表すのであろう(そもそも品位ある日本語表現としては「(阿武隈川が)人々でにぎわう」だ。「公園が花見客でにぎわう」とか「川岸が太公望でにぎわう」とか)。まさか「裸ん坊になって水遊びをする人々が溢れ返って芋の子を洗うにぎわいの阿武隈川の流れ」といった意味でもあるまい。この実は珍妙な表現を正当化するためには、「人々の行き来/暮らしがにぎわって/繁栄している阿武隈川流域」と捉えることになりそうだ。
つまりは、取り戻すべき「にぎわい」とは "be crowded" のことなのか、"to prosper" のことなのか。そこんとこ事務局にも小池にも問い質してみたいものです。当然後者だとは思うけれど、国交省主管だからなー。実は前者ってこともあるかもしれないぞ。

こんなことをダラダラ書くのも、「地域や人々と阿武隈川の繋がりをさらに進化させていく」という部分が具体的にどんなことを指すのか不明確だからです。だから応募総数32点にとどまったんだよ、ケッ。(実際は「春のサイクリング」「舟運の歴史勉強会」「阿武隈川の再生を考えるシンポジウム」などやってるそうな。)

結局、何にも考えなかったらしい、絵師は絵面を作っただけで。そこは公募の欠点というものかもしれないけれど、とにかく荒い仕事とツルの目には映る。

もう一つ気になるのは、描き込まれた[魚]の存在。2015年7月の募集時点で、阿武隈川水系全域の漁が休止されていたことを考えれば、これはいささか不都合なものではないのか。それとも逆に、制定側からこれを描き入れるよう指示があったのだろうか?
他にも、「電子データにより応募すること(手書きは不可といたします)」とか「受賞者が未成年の場合、報償の受け取りは保護者の同意が必要です」とか(そこは名古屋市中央卸売市場と同様)、イロイロ満載な公募です。

「主催者が抱いているイメージと合致しない場合、採用者無しとなる場合があります」というのもあった。でも、そんなことなら公募する大義はない。主催者が抱いていなかったイメージの中にこそ、新しいもの、素晴らしいものが見つかるのではありませんかね?

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