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2017年12月30日 (土)

【落穂拾いの帖】大御所厳選!Countdown, 1!!(かみりん)

(承前)

本Subseries的に、最後にお届けする作家はやっぱり高柳順子しかいないと思う。近作はこちらです。

愛媛県越智郡上島町(かみじまちょう)
上島町商工会
上島町ゆるキャラ
かみりん
高柳順子(静岡県三島市)
かみりん1(最終版)

上島町は愛媛県最北部、瀬戸内海のほぼ中央に浮かぶ18の島からなる自治体で、生活圏としてはむしろ、隣接する広島県尾道市因島との結びつきが強い(そう、今じゃ因島市という自治体も消滅しちゃったんですよね)。

地元商工会の青年部が合併10周年(商工会の、の意味だと思う)を記念して募集したキャラで、2016年5月に決定されているから相当後発にはなるけれども、応募総数1,229点を集めた(採用賞金 10万円)。そこを勝ち抜いての堂々の栄冠です。

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かみりんは上島町内に古くから住まう海の神様で、代々住民を守っているよ。漁師や釣り人がかみりんに出会うと大漁になるとの言い伝えがあるんだ。[海藻]と[桜]の髪飾り、たてがみは穏やかな海の[さざ波]。[レモン]&[たまみ飴]ストラップの[柑橘]ポシェットにはたくさんのフレッシュな幸せがつまってるよ!
大の[デベラ]好き!
デベラー!

かみりん2(最終版)
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「デベラー!」のたった一言がすごく効いてる。デベラとは、ご当地でデベラカレイと呼ばれるタマガンゾウビラメ/Pseudorhombus pentophthalmusの素干しのことだそうな。「手のひら」の意味らしく、体長15cmほどの小型種です。
「ガンゾウ」は一説に「雁瘡」と書き、雁の渡ってくる初冬にはやる皮膚病の様に見立てたものという(そんな名前、ご当地名物につけられっかよ)。で、ガンゾウビラメ/Pseudorhombus cinnamoneusに近縁で体に5個の丸い斑紋があるからタマガンゾウビラメ(高柳デザインにも[5つの水玉]が描かれている)。種小名のpentophthalmusも「5個の眼」の意味です。
因みに同属のテンジクガレイ/Pseudorhombus arsiusだと斑紋が2個、ムシガレイ/Eopsetta grigorjewiなら6個。

一方、ご当地では柑橘の栽培も盛んで、特に青摘みのレモンが知られている由(缶酎ハイなんかでも最近「瀬戸内レモン」てのが出回ってますよね)。オリジナルの高柳デザインに補整が入ったのがここで、柑橘ポシェットが橙黄色 → 緑色に変えられてます。

かみりん1(当初案)かみりん1(最終版)

かみりん2(当初案)かみりん2(最終版)

「たまみ」もご当地名産のオレンジの品種。これらの果汁を使って手作りした「れもん飴」「たまみ飴」がお土産に好適とやら。サクラはもちろん町の花。

「媚び」より「品」が前に出たかわいさという高柳作品の特徴はここでも発揮されていると思う。やっぱりなー、てんこ盛り系であってもストーリーの作り込みがしっかりしているから、ついつい引き込まれてしまうんよね。キャラクターのキャラづけという点において、高柳はおよそ他のガイダーの追随を許さないだろう。

(優秀賞作品)
オッティモ
田名後亜紀子(埼玉県草加市)

カミジマン
タイショウ(愛媛県松山市)

3年ほど前、2015年1月にお膝元三島市の自作のご当地キャラ「みしまるくん&みしまるこちゃん」(cf. 2013.02.18「三島宿、ひともとの柳いと高きぞありける:その1」)のLINEスタンプを制作した際、高柳は次のように語っている。

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(2015.01.16 伊豆経済新聞 抜粋)

〔前略〕

高柳さんはキャラに特産品をなじませるデザイン手法を採用している。自治体の名物全部を載せる方法とは異なり、いかにキャラになじむようにするかを考えるという。「時には載せられないものもあるが、そのキャラの動きやすさや活躍しやすさなども考えている」と話す。
みしまるくんについて高柳さんは「自身にとって2番目の作品。つまりは次男と長男。地元の公募ということもあって、一生懸命作った大事な子どもだ」と話す。
普段はイメージして作ることはないが、みしまるくんにだけモデルが存在する。現在6歳を迎えた男女の双子の子。高柳さんの2人の子どもが、みしまるくんたちの「原点」となった。
「どれも大事な子どもたちで、応募するときは里子に出す気持ち。その中でも普段生活する中で見るのがみしまるくん。とても思いのある子どものひとりでとてもうれしい」と話す。制作に関するギャラも決して高くなく数千円単位ということも。「それでも、子どもが世に出る姿はうれしいこと。地域の盛り上がりの一助になれば」(高柳さん)。

〔中略〕

高柳さんは「現在、ゆるキャラの活用方法やブームの陰りがあるが、もっと増えてくれれば。単独で活動するのではなく、キャラ同士が交流を深めるような姿を見てみたい」とも。

〔後略〕
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なるほど、そういう考え方か。無理くり載せによる非日常感とはちょっと違うところを目指しているわけだ。うふふ、全部載せの塩崎Dogmaや『行政は名産や名物を「ひとつだけ」優遇できない』とする犬山Theory(cf. 2014.07.27「いつもどこかで謎めいて:二」)に対する挑戦状でもありますね。
それはそれとして、やはりこの作家はこの作家なりに、真面目にご当地キャラクターのことを考えているのだなと思う。

時々考える。高柳には妹か弟がいて、子供の頃、毎晩寝る前にせがまれてはお話を作って聞かせていたんじゃないかと(ツルは小さい頃、その「弟」側の立場だった)。自身の子育てにおいてもそうであるかもしれない。それが今の素地になっているのではないか。本人に聞いてみたいところ。

そう、ツルはこの作家にだけは実際に会ってみたいものだと思います。そりゃ、エイイチやアユミやマサヨの実物も見てみたい気はするけど、そういうコワいもの見たさとは違ってだねえ(笑)。それが、5年かかって出したツルの答えです。

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さて、明日はいよいよ、本Series「もうやめようよ、ご当地キャラとか。」全編の最終回を迎えます。
さよならを言うことは少し死ぬことだけど、万物には全て終わりがある。高柳の願いとは裏腹にゆるキャラブームは過ぎ去り、愚blogもとうにオワコンですし(汗)。ついに卒業できるのね。

― Inspired by;
"To say good bye is to die a little."
Words of Philip Marlowe from "The Long Goodbye" (1953) by Raymond Chandler ―

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