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2017年6月 3日 (土)

【番外編】屹立、礼、着用!の巻(世界エイズデーポスター)

(承前)

小柴のポスターワークの中で、一番強くツルの印象に残ったのは次のものである。

財団法人 エイズ予防財団(現 公益財団法人 エイズ予防財団)
平成20年度 世界エイズデー ポスター
(佳作)
小柴雅樹
世界エイズデーポスター

しょえーshock、[ティムポくん]です、命名 by ツル。しかも脱力系ながらフル勃起中heart02(まさかこんな言葉を本seriesで書こうとは!)。safer sexのためちょっと不満げdespairに[ゴムセーター]をかぶるティムポくんの表情がこの上なく効いているhappy02。これで嬉々としてたらかえって不気味であろう。「擬人化」って言葉、こういう時にこそ使いたいもんやなあ(そりゃ、元から人の身ではあるが)。
因みに「世界エイズデー」は毎年12月1日です。

小柴のポスター作品では独特のコピーライティングも魅力の一つだけれども、本作にはメインキャッチコピー「STOP AIDS」のほか3つのフレーズが書き込まれている。

(1) コンドームを着用しよう。
(2) Living Together
(3) 〜ちょっとの愛からはじまる事〜

このうち、(2)と(3)は募集側から出されていた御題。

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■ メインテーマについて:「Living Together」とは…
ここ数年の効果的なHIV感染予防のための普及啓発プログラムにおいて、HIV陽性者と共に生きている現実を伝えるために、Living Togetherというメッセージが使われてきました。このLiving Togetherというテーマは、平成14年にゲイコミュニティに向けて制作されたHIV陽性者やその周囲の人達の手記を収録したパンフレット「Living Together」が発端となり、手記リーディングイベントや冊子の発行、さらには第20回日本エイズ学会学術集会のテーマにも使われ、多様なHIV陽性者の語りを通して、HIVへの関心を高めることに成功しています。
平成18年度から、国内の世界エイズデーのメインテーマとして採用されています。

■ サブテーマについて:「ちょっとの愛からはじまる事」とは…
「ちょっとの愛」というのは、すごく大きなことでなくても、それぞれが、出来ることがあるかもしれない、ちょっと相手の立場に立って考えてみよう、というように、HIV/エイズに関して、一人一人に自分なりの関心を持ってもらいたいという願いが込められています。例えば、パートナーや友人とHIV/エイズについて話してみる、感染の可能性について知りたいと思ったら、電話やネットで予防や検査の方法などについて調べてみるなどいろいろ出来ることがあります。今まで自分には関係ないと思っていた人達が、HIV/エイズをより身近に感じることで、あまり気負うことなく、自分にできることを見つけてもらいたいというメッセージです。
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従って、小柴自身のwordingによるものは(1)のみということになりそうだ。

一方、この公募では二つの趣旨が挙げられており、一つは「各人が予防に取り組むことを訴える」、もう一つは「患者・感染者への理解と支援を呼びかける」である。小柴は前者をダイレクトに扱ったわけで(案外少数派だと思う)、そしたら上述のメインテーマ/サブテーマとは少しばかり離れてしまったというのが大変興味深い。

HIV感染原因の多数が男性間性行為である状況は昔も今も変わらない。従ってこうした啓発ポスターもgay tasteなものが結構あるようで、しかしそれも多数派となればマンネリの危険はつきまとう。そこを打破しようとしたのがこのご機嫌斜めのティムポくんだろう。
だいぶ前、AIDSに関するボランティアリーダーのさるワークショップで、元sex workerの女性から「コンドーム着用が手っ取り早い防御策であることは間違いない。しかし、そこに力点を置いて強い規制をかけたとしても、(顧客側の)ゴムなしの性行為への欲望はかえってより深く潜行していくだけである。それで社会の感染リスクが減らせるというのは幻想に過ぎず、問題の本質的な解決にはならないのではないか」という意見が出され、それが自らの性を商品として売っていた人の発言であるだけに説得力があった。それがSEXというものなんでしょう。そんなことも思い出しました。

〔一般の部:185点応募〕
(最優秀賞)
小屋敷直矢(麻生情報ビジネス専門学校北九州校)

(優秀賞)
芝田じゅん
大庭まどか(麻生情報ビジネス専門学校北九州校)

(佳作)
川村麻莉(松山デザイン専門学校)
小柴雅樹

思うに、小柴作品がグランプリに輝くことは絶対になかったろうなあと、ティムポくんの表情のために。しかしまた、その表情のために、記憶に残る作品にはなったと思う。
ポスターワークにおけるvisualとcopyの関係性なんてことを考えたりもします。両者のambivalenceが表されたものがあってもいいのじゃないかと。

・・・いやー、小柴にゃ甘いな、ツル。

おまけ。
すごい時代だと思うのは、次の各部門まで設けてあること。

〔小学生の部:48点応募〕
池内香乃(愛媛大学教育学部附属小学校6年)

〔中学生の部:175点応募〕
是松有紀(岡山県赤磐市立吉井中学校3年)

〔高校生の部:215点応募〕
吉村知子(鹿児島県立隼人工業高等学校2年)

しかし小学生に意味がわかってんのかしら?「虫歯予防デー」なんかとは違うんだぜ!?

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