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2019年9月23日 (月)

【加筆編】年輪を重ねるということ(京都育樹祭・香川育樹祭・東京育樹祭・沖縄育樹祭) 弐の輪

(承前)

 

全国植樹祭と全国育樹祭の歴史を繙いてみると、面白いことがわかる。
前者は1950年4月(1951年9月のサンフランシスコ講和条約締結より前、連合国軍占領下の時代である)に「植樹行事ならびに国土緑化大会」の名称で始まり、当初「お手植え」「お手播き」される樹種は針葉樹一辺倒で、全国どこでもスギ・ヒノキ・マツの類だった。広葉樹が用いられたのは、「多目的森林開発と環境緑化」をテーマに掲げた1971年4月の第22回全国植樹祭(島根・広島共催)で「お手播き」にモミジの種子を含めたのが最初である。
因みに育樹祭の開始は1977年9月。

多様性や地域性の観点で広葉樹が見直されてきた歴史ということになるんだろう。「豊かさ」の概念も、戦争で荒廃した国土の復興とか経済価値の観点での生産性向上とかから、生物多様性や環境保全効果の高さというところに比重が移ってきたと考えられるわけです。

例えばヒノキ造林では土地がやせることが知られていて、植林・伐採後、次の世代は同じ樹種を植えることはできず、雑木林にして地力の回復を待ち、さらにその次の世代で再びヒノキが植えられるようになる。これは、ヒノキには防腐・抗菌成分が含まれているため(だからこそ材を桧風呂にしたりするんだけれども)落ち葉や枯れ枝も腐りにくく、有機質が土壌にとどまらずに流亡してしまうから。(もっとも、日本産ヒノキには実はヒノキチオールは僅かにしか含まれず、この物質は一般に近縁のヒバ(=アスナロ)から得られる。)
林業には壮大な計画が必要なんですな(日本はほとんど失敗状態だと思うけど)。

こうした趣旨の持ち回りイベントで今どきVIをかけるのなら、取り敢えず手っ取り早いのはそれぞれの「お手植え」「お手播き」「お手入れ」樹種を盛るって風になるんじゃないの、単なる「樹木」「みどり」「双葉」じゃどの大会かわからんじゃん、そうなるとやっぱり広葉樹かあ、なんて思うんだけど、それも陳腐な考え方なのだろうか。

結局、前回挙げた梅村作品においてどれも地域性はゼロに等しい(地図を描いた香川だって、イニシャルを用いた東京だって)けど、沖縄のものは特にパブリックイメージとの乖離が大きいと感じます。色調のせいだろうか。この国で唯一熱帯に属するし(沖縄復帰の1970年代にゃ亜熱帯区分だったんですが、その後で年平均気温が上昇して熱帯区分に変わったんです)、文化史的背景もいささか異なるというのになあ。

そして一方、梅村は「植樹祭」と「育樹祭」の違いをどう認識しているのだろう。
育樹祭4点全てに用いられた[双葉]は言うに及ばず、香川を除く3点で[シャベル/スコップ]が描かれている。

ここでまた脱線して、「シャベル」と「スコップ」の違いについて。前からよくわからなかった「似て非なるもの」です。

シャベル/shovel(英語)
東日本では小型
西日本では大型

スコップ/schop(オランダ語)
東日本では大型
西日本では小型

ということらしい。
ああ、やっぱり東西で逆になってるんだ!福岡産のツルは、基本的に、梅村作品に描かれた小型のもの(=移植ごて)は「スコップ」という感覚なんだよね。でも東京に住んでてどうも逆のような感じもしていた。内モンゴルの沙漠に植林に行った時にも、大型のを「スコップ」と言ってたっけ(一方で、パワーショベルとは言ってもパワースコップとは言わんなあ)。愛知の梅村はどう呼んでいるんだろう。

で、話戻って、ポイントはまず、これらの道具は「育樹」というより「植樹」に用いるものじゃないのかという点ですww。剪定なら鋏、枝打ちなら鉈を使うだろうからソコの辺りを描きなはれ。

≪危なくてそんなもんデザインできっかよ≫

でもそこに取り組むのがデザイナーっちゅうもんであってだねえ、(以下省略)。

さらに注目すべきは、梅村が盛ったアイテムは全て小型の「シャベル/スコップ」であって大型の「スコップ/シャベル」ではないってところです。ご当地公募デザインにしばしば見られる幼児性の表出(ばっさり)。
仮にこれらの作品が育樹祭ではなく植樹祭のシンボルマークだったとしても、その現場で活躍するのは大型の方じゃないんですかねえ(あるいは鋤鍬かしら)。

 

我を生みしはこの鳥骸(てうがい)のごときものかさればよ生(あ)れしことに黙(もだ)す
     齋藤 史

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