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2018年10月14日 (日)

【ペアリングのおまけ編】翼のかなしみ(なみえ創成小学校・中学校)

(承前)

小中一貫教育を選んだケース、思えばこれもその一例だったけれど。

【2017.11.04「墜ちていく翼」】
大分県佐伯市
佐伯市立蒲江翔南学園
校章
工藤和久
蒲江翔南学園

◇2016年11月 発表
◇2017年4月 開校

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旧・蒲江町の[町章]と[翼]を基調に素敵な未来へ元気に翔たく蒲江翔南学園を象徴的に表現しました。
[赤]は太陽、[青]は豊かな海で自然と風土に恵まれた蒲江地区をイメージしました。伝統を継承し、シンプルに、親しみやすく、多くの人々に長く愛される校章です。
〔後略〕
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ここまでは前フリです。

垂直統合のもう一つの例、といっては特殊過ぎると思うけれども、次の学校も見過ごすことができない。

福島県双葉郡浪江町
浪江町立なみえ創成小学校
浪江町立なみえ創成中学校
校章
工藤和久(青森県弘前市)
なみえ創成小学校・中学校

◇2018年4月(?) 発表
◇2018年4月 開校

あらかじめ、「小学校と中学校で「なみえ創成」が共通していますので、共通のデザインを原則とします」とされていた。「中間色は避けてください」というガイダンスも出てたんだけどね。

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浪江町の鳥[かもめ]と[世界]と[若葉]を基調に故郷の未来を育み、世界へ羽ばたく「なみえ創成小・中学校」を象徴的に表現した。[青](かもめと世界部分)は「空と海」、[緑](若葉部分)は「大地と青葉」で豊かな自然に育まれた浪江町を明快に爽やかにイメージした。現代的で、かつ、シンプルで親しみやすく、多くの人々に長く愛される校章デザインです。
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ホント[翼]が好きだよな、このおっさん。

♪今 わたしの 願いごとが
 叶うならば 翼が ほしい

ツルも翼は持っていますよ、ええ。でも。

世の中を 憂しとやさしと思へども
飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば
     憶良

てなものではないですかね、誰しも(-.-)y-~~~。

言うまでもなく、ご当地は東日本大震災と福島第一原発事故により甚大な被害を受けたところであり、町役場機能も福島県二本松市に移転していた(双葉郡内の自治体はいずれも同様)。学校教育も今に至るまで二本松市内の(廃校となった)学校の校舎を借りて行う状況が続いてきたわけです。
「浪江町立浪江小学校 二本松仮校舎」のサイトには、次のような記載が出ている(適宜抜粋)。

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23年3月11日 東日本大震災、東京電力原子力発電所事故のため休校
23年8月1日 学校再開
23年8月25日 浪江小学校(旧 二本松市立下川崎小学校)開校式
26年4月1日 津島小学校再開
26年4月7日 津島小学校再開式、浪江小との合同授業開始

震災・原発事故後の学校の状況
平成23年3月11日 東日本大震災発生・東京電力福島第一原子力発電所事故発生
23年3月12日 原発事故により津島地区へ避難開始。人口29,908(2010国勢調査時)
23年3月15日 二本松市へ避難。
23年4月6日 公立小・中学校入学式。
浪江町の子どもは、すべて区域外就学(3/27現在、小学生1,162名、中学生610名。浪江小学校558名、幾世橋小学校122名、請戸小学校93名、大堀小学校157名、苅野小学校174名、津島小学校58名)
23年8月25日 浪江小学校・中学校の開校行事、2学期開始
在籍数 浪江小学校28名、浪江中学校33名
24年4月1日 浪江小学校在籍数28名
「ふるさと浪江科」を軸とした総合的な学習の時間スタート
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在籍数はその後減り続け、2018年4月1日現在、浪江小学校1名、津島小学校2名となっている。

中学校も二本松市に移転して再開した。

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(2012.05.15 浪江中学校サイト 抜粋)

浪江町立浪江中学校HPを立ち上げます

福島県双葉郡の浪江町の中学校の1つ(浪江町には3つの中学校がありました)浪江中学校は、原子力災害による避難命令により、現在福島県の二本松市の廃校になった小学校(旧 針道小学校)の校舎をお借りして、学校を再開しています。
生徒数は、1年生7名、2年生22名、3年生20名の合計49名と、災害前の約6分の1になってしまいましたが、生徒と教員が一丸となって頑張っています。
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実際にはホームページというよりブログですが。

そのような状況が続く中、待ちに待った(はずの)町内での学校再開だったわけです。

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名称の説明
浪江の名前を残したい、学校と地域全体が一体となって新しい学校を創ってほしいというご意見や、子供たちの成長を願う気持ちから、「なみえ創成」という校名に決まりました。なお、学区を浪江地区に限るものではないことを明らかにするとともに、協働によるまちづくりの観点の「なかよく・みんな・えがおで」の精神を生かすなどから、ひらがな表記の「なみえ」としています。
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だから、この学校の場合、どことどこが統合してとか、小中一貫教育でどうこうなどということには意味がないと思う。

昨夏、同町教育委員会では開校を半年後に控え、ある調査結果を公表した。

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(2017.08.22 浪江町サイト)

平成29年6月に実施した「浪江町立小・中学校開校に向けての意向調査」の結果についてお知らせします。
教育委員会としては、この結果を、浪江町と町民のみなさまが置かれた大変厳しい状況を反映したものと捉えております。一方で、この厳しい状況の中でも、「通学を考えている」・「検討中である」とする回答をいただいておりますので、このことを大切にしたいと考えてもおります。
今後も、浪江町立小・中学校について、町民・町外の方を問わず、通学を検討しておられる方々からのご相談をお受けいたしますので、ご連絡のほどお願いいたします。

・対象世帯 795世帯(浪江町に住民票があり、平成30年度新入学児童から中学2年生がいる世帯)
・回答世帯 271世帯
・回答率 34.1%
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内容は非常にシビアなものだった。

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町内再開校への通学意向(世帯からの意見)

通学させる考えがある・現在はわからないが検討中である 4.1%

現在のところ通学させる考えがない 95.2%

現在のところ二本松校に在籍を継続又は転入学を検討中である 0.7%
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逆算してみると、第1の選択肢は11世帯、第3の選択肢ではわずか2世帯ということになる。
この数字をどう捉えるかは意見の分かれるところではあろう。見方によっては、震災から6年、被災者たちがそれぞれの進路を歩み始めたということでもあるまいか。

2018年4月6日、この学校は落成式と開校式と入学式を行い、小学生8名、中学生2名で新たなスタートを切った。「世界へ羽ばたく」ことを目指して。いや、おそらく本当は、いつもと変わらない日常の回復を目指して。

いつもと変わらない和久のデザインコンセプトには大いに不満です。募集時に示されていたキーワードは<生きる力> <夢> <未来> <健やかな成長> <創造> <学校と地域との協働> <新しい校名> <浪江町>。
なぜ「豊かな自然に育まれた浪江町」などと軽く言い放てるのか。美しかった自然が牙を剥いて襲いかかり、多くのものを破壊した後、それでも戻ってきた人々の思いはどこに表されている?辛酸を舐めた末に再び持つ復興/創成の意志はどこに感じ取れる?

でもまずは、願わくば10人のがきんちょたちに大きな幸あらんことを。
未来は子供らの掌の中に在り。

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