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2019年9月

2019年9月29日 (日)

【加筆編】令和の日暮れじゃん(葉山町ナンバープレート)

【2019.10.06 改稿】

(承前)

前回挙げた土佐の高知の南国市ナンバープレートは明後日の10月1日から交付予定ですが、同日には関東でこんなプレートの交付も始まる。改元をはさんでこの4月から6月まで募集され、先月末に発表されたばかりです。

神奈川県三浦郡葉山町
オリジナル原付ナンバープレート
<真名瀬バス停>
垂水秀行(香川県丸亀市:グラフィックデザイナー)
Tarumihayamatownnumberplate

ああ!これねー!!さすがに垂水ならでは。同じ湘南の鎌倉市と相通じるものがあるなあ(垂水には甘いツル)。

【2015.10.25「いはばしる バイクの臀の プレートの;C」】
神奈川県鎌倉市
オリジナル・ナンバープレート
垂水秀行
〔2013年11月発表〕
鎌倉市ナンバープレート(最終版)

葉山と言えば森戸海岸と一色海岸の2つの海水浴場がメジャーだけど、どっこい真名瀬もジモティ御用達のビーチで、森戸と一色の中間にある。ここのバス停だって、鎌倉市ナンバープレートに描かれた江ノ電鎌倉高校前駅に負けず劣らずのフォトスポットですww。

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【2019.10.06 追記】

この件を報じた2019.09.15の朝日新聞には、『海やヨットで葉山のイメージを表現したものが多い中、垂水さんは実際に写真映えするスポットとして町内では知られた場所をノスタルジックに切り取り、投票者の8割近くを占めた町内在住者の心をつかんだ』と出ている。
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一方、2019.09.04の東京新聞には、『ナンバープレートは、改元や東京五輪を巡る取り組みで町と住民との協働が進む中、「愛町心の象徴に」と作製を決めた』とある。え?東京五輪でセーリング会場になるのは江の島(神奈川県藤沢市)だし、改元絡みで協働が進んだってのもどういうことだろう。葉山御用邸と何か関係があるのかしら?調べてみると、代替わりに伴って、「御用邸の町 葉山」として祝意を表すため「葉山町改元奉祝実行委員会」を組織したのだそうな。なかなか抜け目のないことです。(上皇・上皇后となった平成の明仁天皇・美智子皇后は今後も「ご静養」に訪れるのだろうか。)
同記事には、『住民らの投票で選ばれたのは、海沿いの[県道207号]にある真名瀬バス停付近の光景が描かれた作品』、『バス停の海の先に見える富士山や、サーフボードを積んだ車などが描かれている』などとも書かれているんだけど・・・。
作者のおなじみ「デザインに込めた思い」にはこうある。

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[真名瀬のバス停]、[サーフィン帰りの車]、[ツーリングのバイク]。遠くには[富士山]を望みノスタルジックな時間が流れる情景をモチーフにしました。なにげない日常のシーンに、世代を問わずそれぞれの想いを重ねてもらえるように、そして愛着を持ってもらえるように、手書きのタッチで丁寧に描きました。
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そうです。「サーフボードを積んだ車」ではなくて「サーフィン帰りの車」なんですよ。鎌倉市と同じく、「ご当地のPR」ではない「地域の日常」が主題。(因みに「まなせ」ではなく「しんなせ」と読みます。)
少し気怠さも感じる日暮れ、海を染める[夕陽]は、伊勢湾を照らした朝陽とは明らかに異なっている。

【2019.03.16「イセエビロデオ!の巻」
三重県 伊勢市・志摩市・鳥羽市・多気郡明和町・度会郡度会町・同 玉城町・同 南伊勢町
伊勢志摩版図柄入りナンバープレート
(優秀作品)<伊勢志摩の暁>
垂水秀行
〔2018年12月発表〕
伊勢志摩ナンバープレート(垂水案)

やはり、「場」を描出することにかけてはこの作者は他の追随を許さないだろう。

本公募では92点が集まった(うち県外15点)そうで、バイクのナンバープレートの公募としては多い方だろう。「葉山町原動機付自転車課税標識選定委員会」という厳めしいところwで一次選考して5点に絞り(全て[海]がメインモチーフとなったのはあくまで結果論だったらしい)、一般投票は葉山町役場・葉山町立図書館・神奈川県立近代美術館(※)・商業施設の葉山ステーションで実施されて投票総数1,258票を集めた。ネット投票は行われなかったにもかかわらず、これも多いと思う。結果は次のとおり。

(※) 元は鎌倉市の鎌倉館・鎌倉別館とご当地の葉山館という3館編成だったが、2016年3月に鎌倉館が閉館し(その後再利用され「鎌倉文華館 鶴岡(つるがおか)ミュージアム」となっている)、現在は葉山館と鎌倉別館という立て付けである。

1位 垂水秀行(香川県丸亀市) 354票(28.1%)
2位 天野穂積(静岡市) 247票(19.6%)
3位 丹羽 淳(葉山町) 241票(19.2%)
4位 池田秀人(神奈川県鎌倉市) 219票(17.4%)
5位 池田秀人(同上) 197票(15.7%)

ははあ。香川ナンバープレートとは逆の結果になったんですね。リベンジを果たした形。

【2017.12.03「バイクをクルマに乗り換えて('_'?) 」】・【2017.12.28「テンプレうどん、一丁上がり!!」】
香川県
香川版図柄入りナンバープレート
〔2017年12月発表〕
(最優秀作)
天野穂積

(優秀作)
居関孝男
図子律子
十川結衣
垂水秀行
上葉夕美子

ライバル、善き哉。(やっぱり垂水にゃ甘い表情ほっ

2019年9月28日 (土)

【加筆編】令和の夜明けぜよ(南国市ナンバープレート・伊那まつりうちわ)

(承前)

公募ガイダーの放った屁と、因襲と桎梏に縛られた自治体等の落としたbullshitとをいちいち数え立てている愚blogですが(「悪意」と悪態をつかれようが「名誉毀損」を言い立てられようが、そこは一歩たりとも退くわけにはいかない)、すんごく例外的に、高柳順子と垂水秀行については新作を心待ちにしている。(依怙贔屓?そんなもんじゃねえよ手パンチ

で、前者の作品はこのところいくつか見てきましたが、後者の新作をちょっと久しぶりに見つけました。

高知県南国市
原動機付き自転車オリジナルナンバープレート/ご当地ナンバープレート
(優秀賞)
垂水秀行(香川県)
Taruminankokucitynumberplatenext

昨年の10~11月に募集され、今年の5月1日、つまり令和初日に目発表されたもの。もう間もなく、10月1日の市制施行60周年記念日から交付されます。因みに「NANGOKU」ではなく「NANKOKU」です。

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南国市の魅力を一つのシーンに凝縮。飛び立つ[飛行機]の姿に、南国市の更なる飛躍・発展への思いを重ねています。
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やや伊藤若冲風ww、旭日などは添えられていないけれど。[尾長鶏]は多かれ少なかれどの入賞作品にも入っており、これは;

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「市木(ヤマモモ)・市花(タチバナ)・市鳥(オナガドリ)」のいずれかを含めた、南国市の特色・魅力を表現したデザインとする
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という席題が出ていたから。
飛び立つ(飛び去る?)飛行機にはちょっと疑問を感じたけど、これは高知空港(愛称:高知龍馬空港)が高知市ではなく隣接するご当地南国市にあることを踏まえたものだろう。

(最優秀賞)
渡部大輝(三重県)

(優秀賞)
垂水秀行

(敢闘賞)
伊藤理莉子(東京都)
児島 満(宮崎県)
依岡優希(高知県立岡豊(おこう)高等学校)

(奨励賞)
小笹智子(南国市大そね(*))
川縁晴津子(富山県)
門田直美(広島県)
李 建行(中国)

(*)「そね」の漢字は「土甬」を一文字で書いたもの。市役所の所在地もここだが、環境依存文字のため「大そね」と表記する旨、市役所サイトに記載がある。ツルのガラ系携帯で「そね」と打って出てくるのは、「埆」まで。

(次世代奨励賞)
越智詩音(高知県立岡豊高等学校)
長田里奈(高知県立岡豊高等学校)
橋本龍舞(大阪府立芦間高等学校)
古川千尋(15歳:徳島県)
松高小春(高知県立岡豊高等学校)
箭崎 燿(高知県立岡豊高等学校)
矢野有紗(高知県立須崎工業高等学校)
横谷友貴(15歳:福岡県北九州市)
横山直人(高知県立岡豊高等学校)

まあよくもここまでいろんな賞を作ったことよ。最優秀賞2万円、優秀賞1万円の賞金以外対価は公表されておらず、敢闘賞以下はせいぜい賞状だけだったんでしょう。因みに応募は「1人(1グループ)5点まで」とされており、応募総数104点。

若手がほとんど岡豊高校生だけなのもひんやりするけど、これはご当地にある同校が県内で唯一美術コース(普通科)を持っているためと考えられる。因みに2018年度の美術コース・書道コース合わせた卒業生は17人だった由。かなりの確率で入賞したものと思われますw。

≪そこまでやるんなら殊勲賞と技能賞まで出さんかい!!≫

でももっと驚いたことがあって。時は2013年。

長野県伊那市
第41回伊那まつり
うちわデザイン
垂水秀行(香川県)
Tarumi41stinafestival

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(2013.05.15 伊那谷ねっと)

伊那まつりの公式Tシャツとうちわの図案が決まりました。
Tシャツに採用されたのは、伊那市の高坂智子さんの作品です。
誰にでも親しんで着てもらえるデザインが評価されました。
うちわに採用されたのは香川県の垂水秀行さんの作品です。
[切り絵]というアイデアがよくその効果が充分でているところが評価されました。
うちわは一口2万円で企業名などが入ったものを200本作ることができるということで伊那まつり実行委員会では協賛する企業などを募集しています。
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え!!アノ「伊那まつり」のうちわ!?

塩崎一族の別名義と見られる山口 類の作品が採用された第43回↓(cf.【その232】)の2年前です。祭りのテーマの「翔」は「はばたき」や「はばたく」じゃなくて「はばたけ」ですよ。

Ry43rdinafestival 

こっちは「きらめき」だけど。

以前、伊那まつりのことは批判的に書いたが(cf.【その232】・2019.05.27「祀り上げられた偶像 ―― 伊那まつりと勘太郎のこと」)、改めて調べてみて気になったのは、2016年の第44回「つなぐ」の時のこと(既に、翌2017年どんと一気に「第60回」にかさ上げする準備に入っていた段階である)。
さるmixiの記事に;

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(2016.05.13)

今年の、伊那まつりのTシャツとうちわのデザイン審査会に行って来ました、今年は初めてうちわのデザインにプロの作品が無く、すべて小学生の作品でした。
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とある。

ところが、その時の応募資格は「市内外、年齢、プロ、アマチュアを問わない」とされていたんですね。だったら、「すべて小学生の作品」なのは偶然だったというのだろうか?そんなことあり得ます??まさか。
予選段階でそのように手心が加えられたことを意味するのではないか、これは。そして、そのことについて何も説明はされていない。

こういうの、すごくイヤなんですよね、ツルは。同じフィールドで闘う、競うというのが「公募」の本質でしょう?そこに他の何の要素も入り込んではいけないと思う。だから、「次世代奨励賞」「未来枠」「ジュニア賞」みたいなのを設けること(往々にして後出しで)にも基本反対だし、教師が教え子の応募作品を選ぶような場合(^_-)には特段の留意と説明を要するという考えです。

2019年9月24日 (火)

【加筆編】誰か老いより逃れざる —— Reprise(大阪ふれあいキャンペーン・いわき市50周年・岸和田市景観重要樹木)

(承前)

現役最長老の公募ガイダーということになれば、駒井 瞭であろう。
このガイダーの場合、「老いる」前から長年にわたって同じ趣旨のオンパレードだからいちいち挙げるのもしゃらくさいが、ここで既出のものを出すのも癪なので「駒井レッド」から2点ほど取り上げると。

大阪府
大阪ふれあいキャンペーン シンボルマーク
(優秀賞)
駒井 瞭(グラフィックデザイナー)
Komaiosakacommunicationcampaignnext

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障がいのある人もない人も、お互いに理解して、支え合いながら暮らせる社会づくりをモチーフとして[お](全体)、[お](全体)、[さ](左部)、[か](右部)の文字を組み合わせました。誰にでもよくわかり、広く愛され親しまれるようキャラクター的にデザインしました。
[赤色]は、大阪ふれあいキャンペーンに燦然と輝く希望の太陽とみなぎる活力を表現しています。
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2012年8月決定。毎度毎度馬鹿馬鹿しい「駒井式ひらがなCryptography Method」である。そんなもの、誰にも伝わりゃしませんわかりません。冒頭部分は募集側のフレーズの鸚鵡返しである(後述)。

2019年の現在、大阪府サイトには次の記載がある。

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大阪ふれあいキャンペーンとは

これまでのあゆみ、構成団体について
大阪の障がい者施策は、昭和56年の「国際障害者年」の基本理念にある「完全参加と平等」の実現をめざし、昭和58年からの「国連・障害者の十年」以降大きく展開しました。
大阪ふれあいキャンペーンは、この「国連・障害者の十年」を契機に始まり、30年以上にわたって、障がい者団体や地域福祉団体、行政が連携して、府民の障がい理解を深める取組みを進めてきました。
大阪ふれあいキャンペーン実行委員会は、府内44の全自治体と障がい者団体及び地域福祉団体等43団体の、計87団体で構成されています。

〔中略〕

めざしていること
私たちは、障がいのある人もない人も互いに理解して、支え合いながら暮らせる社会づくりをめざしています。
そのためには、家庭や学校・職場、さらには街中での、人と人とのふれあいが大切です。
「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけたりすることから、温かい社会づくりは始まります。
私たちは、府民のみなさんとともに、府民の障がい理解を深める取組みを続けてまいります。

実施事業
大阪ふれあいキャンペーンでは、障がい者団体、地域福祉団体、府・市町村等が一体となり、協賛企業・団体等の協力も得ながら、さまざまな啓発事業を展開しています。

<平成30年度協賛企業・団体等> ※順不同
(社福)大阪府社会福祉協議会、(一財)大阪府地域福祉推進財団、大阪ガス(株)、川村義肢(株)、近畿労働金庫大阪地区統括部、
積水ハウス(株)、南海電気鉄道(株)、(公社)関西シルバーサービス協会、住友生命保険(相)、
大阪府農業協同組合中央会(JA大阪中央会)、ナミテイ(株)、(有)ファインテック、(株)仁張工作所

啓発イベント情報
大阪ふれあいキャンペーンの構成団体が、府内各地でシンポジウムや街頭キャンペーン、作品展など障がい理解の啓発イベントを開催しています。
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前回の本編でぶった斬った千代田区障害者サポーター制度と趣旨は多少似ているが、こちらの方が内容はもっとふわふわしていて、よく読み込むと本制度の不可解さが浮かび上がってくる。

まず、このキャンペーンとして府が主体的に何をしているのかが不明瞭。「さまざまな啓発事業を展開」とは具体的にどんなことをやっているのか。それは次に出てくる「啓発イベント開催」とはどう違うのか、あるいは同じなのか(この「啓発イベント」も、あくまで「構成団体」によるものであることに注意)。

そして、こうである。

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大阪ふれあいキャンペーンのシンボルマークについて
大阪ふれあいキャンペーンでは、府民の障がい理解をより一層深めるため、「障がいのある人と障がいのない人との支えあいや共に生きる社会をイメージしたもの」、「年齢や性別等に関わらず誰もが親しみやすいもの」をテーマとして、大阪ふれあいキャンペーンのシンボルマークを平成24年4月から6月にかけて募集しました。

〔中略〕

シンボルマークは、「大阪ふれあいおりがみ」や「障がい者週間のポスター」等で使用するほか、府民の障がい理解を深めるための広報・啓発ツールとして幅広く活用してまいります。
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なぜこのキャンペーンが(開始後30年も経って)シンボルマークを必要としたのか、その目的は何なのか、得心のいく説明はない。だから、「おりがみとポスターのために税金使ってわざわざ公募したの?他に何に使うの?」と嫌味の一つも言いたくなる。応募総数、394点。

それから、するっと読んだだけでは何とも思わないけれど、よくよく考えると違和感のあるのが;

『障がいのある人もない人も互いに理解して、支え合いながら暮らせる社会』

という記述。
この後に出てくる言葉は;

『「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけたりする』
『府民の障がい理解を深める』

であるから、専ら「健常者による障害者に対する理解」というOne Wayが想定されているに過ぎないようである。よしんばそれが実態であるにせよ、理念の記載としては咀嚼が足りず上滑りになっていると思う。

この30年では障害者を取り巻く状況も相当変わってきたと思うが、そこをキャッチアップできているのかと疑問に思える。ええと、つまり「障害者とふれあいましょう」というだけのものだったら、1980年代から何も進化してないと思うけれど。

(最優秀賞)
松本里菜(大阪成蹊大学2年)

(優秀賞)
川野芳紀(グラフィックデザイナー)
駒井 瞭
芳村憲一(大阪府立佐野工科高等学校教員)

(佳作)
小松史明(初芝立命館高等学校1年)
大塚真衣(大阪商業大学高等学校3年)
深川 彩(大阪府立佐野工科高等学校教員)

(特別賞)
長谷川知美(大阪府南河内郡千早赤阪村立中学校1年)
白柳志帆(大阪府立堺上(さかいかみ)高等学校3年)

もう1点は2015年11月発表のもの。

福島県いわき市
市制施行50周年記念 50thシンボルマーク
(優秀作品)
駒井 瞭(80歳:大阪府東大阪市:グラフィックデザイナー)
Komaiiwakicity50thanniversarynext

何なんだよ、この付け足し程度の小さな「th」の文字は。デザインとして成立していると言えるのかよ。
障害者福祉も自治体周年記念も、このガイダーにとっては何も違いはないわけだ。[指先から血飛沫]の方向は変わっておりますがねーw。理解しようとすること自体を止めてしまっていることが一番の罪だと思う。

(最優秀作品)
岩谷洋平(33歳:泉町:グラフィックデザイナー)

(優秀作品(次点))
小野久子(44歳:内郷:会社員)

(優秀作品)
駒井 瞭
坂内宏年(72歳:遠野:無職)
高木道浩(40歳:中央台:公務員)
吉田清香(18歳:福島県立磐城桜が丘高等学校3年)

最後にもう一個おまけ。2017年11月頃発表。

大阪府岸和田市
岸和田市景観重要樹木 シンボルマーク
駒井 瞭(大阪府東大阪市)
Komaikishiwadacitylandscapetrees

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煌めく太陽映える和泉山脈、大阪湾の大地に育まれた良好な景観の形成を彩る樹葉と[き]・[し]・[わ]・[だ]の文字を組み合わせた幹枝で「岸和田市景観重要樹木」の明るく元気な姿を誰にでも一目見てよくわかり広く親しみ愛されるようデザインした。
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駒井デザインには僅かながらこのテイストのものもあって、微妙ぅぅに、婚姻届とか出生届↓に似てるんだよね・・・。

【2018.02.22「未来へと噴き出す血潮:下」】
長野県塩尻市
塩尻市オリジナル婚姻記念証
(応募作品 No.13)
駒井 瞭
塩尻市婚姻記念証(駒井案)

長野県塩尻市
塩尻市オリジナル出生届
(優秀賞)「ペインティング赤ちゃん」
駒井 瞭
塩尻市出生届(駒井案)

 

でもやっぱり出ました、[き][し][わ][だ]の暗号・・・ww。むしろシューベルトの「魔王」の歌詞を思い出してしまうがな。

「坊や 坊や ああそれは 枯れた柳の幹じゃ」
「坊や 坊や よく御覧 枯れてる柳の木だ」
「息子よ、確かに見えるよ あれは灰色の古い柳だ」

かくひとり老いかゞまりてひとのみな憎む日はやく到りけるかも
     釈 迢空

2019年9月23日 (月)

【加筆編】年輪を重ねるということ(京都育樹祭・香川育樹祭・東京育樹祭・沖縄育樹祭) 弐の輪

(承前)

全国植樹祭と全国育樹祭の歴史を繙いてみると、面白いことがわかる。
前者は1950年4月(1951年9月のサンフランシスコ講和条約締結より前、連合国軍占領下の時代である)に「植樹行事ならびに国土緑化大会」の名称で始まり、当初「お手植え」「お手播き」される樹種は針葉樹一辺倒で、全国どこでもスギ・ヒノキ・マツの類だった。広葉樹が用いられたのは、「多目的森林開発と環境緑化」をテーマに掲げた1971年4月の第22回全国植樹祭(島根・広島共催)で「お手播き」にモミジの種子を含めたのが最初である。
因みに育樹祭の開始は1977年9月。

多様性や地域性の観点で広葉樹が見直されてきた歴史ということになるんだろう。「豊かさ」の概念も、戦争で荒廃した国土の復興とか経済価値の観点での生産性向上とかから、生物多様性や環境保全効果の高さというところに比重が移ってきたと考えられるわけです。

例えばヒノキ造林では土地がやせることが知られていて、植林・伐採後、次の世代は同じ樹種を植えることはできず、雑木林にして地力の回復を待ち、さらにその次の世代で再びヒノキが植えられるようになる。これは、ヒノキには防腐・抗菌成分が含まれているため(だからこそ材を桧風呂にしたりするんだけれども)落ち葉や枯れ枝も腐りにくく、有機質が土壌にとどまらずに流亡してしまうから。(もっとも、日本産ヒノキには実はヒノキチオールは僅かにしか含まれず、この物質は一般に近縁のヒバ(=アスナロ)から得られる。)
林業には壮大な計画が必要なんですな(日本はほとんど失敗状態だと思うけど)。

こうした趣旨の持ち回りイベントで今どきVIをかけるのなら、取り敢えず手っ取り早いのはそれぞれの「お手植え」「お手播き」「お手入れ」樹種を盛るって風になるんじゃないの、単なる「樹木」「みどり」「双葉」じゃどの大会かわからんじゃん、そうなるとやっぱり広葉樹かあ、なんて思うんだけど、それも陳腐な考え方なのだろうか。

結局、前回挙げた梅村作品においてどれも地域性はゼロに等しい(地図を描いた香川だって、イニシャルを用いた東京だって)けど、沖縄のものは特にパブリックイメージとの乖離が大きいと感じます。色調のせいだろうか。この国で唯一熱帯に属するし(沖縄復帰の1970年代にゃ亜熱帯区分だったんですが、その後で年平均気温が上昇して熱帯区分に変わったんです)、文化史的背景もいささか異なるというのになあ。

そして一方、梅村は「植樹祭」と「育樹祭」の違いをどう認識しているのだろう。
育樹祭4点全てに用いられた[双葉]は言うに及ばず、香川を除く3点で[シャベル/スコップ]が描かれている。

ここでまた脱線して、「シャベル」と「スコップ」の違いについて。前からよくわからなかった「似て非なるもの」です。

シャベル/shovel(英語)
東日本では小型
西日本では大型

スコップ/schop(オランダ語)
東日本では大型
西日本では小型

ということらしい。
ああ、やっぱり東西で逆になってるんだ!福岡産のツルは、基本的に、梅村作品に描かれた小型のもの(=移植ごて)は「スコップ」という感覚なんだよね。でも東京に住んでてどうも逆のような感じもしていた。内モンゴルの沙漠に植林に行った時にも、大型のを「スコップ」と言ってたっけ(一方で、パワーショベルとは言ってもパワースコップとは言わんなあ)。愛知の梅村はどう呼んでいるんだろう。

で、話戻って、ポイントはまず、これらの道具は「育樹」というより「植樹」に用いるものじゃないのかという点ですww。剪定なら鋏、枝打ちなら鉈を使うだろうからソコの辺りを描きなはれ。

≪危なくてそんなもんデザインできっかよ≫

でもそこに取り組むのがデザイナーっちゅうもんであってだねえ、(以下省略)。

さらに注目すべきは、梅村が盛ったアイテムは全て小型の「シャベル/スコップ」であって大型の「スコップ/シャベル」ではないってところです。ご当地公募デザインにしばしば見られる幼児性の表出(ばっさり)。
仮にこれらの作品が育樹祭ではなく植樹祭のシンボルマークだったとしても、その現場で活躍するのは大型の方じゃないんですかねえ(あるいは鋤鍬かしら)。

 

我を生みしはこの鳥骸(てうがい)のごときものかさればよ生(あ)れしことに黙(もだ)す
     齋藤 史

2019年9月22日 (日)

【加筆編】年輪を重ねるということ(京都育樹祭・香川育樹祭・東京育樹祭・沖縄育樹祭) 壱の輪

(承前)

cf.
2019.04.06「高齢ガイダーの一徹」
2019.04.07「団塊の世代の執念」
2019.04.08「前期高齢者とて執着」

以前、春の全国植樹祭と秋の全国育樹祭のシンボルマークにつき、松岡英男を中心に取り上げたことがあった。
しかし、梅村も実は全国育樹祭で、2016年の京都から2019年の沖縄まで、4年連続で入賞していた(2020年北海道では選に漏れている)。加えて、2018年福島開催の第69回全国植樹祭でも優秀賞を獲ている(残念ながら画像なし)。

おさらいしておくと、育樹祭とは、春の植樹祭で天皇・皇后が「お手植え」「お手播き」して育った木に、概ね10~30年後の秋に皇族(昨年までは皇太子(および皇太子妃)が出席した)が枝打ちや間伐、施肥等の「お手入れ」のセレモニーをする行幸啓である。例えば令和初となる今年12月の沖縄大会では、1993年4月の第44回全国植樹祭で平成天皇夫妻が植樹したリュウキュウマツとフクギを、秋篠宮皇嗣夫妻が手入れすることになっている(どうせなら悠仁親王も連れてきゃいいのに)。

対象となった樹種と絡めてデザインを見てみよう。

京都府
第40回全国育樹祭 シンボルマーク
(佳作)
梅村元彦(74歳:愛知県:デザイナー)
〔2015.03.18発表・2016.10.08~09開催〕
Umemurakyototreegrowingfestivalnext

「お手入れ」は北山杉と枝垂桜の剪定・施肥(桜剪る馬鹿梅剪らぬ馬鹿とやら表情うっしし)。育樹祭でも植樹祭でも使えるデザインだろ、とか、これが北山杉なの?ってなツッコミは取り敢えずおいといてと。下部の[波]の形は覚えておくように。

(最優秀賞)
丹羽凜花(17歳:愛知県:学生)

(優秀賞)
重田 修(70歳:神奈川県:会社員)
松岡英男(76歳:山形県:デザイナー) ※2020年秋開催の第44回北海道育樹祭シンボルマークでも優秀賞

(佳作)
梅村元彦
石井隆文(65歳:山梨県:自営業)
西田大地(23歳:兵庫県:専門学校生)
小谷紗弥(17歳:京都府:学生)
豊増秀男(84歳:福岡県:無職)

〔1991.05.26 第42回全国植樹祭〕
お手植え:北山スギ(府木)・シダレザクラ(府花)
お手播き:ヒノキ・イロハモミジ

 

香川県
第41回全国育樹祭 シンボルマーク
(優秀賞)
梅村元彦(75歳:愛知県春日井市:デザイナー)
〔2015.12頃発表・2017.11.19開催〕
Umemurakagawatreegrowingfestivalnext

(最優秀賞)
藤田和生(かずき)(19歳:香川県高松市:専門学校穴吹デザインカレッジ グラフィックデザイン学科2年)

(優秀賞)
梅村元彦
東原諄実(19歳:高松市:専門学校穴吹デザインカレッジ グラフィックデザイン学科2年)

(佳作)
三巻保征(71歳:新潟県三条市:無職)
深川重一(67歳:大阪府和泉市:グラフィックデザイナー)
奥野英一(65歳:京都市:デザイナー)
宮脇亜弥(29歳:香川県綾歌郡綾川町:専門学校穴吹デザインカレッジ グラフィックデザイン学科2年)
工藤和久(50歳:青森県弘前市:自営業)

若手が全員「穴吹」だった不自然、シンボルマークなのに愛称をつけちゃったおかしさ。

(愛称)
みどりひろ丸
大村眞道(66歳:高松市:太田南地区コミュニティ協議会職員)

「お手入れ」はヒノキとクロガネモチ。

〔1988.05.22 第39回全国植樹祭〕
お手植え:ヒノキ・クロガネモチ
お手播き:クロマツ・オリーブ(県木・県花)

作者による「作品の趣旨」と制定側の「講評」は次のとおり。

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香川県の[地形図]の中で[人々]が育樹して、やがて大きな森が出来、美しい日本になるイメージのデザインとしました。
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外枠は森を表し、三つの[若葉]は育樹を表しており、香川県から多くの人々の力で育樹により森づくりに取り組んでいこうということを表そうとした佳作である
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そんなものは嘘っぱちだ。次の年、梅村はこんなものを出しているのだから。

 

東京都
第42回全国育樹祭 シンボルマーク
(佳作)
梅村元彦(愛知県春日井市)
〔2016.11.17発表・2018.11.17~18開催〕
Umemuratokyotreegrowingfestivalnext

イニシャルの[と]だって言うんでしょ?とうに陳腐化したひらがな遣いのふにゃふにゃデザインに、香川から使い回しの[若葉]を一つ増やして描き込んだだけ。「お手入れ」対象となったイチョウなんて、極めて特徴的な葉の形をしてるのに、なんて思ってしまう。

〔1996.05.19 第47回全国植樹祭〕
お手植え:イチョウ(都木)・スダジイほか
お手播き:ヒノキ・ヤブツバキ

(最優秀賞)
盛 秀雄(青森市)(cf. 2019.04.08「前期高齢者とて執着」)

(優秀賞)
当具(とうぐ)かおる(三重県名張市)
三巻保征(新潟県三条市)
工藤和久(青森県弘前市)

(佳作)
池田克也(埼玉県狭山市)
梅村元彦
古室英恵(東京都立つばさ総合高等学校1年)
小野由理(東京都立荒川商業高等学校2年)
吉野遥香(東京都立工芸高等学校3年)

 

沖縄県
第43回全国育樹祭 シンボルマーク
(優秀賞)
梅村元彦(愛知県:デザイナー)
〔2017.12.15表彰式・2019.12.14~15開催予定〕
Umemuraokinawatreegrowingfestivalnex

[波]は寄せては返し、3年前の京都に戻る(苦)。どうでもいいけど沖縄じゃ12月も秋なんですね(笑)。

(最優秀賞)
シンボルマーク → マスコットキャラクター
がじゅ丸
松岡英男(山形県:グラフィックデザイナー)

(優秀賞)
梅村元彦
宮川さやか(長野県:主婦)
立志哲洋(東京都:無職)

(佳作)
村山純一(群馬県:グラフィックデザイナー)
駒井 瞭(大阪府:グラフィックデザイナー)
松永心華(沖縄県:豊見城市立ゆたか小学校6年)
内藤新二郎(大阪府:会社員)
とうままり(沖縄県:インターナショナルデザインアカデミー)

〔1993.04.25 第44回全国植樹祭〕
お手植え:リュウキュウマツ(県木)・フクギ
お手播き:イヌマキ・カンヒザクラ

 

老(おい)不気味わがははそはが人間(ひと)以下のえたいの知れぬものとなりゆく
     齋藤 史

(続く)

2019年9月21日 (土)

【加筆編】誰か老いより逃れざる(かながわ高齢協・越谷市60周年)

一期は夢よ ただ狂へ
     閑吟集

愚blogでぶった斬ってきた対象はご当地公募の応募側が中心であり、募集側に対する批判が脇に回った感は否めない(最近はそうでもないかな)。要は公募への接し方、クリエイターのあり方の問題として捉えているわけで。
かつ、いわゆる公募ガイダー、つまり「公募ガイド」誌を重要な情報源として全国に応募して回るマニア・常連の中でも、高齢の者を血祭りに上げることが多くなっている。高齢ガイダーほど、築いてきたDogmaで自らを縛り、その範疇でのみ単純再生産を繰り返す(傾向にある)からです。

募集側のLiteracyが低いからしょうがないでしょ、とか、これっぽっちの賞金で本腰入れてやってられるかよ、とかいうのは逃げ口上に過ぎない。そこを永年の経験でカバーできると考えるのは、大抵の場合、都合のよい思い込みである。
「ここをこうやりゃ必ず受かる!!」的な自らの殻を打ち破ることができなくなったのであれば、それはCreativityの老化を意味するだろうし、進化を止めればそれは即退化だ。

今回はそんな例をいくらか。

神奈川県横浜市神奈川区
一般社団法人 神奈川県高齢者福祉施設協議会
かながわ高齢協 シンボルマーク
梅村元彦(愛知県春日井市)
Umemurakanagawaelderlywelfarefc

2018年11月発表。お得意の「顔入りふにゃふにゃ」をまだ続けてるんですねえ(>_<)・・・(cf. 2016.12.28「ふにゃふにゃのおうさま」・12.29「おうさまのなやみごと」・12.30「みごとなふにゃふにゃ」)。
梅村の年齢は明かされていないが、他の複数例から計算してこの時78/79歳だったと見られる(因みに当時塩崎栄一は77歳のはずで、同年代ということになる)。

同協議会の定款上の「目的」は次のとおり。

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本会は、高齢者福祉及び介護に関する正しい知識の普及並びに理解の促進を図るとともに、高齢者福祉及び介護に係るサービスの質の向上確保に係る調査研究を行い、もって高齢者福祉及び介護事業の健全な発展と神奈川県民の福祉の増進に寄与することを目的とする。
-----

実施事業には「喀痰吸引等研修」なんてのもあります(この手の団体にありがちのようだが)。
同県内の老人ホーム、ケアハウス、デイサービスセンター、地域包括支援センター、在宅介護支援センター、グループホーム等から構成され、会員数360施設余りを数える(ただし、「神奈川県民の福祉」を謳いながら、横浜市と川崎市の施設は途中で分離独立しており含まれない)。ここが発足50周年記念でシンボルマークを制定したわけ。

一体、このデザインのどこが「高齢協」なのか。「神奈川県幼児教育施設協議会」のアイコンですとでも聞かされた方がよっぽど納得できる。(「幼教協」では微妙に語呂が妙かしら。だったら「幼教懇」か「幼保連」あたりで。)

ツルは基本的な考えとして、老者への尊敬の念というものは、長年生きて培われてきた(であろう)深い智恵に対して敬意を払う、傾聴することだと思っている。経験そのものに対して、ではなく。
もっとはっきり言えば、そうした智恵が感じられない目上・歳上の人間に対してはどうしても評点がひどく辛くなります(公募に限った話ではなくって)。それはそれでどうなのよと思ったりする昨今ではあるけれど。

高齢者の福祉や介護は、梅村にとっても己れ自身に現に降りかかる問題であるだろう。アンタにとっての社会性ってのは何なのだ。そこのところの意識ありせば、いくら何でもこの能天気なNeoteny Designはないだろ、と思ってしまう。

もう1点挙げておこう。今度は上記より1年ほど前、2017年9月に発表された投票候補作品ですが。

埼玉県越谷市
市制60周年 記念ロゴマーク
(投票候補D)
_umemura_koshigayacity60thanniversar

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ひらがなの[こし]をモチーフとして市民が笑顔で明るく楽しく60周年をお祝いしているイメージとしました
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作者不明なれど、これも即答で梅村作であろう。正直飽きてる、このパターン(「つる三ハ○○ムし」にも似ているw)。それしか言う言葉はない。しかし。

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〈応募資格〉
市内在住・在勤・在学または市内で活動している方(プロ・アマチュア、個人・企業等問いません)
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梅村は愛知県春日井市の在住である。ということは立派な規定違反じゃないか。「市内で活動している」の記載を楯に取って、ご当地の○○の公募に応募したことがあるもーん、なんて風にはぐらかしたのだろうか。それとも募集側が忖度して・・・;-)。

そのせいもあってか、採用作品の作者住所まで伏せられている。

(採用)
高田伸一

〔キャッチフレーズ〕
「60年 はばたけ未来へ みんなの越谷」
倉科優子

思えばこれの10年前、50周年のロゴマークは栄一作品だったんだよなあ。

【その97】
埼玉県越谷市
市制施行50周年 記念ロゴマーク
塩崎栄一
〔2008年3月発表〕
越谷市50周年(最終版)

〔キャッチフレーズ〕
「歩みつづけて半世紀 さらに飛躍の新世紀」
福島美佐子(58歳:埼玉県本庄市:主婦)

「時代」が変わっていないのか、それともガイダーが変わっていないのか。

梅村一族が規定に違反してご当地公募に応募してきたのは、これが初めてではない。越谷市60周年ロゴマークと同じ2017年の6月には次のものがある。

【2017.12.21「大御所厳選!Countdown, 8!!」】
近畿6府県 共同募金会
第71回赤い羽根共同募金 2017年記念バッジ
(希望くん賞)
梅村貴子
近畿赤い羽根共同募金バッジ2017(梅村貴子案)

これも、滋賀・京都・兵庫・奈良・和歌山・大阪の在住/在勤/在学者限定の公募だったのに、です。

ああ、でも、こんなネタで書くようになったら愚blogもそれこそおしまいかな・・・。

梅村作品、次回は少し違う角度から探ってみよう。

(続く)

2019年9月17日 (火)

似て非なるもののおまけ - サンマ王国の凋落

(承前)

前回挙げたサンマの記事は3月の話だったけれど、それから半年経って次の報道が出ていた。やっぱりサンマもさっぱり不漁という不景気話で。

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(2019.09.07 朝日新聞 抜粋)

秋の味覚「サンマ」の漁の出足が、大不漁となっている。今秋に日本近海に来遊する量の予測からその恐れは出ていたが、現実になってきた。スーパーや飲食店はサンマの確保に四苦八苦し、店頭の値段も上がって食卓に影響が出ている。
サンマの水揚げ量日本一を誇る北海道・根室の花咲港。秋の漁が8月上旬、小型船を皮切りに解禁、同月16日までに戻ると衝撃が走った。水揚げはほぼゼロ。22日に中型船が実質的に「初水揚げ」をしたが、その量は17トンで、昨年の120トン強を大きく下回った。
26日に大型船の帰港が始まったが、昨年のこの時期の量には及ばない。サンマ漁船の古林 勲機関長は、「魚群がなかなかいないうえ、魚体も小さめ。例年になく漁は厳しい」と話す。
毎年恒例の「根室さんま祭り」にも暗雲が漂う。9月21、22日に開き、会場で箱詰めの生サンマを販売して開催費に充てる計画だが、不漁で必要量を確保できるかがわからない。実行委員会の関係者は、「来年以降は開催時期を後にずらすことも考えないといけない」と頭を抱える。
宮城県気仙沼市の気仙沼港では8月27日に初水揚げがあり、60トンを超えた昨年の1割強の8トンだった。6割が130グラム未満と小さい魚が多い。
東京・目黒駅前で9月8日に開かれる「目黒のさんま祭り」は今年、炭火焼きのサンマを冷凍物にすることに。毎年生サンマを送ってくれた岩手県宮古市が、不漁で祭りに必要な7千匹を確保できなかった。
祭りのサンマは、「専門店や料亭でもなかなか味わえない『トップクラス』の味」と新鮮さを売りにしてきた。急きょ、北海道産への切り替えも検討したが、脂の乗りが良いものを集められなかったという。祭りの実行委員長の中崎政和さんは、「今回で24回目だが、こんな事態は初めてだ」とため息をつく。
同県大船渡市で8月25日にあった恒例の復興支援の恩返しイベントでも同様に、炭火焼き用の生サンマが冷凍になった。生サンマの販売も、「後日発送」とした。
漁業情報サービスセンターによると、8月に全国で水揚げされたサンマは約1千トン。約9千トンだった昨年どころか、48年ぶりの大不漁だった2017年(約7千トン)にも届かない。市場での平均価格(1キロあたり)は642円。昨年(316円)の倍に跳ね上がった。
渡邉一功・漁海況副部長は、「今秋のサンマ漁の出足は、過去約50年間で最低水準とみられる」と話す。
08年は34万トンあった日本のサンマの水揚げ量は、15年以降は10万トン前後と不漁続きだ。水産庁は、日本近海の海水温上昇で、温かい水を嫌うサンマが近づかなくなったことに加え、中国や台湾の漁船による公海での漁が本格化し、資源が枯渇していることが原因とみている。
国の研究機関「水産研究・教育機構」の予測では、今秋に日本近海に来遊するサンマの量は、比較できる03年以降で17年に次ぐ少なさだった。このため大不漁の恐れが出ていたが、予測通りの出足になっている。
不漁続きの近年は、漁場が従来よりも沖合にできる傾向がある。水研機構は、9月下旬になれば来遊量が増えると予想するが、今年の漁場は近年よりもさらに沖合になると見ている。
沖合だと燃料代がかさむうえ、往復に時間がとられ、漁の時間が短くなる。鮮度の維持も課題になる。冷凍設備が無く、沖合で漁ができない小型船も少なくない。同センターの渡邉副部長は「9月下旬以降も厳しい水揚げの状況は続くのではないか」と予想する。

〔後略〕
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出た。サンマの話題になると必ずと言っていいほど書かれる「目黒のさんま」ネタについては、割と知られていることじゃないかと思うけど、目黒界隈で焼きサンマがタダで食えるお祭りは2つある。2019年でいうと・・・;

9月8日(日)
第24回目黒のさんま祭り
@目黒駅前商店街(品川区上大崎二丁目)

※同日は深更から翌未明にかけて台風15号が首都圏を直撃したけど、朝から夜半までは雨も基本的に降ってなかったんです。

9月15日(日)
目黒のさんま祭(第43回目黒区民まつり(目黒のSUNまつり)の一環として)
@田道(でんどう)広場公園(目黒区目黒一丁目)

※目黒区民センターに隣接する公園で、目黒駅からは700mほど離れている。

の週替わり、目黒駅(品川区にある)の東側(山手線の内側)と西側(同 外側)に分かれて。後者はついおとといの開催でした。

これらのイベントは以前から岩手県宮古市(上大崎方) vs 宮城県気仙沼市(目黒方)の漁協同士の面子をかけた代理戦争でもあったけれど、さらにいろんな思惑が絡んできて、だんだん浅ましさを増している気がする。

上大崎方では;

・和歌山県日高郡みなべ町産の備長炭
・徳島県名西郡(みょうざいぐん)神山町産のスダチ
・栃木県那須塩原市産の辛味大根の大根おろし

のご当地産品がお約束ごとになってきているらしい。

目黒方でも;

・大分県臼杵市産のカボス

が添えられるとか。

実は、目黒方の「目黒のさんま祭」(ああ、ややこしいわ)でも一昨年は冷凍サンマを使うことを余儀なくされたので、上記記事がそこに一切触れていないのは不自然に思える。今年も上大崎方同様、冷凍ものかと思っていたら、2日前の13日に気仙沼で水揚げがあって5千匹の生サンマを出せたそうです。

ついでに言うと、「大型船による通年操業」の件について何も書かれてないのも不思議。

企業城下町化による地域振興が常にリスク含みで捉えられる(cf. 2018.06.09【その213】・2018.06.11 「平成とともにパジェロ、去る(?)」)のに比べ、農林水産業や手工業などの伝統産業によるそれは安心感をもって受け止められやすいだろう。しかし、それも・・・。

もう、無理してやるのなんかやめりゃいいのに、古典落語の馬鹿噺に便乗した都会の祭りとか。資源枯渇が叫ばれてる時に無料で食わせたりするのってどうなのよ(試算すると、2つの祭り合計で1.5トン程度にはなる)。この7月も環境省が「土用の鰻はご予約を」つっただけで大炎上したじゃん。
結局のところ、「獲る漁業からつくる漁業へ」などと謳ってみても、水産業においては自然を手なずけて利用する度合いが農林業に比べ格段に低いということなのだろうなあ。

2019年9月16日 (月)

似て非なるもの - ズワイガニ vs タラバガニ vs ケガニ:二杯目

(承前)

カニだけじゃないよねえ。例えば駿河湾の特産、サクラエビも不振を極めている。2018年の秋漁は全面休漁となり、2019年春漁は解禁されたものの漁果は振るわなかった。

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(2019.06.01 産経新聞 抜粋)

記録的な不漁が続く駿河湾で水揚げされるサクラエビ漁をめぐり、静岡県桜えび漁業組合は1日、当初の予定を5日前倒しし、今年の春漁を5月31日に打ち切ったと発表した。産卵エビが増加したことが理由で、資源保護を優先した。総水揚げ量は、春漁として記録が残る平成元年以降で最低となった昨春の312トンを大きく下回る85・3トンにとどまった。

〔後略〕
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ここも1994年から毎年5月3日に開催されている「由比桜えびまつり」が今年は中止(2014年も中止されており、好不漁の波が激しくなっている様子;cf. 2014.05.28「公募ガイダーのモチベーション:2」)。代わりにこの日は、静岡市清水商工会由比支所が中心となって新たに「由比いいもんまつり」を開いた由。

スルメイカもシラスウナギも記録的不漁が続く。

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(2019.02.19 日刊水産経済新聞 抜粋)

JF全漁連のまとめによると、昨年の全国のスルメイカの水揚げは生鮮、冷凍合わせて4万1697トンと全漁連の1984年以降の統計史上最低だった前年を23%も下回り、ワースト記録を更新した。平均単価は1%高のキロ567円と、不漁の“圧力”に抗しきれず、2年ぶりに上昇に転じた。
国内スルメイカ漁はこれで5年連続の前年割れ。各年の減少幅も大きく、2014年に14万トン超あった生産規模は、5年間で3分の1以下に縮小した。

〔後略〕
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(2019.03.22 株式会社ニューラル サステナビリティ研究所 サイト抜粋)

鹿児島県と宮崎県で3月19日までに、今漁期のニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)漁が終了した。

〔中略〕

鹿児島県では、2018年12月10日に漁を解禁し、3月10日に終了。許可採捕量1,869kgに対し、実績は136.2kg。前年同期比に比べ7.2kg増えたが、過去5年で見ると2番目に少ない。宮崎県でも3月19日に漁を終了し、許可採捕量500kgに対し実績は73kgで、統計開始した1994年度以降最低だった。うなぎ養殖漁の県別生産量は、1位鹿児島県、2位愛知県、3位宮崎県で、1位と2位の県ですでに深刻な不漁が確定した。他県では4月まで漁が続くが、高知県、静岡県、千葉県、茨城県、徳島県でも、今年は大幅な不漁になる見通し。

〔後略〕
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どうも1ヵ所記載ミスがあるようだけど。

「釘煮」で知られる春の味覚イカナゴ(半年近く夏眠する魚である)も各地で大不漁と報じられている。

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(2019.02.17 兵庫かわら版 抜粋)

〔前略〕

平成31年2月15日兵庫県水産技術センター(明石市)は、イカナゴの新子(稚魚)漁が、兵庫県内の瀬戸内海全域で不漁となる見込みと発表しました。
不漁の予報は3年連続です。
兵庫県のイカナゴ漁獲量は、平成14年頃までは1万5千トンから3万トン程度で大きく増減を繰り返していたのですが、平成15年以降は1万トン程度で推移。
一昨年、昨年は極端な不漁で、それぞれ852トン、1,621トンと、極端な不漁になっています。

〔後略〕
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(2019.03.12 みなと新聞)

伊勢湾と三河湾のイカナゴ(コウナゴ)について、愛知、三重両県の船びき網漁業者が11日、今期の漁を見合わせることを決めた。禁漁は4年連続。試験びきでイカナゴがほとんど水揚げされず、今年の操業もできないと判断した。
両県の水産試験場が1~2月、両湾で行った調査では、コウナゴがほとんど採取されなかった。3月9日に3地点で行った調査では、約20分間で2~48尾しか獲れなかったのを受け、漁業者は正式に漁を断念した。
両県では例年2月下旬~3月に漁が解禁し、4月まで食用、5月まで生餌用として水揚げされていた。しかし2016年に稚魚が激減し、初の禁漁となった。親魚の保護により資源の回復を図っているが、「湾口付近にある渥美外海に近年、暖水流が流入し、冷水で生息するイカナゴの親魚が増えない環境が続いている」(愛知県漁業生産研究所)。
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(2019.05.09 みなと新聞)

福島、宮城県のコウナゴ(イカナゴ稚魚)漁が過去に例がない不振に見舞われた。福島県下で5月上旬現在まで初漁がなく、このまま終漁を迎える見通し。一方、宮城県では序盤から漁模様が上向かないまま先月27日までに約26トンで終漁。両県ともに過去最低の生産となった。
福島県は例年、3月下旬から4月初めの間に解禁、初漁がある。しかし今年は、4月に入ってからも漁期前調査で満足な魚群が見えない状態が続いていた。相馬双葉漁協は「調査に出ても手のひら1杯程度しか入らなかったという報告がある」と説明する。他魚種の操業を行いながら様子を見ていたが、「魚は今も見えていない。例年なら5月初めごろまでの操業で、このまま終漁となりそう」(相馬双葉漁協)。
既に例年7月ごろからスタートするシラス試験操業に向けた準備を進めているという。関係者は「コウナゴがなかったため、今年は6月からでも操業できるような体制をとる。操業時期は今月中旬に行う会議で話し合う予定」としている。
宮城県は4月2日の初漁が前代未聞の水揚げゼロとなり、同9日に100キロを水揚げしてシーズンがスタート。しかし、その後も漁獲がまとまらないことに加え、小サイズ中心の組成が続いた。大不漁だった昨年の825トンから97%も減少。「これほど少なく、激減したのは初めて。過去最低の水揚量だ」とJFみやぎの担当者は話している。
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そのシラスだって不安定な状況が続いているわけだが。

そんな中で禁断の舵を切ったのはサンマ。

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(2019.03.07 時事通信 抜粋)

水産庁は7日、大型船によるサンマ漁の通年操業を認めることを決めた。これまで一定期間のみとしていたが不漁が続いているため、柔軟な操業ができるよう規制を緩和する。これを受け一部の漁業者は、5~7月ごろに日本の沖合や太平洋の公海で操業を始める見通しだ。

〔中略〕

サンマ漁は例年7月ごろから小規模漁業者から始まり、大型船の漁はサンマが日本近海にやってくる8~12月に限定してきた。しかし、近年は不漁が続き、大型船の漁業者が通年操業を認めるよう同庁などへの働き掛けを強めていた。
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となると思い出すのは、1992年から3年間全面禁漁とした秋田のハタハタ。資源回復の成功例だぐらいに考えてたら・・・。

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(2019.03.21 秋田魁新報 抜粋)

秋田県や県漁協でつくるハタハタ資源対策協議会は20日、秋田市土崎港のホテル大和で今季のハタハタ漁を総括する会合を開き、2018年漁期(18年9月~19年6月)の漁獲量は実質的に漁が終わった2月末現在で605トンと、漁獲枠(800トン)の76%だったと報告した。前年実績の481トンを26%上回ったものの小型魚が多く、漁獲金額は1995年の禁漁解禁以降最低の3億3820万円にとどまった。県水産振興センターは「日本海北部の資源量は増加傾向にない。漁獲を抑える方策が必要だ」と訴えた。

〔後略〕
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空恐ろしい数字が並ぶ。ご当地物産で地域興し、どころではない。

一方で、従来は南方の魚のリスクという認識だったシガテラ中毒も、昔から普及している食用魚での発生(イシガキダイやヒラマサでの報告例もある)が増えてくるのではないかという気がする(注意すれば防げるはずのアニサキスなんかより、なんぼか深刻な問題だと思う)。
もう、海の底は狂っているのだろうか。80年代頃から囁かれていたことかもしれないが。

2019年9月15日 (日)

似て非なるもの - ズワイガニ vs タラバガニ vs ケガニ:一杯目

このところ【似て非なるもの】で食のネタを取り上げてるつながりで、今回は豪華食材の饗宴とまいります。カニ三昧の大ネタ(でも生物学的興味が中心、悪しからず。風味の違いなんてネット上に食傷するほど出てますから)。

どちらかというと北国の美味、冬の味覚という感じだけれども、南から見ていこう。まずはこれ。

【ズワイガニ/Chionoecetes opilio/snow crab】
短尾下目(カニ下目) - ケセンガニ科 - ズワイガニ属

山陰以北の日本海と東北地方からカナダまでの北太平洋、オホーツク海、ベーリング海に分布し、3種の中では最も深海性のようである。
♀は♂(大きい個体では脚を広げると70cmに達する)の半分程度の大きさしかない。♂の方が体が大きいというのは割と珍しいねえ(哺乳類あたりを除いて)。これは確か、♀は卵を産むようになるとそちらに養分を取られるので脱皮しなくなり、成長が止まるということではなかったか(cf. 2015.11.25「ご当地の魚に向かひて我物申す:二匹目」)。

より深い場所に棲む近縁種ベニズワイガニ/Chionoecetes japonicusも近年、ズワイガニの代用品から脱皮して資源価値が高まっている。山陰の香住漁港でいうカスミガニ、北陸の富山湾のアカガニはこれ。肉が柔らかくて加熱すると身が縮みやすいものの、生の甘味・旨味の成分はズワイガニに勝るなるべし。価格が安いこともあって、市販のかにクリームコロッケなどに入っているのも大抵こちら。

漁期は西と東で異なり;

富山県以西:♂は11月6日~3月20日、♀は11月6日~1月10日
新潟県以東:♂♀とも10月1日~5月31日

とかなり開きがある。北の方ではGW越しても食えるっちゃ食えるんですなあ。さらに、省令や自主協定により、各地の規制は細かく異なるようです。

さらに話をややこしくするのがブランディングの問題。高級食材たる故に格好の地域ブランドの対象となっており、雌雄のサイズが異なることとも相俟って、様々に名称がつけられている。

♂では;

マツバガニ:山陰地方
トットリマツバガニ:鳥取県
カスミマツバガニ:兵庫県美方郡香美町の香住漁港(カスミガニはベニズワイガニ(の♂))
シバヤマガニ:兵庫県美方郡香美町の柴山漁港
ハマサカガニ:兵庫県美方郡新温泉町の浜坂漁港
ツイヤマガニ:兵庫県豊岡市の津居山漁港
タイザガニ:京都府京丹後市の間人(たいざ)漁港
アミノガニ:京都府京丹後市の浅茂川漁港(アミノガニにおける「タイザガニ」はご当地唯一の底引き船「大善丸」に由来するとやら)
エチゼンガニ:福井県
カノウ(加能)ガニ:石川県(公募により命名、越前に対抗して加賀+能登)
マイセツ(舞雪)ガニ:秋田県男鹿市で12月25日~2月末日に水揚げされる♂のうち、800g以上で脚が全て揃っているもの
ホッカイマツバガニ:北海道、青森県、山形県、新潟県、富山県、ロシアで水揚げされる♂のズワイガニや♂のオオズワイガニ

と百花繚乱。
なんでも、所属漁港や漁船名まで記しタグを付けたりしてるそうな。農産物や畜産物のノリ台風台風

なお、脱皮直後の♂はミズガニと呼ばれ、鳥取県ではワカマツバガニと呼ぶ。

♂に比べると♀は割と単純ですが、それでも;

オヤガニ:鳥取県・島根県
セコガニ:兵庫県
コッペガニ:京都府
セイコガニ:福井県
コウバコガニ:石川県

などの地方名を持つ。

さらには、秋田県や山形県などで本種をタラバガニと称する地域まである由。

ただ、ここで押さえるべきポイントは、「ズワイガニは♀も漁業対象となっている」こと。タラバガニやケガニでは(ベニズワイガニも)資源保護の目的で♀は漁獲禁止なので、別の名前がつくこともないわけだろう。

とても覚え切れまっせん・・・。乱立がかえってブランド力の低下を招・・・ああいやいや。

ズワイガニよりさらに二回りほども大型化するのがタラバガニ。

【タラバガニ/Paralithodes camtschaticus/red king crab】
異尾下目(ヤドカリ下目) - ヤドカリ上科 - タラバガニ科 - タラバガニ属

カニではなく超巨大ヤドカリであることはよく知られている。
見分けのポイントは、右のハサミが左より大きいこと、♀の腹部が左右非対称であること、そして何より脚が4対しかない(ように見える)こと。これは、第5脚が非常に小さくて鰓掃除専用になってるため。茹でる前の体色は、ズワイガニの暗赤色に対して暗紫色。
一般的なカニの「横這い」に対し、縦方向にも歩けるという器用者っす、ヤドカリだから。また、生臭いとしてカニミソが食用に供されることはまずないらしい、ヤドカリだから。

分布は日本海、オホーツク海、ベーリング海等の北太平洋や北極海のアラスカ沿岸で、バレンツ海でも1960年代の放流により、天敵のいない環境下で爆発的に殖え生態系を脅かす存在にまでなっている由。また、南半球のチリ、アルゼンチン付近にも生息しているらしい。タラバ鱈腹食いたきゃバレンツ海かガラパゴスを目指せ。

我が国での主な漁場はオホーツク海で、漁期は基本的に1~5月と9~10月だけど、これにはあまり意味がない。現在日本で流通しているのはほとんどがロシア産(通年漁獲だとか)、あとはアラスカかカナダのもの。「産地直送」と謳ってあっても海外産、なんてことも珍しくないそうな。特に、「子持ちタラバ」だったら輸入品で、これは日本では古い農水省令で♀の漁獲が禁じられている(but販売については規制がない)ため。

近縁種には、北海道東端の根室市納沙布岬(のさっぷみさき:北海道北端の稚内市の野寒布岬/のしゃっぷみさきとは異なる)を中心として夏~秋に獲れるハナサキガニ/Paralithodes brevipesや、2004年にタラバガニ偽装で社会問題となったアブラガニ/Paralithodes platypus等がある。

ズワイガニとタラバガニを見分けられない人は割といると思うんだけど、次のものはそんなこともあまりないだろう。

【ケガニ/Erimacrus isenbeckii/horsehair crab】
短尾下目(カニ下目) - クリガニ科 - ケガニ属

北西太平洋の沿岸域に分布し、水深30~200mと案外浅いところに生息する。日本では何といっても北海道のうまいもん代表という立ち位置だけど、人間様の食用にされ始めたのは第二次世界大戦の少し前からと歴史は浅く、それまでは肥料にしていたとか。
漁期は北海道全体としてはほぼ通年。ただし漁場は、春のオホーツク海、夏の噴火湾、秋の釧路や根室、冬の十勝と移り変わる。

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で、ズワイガニ以外♀は資源保護のために禁漁だけれども、これにも問題はあるらしい。雄雌比に極端な偏りが生じて、繁殖に影響を与えているという説があるそうです。何だか、問題がズレている気もするんだけどねー。単に♂を獲り過ぎている、というのとはどう違うの?このところ、ケガニは深刻な不漁に襲われているらしいし。

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(2019.04.11 日刊水産経済新聞)

オホーツク沿岸で3月から始まった毛ガニかご漁は、南部で記録的不漁に見舞われている。浜相場は高騰し、平均単価は空前のキロ6000円台を記録、産地関係者からは「異常な高値」との声が上がり、製品販売の先行きに懸念が出ている。
同漁は例年通り、北部の宗谷管内を皮切りにスタートし、3月16日に同管内の宗谷、猿払村、頓別、枝幸で一斉に初水揚げがあった。20日からは南部のオホーツク管内の雄武-常呂、25日から網走-ウトロでも解禁。順次操業が始まり、4月8日の斜里での初水揚げをもって全地区が出揃った。
しかし、オホーツク管内の漁模様はシケもあって思わしくなく、道の集計によると3月31日現在の漁獲は前年同期比84%減のわずか11トンと低迷している。宗谷管内も8%減の296トンと前年を下回っているが、これは出漁日数が前年より3日少ないことに起因しており、一日当たりの漁獲量は11トンとほぼ前年並み。オホーツク管内の一日当たりの漁獲量は前年比74%減の0・5トンで、不振ぶりが際立つ。南部の漁協関係者は「出漁してかごを入れても全然(カニが)掛かってこない。資源が少ないようだ」と困惑している。
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今年、紋別郡雄武町(おうむちょう)では例年4月下旬に開催されている「毛がにまつり」が中止された。

(続く)

2019年9月14日 (土)

似て非なるもの - 芋 vs 薯 vs 藷

cf.
2012.11.11【その6】

「豆」の次は「芋」です。

「芋」とはそもそも何だろう。「薯」や「藷」とはどう違うのだろう。

現代の日本で「いも」とは、ごく大まかに言って4つある。ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマノイモ。どういう対応関係に立つんだろう。

もともと日本にはヤマノイモ科のヤマノイモ/Dioscorea japonicaや縄文期に入ってきたというサトイモ/Colocasia esculentaぐらいしかなかったはず。∴古来から「山芋」対「里芋」という認識はあったのだと思う。

芥川龍之介が「芋粥」のベースにした今昔物語集の話はヤマノイモのお粥のことで、これはヤマノイモを甘葛(あまづら(*1))で煮たもの。お米は入ってなかったらしく、饗宴の終わりに出てくるお楽しみのデザートだったようです。五位の中流貴族が「哀レ、何カデ署預粥ニ飽カム」と漏らしたのは、「あー、お腹いっぱいになるまでケーキ食べてみたいケーキハートぴかぴかひかる」的な子供じみた願望だったわけや。「署預」=「薯蕷」=「いも」です。ありゃ、「蕷」まで出てきちゃった。

(*1) ブドウ科で落葉性のツタ(ナツヅタ)/Parthenocissus tricuspidata(*2)の煎じ汁とも、ウリ科のアマチャヅル/Gynostemma pentaphyllumの煎じ汁であるとも。仏教の灌仏会すなわち花祭りに使われる、ユキノシタ科のアマチャ/Hydrangea macrophylla var. thunbergii(*3)の葉を煎じた甘茶とは別物。

(*2) ウコギ科の常緑性のキヅタ(フユヅタ)/Hedera rhombeaとは全く別物。

(*3) 実はアジサイ/Hydrangea macrophyllaの変種。アジサイの葉っぱも甘いんだろうか。

このヤマノイモの自生品は現在「自然薯」と呼ばれてますね。

その後、江戸中期に甘藷先生青木昆陽が関東に広めたヒルガオ科のサツマイモ/Ipomea batatasは「甘藷」で、明治になって北海道で栽培が本格化したナス科のジャガイモ/Solanum tuberosumは「馬鈴薯」ともいう。子供の頃、ツルの母親はたいがい「ばれいしょ」と呼んでいて、微妙に古臭いと思ってた気がするけど今は懐かしいや。

漢字としては、まず「芋」は、植物が根や地下茎に養分を溜め込んだものの最も一般的な名称である。サトイモ科のコンニャク/Amorphophallus konjacの球茎なんかも含み得るわけですな。とともに、特にサトイモのことを意味したらしい。
「芋」の字に入っている「于」は、感嘆の意味があるほか、「大きい」を表す(「宇宙」の「宇」もそんな感じね)。「芋」には「根茎部が大きい」「葉が大きい」の二つのOriginがあるようで、後者なら確かに葉っぱのでっかいサトイモ(のみ)が当てはまることになりそうです。

万葉集には;

はちす葉はかくこそ有るもの
意吉麻呂が家なる物は宇毛(うも)の葉にあらし

という歌があり、この「うも」は「いも」の古名です。宴会に招かれて、蓮の葉に盛られた料理を前に「いやあ、ウチなんぞは芋の葉(に盛ってるぐらいのもの)ですよ」と詠んだもので、御馳走を褒め立てる意も絡めてあるのだと思う。これも、葉が大きくて一見ハスに似ているサトイモでなくては意味が通らない。

因みに「于」も「芋」も(「宇」も)音読みは「ウ」。近代日本画の小川芋銭(1868.03.11(慶応4.02.18)~1938(昭和13).12.17)の読みは「うせん」です。

「薯」は、どうやらもともとはヤマノイモの仲間のつる性多年草植物、ないしは粘り気のある「いも」を指したらしい。
「藷」の方は、サトウキビ、ナガイモ(*4)、(「薯」と通じて)いもの総称、といった意味があるのだそうな。この字はもと「薯」の異体字だったということでもある由。
そう言えば、皮の生地に擂り下ろした山芋を加えて蒸して作る「じょうよまんじゅう」も、「薯蕷饅頭」「藷蕷饅頭」両様に書くとかで、先ほど出てきた「蕷」もヤマノイモを指す言葉なんだそうです。

(*4) 種としては、ヤマノイモとは異なるDioscorea polystachyaということになる(この場合、その差異にどれほどの意味があるのかは別として)。

うーーーん、一向にスッキリしない感じではありますが(汗)。

そだ。イネ科サトウキビ属のサトウキビ/Saccharum officinarumにも「かんしょ」の別名があるな。これは「甘藷」ではなく「甘蔗」と書く。「藷蔗」という呼び名もあります。てことは、「蔗糖」は本来、砂糖の中でもサトウキビ糖を指すことになる。
因みに、サトウキビは種子島では「おうぎ」、徳之島では「うぎ」、沖縄では「うーじ」と呼ばれ、これらは「おぎ」(荻)が訛ったもの。ただし、オギ/Miscanthus sacchariflorusは同じイネ科ながらススキ属です。時々、花屋さんの店先で「ミスカンサス」という葉物を見かけるけど、まさかススキの仲間のことだったとは!「Miss Kansas」とか何とかいう品種名だとばかり思ってました、今の今まで。

他方、肥大した根茎部のことをなべて「いも」と言うのかというとさにあらず。「ところ」という言葉もあって、キジカクシ科またはユリ科に分類されるアマドコロ/Polygonatum odoratumやナス科の有毒植物ハシリドコロ/Scopolia japonicaなんてのもあるわけです。埼玉県所沢市の地名の謂れはこれだし(因みにご当地出身の所ジョージの芸名の名付け親はあの宇崎竜童である。「所沢の柳ジョージ」の意)、東京五輪エンブレムの作者、野老朝雄の名字もこれのことだろう。

園芸を多少かじったことのある人ならすぐわかるだろうけど、キク科のダリア/Dahliaの球根も、サツマイモにとてもよく似ている。これはまあ、「芋」になるんだろうな。

ああ、でも、今回はこのくらいで。もういいもん、だ。

2019年9月 8日 (日)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その238:千代田区障害者サポーター)その2

(承前)

そもそも千代田区はどのような意識でこの制度を創設(2018年度中)したのか。

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障害者サポーターとは、障害への理解を深めながら、地域における声掛けなど具体的な配慮等の普及・啓発を行っていただく方です。
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ふうむ・・・。
同区は総人口(夜間人口)が2015年国勢調査で58,406人と23区内最少ながら、2010年国勢調査の47,115人と比べると+24.0%という驚異的な増加率を示しており、これは市区町村レベルで全国第1位。この傾向は今後もまだまだ続くんだそうです。別の視点から見ると、2010年時点では5万人に足りず地方自治法上の市制要件(東京都特別区は市と同格である)を充足していなかったところが、やっと名実ともにってことになるわけ。

千代田区に住むのって、どんなものなんだろう。同じ東京都とはいえ「南大田区」の場末に住むツルにはあまり想像がつかない。そりゃまあ、皇居だの国会議事堂だの国立劇場だのホテルニューオータニだのがあっても、だから暮らしやすくなるとはとても言えんよな(爆)。

地方の人口5万人レベルの小都市、例えば新しいところで2018年10月1日に福岡県筑紫郡那珂川町が単独市制施行して誕生した福岡県那珂川市(2019年4月末つまり平成最後の日に人口50,286人である)と、この東京都千代田区で、障害者共生のあり方が同様だとはとても思われない。
千代田区の昼間人口は2015年国勢調査時点で853,068人(=夜間人口の14.6倍)、つまり非居住者によって街が成り立っているからです。一方那珂川市は、北に接する政令指定都市福岡市のベッドタウンとして発展してきているから、むしろ夜間人口の方が多いだろう。その差異は大きいと思う。

ともあれ、シンボルマークと同時に愛称も公募された。

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募集内容
愛称もシンボルマークも共に、「障害などのあるなしに関わらず、その人らしさが尊重され、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる千代田区の実現」に寄与するものであること。
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冒頭に書いた千代田区の説明を読んでみても、区内居住者を対象として想定しているように思われるから、この政策の効果は限定的ではないのかと思えてしまうわけ。どうでしょう、千代田区保健福祉部障害者福祉課障害者福祉係さん(21字)。

どちらも対価は図書カード1万円分で、次点は設定されていない。(つまり対価トータル2万円也で「ガーデンシティみしま」と同様のお手軽感。)

(愛称)
ハートクルー
今田 豊

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心と心がふれあうまちのハートと、複数の作業員から成る一団であるクルーを合成した造語です。活動する個人の呼称として用いることを目的とし、誰でもハートクルーになれるという意図で、覚えやすく親しみやすい愛称としました。
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作業員なのかよ・・・。
シンボルマークに[ハート]が使われることはもう、必然だったわけだね。

本件シンボルマーク公募は1人1点のみという応募制限があったが、塩崎一族はそれを守ったと言い得るのか否か?
応募総数は53点。三島市障がい者週間のシンボルマークは18点、「魅力ある福祉・介護の職場宣言~ひろしま~」ロゴマークは20点だったからマイナー公募と言えたろうが、今までも繰り返し説いてきたとおり、それでも公募は公募であって、事後的使い回しは到底許されることではありません。それは採用対価がMinimumなものであっても同じこと。

障害者福祉を推進しましょう、その大目的のために新たな制度を設けましょう、VIも採り入れましょうとなったにもかかわらず、結果的にそのVIが逆にネガティブな効果を生んでしまうというのでは何にもなりませんよ、千代田区保健福祉部障害者福祉課障害者福祉係さん。

2019年9月 7日 (土)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その238:千代田区障害者サポーター)その1

(承前)

既視感の強さにのけぞるどころかひっくり返ったのがこれ。昨年、2018年11月発表(ついこないだやんけ)。

東京都千代田区
千代田区障害者サポーター制度 シンボルマーク
滝沢 卓(たく)
Takizawachiyodawardheartcrew 

-----
思いやりの心[ハート]をモチーフにし、障害者と健常者が共に思いやり日々安心して暮らせる町づくりをイメージし作成しました。
-----

ウソだろ、あり得ない。前回取り上げた諸々は2010年前後の古いものだったけれど、何も変わっとらんじゃないか表情怒りいなずま。千代田区は一体何をやっておるのだ。

【その65】
静岡県三島市
三島市社会福祉協議会
三島市障がい者週間 シンボルマーク
塩崎エイイチ
〔2011年12月発表〕
三島市障がい者週間

【その131】
東京都羽村市・山梨県北杜市
羽~杜プロジェクト ロゴマーク
塩崎エイイチ
〔2013年10月決定〕
羽〜杜プロジェクト

【その131】
広島県
広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会
「魅力ある福祉・介護の職場宣言~ひろしま~」ロゴマーク
塩崎榮一
〔2014年12月発表〕
魅力ある福祉・介護の職場宣言〜ひろしま〜

特に、最後の広島のものとはほとんど同じではないか(ツルに言わせれば)。元ツッパリアイドルの某自民党参議院議員先生(54歳)の言葉を借りれば、「恥を知りなさい!!」である。

無論、「未発表オリジナルで、第三者の著作権、商標権などの権利を侵害しない作品であること」とされていたし、しかも決定に際しては「商標調査を行った」と明記してあるんですよ。どちらも「福祉」をテーマとしたものである以上、同じ作者;-)とは言え、本件類似を看過することはできない(`Δ´)。
これだからツルはもう著作権制度とか弁理士とかに信頼を置くのはキッパリやめます(こらこら)。

で。
2019.07.05(つまり松戸ナンバー次点問題で@niftyとモメていた最中ね)、まず広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会に対してチクりを入れた(以下いずれも抜粋)。

-----
千代田区のデザインは貴協議会の権利を侵害しているものと考えます。何らかの策を打たれるべきかと存じます。

〔中略〕

塩崎氏(=滝沢氏)は、貴協議会において制定済みのデザインの細部を手直しするだけで他所に再応募したことになります。貴協議会のロゴマーク公募時の募集要項においても、著作権の譲渡および著作者人格権の不行使を約する規定はきっと存在していたものと存じますが、塩崎氏の行為はそれに違反するものであろうと考えます。
-----

それと同時に、千代田区の担当部署、保健福祉部障害者福祉課障害者福祉係に対しても問い合わせを行った。要点は以下のとおりである。

-----
(1)商標調査を行われた際、上記の「魅力ある福祉・介護の職場宣言~ひろしま~」ロゴマークは検討対象とされましたでしょうか。

(2)検討対象とされていた場合、類似ではない、すなわち第三者(広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会)の権利を侵害していないと判断されるに至った根拠はどのようなものだったでしょうか。(弁理士等の意見はどのようなものでしょうか。)

(3)滝沢 卓氏と上記の塩崎榮一氏が同一人物であることについてはご認識があったでしょうか。
-----

さて、結果はどう出たか。

3日後の2019.07.08、広島側からは;

-----
内容を確認させていただきまして、早速本件を弁理士に相談しました。
今後の対応を検討していきます。
-----

という趣旨のごく簡単な返信が来た(つまり、2014年12月の制定時から弁理士絡みの案件であったものと推測される)。

千代田区側からも同日、返信があり、曰く;

-----
当方といたしましては、「魅力ある福祉・介護の職場宣言~ひろしま~」のロゴマークについては全く把握しておりませんでした。ただただ驚いているというところが正直な思いでございます。
当方のシンボルマークにつきましては、弁理士の方に商標調査報告を依頼し、商標登録できる可能性は高いと思われるとの判断を報告書によりいただきましたので、商標登録の出願を依頼し、現在、出願済みで結果待ちの状況です。
-----

と。
えええー!!こっちの方こそただただ驚いているというところでございますよ表情あちゃー表情あちゃー

その上で;

・(1)・(2)については確認のため調査を依頼している
・(3)については、個人情報に該当する事項なので回答を控える

旨が記されていた。((3)の問題の検証については、近いうちにまたいずれ。)

なぜ、千代田区側の弁理士は「問題なし」と判断できたのだろう?いわば素人の公務員をしてこのような率直な感想を持たしめたデザインの存在を報告することもなしに。
類似調査をすり抜けていたということかな?(であれば、広島側では商標登録等を行っていなかったことにもなりそうだ。)
それとも、2つの顔の色合いが違うから、重なり具合が違うから、あるいは手にしたアイテムが[ハート]と[四つ葉のクローバー]で違うから、口の開き方の阿吽の形が左右逆だから、類似にはそもそも当たらないという考え方なんかな?(やれやれ。)

ツルとしては当然、双方に対し解決がついたら連絡をくれるよう二の矢を放ったんですが、返事は2ヵ月近く経った今も来ていない。これは案の定で、これまでの経験上、官公庁ないしは半官半民のところは、問い合わせにはよくて1遍しか対応しないところがほとんどであることはわかっていたので。(民間企業で例えば株主からの問い合わせだったら、よほどのことがない限り何遍でも対応するというのが常識で、「よほどのこと」とは相手が粗暴な言動に出た場合、専ら誹謗中傷の意図をもって反復的に行為をなす場合ぐらいに限られるのではないかと思う。)
けっ、これが小役人根性ってやつですかね。

・・・それにつけても、東京の日野市ユニバーサルデザインまちづくり推進協議会が「ユニバーサルデザインロゴマーク」採用取消に際して取った対応は、公正かつ真摯なものであったと思う(cf. 2016.05.12~13「アナタのマチのUDってなぁに?」・2016.07.09~10「アナタのマチのUDってなぁに?: Last Coup」)。

(続く)

2019年9月 1日 (日)

もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その237:ガーデンシティみしま)

(承前)

この期に及んで(この言葉も今まで何回使っただろう)、見落としに気づいてしまいました。

ずっと前に、こんなものを取り上げていたんだけれども。

【2016.09.23「法三条 ――盗ル勿レ 騙ル勿レ 偽ル勿レ―― 一ノ巻」】
静岡県三島市
ガーデンシティみしま ロゴマーク
三巻保征
〔2011年8月決定〕

ガーデンシティみしま(最終版)


偶然ねー、見かけたんだよねえ、えいいちを。

静岡県三島市
ガーデンシティみしま ロゴマーク
(優秀賞)
塩崎えいいち(66歳)
Egardencitymishimanext_20190901113001

さすがのえいいちセンセもこればかりは三巻センセの[花]の盛りっぷりに敵わなかったという(笑)。

これをなぜ見落としてたかというと、次点の画像は2011年8月26日の三島市長定例記者会見の会見資料にしか出てこなくて、それに当たっていなかったから。まだまだ青いな、ツル(もう遅い表情大泣き矢印右斜め下)。

(優秀賞)
平本美保(45歳:静岡県伊東市)
塩崎えいいち(66歳:大阪府)

対価としては、「安心で日本一おいしい箱根西麓三島野菜 5千円分」が贈られている(採用された三巻には1万円分)。お手軽公募。

いやー、既視感にのけぞるぜえ。毎度毎度の先行類似例を時期が近接しているところから挙げていくと。

2016.02.01【無明の闇 11】
広島県三原市
みはらし環境会議
みはらエコ百景 ロゴマーク
(優秀賞)
(作者不明)
〔2011年2月決定〕
みはらエコ百景

【その115】
京都府宮津市
宮津市社会福祉協議会
イメージキャラクター/マスコットキャラクター
(優秀賞)
塩崎あゆ美
〔2010年9月デザイン決定〕
宮津市社協

【その115】
岐阜県美濃加茂市
美濃加茂市社会福祉協議会
シンボルマーク
(準優秀賞)
塩崎アユミ
〔2008年10月デザイン発表〕

美濃加茂市社協

塩崎一族、ことのほか[み]の字がお気に入りだったんですよねえ、この時分は。時代の気分、ちゅうやつかねww。

これらの先行事例ではいずれも次点に甘んじているから類似調査でも上がってくることはなかったであろうし、本公募でも同じく次点だから実害はほとんどなかったとも言えよう(無駄な対価が支払われたという点を別にすれば)。でも、そういうことが問題じゃないんですよ、ツルに言わせれば。

しかし、本公募で興味深いのはむしろ、選考委員会のメンツ。三島市長豊岡武士(「ガーデンシティみしま推進会」の会長でもあり、今も市長である)をはじめ地元お歴々が居並んだ中に、「三島市広報戦略アドバイザー」として高柳順子(グラフィックデザイナー)の名前が見える(@_@)。高柳は2011年6月にこの任に就いているので(cf. 2013.02.18「三島宿、ひともとの柳いと高きぞありける:その1」)、その直後の仕事ということになろう。

でも、ご当地での塩崎一族の活動、それだけじゃなかったんですよね。わずか4ヵ月後には・・・

【その65】
静岡県三島市
三島市社会福祉協議会
三島市障がい者週間 シンボルマーク
塩崎エイイチ
〔2011年12月発表〕

三島市障がい者週間

なんか、もうどうでもよくなってくるようなこの虚脱感。こちらの選考に高柳が関わっていたか否か、それはわかりませんが。

しかしまだまだ上には上、下には下があったんである・・・。

(続く)

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