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2018年10月 7日 (日)

【VSOP編】東京オリンピックエンブレムに「左右対称」の兄弟が<img src="http://emojies.cocolog-nifty.com/emoticon/sign03.gif">(続)

(承前)

 

前回のことに関連して、ネット上でこんな記事を発見した。

 

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(2016.06.20 ブレーン 7月号)

 

異例の決定プロセスを経て東京2020大会のエンブレムに選ばれた「市松」エンブレム。作者は、幾何学的なアプローチから紋様の制作を行うアーティストの野老朝雄さんだ。発表時から様々な人がこのエンブレムのメイキングを分析し、展開案を予想しているが、作者自身の頭の中にはどんなビジョンが存在しているのか。野老さんに語ってもらった。

 

野老朝雄(ところ・あさお)
アーティスト
1969年東京生まれ。1992年東京造形大学卒業。建築を学び、江頭 慎氏に師事。2001年9月11日より独学にて紋様の制作を始める。作家活動のほか、ファッションブランドや建築物のファサードパターンなどを手がける。最近の主な仕事に、BAOBAO ISSEY MIYAKE INCとのコラボレーション、三菱地所設計「大名古屋ビルヂング」下層部ファサードガラスパターンなど。

 

なぜ五輪エンブレムを「単色」にしたのか
「エンブレムの歴史の中で『句読点』みたいなものになるかな、と思っているんです。なんでこの人は五輪なのに単色にしたんだろう、などと思われるんじゃないかって」と野老朝雄さんは話す。そのくらい、過去のエンブレムの中でも“異色のデザイン”だという自覚がある。「地味だとも言われるけれど、色に依存したくないんです。他の可能性を捨てたくない。色を捨てることで形が浮かびあがる、といったことがあればいいと思っています」。
野老さんは、定規やコンパスといったシンプルな道具を使って紋と紋様を制作してきた「アーティスト」である。2001年の9.11テロをきっかけに、「つなげる」をテーマに独学で紋様の制作を開始した。以来、美術、建築、デザインの境界領域で活動を続けてきた。
色に依存しないという考えが生まれたのは、こうしたバックグラウンドも関係しているのだろう。野老さんの頭の中には、既にこの紋様を使ったさまざまな立体的なアイデアが駆け巡っているようだ。「例えば、この紋様がビーチサンダルの裏に彫ってあったらいいと思っているんですよ。そのサンダルで、みんなで海岸を歩き回ったら楽しいですよね。金属で作っても、キラキラと光を反射してきれいです。エンブレムを小さくすればジュエリーになります。金属やガラスはそれ自体は単色でも、光を受けるとキラキラと光りますよね。そういう、光を表現しているような意識があります。それに、市松模様というのは別の呼び方で言えば石畳ですから、そういう展開も当然できる。小さなものからランドスケープまで、地続きにアイデアが出せるんじゃないかと思っています」。
既にさまざまな人が指摘しているが、この2つのエンブレムは、オリンピックとパラリンピックのエンブレムが全く同一のパーツから構成されている。パーツを組み替えることで、もう一つのエンブレムが姿を現す。野老さんの頭の中には、この2つのエンブレムが動的な姿で存在しているようだ。「単純なひし形の応用ですから、いくらでも可能性があります。このエンブレムを敷き詰めれば、波みたいな形が広がります。僕が作ったのは、この紋様の“DNA”のようなもの。2つのエンブレムは、その姿を一瞬止めて取り出したもの、と言えるかもしれません」。
エンブレムの英語名は「Harmonized(調和する)chequered emblem」だが、当初は「Formative(形成する)」で考えていたという。組体操のようにばらばらだったものが一つにつながるイメージだ。この話からも、コンセプト自体に動きが内包されているとわかる。「例えば、このエンブレムを最前線で活躍する天才プログラマに動かしてもらえたら?そう思うと、わくわくします」。
人に可能性を広げてもらうことが喜び。そう語る野老さんの姿勢はどこまでもオープンだ。

 

このエンブレムは「サイバーパンク」だと思っている
「エンブレムが発表されてから、会ったこともない学者の方がこの紋様の作り方を解説していたり、勝手にジェネレーターみたいなものが作られていたり。本当にSFみたいだと思って。集合知によるものづくりが、長らく夢だったんです。市松模様だから『伝統』みたいに言われるけど、言ってみれば、これはサイバーパンク(個がより大きな構造の中に取り込まれていく意)でもあります。僕自身は、『算数』以上のものはわかりません。けれど、このエンブレムが新しい世界への扉を開けてくれる気がしています。すごい才能とこのエンブレムが出会って、想像もしなかった表現が出てくるかもしれない。プログラムを習っている子どもが考えてもいい。自分が作った仕組みが集合知の上でどう花開くかに期待しています。もちろん著作権で守られているものですが、構造そのものはむき出しですからね。そういう意味で、これは僕の幾何学の集大成ではなくて、このエンブレムはこれからなんです」。
エンブレムの発表後、メディアの取材も多数受けた。その中で「このエンブレムが何なのか、わかりやすく、はっきり定義してほしいと要望されている」と感じたという。「でも、僕はなるべく見る人の想像の余地を残しておきたいし、幾何学形態は見る人によって違うものが掘り起こせる、オルタナティブなものだと思う。僕の話し方の癖でもあるんですが、あえて『もごもご言っていたい』と思っています(笑)」。
最後に、自身がオリンピックのエンブレムデザイナーになることをどう感じるか聞いた。「喜びがある一方で、戸惑いもあります。一見単純な幾何学が通ってしまったんですから。元々建築家を目指していたからかもしれませんが、長く残りたい、残したいという意識はあるんです。ただ、その長く持つというのは何であろうか、というところですね」。
「つながる」をテーマに制作を行う野老さんにとって、長く残るというのは、自身のデザインが手つかずのまま記憶され続けることとは少し違う。さまざまな人の手に渡り、変化しながら息づき続けるということを意味しているようだ。「プロの方々がどう料理するかも楽しみですし、あとは子どもたちと何かできたらいいなと思っています。五輪って、『社会』でも『美術』でも、いろんな科目で扱われるテーマでしょう。今回はそこに『算数』も入った。校庭で小学生とダンボールをチョキチョキ切りながらワークショップをしてみたい」。
紋様というデザインジャンルの一番の特徴は、「部分を作ることで、まだ見ぬ全体が同時に決定していく」ことだろう。今回のエンブレムは、これから描かれていく大きな全体像の最初のパーツの提示に過ぎず、そのプロセスは、あらゆる人に気持ちよく開放されている。そういう意味でも、これまでにない“異色”のエンブレムである。
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2016年4月の発表から2ヵ月、取材の嵐が一段落したであろう頃のインタビューです。いちいち頷ける内容だった、ツルにとっては。

 

発表当初は「地味だ」という評価が多かったから、ネット上にはこれを複色化した私製デザインがあふれた。ツルがそれに対して持っていた違和感に、確かなLogosを与えたものになっている。
挙げられた展開例も、「さげもん」制作中の身にしてみれば「それもあったかあ!」な感じ(笑)。
ここでも「会ったこともない学者の方がこの紋様の作り方を解説」「集合知によるものづくりが、長らく夢だった」などとあるから、数学者達が「単純なひし形の応用」の真実に近づこうと熱中していた2016年GW頃の様子は、野老も心楽しく眺めていたことだろう。
「構造そのものはむき出し」という言葉も深いし、五輪という教育テーマに算数が加わるという作者の視点も確認できた。

 

ああ、やっぱりこの12角形パズル、量産して売り出さにゃですよ。

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