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2019年8月31日 (土)

似て非なるもの ー 緑豆春雨 vs じゃがいも春雨 vs マロニー

マメ科ササゲ属にはもう一つ、重要な作物がある。

【リョクトウ/緑豆/Vigna radiata】
別名をヤエナリ/八重生ともいう。日本で緑豆と言えばもやしだけれど、この豆自体は我が国では商業生産されていないようです。産地の中国では春雨の原料にするほか、粥にもごく普通に入れられる。で、今回はその春雨の話。

春雨とは、リョクトウ・ジャガイモ・サツマイモ等の澱粉を原料として作られる麺。中国では「粉条」(フェンティアオ)・「粉絲」(フェンスー)、台湾では「冬粉」(タンフン)などと呼ばれ、「春雨」は日本で名付けられた美称であるとか。英語ではglass noodle、またはpotato noodle。
中国産はリョクトウを主原料とするが、日本では主にジャガイモなどのイモ澱粉を用いて作られ、奈良県の桜井市と御所市で全国生産の約6割を占めている(ジャガイモの産地ではないのにね)。

1972年の日中国交正常化を機に、70年代前半から半ばにかけ、各地で「中国展」「中国物産展」が続々と開かれた時期があった。福岡の小学生だったツルも「このごろ中国展よくあるなあ」と思っていたぐらい。中国五千年の文物産品がどっと流れ込んできたわけです。
皮蛋や搾菜が一気に身近なものになったのもこの時だったと思うし、日中首脳の乾杯する様子がよく報道された(気がする)ところの、米を用いた醸造酒(黄酒)を長期熟成させた老酒や、高粱から作られる蒸留酒(白酒)の茅台酒もそう。因みに現在中華料理店でよく出される紹興酒は、浙江省紹興市で産する黄酒です。

中国春雨はそれより前から日本でも出回っていたと思うけれども、どちらかと言えば高級品だったのが、この時大衆化が進んだような気がする。母親が、「中国の春雨は煮崩れないからいいわ」と言ってたよなー。

日本には禅宗の精進料理の材料として鎌倉時代に伝来したらしいが、本家では「西暦1000年前後には中国で作られていた食品である」ぐらいのことらしいので、案外新しい食品なんじゃないかと思っちゃう。

製法は;

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原料のデンプンを熱湯で練った糊に、さらにデンプンと湯を加えながら練り上げて生地を作る。この生地を、直径が1mmほどの穴の開いた容器から熱湯中に押し出して煮沸し、水冷後に凍結(冷凍製法)させ、それをさらに天日乾燥して作られる。
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のだそうな。昔は寒中に作ってたんですかねえ。

で、中国をはじめアジア各地で食されているわけだけど、基本的には「麺」という扱いが多く(そりゃそうでしょう)、汁ありやら汁なしやら様々な調理法がある中、日本がやや特殊なのは、主役ではなく脇役としての利用が多いこと。鍋料理に添えたりとかね。(そりゃ今じゃ春雨カップ麺とかもありますがさ。小麦粉麺より低カロリーなのがウリ。)

そんな中では、今や熊本の名物料理として有名になった太平燕(タイピーエン)は春雨主役の珍しいケースだと思う。(中国の太平燕とはいささか異なるものらしいが。)

で、では、緑豆春雨とじゃがいも春雨では何が違うのか。
太平燕の本家を自負する熊本市の紅蘭亭(イラストレーター 葉 祥明の実家である;cf. 2016.06.13~14「北の夢はこうして」・2016.06.15「Remember the Day」)のサイトの記載が参考になる。

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太平燕かくあるべし

1)春雨は ・・・緑豆100%であるべし
よく市中で出回っている春雨はデンプンが混入されています。最近売り出されているインスタントやレトルトものはほとんどそう。
混入されていると引きが良くなり滑らかになるのですが本来の春雨とは別モノ。味の深みがなくなり何よりもカロリーが高くなってしまいます。
食べ慣れていけばぶちっと切れていく緑豆の素朴な味深さが分かるようになるでしょう。

〔後略〕
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へー。カロリーが違うんですか。知らんかった!!

春雨に似たところでいうと、大阪府吹田市の食品メーカー、マロニー株式会社の「マロニー」も、今はジャガイモ澱粉とコーンスターチを原料としているが、元はリョクトウとジャガイモの澱粉から作っていたそうな。
同社創業者 故 吉村義宗は初めもやし製造会社を興したという(リョクトウは既に商売の種だったわけだ)。もやし生産の機械化に成功した後、その市場の将来性に限界を感じ、春雨製造に乗り換えたらしい(よく考えるとスゴいっすね、それ)。

1964年に発売され、1994年の中村玉緒のTVCMで認知度を大いに上げるまでのマロニー開発&マーケティングストーリーはあちこちで語られているけれども、1970年代には確かタレントのキャッシーが「煮ても溶けない」をキャッチコピーにTVCMをやっていたと思うんだよねー。こちらは黒歴史状態でどこにも出ていない。これはきっと、1980年代に入って、彼女が歌手佐良直美とのレズビアン関係を赤裸々告白したことに関わりがあると思う。まあ時代が時代だったとは言え、なかったことにしちゃうというのはどういうもんなんですかね。

そのマロニー株式会社も、2017年8月にハウス食品グループ本社の傘下に入り、同社の完全子会社になった。誠に栄枯盛衰は糾える縄の如し。

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