【誤植編】校正畏るべし:1(OSEKKAIくん)
先日こんなニュースがネットに出ていて、笑った。
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(2019.06.11 21:05 毎日新聞)
東京都福祉保健局が児童虐待の防止を呼びかけるインターネット上のサイトで、マスコットキャラクターを「児童虐待推進キャラクター」と紹介していることがツイッターで指摘され、「一番、誤字をしてはいけないところ」などと話題になっている。サイトを運営している家庭支援課は、ツイッターで指摘される前から誤植に気づき、サイトを制作した業者に修正を依頼。11日午後8時ごろ修正されたが、修正前の画像はネット上で拡散している。
同課によると、サイトは「東京OSEKKAI化計画」を紹介するもので、地域の親子への心づかいや声かけなどを重視し、児童虐待を防止するだけでなく、子供を育てる親を精神的に支えようという取り組みだ。サイトでは警察や児童相談所全国共通ダイヤル(189)などの窓口に加え、里親制度なども紹介している。
「児童虐待推進キャラクター」と誤って紹介された「OSEKKAIくん」は[巻き貝]の形をしたマスコットキャラクターで、正しくは「児童虐待防止推進キャラクター」。サイトを開いた際に最初に出てくるページは誤っていたが、他では正しく表記されており、同様の誤植は印刷物を含めて現時点では見つかっていないという。
同課の担当者は「東京OSEKKAI化計画は数年前に始め、このサイトも更新を続けてきた。(今回の誤植が)いつごろからなのか調べてみないと分からないが、最近更新した時に誤った表記をしたようで、直後に職員がサイトをチェックした際に気づいていた。すでに業者に修正の依頼を出した」と説明した。【大村健一/統合デジタル取材センター】
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こういうことです↓。
〔Before〕
↓
〔After〕
翌朝の産経新聞の記事では、「4月10日ごろにサイトをリニューアルした際に間違ったとみられ」とある。ミスの翌日にはもう広まっちゃったわけ。「189」つまり「イチハヤク」のとおりにねww。
そりゃま「本サイトアップ前にきっちりチェックせんかい👊」とは痛烈に思うが、ツルが一番気になるのは、妙なところを間違ったもんだとか、サイト管理体制はどうなっとるんだとかいう点ではない。「ツイッターで話題になっている」、「修正前の画像はネット上で拡散している」というその書き方です。報道記事としてどうなのよ。これでは素人がいろいろ検索をかけてみてオモロイことがあったというのと変わらんではないか(ツルがどの口で言うか;汗)。マスメディアがSNS(その本質はSocialでも何でもなくて、MinimalでPersonalなものだと思う)等のスモールメディアに従属しつつある現状を表していると思う。
しかし、どうも話が微妙に噛み合わんな、なぜペアキャラなのに「OSEKKAIくん」という男名前一つにしてあるのだろう、こりゃまたモメるぞと思って調べてみると、かなーり驚きました。「OSEKKAIくん」とはこれのことだったんですね・・・。
東京都福祉保健局少子社会対策部家庭支援課
児童虐待防止推進キャラクター
OSEKKAIくん

まさか、少女Aでも少年Bでもなく、[赤ん坊C]が「OSEKKAIくん」の正体だったとは!!しかも[巻き貝]にくるまれて大切に育てられる小さな生命のIconというわけではなかったのだよ(貝は形状と色彩からしてツメタガイ/Glossaulax didymaと思われます;よく考えると爆笑)
裏取りは常に必要ですな。
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名前:
OSEKKAIくん
性別:
男の子
年齢:
KAI(貝)年齢 5歳
性格:
優しく温か。親子を見守ることを生きKAIとしている。都民すべての人をOSEKKAI化することを夢見ている。
趣味:
子供を救う。親子のSOSを見つけること。
好きな言葉:
「愛」
好きな食べ物:
お母さんがつくってくれるみそ汁。
(貝は入っていない)
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え?もう5歳なのにその姿??まだそのなりなのに子供、つまり少女Aや少年Bを救う??てなことはおいといて(苦)。
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OSEKKAIくんは、
東京をOSEKKAI化することを
夢見ています。
人を見つけると
OSEKKAIというKAI(貝)を与え、
都民みんなを
OSEKKAI人にしていきます。
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何だか、微妙に筋が悪い。児童虐待の防止は、一義的には地域の見守り(勢い高齢者に負担と責任を負わせることにつながりやすいだろう)の問題ではないはずだ。このキャラは問題をすり替えている、というより児童の犯罪巻き込まれ防止や非行防止などと混同していると思うが、どうだろうか。
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(東京都福祉保健局サイト)
東京OSEKKAI化計画とは?
東京OSEKKAI化計画の目指す「OSEKKAI」は、従来の「おせっかい」とは違います。
OSEKKAIとは、地域の親子に向けられる優しい心遣いであり、温かいまなざしや優しい声かけなど、ちょっとしたこと、どんなことでもいいのです。
カタチに決まりはありません。
それはきっと子供を虐待から救うだけでなく、パパとママの心と体も楽にします。
そんな心遣いであふれた街にする。それが東京OSEKKAI化計画です。
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次の画像を見ると、混迷は一層深まる。

少女Aと少年Bにだけは、当該[貝]が背中についていないからです。
つまり、少女Aと少年Bはここに至って初めて「与えられる存在」であることが明らかになる。誰もそうとは思わなかったでしょ?初めは。

コンセプトとビジュアルに齟齬がある。キャラクター運営としては、肉付けがしっかりされていないということだろう。広告代理店臭がぷんぷんすると言ってもよい。
新聞記者も、きちんとこの辺りを理解して書いたのだろうか。
(続く)
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