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2019年10月23日 (水)

【VSOP編】正十二角形、描けますか?

cf.
2018.02.06~12「オリンピック/パラリンピックエンブレムの組市松紋のパズルを作ってみた」
2019.10.14「東京オリンピックエンブレムに「120°回転対称」の兄弟が!!!!」

 

先日来、組市松紋のことを再び調べていて行き当たったのが、今年6月28日にフォントのモリサワが開催した「第27回モリサワ文字文化フォーラム」。『[個と群と律] 組市松紋の仕組み』と題し、スピーカーはもちろん野老朝雄氏。もちろん質疑応答セッションもあったそうな。

 

オリンピックエンブレム パラリンピックエンブレム

 

Tokorotokyo2020nipponfesmonotone2

 

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(株式会社モリサワ サイト 抜粋)

 

〔前略〕

 

同じ要素で組み上がる3つのエンブレム
「東京2020エンブレム」は実際に木材をはめ込むことによって制作されており、3種類の四角形45個(大9、中18、小18)と中心の15個をもって構成されている。これらを用いて“輪”を作ったのがオリンピックエンブレム、両手を挙げたガッツポーズのようにも見えるのがパラリンピックエンブレム。両者ともパーツ数は全く同じであり、各パーツを組み替えていけばそれぞれのエンブレムに作り変えられる。つまりこれら二つのデザインは、物理的に同じ重さでできているということになる。また、各エンブレムを作るパーツの組み合わせ方も1通りではなく、オリンピックエンブレムは53万9968通り、パラリンピックエンブレムは335万7270通りになるという結果が数学者によって立証されている。「多様性」「平等、イコール」など大会の精神にも通じるこれらのデザインを隣同士に並べ、「2つの“円相”を作りたかった」と野老氏は語った。また、東京2020日本フェスティバルのエンブレムも同構成・同質量となっており、これは三つの羽でできたプロペラのようなデザインになっている。
同じ要素で組み上がる3つのエンブレムは、ある程度の算数の知識があればコンパスと三角定規だけで誰でも作図することができるとのこと。これは野老氏の他の制作にもあらわれる、「誰でも繋がることができる」という考え方に通じている。

 

律 = ものを成り立たせるための仕組み
四角形一つ一つのパーツ(個)を集合させ(群)、それをどういう規則で当てはめていくかが制作上の「ルール = 律」となる。ルールとは縛り、不自由なものと捉えられがちだが、サッカーやラグビーなどの身体的ルールは試合の展開を面白くさせ、俳句の5・7・5という字数制限はより豊かな表現を生む。この規則的なデザインには、不自由の中で生まれる美を表現するという想いで「律」の要素がふんだんに込められているのだ。
採用された「藍色」は日本の伝統色だ。色褪せしづらく防虫作用もあるとして古くから日本人に親しまれてきたこの色を、野老氏は「黒を除いた時に強い色」と語る。さらに言えばこのデザインの藍色は、CMYK(印刷インキ色のCMYK配分率の配分)では「C=100、K=50、M=86」と厳密に決められており、この数字はエンブレムの構成パーツ大・中・小の1:2:√3というスケール感と同じ比率になっている。色においても摂理を持たせ、ルールを定めたかったのだそうだ。

 

〔後略〕
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1:2:√3!そうなんですよ!!存じてました。
ツルも、このパズルを自作した時(「コンパスと三角定規」ではなくパソコンのWORD上で作りましたが)、菱形や長方形(や正方形)や正十二角形の各辺の長さだの対角線の長さだの面積だのを全部数式化したもん(EXCELにまとめてあるので、ご所望の方はメールでお問い合わせ下さい)。それを計算するにつけても、その確固たる美しさには何度も圧倒されていた。

 

にしても、プロセスカラーについてまでシアン:マゼンタ:黒 = 100:86:50 ≒ 2:√3:1という「律」があったとは!鯵坂もっちょ氏や長谷川能三氏もさすがにお気づきではなかったろう。

 

「ある程度の算数の知識があれば」というのは、以前書いたように具体的には「正十二角形が描ければ」ということだと思うけど(*)、平方根と三角関数の知識があったらよりdeepに楽しむことができますよ。それは「算数」の範疇を超えているとは思うけど。

 

(*) 正六角形の各頂点はコンパス一つあれば誰でも簡単に打てる(一つの円周上に)。しかし正十二角形となるとそこから一段ハードルが上がる感じ。定規の出番ですね。

 

「オリンピックエンブレムは53万9968通り、パラリンピックエンブレムは335万7270通りになる」というのも知らなかった、というより意味がちょっとよくわかんなあい。順列・組み合わせは一番苦手だった(数学できてりゃ東大行ったわよ)。立証なすった数学者のセンセイにご解説を給りたいものです、「誰でも繋がることができる」というのは大事😅。

 

五七五の制約(の生む豊かさ)については、現代俳句をやっていた母親から生前聞かされていた。その「律」の中で「静かなる決闘」をするのだと。その意味で自由律に対しては批判的だった母。一方で、字数を指折り数えるようなことは決してなかったけれど。日本語の音韻において「5・7・5」の持つ意味が、体でわかっていたからだと思う。

 

魚の飛翔の短さ湖芯冷えてくる
   (昭和二十七年)

 

今は猟夫の夫に言葉を殺し蹤く
   (昭和三十三年)

 

選挙カーで擦り減りし道鵙(もず)たける
   (昭和四十七年)

 

さびしき日の神の紙縒の水引草
   (昭和五十一年)

 

いつもとは少し趣を変え、敢えて字余りの句で、やや地味めなところから、この季節に合ったものを。

 

 

以上、特に「律」の考え方が興味深かったです。でも、五輪エンブレムが決まったのは2016年4月だったからもう3年経つというのに、このネタで満員御礼の盛況だったというところが一番意外ではある。つっても200名程度ですが(知っていれば行ったのにぃ💦💦💦)。

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