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2017年9月11日 (月)

【番外編】阿波より藍をこめて・野老より永遠に;拡散(藍とくしま・組藍海波紋)

今回は、東京五輪エンブレムの作者について素人が深掘り。

徳島県
(左) 藍とくしま ロゴマーク
(右) 組合せデザイン 組藍海波紋(くみあいがいはもん)
野老朝雄(47歳:アーティスト)
藍とくしま
組藍海波紋

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漢字の[藍]をモチーフとした「藍マーク」と,「徳島」を分母に「藍」を分子にした「AI/TOKUSHIMA」を組み合わせたロゴマーク。
色彩は「VS東京」と呼応し、「ジャパンブルー」をイメージさせるよう藍色一色で統一。
「徳島の藍」「藍=徳島」「あわ文化」を表現。
コンパスや定規で書けるデザイン。
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波を意匠化した文様[青海波](せいがいは)をモチーフに,「鳴門の渦潮」「祖谷の雲」「産物を育む徳島の大地」をイメージ。
名称は「青海波」の青を[藍]とし,東京オリンピック・パラリンピックエンブレム「組市松紋」に続く「組藍海波紋」。
縦横に繋げ幅広く展開が可能なデザインとしてロゴマークと組合せ、多方面での活用が可能。
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あのねー、「,」と「、」が混在してるの、すごく恥ずかしいことですよ。特にこの場合、後者の部分を制定側で付け足した感がありあり。

徳島県では2015年辺りから「藍」振興を打ち出していて、その流れで今年1月に発表されたもの。担当したのは「農林水産部もうかるブランド推進課輸出・六次化推進室」coldsweats01(堂々の25文字)、ライバル視しているのはやはり愛媛県の「今治タオル」らしい。「VS東京」とは、このところご当地が掲げている統一コンセプトです。(ホラ、「香川うどん県」みたいなもんさね。いずれも馥郁たる広告代理店臭。)

もっとも、2016年2月には「現在、中国における旧正月での爆買いが注目を集めていますが、藍産業もその対象になることを期待しています」(徳島県商工労働観光部副部長:仁木 弘)なんて浮わついたことも考えてたようで、多少眉唾ではあるがな。
しかし、4月に「藍色」のみを用いた五輪Iconが発表され、県は大いに気を良くしたに違いない。言い換えればご当地でこれらのデザインを作るのは野老でなければならなかったのである。
因みに公募か否かはわかりませんが、募集をかけた形跡もないから、非公募の委嘱なんでしょう。つまり随意契約ってことね、きっとbleah

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(2017.01.25 徳島新聞 抜粋)

阿波藍PRへロゴ 東京五輪エンブレムの野老氏制作
〔中略〕

24日、県庁であった記者会見には飯泉嘉門知事と野老氏が出席。知事は「国内外に向けて阿波藍PRの大きな旗印になる」、野老氏は「徳島の藍の象徴として100年先の人たちにも伝われば」と話した。
制作には藍・食藍推進プロジェクト事業費700万円の一部を充てた。具体的な制作費は非公表。

〔後略〕
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うふふ、「非公表」な理由と「随意契約」については、【2016.10.23「デザイン文化に対する暴挙を許すな」】を参照されたし。

しかしこの記事で最も気になる言葉は「藍・食藍推進プロジェクト」であろう。

≪食うの??藍を。≫

食うんです。
アイ(タデアイ・アイタデ)/Persicaria tinctoria はタデ科イヌタデ属に属する。同属のヤナギタデ/Persicaria hydropiperの葉には辛味があって、鮎の塩焼きなんかに添える「蓼酢」や刺身のつまに使われますが、タデアイも代用された由。「蓼食う虫も好き好き」といった体。
そりゃいいんだけど。

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(2016.10.26 読売新聞 抜粋)

県特産の藍を使った食品の開発や販売が進んでいる。食用に栽培した藍は染料に使う藍と違って、葉が小さく苦味が少ないという。県も新たな藍の活用法で全国に食べられる藍(食藍)をアピールしようと、食藍の販路拡大やPRにつながる予算を初めて計上するなど支援に乗り出した。(河合修平)

県内で調剤薬局を運営する「ボン・アーム」(本社・徳島市)は藍を使ったお茶や菓子を県内の店舗やインターネットで販売する。
食用にするには、葉に含まれる染料のもととなる渋み成分を減らすことが課題だった。同社は2014年からビニールハウスで行う水耕栽培を始め、肥料や農薬を最低限に抑えた藍を育てることに成功した。
同社が開発した藍の葉のみを使った「純藍茶」は、葉を焙煎し、渋みや苦味をさらに抑えた。乾燥させた葉と茎を生地に練り込んだ洋菓子やハーブティーなどメニューも広がっている。購入者からは「藍はもっと癖があるかと思ったけれど、食べやすい」などと好評という。
こうした動きをサポートしようと、県は、9月議会に、「藍・食藍推進プロジェクト事業」(700万円)を盛り込んだ補正予算案を提出、24日の県議会で可決された。今後、食藍を進める企業の商品開発の支援や体験イベントの企画、食藍を推進するロゴマークの作成などを進める計画で、認知度向上や販路の拡大につなげる。
県内の藍の栽培面積は16ヘクタールで全国最大規模。県は、食藍を通じて20ヘクタールまでの拡大を目指す。
県農林水産部の松本雅夫部長は「これまで守られてきた藍の文化を絶やさないためにも、染めて美しく、食べておいしい藍を発信していきたい」としている。
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ううぅむ、何だそりゃ。何ゆえ藍を「食べる」のか、その意義がわからない。極力痩せ作りにして「染料のもととなる渋み成分を減らす」ですと?棘のない薔薇など薔薇ではない、アクのない藍など藍ではない。落語「目黒の秋刀魚」も思い出されます。
つまりこういう文脈なんですね。ボン・アーム所属の藍美容研究家、近藤ルミ曰く、染めに用いるアイの栽培には除草剤や殺虫剤が使われており、食用とするにはその土壌への影響も懸念されたため水耕栽培に踏み切ったと。

一方、県内の藍生産業者は現在5軒程度にまで減っている由。その5軒(およびそのSupply Chain)のために700万円出すということでっか?しかも補正予算で緊急に。【2017.08.02〜03「伝統産業のゆるキャラですって?」】で蕨市の双子織キャラ公募を見た時もちょっと気になったけど、あまりに対象となるところが少ないと、税金の使途としてはケチがつきかねない。シビアだけれどその観点は常について回ると思う。デザインにいくら払うかということとはまた別の問題として。

どうやら、記事にある「食藍を推進するロゴマーク」というのが冒頭の作品のことらしい(「しょくあい」と読むのであろうか、それとも「しょくらん」?)。しかしこのデザインに「食藍」の観念が含まれているとは思えません。それはデザイナーとしてChallengingかつChallengeableな目標でもあったはずだがなー。県側が方針変更したんでしょうか。

あんまりいただけませんねぇ。「組藍海波紋」は10年以上前から制作されてきた「トコロ柄」の延長にあるものだろうが、旧作を超えているとは言い難いし、古典の青海波文より美しいとも思えない。

青海波文

2001年9月の同時多発テロ(16年前の今日だ!!早いものです)以来、野老の関心は「つながる」にあるという。組藍海波紋も「連鎖」の意識されたデザインではある。
しかし、「トコロ柄」らしい柔軟かつ強固な構造性はここには見られないようです。むしろSimpleな隷書風(!)でStand-Aloneの「藍とくしま」の方が好ましく思えるんですがね。

(続く)

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