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2018年10月

2018年10月30日 (火)

【ペアリングのおまけ編】京都の小学校の名前の魅力を味わう最後の機会

ちょっと間が空いちゃったけど、【2018.10.22「校章による統合新設校ペアリングの試み:10」】で、次のように書いた。

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ついでに言えば、日本で一番学校の名前に独自性と迫力があるのは京都市だと思うけど、これは別ネタとして取っとこう。
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このことに候ふ。

京都市内の公立小学校の名称というのは、一言で言えば、いかめしい、威儀を正した印象のものが多い。

乾隆小学校
勧修小学校
光徳小学校
紫明小学校
養正(ようせい)小学校
養徳小学校

ざっと挙げただけでもこんな感じ。いやでも畏まりたくなる。

最近の統合新設校の例で;

玖珠美山高等学校
別府翔青高等学校
酒田光陵高等学校
厚木清南高等学校
藤沢清流高等学校

なんちゅうのから頭の地名を取り去って小学校に差し替えて

美山小学校
翔青小学校
光陵小学校
清南小学校
清流小学校

なんちゅうのにしたとしても、差は歴然や。

1981年、京都に住み始めた時、これが古都の歴史と伝統というものなのかといたく感じ入りました。

しかし、その京都市でも90年代初頭あたりから、洛中をはじめとして児童数減少による学校統合の嵐が吹き荒れ、そして今も吹き続けている。よって、古い校名もずいぶん減っていて驚いた。

1992年閉校
格致小学校・豊園(ほうえん)小学校・開智小学校・修徳小学校・有隣小学校・教業小学校

1993年閉校
明倫小学校・日彰小学校・生祥小学校・立誠小学校

2004年閉校
有済小学校

2010年閉校
崇仁小学校

2012年閉校
翔鸞小学校・陶化小学校

2014年閉校
月輪(つきわ)小学校

2017年閉校
醒泉小学校・淳風小学校

2019年閉校予定
楽只(らくし)小学校(紫野小学校と統合予定)

これも適当に拾っただけだから、まだまだあるはず。残念だなあ。

こうしたものは一部には、平安京の条里制の坊の名前に由来しているらしい。さもなくば寺社仏閣絡みですか。だから基本唐風で、上記に挙げた中では月輪小を除いて全て音読みです。「翔鸞」なんて、よくぞまあ小学校の名前につけたもんだよなー。

わかりやすく言うなら、そのまんま元号や天皇の諱に使える雰囲気。「平成後」の参考になりますでしょうか。報じられているところでは、新元号はイニシャルがM/T/Sとなるものを避けるらしいから、その辺は落としていただいてと。(てことは、「翔○」「清○」なんてのにはならないわけだ、ホッ)
ついでながら、「○陵」ってのも学校名では全国でしばしば見られるけど、これも絶対に元号には入らないと思う。「(貴人の)お墓」の意味があるからね。

逆に、新設校ではどうなのか。気まぐれにちょっとだけ調べてみると。

1982年 開校
祥栄小学校

1986年 開校
桂徳小学校

2011年 開校
開睛小学校(小中一貫校)

2012年 開校
凌風小学校(小中一貫校)

だいぶ当世風になってきましたが、でも微妙に一癖ある感じ。「晴」じゃなくて「睛」だし、「陵」じゃなく「凌」。京都にも小中一貫校ができてるんですねえ。隔世の感、今浦島。

でもさらに時代は下り、昨年はこんなんが開校しました・・・。

2017年開校
下京雅小学校

上掲の醒泉小学校と淳風小学校を統合してできた学校です。「しもぎょうみやび」ですねんて、マジで。だっさーーーーー。それだけはやっちゃいかんと思う、京都人が。80年代の昔、「雅」いう京都限定販売の煙草があったなんちゅう話とは本質的に違うのよ(わかりにくい例えですんまへん)。

京都市の中心街、いわゆる鰻の寝床の古い町家のあるようなエリアの地盤沈下は、ツルのいた80年代から既に声高に叫ばれていた。新しいモノはもはや市の中心ではなく周縁/辺縁からしか生まれてこない、とも。その代表のように言われていたのが京セラやワコールなどである。やや新しめなところでいうと日本電産あたりですかね。

(あっ、そうでもないか。このところすごく気になっているのは三条烏丸東入ルのアート系出版社、青幻舎。面白くて目が離せない。)

ああ、今もなお沈みゆく、偉大なる田舎。

2018年10月28日 (日)

【電波編の後始末】月曜から・・・日曜まで夜ふかし(かまリン・ひかりん・ジュッピー)

(承前)

うーん、前田センセのデザイナーとしてのあり方、京都造形芸術大学の学生くんたちにもインタビューしたくなってきておる(^_-)ツルですが。

前回抜粋した、2008年9月お披露目のいそっぴと2009年8月発表のふっつんに「一時は生き別れのきょうだい説もあったなぁ」というTweetの件。調べてみると、確かにそんなネット上の書き込みも散見されたけど、ツルがもっと気を引かれたのは「かまリンもひかりんも仲間っぽい」という複数の情報。へっ!?なになに!?

岩手県釜石市
イメージキャラクター
かまリン
信貴正明(新潟県燕市:グラフィックデザイナー)
(愛称)久保居麗美(れみ)(釜石市:釜石市立甲子(かっし)中学校1年)・小野寺明徳(あきなり)(釜石市:釜石市立唐丹(とうに)小学校2年)
かまリン

あー、つまり2008年1月発表のおぐりんの作者。信貴作品の手っ取り早い見分けポイントは、腕が巴形になるとこですかね(その作例は塩崎一族にも多少あるけれども)。おぐりんもそうでしょ。

おぐりん

・・・・・あっ!!!!
となると、ひょっとして2009年制定のしめたもんも信貴キャラってことになったりするのかね!?!?

しめたもん

懸案が一つ解決したような気持ち・・・・・?。

釜石市サイトに載っている「特別住民票」には、「生年月日 平成19年4月1日(エイプリルフール)」と書かれている。ちょっとブラックジョークめいてるとこが味わい深いです。
ご当地では2007年に、3大基盤整備(仙人峠道路・湾口防波堤・公共埠頭)完成・市制施行70周年・近代製鉄150周年という節目が重なり、その記念で制定したもの。震災4年前のこと。
愛称は[ン系ネーム]ながら一ひねりしてあって、釜石の「かま」 + 海の「マリン」に由来しているそうな(>.<)。

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釜石市の頭文字[か]をモチーフに、上を向いて元気に未来へ駆ける釜石市民を表しています。
高炉の熱い[炎]、美しい海や[魚]、緑豊かな自然をシンボライズし、[はまゆりの花]を手に、いきいきと明日に向かって飛躍する“いきいき釜石 元気な釜石”のイメージを表現しています。
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「上を向いて駆けたら転んじまうぜ」「でもいつも顔を上げて生きるのは大切なことよ」とHumphrey BogartとIngrid Bergmanが(嘘)。

"Here's looking at you, kid."

そんないいものじゃないってば。

もう一つはこちら。

熊本県八代郡氷川町
キャラクター
ひかりん
井口やすひさ(?)
ひかりん

2010年4〜5月頃に制定されたらしい。改めてわざわざいちいち作者を調べるのももはや意味レスと思うのでよします。「この顔に ピンときたら 井口やすひさ」である。
イニシャル[ひ]の文字が、"Scarlet Letter" を表しているようで・・・(わかりにくいがな)。こっちが頭に乗っけたのは町の花の[サクラ]、すなわちふっつんが乗っけた富津市の木と同じ

町サイトにはスゴいことが書いてあってのけぞります。

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ひかりんについて
性別
男の子

誕生日
10月1日

性格
情熱的

特技
氷川音頭
(動きは分かりづらいが本人は一生懸命!!)

趣味
町内のお散歩
たまに遠出することも

ひかりんにまつわる噂
実は双子!?
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双子!?
ふ た ご !?
誰と!?
かまリン!?!?

アイヤーー、候補が多くておえんです(つまり三つ子以上かもしれない)。確定診断にはDNA鑑定が必要ですな。

でも1点ぐらいは候補を挙げておこう。

福島県石川郡平田村
平田村商工会
芝桜の里ひらた イメージ キャラクター
ジュッピー
井口やすひさ(?)
ジュッピー

はい、ピンときました。

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永遠の8歳の芝桜の妖精の女の子。
平田村の[ひ]の字をモチーフに、村内のジュピアランドひらたに咲き誇る[芝桜]をあしらっている。
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なんだそうで。こちらは6年遡って2004年5月5日生まれとされている。

この際どうでもいいことだけど、園芸おたくのツルはシバザクラが嫌い。個人の庭に植えて楽しむぐらいだったらまだいいけど、「芝桜公園」みたいな大規模植栽にしたものが特に。あの、どピンクがべったり丘を覆っていたりするのを見ると(生で見たことは一度もない)、何かのどろりとした薬液かスライムみたいで気持ちが悪い。これがセイヨウアサガオのヘブンリー・ブルーとか、ネモフィラのインシグニス・ブルーとかだったりすると全くそうは思わないのに。

[ひ]文字ならこんなのもあったか。

【2017.11.24「Dual Oval, Double-Crossers」】
滋賀県
びわこ文化公園都市
シンボルマーク
井口やすひさ
〔2014年9月(?)発表〕
びわこ文化公園都市

うーん、このガイダーにはやっぱり爛れたものを感じるよなあ。十年一日、進化と進歩のなさに、もう、飽き飽きです。

おまけ。
前回、「さかっちにも似てる」というTweetも紹介したけど、それは少々心得違いというものであろう。さかっちと生き別れになった(双子の?)きょうだいは絶対にこれ↓である。これでなければならぬ。

【2016.05.28「公募ガイダーはS字固めがお好き?」】
岡山県浅口郡里庄町
キャラクターマーク
里ちゃん
信貴正明
(愛称)佐藤伸一
〔2000年9月制定〕
里ちゃん

埼玉県坂戸市
イメージキャラクター
さかっち
信貴正明
〔2006年4月制定〕
さかっち

「君のS字に乾杯

だから、そんないいものじゃないってば。

改めて恐ろしいと思うのは、「特徴のない街」という前田の言葉が、これら↑のキャラクター類にもちらついて見え始めたことです。

2018年10月27日 (土)

【電波編】月曜から・・・いつまで夜ふかし?;その3

(承前)

しかし本当にマズいよなあ、「富津市と磯子区は特徴がない」という発言は。テレビ取材を受けて、いっちょまえに気の利いたコメントでも出してるつもりでいたんだろうか。

あのね、前田センセ。
富津だって磯子だって、社会におけるプレゼンス(対外的な意味であれ対内的な意味であれ)を向上/拡大させるという大目的があって、ご当地キャラを制定したわけだよ。そんなものが有効な手立てとは思わない、というのがツルの基本的立場ではあるし、自治体は自治体でそうした「地域興し」の諸施策がなかなか効果を生んでいかない ――例えば「ふるさと納税」や「婚活イベント」はどうだ―― ことに気づき始めてもいると思うけれども、そこはおいといて。
公募ガイダーを無駄に肥え太らせるためにやっているのじゃない。そしてアナタはそうしたゆるキャラ公募のエキスパートなわけ。そこはツルも認める。

しかしそんなアナタの当該発言は、彼らが「おもてなしの心を伝える」とか「コミュニティへの帰属意識を高からしめる」とか、ひいては「発信力を強化する」といったことを推進する上において、全くの逆効果をもたらすのだよ。「特徴がない」というのは「魅力がない」と言われたのと同じことだから。

富津も磯子もいい迷惑だ。侮辱されたとも感じるだろう。その辺りのイマジネーションはなかったのか?

♪Imagine all the people living for today

こうした意味で、今回の放送の重みは、塩崎一族を取り上げた過去のこのあたり↓の比ではないと思うわけ。(cf. 2014.06.10「テレビに出ますっ!」・2014.06.14「放送時間変更!」・2014.06.15「いつもどこかで謎めいて」・2014.07.26「いつもどこかで謎めいて:一」・2014.07.27「いつもどこかで謎めいて:二」・2015.09.08「塩キャラ包囲網?」)

「いつもどこかで謎めいて」
2014年6月15日 2時48分〜3時48分
フジテレビ

「サンバリュ 諸事情により…」
2015年9月6日 13時15分〜14時15分
日本テレビ

正直、一時は隆盛を誇った「ご当地キャラ」というものがすっかり下火になった今、10年前のマイナーキャラを愚blogで改めてネタにすることになるとは思っていなかったけど。それはテレビが今頃になってこのような話題を(深夜枠とは言え)取り上げるなんてという疑問にも通じるが。

一般的にはどういう感覚なのだろう。放送時のTwitterからごく適当に抜粋してみれば。

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なんとなくポケモンの進化前と進化後みたいやな

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同じ人だとやっぱり同じようなデザインになるのねwwww

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やってくれたな昌克!!!

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前田さんそれはアカン。。。

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何気なく観ていたら、いそっぴとふっつんのパクリ疑惑という超ローカルネタが出てきてビビったw 一時は生き別れのきょうだい説もあったなぁ

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月曜から夜ふかしにこっそり出演!しめたもん、もっと志免町が特徴ある街になるように頑張るたもん!

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しめたもんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

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誰だよ!

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また裁判か

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全部同じデザイナーに頼んだんなら大丈夫なんじゃね?とは思うけど実際どうなん?

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そういうとここそ、ゆるくいこうよ

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奈良のあれなんか、流用そのものだしなあ。
あの作者のいつもの顔に鹿の角つけただけ[引用註:cf. 2014.12.07〜09「2年課程修了試験」・2014.12.15〜22「往け往け!せんとくん」・2017.03.26「世界に一つだけのキャラ,これも捻れた」・2018.06.04「せんとくんの凋落とロゴマークの不人気」]

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あとはデザイン料がいくらなのかていう問題もあるな。
判子絵なのは依頼料ケチってるからではという…。
というか富津のキャラはマーラ様以外に無い!

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さかっちにも似てる……[引用註:cf. 2016.05.28「公募ガイダーはS字固めがお好き?」]

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GO太くんとスリムヤンは……白い牛乳とフルーツ牛乳だからデザイン似てて当然か。[引用註:cf. 2017.08.24「Tall, Dark & Salty」]

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ハンコゆるキャラ………という作風だから………(震え声
Suicaペンギンとチーバくんは同じデザイナーだけど全然違うね。[引用註:cf. 2015.05.06「Again, Evil Under the Sun: 1」

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あだち充漫画の悪口はそこまでだ

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鉄道各社の「水戸岡デザイン」がセーフなのでセーフ[引用註:cf. 2015.05.03「十年に一度の逢瀬:10」]

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これくそわらったし、いそっぴ以外みんな顔から手と足のキャラ特徴のない街でもわしは地元がすきだよ。
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≪特徴がないのは街ではないさ。キャラクターだよ。≫

いそっぴとふっつんに「生き別れきょうだい説」があったとは知らなんだ
生みの親の異なる「GO太くん」(by 金津 博)と「スリムヤン」(by 松井 乾)や、テイストが「全然違う」と評された「Suicaペンギン」(by 坂崎千春)と「チーバくん」(ditto)のケースは別としても、「せんとくん」「とびマル」「サカイタケルくん」の作者の籔内佐斗司(因みにせんとくん制作の対価は500万円である)や、その列車デザインがワンパターンとの批判も徐々に増しつつある気がする水戸岡鋭治(近日中に再び登場予定!!)だったら、同じ立場に立たされた場合、どんな受け答えをするだろうか。考えていると空恐ろしくなってくる。
いや、真に暗澹たる思いに駆られるのは、前田に限らず、井口やすひさや工藤和久や中本竹識や塩崎栄一やらの場合であっても、回答内容はおおよそ見当がつく、という点に対してであろうか。

個人的には、ツルは富津市には足を踏み入れたことがないし、知り合いなどもいないので、ご当地の様子はよくわからない。でも磯子区のことは・・・別。昔、恋人が住んでいたもので。それは若かりし頃の甘く苦しい思い出に過ぎないけど、JR根岸線に夜乗ってて、間近に見える磯子の工場群の景色は今でも好き(山陽新幹線で徳山駅を通過する辺りで1分間ほど海側に見える、コンビナートの風景も大好き。一度も降り立ったことはないけど)。
例えそんなことであっても、ご当地への愛着は湧くだろうに。

結論。
前田もとうとう堕ちた。

2018年10月26日 (金)

【電波編】月曜から・・・いつまで夜ふかし?;その2(おぐりん)

(承前)

実は、「いそっぴ」と「ふっつん」の類似にはずいぶん前から気づいていて、【2014.12.07〜11「2年課程修了試験」】を書いた時にも途中まで候補に入れていた。けれど、あまりにマイナーな印象でネタ性に乏しくm(__)m、記事にするきっかけを失ったまま今に至る。

てなわけで、前田批判を展開する前に基本的なところを片づけておこう。

まず、「いそっぴ」。

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「ISOGO(磯子)」の英文字[I]・[S]・[O]・[G]・[O]をモチーフにキャラクターの姿を重ね合わせ、明るく元気で、誰にも親しみ易いキャラクターを表現しました。
キャラクターは「磯子区」の発展に向け[No.1]を示すと同時に、頭に「区の木」である[梅]を飾り、「磯子区」のイメージを強調しています。(季節に応じ、区の花(コスモス)に展開可能)
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ああ、何から何までテンプレートどおり。「苦肉の策」というのとは違う気がする。

そして、富津市サイトに出ている「ふっつん」のプロフィール(残念ながら作者コメントは見つからない)。

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ふっつんは、2月2日に、森の中のどこかで生まれたの。
好きなものは、みーんなの笑顔かな。緑の山、青い海も大好きだよ。
性格はね、のんびりやさんかな・・・
この「ふふふスマイル」でみんなを笑顔にしちゃうのが得意なんだよ。どう?
ふっつんの姿はね、「富津市」の「ふっつ」、ひらがなの[ふ]をモチーフにしてるんだ。大きく両手を広げて、たくさんの人を迎え入れる「おもてなし」の姿を重ね合わせているんだよ。
頭の部分は富津岬を、円の右側は富津市の長い海岸線を表しているんだ。わかる?
それからこの[さくら]は市の木を飾ってみたの。
ちば国体のとき、富津市には全国からたくさんの人が来て、おもてなししたの。そうしたら、もっともっと富津市のことを知ってもらいたいって思ったんだ。だから、富津市のこと、たーくさん勉強しているんだよ。
これからも富津市のおいしいもの、楽しいところを見つけて、たくさんPRしていきたいな!
みんなもいろいろ教えてね。ふっつんがお出かけのときには会いに来てね。
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いやはや、特徴のない街のキャラクターのキャラ付けというものも大変なんですよ、前田センセ。

≪それは本来アナタの仕事じゃないの?≫

因みに、番組中の「高速ひょっこりクイズ」に登場したキャラクターは次のとおりである。

第1問:○
ふっつん
ふっつん

第2問:×
【2016.01.05「Glorious Days, Afterglow: 1」】
茨城県鉾田市
鉾田市観光協会
鉾田市マスコットキャラクター
ほこまる
井口やすひさ
ほこまる

第3問:○
新潟県長岡市
おぐに森林公園 マスコットキャラクター
おぐりん
信貴正明(新潟県燕市)
(愛称)工藤和久(青森県弘前市)
おぐりん

残念、これも↑↑の試験範囲に入っていたのに出題しなかったんだよな。

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小国の[O]の文字を丸い体で表現し、ヘアスタイルは緑豊かな[森]や自然あふれる[山々]をイメージしました。
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「おぐりん」なる[ん系ネーム]は、キャラクターではなくおぐに森林公園自体の愛称として公募されたもののはずだが、2008年1月に結果発表された際には既に区別が曖昧となっている。

第4問:×
いそっぴ
いそっぴ

第5問:×
2017.05.13【無明の闇(その19)】
福岡県糟屋郡志免町
志免町商工会
志免町ブランド キャラクター
しめたもん
(作者不明)
しめたもん

ああ、アレからコレから、テンプレートどおりの緑の乱舞

「富津と磯子は特徴がなかった」、だからアレとアレは「苦肉の策だった」という言葉は、テンプレガイダーとしての本領を表す。平然と言い放ったところは、デザインに携わる者としての神経を疑う(かなり婉曲に上品に言って、である)。
京都造形の教員紹介で「地域活性化デザインコンペで最優秀賞を多数受賞」と体よく書かれたところも、もうツルの目には欺瞞としか映らぬ。

その理由は二つある。一つはこの発言から、各ご当地への愛情、とまではいかずとも、それらを思いやる視点が全く感じられないこと。ここについては、愚blogが彦根 正からクレームを受けた時にも強く感じたことである。
もう一つは、「特徴のない街」というのであれば、そこに(ご当地の人間も気づかぬような)新たな価値や魅力を見つけ出すか、ないしは創り出すことがデザインというものの力の一つ、そしてデザイナーとしての責務の一つでもあろうに、それを放棄してしまっていること。それで何が「地域活性化」なのだ。単に絵作りに手を抜いたという話ではないと思う。

しかし、問題はそれにとどまらない。タレコミを入れられたJ.O.氏の鋭くも看破されたところを挙げておく(J.O.さま、お許し下さい)。

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なぜこんなに似てしまったのかについて前田氏が「正直この2つの地域は特徴がなかったですね」と暴露している、というものです。
現在の自治体によるゆるキャラ活動がいかに無意味であるかが、前田氏のこの言葉ですべて表現されていると思います。
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そうなんだよ。前田の言葉が全てを無力化するという視点とは別に、高齢化と人口減少の圧力の下で自治体が安易に口にする「地域興し」というものの底の浅さが前田の言葉によって炙り出されてしまった、とも言えるわけ、図らずも。より構造的な問題として。

(続く)

2018年10月25日 (木)

【電波編】月曜から・・・いつまで夜ふかし?;その1(いそっぴ・ふっつん)

ツルは現在、基本的にテレビを見ない。だからつい先日、次の番組の中でご当地キャラ類似のネタが放送されたことを知らなかった。

「月曜から夜ふかし」
2018年10月22日 23時59分 〜 23日 0時54分
日本テレビ
出演:村上信五(関ジャニ∞)
   マツコ・デラックス ほか

深夜帯とはいいながら、大の人気番組ですよ(きっと)。

メインで槍玉に上げられたのは2点あり、まず1点目から。

神奈川県横浜市磯子区
磯子まつりマスコットキャラクター → 磯子区マスコットキャラクター
いそっぴ
前田昌克
いそっぴ

2008年9月に「磯子まつり月間開幕式典」でお披露目されたというから、立派な十年選手(着ぐるみの耐久性からして、もうセミリタイアじゃないのという気もするが)。つまり、2009年8月に就任し既に3期目に入った横浜市長、林 文子(御年72歳)よりも1年先輩なんである。
その後、区のキャラに昇格したのは2011年4月。

そだ。前田センセ、ご存知でらした?市長さんがダイエーの経営トップを務めた経歴の持ち主であることはよく知られているけれど、1960年代だか70年代だかにはこの方も、松下電器産業にいらしたんですのよ。全く不思議なご縁ですこと。

もう1点は。

千葉県富津市
富津市おもてなしキャラクター
ふっつん
前田昌克(53歳:大阪市:会社員)
ふっつん

こちらは1年後、2009年8月に発表されている。前田には対価として海苔やら醤油やらのご当地産品が贈られた由。

念のため募集期間を調べてみても、いそっぴが2008年7月7日まで、ふっつんが2009年1月から3ヵ月間だったというぐらいは判明するので、やはり、「ふっつんがいそっぴをパクった」的な話になるわけだ。

いつもだとここらで制作意図だのデザインに込めた想いだのをねちっこく取り上げるところだが、それは後の楽しみに取っといて先へ進もう。

ツルがこの放送のことを知ったのは、愚blog読者の方からメールを頂戴したから。(J.O.さま、誠に貴重な情報ありがとうございました。動画までご配慮いただき感謝に堪えません)

放送内容をテキスト情報に置き換えると、こんな具合になる。

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(価格.com テレビ紹介情報)

千葉県富津市の公式ご当地キャラ「ふっつん」に別の街のご当地キャラデザインパクった疑惑がでている。それは横浜市磯子区のいそっぴで、顔や色使いはほぼ同じ。双方に電話取材を行うとどちらも前田昌克氏のデザインということで本人に尋ねると、全くの別物だと話した。双方を見分けられるということなので、キャラクター高速ひょっこりクイズでチェック。クイズでは前田氏がデザインしていない見た目の類似したキャラも多数出現した。前田氏は、この2地域に関しては特徴がなく苦肉の策だったと自供した。
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次のものでは画像(静止画)も交え、飛び抜けて詳しい。↑がぼかしたところもばっちりである。

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(Halohalo online)

富津市の公式ご当地キャラ、ふっつん。

[画像]

横浜市磯子区のいそっぴ。

[画像]

パクリ疑惑発生。

[画像]

富津市に電話取材。
[ふ]をモチーフにしたデザイン。

[画像]

作者は前田昌克氏。

[画像]

磯子区に電話取材。
[ISOGO]をモチーフにしたデザイン。

[画像]

なんと作者が同じだった。

[画像]

作者の前田昌克氏は両者は似ているように見えても全く別物と言い張るので、クイズをする。

[画像]

壁から一瞬だけ顔を出すキャラクターを当てる。

[画像]

第1問正解。[引用註:ふっつん]

[画像]

第2問不正解。
茨城県鉾田市のマスコットキャラクターほこまるくんでした。

[画像]

第3問正解(おぐりん)。
第4問不正解(いそっぴ)。
第5問不正解(しめたもん)。
通算成績2勝3敗。
この結果を受けて、前田氏は自供を始めた。

[画像]

富津市と磯子区は特徴がなかった。

[画像]

苦肉の策でしたw

[画像]

特徴のない街でできるキャラクターたち。
なんか不憫。

[画像]
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前田昌克発言1

前田昌克発言2

「苦肉の策」

堂々たる顔出し出演と悪びれぬ傲岸発言で、ツルはひっくり返った。「コンセプトが違う、だから全く別物だ」という御託、もとい理屈は、2007年夏の兵庫・播磨ブログポータルサイト「てんこもり」キャラ公募の際の井口やすひさの言動を思い出させる(cf. 2016.05.21「公募ガイダーの甘えと傲り:転」)。

かかる事態をどう捉えればいいのだろう。じっくりと考えてみたいけれど、取り敢えず今日はここまで。

/////

〔参考データ〕

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(京都造形芸術大学サイト)

[前田昌克:非常勤講師]
デザインプロデューサー(デザインマネジメント、プロダクトデザイン、ビジュアルデザイン、デザイン教育・振興)

大阪出身。父は大阪近現代画家の故/前田亮一(大阪歴史博物館所蔵)

1978年 多摩美術大学 プロダクトデザイン専修卒業(芸術学士)
1980年 多摩美術大学大学院 デザイン専攻卒業(芸術学修士)
1980年〜2013年 松下電器産業(株)(現 パナソニック(株))に入社以来、国内外の住宅設備分野、ホームアプライアンス(HA)分野、オーディオビジュアル(AV)分野、及び生活研究、BtoC/BtoBtoC、システムソリューション、CI・PI・VI開発など、多分野に渡る商品開発とディレクションを経験
1991年〜 HA分野、AV分野のグループ組織責任者を務め、デザイン部門の組織改革、専門人材の育成、革新デザインの創出、ブランドイメージ向上に貢献
2009年 デザインカンパニー横浜拠点長
現在〜 上本町カルチャーセンター 代表
上本町ギャラリー 代表
京都造形芸術大学プロダクトデザイン学科 非常勤講師

Gマーク賞、IF賞、IDEA賞で金賞など特別賞の受賞歴多数
他、絵画コンペ、地球環境保全・地域活性化デザインコンペで最優秀賞を多数受賞
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↑は【2017.07.25「前だけを見ていけ!誰ならぬ己に克つべし!:転」】に記した情報の再掲で、2011.01.17時点の古いものだが、少なくとも2017年前期にも同学で教鞭を取っていたことが判明している。

大学でデザインを教える先生がこれなんですよ。

(続く)

2018年10月24日 (水)

【予告編】●(いそっぴ・ふっつん)

前田昌克の「いそっぴ&ふっつん」ペアにつき、急遽掲載決定!!

統合校の校章ネタも自動車のご当地ナンバーネタもなんのその、ぶりぶりに押しのけて近日中にUP予定っす!!

鉄は熱いうちに打て、杭も出てるうちに打て。

なぜなのかはわかるわよネ、前田センセ ;-)

いそっぴ ふっつん

2018年10月23日 (火)

【覚え書き】「ご当地ナンバー」なるものについて:3

(承前)

 

前回「2」で書き抜いた2018.09.19の毎日新聞記事で、省略した後半部分には全41地域の自動車用図柄入りナンバーの事前申込状況が出ていた(2018.09.18現在の)。そのデータに、ツルが調べ得た限りで作者等の情報を追加すると、次のようなことになる。

 

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【地方版図柄入りナンバープレート第1弾】

 

地域名(自治体)
<図柄>
作者
カラー版申込件数
モノクロ版申込件数

 

盛岡(岩手県盛岡市等)
<不来方(こずかた)の風>
蛇口禎治(へびぐち ていじ)(63歳:岩手県上閉伊郡(かみへいぐん)大槌町:自営業)
  48
  2

 

岩手(岩手県宮古市等)
<銀河鉄道の夜>
高橋香理(35歳:盛岡市:グラフィックデザイナー)
  66
  2

 

平泉(岩手県一関市等)
<世界文化遺産「平泉」>
渋谷真之(光阿真之)(42歳:岩手県一関市:時宗不退山長徳寺住職)
  39
  2

 

仙台(宮城県仙台市)
<伊達政宗公と仙台七夕まつり>
不明
 272
  18

 

山形(山形市等)
<さくらんぼの里山形>
鏡 春菜(山形市:会社員)
 123
  2

 

庄内(山形県鶴岡市等)
<稲穂の波と鳥海山>
松浦隆浩(京都府:鶴岡市出身:会社員)
  45
  0

 

土浦(茨城県土浦市等)
<風・空・彩> → <帆引き船、花火>
張 家維(東京藝術大学美術学部デザイン科描画・装飾研究室学生)
  97
  1

 

※非公募:東京藝術大学に委託(委託先は同研究室准教授 押元一敏と思われる)

 

つくば(茨城県つくば市等)
<筑波山>
不明
 146
  7

 

前橋(群馬県前橋市等)
<赤城山>
荻原貴男(37歳:群馬県高崎市:デザイナー・書店REBEL BOOKS経営)
  16
  1

 

越谷(埼玉県越谷市)
<ガーヤちゃん、南越谷阿波踊り>
不明(公募)
  15
  2

 

成田(千葉県成田市等)
<飛行機が飛ぶ街>
不明
  60
  1

 

柏(千葉県柏市等)
<手賀沼>
遠藤貴之(千葉県松戸市:デザイナー)
  34
  0

 

(優秀作品)
「四季折々」
鼓 瑠美(柏市:デザイナー)
「人と自然の共生 −手賀沼のほとりから−」
林 宏規(柏市:公務員)

 

(特別賞)
「カラフル ランドスケープ」
傍嶋 賢(そばじま けん)(茨城県取手市:芸術家:デザインオフィスSOBASUTA代表
「モダンマップ」
福地俊一郎(柏市:会社員)

 

世田谷(東京都世田谷区)
<多摩川とサギソウ>
大山(世田谷区)
  3
  1

 

杉並(東京都杉並区)
<杉並続くみどりいっぱいのまち>
居関孝男(京都市)
  9
  0

 

(優秀賞)
「杉となみすけ」
高橋 敬(高橋デザインオフィス)
「杉並区の自然豊かな風景」
塩崎榮一(cf. 2017.12.19【その201】)

 

富士山(山梨県富士吉田市等)
<富士山>
居関孝男(67歳:京都市西京区:グラフィックデザイナー)
 104
  4

 

新潟(新潟市等)
<萬代橋、トキ>
小川清勇(52歳:東京都:グラフィックデザイナー)
  66
  4

 

(優秀賞)
永岡みつき(57歳:東京都:建築イラスト)
平野今日香(20歳:胎内市:新潟デザイン専門学校)

 

長岡(新潟県長岡市等)
<長岡花火>
福添歩美(41歳:大阪府:グラフィックデザイナー)(cf. 2017.11.28【その197】)
 100
  2

 

(優秀賞)
松岡光雄(65歳:新潟市:グラフィックデザイナー)
小川清勇(52歳:東京都:グラフィックデザイナー)

 

富山(富山県全域)
<立山連峰>
金森健司(34歳:富山県高岡市:デザイナー:富山スガキ株式会社)
 185
  18

 

金沢(石川県金沢市等)
<雪つり、梅鉢紋>
金沢美術工芸大学に委託
  48
  3

 

石川(石川県加賀市等)
<白山、能登の里海の波>
横山真紀(48歳:石川県小松市:グラフィックデザイナー:横山真紀デザイン室)
  34
  3

 

福井(福井県全域)
<恐竜>
檀野有十(ありと)(36歳:福井市:会社員)
  97
  27

 

富士山(静岡県富士宮市等)
<雄大な富士と豊かな田園>
大庭寛明(静岡県裾野市:デザイナー)
 122
  18

 

豊田(愛知県豊田市)
<豊田スタジアムとグランパスくんファミリー>
不明
  45
  5

 

春日井(愛知県春日井市)
<道風くんとサボテンキャラクター>
北洞栄昭(78歳:春日井市:デザイナー)
  65
  1

 

滋賀(滋賀県全域)
<琵琶湖>
県デザイン専門職員が作成
  80
  12

 

京都(京都府全域)
<花紋様 天橋立・五重塔>
日本図案家協会(京都市左京区)等に依頼
  86
  4

 

奈良(奈良県全域)
<桜、紅葉>
不明(公募)
 164
  4

 

鳥取(鳥取県全域)
<砂丘、大山、梨>
深石直希(20歳:島根県雲南市:島根デザイン専門学校研究科1年)
  73
  4

 

(優秀賞)
有田 進(70歳:鳥取市)
高橋玲奈(16歳:鳥取県西伯郡南部町)

 

(特別賞)
岩垣友稀(16歳:鳥取県米子市)
吉持優子(16歳:米子市)
松原征飛(18歳:米子市)
太田歌乃(16歳:鳥取県西伯郡大山町)
小村貴弘(18歳:島根県仁多郡奥出雲町)

 

福山(広島県福山市等)
<広島東洋カープ>
不明
1,505
  13

 

下関(山口県下関市)
<下関のランドマーク>
不明
  36
  1

 

山口(山口市等)
<秋吉台、錦帯橋>
不明
  64
  1

 

徳島(徳島県全域)
<阿波おどり>
不明(県内公募)
  19
  1

 

香川(香川県全域)(cf. 2017.12.03「バイクをクルマに乗り換えて('_'?) 」・2017.12.28「テンプレうどん、一丁上がり!!」)
<瀬戸内海、オリーブ>
天野穂積(64歳:静岡市:グラフィックデザイナー)
  48
  3

 

(優秀作)
垂水秀行(43歳:香川県丸亀市:グラフィックデザイナー)
居関孝男(67歳:京都市:グラフィックデザイナー)

 

愛媛(愛媛県全域)
<みきゃん>
不明
 187
  1

 

高知(高知県全域)
<はりまやばし、カツオ>
吉井菓浦(高知市:会社員)
  46
  1

 

(優秀賞)
山崎晴奈 他1名

 

長崎(長崎市等)
<ステンドグラス>
中尾百花(長崎県立波佐見高等学校2年)
  44
  3

 

(優秀作品)
新郷優翔(しんごう ゆうと)(波佐見高等学校1年)
深川紗弥(活水女子大学2年)

 

佐世保(長崎県佐世保市等)
<ステンドグラス>
長崎と同じデザイン
  9
  0

 

熊本(熊本県全域)
<くまモン>
不明
 681
  40

 

大分(大分県全域)
<温泉>
大分県デザイン協会に委託
 137
  7

 

宮崎(宮崎県全域)
<ひなたと海>
不明
  33
  0

 

鹿児島(鹿児島市等)
<桜島>
森園 仁(21歳:鹿児島キャリアデザイン専門学校グラフィック科2年)
  76
  4

 


41地域
カラー版 5,127件( 95.8%)
モノクロ版 223件( 4.2%)
総計   5,350件(100.0%)
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各ご当地とも2017年12月には国交省へ最終案が提出されているので、どこも制定プロセスは同年中に進められたものだろう。
作者不明の作品の中には、公募によらず制定側で用意したケースがかなりあったと推測される。民意の反映は事前の意向調査か事後の人気投票の形で。バイク用の時にはあまり見なかったパターンのように思う。

 

一見して明らかなのは、都道府県単位での制定となった(13地域ある)のが西高東低であること。言い換えると、東日本の方がローカル化に熱心ということだろうか?

 

(続く)

2018年10月22日 (月)

【加筆編】校章による統合新設校ペアリングの試み:10(平塚湘風高校・藤沢清流高校)

(湘南)

 

(じゃなくて承前)

 

今度は相模湾沿い、湘南地区に参ります。

 

神奈川県平塚市
神奈川県立平塚湘風高等学校
校章
奥野和夫(神奈川県横須賀市)
平塚湘風高校

 

◇2009年4月 神田高等学校・五領ヶ台高等学校の統合により開校

 

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「自主・自律」と「誠実」の精神を、天に伸びゆく2本の[柱]に象徴、「創造」を[S]字形の吹き抜ける風で描き、湘南の地で希望と期待を胸に学ぶ姿を表現。平塚の頭文字[H]、湘風の頭文字[S]を組み合わせた形にまとめました。
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悪いが、ツルに言わせれば「誠実」とは、天に雄々しく聳える性質のものではあるまい。それは自己の内面に沈潜するものであるはずだ。高みに向けて伸びゆくものは、むしろ「創造」の方ではなかろうか?かといって前者のお題を屈曲したS字形で表すわけにもいかなかったろうが。あるいはそれとも、後者は常に紆余曲折を辿るということであろうか?
無論、校名に入っている「風」を表すことが最優先したであろうことは理解しますが。

 

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校名選定の理由

 

県立高等学校校名検討懇話会で審議し、次のような理由で選定されました。

 

○新校が所在する市の名称である「平塚」を冠する。
○「湘」で湘南という地域をイメージさせながら、「風」が吹き抜けていくことにより生まれ変わるという姿勢をアピールすることで「湘南の新しい風が入る」という、新校の立地とイメージを両立させる。
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すまんが、地名の下に適当な漢字2文字をくっつけるという高校のネーミングには、全く魅力を感じない。このところ取り上げたところでは、玖珠美山高校、別府翔青高校、酒田光陵高校、厚木清南高校然り、後述する藤沢清流高校然り。

 

ついでに言えば、日本で一番学校の名前に独自性と迫力があるのは京都市だと思うけど、これは別ネタとして取っとこう。
さらに脱線すると、平塚湘風高校の開校前、ある大事件が起きてたんですが(場外乱闘って感じだけど)、そのこともまた別途。

 

この高校では、実は校歌の作詞にあのガイダーが腕を振るっている(cf. 2016.05.16「繰り返す 繰り返す さざなみのように 〜〜ただ繰り返す〜〜 引き波
」)。

 

校歌
「明日呼ぶ風に」
作詞 駒井 瞭(大阪府東大阪市)
作曲 豊住竜志(昭和音楽大学音楽学部作曲学科准教授)

 

一、
清新光る 湘南の
明日呼ぶ風に 夢競う
新たな息吹 青春へ
花咲く希望 意気燃えて
理想の扉 押し開く
平塚湘風 われら今

 

二、
相模の流れ 虹染める
誠実交わす 友を得て
豊かな個性 溌剌と
自ら目指す 研鑽に
創造極め 打ち進む
平塚湘風 われら今

 

三、
宙(そら)青雲に 富士仰ぐ
ゆかしい歴史 伝統に
ふれあう心 礼尽し
地域と歩む 共生の
未来を繋ぎ 励み合う
平塚湘風 われら今

 

だから、「誠実」とはその本質において、友と交わすような性格のものではないっちゅうに!!
申し訳ないけど、こういうTraditionalな校歌ならば、「明日呼ぶ風に」というタイトルはまるで不要だと思う。そして、湘南らしさ、湘南の学校らしさは何も感じない。

 

≪相模の海はなぜ表されなかったのだろう?≫

 

校章にも同じことが言えるけど、ご当地の一番の資産はそれではないのかしらん。夏場だけの話ではなくて。
深追いすると・・・

 

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【作品(歌詞)の説明】
平塚市の豊かな自然を背景として、1番は校名の由来と向学に萌え立つ青春の新たな息吹を、2番は校訓の「自主・自律」、「誠実」、「創造」と個性の伸張を、3番は教育方針の礼儀正しく明るく爽やかな人格形成と地域社会との共生を、誰にでも一目見てよくわかり広く愛され親しまれるようやさしい言葉で表現し、21世紀をリードする神奈川県の「平塚湘風高等学校」が力強く飛翔発展する勇姿を作詞したものである。
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出会ったのは海ではなく、またもや「21世紀をリードする」のSuper Clicheだった。愚blogでは何度も何度も目にしてきたアレです。やっぱり、テンプレートに当校の教育理念やら耳に心地よい単語やらを適当に嵌め込んだだけって気がしちゃう。
(お些末様ですが駒井センセ、「個性の伸張」は変じゃないですかね。せめて「個性の伸長」でしょ。)

 

お隣藤沢市(あの江の島のあるところ)のこの高校でも、海は取り入れられていない。

 

神奈川県藤沢市
神奈川県立藤沢清流高等学校
校章
奥野和夫
藤沢清流高校

 

◇2010年1月頃 決定
◇2010年4月 藤沢高等学校・大清水高等学校の統合により開校

 

風の次は川、いかにも丸ブーが顔を出しそうなところではある。「清流」の名は学校のそばにある境川にことよせたものです。実質的に同じ名前のここ↓と見比べてみるのもまた一興。

 

【2018.09.23「Crystal clear river with cold water, Four leaf clover in tiny garden, Twinkling star above deep forest...」】
富山県魚津市
魚津市立清流小学校
校章
北野公一
清流小学校

 

こちらの川は、片貝川と布施川。

 

因みに、統合対象の一方、藤沢高校は;

 

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(Wikipedia)

 

1948年(昭和23年)に新制高等学校となった際に制度上は共学になっていたものの、長きにわたり事実上の女子校であった。男子生徒3人が入学して2005年(平成17年)に共学化された。これにより神奈川県内の公立女子高は消滅した。
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という風変わりな歴史を持っていた。長い伝統を打破した3人のBoys、ちょっとRESPECTっすww。

 

//

 

横浜川崎厚木相模原平塚藤沢、神奈川県内6連発、取り敢えずは以上です。あとは鎌倉を残すのみって感じ。いや、お膝元横須賀もあるか。

 

うーん、どういうものかなー。やっぱりどういう評価を与えればよいのか迷っている。
新しいところでも2010年開校(川崎工科高校・藤沢清流高校)だから、かれこれ一昔前。この時期、奥野はアルファベットのイニシャルに象徴性を見出すことに熱心だった様子。川崎工科高校の[K]以外は全部、[S]が取り込んであるんですね。
でも、それらがもれなく校名のどこかしらにサ行のイニシャルを持っていたというのこそ、驚きと言えば驚き、ありがちと言えばありがちな印象。

 

(まだまだ続きます)

2018年10月21日 (日)

【加筆編】校章による統合新設校ペアリングの試み:9(厚木清南高校・相模原中等教育学校)

(承前)

奥野の校章デザイン、確かに目を楽しませ、それなりに新しいものを創り出しているようには思えるけれど、(神奈川県内での)古い作品まで遡ってみると、このあたり↓のようである。

神奈川県厚木市
神奈川県立厚木清南高等学校
スクールアイデンティティ・デザイン
奥野和夫(神奈川県横須賀市:グラフィックデザイナー)
厚木清南高校

◇2004年12月 制定
◇2005年4月 厚木南高等学校の単独改編により開校

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大空の下、清流・相模川の流れをモチーフとして、無限に発展して行くダイナミズムを表す。
空の色は伸びゆく様子、水の色はたゆみない努力を続ける様子を象徴している。
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全国公募ではなく、県内限定公募だったらしい。「丸なしの丸ブー」って感じぃ。時はまさに自治体の平成大合併真っ盛り、なんかどこかで見たような気がするのはそのせいでしょうな。
かつ、厳密には「校章」ではなく「スクールアイデンティティ・デザイン」であったというのは、それも時代の流行りだったんだろうか。

校長あいさつには;

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神奈川県立厚木清南高等学校は、平成11年11月に策定された「県立高校改革推進計画」の三つの基本方針、「多様で柔軟な高校教育の展開」、「地域や社会に開かれた高校づくり」、「活力ある教育活動を展開するための規模及び配置の適正化」のもと、平成17年4月、横浜桜陽高等学校、川崎高等学校に続き、県下で三番目のフレキシブルスクールとして開校しました。
フレキシブルスクールとは、一人ひとりの生活スタイルや学習ペースに応じることができるよう、幅広い学習時間帯から午前・午後・夜間といった時間帯を選択できる、柔軟な学習形態の単位制普通科高校です。
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とある。ホント、神奈川県って高校の種類だの肩書だのが多いんだよねーーー(学校数自体も多いけど)。前回見た川崎工科高校の「総合技術高校」にせよ、この「フレキシブルスクール」にせよ。

脱線すると、上の文章に出てくる神奈川県立横浜桜陽高等学校(2003年4月 汲沢/ぐみざわ高等学校と豊田高等学校の統合により開校)のサイトではこう出ている↓。

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フレキシブルスクールという呼称は本県独自のものであり,柔軟な学びのシステムを持つ新たなタイプの高校として構想された。
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つまり県内初、かつ日本初だったわけです。ところが続けて;

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平成29年度入学生よりフレキシブルスクールから年次ごとの学びが中心となる単位制普通科となった。
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ともある。てことは割とフツウの高校に戻ったということ。単位制だって今や珍しくはないし。最新の教育理論は20年保たなかったようです(意地悪)。

神奈川県では他に、「学力向上進学重点校」、「グローバル教育研究推進校」、「国際バカロレア認定推進校」、「インクルーシブ教育実践推進校」てなものも指定されているらしい。もう、ようとわかりまっしぇん。

気を取り直して、中学と高校を一気通貫とした次の学校を見てみれば。

神奈川県相模原市(現 相模原市南区)
神奈川県立相模原中等教育学校
校章
奥野和夫(神奈川県:グラフィックデザイナー)
相模原中等教育学校

◇2009年1月 奥野に校章認定証交付
◇2009年4月 相模大野高等学校の単独改編により開校
◇2010年4月 政令指定都市移行

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教育目標にある「心身ともに健全」「高い知性と豊かな人間性」を[ペン先]に表し、相模原中等教育学校(Sagamihara Secondary School)の頭文字[S]の[3本のリボン]には、生徒が「科学・論理的思考力」、「表現コミュニケーション力」、「社会生活実践力」の3つの力を備え、しなやかに成長していく様を表した。[翼]の[3枚の羽]はめざす生徒像を表し、次世代を担う人材に成長することを託した。
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まあつまり、相模大野です、ワタシ的に言えば。
ここでもまた[翼]の登場です。正直なところ、奥野に対してどういう評価をすればよいものやら、わからなくなってくる。コンセプトはあまりLogicalに伝わってこないな。「心身ともに健全」をペン先でもって表されても困惑するぜ?

こちらは、2009年4月、平塚中等教育学校とともに、神奈川初の県立中等教育学校となった。2017年の入試ではなんと1,000名を超す応募があったそうだから、難関校ないしは人気校と言えるんでしょう。
公立の中高一貫教育校というのは首都圏で増えてきており、2017年初頭の段階で既に東京11校、神奈川5校、千葉3校、埼玉2校になっているらしい。

県サイトのFAQには;

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Q3
神奈川県には2校しかないの?
A3
県立高校改革推進計画後期実施計画(平成16年度策定)に基づき、平成21年4月に中等教育学校を2校開校しました。また、平成21年度から、既存の市町村立等の中学校と県立高校との連携型中高一貫教育も進めています。
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へーえ、「連携型」というのもあるんだ(前述のフレキシブルスクールの機能/目的の一部はこちらに整理包含されることになったと推測)。

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Q4
どうして平塚市と相模原市につくったの?
A4
実質的に中高一貫教育を行っている私立学校の配置や、横浜市・川崎市・横須賀市は市立高校による、独自の取組みが期待できることや配置バランスなどを勘案し、県の南部の平塚市と県の北部の相模原市に設置することにしました。さらに、交通の利便性や周辺環境、これまでの高校の取組み、施設規模などから、平塚市内の大原高校と相模原市内の相模大野高校を改編して中等教育学校を設置しました。
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へーーーーえそういう考え方なのかでもこうなると、今や政令指定都市たる相模原市の立場もビミョーに危ういものだという気がします。というより、政令指定都市の性格づけ自体が変わってきているとも言えるんだろうな。

(続く)

2018年10月20日 (土)

【加筆編】校章による統合新設校ペアリングの試み:8(横浜栄高校・川崎工科高校)

(承前)

さて、そろそろ本丸に乗り込もうか。

このところ、各地の学校統合によって生まれた新しい校章を斬ってきたけれども、それは表向きのことに過ぎない。今になってこのSubseriesを立てた真意は、もっぱらこの分野で凄腕を振るう奥野和夫のデザインを見ていくところにありました。(∴このSubseriesが愚blog「もうやめようよ、ご当地キャラとか。」最後の続き物となる予定?)

奥野のことは以前、外務省を中心とする「○周年」のマーク類で取り上げたことがある(cf. 2015.05.28「甘いくちづけを交わそう」・2015.05.30「夜が全て忘れさせる前に」・2015.06.07「深く果てしなくあなたを知りたい」)。
その頃既に、校章公募でも赫々たる実績を叩き出していることに気づいてはいた。そして、愚blogで斬りまくる凡百の公募ガイダーとはどうも同等に扱えないのではないか、ということにも(その疑問はあくまで疑問にとどまっているが)。少なくとも、ご当地キャラクター公募にはなびかなかった様子だし。
その後、校章公募の分野に一層力を入れているように思われます。それは学校統合の流れが全国的に本格化してきたことと軌を一にしてもいよう。波に乗ることって、やっぱり大事なのネ。

奥野は横須賀在住であり、特にお膝元の神奈川県内においては、主要都市全ての学校の校章を制覇してるんじゃないかと思えるほどの勢いです。ひところの八谷早希子を彷彿とさせる。まずは県庁所在地からいきますと。

神奈川県横浜市栄区
神奈川県立横浜栄高等学校
校章
奥野和夫(グラフィックデザイナー)
横浜栄高校

あん?横浜市栄区と言えば、どこかで聞いたような・・・。尾浦孝夫の住まうところですな(cf. 2017.11.25「幾久しく御栄えあれ」)。

◇2008年12月 決定
◇2009年4月 上郷高等学校・港南台高等学校の統合により開校

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横浜の頭文字[Y]の形を成長する[双葉]と鳥の[翼]に見立て、「きらめく」「ときめく」「はばたく」を象徴しています。
また、翼が自らの力でおこす風を「栄」の頭文字[S]で描き、本校の生徒が互いに支え合いながら未来創造空間を築いていく様子を表現しています。
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ひらがな四文字の三言葉は、同校が今も用いているキャッチフレーズ。しかしアンタ方ねえ、それって各種ご当地公募の三大Clicheですよ。毎日の高校生活がそんなにときめいてたりしたら、ほとんどエロゲーの世界(笑)。

時代的にというべきか、デザインには丸ブーの名残りが見てとれますが、見ているうちにだんだん、京劇の隈取りみたいな感じがしてくる(京劇じゃ[緑]は使わんだろうが)。選考理由の一つに「在校生による投票において最も支持された」とあるので、丸ブーには若人の未来と希望が詰まっていたということになるんでしょう。

続いて、県下第二の都市から一つ。

神奈川県川崎市中原区
神奈川県立川崎工科高等学校
校章
奥野和夫
川崎工科高校

◇2010年4月 川崎工業高等学校の単独改編により開校

「工業高校」→「工科高校」に名前が変わっただけでなく、「総合技術高校」という肩書になったらしい。決定時期は不明(公募だったか否かもよくわからない)。
この学校、中原区の上平間ってとこにあるんだよね。ツルの住む東京都大田区下丸子からも(多摩川をはさんで)実はほど近い。あの震災の夜、職場から歩いて帰ってきた時にこの学校の横を通ったんだよなあ。暗かったし、この校章に目を留めるような精神的余裕もなかったけれど。

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「私」の[I]と「工業」の[i]に、鳥の[翼]をモチーフとして組み合わせ、幅広い知識と技術・技能を身につけることで自分をみつけ、世界に羽ばたく様子を表現しました。そして、川崎の頭文字[K]の形にまとめ、[空色]に新しい自分を、[青色]に未来への希望を、[ターコイズグリーン]に深い向学心を象徴させました。
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微妙に工藤和久っぽい見た目(個人の感想です)。右下の丸ブー部分が "industry" の[i]だという理屈はさすがに苦しい気がするけど、ご当地デザイン公募界が「丸にブーメラン」一辺倒から変革しつつあった頃ということになるのかしらん。
でも結局、今度は[K]です。そして、今度も[翼]です(大伏線)。

(続く)

2018年10月17日 (水)

【覚え書き】「ご当地ナンバー」なるものについて:2

(承前)

2018.10.08の「1」に書いた分け方、つまり;

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(1)ご当地デザインの入ったナンバープレート
(2)従来にはなかった新たな地域名を表示したナンバープレート

(1-a)バイク等を対象としたもの
(1-b)自動車を対象としたもの

(1-b-i)期間限定の特別仕様のもの
(1-b-ii)恒久的に施行されるもの
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に従えば、ここらで(2)、つまり狭義のご当地ナンバーをものするべきだとも思うんだけど、そこは敢えて後日回しにしてと。前回からの流れで(1-b-ii)、つまり「地方版図柄入りナンバープレート」について深掘りしていく。

これは、2018.05.22デザイン発表、09.10受付開始、10.01交付開始となったもので、全国の41のご当地が対象となっている。実は既に第2弾の対象となる(であろう)地域も発表されているのだけれど、これは(2)の第3弾と紐づけられているらしいので、これもまた別途。

事前申込の受付が始まって1週間ほどした頃、こんな報道記事が出た。

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(2018.09.19 毎日新聞 抜粋)

図柄プレート:「くまモン」熊本ナンバー2位、1位は

◇全国41地域 10月から交付開始の事前申し込み
10月から交付が始まる全国41地域の名産品や景勝地などをあしらった「図柄入り自動車用ナンバープレート」の事前申し込みで、プロ野球・広島東洋カープの図柄をあしらった福山ナンバーがダントツ1位、全国区のゆるキャラ「くまモン」の熊本ナンバーが2位で続いていることが判明した。単色(モノトーン)と、1000円以上の寄付で変更できるフルカラー版では、フルカラー版が9割超(95.8%)を占めた。
国土交通省から委託された交付代行者らは今月10日から申し込み状況を収集している。毎日新聞の18日時点の集計では、カラー5127台、単色223台の計5350台の申し込みがあった。地域別の上位は(1)福山1518台(2)熊本721台(3)仙台290台(4)富山203台(5)愛媛188台−−。カープデザインの窓口となる広島県自動車整備振興会福山支所などには、申し込み開始前から「カープナンバーにしたい」などとする問い合わせが相次ぎ、対応に追われたという。担当者は「セ・リーグ3連覇達成目前の勢いそのままに、ファンの方たちの情熱を感じた」と話す。

黄色ナンバーが標準の軽乗用車のプレートは外枠も黄色で、全国的には乗用車よりも応募が低調だが、オレンジ色系のゆるキャラ「みきゃん」を使った愛媛ナンバーは軽乗用車が110台で、乗用車などの計78台を上回った。愛媛県自動車整備振興会の担当者は「ゆるキャラの可愛らしさのおかげ」と喜ぶ。
現状で最下位は世田谷。同区産業連携交流推進課は「東京では(募集を始めている)東京五輪・パラリンピックデザインの方がなじみがある面もある。区が行うイベントなどで地道にPR活動を続けるしかない」と話した。土浦市や富山県は公用車に図柄入りナンバーを取り入れ積極的にPRする予定という。

国土交通省自動車情報課によると、ナンバーは事前申込制のため、在庫が余るなどの心配はないという。ただ「自治体によってここまで差が出るのはびっくりした」とし、カラー版の多さには「(寄付をしたいと)故郷を思う人が多いことの表れ」とみる。

〔後略〕
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そうじゃないでしょ!!
カラー版が圧倒的に多くなるのは事前にわかっていたはず(もしそうでなかったならただの馬鹿;先行したバイクのデザインプレートはカラー版だけだった)。それでもモノクロ版を廃することができなかったのは、「寄付金を払わなければご当地ナンバーにできないなんて!」という批判を封じるために過ぎないと見る。
でも、結果はカラー版の圧勝と出た。だから、2020年度中に導入されるという第2弾では、モノクロ版は廃止される方向なんじゃないかと思う。要するに、実績作りね。

上記記事の時点で、世田谷(4件)や杉並(9件)、佐世保(9件)では1桁の申し込みにとどまっており、政策としてほとんど失敗状態である。「人口の割には少ないね」といったレベルでは到底ないのだから。「イベントなどで地道にPR活動を」なんて言ってるってことは、それだけまた経費=税金を注ぎ込むってことだよね、はした金の税収のために。
愛媛も「みきゃんのおかげ」などと寝惚けたことを言ってないで、普通車ではなぜ申込が少ないのか検証することが必要なのではないか。(ゆるキャラを用いたご当地では軽の申込比率が高くなりやすいという傾向でもあるのだろうか?)

そもそもである。報道として一番必要な視点は、どこが1番だ2番だよりも、「想定していたレベルに対して、出足はどうなのか」というところではないの?
受付開始1週間ぐらいで需要トレンドはわからないだろうって?しかし、この時点で申込は5,350件、その後約2週間経った交付開始日の10.01午前10時時点で約2倍の10,980件となった由。つまり、最初の1週間と次の2週間の申込数がほぼ同じ。大方の傾向はこれで掴めると考えます。

(続く)

2018年10月14日 (日)

【ペアリングのおまけ編】翼のかなしみ(なみえ創成小学校・中学校)

(承前)

小中一貫教育を選んだケース、思えばこれもその一例だったけれど。

【2017.11.04「墜ちていく翼」】
大分県佐伯市
佐伯市立蒲江翔南学園
校章
工藤和久
蒲江翔南学園

◇2016年11月 発表
◇2017年4月 開校

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旧・蒲江町の[町章]と[翼]を基調に素敵な未来へ元気に翔たく蒲江翔南学園を象徴的に表現しました。
[赤]は太陽、[青]は豊かな海で自然と風土に恵まれた蒲江地区をイメージしました。伝統を継承し、シンプルに、親しみやすく、多くの人々に長く愛される校章です。
〔後略〕
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ここまでは前フリです。

垂直統合のもう一つの例、といっては特殊過ぎると思うけれども、次の学校も見過ごすことができない。

福島県双葉郡浪江町
浪江町立なみえ創成小学校
浪江町立なみえ創成中学校
校章
工藤和久(青森県弘前市)
なみえ創成小学校・中学校

◇2018年4月(?) 発表
◇2018年4月 開校

あらかじめ、「小学校と中学校で「なみえ創成」が共通していますので、共通のデザインを原則とします」とされていた。「中間色は避けてください」というガイダンスも出てたんだけどね。

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浪江町の鳥[かもめ]と[世界]と[若葉]を基調に故郷の未来を育み、世界へ羽ばたく「なみえ創成小・中学校」を象徴的に表現した。[青](かもめと世界部分)は「空と海」、[緑](若葉部分)は「大地と青葉」で豊かな自然に育まれた浪江町を明快に爽やかにイメージした。現代的で、かつ、シンプルで親しみやすく、多くの人々に長く愛される校章デザインです。
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ホント[翼]が好きだよな、このおっさん。

♪今 わたしの 願いごとが
 叶うならば 翼が ほしい

ツルも翼は持っていますよ、ええ。でも。

世の中を 憂しとやさしと思へども
飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば
     憶良

てなものではないですかね、誰しも(-.-)y-~~~。

言うまでもなく、ご当地は東日本大震災と福島第一原発事故により甚大な被害を受けたところであり、町役場機能も福島県二本松市に移転していた(双葉郡内の自治体はいずれも同様)。学校教育も今に至るまで二本松市内の(廃校となった)学校の校舎を借りて行う状況が続いてきたわけです。
「浪江町立浪江小学校 二本松仮校舎」のサイトには、次のような記載が出ている(適宜抜粋)。

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23年3月11日 東日本大震災、東京電力原子力発電所事故のため休校
23年8月1日 学校再開
23年8月25日 浪江小学校(旧 二本松市立下川崎小学校)開校式
26年4月1日 津島小学校再開
26年4月7日 津島小学校再開式、浪江小との合同授業開始

震災・原発事故後の学校の状況
平成23年3月11日 東日本大震災発生・東京電力福島第一原子力発電所事故発生
23年3月12日 原発事故により津島地区へ避難開始。人口29,908(2010国勢調査時)
23年3月15日 二本松市へ避難。
23年4月6日 公立小・中学校入学式。
浪江町の子どもは、すべて区域外就学(3/27現在、小学生1,162名、中学生610名。浪江小学校558名、幾世橋小学校122名、請戸小学校93名、大堀小学校157名、苅野小学校174名、津島小学校58名)
23年8月25日 浪江小学校・中学校の開校行事、2学期開始
在籍数 浪江小学校28名、浪江中学校33名
24年4月1日 浪江小学校在籍数28名
「ふるさと浪江科」を軸とした総合的な学習の時間スタート
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在籍数はその後減り続け、2018年4月1日現在、浪江小学校1名、津島小学校2名となっている。

中学校も二本松市に移転して再開した。

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(2012.05.15 浪江中学校サイト 抜粋)

浪江町立浪江中学校HPを立ち上げます

福島県双葉郡の浪江町の中学校の1つ(浪江町には3つの中学校がありました)浪江中学校は、原子力災害による避難命令により、現在福島県の二本松市の廃校になった小学校(旧 針道小学校)の校舎をお借りして、学校を再開しています。
生徒数は、1年生7名、2年生22名、3年生20名の合計49名と、災害前の約6分の1になってしまいましたが、生徒と教員が一丸となって頑張っています。
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実際にはホームページというよりブログですが。

そのような状況が続く中、待ちに待った(はずの)町内での学校再開だったわけです。

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名称の説明
浪江の名前を残したい、学校と地域全体が一体となって新しい学校を創ってほしいというご意見や、子供たちの成長を願う気持ちから、「なみえ創成」という校名に決まりました。なお、学区を浪江地区に限るものではないことを明らかにするとともに、協働によるまちづくりの観点の「なかよく・みんな・えがおで」の精神を生かすなどから、ひらがな表記の「なみえ」としています。
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だから、この学校の場合、どことどこが統合してとか、小中一貫教育でどうこうなどということには意味がないと思う。

昨夏、同町教育委員会では開校を半年後に控え、ある調査結果を公表した。

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(2017.08.22 浪江町サイト)

平成29年6月に実施した「浪江町立小・中学校開校に向けての意向調査」の結果についてお知らせします。
教育委員会としては、この結果を、浪江町と町民のみなさまが置かれた大変厳しい状況を反映したものと捉えております。一方で、この厳しい状況の中でも、「通学を考えている」・「検討中である」とする回答をいただいておりますので、このことを大切にしたいと考えてもおります。
今後も、浪江町立小・中学校について、町民・町外の方を問わず、通学を検討しておられる方々からのご相談をお受けいたしますので、ご連絡のほどお願いいたします。

・対象世帯 795世帯(浪江町に住民票があり、平成30年度新入学児童から中学2年生がいる世帯)
・回答世帯 271世帯
・回答率 34.1%
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内容は非常にシビアなものだった。

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町内再開校への通学意向(世帯からの意見)

通学させる考えがある・現在はわからないが検討中である 4.1%

現在のところ通学させる考えがない 95.2%

現在のところ二本松校に在籍を継続又は転入学を検討中である 0.7%
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逆算してみると、第1の選択肢は11世帯、第3の選択肢ではわずか2世帯ということになる。
この数字をどう捉えるかは意見の分かれるところではあろう。見方によっては、震災から6年、被災者たちがそれぞれの進路を歩み始めたということでもあるまいか。

2018年4月6日、この学校は落成式と開校式と入学式を行い、小学生8名、中学生2名で新たなスタートを切った。「世界へ羽ばたく」ことを目指して。いや、おそらく本当は、いつもと変わらない日常の回復を目指して。

いつもと変わらない和久のデザインコンセプトには大いに不満です。募集時に示されていたキーワードは<生きる力> <夢> <未来> <健やかな成長> <創造> <学校と地域との協働> <新しい校名> <浪江町>。
なぜ「豊かな自然に育まれた浪江町」などと軽く言い放てるのか。美しかった自然が牙を剥いて襲いかかり、多くのものを破壊した後、それでも戻ってきた人々の思いはどこに表されている?辛酸を舐めた末に再び持つ復興/創成の意志はどこに感じ取れる?

でもまずは、願わくば10人のがきんちょたちに大きな幸あらんことを。
未来は子供らの掌の中に在り。

2018年10月13日 (土)

【加筆編】校章による統合新設校ペアリングの試み:7(土佐山学舎・十津川第二小学校・十津川村章)

(承前)

さて、本編絡みからだいぶ道草を食って、やっと番外編に戻りましてと(笑)。

本Subseriesの初めに、このところの学校再編に伴って、公立学校でも小中一貫教育を志向するところが増えてきていると書いた。水平統合だけではなく垂直統合も検討対象というわけです(なんだか、証券アナリストが好んでレポートに書く「業界再編」ストーリーみたいだわ)。
前回の「6」でちょこっと触れた蒲江翔南学園(佐伯市立蒲江翔南小学校・中学校)もそうだったけど、もう一つ例を挙げておこうか。

高知市
高知市立土佐山小中一貫教育校 土佐山学舎 → 高知市立義務教育学校 土佐山学舎
校章
北野公一(和歌山県田辺市)
土佐山学舎

◇2014年11月 発表
◇2015年4月 土佐山小学校・土佐山中学校の統合により開校
◇2016年4月 「義務教育学校」に校種変更

もう、おぢさんにはようわからんとですよ、こげんか動きが各地で起きとるやら。「学舎」やら、「学園」やらほとんど私立ノリ。

ご当地はもと土佐郡土佐山村だったところで、2005年元日に同郡鏡村とともに高知市に編入された。向学の精神と進取の気性に富む土地柄らしく、この学校も実際、いろいろAggressiveな取り組みを行っているようです。

でも、さ。

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自然豊かな学び舎を,[たきゆり]をイメージしたものを背景に[小]・[中]一貫教育校を表す文字を[菱形]の図の中に組み合わせて一体感を強調し,全体を伸びやかに大きく成長する姿を表現したものに仕上げました。
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タキユリは旧 土佐山村の村の花、でも植物系には見えんやね。"Alien" に出てきたFace Huggerか、せいぜいご当地の清流に多数棲息するであろうサワガニぐらいにしか思えん。なんでそげな風になると?「こなれ」の問題ですか??

(優秀)
奥野和夫(神奈川県横須賀市)
山本 堪(高知市土佐山)
杉本春香(高知市立土佐山小学校)
門田華歩(高知市立土佐山中学校)

はい、次点も実にバランスよく配しました(伏線)。

それから1年後、こんなものが現れてくる。

奈良県吉野郡十津川村(とつかわむら)
十津川村立十津川第二小学校
校章
奥野和夫(グラフィックデザイナー)
十津川第二小学校

◇2015年11月 発表
◇2017年4月 平谷小学校・西川第一小学校・西川第二小学校の統合により開校

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郷土愛の象徴でもある郷章[菱十]に[二小]の文字を組み合わせて校名のわかりやすい校章にしました。十津川第一小学校の校章との違いを少し出しながらも、共通した部分を多くし、村の子どもたちの一体感を大切にしました。
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え、第一小との異同ですって!?ああめんどくさい、各自お調べになってね(媚)。こなれ具合は確かによくなってる気がする、でも面白味は別の話(-.-)y-゚゚゚。

ご当地は日本一の面積を持つ村で(北海道のどこぞじゃないのだよ)、神武東征の折に先導を勤めた八咫烏が村人の祖先と伝わる。山中に独自の生活文化を築く一方、古くは壬申の乱(672年)や保元の乱(1156年)、大坂冬の陣(1614年)などに兵を出し、歴史の節目節目で時の権力者と関わりを持って江戸時代には無税の天領であった由。十津川人は恩賞を好まず謙虚で忠誠を尽くすとして「十津川郷士」と呼ばれ、幕末には200名近くが京都御所の守衛を勤めていた。
「菱十」の紋は文久3年(1863年)に朝廷から賜ったものというから大変な由緒です。現在、村章となっている。

奈良県吉野郡十津川村
村章
十津川村章

どうでしょう?校章のみならず、歴史風土も相似ていると思うんだけど。ペアリングにぴったり。

次点を調べるともっと面白い。

(優秀賞)
北野公一(和歌山県田辺市)
井口やすひさ(群馬県高崎市)

土佐山と十津川、奥野と北野が競い合って勝負を分け合った形の結果となっているんですわ!何やらひんやりとするところもあるがね。

因みに、明治22年(1889年)、ご当地を襲った大水害から逃れて村民約2,600名が北海道の原野に集団入植した先が、現在の樺戸郡新十津川町であることはよく知られている。同町では今も十津川村を「母村」と呼ぶとのことで、町章も同じ菱十の旗印とか。
1200km離れた両町村民の交流は130年を超えて続いていて、2011年9月の台風12号で十津川村に死者・行方不明10人以上を出す被害があった際も、いちはやく新十津川町から職員が派遣されたそうです。

(続く)

2018年10月11日 (木)

ネット上の犯罪行為 (ii)

(承前)

そうだった。この件は1年前、あまりにひどいと思ってスクラップしておいたんだ。

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(2017.10.18 ねとらぼ)

神奈川県の東名高速道路で2017年6月、ワゴン車が大型トラックに追突され夫婦が死亡した事故で、無関係な企業が「容疑者の勤務先」としてネット上で拡散され、中傷や嫌がらせの電話が殺到するといった被害が起こっていることが分かりました。
嫌がらせの標的となったのは、福岡県北九州市にある「石橋建設工業」とその関係者。今月10日、上記事故を巡って過失運転致死傷の疑いで逮捕された石橋和歩容疑者(福岡県中間市/建設作業員)と名前が共通していたことから、「石橋容疑者の勤務先」として、ネット掲示板などに書き込まれたのがきっかけでした。
さらにその後、一部のまとめサイト(キュレーションサイト)がこの情報をもとに「東名高速妨害追突死亡事故!石橋和歩容疑者の住所が判明、晒されていた!容疑者の実家は会社を経営?石橋建設工業株式会社に勤務?」といった記事を掲載(魚拓/現在は削除済み)。会社には「ニュース見てないんか」「(お前の)息子やろが」といった嫌がらせ電話が殺到したといいます。

同社の関係者(社長のおい)であるという、Twitterユーザーのしょまさんさんは15日、自身のTwitterで「名字が一緒ってなだけで 何で伯父にもこんなんするんか」と怒りをにじませました。
“しょまさん”さんに取材したところ、石橋容疑者の逮捕後、石橋建設工業には多い時で1日100件近くもの迷惑電話がかかってきたとのこと。中には「若いのを連れて行く」「極道なめんな」など、暴力団関係者であることをほのめかすものもあったそうです。自宅の住所や電話番号など、社長の個人情報も晒され、念のため子どもには学校を休ませたとも。
「小耳に挟んだからとか、ネットで知ったからとか、真実を知らずに投稿するのはやめてください。自分がこういう記事を投稿するならまず、ネットは信じず、真実を確かめます。感情だけの投稿で、人がどれだけ傷つくか知ってほしい」(“しょまさん”さん)

また、“しょまさん”さんに紹介いただき、石橋秀文社長本人からも話をうかがうことができました。

―― 最初に嫌がらせがあったのはいつでしたか。

石橋氏:容疑者が逮捕されたのが10日で、11日の朝にはもう電話がかかってきていたと思います。

―― どんな内容でしたか。

石橋氏:ほとんどは無言電話、それから罵倒です。「おやじはおるか」「クレームがある」というので用件を聞くと、「お前はニュースを見てないんか!(お前の)息子やろが!」といきなり怒鳴りはじめて。もちろん事実無根ですが、根拠や証拠があるのか聞いても「とぼけるな!」と怒鳴られて……。

―― こういった電話は1日にどれくらいありましたか。

石橋氏:今は落ち着いてきましたが、ワン切りも含めると、少し前は1日50件から100件くらいはあったと思います。夜中の着信までは確認できていないので、正確な数は分かりません。

―― ほかに目立った被害はありましたか。

石橋氏:社名や名前で検索すると、検索結果に出てしまうのが困っています。大きな会社との取引もあるので、もし間違った情報が目についたら営業妨害になります。

―― 自宅にもマスコミの取材があったと聞きました。

石橋氏:自宅と会社に、3社ほど取材は来ました。ただカメラは回していなくて、軽い立ち話くらいだったようです。無関係だと説明すると、どこも納得して帰られていきました。

―― どんなサイトに載っていたか把握していますか。

石橋氏:私が確認した範囲ですと、「モノローグ」というサイトと、それから「2ちゃんねる」「5ちゃんねる」「爆サイ.com」といった掲示板サイトなどです。全部で4つか5つありましたが、警察に報告してからは一部は削除されたようです。

―― 警察の対応はどのようなものでしたか。

石橋氏:自宅と会社で住所が違うので、両方の所轄警察署に相談しました。ただ被害届を出すには被疑者が誰かを特定する必要があると言われてしまい、現状では誰が投稿者か分からないため、被害届は出せませんでした。

―― 確かに、ネットの書き込みだと投稿者は分からないですね。キュレーションサイトでも、小規模なものだと運営元を明示していないものが多いです。

石橋氏:また嫌がらせ電話についても相談したのですが、1日100件くらいでは営業妨害にはならないそうです。具体的には1日200件とか300件とか。常に電話が鳴りっぱなしで、通常の電話がつながらないくらいでないとダメだそうです。

―― いろいろな嫌がらせがあったと思いますが、一番困ったことは何でしたか。

石橋氏:自宅の住所まで調べて公開されていたことです。子どももいるので、いじめの原因にもなりかねませんし、それこそ何かあってからでは遅い。ちょうど私が東京に出張で出ている時に、自宅の前に不審な車が止まっているという連絡もあって、その日は念のため学校を休ませたりもしました。警察から情報があれば法的措置も考えています。

―― そもそもなぜこのような誤解が広まったのでしょうか。

石橋氏:容疑者が福岡県中間市在住で、父親が会社を経営している、という情報からたどり着いたのだと思います。念のため私の方でも確認しましたが、もちろん息子ではありませんし、遠い親戚までたどってみても一切つながりはありませんでした。そもそも福岡や北九州では“石橋”は比較的多い名字なのですが……。

〜〜

なお、当初記事を掲載していたサイト「モノローグ」は13日、指摘を受けて記事内容を訂正。さらに16日には記事を削除しましたが、記事削除についてのお知らせや、デマ拡散についての謝罪などは特に行われていません。

「モノローグ」は主に国内の事件の情報を扱う、いわゆるまとめサイト(キュレーションサイト)の1つですが、運営者情報などは特に掲載されておらず、責任者や執筆者が誰かなどは一切不明です。編集部からも16日、記事を掲載した経緯や、執筆者、責任者の情報、今後の対応などについて問い合わせていますが、回答はありません。
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「誰が投稿したかわからぬから被害届は出せない」という警察の態度は大いに問題だと思います。

とかく、匿名性の陰に隠れて信憑性の薄い記事を書くとして一括りに批判されがちな(誰によって?)ネットメディアをちょっと見直した、がっつりした記事だった。
事実を積み重ねた上で、何を書くべきなのか頭の中ではっきりさせて書いているという点で、前回取り上げた毎日新聞記事よりこちらの方に軍配を上げます。たとえ新たな標的を作っただけかもしれないにせよ。

2018年10月10日 (水)

ネット上の犯罪行為 (i)

先月の報道記事から、ツルの関心を引いたものを一つ。

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(2018.09.08 毎日新聞)

神奈川県の東名高速で昨年6月、あおり運転の末の追突事故で夫婦を死亡させたとされる男と無関係の男性をインターネットで中傷したとして、名誉毀損容疑で書類送検された11人全員が不起訴処分になった。検察は「他人の投稿をコピーしただけ」などと判断したが、事実無根のデマに悩まされた男性は「司法はネット被害への危機感がない」と訴え、不起訴を不当として検察審査会への審査申し立ても検討している。【宮城裕也、平川昌範、柿崎 誠】

◇被害男性「司法は危機感ない」 検察審査会へ申し立ても
男が逮捕された後、姓が同じで、男の住所にも近い北九州市八幡西区で建設会社を経営する石橋秀文さん(48)は、男が自分の息子で、石橋さんの会社で働いているというデマを流された。ネットの掲示板には名前や会社の住所、電話番号、自宅住所までさらされ「倒産だね。一家路頭に迷って下さい」「オヤジが自殺するまで追い込まねば」といった罵詈雑言があふれた。会社には中傷電話が多い日で100件以上かかってきたという。

石橋さんからの告訴を受け、福岡県警が名誉毀損容疑で書類送検した11人は「ネット情報を信じ、勤務先も許せないと思い書き込んだ」などと供述したが、福岡地検小倉支部は8月31日、全員の不起訴を発表した。1人は書類送検後に死亡し、3人は「十分な証拠が得られなかった」のが理由だった。

7人については「投稿されていた内容をコピーし投稿したに過ぎないことなどを総合的に考慮した」としており、事実関係を認定した上で刑事責任を問うことを見送る「起訴猶予」だったとみられる。一部は「(元の情報が)ウソか本当か確認しなかった」と供述しているといい、検察関係者は「軽い気持ちで書き込んだことまで刑事責任を負わせるべきではない」と語る。

お笑い芸人のスマイリーキクチさん(46)がネット上の偽情報を基に「殺人犯」と中傷された事件でも、東京地検は2010年、書類送検された7人全員を不起訴としている。

一方、東京都のラーメンチェーンを「カルト団体が母体」と中傷する文章をネットに掲載し、名誉毀損罪に問われた会社員の裁判では、最高裁が10年、「ネットの情報は不特定多数が瞬時に閲覧可能で、時として深刻な被害がある」と指摘。「ネット上の表現も罪の成立要件は他の表現方法より緩やかにならない」との初判断を示し、罰金30万円の高裁判決が確定した。

このケースと違い、今回の事件やスマイリーキクチさんの事件は、書類送検されたのが偽情報の発信源ではなく、他にも拡散した人物がいる可能性もある。それでも、元検事の落合洋司弁護士は「デマはコピペで広がる。『コピペならセーフ』という誤ったメッセージをネット利用者に与える恐れがある」と述べ、少なくとも略式起訴して罰金刑とすべきだったと批判する。

スマイリーキクチさんも「検察の判断は一般感覚とずれがある。裁く権利のない人の安易な書き込みが人の人生を大きく狂わせることを分かってほしい」と強調。石橋さんは取材に、書き込んだ人物への損害賠償請求と並行して、検察審査会への審査申し立ても検討していることを明らかにし「今のネットは無法地帯。司法は危機感がなさすぎる」と話した。

◇専門家「ネット情報、うのみにしない教育を」
事実無根の書き込みで、無関係の人が巻き込まれるネットの危険性が改めて浮き彫りになった今回の事件。専門家からは利用者自身の意識向上を求める声も上がった。

「たった1人が書いたデマがコピーされ、拡散され瞬時に手が付けられなくなり『事件の真相』として広がってしまう」。企業にネットの炎上対策をアドバイスする「MiTERU」代表、おおつねまさふみさん(46)は警鐘を鳴らす。

ネットの中傷に詳しい清水陽平弁護士(東京弁護士会)は「書き込みで民事上の損害賠償責任を負う可能性もある」とし、ネット情報をうのみにしないよう子供のころから親や学校が教育することが重要だと述べた。

千葉県のIT会社「Diver Down」は人工知能(AI)で悪質な投稿を抽出し、同社のサービス利用者には届かないようにするシステムを開発した。須田省吾代表は「根拠のない悪意の投稿をなくしていくことが大事だ」と話した。
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納得のいく決定ではない、
①司法が問題の根源/発端まで遡れなかったらしいこと
②落ち度の全くない者の権利、ないしは保護されるべき法益が侵害されたままであること
を考えると。

伝統的刑法概念では、犯罪として処罰するためには、構成要件該当性、違法性、責任という3要素が必要とされる(今でもそうですよね?)。検察関係者の言葉として報じられている「軽い気持ちで書き込んだことまで刑事責任を負わせるべきではない」というのは、このうち3番目の責任の問題だと受け取りました。ツルは、有責性は認め得ると考えますがね。

本件は「ネットを信じろ/信じるな」だけの問題ではないと思う。重要なのは、「信用するに足る情報か否か」を注意深く識別すべし、という点と、もう一つ、発信側に立つ際に守るべきことは何か、という点である。世の中のいろいろなケースに鑑みるに、教育・啓発は前者より後者の方が手薄、後手に回っているのではないか。(特に本件では、社会的義憤の色彩を帯びているだけに始末が悪い。告発を超えて集団私刑にすり変わりやすいだろう。)
この意味で、元検事や芸人、その他識者の意見を挙げたのはいずれも微妙に的外れだと思う。無理くりFillerネタをぶっこんだから、各論は妥当であるにせよ記事全体の論旨にガタピシが生じてるんですね。

愚blogで参照することが断然多いのは自治体のサイトです。そうした行政体のサイトにして、胡散臭いなあ、信用が置けないなあと感じる記載は沢山ある(たいていは、書きにくいことを書かずに済ませてしまおうとするケース)。そう感じたひっかかり、違和感が記事のきっかけ、考えるヒントになることも相当あります。それは、それなりに長くやってきて身についたLiteracy。
しかし、話はそれだけでは済まない。およそモノを書く場合、何を書くべきか、書く価値のあることは何かを一生懸命考えることは、片時も忘れてはならないと思う。思いつくままに、あるいは感情に任せて書いたものは大概、余計な枝葉です。Just think twice. 昔から言われてきたことだと思うけれど、Digital Ageとやらで誰もが簡単に情報の提供側に身を置くことができるようになったからこそ、このことはいくら強調してもしきれない。

えーっと、本記事を書いた意義、目的ですか?それは「自戒」ってとこだねえ(^。^)y-゚゚゚。

(続く)

2018年10月 8日 (月)

【覚え書き】「ご当地ナンバー」なるものについて:1

cf.
2015.04.27〜30【もうやめようよ、ご当地キャラとか。(Derivative One〜Three)】
2016.01.11〜13「もうやめようよ、ご当地ナンバープレートとか。 ―― 日本経済研究所のこと」
2016.12.23「五輪ナンバープレート公募、間もなく発進」
2017.08.16〜17「彼方から祭囃子とexhaust noteがだんだんと」
2017.08.22【もうやめようよ、ご当地キャラとか。(Derivative Four)】
2017.12.18【もうやめようよ、ご当地キャラとか。(Derivative Five)】

前々から気になっていたこのこと、備忘のため書き留めていこう。

そもそもナンバープレートとは、

(A)「課税標識」(バイク等の場合)、ないしは
(B)「自動車登録番号標」・「車両番号標」(自動車の場合)

のことであり、一義的には前者は課税対象(市区町村の条例による地方税である)たることを示す目印、後者は公道の走行を許可する趣旨のものである。見方を変えれば管掌主体が異なるわけです。

で、まず書いておくと、一般に「ご当地ナンバープレート」の意味するところとされてきたのは2つあると思う。

(1)ご当地デザインの入ったナンバープレート
(2)従来にはなかった新たな地域名を表示したナンバープレート

しかしこれはconfusingで、より正確には、前者は国土交通省が「地方版図柄入りナンバープレート」と呼んでいるもの等であると考えられ(詳細は後述)、後者がいわば狭義のご当地ナンバー(およびそれを表示したプレート)ということになる。語感からするとどうもしっくりきませんが。

本稿は、それぞれの現状がどうなっているかを明らかにするとともに、上記の混乱がなぜ生じたかについて考察するものである(と大風呂敷を広げてみた)。

このブログで見てきたのは、(1)の「デザインの入ったナンバープレート」の方です。
これには、

(1-a)バイク等を対象としたものと、
(1-b)自動車を対象としたものとがあり、

(1-a)は2007年7月に愛媛県松山市で導入されたものをもって嚆矢とする。
日本経済研究所が「全ての市区町村にご当地プレートが導入されることを目的として」旗振り役を買って出たのはこの(1-a)についてであり、同研究所によればこれは2018年9月1日現在で509件となっている。

2006〜2010年 小計27
2011年 46
2012年 78
2013年 87
2014年 92
2015年 84(修正後)
2016年 58(修正後)
2017年 37(9月1日現在)

累計 509市区町村

(資料には「2018年9月1日現在」と明記されているのに、実際には2017年9月1日現在のデータで止まっており、よく読み込んでみるとこれは2017年9月1日でデータを取るのをやめたということのようです。従って今後更新されることはないものと思われます、ご参考まで。)

13ヵ月ぶりに更新なのに+36にとどまった
愚blogで多く取り上げた垂水秀行のナンバープレート作品もほとんどが(1-a)に限られている。

一方、(1-b)はさらに、

(1-b-i)期間限定の特別仕様のもの、および
(1-b-ii)恒久的に施行されるもの

に分けることができよう。
(1-b-i)はこれまでに2種類のみ実施されており、2017年4月3日に導入、つまり交付開始された2019ラグビーワールドカップ特別仕様、および2017年10月10日に導入された2020東京オリンピック・パラリンピック特別仕様(cf. 2017.08.16「彼方から祭囃子とexhaust noteがだんだんと:上」)である。
もっとも、全国で導入されているのだから、そもそも「ご当地」には当てはまらないか
五輪プレートは当初2015年度中にスタートする計画だったのが、例の佐野研二郎問題のあおりを食らって2年も遅れたわけ。なんでその五輪より先にラグビーなんぞで本邦初のデザインプレートを走らせちゃったかについては、急遽持ち上がった話であることは間違いないようです。しかし、五輪の方が遅れたから税収増のアテが外れたのを少しでも取り戻すような意図が働いたのか、それとも単に予行演習的な意味合いだったのか、そこはわからない。

(1-b-i)ではもう一つ、従来制度との大きな違いとして、軽自動車の黄色地プレートを登録自動車と同じ白色地にすることとした。(いまいちその訳がわからん。デザイン上の理由かしらとは思うけれど、(1-a)では耕運機やら何やらでピンクだの青だのの地色にしとるじゃないか。)
結果、W杯プレートでは1対15と、圧倒的に軽の申請が多くなったんだそうなwww。ああ夢の白ナンバー

(1-b-ii)は2018年10月1日、つまり1週間前から導入されたばかり。いきなり全国41地域という大盤振る舞いです。軽については(1-b-i)と異なり、白地は認めたものの黄色い枠が付される。恒久的なものとしては、あくまで軽と普通車両は一目瞭然区別されねばならぬというスタンスなんだろう。

(1-a)と(1-b)は、導入時点に着目すると10年の開きがある。ここにまず混乱の元があるような気がするんですよね。ちょっと前までは、先に世に出たバイクの(1-a)のことを「ご当地ナンバープレート」と呼び慣わしていたのだから。上述の日本経済研究所のサイト(今や更新もすっかり滞ってしまったけれど)でも同様です。
それに、遅れて来たクルマの(1-b-ii)のことは国土交通省は「地方版図柄入りナンバープレート」と呼んでいるけれど、なんといっても長ったらしいしねえ。「これもご当地ナンバーでしょ」というのが一般的な認識になるでしょ、そりゃ。

(いずれそのうちまた続く)

2018年10月 7日 (日)

【VSOP編】東京オリンピックエンブレムに「左右対称」の兄弟が<img src="http://emojies.cocolog-nifty.com/emoticon/sign03.gif">(続)

(承前)

 

前回のことに関連して、ネット上でこんな記事を発見した。

 

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(2016.06.20 ブレーン 7月号)

 

異例の決定プロセスを経て東京2020大会のエンブレムに選ばれた「市松」エンブレム。作者は、幾何学的なアプローチから紋様の制作を行うアーティストの野老朝雄さんだ。発表時から様々な人がこのエンブレムのメイキングを分析し、展開案を予想しているが、作者自身の頭の中にはどんなビジョンが存在しているのか。野老さんに語ってもらった。

 

野老朝雄(ところ・あさお)
アーティスト
1969年東京生まれ。1992年東京造形大学卒業。建築を学び、江頭 慎氏に師事。2001年9月11日より独学にて紋様の制作を始める。作家活動のほか、ファッションブランドや建築物のファサードパターンなどを手がける。最近の主な仕事に、BAOBAO ISSEY MIYAKE INCとのコラボレーション、三菱地所設計「大名古屋ビルヂング」下層部ファサードガラスパターンなど。

 

なぜ五輪エンブレムを「単色」にしたのか
「エンブレムの歴史の中で『句読点』みたいなものになるかな、と思っているんです。なんでこの人は五輪なのに単色にしたんだろう、などと思われるんじゃないかって」と野老朝雄さんは話す。そのくらい、過去のエンブレムの中でも“異色のデザイン”だという自覚がある。「地味だとも言われるけれど、色に依存したくないんです。他の可能性を捨てたくない。色を捨てることで形が浮かびあがる、といったことがあればいいと思っています」。
野老さんは、定規やコンパスといったシンプルな道具を使って紋と紋様を制作してきた「アーティスト」である。2001年の9.11テロをきっかけに、「つなげる」をテーマに独学で紋様の制作を開始した。以来、美術、建築、デザインの境界領域で活動を続けてきた。
色に依存しないという考えが生まれたのは、こうしたバックグラウンドも関係しているのだろう。野老さんの頭の中には、既にこの紋様を使ったさまざまな立体的なアイデアが駆け巡っているようだ。「例えば、この紋様がビーチサンダルの裏に彫ってあったらいいと思っているんですよ。そのサンダルで、みんなで海岸を歩き回ったら楽しいですよね。金属で作っても、キラキラと光を反射してきれいです。エンブレムを小さくすればジュエリーになります。金属やガラスはそれ自体は単色でも、光を受けるとキラキラと光りますよね。そういう、光を表現しているような意識があります。それに、市松模様というのは別の呼び方で言えば石畳ですから、そういう展開も当然できる。小さなものからランドスケープまで、地続きにアイデアが出せるんじゃないかと思っています」。
既にさまざまな人が指摘しているが、この2つのエンブレムは、オリンピックとパラリンピックのエンブレムが全く同一のパーツから構成されている。パーツを組み替えることで、もう一つのエンブレムが姿を現す。野老さんの頭の中には、この2つのエンブレムが動的な姿で存在しているようだ。「単純なひし形の応用ですから、いくらでも可能性があります。このエンブレムを敷き詰めれば、波みたいな形が広がります。僕が作ったのは、この紋様の“DNA”のようなもの。2つのエンブレムは、その姿を一瞬止めて取り出したもの、と言えるかもしれません」。
エンブレムの英語名は「Harmonized(調和する)chequered emblem」だが、当初は「Formative(形成する)」で考えていたという。組体操のようにばらばらだったものが一つにつながるイメージだ。この話からも、コンセプト自体に動きが内包されているとわかる。「例えば、このエンブレムを最前線で活躍する天才プログラマに動かしてもらえたら?そう思うと、わくわくします」。
人に可能性を広げてもらうことが喜び。そう語る野老さんの姿勢はどこまでもオープンだ。

 

このエンブレムは「サイバーパンク」だと思っている
「エンブレムが発表されてから、会ったこともない学者の方がこの紋様の作り方を解説していたり、勝手にジェネレーターみたいなものが作られていたり。本当にSFみたいだと思って。集合知によるものづくりが、長らく夢だったんです。市松模様だから『伝統』みたいに言われるけど、言ってみれば、これはサイバーパンク(個がより大きな構造の中に取り込まれていく意)でもあります。僕自身は、『算数』以上のものはわかりません。けれど、このエンブレムが新しい世界への扉を開けてくれる気がしています。すごい才能とこのエンブレムが出会って、想像もしなかった表現が出てくるかもしれない。プログラムを習っている子どもが考えてもいい。自分が作った仕組みが集合知の上でどう花開くかに期待しています。もちろん著作権で守られているものですが、構造そのものはむき出しですからね。そういう意味で、これは僕の幾何学の集大成ではなくて、このエンブレムはこれからなんです」。
エンブレムの発表後、メディアの取材も多数受けた。その中で「このエンブレムが何なのか、わかりやすく、はっきり定義してほしいと要望されている」と感じたという。「でも、僕はなるべく見る人の想像の余地を残しておきたいし、幾何学形態は見る人によって違うものが掘り起こせる、オルタナティブなものだと思う。僕の話し方の癖でもあるんですが、あえて『もごもご言っていたい』と思っています(笑)」。
最後に、自身がオリンピックのエンブレムデザイナーになることをどう感じるか聞いた。「喜びがある一方で、戸惑いもあります。一見単純な幾何学が通ってしまったんですから。元々建築家を目指していたからかもしれませんが、長く残りたい、残したいという意識はあるんです。ただ、その長く持つというのは何であろうか、というところですね」。
「つながる」をテーマに制作を行う野老さんにとって、長く残るというのは、自身のデザインが手つかずのまま記憶され続けることとは少し違う。さまざまな人の手に渡り、変化しながら息づき続けるということを意味しているようだ。「プロの方々がどう料理するかも楽しみですし、あとは子どもたちと何かできたらいいなと思っています。五輪って、『社会』でも『美術』でも、いろんな科目で扱われるテーマでしょう。今回はそこに『算数』も入った。校庭で小学生とダンボールをチョキチョキ切りながらワークショップをしてみたい」。
紋様というデザインジャンルの一番の特徴は、「部分を作ることで、まだ見ぬ全体が同時に決定していく」ことだろう。今回のエンブレムは、これから描かれていく大きな全体像の最初のパーツの提示に過ぎず、そのプロセスは、あらゆる人に気持ちよく開放されている。そういう意味でも、これまでにない“異色”のエンブレムである。
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2016年4月の発表から2ヵ月、取材の嵐が一段落したであろう頃のインタビューです。いちいち頷ける内容だった、ツルにとっては。

 

発表当初は「地味だ」という評価が多かったから、ネット上にはこれを複色化した私製デザインがあふれた。ツルがそれに対して持っていた違和感に、確かなLogosを与えたものになっている。
挙げられた展開例も、「さげもん」制作中の身にしてみれば「それもあったかあ!」な感じ(笑)。
ここでも「会ったこともない学者の方がこの紋様の作り方を解説」「集合知によるものづくりが、長らく夢だった」などとあるから、数学者達が「単純なひし形の応用」の真実に近づこうと熱中していた2016年GW頃の様子は、野老も心楽しく眺めていたことだろう。
「構造そのものはむき出し」という言葉も深いし、五輪という教育テーマに算数が加わるという作者の視点も確認できた。

 

ああ、やっぱりこの12角形パズル、量産して売り出さにゃですよ。

2018年10月 6日 (土)

【VSOP編】東京オリンピックエンブレムに「左右対称」の兄弟が!!!!(正)

cf.
2016.04.09〜13「東京五輪エンブレム再公募について(その1〜5)」
2016.05.04「野老案に目がテン! 第2回」
2017.09.13「組市松紋、全容を顕す!!」
2018.02.06〜12「オリンピック/パラリンピックエンブレムの組市松紋のパズルを作ってみた(上段〜下段)」
2018.08.15「組市松紋パズルの「柳川さげもん」への実践的応用 あるいは おめでた三題噺」

 

このところ、一族(塩崎一族ぢゃないよ)を巻き込んで「さげもん」の制作に追われているツルです。慣れぬ手芸仕事やら何やらでもう大変。

 

そんな中で、ちょっと、いや大変驚いたことがあって、一筆仕り候。

 

今作っている「さげもん」飾りは、伝統的なお作法に従ったというより、自由な発想を重視したもの。さらに、組市松紋パズル60ピースを取り込んだところがウリとなっております(まだ完成には程遠いけど)。
自然とこのパズル(スチレンボード製アナログの;cf. 2018.02.12「オリンピック/パラリンピックエンブレムの組市松紋のパズルを作ってみた(下段)」)をいじることも増えて、いつの間にか「双極/bipolar」≒パラリンピックエンブレムや「三目結/flat trinity knot」≒オリンピックエンブレムぐらいは空で組めるようになってたんですが・・・。

 

オリンピックエンブレム

 

ある時たまたま、オリンピックの方のエンブレム↑を左右鏡像反転したものを組んでみようとしてて、ちょっとばかし組み違えてしまったんですわ。それが図らずも左右対称になりそうだったので、針仕事もほっぽらかしていろいろやってたら、なんと本当にできちゃったんですね、120°回転対称のオリンピックエンブレムの、左右対称型そっくりさんが!!

 

しかーし!!真に驚いたのはそこから先。まずは独りで悦に入ってたんですが、もしやと思ってネット検索してみたら、全く同じものを作った人がいらしたんですねぇぇぇ。しかも2年も前に。

 

さるブログより↓。

 

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(2016.11 こんにちは・小沢です)

 

TOKYO2020エンブレム
これは、野老朝雄(ところあさお)氏の東京2020オリンピック・パラリンピックエンブレム。
右側のパラリンピック用は左右対称だが、左側のオリンピック用は左右対称でないことが気になっていた。
ところが、・・・・・

 

ほんもの vs にせもの

 

これは今回2,3日凝って自分で作ったもので、左は本物と同じ、右は“夢の”左右対称版!
ちなみに、どちらも3種類の長方形が大9個、中18個、小18個の計45個使われる。

 

じつは、『数学セミナー』2016年12月号(日本評論社)に野老朝雄氏のインタビュー記事が載り、このエンブレムは3種類のひしがたによる正12角形のしきつめをもとにして作られていることを知った。まったく考えもしないことだったので驚き、感動した。

 

この記事のおかげで、以下のようにしきつめ方を工夫し、自分でエンブレムを作ることができた次第です。

 

なお、ホンモノはよく見るとわかるが、120度回転すると重なるようになっている。
円には左右対称よりも回転の方が似合うから、ホンモノの方が優れているのは言うまでもない。

 

また、私の左右対称版は、野老朝雄氏のホンモノのたった8個の長方形を動かすだけでできる。その様子が下の図。8個は平行移動するだけで回転はしていない。
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うおぉぉーーーーー、8ピースだけ!?たったの!?そうやったん!?!?ツルは自分でもわかっていなかった。

 

オリンピックエンブレム 「左右対称」版

 

色の変わっているところが、オリンピックエンブレムから組み換えられた箇所です。
ピース単位で考えれば「8個は平行移動するだけで回転はしていない」というのも確かに事実だけれど、見方を変えると「2つのブロックは回転/反転するだけで平行移動はしていない」とも言え、そっちの方が重要であるような気もする。

 

しかしその感動、ツルにもよーっとわかりますばい!数学セミナーの記事も俄然読んでみたくなった。上記文章の記述から判断すれば、確かに野老も菱形Tilingの発想に基づいていたのね。

 

ブログ筆者の小沢健一氏のプロフィールは日本評論社サイトに載っている。

 

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1942年埼玉県秩父市生まれ。1964年東京教育大学理学部数学科卒業。都立高校教諭、お茶の水女子大学非常勤講師、盈進学園東野高校校長を歴任し、高校教師を退職。数学教育協議会元委員長。数学教育協議会員(09年5月現在)
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ああ、やはりまた数学者という人種であったか、このエンブレムに惹かれてゆくのは。

 

是非とも平野敬子女史にも教えてさしあげたいわ、このネタ(爆)。

 

(続く)

2018年10月 4日 (木)

【加筆編のおまけ】花の香り絶えざる島から:二(はなてらすちゃん・とめ麻呂くん)

(承前)

思うに、三原は淡路島を代表するデザイナー/イラストレーター、という立ち位置のようである。しかしそれは、感覚を鈍らせるリスクを背負い込むことでもあるように思う。
ツルは子供の頃から、福岡を代表するイラストレーターとされていた西島伊三雄(1923.05.31〜2001.09.30)の画風が大嫌いだった(cf. 2013.10.20「Olympics & Expos その1」)。その時に感じていたことと同じ匂いがする、ような気がする。

ご当地以外に目を転じれば、前に触れた2011年11月発表の福岡県みやこ町「みやっこ君」のほか、既に2008年11月には次のキャラクターが発表されている。

三重県伊勢市
全国花いっぱい連盟
第52回全国花いっぱい伊勢大会 イメージキャラクター
花照ちゃん
 ↓
観光PRキャラクター
はなてらすちゃん
三原敏秀(兵庫県)
はなてらすちゃん

全国花いっぱい運動とは戦後復興期の1952年に長野県松本市で始まった活動で(小学校教員 小松一三夢の提唱による)、半世紀を経た現在も続いている。今年は広島県尾道市で6月開催だった。

キャラは2009.05.30〜31にご当地で開催されたこのイベントのために公募されたもので、同時公募のキャッチフレーズは「花のまち お伊勢参りと 花めぐり」by 大久保正弘(東京都)。その後2012.06.01に市のキャラクターに格上げされるに及び、同時にひらがな名前に改名した。ご当地キャラが大きく盛り上がりを見せつつあった時代です。
でも何だかねー、前回取り上げた「淡路島を咲かそう」の「はなかちゃん」と取り替えっこした方がいいかもしんないよ。

この作品は某公募系BBSでだいぶケチョンケチョンに貶されていた。

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129:2008/10/08 10:20
ちでさん
[URL]

131:2008/10/08 11:12
〔中略〕

>>129
クオリティ低いね・・・
てか後ろに[花]がある以外はほぼ[天照大神]でしかないんだけど・・・
やっつけ臭漂うね〜
花いっぱいの「いっぱい」部分が弱いね・・・

132:2008/10/08 11:18
>>129
宗教臭を感じるwww
江原臭もwww

133:2008/10/08 11:27
>>129
花照って名前なら要所要所にもっと花の要素を入れるべきじゃない?
しかも花びらって5枚とは限らないし
形も色もいろんな花があるのにそれを表現できてない。
主催者側の意識とセンスも問題なんだろうね〜

134:2008/10/08 11:41
129ひどい作品〜〜〜〜〜

136:2008/10/08 17:39
129伊勢はもうちょっとクオリティを高くできただろうに、描画の手を抜いてる感じ。
でも上で叩かれているほど、イメージは悪くないと思うけどなぁ。

〔中略〕

138:2008/10/08 17:57
>>136
イラレの普通の線描のキャラで描画の手を抜いたらアウトですよ
叩かれて当然だと思います。
手描き風の線ならまだしも

140:2008/10/08 18:17
>>138
たしかにその通りで、まだ叩き台の段階のように思います。
個人的には描線よりもカラーリングのまずさの方が気になるんですが、他の方はどうです?

〔中略〕

141:2008/10/08 18:30
>>140
色といえば着物のインナー(?)がRGBの黄緑色に見えるんだがwww
CMYKの設定だとあんなに明るい黄緑色になるはずがない
黄色とかもRGBなのかも〜
印刷したら全体的に暗くなりそうwwww
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あそっかー、それだから2014年の「はなかちゃん」ではばんばん花を盛ったのか。背中にしょった大きな花も共通してるし。

はなかちゃん

西の方でもあと一つだけいっとこう。

山口市
温暖化とめるっちゃネットワークやまぐち(山口市地球温暖化対策地域協議会)
シンボルキャラクター
とめ麻呂くん
三原敏秀(兵庫県)
とめ麻呂くん

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市の民芸品[大内人形]をモデルとし、地球温暖化を防止して、きれいな海、澄んだ空気、さわやかな雲が浮かぶ空などの豊かな自然が守られるように願いが込められています。
また、豊かな自然の象徴として、市の木[イチョウ]、市の花木[さくら]がトレードマークとなっています。
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これまた詳しいことはわからない。同協議会の発足は2008年、そこから遅くとも2012年4月までには制定されているのだけれど。

大内人形、知ってるぅ。福岡の実家にもあるもん。漆塗りのつやつやっとしたきれいな人形で、小ぶりの内裏雛が多いみたい。こういうコロンとした栗みたいな起き上がり小法師みたいな形が特徴。
でもまあ、これで温暖化防止をイメージできる人もあまりおるまいて。

2018年10月 3日 (水)

【加筆編のおまけ】花の香り絶えざる島から:一(あわ神ファミリー・みっくマン・はなかちゃん)

(承前)

前々回取り上げたこの作家について掘り下げてみる。

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三原は淡路島在住のイラストレーターで、地域に根差した活動を主としている様子。一番知られた作品は「あわ神」だろう。
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このキャラクターはだんだんにファミリーが増やされていき、2013年までに4人家族となった。

兵庫県淡路市
マスコットキャラクター
あわ神・あわ姫・なぎ・なみ
ちでまる / 三原敏秀
あわ神ファミリー

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デザインは国生み神話に登場する[イザナギノミコト]をモチーフに、その装飾は[明石海峡大橋]の形をした帽子をかぶり、腰には刀の代わりに[線香]を差しています。また、帽子のオレンジは淡路島オレンジがイメージされています。
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[イザナミノミコト]をイメージした姿で、耳には柑橘類や特産のびわをイメージしたオレンジ色の[耳飾り]。
[髪結び]は[そば]をイメージしているんです。
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なぎ:頭には明石海峡の[タコ]をのせているんだよ〜
なみ:頭に淡路島の柑橘類をイメージしたオレンジ色の[髪飾り]をつけています
[波]の模様が描かれたお揃いの服を着ています♪
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三原は淡路市在住だからまさにお膝元、しかし無理くり感がひたひたと。淡路島が蕎麦に力を入れているとは知らなんだけど、対岸の「播州手延素麺 揖保の糸」への対抗意識かしら。皆[勾玉]を身につけているのは深い意味はなく、家族おそろ、というほどのことらしい。し、しかしそれにしても嫁が「あわ姫」だなんて・・・。紹介されたこっちがあらぬ想像を働かせてしまうがな。
東京にも出張って結婚披露宴など派手にやったようですが、あんましいいファミリー化じゃないと思うんだよね。最初のあわ神の持っていたインパクトを、あわ姫以降はなくしてしまっているから。新しいものを何も打ち出せていない。それはご当地の地域振興そのものの現状を表しているのかもしれない(微伏線)。
当初は何かスポーツチームが組めるぐらいになるまで子作りするべ、みたいなことになってたようだけど、今さらそれはないだろう。

三原作品、地元では他にも次のようなものがある。

兵庫県洲本市
洲本市社会福祉協議会
キャラクター
みっくマン
ちでまる(イラストレーター) / 三原敏秀
みっくマン

社協キャラとはいえ、2007年12月27日生まれとされているから最近の話ではない。ご当地限定で募集されたもので応募総数は25点、当然三原には有利に働いたわけやねww。
因みに洲本市は2006年2月11日に(旧)洲本市と津名郡の五色町が合併して市制施行したところ。従って、自治体合併から2年足らずというタイミングで作ったことになります。

そしてツルは三原キャラデザインの中ではこれが一等気に入ってたりもする。いや、社協キャラ全体の中でもかなり、かな。テンプレや盛りや媚びなんかお構いなし、すごくハジケてるから。見飽きた[ハート]もここでは許せちゃう。
全体のモチーフは[三熊山]とそこにある[洲本城]を表しているのだろう。顔は1928年に建てられた鉄筋コンクリート4階建ての[模擬天守]。「江戸時代の天守を復元したものではないが、模擬天守としては日本最古のもの」という、すっごく微妙なところがご自慢です。愛称の由来がなかなかわからなかったけど、お山の名前から来てたのね。

2014年になると、これである。

兵庫県淡路島
淡路島内商工会議所女性会・商工会女性部
イメージキャラクター
はなかちゃん
ちでまる / 三原敏秀
(愛称)岩井莉愛(りあ)(6歳:兵庫県洲本市)
はなかちゃん

制定の経緯がいまいち不明なキャラで、そもそもは「笑売ステッカー」なる企画だったようだし、「淡路島を咲かそう」というコピーも外向けキャンペーンだったのか内部的なスローガンだったのか性格がよくわからない。まあ、商売ネタであったことは間違いないようです。デザインと愛称は別々に募集され、2014年2月28日に愛称決定の授賞式が行われたところまでしか突き止められなかった(三原も出席した模様)。
えーっと、そこら辺が不詳ってことは、制定後の活動/活用が低調ってことを意味するんじゃないかと、そこを申し上げたいわけ。

「島内」というのがどんな意味なのかもよくわからない。各団体がそういう風に連合してるってことなのかね?

平成大合併により、島の自治体は北から淡路市、洲本市、南あわじ市の3つとなった。商工会とかも各自で持ってるんでせう。市の花はそれぞれ、名産のカーネーション、大規模な自生のある[スイセン]、同じく[スイセン]。
一方、あわ神が頭に盛った明石海峡大橋が開通したのは1998年、今から20年前。そして2000年の淡路花博以来、ご当地では何かと「花」に力をいれているようで、「花の公園島」「あわじ花さじき」「あわじ花へんろ」「淡路花祭」といったキーワードが見つかります。[コスモス]まつりなんてのも当然あるわけ。

おや、こう考えてくると、淡路市の公式キャラクターたるあわ神ファミリーが一切花に触れていないのが、逆に不思議に思えてくるんだけど。

(続く)

2018年10月 2日 (火)

【加筆編】有難き哉、故き謂れの福神の名押し戴きたる(ふくすけ・●)

(承前)

しゃーないから採用作品も出しとこう。

東京都国分寺市
国分寺市社会福祉協議会
マスコットキャラクター
ふくすけ(市民投票候補作品 No.8)
岸田悠花
ふくすけ(応募案)ふくすけ(最終版)

市民投票時のアピールは次のとおりだった。

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名前は、その人に幸せをふりまくということでふくすけにしました。ふくすけは、国分寺の花である[サツキ]の妖精です。頭についているものは、サツキの花びらです。お腹についている花もサツキです。
ふくすけの[笠]は、笠地蔵のような、やさしさの連鎖がおきるようにという願いからかぶせました。また、お腹についている緑のマークは、[国分寺市]を形どったものです。ふくすけのしっぽは、支えあいの芽を生やそう。ということでつけました。
体の[ブルー]は、ブルーがリラックスカラーなのでそうしました。
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え!?しっぽ!?どこにあるんだろう。

色鉛筆を用いたと覚しき原画はプロの仕事ではないだろうとは思っていたけど、ガイダー諸センセイ方も顔負けのアイテム盛りコンセプトっす(他の候補も似たり寄ったりだけど)。いくらかでもOriginalityが感じられるのは(唐突感は否めないものの)「笠地蔵」ネタだけです。これってご当地の民話なの?とツッコミたくなるけれど、そこはLocalityよりWelfareの精神が評価されたんでしょう。

発表が行われた2018.07.01の周年記念式典には岸田も出席して表彰を受けている。

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(2018.09.15 国分寺市社会福祉だより ふくし 第217号 P.04 抜粋)

国分寺市社会福祉協議会 法人化50周年 民生委員制度創設100周年記念式典を開催しました!

〔中略〕

第1部のクライマックスとして、本会法人化50周年として一般公募いたしましたマスコットキャラクターを発表いたしました。優秀賞5点の発表に引き続き、最優秀賞には作品名「ふくすけ」(作者:岸田悠花さん)が受賞されました。
岸田さんには壇上において、北原会長より賞状と副賞をお贈りいたしました。

〔後略〕
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掲載された写真のセーラー服姿が気になって調べてみると、岸田は国分寺市立第三中学校の3年生のようです。美術も陸上もがんばるというスーパーガールみたい。
そうそう、時間を仰山かけたんやから着ぐるみ化だって完了しとるやろと思ってたら、岸田とともにステージに登場したのはリデザインを済ませたカットアウトのパネルだけでした。

最終的には、キャラクターはこう肉付けされた(しっぽ話は取れちゃった)。

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(2018.09.15 国分寺市社会福祉だより ふくし 第217号 P.05 抜粋)

【おたんじょう日】
7月1日

【名前】
ふくすけ(国分寺の花[サツキ]の妖精)

【キャラクターに込められた思い】
①みんなの幸せ(幸福)のために地域でのたすけあいを応援します。
②頭の[笠]は日本のおとぎ話「笠地蔵(かさじぞう)」のような、やさしさがみんなに伝わるようにという願いが込められています。

【性格】
やさしくておだやか だけど・・・ちょっとおせっかい。

【好きな食べ物】
国分寺でとれた野菜(こくベジ)。はちみつ大好き!

【特技】
みんなに幸せをふりまくこと
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人のお節介焼く前に、自分の身仕舞いきちんとしろよって。

一方、デザイン補整に携わった「歌工房」のカラオケ屋みたいな名前が気になって調べてみると、あに図らんや個人で;

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「歌工房」は、イラストリーマー 歌がイベント参加時&お仕事受ける際に使っております屋号となります。
お絵かきをメインにしていますが、基本的に何でも屋。
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という情報がネットで見つかる。本名、森 歌乃子(東京都世田谷区)。「イラストリーマー」とは、簡単に言えば「絵と文で記録を」みたいなことらしいです。Ustreamから派生した感じ。同社協とは元から関わりがあったようです。
率直に言って、着ぐるみ化とありきたりなCawaiiを念頭に置いただけで、リデザインとして上等とは言えないと思う。原画が持っていた、のほほんとした、いわば曖昧模糊たる魅力がまるきり消し飛んでしまった気がします。

そしてもう一つ。ちょっと前にも触れたように、愛称は固有名詞たる「国分寺」などではなく、普通名詞「福祉」に由来しておるわけだ。これは、市民投票候補として20点に絞り込まれた「第一次選考通過作品」全体にかなり強く見られる傾向である。

1. ブンジー
2. KOCUBEさん(コキューブさん)
3. ふくにゃん(優秀賞)
4. ふくっしー
5. ふくしくん
6. フクちゃんとホタるん
7. ふくせみくん(優秀賞)
8. ふくすけ(最優秀賞)
9. エールちゃん
10. ウェルフェアリー
11. ケアッキー
12. フクシ・ベリー(フクシーちゃん)
13. メイたん
14. ぶんじい
15. ふくぴい(優秀賞)
16. なな坊(優秀賞)
17. ハーティー
18. シャきょ〜ん(優秀賞)
19. ハーコくん
20. たぬきち

よくないよなあ、この傾向。それはかえって自ら選択の範囲を狭めているのじゃないのかね。そもそも「ふくすけ」なんてのも、日本古来の別キャラを連想しちゃうじゃないか

おまけです。
国分寺市社協サイトのヘッダーには現在こんなキャラクター?が使われている。

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き、キモい・・・。エグ味あり。献血か心疾患対策のキャラに見えちゃう。詳細は一切わからず、また同社協がなぜいまだにこれを「ふくすけ」に差し替えないのか、非常に不思議です。

2018年10月 1日 (月)

【加筆編】有難き哉、故き御寺の七五三の塔押し戴きたる(ブンジー・なな坊・みやっこ君)

(承前)

前置きがすっかり長くなってしまいましたが、このことでしたね↓。

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なになに?国分寺市社協のキャラ公募では、もう一つ二つ気になる候補があるだろって!? I know, I know.
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投票候補のいの1番にはこんなものが入っていて、ツルを悦ばせた。

東京都国分寺市
国分寺市社会福祉協議会
マスコットキャラクター

(市民投票候補作品 No.1)
ブンジー
ブンジー

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頭に[ハート]と国分寺市の花[サツキ]を冠したキャラクターをデザインしました。
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この能天気な派手さ加減、やっぱ池田克也ですか?決め手になるところを挙げると、次のあたりか。

【2013.07.16「Spellbinder in Sayama, Saitama」】
茨城県小美玉市
小美玉観光協会
マスコットキャラクター
(優秀賞)
池田克也
〔2013年5月発表〕
小美玉市キャラ(池田案)

次のものにも注目していた。常連陣ないしは大御所クラス、言い換えれば愚blogで斬ったことのある公募ガイダーによるものであろうことは間違いないと思うけれど、これを鑑賞、もとい鑑定できるほどツルの審美眼は鋭くない・・・

(市民投票候補作品 No.16 → 優秀賞)
なな坊
なな坊

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頭には[武蔵国分寺七重塔]の帽子をかぶっています。
胸元の[ハート]は優しい心を表しています。
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この作品は次点入賞を果たした。似ているというほどではないけれど、アレを思い出しました。(そのツルの発想もなー。)

【2018.06.02「闇を払う若者たちとの対話:Session C」】
奈良県生駒郡斑鳩町
マスコットキャラクター
パゴちゃん
(作者不明)
〔1997年制定〕
パゴちゃん2

こちらは[法隆寺五重塔]だったすね。

奈良にあるなら京都にもあるざんす、[塔]は。

福岡県京都郡みやこ町
みやこ町マスコットキャラクター
みやっこ君
三原敏秀
みやっこ君

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古くから伝承されている[神楽]の衣装をイメージしています。
頭には福岡県の有形文化財に指定されている国分寺の[三重の塔]をモチーフにした帽子を被っています。
老若男女に広く親しんでいただけるよう、ゆるキャラ風にデザインしました。
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「みやこぐん」です(^.^)b。2011年11月に発表されたもので、こっちは豊前国分寺。因みに各地の国分寺の総本山的立場で建てられたのが奈良の東大寺。ま、法隆寺より歴史は浅い

(優秀賞)
上田裕司
塩崎あゆみ

そう、この公募の次点に入ったのが【その217】の佐倉市社協「ふうりっぷ」でもちょっと触れたこれ↓。

【その8】
福岡県京都郡みやこ町
みやこ町マスコットキャラクター
(優秀賞)
塩崎あゆみ
〔2011年11月発表〕
みやこ町キャラ(あゆみ案)

輪廻と因果がぐるぐる回り始めたでしょ。

三原は淡路島在住のイラストレーターで、地域に根差した活動を主としている様子。一番知られた作品は「あわ神」だろう。地元では「ちでまる」名義をメインにしているらしい。
最近ではこんなものも手がけている。

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(2018.04.04 神戸新聞)

束田裕美&三原敏秀

明治初期の洲本城下町で起きた「庚午事変(こうごじへん)(稲田騒動)」を題材にした紙芝居が完成した。兵庫県淡路市のマスコット「あわ神」の生みの親として知られるイラストレーター、ちでまる(本名・三原敏秀)さん(57)=同市志筑=と、洲本市の地域おこし協力隊で書家の束田裕美さん(41)=同市炬口=が制作。2人は「誰にでも分かりやすい作品に仕上がった。古里の歴史を知ってもらうきっかけになれば」と話す。

庚午事変は1870(明治3)年、徳島藩の家老として淡路島を治めた稲田家の家臣宅を、藩主・蜂須賀家の家臣らが襲撃した事件。前年の「禄制改革」で稲田家臣が士族に加えられなかったことによる、同家の独立運動がきっかけとなった。稲田側の17人が死亡。新政府は、蜂須賀側の首謀者らを切腹や流罪などとし、稲田側には北海道への移住を命じた。その後、淡路島が兵庫県に編入されるきっかけになったとされる。
紙芝居作りは、歴史や文化をテーマに地域活性化を図る束田さんが昨年初めに発案。知人で歴史に詳しいちでまるさんに協力を求めた。
「小学校高学年でも理解できる内容に」と、教育委員会職員の意見を聞きながら随所に工夫を凝らした。登場人物の呼称は「−家」から「−さん」に、「石高」を「給料」、「家臣」は「家来」などと言い換え。難しい身分制度は、上に行くほど階級が高いピラミッド図で分かりやすく表現した。
表紙のタイトルは束田さんが筆を執り、3月に完成。今月14、15日に洲本市街で開かれる「城下町洲本レトロなまち歩き」に合わせ、稲田家の学問所「旧益習館」(同市山手3)でお披露目される。
ちでまるさんは「地元でも、庚午事変をしっかり理解している人は少ない。子どもの頃から触れることで興味が深まれば」。束田さんは「今後はセットを増やし、学校や図書館にも置いてもらえるようにしたい」と話す。
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束田が地域ガイドをやっていて、この出来事について尋ねられ答えられなかったことがきっかけとなったそうで。書家で41歳で地域おこし協力隊というほうに気を取られちゃうけど、ツルの若い友人にも現代アート作家で地域おこし協力隊やってた奴とかいるもんな。(因みに首タオルは三原のトレードマークのようなのでそこは突っ込まないこと。)
「志筑」「炬口」はそれぞれ淡路市の「しづき」、洲本市の「たけのくち」という地名。

しかしマイナーネタですなー(ばっさり)。この話を誰も知らなくなったのは、ご当地の殿様ん家の黒歴史を語ることを皆が憚ったからだろうに、150年後にまた暴いちゃった(苦)。いくら既に歴史上の出来事だとは言え、20人近い死者を出した血腥い事件を紙芝居に作っちゃったという筋の悪さ。でも地方/地域/地元に根差すって本来そうしたものに向き合うことかもね。

あ!これでもし「なな坊」が三原作品だったりしたら、いやだなあ。

(続く)

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