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2017年4月

2017年4月29日 (土)

【番外編】大御所の父の罪と十字架:第四(光市環境美化ボランティア・サポート・高知県地場産業大賞)

(承前)

利夫もまた、数は少ないながらもキャラクター性のあるものは作っている。

山口県光市
光市環境美化ボランティア・サポート事業 シンボルマーク
杜多利夫(兵庫県神戸市西区)
光市環境美化ボランティア・サポート事業

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環境美化・保全事業が人々を笑顔にし、豊な緑ときれいな水をもたらすことをデザインしました。緑の[葉]の[光]の文字で光市をアピールしています。
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どっかで見たこと、あるよねえ・・・(^_-)。
制定時期がよくわからないけど;

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2005年12月に策定した「光市市民活動推進のための基本方針」に基づき、地域づくり市民講座、市民活動補償制度、環境美化ボランティア・サポート事業などを実施している。
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光市環境美化ボランティアサポート事業の開始にあたり、事業のPRなどに使用するシンボルマークのデザインを募集したところ、
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などという記述が見つかるので、2006年の頭にはできあがっていたものだろう。

もっとわからないのはこのネーミング。いや、これは大変わかりやすいんですよ。ただ、愚blogで今まで取り上げてきた中にも同様の趣旨と考えられる活動はいろいろあって、その名前が様々異なるのはなぜなのかと思うわけ。

【その173】
大阪市建設局
「かたづけ・たい」(路上違反簡易広告物撤去活動員制度)ロゴマーク
塩崎栄一
〔2008年7月以前制定〕
かたづけ・たい

【第六十八夜】
ひめじ街路樹アダプト制度 シンボルキャラクター
ひめっち
塩崎榮一 + 成瀬重道
〔2008年11月発表〕
ひめっち

【その155】
市民協働 いっしょにやりまひょ!大阪 シンボルマーク
塩崎榮一
〔2009年8月発表〕
いっしょにやりまひょ!大阪

【その67】
広島県アダプト制度 マスコットキャラクター
アダピィ
塩崎まさよ
〔2010年12月発表〕
アダピィ

【2016.09.23「法三条 ――盗ル勿レ 騙ル勿レ 偽ル勿レ―― 一ノ巻」】
ガーデンシティみしま ロゴマーク
三巻保征
〔2011年8月決定〕
ガーデンシティみしま(最終版)

【その67】
広島県江田島市
アダプト制度 マスコットキャラクター
アダプトくん
今井弘実
〔2013年10月発表〕
アダプトくん

「アダプト」なる新語が最近になって使われ始めていることも見て取れるけど、一方でこうした概念を意味する表現がまだ固まっていない、社会的に一般化していないこともわかります。

この中で特に気になるのは大阪市の例。「協働」という語が「住民参加で街の美化をしてもらう」ということと等価で使われてるんですね。
「協同」でも「共同」でもない、目新しいこの言葉を「自治体と住民が一緒になって何かを行う」の意味で使い始めたのは、やはり平成大合併以降だと思う。行政のコスト低減なんていうところに直面したわけで。

でもこの語には本来;

【2016.12.12「趣向を凝らして双子ロゴ」】
埼玉県蕨市
蕨市協働事業 シンボルマーク
小池友基
〔2015年7月発表〕
蕨市協働事業

で見たように、「わらび防災大学校」だの「デートDV防止啓発」だのの内容だって含み得るはずである。
「いっしょにやりまひょ!大阪」の場合、その辺りは含めておらず、コスト削減にだけ着目した狭義の「協働」になっていると言えるわけで、それはお寒い懐事情を表してもいるんでしょうが、いまいち釈然としません。

で、翻って光市のケース。

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市では、市民参加による環境の美化や保全活動の拡大を推進することによって、快適な都市環境の創出と市民の郷土愛を醸成し、「共創と協働で育むまちづくり」を実現したいと考え、これらの活動をサポートする『環境美化ボランティア・サポート事業』を実施しています。
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とあるので、「協働」の意義を2006年頃の時点で既に意識しながらも、それを一般的に認知された言葉に置き換える一手間を加えたことになる。こういう気遣い、やっぱ必要じゃないですかね。

その光市だって実は似たようなもん。同趣の施策が4つも実施されていた(うち「緑花ボランティア」育成は2010年に「自主運営」移行)。

「環境美化ボランティア・サポート事業」(地域づくり推進課)
 市民参加による地域の環境美化、保全活動の推進

「クリーン光大作戦」(文化・生涯学習課)
 青少年の社会参加活動の促進を図りながら河川・海岸及び自治会内道路等の清掃活動を全市的に実施

「神籠石散策道等の整備」(文化・生涯学習課)
 文化財周辺の清掃と環境整備

「緑花ボランティア」(水産林業課)
 知識を有するボランティアの育成

ただの縦割り行政じゃねーかよangry

ま、自分の住んでる地域の草取りぐらいはやってよね、補助はするからといった考え方で、ツルの私見じゃそんなもの「協働」だ「アダプト」だと大騒ぎするほどでなく当たり前でしょって感じもする。役務や労働が専ら自益的であるという点で「ボランティア」の名にも値しない。(もっと卑近な例を出せば、分譲であれ賃貸であれマンションに住んでて、共有部分の草取りってやったことあります?ってことかな。ツルは無償でご奉仕しておりますの、ほほ。管理費ももちろん払っていましてよ。)

自益談義はこのくらいで切り上げて、次へ移ろう。

高知県
財団法人(現 公益財団法人) 高知県産業振興センター
高知県地場産業大賞 シンボルマーク
杜多利夫(兵庫県神戸市)
高知県地場産業大賞

「高知県内で作り出された優秀な地場産品や、地域産業振興に貢献した活動を顕彰する」との趣旨で1986年度に設けられてた制度で、シンボルマークは2008年10月に制定された。

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四国・高知県の[地形]をモチーフに、地域産業で活躍する自信に満ちた人の姿を重ねたもの。
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えっ、四国なの、高知なの!?smile

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【各審査員の主なコメント】
・高知県をシンプルに表現し、親しみ易さがある。
・四国山脈をバックに高知県で頑張っているイメージが良く出ている。
・子供から大人まで広く認知されそう。
・高知県の地形を図案化しており、モチーフは明確で明るく、元気なイメージもある。
・小さくとも目立つデザイン。
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ま、いろいろニヤリとさせられますってことで。

(続く)

2017年4月27日 (木)

【番外編】大御所の父の罪と十字架:第三(菊川市章・真室川ブランド)

(承前)

むろん、杜多一族には利夫単独名義のものだってちゃーんとあるわけで。

静岡県菊川市(きくがわし)
市章
杜多利夫(兵庫県)
菊川市章

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「[菊の花]と菊川の流れをモチーフに、2町が合併し一つの市となる様子をデザインし、菊川茶に代表される自然を生かした、産業豊かな市の特徴を、[2色の緑]で表現されています。現在から未来へと受け継がれる、人と緑が共にいきいきと発展する姿を市章に表しました」との思いが込められています。
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募集 → 合併 → アンケート → 決定という手順を経て2004年4月に発表されたもの。キレイなSymmetryで、丸ブーと家紋の中間といったところっすかね。市の花はもちろんキク、市の木はチャです。菊川は小規模ながら、国の管理下にある一級河川。

(優秀作品賞)
星 武夫(東京都)
山下有司(大阪府)
山口政明(兵庫県)

同じく一級河川つながりでもひとついきますと。

山形県最上郡真室川町
真室川ブランド シンボルマーク
杜多利夫(兵庫県)
真室川ブランド

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穏やかになびく[3本の帯]には、まちを育んできた山並み、巨木の森林を吹きぬける風、豊かな川の流れが表現されています。
音符のような形からは、真室川音頭や童歌、番楽や囃子など真室川の暮らしの楽しみが連想されます。
マーク全体を「まむろがわ」の頭文字[ま]でつなぎ、自然環境と調和した伝承文化や暮らし方から生み出される真室川の価値をアピールしています。
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ううううう・・・・・、いろいろイロイロ、そうは思えない。
でも一番本質的な危うさは、「真室川ブランド」というネーミング自体にあるのではないかしら。ここで制定側がアピールしたかったのは、「真室川という川」のことではなくて「真室川という町」あるいは「真室川の流れる町」のことでしょ多分。大部分が山林で占められているというご当地で、それはもっと言えば「山里のスローライフ」であるはず。
「川」の一文字が元から入っているばかりにそこが微妙にぼやけてるんです、知名度のそこそこある名前にこだわったために。鮎や山女や岩魚ばかりじゃなくたらのめやたけのこやきのこなんかも売り込みたいわけだよね、つまりは。
選評もそこの認識があやふやにされた感じ。

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真室川ブランドの背景となる森林(やま)と真室川の頭文字[ま]をモチーフに、素直に真室川がイメージされており、シンプルで分かり易い表現であることから、広く応用が可能な点が評価されます。
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つまりは何を売りたいのか。汎用性と具体性は時に二律背反でもある。

同時に募集されたキャッチコピー「あがらしゃれ 真室川」by 笠井 風(かぜ)(東京都)は秀逸だと思うけれど、同じ謗りはやはり免れないと思う。
因みにこの公募も「シンボルマーク + キャッチコピー = ロゴマーク」という考え方に立っている。(だから上に掲げた図柄は正確には「ロゴマーク」です。)

このマークでもう一つ特筆すべきは、2009年3月という制定時期。
利香の活動が確認できるのは2008年初頭辺りまでなので(cf. 2017.03.06「大御所劇場 六幕目:椿の杜の満開の下」)、その後も利夫は公募界に残ってガイダー活動を続けていたということになる。しかも、既に丸ブー自治体章の制定ブームは去り、そろそろご当地キャラクターが隆盛を見せ始めていた時期です。

杜多一族の活動停止については、大まかに言えばシンボルマークやロゴマークからキャラクターへとご当地公募全体の流れが変わってきていた背景があって(塩崎一族が存在感を増してきた時期とも言えよう)、そこに限界を感じてでもあるだろうとツルは考えていた。一方で、父より娘の方が作風の幅は広く、キャラクター系の作品も多いようだから、利香の方がガイダーとして長生きだったんじゃないかと思ってたわけ。
だからこれ、ツルはかなり意外でした。

(続く)

2017年4月25日 (火)

【番外編】大御所の父の罪と十字架:第二(北秋田市章・北海道森町章)

(承前)

杜多利夫がいまいち地味な印象なのは、娘の利香との共作が多いせいもあるかもしれない。

【2013.09.26「Les Enfants Terribles(下)」】
熊本県宇城市(うきし)
市章
杜多利夫&利香
〔2004年11月決定〕
宇城市章

【2016.05.30「丸ブーtyphoon艶競べheart [17a]」】
山口県大島郡周防大島町
町章
杜多利夫&利香
〔2005年6月発表〕
周防大島町章

【2017.02.25「大御所劇場 二幕目:春と修羅」】
宮城県東松島市
市章
杜多利夫&利香
〔2005年7月制定〕
東松島市章

【2017.01.20「丸ブーtyphoon艶競べheart [27]」】
鹿児島県南さつま市
市章
杜多利夫&利香
〔2005年10月決定〕
南さつま市章

【2016.10.06「丸ブーのようで丸ブーでない!?テンプレのようでテンプレでない!?」】
鳥取県八頭郡八頭町(やずちょう)
町章
杜多利夫&利香
〔2005年11月制定〕
八頭町章

塩崎一族でも2007年辺りまでは栄一&歩美の共作とされたものがかなりあるから(cf.【その55】〜【その56】)、そこと似ているようです。塩崎家と異なるのは、常に娘が前面に出ていたこと。

秋田県北秋田市
市章
杜多利夫&利香(兵庫県神戸市西区)
北秋田市章

2005年10月7日開催の北秋田市誕生記念式典で表彰を受けており、この時出席したのも利香だけだった様子。

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(2005.10.16 広報きたあきた 抜粋)

引き続き、今年2月に公募していた市章デザインの採用者の表彰がありました。これは市の将来像である「『自然』と『人』が調和し、活気とぬくもりのある交流都市」にふさわしい市章を制定したいと公募していたもので、全国から1019点の応募がありました。その中から9月21日に市章選定委員会(山崎真紀子委員長)の答申を受けて最優秀作品が決定し、この日の発表となったものです。市章に選ばれた最優秀作品は神戸市西区在住の杜多利夫さん・利香さんの親子共作によるデザインです。くしくも杜多(とだ)さんの姓は「モリが多い」と読めることから、当市を象徴するようで、その偶然に驚かされます。
いよいよ市章の発表となりました。市長、助役、議長、そして、デザインされ、出席いただいた利香さんがステージに上がり、除幕が行われ、会場からは一斉に拍手が起こりました。
発表された市章は、北秋田市の[き]の文字をモチーフに、自然と人が調和する姿をデザインされています。秋田杉をイメージした[深い緑色]で、北秋田の豊かな自然を象徴し、緩やかなラインで、ぬくもりとゆとりを表し、羽ばたく様子が未来への飛躍発展を表現しています。
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バッカじゃないのsign02「モリが多い」と喜ぶのはむしろこのご当地↓に譲るべきであろう(苦虫)。

北海道茅部郡森町
町章
杜多利夫&利香(兵庫県神戸市)
北海道森町章

こちらも2005年に制定されているけど、月まではわからない。(ついでに言えば、北秋田市は同年の3月22日に、森町はその10日後の4月1日に合併が施行されていて、いずれも自治体章の制定はそれより後。事後制定だと、公募や決定の時期が不明なことも多くなるsad。)

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森町の[森]をイメージし、[青]と[緑]の連なりで海の波と広がる緑をデザイン。自然のリズムと人の躍動が生み出す“海と緑の理想郷”を表現しています。
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「理想郷」とはずいぶん強気に出たもんだよなあ。ご当地は何やら『北海道で唯一「まち」と読む自治体』ということをウリにしているようだけど、そのネタはまた改めて。

蛇足ながら、ご当地と同名で姉妹都市となっているここはこれ、やれやれ┐( ̄ヘ ̄)┌。

【2014.10.03「配達されない三通の手紙:四通目 第二葉」】・【2015.11.28「実は悲劇ではなく喜劇、ドタバタ調の」】
静岡県周智郡森町(しゅうちぐん もりまち)
ロゴマーク
駒井 瞭
〔2015年10月発表〕
静岡県森町ロゴマーク

(続く)

2017年4月23日 (日)

【番外編】大御所の父の罪と十字架:第一(赤十字秋田キャラ・コスモちゃん)

(承前)

娘の利香のことを先に集中的に取り上げる形になってしまったけれども、あるいは、出藍の誉れの愛娘の前に姿が霞みがちだけれども、神戸の杜多一族の元締、利夫も結構な実績のある公募ガイダーだった事実は動かしようがない。ということは、叩けば埃は舞い上がるということでもある。

秋田県
日本赤十字社秋田県支部
創立120周年記念マスコットキャラクター
(優秀作品)杜多利夫(兵庫県神戸市)
赤十字秋田キャラ(優秀作品)。

つんつん頭は秋田杉ってことかしら?それとも米どころ秋田をsmile表したかったのかしら?
募集要項では「[赤十字マーク]を加工したものは使用できませんのでご注意ください」とされてたんですがね。こういうのは「加工」には当たらないと自信を持って言い切れるのかしらん。赤十字って厳しいのよ(cf. 2014.11.04「有友自高崎来不亦楽乎」)。

(最優秀作品)
クロスキッドくん
工藤和久(青森県弘前市)(cf. 2013.06.08「Family... Business?? Part 3」)

(優秀作品)
中本竹識(福岡県北九州市)
杜多利夫(兵庫県神戸市)
井口千鶴子(東京都文京区)

圧倒的な大御所の揃い踏みです(大笑)。

けれどその笑いも途中で凍りついちゃう、次のものを見た瞬間に。

神奈川県足柄上郡松田町
キャラクター
コスモちゃん
杜多利夫(兵庫県)
コスモちゃん

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松田町の町の花[コスモス]をテーマに、過去から現在そして現在から未来へとつなぐ100年の歴史・伝統を[虹]で表し、お祝いの意を込め賑々しくデザイン。コスモスの花を2つ並べキャラクターの腕を含め大きく[100]を描き、100周年の町民の喜びを表現しています。
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うああ、一気に氷点下100度、マジで「プラットフォーム + アイテム」の着せ替えペアdowndown。赤十字秋田が2007年の9月頃デザイン募集で10月発表、松田町が同年9〜10月デザイン募集で12月発表と、ほぼ同じ時期の公募だから、手抜き仕事の重複応募の謗りも免れない(断定)。娘にゃここまで見事にあからさまなテンプレワークいやコピーワークはなかったぞ、とっつぁんangry。・・・いや、あったかsweat01(cf. 2017.03.07「大御所劇場 終幕:春にしてキャラを離れ――reprise」)。

愛称は別途募集、ではなく制定側でつけたらしい。

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(2007年12月 広報まつだ No.510)

町の花「コスモス」をイメージして描かれたこと、これからの松田町の大いなる発展を願い、壮大な宇宙「コスモス」をかけあわせ、「コスモちゃん」と名づけました。
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なぜわざわざ「宇宙」を絡めてきたのか、調べてみたけどわかりません。大言壮語のカオスである。因みに同時募集された記念ロゴマークは堀江 豊(広島県)によるもの。

2007年という時期は、自治体章制定 → ご当地キャラクター制定という大きな流れの中の端境期に当たると考えられる。こういうマイナー公募で食いつないでたんですな(赤十字秋田は23点の応募、松田町は19点の応募)。「着ぐるみ化」をことさら意識しなくて済んだ時代とも言えるんだろう。

おまけ。

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(同上)

ありがとう100年
松田町は、平成21年4月1日に町制施行100年を迎えます。

明治42年4月1日に新たに松田町として町制が施行されました。その後、昭和30年寄村と合併し、現在に至っています。平成21年に明治42年の町制施行後100年を迎えます。そのため記念ロゴマークとキャラクターデザインを募集しました(広報まつだ9月号で募集)。
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ふーん。しかしそれは一般的な考え方ではありませんな。1955年の足柄上郡寄村(やどりきむら)との合併は新設合併方式だった。吸収合併ならいざ知らず、新設合併だと普通はそこで年数カウントがリセットされるようですがねえ(個人的にはむしろそっちの方に違和感があるけど;cf.【その21】)。そうなると半分ぐらいに減っちゃうというdespairdespair

(続く)

2017年4月21日 (金)

【対決編】丸ブーtyphoon艶競べheart [37](福島県伊達市章・新城市章)

(承前)

北海道北斗市
市章
田渕美香
〔2005年10月決定〕
北斗市章

これ↑を斬ったとなると、どうしても連想しちゃうものがあるんだよね。NIKEぢゃありませんよ。

福島県伊達市
市章
(作者不明)
福島県伊達市章

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伊達の歴史・伝統を象徴する、[弦月]と[兜]をモチーフとしたデザインです。シンプルな[円形]は旧5町の調和と発展を意味し、「伊達 織りなす未来 ひとつの心」の将来像のもと、和をもって協力し合う人々の姿を表現しています。
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シンプルでインパクトあるデザインとは思う。けれども象徴論的に言えば、武具をアイテムに用いながら「和」を謳うことに、誰も異は唱えなかったのだね。しかもだ。ご当地は伊達氏にゆかりがあるとは言え、この兜で知られる独眼竜正宗公とは関係が薄い。無理くり取り込んじゃった感は否めない。5町→1市に格上げされたのを機会に、新しい歴史観を作り出したと申しましょうか。

因みに北海道伊達市や宮城県仙台市の方は丸ブー市章じゃないので取り上げません。代わりに。

愛知県新城市(しんしろし)
市章
鍋内照代(40歳:新城市:主婦)
新城市章

あれ、ここも伊達政宗なんだっけと思ったら、違う由来でした。

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長篠・設楽原の戦いという歴史的背景をもとに、戦国時代を象徴する[兜]をモチーフにしています。背景は、緑豊かな自然環境をあらわし、兜の前立部分の色彩、形状は、新城市の明るい未来をあらわすとともに、飛躍あふれた市民の営みを象徴しています。
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信長&家康 vs 勝頼の古戦場があるからというわけ。織田軍が三千挺の鉄砲で武田騎馬隊を打ち破ったことで知られる戦いです。ご当地が一番注目を浴びていた時期を画にしたってか(歴史ネタを取り入れるというのは多かれ少なかれそういうことである)。実はProspectiveな意味合いは少なくて、Retrospectiveな視点に立ったものだとは言えるだろう。
でもこれだって結局は「戦争」だからなあ。「緑豊かな自然」とは本質的に相容れないんじゃないのという気もするけれども。兵共が夢の跡、Green Grasses in Sight, Samurai Tales Far Away。

この新城市章、伊達市章を(パクったとまでは言わずとも)意識したものかと思うけれどもそうではない。前者は2005年8月決定、後者は2006年3月決定、嫌疑のかかるのはむしろ伊達市章の方です。
因みに新城市がこの後10年して周年記念で作ったのがこれね↓。

【その171】
愛知県新城市
ご当地ナンバープレート
塩崎榮一
〔2015年8月発表〕
新城市ナンバープレート

こちらでモチーフにされたのは桜淵県立自然公園で、古戦場ネタは使われておりません、悪しからず。

(続く)

2017年4月19日 (水)

【番外編】サプライ・チェーン・マネジメント・システム―Hの連鎖 / A Supply Chain Management System―Chain of "H"s(北斗市章)

(承前)

(なんとなく、"HIRANO KEIKO'S OFFICIAL BLOG" 風に和英併記のタイトルにしてみましたー^ロ^; 4月14日に新しい記事が載ってますぜ)

このところ見てきた伊藤哲也のケースなどは主に、供給に対して需要が大幅超過となっていた平成大合併という特殊な状況下の話ではあった(伊藤にはご当地キャラクターの作品はないようである)。しかし前回取り上げたこれはどうだろうか。

【その183】
第42回四国理学療法士学会 in Tokushima
大会ロゴマーク
佐藤 修(大阪府)
〔2013年決定〕
第42回四国理学療法士学会 in Tokushima

まずは参考になりそうな塩ロゴネタ、再確認しておきます。

【その101】
兵庫県神戸市灘区
神戸大学 男女共同参画推進室
シンボルマーク
塩崎栄一
〔2007年12月発表〕
神戸大学男女共同参画室

でも、背中合わせのこのブーメラン、「Hの連鎖」は遍く公募界に広がっていたのだ。(これが向かい合わせなら「S字の誘惑」である。)

北海道北斗市
市章
田渕美香(北海道上磯郡上磯町(現 北斗市):主婦)
〔2005年10月決定〕
北斗市章

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北斗市の[北]と頭文字の[H]をモチーフに、[青]が上磯町の海、[緑]が大野町の大地を表し、2つの町が躍動的に結びつくイメージを[黄色]で表している。また、北海道新幹線によって、本州と北海道がつながる一番最初の市という思いが込められている。
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これは全国公募ではなく、対象をご当地の在住者、「ゆかりのある人」、および渡島(おしま)支庁(2010.04.01から渡島総合振興局)管内の小学生〜大学生に限定したもの。よく見れば確かに微妙なもっさり感がcoldsweats01
因みにご当地にできた新幹線の「新函館北斗駅」は、1980年代半ばから無人駅となっていた「渡島大野駅」を改称したもの。この悲願が叶ったのは2016年3月26日(新青森駅 − 新函館北斗駅間 開業)、2006年2月の新市誕生から実に10年が経っていた。

ついでに、名前かぶりのここもいっとこう。

【2016.06.03「丸ブー黄金時代」】
山梨県北杜市(ほくとし)
市章
巽 直幸
〔2004年3月決定〕
北杜市章

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主人公である市民をモチーフに、豊かな自然を共有し、未来に向かって躍動する北杜市を市名の頭文字[北]で表現しました。
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そりゃ、ここもHの連鎖に絡め取られるのはしょうがないかもしれん。しかし、「募集する市章の条件」として;

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北杜市が将来構想に掲げた「人と自然が躍動する環境創造都市をめざして」、“水と緑と太陽の恵みを次世代に伝えるために”のスローガンにふさわしい市章のデザインとする。
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なんて世迷い言が書かれているのを見ると、やはり考え込んでしまう。

(優秀作品)
樋口 良(群馬県群馬郡群馬町(現 高崎市))
田村 勝(岩手県盛岡市)
遠藤久徳(群馬県高崎市)

ついでに言うと、巽の受賞コメントもスゴいです。

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知らない土地、出会ったことのない方々にあれこれ思いを巡らせ楽しく制作できました。
北杜市誕生を特別な思いで見守っています。
ありがとうございました。
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ここまで特別な感じがしないのも珍しい。

こうなると、広島県府中市が東京都府中市と、福島県伊達市が北海道伊達市と名前かぶりだってあたりも攻め込まなきゃいかんのだろうけれども、そこはもう飽きたからスルーしますわ。

Hの連鎖、もういっちょ。

埼玉県飯能市
シンボルマーク
福田彰宏
〔2001年11月発表〕
飯能市シンボルマーク

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HANNOの頭文字[H]をモチーフにして4色を使用し、[緑]は豊かな森林、[青]は清らかな川の流れ、それらを囲む[黄のだ円]は豊かな自然を守り伝えていく人々の輪を表し、[赤]は活力ある市民の熱い心を表しています。そして、躍動感あふれる[人]の形は市のさらなる飛躍を象徴しています。
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ほぉ、この公募では「地色を含めて4色」ではなかったのか。平成大合併以前のものです。

例の八幡平市章全応募作品1,240点(@_@)リストにも、新ひだか町章候補作品30点リストにも、この手の[H]なモノはたくさん見つかる。

新ひだか町章 30候補作品

はっきり言って既に手垢まみれ。それを、スポット的なものとは言え、ずっと後になってちょちょいと手を加えて出してきた気がするんです、佐藤(つまり塩崎一族)は。それを選んだ側の見識もどうかと思うけど。

結局、10年余り前、自治体章制定の嵐の中でパクりやリサイクルに対する感覚が麻痺してしまったまま、ご当地キャラブーム(とその終焉)を迎え、今に至っているということではないか。
ことは塩崎一族や井口、駒井、工藤、中本といった古参ばかりでない。「これが選ばれるから/愛されるから」を免罪符に旧態依然とした仕事ぶりなのは、八谷や小池などの遅れてきた世代においても同様である。
これは個人レベルの話にとどまるものでもない。デザイナー村全体が、と言って悪ければ公募界自体が覚醒していないと思えるわけ。そのことの自覚が、軽々しく佐野研二郎を非難する(cf. 2016.05.06「野老案に目がテン!」)、あるいは塩キャラ批判を不毛と言ってのける(cf. 2017.01.24「シンポジウム「地域おこしとキャラクター文化」について」)、村社会の住人達にあるだろうか。

2017年4月17日 (月)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その183:艮陵協議会・四国理学療法士学会徳島)

(承前)

愚blogで塩崎一族によるものと見なしてきた中に、「佐藤 修」名義がある。
もちろんこれがシオピーの一員たる確証などないのであって、むしろツルとしても誰かが「わてが佐藤 修だす、塩崎家とはひとっつも関係あらしまへん」と名乗り出てくれたり、そんなエビデンスが見つかったりする方がよっぽど手間も省けるし、精神衛生上もよろしい。けれど実際にはその逆の状況証拠が集まってくるばかりで、推定同一人物の嫌疑はいつまでたっても晴れません。

宮城県仙台市
NPO法人 艮陵協議会
ロゴマークデザイン
佐藤 修(大阪府)
艮陵協議会

「ごんりょう」と読みます。「艮」とは訓読みすれば「うしとら」、北東の方角のこと。

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艮陵協議会の頭文字をローマ字の[g]でモチーフに、実践的な医療を担い将来の医学の発展に寄与する艮陵協議会の会員の皆様の姿を医療に対する真摯な思いを[ハート]と共にデフォルメして描きました。
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・・・言葉が上滑りしている・・・。

種明かしをすれば、東北大学医学部を中心とした団体。同学部の同窓会も「艮陵会」と名乗っているようです。

この公募、なかなか難産で、2011年5月16日に開かれた同協議会総会では次のように報告された由。

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ロゴマークの募集を行い、応募数点がありました。選考会にあたる理事会が震災のために開催できず、ロゴマークを決定できませんでした。
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確かに大変なことだったろう。でも、多分根本の問題はそういうことじゃないと思う。募集期間は2010.10.28〜2011.02.28、4ヵ月の長きにわたった。それでもって応募総数は11点。数が大事なのじゃないというのは愚blogの基本的主張だけど、さすがに少な過ぎる、長過ぎる。
結局、このマークが選定されたのは年度が替わって間もない2011年5月(上記総会の前だったか後だったかは不明)。

この団体は「卒後臨床研修の充実を図ることを通して、医師の養成と、地域医療の発展に寄与する」ことを目的としていて、つまりは若いお医者さん相手に講習なんかをやってるようですが、もとからあまり華々しい活動ということでもなかったみたい。年次報告には「○○活動:実施できませんでした」みたいな結果が結構並んでいる。
そりゃそうだろう、医者という稼業は激務なものです。自分の仕事をほっぽり出して社会的活動ばかりに精出すわけにもいくまいて。そこは理解する。でも、そんな片手間では、公募にせよコンペにせよ委嘱にせよいいデザインは生まれてこないだろう(だからこんな半端丸ブー&緑とピンクのハート使いというテンプレ塩ロゴを選んじゃったのねcrying)。

似たような分野で、2013年には次のようなデザインも編み出されている。

第42回四国理学療法士学会 in Tokushima
大会ロゴマーク
佐藤 修(大阪府)
第42回四国理学療法士学会 in Tokushima

こっちの事務局は徳島文理大学の保健福祉学部理学療法学科に置かれていた。毎回作り直すんですかねえ、こういうのを。いろいろしがらみがあるんだろうな、大変なこってす。

向かい合った、というより背中合わせの[2つのブーメラン]というのも大層よく見かけるパターンでござるなー。[地図]を描き込むのも言わずと知れたご当地公募のお作法、[赤丸]が比較的小さいのは塩崎一族の丸ブーによく見られる特徴です。
これ、「四国」を「西日本」に置き換えてもそのまま通用しそう。ま、「御礼」は5,000円のクオカードと第42回四国理学療法士学会学会長からの感謝状だけだったし、公募の鬼とて気合いが入らんかったんじゃろう。

本公募で特筆すべきは応募方法で、「下記、応募先にメールにて送信下さい。添付ファイルの形式は、JPEG形式とします。」となっていた。つまり郵送は認めていなかったらしい。制定側の手間を考えればそうした方が効率的であるのは言うまでもないけれど、そんな風に効率至上主義でいっちゃっていいの?
別に、手描きしたい人もいるでしょとか、がきんちょはどうするのとか、digital divideの観点上よろしからずとかいう意味ではなくて、だけど。

あーあ、やっぱりどれも面白味がないよ・・・。こっちも気が乗らないや。

(続く)

2017年4月15日 (土)

【対決編】丸ブーtyphoon艶競べheart [36b](八幡平市章応募作品・安平町章応募作品・久喜市章・枝幸町章・本の森.JP)

(承前)

こうした「円形の中に1文字で2トーン」的なパターンは、時折参照している八幡平市章と安平町章の全応募作品リストにもちゃーんと入ってます。

岩手県八幡平市
市章(応募作品941)
〔2005年6月決定〕
八幡平市章(応募作品941)

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[八]の頭文字をモチーフに、貴重な歴史・風土や産業・文化など豊かな自然の恵みを活かした地域社会といきいき共生し、合併を機に市民と市政の融和・団結と将来に向けてますます飛躍・発展・繁栄する「八幡平市」の明るい元気な姿を
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サイトに掲載されているPDF資料の表はここで文章が途切れていて(馬鹿がEXCELで作りやがったなangry)、この後「表しています。」と続いていたものと思われます。この作者も井口やすひさですネ、文章からしてきっと。

北海道勇払郡安平町
町章(応募作品)
〔2005年10月決定〕
安平町章応募作品 安平町章応募作品

アルファベットだのカタカナだの、おんなじ作者なんだろう。やっぱり、どこにも這い出てくんのね、こうした手合いは。

四角だったらこうです。

埼玉県久喜市
市章
芦田為美(ためよし)
〔2010年11月発表〕
久喜市章

2010年3月合併、これも平成の大合併に含まれるんですかね。

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久喜市の[久]の文字を基調に、[白色]は未来への限りない夢と希望を、[青色]は市内を流れる河川の清き水と澄んだ空を、[黄緑色]は豊かな恵みをもたらす田園を、[緑色]は自然の木々や美しい草花を表し、都市と豊かな自然環境が調和し発展する久喜市を表現しています。
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(優秀賞)
居山央子(いやま ひろこ)
金津 博
平野 正(まさし)
加藤敏和

このところ取り上げているこのガイダーにもこんなバリエーションが見つかる。

北海道枝幸郡枝幸町(えさしちょう)
町章
伊藤哲也(東京都江戸川区)
〔2005年11月決定〕
枝幸町章

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ひらがなの[え]をモチーフに、森の町と海の町の融合をイメージしたもの また、[菱形]は北海道を表したもの
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(優秀作品賞)
早川 忠(北海道石狩市)
小山朝子(群馬県伊勢崎市)
三好健一(福岡市)
蓬 伸哉(兵庫県姫路市)

さすがにもう飽きてきたでしょ(笑)、一昔前の話だし。じゃ、おまけにちょっと眠気が紛れるようなイマの話を。

伊藤は現在、新潟市北区の株式会社C&R研究所という出版社の運営する「樹齢300年以上のブナやケヤキなどの原生林が鬱蒼と繁る山中」にあるというサイト(意味不明)、「本の森.JP」のお抱えとしてロゴマークの製作を請け負っている。プロが作るオーダーメイドのオリジナルロゴ、40,000円(税抜)。ご用とお好みの方はどうぞ。

http://www.c-r.com

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■プロフィール
伊藤哲也(いとう てつや)
ロゴデザインの制作を中心に活動しております。
市町章などの公共機関での複数の採用実績ををはじめ企業・商品・店舗・など様々な業種でご採用いただいております。
また手書きの筆文字によるロゴデザインも多数手がけコンセプトにあったデザインを幅広いテイストでシンボライズすることを心がけています。
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「市町章などの公共機関での複数の採用実績」が殺し文句ネ(^.^)b。typoがあるけど(苦)。

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弊社の新刊「Design Book おしゃれ名刺&ショップカード」の中でも、ロゴの見本として使用させていただいており、品質には定評があります。

※本サイト「本の森.JP」の左上のロゴも伊藤氏のデザインです。
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本の森.JP)

ただし次の点にはご注意を。

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▼商標登録について
お客様が受け取ったロゴに関して、本の森.JP(以下、「当店」と記載)は商標の先行調査や商標登録の取得作業は扱っておりません。商標登録される場合は、お客様が直接、特許庁にお問い合わせください。作成したデザインが商標調査で登録出来ない場合や、それによって起きた問題・損害・費用などに関して当店及びデザイナーは一切の責任を負わないものとします。

▼ロゴデータの免責について
お客様に納品するロゴデータは、専門のデザイナーが心を込めてお作り致します。ただし、納品されたロゴデータやその運用に関するいかなるトラブルや損害も、当店及びデザイナーは一切の責任を負わないものとします。お客様ご自身の責任において、ロゴデータをご活用下さい。
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他に類似品が見つかったとして、訴えるのも訴えられるのもアナタの責任においてってことで、よろしくね。
つまり全ては伊藤のCreativityひとつにかかっているのさ(苦笑)。伊藤にはプロとしての自信も自覚もあるんでしょうけど、これってシステムとしてはどうなのよ。

(続く)

2017年4月13日 (木)

【対決編】丸ブーtyphoon艶競べheart [36a](琴浦町章・さくら市章・〈津市章〉・〈米原市章〉・〈袋井市市章〉・〈久慈市章〉)

(承前)

丸ブーの嵐の中、もはや自分を見失ってしまいそうです・・・。

自治体章類を見ていて時々目に留まるのは次の系統。

鳥取県東伯郡琴浦町
町章
金野 勝(埼玉県)
〔2004年6月決定〕
琴浦町章

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琴ノ浦の海岸線と緑の大地を[こと]の文字でまとめたもの。全体で自然のゆったりした豊かさを表現しています。
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これ、割と好きだなあ。「ゆったり」感が確かにあって。

(優秀賞)
有田 進(鳥取市)
井口やすひさ(東京都)
上野勝義(埼玉県)
深川重一(大阪府)
三浦宏一郎(神奈川県)

栃木県さくら市
市章
松岡英男(山形市)
〔2004年11月決定〕
さくら市章

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さくら市の[さ]をモチーフに、[花びら]の[ハート]は市民がお互いに思いやる心を持ちつつ未来へ羽ばたくことを表現し、その心意気を高らかに謳いあげています。
[青]は豊かな心と英知により、自然と調和した発展を創造することを表しています。
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市章以前の問題として、この市名はやっぱり危ういよね。仮に「桜市」の漢字に置き換えたとして、感想は人により分かれるでしょう。象徴性の高過ぎる名前ってのもねえ。

(優秀賞)
東 信慶(福岡県北九州市)
萱野光俊(熊本市)
安 起瑩・山根衣代(茨城県つくば市)(cf. 2016.07.15〜25「公募ガイダーはS字固めがお好き?再び〜三たび」)

こうしたパターンは前にもいろいろ見ました。伝統的な「章」の概念を大きくは踏み越えず無難にして明快、かつバッジや旗にもしやすいので万人向けに受けがよいだろうとは思うけど、その分公募をかければ必ず送られてくる類いのデザインであるかもしれない。

【2017.02.08「丸ブーtyphoon艶競べheart [30]」】
三重県津市
市章
〔2005年10月決定〕
(優秀賞:作品1)井口やすひさ
津市章(井口案1)

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[つ]の頭文字をモチーフに、貴重な歴史・風土や産業・文化と新市の将来像の自然(水・緑)に包まれた地域社会をイメージし、将来に向けて飛躍・発展・繁栄する明るく元気な姿を力強く表しています。
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【2015.12.01「丸ブーtyphoon艶競べheart [10]」】
滋賀県米原市
市章
井口やすひさ/靖久
〔2004年12月決定〕
米原市章

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米原市の[マ]をモチーフに、歴史や産業・文化と豊かな自然(人・水・緑)と生き生き共生し、輝かしい発展・繁栄する「米原市」の明るい元気な力強い姿をイメージし、アピールしています。
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静岡県袋井市
市章
山本 晃
〔2005年6月発表〕
袋井市章

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袋井市の頭文字であるアルファベットの[F]を図案化しています。
飛躍する文化都市と自然豊かな田園、さわやかな風、遥かな海をイメージし、全体で新しい市民の和を表現しています。
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岩手県久慈市
市章
田村勝史
〔2005年9月決定〕
久慈市章

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久慈市の自然豊かな山、海をモチーフに未来に向かって希望と活力、円満を目指す、久慈市発展の躍動感をイニシャル[K]にデザインしました。
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ああ、脈々。つまり発想はいずれも同根。だったらプロの公募ガイダーはもうそこに手をつけちゃいけないでしょが(笑)。素人に譲っとけよ。

(続く)

2017年4月11日 (火)

【番外編】公募界の薄闇を飛び回る蝙蝠(日本サウナ・スパ協会)

10年前の某公募系BBSを見ていると、常連ガイダーでも批判非難を受けやすい者と、比較的受けにくい者とが存在したことに気づきます。前者の横綱はさしずめ井口やすひさと工藤和久であり、後者としては杜多利香と小柴雅樹が挙げられよう。(塩崎歩美渾名して「アユたん」、塩崎栄一渾名して「塩ピー」は、前者の大関か関脇といったところ。)
批判の内容は当然、デザインやコメントのテンプレやらリサイクルやらに対するものが中心ですが、作品数やらコメント文字数やらの制限に関するものも多い。こんなのもあった。

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316:2006/05/09 11:22
「敦賀商工会議所 100周年記念シンボルマーク」入賞者を発表してるけど・・・
>募集内容・プロの方の応募はご遠慮下さい。ってあったよな
あの人プロじゃないのかよ!
[URL]

317:2006/05/09 12:37
※選考結果等に対するお問い合わせにつきましては応じられませんのでご了承下さい。

敦 賀 商 工 会 議 所

318:2006/05/09 12:40
井ロやすひさんの事?

319:2006/05/09 13:47
井口やすひさ氏は皆さんご存知だと思うけど、
吉村始氏[引用註:採用者]も日本グラフィックデザイナー協会正会員で吉村始デザイン室を主宰してるし

320:2006/05/09 14:22
死ねよ売国詐欺師

321:2006/05/09 14:29
邪愚駄と書いてJAGDAと読む

323:2006/05/09 14:47
なぜプロの応募を拒んだのか分からないが、
入賞したプロの応募作品が素人っぽくて、とてもプロの作品とは思えないから
プロだと疑わなかったってことなのか?

324:2006/05/09 15:47
念のために本人達に確認取るよな。普通は

325:2006/05/09 21:14
できるなら地元の人間の作品を採用したいというのは
心情としては理解できるが、それなら形ばかりの全国
公募なんて最初からやらなきゃいいのに。

326:2006/05/09 22:53
プロの方の応募はご遠慮下さい。の「プロ」をデザイナーと思い込んで
応募しなかったのが私の間違いで、
先方は“プロの格闘家、或いはプロスケーターはお断り”の
つもりだったのかもしれないな。

327:2006/05/10 00:03
その通〜り!
確かに亀田兄弟 荒川静香は応募しておりません。

328:2006/05/10 10:02
俺は魚の骨抜作業のプロだから敢えて応募はしなかったのに失敗だった。

329:2006/05/10 11:41
お前ら・・・

面白いな
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プロなのかアマなのか、都合よく使い分けるのは中本竹識にも見られたところ。

そして借名についての糾弾も。

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525:2006/06/14 20:30
やすひさ氏の嫁って千鶴子って名前?
[URL]

526:2006/06/15 09:33
>>525
正解。
おそらく、応募条件が1人1点の場合に、
家族全員の名前を借りるんだろうと推測できる。

527:2006/06/15 09:44
腐れI死

528:2006/06/15 10:50
千鶴子氏が入賞している
“日本サウナ協会、女性起業統一ブランド[引用註:山口県「やまぐち農山漁村女性起業統一ブランド」シンボルマーク]、野洲市、心の東京革命”って
応募条件に1人1点ってあったっけ?

529:2006/06/15 11:38
まあ、1人1点とかの制限がなくても
常連として、名前が知れ渡りすぎてるから
別名を使いたくなるんじゃないの?

530:2006/06/15 11:41
野洲市1人1点だね。
他もそうかもね。
[URL]

531:2006/06/15 12:33
NHKの死章特集で偉そうに調子こいて喋ってたけど
-----

これらに挙げられたもののうち、現在井口一族の作品が確認できるのは次の2点のみです。

【2015.01.18「Free Lancerの栄光と残照 三:破廉恥」】
東京都
心の東京革命推進協議会
心の東京革命 シンボルマーク
井口千鶴子(東京都文京区:グラフィックデザイナー)? or 井口やすひさ?
〔2000年10月決定〕
心の東京革命

嫁も本当にデザイナーだったかもしれないって??それはどうだっていい。前も書いたけど、これ↑は2008年11月になってやすひさ自身がblogで自作と認めている。

もっと傑作なのはこれ。

日本サウナ・スパ協会(旧 日本サウナ協会)
シンボルマーク
(優秀賞作品)井口千鶴子(東京都文京区:グラフィックデザイナー)
日本サウナ・スパ協会

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全体の形は[人]とサウナの「快適さ」をモチーフに、みんなから親しまれ、愛され、楽しまれ、サウナを通して明るく健康で元気な輝く姿をイメージし、アピールしています。
-----

名称変更を機に公募して2006年4月に決定されたものですが、ふと気になって調べてみると、東京都渋谷区の「松濤温泉シエスパ」で死者3名を含む大きな被害を出す爆発事故が起きたのは2007年6月で、これより後でした・・・。

これねえ。千鶴子作となってるけれど、間違いなくやすひさ作品でしょう。

× Japan Sauna Supa Assocition
○ Japan Sauna Spa Association

英語のスペルミスが非常に多いのはやすひさの特徴の一つ(cf. 2015.01.14「Free Lancerの栄光と残照 一:無分別」)。それとも夫婦揃っての粗忽者?
辞書引いたり、作った後に自己チェックしたりはせんのかね。プロじゃねえなーー(爆)、安心して仕事頼めんよ。修正もせずに発表した同協会も相当なもんだけど。

(最優秀賞)
斉藤つとむ(石川県金沢市:デザイン業)

(優秀賞)
井口千鶴子(東京都文京区:グラフィックデザイナー)
信貴正明(新潟県燕市:グラフィックデザイナー)

斉藤作品や信貴作品では正しく綴ってあります、ご安心を(笑)。

嫁名義で採用されて表彰式まで嫁が出席したものを、後になって「アレはDでワシがADじゃ」と言いなすのも平気ってぐらいの強心臓だから(cf. 2016.01.05「Glorious Days, Afterglow; 1」)、このぐらい屁でもないのであろうか。
あ、DirectorとAssistant Directorぢゃありませんよ、DesignerとArt Directorですよ。

「名義借り」なのか「実績の横取り」なのか、だんだんわからなくなってきます。しかし、天知る地知るツルも知る。全うな応募をしないなら、全うな評価もまたありはしない。

おまけ。NHKが組んだという番組はこれです。

NHKテレビ欄

某公募系BBSに曰く。

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283:2005/11/08 19:43
日曜にNHKで平成大合併による新しい市町村章の
デザイン特集やってたね。
全部の合併が終わってから採用されて新しく決まった市町村章から
ベスト5を決めるらしいじゃん!
以後、採用組のみオンリーの闘いがあるらしいね

285:2005/11/08 20:27
>>283
>ベスト5を決めるらしいじゃん!

そんな話は無い!嘘はいかん

289:2005/11/09 02:41
>>283
11/6日曜の番組欄を探してみたんだけど見つからない
もしかして月曜のこれ↓ですか?
■11月07日(月) - 午後 02:05 〜 午後 02:50 - 総合テレビ
お元気ですか 日本列島
▽平成大合併でデザイン殺到 新しい市町村の図案は
▽安土城のびょうぶ絵
-----

これもまたマスコミの罪か。
やすひさが出演してたんでしょ?それは是非とも見たかったなー。

2017年4月 9日 (日)

【番外編】マスコミの罪:下(一関市章・三種町章・ゆざわジオパーク)

(承前)

2005年7月の伊藤哲也インタビュー記事を読んで違和感を持ったのはこの部分。

「他に似たデザインがないよう、注意しました」

記者との間にはもっと突っ込んだやり取りもあったのだろうけど(でなきゃこんな一文が出てくるはずはあるまい)、「ええ?似てるのなんかいっぱいあるじゃん!」って印象。

岐阜県揖斐郡揖斐川町
町章
伊藤哲也
揖斐川町章

岩手県一関市
市章
柏木勇三(55歳:岩手県盛岡市:商業デザイナー)
一関市章

-----
市章は、一関市が人々に愛され、親しまれ、さらに発展する姿をイメージし、「一関市」の[い]の字を基にデザインしています。[青]は中央部を流れる北上川やその支流の川の色を、[緑]は奥羽山脈や北上山系の森の色をイメージし、一関市の豊かな自然を表現しています。
-----

↑これについては、某公募系BBSで;

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2005/09/18
デザインの趣旨100字以内じゃなくても残れるのなら最初から設けるなっての。一関
それと徳島の某町も
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とやる方なき憤懣がぶちまけられております(笑)。

(優秀作品)
山崎晃一(長野県)
小山 力(一関市)
加藤真一(一関市)
後藤二三夫(岩手県水沢市(現 奥州市))

島根県邑智郡邑南町
町章
伊藤哲也
邑南町章

秋田県山本郡三種町
町章
井上健蔵(47歳:青森県上北郡東北町:画家)
三種町章

-----
[三色の輪]が「豊かな自然と大地の恵み、心ふれあう協働のまち」を表現しています。
合併三町が知恵の輪のように融合し、発展してゆく三種町を象徴しています。
-----

前半は例の「将来像鸚鵡返し」の技で、それに知恵の輪ネタを加えたわけね。いい喩えじゃない気がするけど。
ツルは、「みたねちょう」と読むのだと知っていささかガッカリしました、当然「さえぐさちょう」だと思っていたので。そっちの方がなんぼかカッコいいのに、どうせ琴丘町・山本町・八竜町の3町で合併したことを「三つの種」と表したんでしょってな感じ(でも実際は3町を流れる三種川に因んだとされているから、そりゃしゃあないか)。

(優秀賞)
土井添吉高(49歳:福岡県北九州市:グラフィックデザイナー)
松岡光雄(53歳:新潟市:グラフィックデザイナー)
福井 誠(50歳:広島県三次市:美術家)
杜多利夫&利香(56歳&22歳:兵庫県神戸市)

ツルは好みから言えば伊藤作品は好きじゃない。基本的にカッチリし過ぎていて、「ゆらぎ」を感じないから。
しかし、伊藤の名誉のために言っておくと、いろいろ調べてちょっと違う状況だったことがわかってきた。

揖斐川町章(伊藤) 2005年7月制定
一関市章(柏木) 2005年11月決定

邑南町章(伊藤) 2004年8月決定
三種町章(井上) 2005年9月決定

いずれも伊藤作品の方が先にできている。伊藤がパクったとはここでは言えないわけ。因みに一関市章は合併前の2005.07.01〜08.19に募集を行い(∴07.01の揖斐川町章制定より後thunder)、09.20の合併施行をまたいで新市で決定したというパターンです(プチ伏線)。

日の浅いうちにではなくて、決定後何年も経ってから類似品が出てきた例だってある。

【2016.06.03「丸ブー黄金時代」】
大分県竹田市
市章
伊藤哲也
〔2004年11月決定〕
竹田市章

秋田県湯沢市
湯沢市ジオパーク推進協議会
美の郷ゆざわジオパーク構想 ロゴマーク
奥野和夫(神奈川県横須賀市)
〔2012年1月発表〕
美の郷ゆざわジオパーク構想ゆざわジオパーク

-----
院内銀山や松岡鉱山の山並みに、豊富な温泉と地層を[波紋]で描き、湯沢の頭文字[Y]をモチーフに温泉の[湯けむり]を美しい人の姿に見立て、美の郷を表現
-----

うへぇ、7年も後。これもまた「渦巻く水の中から立ち上がる何か」にカテゴライズされるものであろうなあ(cf. 2017.01.11「大御所の罪:その1」・2017.01.13「丸ブーtyphoon艶競べ [25]」)。

このプロジェクトは2011年5月から動き出したもので、現在「構想」の2文字は外れている。一緒に「美の郷」の看板も下ろされちゃったけどcoldsweats01
「美の郷」をアピールしたかったのは、ご当地が小野小町の生地だという伝承があるから。お米の「あきたこまち」や秋田新幹線「こまち」もここから来ているし、同時に公募されたキャラクター「しず小町」(by 多田歩実:神奈川県)もそこ狙いだった。でもそんなもの、"Geo" には何の関係もありゃしません。何か勘違いしてらしたんじゃないかと。

これだって裸に剥けば似たようなもの。

愛知県清須市
市章
伊藤哲也
〔2005年5月決定〕
清須市章

【2015.10.07「One of Those "類似" Preventive Measures? ― 壱の斬」】
鹿児島県肝属郡錦江町
町章
井口やすひさ
〔2005年7月決定〕
錦江町章

もっともこれらは、錦江町章の募集が2005.03.01〜04.28に行われた後、05.23に清須市章が決定されているので、似たのは偶然ってことになるんですけど。

でも、そんなことでは連鎖は終わらない。これはインスパイアってなもんではないんですかね、伊藤センセ?

【2015.10.07「One of Those "類似" Preventive Measures? ― 壱の斬」】
鹿児島県出水郡長島町
町章
伊藤哲也
〔2005年10月決定〕
長島町章

逆さまにすればよくわかるでしょ。

長島町章(倒置)

-----
。すまいてし味意をとこす出み生を力活 ,し表を町2るなにつとひれま囲で海 ,は[波]るす動躍 。たしましンイザデてしジーメイを[陽太]すら照を町新たれま囲に海にフーチモを[な]のながらひ
-----

コメントも逆さまにしてみましたbleah

結局、いくら伊藤が努力を重ねても、よしんばその健気な心がけが常に守られていたとしても、である。そんなものなど無力に過ぎない。後から見る者の眼には、揖斐川町章も一関市章も一概に「似ている」としか映らないのだからweep
そしてご当地マスコミはデザイナー先生を持ち上げる話題ばかり書きたがる。平成大合併では地元のエゴも絡んで修羅場が多くあったわけで、シンボルマークの話題ぐらい明るくまとめようとするんだろう。世の中そういうものなんだろうか。
でも実態はデザイン公募だって負けず劣らずドロドロのズブズブなわけですが。

2017年4月 8日 (土)

【番外編】マスコミの罪:Intermission

(承前)

前回引用した記事に比べれば、次の感覚の方がまだまともだと思える。

-----
(2005.09.08 南日本新聞)

企画[記者の目]市町章パターン化/南大隅支局・山口重彦

円や弧、曲線を組み合わせた形。大部分は青、水色、緑で、ワンポイントにオレンジや赤を配色―。平成の大合併で次々と生まれる新しい自治体の市町章の大まかな傾向だ。
町の躍動感をうねるラインで、海川の潤いと広がる空を青で、山や田畑の豊かさを緑で、輝く太陽をオレンジで、発展飛躍を赤で―。デザインの趣旨もよく似ており、どこの地方都市にも当てはまる文言が並ぶ。
南大隅町の町章は町名から[M]と[O]を図案化、錦江町も[き]をモチーフにした。いずれも前述の傾向から外れない。
デザインに詳しい知人によると、やさしい感じを与え、「バッジにも使用」となると円や曲線になるという。色は四色以内、グラデーション不可など、条件もほぼ同じで、デザインも色使いも絞られるそうだ。
昨年八月までに誕生した全国三十六の新市町章の一覧を見た。山梨県南アルプス市は頭文字の[M][A]で山並みを描き、同県富士河口湖町はずばり[富士山]を図案化。イメージそのもの、全国区の名勝地を持つ所はうらやましい。
南大隅町の町章募集には全国各地から応募があり、一人で十点以上の人もいた。「賞金ハンター? この町のことをどれだけ知っているのだろう」と勘ぐりたくもなった。
国の号令に従って急いだ合併。そのシンボルまでも似たり寄ったりの没個性になりそうな予感がする。公募する限り仕方のないことなのだろうか。
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うわっ。これ、ツルが書いた文章じゃありませんよbleah

【2017.02.25「大御所劇場 二幕目:春と修羅」】
鹿児島県肝属郡南大隅町
町章
杜多利香
〔2005年8月制定〕
南大隅町章

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南大隅町のイニシャルの[M][O]で、町を包む雄大な自然がデザインされ、山並みと海の波を重ねたダイナミックなラインは、町の発展力を象徴しています。また、南大隅町の蒼々たる大地の様子が表れており、最南端の町から文化が広がり発展する様子が描かれています。
-----

【2015.10.07「One of Those "類似" Preventive Measures? ― 壱の斬」】
鹿児島県肝属郡錦江町
町章
井口やすひさ
〔2005年7月決定〕
錦江町章

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[き]の頭文字をモチーフに、タウンカラーの[緑色]は櫻島、薩摩富士と大地、[青色]は錦江湾と青空、[橙色]は夕陽に映える町の景色をイメージし、町民に親しまれ、愛され、「あふれる自然、心豊かなまち」が合併を機に、町政の融和・団結とますます飛躍・発展・繁栄する「錦江町」の明るい元気な力強い姿を表現しています。
-----

うーん、残念ながら、錦江町には確かに全国レベルの知名度のものは何もない。容赦なく返り太刀を浴びせれば、この町が錦江湾に接する部分はごく僅かであって、錦江町の名は限りなく僣称地名に近い。一方で南大隅町には九州本島最南端、いや日本の本土最南端の地、佐多岬(さたみさき)(*1)があるじゃないか。この町名には単に「大隅半島(*2)の南端」というにとどまらない意味があったわけだ。町章デザインにそのことが活かされたとは一向に頷けませんがねcoldsweats02

(*1)愛媛県西宇和郡伊方町にある四国最西端の佐田岬(さだみさき)とは別。
(*2)鹿児島県の東の方の足が大隅半島、西の足が薩摩半島。

この記事の中で、記者子は次の2点をホメたのだろうか、それともそうではないのだろうか?

【2016.07.31「丸ブーtyphoon艶競べheart [21] のおまけ」】
山梨県南アルプス市
市章
(作者不明)
〔2003年9月制定〕
南アルプス市章

-----
南アルプス市のイニシャル[M]と[A]を組み合わせ、「南アルプス市」をイメージしました。
「自然と都市(人)との調和」が下の[楕円]により表現され、「未来に飛躍する夢と希望の都市」が上部の[三角形]のフォルムにより表現され、南アルプス市を明るく、力強くシンボライズ(象徴化)したデザインです。
-----

【2016.04.17「丸ブーtyphoon艶競べheart [16]」】
山梨県南都留郡富士河口湖町
町章
佐藤秀人
富士河口湖町章

-----
[富士山]を取り巻く[湖]と、さわやかな高原の風のイメージを表し、富士山と良いつながりを持って発展していくまちを表現しました。
-----

でも、うらやましがってるぐらいで済んでるうちはまだよかったんである。
両町はいずれも2005年3月に合併していて、その直後の10月の国勢調査時点に比べ、2016年10月の人口は南大隅町が▲25.6%、錦江町が▲22.9%。今から3年後、東京五輪の終わった頃の国勢調査では各々7千人を切りかねない。コミュニティの維持にもそれなりの母数は必要だろうけれど、ご当地に限って言えば、両町の発足に際して合併の線引きを巡るゴタゴタがあったので、おいそれと平成大合併第二陣(そんなものが来るとしてだが)に乗っかるというわけにもいかないだろう。
大抵の日本の地方市町村は多かれ少なかれ同じ状況。いかに人口減の時代を生き抜いて未来を切り開いていくか、どこの自治体でも舵取りは大変難しいと思うのですけれど。

南大隅町 9,897人 → 7,359人(人口密度 34.5人/km2)
錦江町 10,015人 → 7,720人(同 47.3人/km2)

(続く)

2017年4月 7日 (金)

【番外編】マスコミの罪:上(邑南町章・揖斐川町章)

ご当地公募で採用されたともなると、地元メディアが作者インタビューを取り上げるなんてことはよくあるわけです。特に遠方の作者だったりすれば、その意気に感じて(そりゃ大きな誤解だが)深くも考える前に記事にしちゃうんだろうね。例えばこんな具合。

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(2005.07.21 中日新聞 抜粋)

人 ひとめぼれ 清須市の市章考案 伊藤哲也さん(42) 魅力ある環境都市イメージ

【愛知県】「とてもうれしかったですよ。その日は家族でお祝いをしました」。合併して七月七日に誕生した清須市の市章に自らのデザインが選ばれ、素直に喜びを語る。
現在はフリーのデザイナー。自治体の章では清須市の前に大分県竹田市、島根県邑南(おおなん)町でも選ばれ、清須市の後も岐阜県揖斐川町で採用された。
勤めていた看板製作会社を昨年辞めたばかりで、知り合いから依頼される仕事をこなすかたわら、インターネットで章の公募情報を調べて応募。「これまでは、形に残る仕事がなかったので、今は忙しいけれど充実しています」と言う。
清須市も含め、訪れたことのない自治体の章を制作するときは、まず図書館やインターネットで町のことを調べる。あとは家に帰って夜中にイメージを膨らませ、鉛筆片手にひたすら紙にデッサンを描く。仕上げはパソコンだ。
清須市章は、[青い三つの水紋]で[キ]をデザイン。三つの町が一つになった、河川に囲まれた魅力ある環境都市をイメージした。「他に似たデザインがないよう、注意しました」と話す。
清須市には「誰もが気持ちよく過ごせる町になってもらいたい」と願いを込め、「いつか二人の子どもを連れて、章を採用してくれた町を巡る旅行に出掛けるのが夢」と笑う。
東京都江戸川区。(寺本康弘)
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だいたいこの手の記事は最後に「〜と笑う。」と締めくくるものと相場が決まっている。しゃらくさっ。

【2015.10.07「One of Those "類似" Preventive Measures? ― 壱の斬」】
愛知県清須市
市章
伊藤哲也
〔2005年5月決定〕
清須市章

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2色の[ブルーの輪]は、“水”と“未来”を象徴し、河川の流れと調和のとれた発展を表しています。また、[水紋]が重なり響き合うイメージは、安心・快適・創造のまちづくりが実現される姿を示しています。
清須市が、豊かな歴史環境や水辺環境を活かした魅力ある環境都市として活躍する姿を表しています。
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【2016.06.03「丸ブー黄金時代」】
大分県竹田市
市章
伊藤哲也
〔2004年11月決定〕
竹田市章

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市章デザインの全体の形象は「たけた」の[た]をモチーフにしたものです。下部の[円]は、名水名湯を図案化しつつ、地域の輪をイメージしています。そこから立ち上がる[大小の丸]と[2本の線]は、未来へ伸びゆく活力と協調を表現しています。
-----

アレ?「地域の輪」でいいの??「地域の和」じゃなくて?「輪」とか「和」とか濫用してる間にごっちゃになっちゃったのね。でも、このまま制定の告示にも載ってますcrying

島根県邑智郡(おおちぐん)邑南町
町章
伊藤哲也(東京都)
〔2004年8月決定〕
邑南町章

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(2004.08 邑南レポート 第19号)

邑南町の漢字の[邑]をモチーフに町作りのテーマ「和」から[輪]がふれあい[大きな輪]を創っていくことをイメージしてデザインしました。
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 ↓

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(平成28年 邑南町勢要覧)

邑南町の[邑]をモチーフに[三つの小さな輪](旧町村)が和することによって、「夢響きあう元気の郷づくり」が[大きな輪]となっていく様を表し、やわらかな[ライトブルー]は、町の豊かな自然と人情を表しています。
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制定の告示を見ると、色指定はプロセスカラーでC93%のM29%、特色ならDIC181とされているので、どうも途中で運用上の取扱いとして色が浅く変えられた様子です。

DIC181

上記の「邑南レポート」とは、ご当地の邑南三町村合併協議会のいわゆる合併協だよりのことで、こんなことも書かれていた。

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選考に際しては、「まちづくりの理念を反映していること」「古い印象でなく、陳腐化していないこと」「視認性・記憶性に優れていること」「連想性が豊かで、まちづくりに有利に働くこと」「類似のデザインがないこと」などの様々な視点から審査され、表紙の作品が最終町章候補として選定されました。
-----

それを瞬く間に陳腐化してしまった、平成大合併という怪物。それに対する評価はまだ出ていない、少なくとも東京五輪が終わるまで答えは固まるまいというのがツルの現在の考え。

岐阜県揖斐郡揖斐川町
町章
伊藤哲也(東京都江戸川区)
〔2005年7月制定〕
揖斐川町章

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ひらがなの[い]をモチーフに揖斐川の流れと新町の将来像から人々のふれあいと大人も子供も安心できる健康文化都市を表しています。また、らせんを描く[カーブ]は次世代につなぐ自然と歴史を表しています。
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ああ、いろいろ理屈はつけられるわけね。

(優秀賞)
粟野政樹(揖斐川町)
北野公一(和歌山県)
小島貞彦(大阪府)
信貴正明(新潟県)

冒頭のインタビューの最後に出てくる老後の夢っぽいものは、しかしその後半年もしないうちに叶えられた、一部。
2005年11月29日、この自治体の発足記念式典に伊藤は息子を伴って出席している。

【2017.04.02「破れかぶれの名前かぶりに」】
高知県四万十市
市章
伊藤哲也
四万十市章

四万十市発足記念式典にて

パパのかっこいいところを見せてやったわけですが、この日は平日の火曜日。小学生と思しきご子息の学校はどうしたんです?休ませちゃったんですか!?(というところがツルも昭和生まれの生真面目頑固石頭の面目躍如ってことで)
・・・しかも一人しか連れてかなかったようだし。

(続く)

2017年4月 5日 (水)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その182:エキゾーくん)

(承前)

【その179】で取り上げた「しょさまる」と兄弟分になるような感じかと思うんですが、同じ北海道の大地から、今回は南部の渡島(おしま)半島に位置するこの観光都市で作られたキャラを。

北海道函館市
箱館会
函館観光イメージキャラクター
エキゾーくん
塩崎榮一(69歳)
(愛称)
川越雅姫(まさき)(函館市立旭岡小学校6年)
エキゾーくん

-----
函館の歴史、文化、観光・函館の魅力をキャラクターで表現いたしました。
函館名物の[イカ]をかたどった被り物をかぶり、美しい函館山からの[夜景]、[ロープウェイ]を盛り込みました。前髪は津軽海峡の[波]と函館市の市章の[巴]をイメージし、洋服は[赤レンガ倉庫]と桜の名所[五稜郭]を表現しました。
-----

さすがに王道塩キャラ、アッパレな盛りっぷり&被りっぷりですねぇ(^_^)y-゜゜゜。口唇口蓋裂的(あ、言っちゃった)な口の形も出現率がだんだん高まってきたしなあ。

ご当地のキャラに向かひていふことなし
ご当地のキャラは侮り難きかな

ふるさとの山に向かひていふことなし
ふるさとの山は有り難きかな
  啄木

2016年3月半ばから約1ヵ月間募集され、4月下旬にデザイン発表されたものです。これもこりんごさまからの書き込みで知りました(いつもいち早い情報ありがとうございますm(__)m)。
お気づきでせうか。「しょさまる」と同時期の募集なのに、作者年齢が3歳も違うんですよw。Time Paradoxな謎やわーwww。

【その178】
北海道苫前郡初山別村
イメージキャラクター
しょさまる
塩崎榮一(66歳)
〔2016年3〜6月募集・9月発表〕
しょさまる(最終版)

衣冠を正して烏賊の烏帽子を頭に戴いたっぽい変態、いや軟体キャラというのはよそにもあるけど、イカはれっきとした函館市の「市の魚」、富山のホタルイカ少女に負けてなんかいられないのである。(そんなこと言ったら、ホタルイカだって滑川市の「市のさかな」だし、おまけに特別天然記念物ですが。)

【2016.11.04「汝 我が名を妄りに呼ぶ勿れ:第四声」】
富山県滑川市
イメージアップキャラクター
キラリン
「市内小学生作品」
〔2010年5月(?)制定〕
キラリン

I'm tired out. I'm so exhausted(T-T).

ツルは、"exotic" という言葉の和訳が「異国的」だとはあんまり思わないんですね。どうしても「南国的」のニュアンスを感じてしまう。例えば「エキゾチックな美女」という言葉から連想するのは、北欧のBlonde Beautyというよりも、黒い髪黒い瞳のラテン娘あたりではないかしら(あながち間違ってはいないと思うが)。
だから、函館という街にもエキゾチックというイメージは持っていない。行ったことないけどsweat01

(優秀作品)
高柳順子(42歳:静岡県)
ICO(ペンネーム:40歳:神奈川県)

うーん、久しぶりに高柳作品も見てみたかったなあcoldsweats01

「箱館会」というのは「観光関連異業種会」と銘打った団体で、かれこれ四半世紀近い歴史があるらしい。事務局は五稜郭タワー内に置かれている。2016年3月に北海道新幹線(のうち新青森−新函館北斗間)が開業したのを機に、ご当地をはじめとする道南地区の観光をてこ入れするためPRキャラ作りに踏み切った次第(ただし、「新幹線のイメージは使用不可」とされた)。愛称は別途、同地区の小学生を対象に募集したもの。

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函館国際観光コンベンション協会との共催により、このキャラクターと一緒に記念写真を撮影できる「ウエルカムフォトパネル」の設置を函館市内及び近郊の観光地へ展開し、ソウシャルメディアを活用したフォトコンテストなどのキャンペーンを実施する予定です。
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とされていて、実際にそれなりの数のパネルを作成しているようだけど、逆に言えば着ぐるみ化はしないんだね?ね?だとすりゃ思い切ったもんだねえ。

(続く)

2017年4月 3日 (月)

【対決編】掟破りの公募荒らしに(香美市章・香美町章)

(承前)

前回のものは同一県内で新自治体名がかぶった例で、それはそれでややこしいけれど、今度はそこそこ離れたところで同じになっちゃった、しかも類似デザインが絡んだという、面倒もハンパなかったケースを。

高知県香美市
市章
栗山照州(福岡市)
香美市章

-----
香美市の[カミ]の文字をモチーフにして、新市の豊かな自然環境と未来に向かって躍動する「人」の姿を併せてデザインし、市の基本理念「輝き・やすらぎ・賑わいをみんなで築くまちづくり」を象徴的に表現しました。
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また高知かい、なんて言わないで。
実はこの市章、繰り上げ採用されたものである。

-----
(2005.12.26 第8回こうほく3町村合併協議会 会議録 抜粋)

田村次長

〔前略〕

前回の第7回合併協議会によりまして、委員の皆さま方の投票により順位をつけていただきました作品を事務局で照合をいたしました。
確認作業につきましては、全国の自治体の章が出ております地方公共団体総覧の確認、また、全国の各合併協議会のホームページでの確認、商標等の確認につきましては、特許電子図書館の商標検索によりまして実施をいたしまして、総数で約3万2,000件を照合したところでございます。
その確認作業の中で、本年4月1日に近隣3町村と合併をされました兵庫県の香美町、これは日本海に面したまちでございますが、どちらも「カミ」という片仮名をモチーフにしていることから非常に類似をしていることが判明をいたしました。これは第1位に得票で整理をされた作品でございます。
その結果を受けまして、事務局で香美町さんに1位、それから2位の作品の打診をいたしたところでございます。
それで、1位の作品につきましては非常に類似をしているということ、また、比較的立地も近いことから、できれば採用については控えることはできないか。ただ、最終の判断についてはこちらの方でお願いをすると。
また、2位の作品につきましては、特に異論はないという回答をいただいたところでございます。
また、県の工業技術センターの中にございます、知的所有権センターの特許出願アドバイザーの方に類似章を持参をいたしまして相談したところ、香美町さんの町章については既にインターネット等にも出ているということから、商標登録の有無にはかかわらず、先に公表されたものについて権利が発生し、著作権の問題があると。疑わしい場合につきましては、採用しない方がよいのではないかというようなアドバイスをいただきました。
また、他県では類似章の採用が判明し、再度繰り上げを決定をしたというような事例もございます。
以上のような点を踏まえまして、1位の作品ナンバー108は類似章が存在するものとし、2位の作品ナンバー216を繰り上げて香美市市章として採用をすることといたします。

〔後略〕
-----

ボツになった108はこれです。作者は明かされていない。

香美市章(取消)

-----
香美市の[カミ]をモチーフにして、自然と調和したまちを表現。躍動感ある曲線が、活力ある未来、心豊かな暮らし、旧3町村を象徴し、美しいみどり、清流を表し、元気な市民のまちづくりをイメージしています。
-----

類似しているとされた先のデザインはこちら。

兵庫県美方郡香美町
町章
神田清明(香美町)
香美町章

-----
香美町の[カ][ミ]を図案化し、自然豊かな山々と町内を南北に流れる矢田川が日本海へ注ぎ込む風景をデザインしている。下部の穏やかに曲がった[3本の線]で住民がいきいきと躍動し、交流、共生する姿をイメージしており、香美町の掲げる「美しい山・川・海 人が躍動する 交流と共生のまち」を象徴的な姿で表現している。
-----

誠に良い塩梅の類似やねえ(笑)。名前も同じな上にシンボルまで相似通ったという皮肉な面倒具合。

となると当然、「本人による使い回し or 同時応募」なのか、「他人によるパクり」なのかが気になるところである(偶然の相似?認めたくないわng)。
常識的に言えば、前者の可能性は薄いだろう。香美町章制定が2005.07.05、香美市章募集はそれより後の2005.08.01〜09.30だからです。自分の作品が地元で実際に選ばれて、それをちょっといじってよそに出したというのは考えにくい気がする。だけど、ツルの考えるところも今まで大概裏切られてるからなあ。

そして。

(優秀賞)
栗山照州(福岡市)
井口やすひさ(東京都文京区)

なんと栗山はこちらでも次点入賞を果たしていたのであった(残念ながらデザインは現在公表されてないが)。

-----
948:2005/12/27 15:43
香美市市章決定!!
[URL]

954:2005/12/27 16:15
>>948
見事パクリがバレた1位の作品見てみたぁ〜い。

957:2005/12/27 16:56
>>948
[URL:香美町]

構図が似てる
栗山氏はこちらでも優秀賞を受賞なのですね

958:2005/12/27 17:02
>>957
カミってフレーズが好きなんじゃない?ここにもI氏もちゃんといるし・・・。
-----

念のため言っておくと、ご当地は城崎郡の香住町、美方郡の美方町、村岡町が新設合併して生まれた自治体なので、香美町の名は単なる合成地名ということになる(村岡町の痕跡は何処に)。香美市の名が、高知県香美郡の土佐山田町・香北町(かほくちょう)・物部村が合併したからというのより、なんぼか意外性のあるネーミングだったはずです。
言い換えると、香美市にしてみれば「香美」の名前がよそで先に使われるなんて思ってもいなかっただろうし(合併施行日は香美町が2005.04.01 → 香美市が2006.03.01)、まさかそこに頭を下げて意向を訊きにいくなんて、屈辱に近いものがあったろう。

でも結局は、名前もデザインも早い者勝ち。

2017年4月 2日 (日)

【番外編】破れかぶれの名前かぶりに(四万十町章・四万十市章)

(承前)

今年は敢えて万愚節を外してみた愚blogです。

前々回、地名かぶりの格好になったので、ついでに同様のものを見ていこう。
まず、同じ県内、しかも隣り合う自治体で、双方とも同じ名前を欲しくて譲らなかったというケース。その名は「四万十」、日本の清流の代名詞ってな役どころ感。

高知県高岡郡四万十町
町章
北野公一(和歌山県)
四万十町章

-----
四万十町の[四]の文字を合併数を配して、[四万十川]の川をイメージして図案化し、豊かな自然に育まれて共生する人々の、活力に満ちた安らぎの郷を表した町章。
-----

お題として出されていた「町の将来像」は「山・川・海 自然が 人が 元気です 四万十町」。四万十川にはやっぱりこだわりがあった様子。自分らの今までの名前↓より遥かに知名度の高い川の名を我こそと取り入れたかったということだろう。

「合併数」とは何じゃろかいと思うほどツルもウブではない、もはや。ご当地は2006.03.20に高岡郡窪川町、幡多郡(はたぐん)の大正町、十和村(とおわそん)の3町村が新設合併したところなので、合併数は「三」です。つまり、「合併数を配して」というのは、わかりにくい書き方だけど、左下のちょんちょんちょんのことを言ってるんですな。
これが「四」だったら四国の四、四万十の四と揃ってキレイだったのにねえcoldsweats01。そうするとアソコをああしてやればいいでしょ、でもそれじゃちょっとウルサいから代わりにココをこういじって・・・と考える次第。
今じゃガイダーの心さえ 読める素人になりました。

(優秀賞)
青柳謹一(埼玉県)
北野公一(和歌山県)
木村秀俊(北海道)
長舩健一(神奈川県)
中島久年(愛知県)

北野は採用作とは別に優秀賞もgetするダブル受賞の栄に浴したわけ。因みに決定は合併施行前の2005.11.16(伏線)。

もう一つの「四万十」は、中村市と幡多郡西土佐村が2005.04.10に新設合併してできた自治体。

高知県四万十市
市章
伊藤哲也(東京都江戸川区)
四万十市章

こちらは合併施行後半年以上経った2005.11.29に、四万十市発足記念式典で発表された。つまり自治体誕生は四万十市の方が早かったけれど、自治体章制定は四万十町に2週間ほど先を越されたわけです。自治体名決定も四万十町が6日間だけ早かったそうな。仁義なき四万十川の先陣争い。

♪今じゃ男の心さえ
 読める女になりました

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四万十市の頭文字の[四]をモチーフに、[四万十川]の流れをイメージしてデザインされ、四万十市の[輪]の中に息づく中村市と西土佐村の流れ(歴史)を表現しています。
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ははん、こちらの合併数は「二」だってことがデザインからもわかるのよ(笑)。新市の将来像は「かがやく笑顔、ゆたかな自然、やすらぎ溢れるまち四万十」。清流への思いは四万十町よりやや浅かったようです。というより、あまりにありふれた旧市名から逃れることがまずありきだったと見ましたが、推察どうでしょう。

まあ、名前が同じだったことはおいとくとして、「豊かな自然」だの「やすらぎ」だの似たようなこと考えてたのもスルーするとして、シンボルが類似しなかったのはもっけの幸い(デザインとしての完成度とか上質さとかは埒外)。次回はもっとややこしい事例を取り上げます。

― Inspired by「弟よ」内藤やす子(1975.11.01リリース)―

(続く)

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