« もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その227:こももちゃん・しもぴぃ) | トップページ | もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その228:全住協メルマガキャラ) »

2019年5月 2日 (木)

似て非なるもの - ユウガオ vs ヒョウタン vs トウガン vs ヨルガオ

かんぴょうの話題が出てきたところで、そうだ、このネタ、いこう。1年半ぶりに。

 

そもそも「かんぴょう」とは何なのか。まず、いつものようにお手軽Wikipediaを引いてみると、次のように出ている。

 

-----
干瓢(かんぴょう)は、ユウガオの果実(ふくべ)を紐状に剥いて、乾燥させた食品(乾物)である。「乾瓢」と表記されることもある。
-----

 

実はこの夕顔というのが曲者でして。

 

ユウガオ
ウリ科 ユウガオ属
Lagenaria siceraria var. hispida

 

インド〜アフリカ辺りの熱帯原産のウリの一種で、源氏物語に出てくる「夕顔」はこれ。

 

心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花

 

花は白色、夕方から夜にかけて咲くものですが(確か、蛾による虫媒花ではないかと)、観賞価値が高いとは決して言えない(伏線)。
これを生やしている家というのは、風流でやってるんじゃなくて野菜として育てているので、決して上流階級ではないということになり、夕顔の女もそのように描かれている。

 

次に、瓢箪。
実は、ユウガオとヒョウタンは植物学上の「種」としては同じものです。

 

ヒョウタン
ウリ科 ユウガオ属
Lagenaria siceraria var. gourda

 

「種/species」の下の「亜種/subspecies」のそのまた下の「変種/varietas」レベルの差のようですな(下には下があって、さらに下位の分類は「品種/forma」とするのが一般的だと思う)。

 

もともと、夕顔や瓢箪、それに後述の冬瓜あたりの実を総称して「ひさご」と呼んだものらしい。漢字では「瓢」のほか、「瓠」「匏」とも書かれる。(この古いガラ系携帯でも、「ひさご」と打つとどの字も出てきます。「ふくべ」だと「瓢」だけ。)
「刳る(くる・えぐる)」や「鉋」の字と部首に共通があるのは、どういう理由かしらん。瓢箪は、いわば中身を刳りぬいて使うものだったわけですよねえ。そう言い始めると、「跨」や「袴」や「誇」はどうなんだということになりそうですが。「泡」「抱」「胞」「砲」「飽」「庖」「疱」までくるとウザったくなる

 

で、植物学やら漢字史的な話はこのくらいにしといて(基本シロウトだからこれ以上書けないわ)、コトバが違っているんだから、何らかの違いはあるに違いない。

 

まず、形状。草体はほとんど見分けかつかないけれども、果実にはいささか差異がある。簡単に言えば、丸っこいのがユウガオ、くびれがあったり細長く伸びたりと「面白いカタチ」になるのがヒョウタンです。
やや細かく見ていくと、ヒョウタンでは、実が大きい「大瓢箪」、やたら細長い「長瓢箪」、小形の実が多数つく「千成瓢箪」(秀吉の馬印だというのは後世の創作らしい)などがある。ユウガオにも球形の実がなる「丸夕顔」と、細長い「大長夕顔」の2系統があるそうな。

 

実用上ではどうなのか。こちらもざっくり言うと、「果肉が柔らかくておいしい」のがユウガオで、「固く、苦く、まずい」方がヒョウタンと考えればよろしい。
従って、ユウガオの利用は野菜としてのそれであり、ヒョウタンは、実を水に浸け内部の果肉を腐らせて取り去り酒器などにしたり、実を割って果肉を刳りぬき柄杓やら楽器やら仮面やら何やらかんやらに加工するのが主だった。それぞれの「外見」と「中身」に応じて人間の生活に密着していたわけです。

 

で、干瓢は前者の実を干して剥いたもの、じゃなくて剥いて干したものということになるわけ。
もっとも、単に干すだけではなく、二酸化硫黄(劇物!!)で燻蒸して漂白する工程も加わるので、生産者は大変らしいです。(無漂白タイプもあり、調理法 ―つまり戻し方ね― もちょっと違う、塩もみが入るか否か。)

 

では一方、冬瓜は。

 

トウガン
ウリ科 トウガン属
Benincasa hispida

 

東南アジアからインドが原産らしい。こちらの花はウリ類の基本の(でもねえか)黄色。

 

スープやあんかけに調理される(夕顔も生の実の調理法は同じようなものらしい)夏〜秋口の野菜ながら、保存性が高くて冬まで保つのでこの名があるとされるけれど、うーん、納得性の低いネーミングだと思いません?南瓜/カボチャ(セイヨウカボチャ/Cucurbita maximaやニホンカボチャ/Cucurbita moschata等の総称)なんかだって冬至の頃まであるのに。
古くは「かもうり/加茂瓜/加毛宇利」とも呼ばれ、英語ではwax gourd。gourdとはヒョウタン(やヘチマ/Luffa cylindrica/sponge gourd)の類の総称。winter melonという名前もあるらしい(ホントかしら)。
ついでに脱線すると、往年の天才ピアニスト、グレン・グールド(1932.09.25〜1982.10.04:カナダ)は "Glenn Gould" なのでこの際関係なしです。

 

ここへきて話を一層ややこしくするのが「夜顔」。上記とは縁遠い植物で、しかし名前が似ているので混同しやすい。

 

ヨルガオ
ヒルガオ科 サツマイモ属(ヨルガオ属)
Ipomoea alba (= Calonyction aculeatum)

 

こちらは熱帯アメリカ原産で、明治になって日本に入ってきたもの。大きな白い花が夜に咲く。専ら観賞用で、基本的に実はつかない。ユウガオやヒョウタンより、花の開く時間帯は遅いようです。

 

Ipomoea属といえば、サツマイモもアサガオもそうだと理解していて、一方、園芸上はそこからヨルガオ属/Calonyction、アサガオ属/Pharbitis、ルコウソウ属/Quamoclitを独立させて扱うこともあるらしい。
因みにヒルガオ/Calystegia japonicaはまた別属です。

 

あれ、園芸カタログで見かける、ちょっとアサガオに似てるっぽいコンボルブルス/Convolvulusっていうのもあるなあ。こちらはセイヨウヒルガオという和名がついている。
さらに言うと、セイヨウアサガオというのもあって、これはIpomoea属に分類されているらしい。爽やかな空色の花を秋口にいっぱい咲かせる "Heavenly Blue" が代表品種。また作りたいよぉ・・・

 

で、もちろん、「夕顔」と「夜顔」なんて、一般にはごく当たり前に混同混乱が起きるわけで、ネット上では「庭で咲いた夕顔の花」などと称して夜顔の画像が掲載されているなんてこともよくあります。

« もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その227:こももちゃん・しもぴぃ) | トップページ | もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その228:全住協メルマガキャラ) »

蘊蓄Field:似て非なるもの」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その227:こももちゃん・しもぴぃ) | トップページ | もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その228:全住協メルマガキャラ) »

2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

最近のトラックバック

無料ブログはココログ
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想