もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その218:ガラスケ)
(承前)
この期に及んであってはならんことがという気もするんですが(笑)、塩崎一族の古い別名義を一つ見落としておったという誠にアカン話で。
大阪府門真市
イメージキャラクター
(優秀賞)ガラスケ
塩崎ともよ
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ひょうきん者のガラスケは市の花[さつき]の髪飾りをつけ、[レンコン]の[小槌]をふりかざし、幸福を呼び込むことが得意です。今日も愛嬌たっぷり「ガラガラ」と鳴いています。
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「塩崎ともよ」!?何じゃそりゃあ!その名前、初めてお目にかかったぜ。前々から、「まさよ」「あゆみ」以外にも塩崎姓の女性名義が存在してもおかしくない、いや存在するはずだという仮説は立てていたけれど、それが遂に立証された感じ。
しかしだよ。
本公募のことは【2013.10.13「下ぶくれの神様 再び」】と【2017.07.08「たまにはご当地キャラクターの運用というものを」】、2度も記事にしていたのにこの名義に気がつかなんだとは。偶然、「広報かどま」2012年10月号に次点作者名が記載されているのを見つけました。
(最優秀賞)
八谷早希子
(優秀賞)
塩崎ともよ
高柳順子
ええと、ご当地の民話なる「おすまさんと笑い猫」の主役をキャラクター化するという御題で同年3月に募集がかけられており、愛称もこのお話に因んで「ガラスケ」とすることが初めから決まっていた。だから八谷作品もともよ作品も高柳作品もガラスケです。
応募総数は93点、その中から候補10点を対象に「選抜投票」をやって投票総数2,590票に対し;
1位(八谷) 773票(29.8%)
2位(ともよ) 468票(18.1%)
3位(高柳) 377票(14.6%)
という結果だった。この結果が「広報かどま」に載ったのは2012年8月号(ただし作者名は非公表;因みにこの時までは八谷ガラスケは白目である)。
同市サイトの「市役所事務改善事例集」には、本件が「成功事例」として掲載されていて(+_+)、転記しますと・・・
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◆「成功事例」とした理由◆
(1)永続的で無限的な広がりを持つ事業であること。
ガラスケは今後門真市が存続する限り続くものであり、その活用場面は多種多様となり、今後さらに広がり続けると考えられる。このような永続的で無限的な広がりのある事業(仕組み)であること。
またガラスケは子どもを始め、あらゆる世代の市民に好感をもたれており、このことが「まちや行政の雰囲気」を明るくし、「子育て世帯の誘致・定着」という市の方針にも適合するものである。
さらに、「門真市を愛する気持ちの育成」に大いに貢献するものであると考える。
(2)費用対効果の面で優良な事業であること。
ガラスケ活用事業(ガラスケの誕生から多様なデザインの活用まで)の費用は、デザイン募集・選定・賞金の費用135,000円、デザイン委託費用200,000円などであり、少ない費用で大きな効果を生んでいると考える。
(3)さまざまな職員の自発的な創意工夫による事業であること。
ガラスケ活用事業は、担当課職員のみならず、様々な部署の職員が、あらゆる場面、あらゆる資料などにガラスケを活用することを積極的に行っている。
このことがガラスケの知名度を上げることのみならず、事業の広がりをより大きなものにしている。
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率直に申しあげて、馬鹿じゃないかと思う。手前味噌もいい加減にしやがれ、である。
特に大きな問題なのは(2)です。(1)や(3)は主観と判断の入り込むところであるから、二百歩ぐらい譲って取り敢えず目をつぶることとしよう。しかし(2)は事実の認定に問題あり。同じ資料には費用の内容が次のように出ている。
入選者謝金 110,000円(最優秀賞1点 50,000円 + 優秀賞2点 各30,000円)
投票者謝礼 25,000円
デザインバリエーション作成委託費用(42パターン:入札) 200,000円
着ぐるみ作成費用(2体) 1,113,000円
活動委託費用 993,600円
PRグッズ(クリアファイル・手ぬぐい等)作成費用 352,500円
対象期間は2011年〜2013年3月であるらしい(とは言っても公募結果の発表が2012年8月だから、実質的にはこれらの費用発生は2012年度中つまり「2012年4月〜2013年3月」のことだったと思われる)。
着ぐるみの作成費用と運営費用、〆て約200万円也を無視しているではないか。さらに別添資料には、同年度に;
ラッピングバス ラッピング費用(3台) 199万円
なんて費用も発生したとあって、あまつさえこんなことまで書かれている。
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ガラスケラッピングバスの運行
京阪古川橋駅から地下鉄門真南駅への南北の路線をコミュニティバス(京阪バス)として、運行(交通不便地域の解消)。
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それ、違うでしょ。行政が「交通不便地域の解消」を図ることと「バスにキャラクターを描く」こととの間に本質的な関係はない。
わざわざ「費用対効果の面で優良な事業」なんて書きながら、なぜこれらの費用を除外したのか。Initial Costだけ勘定に入れて、Running Costは考慮しないなどという馬鹿な理屈が、どこの世界でまかり通るか。よく読むと「ガラスケの誕生から多様なデザインの活用まで」とカッコ書きされているから(限定用法だとは思わなかったが)、意図してのことであろう。
成功事例としてもてはやすのはご当地の勝手だけれど、ここまでくるとそれは事実から目を背けるものであって、優良誤認ということに他なるまい。三百歩譲って縦割り行政の弊害である。
昔の話と言うなかれ、この事例のことがまとめられたのは2015年9月になってからです。
民間企業でそんなユルい総括してたら、寄って集ってアナリストや投資家連中から総スカンの集中砲火、袋叩きに遭うことだろうよ。もう、自分たちでやらずにしっかりしたコンサルに任せれば?それとも徳島大学みたいに「クラウドソーシング」とかでさあ。
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