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2019年8月24日 (土)

似て非なるもの - インゲンマメ vs ベニバナインゲン vs フジマメ vs 三度豆 vs 手亡豆

ダイズのことを書いたついでに出しとこうか。
ずっとずっと前から気になっていたことなんですが・・・。「隠元豆って一体何物?」ってこと。調べてみたら、これがまたすごくややこしそうなんですが。(因みに「豆」の次は「芋」を予定。)

【インゲンマメ/Phaseolus vulgaris/kidney bean】
マメ科インゲンマメ属。サイトウ/菜豆・ゴガツササゲとも呼ばれる。つるあり品種とつるなし品種がありますねえ。原産地はメキシコあたりで、日本には17世紀にヨーロッパ → 中国を経由して伝わったとされる。1654年に明国から渡来し日本の黄檗宗の祖となった隠元隆〓(〓は「王竒」を1文字にした字:りゅうき)が日本に持ち込んだのは、後述のフジマメだったという説もあるそうな。

どうも、現在「いんげん豆」と呼ぶと生の(未成熟な)さやいんげんのことを指し、乾物の豆となると別の名前で呼ぶような気がする。
インゲンマメという植物種の中では、種子の色により、赤いんげん豆として金時豆、白いんげん豆として大福豆や手亡豆/手芒豆、茶色の斑入りとなる鶉豆や虎豆等の系統がある。子どもの頃、福岡では半分白、半分斑入りの豆を「虎丸うずら豆」と称して売ってた記憶がある。これが虎豆のことだと思う。
英名のkidney beanは実がkidney=腎臓の形をしていることからインゲンマメ全体を指す呼称だが(無駄にこだわると、そんなこと言ったら金時豆だって鶉豆だって凹みがほとんどなくて丸っこいと思うし、ソラマメ/Vicia faba/broad beanの方がよっぽど腎臓形だけど)、日本で「キドニービーンズ」として販売されているものは特に米国産の赤インゲン豆/red kidney beanのこと。同様に「ピントビーンズ」は鶉豆/pinto beanの輸入品で、「pinto」は「色を塗った」という意味のスペイン語由来である。

【ベニバナインゲン/Phaseolus coccineus】
【フジマメ/Lablab purpureus】
インゲンマメと混同されがちなこれらは、近縁の別種だそうな。
紫と黒の混じり合った特徴的な色合いの豆をつけるベニバナインゲン(ハナマメ・ハナササゲ・白花白実品はシロハナマメ/シロバナインゲン)はメキシコ高原原産で冷涼地に適する。
フジマメ属フジマメ(センゴクマメ・アジマメ・ツルマメ)は対照的にアフリカ・アジアの熱帯生まれで温暖な気候を好み(とは言え中部地方や北陸地方でも伝統野菜として作られている)、これは(日本では)主に若い豆を莢ごと食するもの。葉が紫色のものもあって、観葉植物としても用いられるのだとか(そんな鉢植え見たことないけど)。我が国には9世紀以降度々導入されたというから、隠元禅師の時代より前からあったものということになる。

Wikipediaには「関西ではフジマメをインゲンマメと呼び、インゲンマメはフジマメ、サヤインゲンは三度豆と呼ぶ」とか「関西ではフジマメをインゲンマメと呼び、インゲンマメはサンドマメと呼ばれている」とか出ていて、だんだんわけがわからなくなってきます。てことは、京都のタキイ種苗の園芸カタログに載っている「インゲンマメ」は、横浜のサカタのタネのカタログにある「インゲンマメ」とは違うものなのかしらん?(今どきそんなことはありません↓)

Sakatakidneybeankentucky Takiikidneybeankentucky


では「三度豆」とは何なのか。

【三度豆】
これは「年に三度穫れる豆」の意味で、インゲンマメのほか、さやえんどうを表すこともあるらしい(じゃあ、スナックエンドウやスナップエンドウは三度豆なの?そうでないの?)。つまりは、乾物を食するとか、莢を剥いて中の豆のみ供するとかの隠元や豌豆ではなく、若いうちに莢ごと食するものは1年に3回も収穫できる、ということでしょう。

そして、ツル的関心事は次の問題。

【手亡豆/手芒豆】
お饅頭の原材料の欄に時々「手亡豆」とか「白手芒」とか書いてあることがあって(福岡&東京銘菓のひよこ饅頭も確かそう)、昔、友人とこりゃ一体何なんだという話になったことがあった。
これは上述のとおり白いんげん豆の品種で、小粒品が「手亡豆/手芒豆/てぼうまめ/てぼまめ」(毛亡豆とも)、大粒品が「大福豆/おおふくまめ」と呼ばれる由。
「手亡豆」という不思議な字面は、一説に「手」=蔓がないことに由来すると、一説に栽培に「手竹」=支柱が不要なことから来たとされ、これに忌み言葉的に「くさかんむり」をつけて「手芒豆」とも書いたらしい。つまりは「つるなしインゲンマメ」の一種ですな。こちらが主に白餡に加工されるのに対し(ツルもこの豆の実物を見たことはありません、幻の手亡豆。)、「大福豆」は煮豆用高級品種ということになる。「斗六豆/とうろくまめ」とか「十六寸/とろくすん」とかの別名もあって、ツルの母親も「とろくすん」って呼んでたっけ。でっかい白いきれいな豆で、お正月のおせちにしか登場しない晴れの日の別格のお豆さんという感じだった。「とろくすん」というこれまた印象的な名前は、この豆を長径方向に十粒並べると六寸(18cm強)になるというところから来ているそうで、初めて由来を知りました。大きな白い甘納豆になってるのもこれね。
ベニバナインゲンの白実品のシロハナマメとの違いは、どうやら「へその部分までが真っ白」というところにあるらしい。

因みに、インゲンマメの類は程度の差はあれ蛋白質の有毒成分を有するので、生のまま、あるいは不十分な加熱で食することは避けねばならない。Wikipediaにも「白いんげん豆食中毒事件」てのが載ってるぐらいです。

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