« 2019年12月 | トップページ | 2020年2月 »

2020年1月

2020年1月26日 (日)

【加筆編】むすんで、つないで:第八結節(瓢斗・瓢嘻・香水亭・株式会社mihakuロゴ・工学院大学ファサード)

(承前)

 

もう少し文字紋を見てみる。

 

京都市・東京都
京都 瓢斗(ひょうと)
ロゴデザイン
野老朝雄
Tokorohyoto

 

(四条烏丸店・京都駅前本店・渋谷店 設計)
千葉 学建築計画事務所

 

東京都
京都 瓢嘻(ひょうき)
ロゴ
野老朝雄(アーティスト)
Tokorohyoki

 

(京橋店 設計)
千葉 学建築計画事務所

 

東京都
瓢嘻 香水亭(かすいてい)
ロゴ
野老朝雄
Tokorokasuitei

 

(京橋店・六本木店・新橋店 設計)
千葉 学建築計画事務所

 

瓢斗は京都と東京、瓢嘻は東京と北京、香水亭は東京に数店舗ずつを構える和食店で「出汁しゃぶ」?が売り物、ご接待用の敷居高めなレード。夜は無論確実に万札が飛ぶことでしょう。まあ、従業員の大量退職などBlackな話題にも事欠かないようですがね。
グループ最初の店舗として瓢斗 京都店(現 四条烏丸店)が烏丸仏光寺に開店したのは2003年10月と新しく、2015年には四条烏丸上ル西入ル、住所を言えば山伏山町550-1に移った。香水亭 六本木店のオープンは2016年5月7日で、野老が同年4月25日の五輪エンブレム採用で一躍時の人となった時分です。
千葉は建築家で東京大学の副学長を務めており、野老との協働も数ある由(大伏線)。確認できひんけど、他の店舗にも千葉の手がけたものがありそうどす。

 

姉妹店であることを表す共通のマークも野老作品だろう。

 

瓢斗・瓢嘻・香水亭
共通サイン(?)
_tokoro_hyotogroup

 

アンタはん自分で自分とこの漢字間違えたらあかんやん、「口に喜び」やで、と思ったら、どうやら店舗の正式名称や看板やロゴは「嘻」で、でもネット上などでの表記は「喜」と、敢えて使い分けているみたい。

「嘻」の字がちょっと変換しにくい(多分、JIS規格の第一水準に入ってないんだと思う)ためか独特の考え方をしているようですが、それって(マーケティング上は一応アリだということにしても、)ブランディング上はどうなんです??

付け加えると、看板はこんな書体↓なので、野老作品はあくまでアイコンだということになる。九畳篆の視認性の悪さが(笑)ネックになっているものと思われます。

 

Hyoki

 

瓢嘻の赤坂店なんて、部屋にこんな装飾↓が入れてあって、野老ワールド全開。

 

Tokorohyokiakasaka

 

PAPER RHOMBUS PUZZLEっぽいなあ(cf.【第五結節】)。だけど、これではちょっといただけない、くつろげない。(なお、瓢嘻が上掲の九畳篆ロゴを使い始めたのは早くても2017年7月以降だった様子。グループで段階的に採用していったんでしょう。)

 

そして野老は、運営会社のロゴまで任されている。

 

東京都中央区
株式会社mihaku(旧 株式会社STYLE-RANGE)
ロゴ
野老朝雄(アーティスト)
Tokoromihaku

 

------
(2018.08.03 同社発表資料 抜粋)

 

「京都 瓢斗」「京都 瓢喜」「瓢喜 香水亭」及び「株式会社mihaku」のロゴは、アーティストの野老朝雄先生にデザインいただいたものです。
-----

 

この発表資料なんて「嘻」と「喜」が混在してるし。

 

で、だよ。
ということは講演なんかも一緒にやっちゃうわけです、やっぱり。

 

2017.09.02
日本建築学会 中国支部
2017年度 日本建築学会大会[中国]記念シンポジウム
基調講演
野老朝雄(アーティスト)
パネリスト
野老朝雄
千葉 学(建築家:東京大学教授) ほか
@広島国際会議場(広島市中区)

 

二人三脚の地方行脚はもちろん・・・

 

2016.07.21
工学院大学
情報発信スペース “KU-SITE(キューサイト)” 完成披露記念対談
野老朝雄(アーティスト)
千葉 学(東京大学教授:建築家)
@工学院大学新宿キャンパス(東京都新宿区)

 

建築学部開設5周年記念イベントとして行われたもので、これも、千葉が設計した同学八王子キャンパス総合教育棟のファサードを、野老が有孔折板を用いてデザインしたという縁です。

 

Tokorokogakuinuniversityfacade

 

この時、野老と千葉は;

 

-----
大きさの異なるいくつもの[水玉]が、緻密なパターンを描き出す総合教育棟のファサードデザイン。『KU-SITE』でも鑑賞できる有孔折板について、「僕は数学が全くできませんが、算数レベルの美しさにとても興味がある。数々の紋様を手がけながら、摂理やそれに近いものを研究し続けている感覚です。今回のファサードデザインでも、黄金比をもとに[円]の大きさや配置を決定。一見、不規則に見えるパターンのなかに、ある種の均衡や調和を持たせています」(野老氏)。五輪・パラリンピック両大会のエンブレムなど、黄金比を意識した数々の作品についての解説が続きました。千葉氏は「たとえばピタゴラスの定理を知った途端、世の中にある直角三角形に秩序が宿っていることを知る。野老さんの作品には、そういう感覚に近い発見の歓びがある」と言葉を添えました。
-----

 

としゃべっている。

 

なるほどなあ。野老作品をいろいろ見ていると(&パズルを作ってみると)、千葉の言葉には頷かされてしまうなあ。ここで「個/Individual」としての円を「群/Group」たる紋様として成立させる「摂理」「調和」と呼ばれているものが、則ち「律」なんだろう。ツルは “Discipline” と訳してみましたが、どうですかね。

 

(続く)

2020年1月25日 (土)

【加筆編】むすんで、つないで:第七結節(宣伝会議賞ロゴ・菅野美術館展2007ポスター・般若心経)

(承前)

 

「筑西市おせち事件」で図らずも中断しましたが、野老朝雄リサーチに戻りましてと。

 

次は、文字系TOKOLO紋。
五輪エンブレム発表後間もない2016年8月には、次のものが華々しく発表された。

 

株式会社宣伝会議
宣伝会議賞 ロゴマーク
野老朝雄
Tokorosendenkaigiaward

 

キャッチコピーおよびCMコンテを対象とする日本最大規模の公募広告賞(日本で最高に権威があるかどうかは知らない)がロゴをリニューアルしたもので、野老にとっては五輪エンブレム決定後、初めての制作だったという。

さすがはギョーカイ、機を見るに敏、時の人・売れっ子ちゃんを持ち上げ持て囃す目聡さよ💣。でも野老本人は、オファーが来るまでこの賞のことは知らなかったのだとか。

 

-----
(2016.08.31 AdverTimes by 宣伝会議 抜粋)

 

〔前略〕

 

多くのつくり手が望んでいることかもしれませんが、私には「自分がつくった図形が、できる限り長く使われてほしい」という願望があります。私がデザインを考えるときの一つの基準として、それを「墓石に掘れるか」「タトゥーとして身体に刻印できるか」というのがあります。もちろん、実際にはやりませんが。それだけ長く維持できる、強度のあるデザインを実現したいと思っています。

 

〔中略〕

 

まず、「宣伝会議」という企業名・雑誌名、「宣伝会議賞」というアワード名に強いインスピレーションを受けました。今は当たり前のように受け入れられていますが、かつては「それが雑誌の名前?」と驚かれた時代もあったと思うんです。そんなインパクトのある名前を、現代に至るまで大切に維持してきたことへの敬意もあり、この漢字をロゴとして扱ってみたいと考えました。

 

具体的には、東日本大震災以降、日本人としてのアイデンティティを再確認しようとライフワークとして続けてきた「漢字のプロジェクト」のスキームを使って図形化しました。先ほどもお話ししたように、私は文字や言葉に強い憧れを持っています。26文字という限られた文字を組み合わせてコミュニケーションを成立させるアルファベットのシステムに感動する一方で、漢字の一字一字に込められた意味の重さ・深さに、言い表せない魅力を感じるんです。文字をデザインの視点で解釈し、そこに込められた思いやメッセージを立体/平面で図形化することで、自分もその世界に少しでも関わっていたいという思いがあります。

 

ビジュアルとしては、「頂点」を表現することを念頭に置きました。宣伝会議賞は、何十万と集まってくる言葉のトップを決める、凄まじいアワード。多くの人がめざす、その頂点を表現したいと考え、ピラミッドを上から見た様子をイメージしました。
さらに、平面で見たときには、「一つの言葉が、波紋のように周囲へと強く・広く影響を及ぼしていく」様子にも見えるようにと考えました。シンプルな佇まいを追求することで、単体でも、複数組み合わせてパターン化しても、力があるデザインをめざしました。

 

また、宣伝会議のコーポレートマークが非常に美しい形だなと思っていましたので、それとの調和も意識しました。小さな三角形で構成された10角形は、遠目には正円形にも見える。コーポレートマークの「△」「◯」に対し、「□」(正方形)で表現しようと。とは言え、そもそも漢字を使おうと思った時点で、正方形にするという方向性はほとんど決まっていたのですが。

 

〔中略〕

 

「自分は/あの人は、宣伝会議賞の受賞者なんだ」と誇りや尊敬の念を喚起するようなトロフィのアイデアが、実はロゴを考えるのと同時に、すでに頭に浮かんでいて。平面のデザインをつくるときは「どのように立体化するか」「どのようにパターン化するか」という応用展開を常に考えているので、今回のロゴの場合も、トロフィや賞状への展開イメージを並行して考えていました。

 

〔中略〕

 

言葉というのは、非常に幅広く、奥深いもの。詩や俳句に使われる言葉があれば、チラシやPOPに使われる言葉もある。想像や理想も内包した詩的な世界と、生活感のある現実世界、そのどちらにも言葉は生きています。そして領域・シーンごとに、それを操る才能が存在していると思います。
もしかすると、そのボーダーは、もっと自由に越えてもいいのではないでしょうか。建築、空間、グラフィック、ファッションとデザインの各ジャンルが連携や融合を見せ始めているように、小説と詩とコピーとつぶやき、それらが同じ「言葉」として、一緒に語られる場があってもいいのではないかと。広告界の外の才能が入ってくることで、広告コピーの世界が、ますます深みを増していくこともあるかもしれません。このロゴが、そのきっかけとなれたら、それは素晴らしいことだと思います。

 

〔後略〕
-----

 

「頂点に立つ」ということの意味は野老自身も噛みしめていたはずで。

 

話に出てくる[△]と[◯]のコーポレートマークはこちら。

 

Sendenkaigilogo

 

なんか、これを思い出しちゃいますね。

 

【2013.10.21「Olympics & Expos その2」】
2005年日本国際博覧会(愛・地球博/愛知万博)
シンボルマーク
大貫卓也
'05愛・地球博

 

[□]と[○]になっているけれど、ピース数も10個、遠目には同じにも見える(笑)。

 

これに対して、[□]のこういう書体は「九畳篆/くじょうてん」と呼ぶらしい(中国繁体字では「九叠篆」)。中国の宋代以降公式文書の印章に用いられた書体で、「幾重にも折り畳まれた篆書」といった意味でしょう。Wikipediaの「篆書体」の項では;

 

-----
なおこの九畳篆の登場により官印の意匠が完全に硬直化してしまい、以後の官印は書道・美術の方面からは顧みられなくなった。
-----

 

とばっさり斬り捨ててあるけど、野老はそこに敢えて斬り込んだわけやね。
宣伝会議賞の場合、29×29マスの方眼紙を用意して、それ自体正方形の各マス(pixelと呼んだ方が今風かしら)を緑と白で塗り分けた2色の正方形パズルとなっているとも考えられる。いや、オセロと言った方が早いか。

 

トロフィは野老の発案により3Dプリンターで作成された由です。

 

Tokorosendenkaigitrophy

 

-----
(2017.03.15 株式会社宣伝会議 サイト)

 

株式会社宣伝会議(東京都港区、代表取締役会長 東 英弥)は3月10日(金)、日本最大規模の公募型広告賞である「第54回宣伝会議賞」の贈賞式を、都内で開催しました。
今年は、公式ロゴマークに合わせて、グランプリ・コピーゴールド・CMゴールド・眞木 準賞に授与されるトロフィも刷新。ロゴマーク同様、東京2020大会エンブレム作者の野老朝雄氏が制作しました。トロフィは正八面体で、頂点から見るとロゴマークが浮かび上がります。野老氏による2Dスケッチをもとに、丸紅情報システムズの協力を得て3Dデータ化しました。一般的なトロフィとは一線を画す形状とすることで、トロフィの新しい「持ち方」をデザインする意図もあります。
-----

 

掟破りを承知で書かせてもらうと、丸紅情報システムズって、以前から愚blogへのアクセスが異常に多い企業なんですよ、なぜかは知らないが(ああ、とうとう言っちゃった)。ご覧いただくのはありがたいけど、仕事中に業務に関係のない(でしょ?)サイトを閲覧しまくるのはコンプライアンス上いささかよろしからずではないかと。アナタ、内部通報の対象にもなりましてよ、お気をつけあそばせ、ふふふっ。

 

野老がこの賞のことを知らなかったというのは驚きですが、「文字や言葉に強い憧れを持っています」というのもかなり意外。文字紋への傾倒は、文字や言葉の内容に対する関心というより、客体の構造へのそれ、定規とコンパスへのそれ、文系より理系のそれだと思っていたので。

 

このタイプのデザインも、前から作っていたらしい。2007年7~9月開催のこの作品展のポスターもそう。

 

宮城県塩竈市
公益財団法人 菅野美術館
野老朝雄展 -Solo Exhibition of Asao TOKOLO-
ポスター
Tokolokannomuseum2007poster

 

こちらは23×23マスの2色正方形オセロです(あるいは21×21マスと解すべきかもしれない)。

 

それが正三角形を加えて5色オセロとなったり↓(cf.【第四結節】);

 

日本テレビ放送網株式会社
24時間テレビ40 愛は地球を救う
チャリTシャツ
野老朝雄
Tokoro24hourtvtshirts

 

無限唐草を茂らせてこうなったり↓してるわけ(cf.【第二結節】)。

 

宮城県塩竈市
公益財団法人 菅野美術館
野老朝雄展 Solo Exhibition of Asao TOKOLO [LINKABLE MATTERS 2]
ポスター
〔2019年2~3月開催〕
Tokolokannomuseumposter

 

2001年9月の同時多発テロ以来、野老が毎日数点の紋様を制作することを自らに課し一千点になるまで続けたという中には、文字紋も多く含まれていただろう。(意地悪な見方をすれば、若き日の「千本ノック時代」の資産を切り売りしていることになるのかもしれない。その意味で、時代と切り結ぶ新しさを感じさせるものでもない。)

 

2014年7~8月に上野の東京藝術大学陳列館で開かれた「マテリアライジング展Ⅱ 情報と物質とそのあいだ」にも次の作品が出展されていた。

 

「般若心経」壁面写経
野老朝雄
Tokoroheartsutra

 

これはさすがにマスの数は決まってないようです。

どうせなら王 羲之の「蘭亭序」本文324文字で作りゃよかったのに。諸本あるけど300文字に数十文字足りない般若心経より多少労力は食いますが、古来から行書の最高峰扱いされてきたこの詩集序文の新しい解釈ってな意味合いでウケたかも。まあ、この九畳篆が「般若心経」であることにどんな意味性があったのか、そこがわかっていないので世迷い言と思って下さい。

 

だんだん、香道由来の紋様「源氏香」のことも再び気になってきた(cf. 2009.04.07「団 家紋夜話」)。

 

(続く)

2020年1月19日 (日)

【Catastrophe編】地方のチカラを引き出せなくて・・・(4)

(承前)

 

最後は、「筑西市おせち事件」が起こってからのお役所ルート。
筑西市が正式の謝罪会見を開いたのは、正月明け、大抵の職場で仕事始めだった6日(月)。

 

-----
(2020.01.07 東京新聞)

 

筑西市がふるさと納税の返礼品にしていたおせちの製造が間に合わず、配送を取りやめた問題で、市は六日、市役所で記者会見を開き、須藤茂市長が「本市に納税をいただいている方、市民に大変な迷惑や心配をおかけし、心からおわび申し上げる」と謝罪した。

 

市によると、製造元の小野瀬水産(同市)に発注したおせちは二千百八十三件(寄付総額七千五百五十八万五千円)。六日現在、このうち三百五十八件(寄付総額二千七十三万五千円)が配送中止になったほか、九十三件の配送に遅れが出たことが分かった。
おせちは昨年十二月三十一日の午前中に寄付者へ届けられる予定だった。市が前日に発送状況を確認した際は同社から「問題なし」との報告があったが、三十一日午後から「返礼品が届かない」と寄付者からの問い合わせが相次いだ。
同社に確認したところ、配送に遅れが出ていることが判明。一日午前三時ごろに職員が同社を訪れると、「これ以上の生産、発注の対応ができない」との報告があった。これを受けて市は電話などで対象者に連絡。三日には配送の遅れや中止があった対象者にわび状を送付した。
市は今後、寄付金の返金や別の返礼品との交換を視野に対応を検討する。おせちの製造が間に合わなかった原因なども調査する。

 

同社はおせち以外にプリンやスイートポテトなどの返礼品も製造していたが、三日、「自粛したい」として既に受注していた計四十五件(寄付総額八十二万四千円)の配送中止を申し入れた。市は今後、対象者に連絡する。
-----

 

ええと、1月1日の発表時点の357件より1件増えとります(苦)。
元旦未明の朝3時に職員がわざわざ出向いたというのも仰天だけど、そこでやっとお手上げ状態であることが判明してるんですね。市職員たちも事後対応に駆り出されて正月休みどころではなかったろう。

 

1月3日に出されたという詫び状はこれ。

 

20200103chikuseicityletterapology

 

-----
お詫び

 

 この度は、筑西市ふるさと納税への寄附を賜り誠にありがとうございます。
 本市のふるさと納税返礼品「おせち(製造元 小野瀬水産(株))」を選択いただきました寄附者の皆様におかれましては、私どもの不手際で配送の遅延又は配送中止となり、大変なご心配とご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした。
 今回の事態は、事業者の生産管理体制の不十分さと本市の事業者への指導・監督責任によるものと深く反省しております。
 寄附者の皆様方におかれましては、本市の「おせち」で令和初の記念すべき元旦を迎えられる日にご不快な思いをさせてしまい心よりお詫び申し上げます。
 今後は、皆様に選んでいただいた返礼品を確実にお届けできるよう、再発防止と信頼の回復に全力を尽くしてまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
 尚、今後の対応につきましては、後日、改めてご連絡差し上げたいと存じますのでご了承願います。

 

  令和二年一月

 

     筑西市長  須藤 茂
-----

 

あー。ほんとこれ、文章書き慣れていない人の書いたものですねえ。必要なことが欠けてるし不必要なことが書いてあるし、言葉遣いも日本語として磨かれてないし。添削してやりたくなる(上から目線)。
こういうシチュエーションでこういう安手の筆書きフォント使うのも逆効果だと思います、ツルも。センスの問題ですが。
結局、この程度が今の地方の市町村自治体の平均的な実力値ってことだろうか。

 

Afchickunsorry

 

と思っとったらだ。これ、主要部分は前日の小野瀬水産のお詫びと同じではないか。

 

-----
(2020.01.02 同社サイト)

 

平素は格別のご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。
このたびは数あるふるさと納税返礼品の中から、弊社の商品をお選びいただいたにも関わらず、私どもの不手際で配送の遅延又は配送中止となり、お客様のご期待にお応えすることができず、誠に申し訳ございませんでした。
弊社の生産管理体制の不行届きにより、お客様に多大なご心配とご迷惑をお掛け致しましたことを心より深くお詫び申し上げます。
寄付者の皆様方におかれましては、弊社の「おせち」で令和初の記念すべき元旦をお迎えになられる日に、ご迷惑とご不快の念をもたらす仕儀となってしまい、誠に申し訳なくお詫び申し上げます。
このことを真摯に受け止め、今後はこのようなことがないよう、より一層の万全な管理体制をとってまいる所存でございます。
お客様をはじめ、関係者の皆様へ多大なご心配とご迷惑をお掛け致しましたことに対し、誠に申し訳なく、心より重ねて深くお詫び申し上げます。

 

令和二年一月

 

小野瀬水産株式会社
代表取締役 小野瀬あや子
-----

 

詳細は不明だけど、やはり小野瀬文面の方が筑西市長文面より先に作られたものだという気はする。∵前者になくて後者にのみ加わっている表現が、変ちくりんだからです。前者は文章表現としては特に問題なく整っているんですね。
その小野瀬水産は市長のお詫び会見の翌日の1月7日には破産開始決定となったわけだ。3日に「製造自粛」を申し入れた時からきっともう観念してたんでしょう。

 

だんだんに影響は広がっていく。

 

-----
(2020.01.08 茨城新聞 抜粋)

 

〔前略〕

 

■配送の遅延 古河市[引用註:こがし]でも
古河市は8日、ふるさと納税の返礼品「おせち料理」を巡り、発注先の小野瀬水産の製造が間に合わず、28件で配達指定日の先月31日午前に配送できなかったと発表した。
市によると、28件のうち24件は今月1日午後までに配送。4件は別の返礼品を贈ることを提案している。
2日に寄付者から問い合わせがあり発覚した。市の担当者は「今後、おせちを返礼品にするかも含め考えていきたい」としている。

 

〔後略〕
-----

 

東京商工リサーチによれば、小野瀬フーズと小野瀬水産のリスクスコアは数年前から極度に悪化していたという。しかし問題はそのこと自体より、行政側がその実態をきちんと把握できていなかったことではないか。次のコメントは極めて全うなものと思える。

 

-----
(2020.01.09 東京商工リサーチ 抜粋)

 

〔前略〕

 

ふるさと納税返礼品は、自治体から業者への支払いは後払いのケースが多い。それだけに短期的な発注増は、むしろ委託先のオペレーションの混乱や資金繰り悪化を招きかねない。自治体は納税額の上積みを狙い、多種多様な返礼品を用意している。地域振興や地元企業の育成という意味は理解できるが、自治体のブランドを毀損しては元も子もない。今回のケースは、改めて委託先の経営状態を慎重に把握する大切さを教えている。
-----

 

このほんの一月前には藤原の詐欺行為の「被害者」として注目と同情を集めていた地場企業が、思えば一気に立場の変わったものである。経営者の資質に問題なしとは言えなかったわけだから、信用を一夜にして失ったのは致し方あるまい。
しかし一方、「地域振興」のひたすらな美名の下、政策を企画立案しては垂れ流すだけだった行政が、自らの責任について真の検証と原因の究明を行い改革改善を進めていくとは思い難い。業績低迷に苦しむ地場企業にふるさと納税返礼品という新規ビジネスをあてがって救済してやるという意図があったとしたら、方向性が間違っている。

 

ここで改めて、1月3日に書いた内容を思い出す。

 

-----
・なぜ、小野瀬水産は然るべき時点で対象者に連絡をしなかったのか

 

・なぜ、受注が「昨年より4〜5倍も増えていた」のか

 

・本件で相当程度に落ちたご当地のReputationをどのようにすれば回復できるのか
-----

 

3番目は、一民間企業の経営破綻という最悪の結果を踏まえて、今後どんな施策をすべきかという緊急の課題に置き換わった。そこには不祥事の再発防止という守りの観点と、それとは異なる攻めの態度も必要なはず。ゆるキャラだのふるさと納税だのの幻想手段に頼らない土地の魅力の創出である。
しかし、今まで見てきた限り、筑西市の行政にその両輪の車を乗りこなしていくチカラがあるようには思えない。たとえどんなに有能なコンサルがついたとしても、それを使い倒していくチカラがあるようには見えない。

2020年1月18日 (土)

【Catastrophe編】地方のチカラを引き出せなくて・・・(3)(ふくゆいマーク)

(承前)

 

ばってん不都合な真実はまーだよそにもあるっちゃが。

 

-----
(2019.12.11 産経新聞 iza 抜粋)

 

複数の食品事業者との金銭トラブルを理由に茨城県が「いばらき大使」から解任した元フードアナリストの藤原 浩氏(55)をめぐり、水戸市は11日、藤原氏から提案され商標登録を行った同市のブランド梅のシンボルマークが、制作者の使用許諾を得ていないものと判明したと発表した。市はマークの使用を一時中止し、謝礼として藤原氏に支払った75万円の返金要請を検討する。

 

市によると、平成28年8月、梅のブランド化をめぐり、藤原氏から「ふくゆい」というブランド名とシンボルマークが提案され、同年12月、両者を商標登録した。藤原氏はマークについて「知人のデザイナーから提供された」と説明していた。
ところが、市が今月に調査を行ったところ、マークの制作者から「藤原氏との面識はないし、使用許諾も出していない」との回答を得た。

 

29年3月には、市職員がよく似たデザインのTシャツが出回っているのを見つけて藤原氏に経緯を尋ねたが、「Tシャツとマークの制作者は同一人物だ。『ふくゆい』のコンセプトに合うということで私に提供してくれた。盗用など著作権上の問題はない」との説明を受けていた。この際、市側は重ねて追及はしなかったという。

 

〔後略〕
-----

 

つまり、「あいつマジでヤベーよ、調べとけよ」となって初めて真面目にチェックしてみたら、悪い予感が的中して埃が濛々と舞い上がったって感じ?2017年段階でもっと厳格な対応をしていれば騒動の拡大を防げたのにと臍を噛んでみても、水戸の騒ぎは後の祭りですな。
これってそもそも現在の日本の商標登録制度の欠陥を表していると思うけど、そんなことより焦眉の急だったのは。

 

-----
(2019.12.13 東京新聞 抜粋)

 

〔前略〕

 

「本当に困りました」
水戸市堀町の菓子店「菓匠(かしょう)にいつま」の新妻則夫社長(51)はそう話し、ため息をつく。店では「ふくゆい」を使った菓子を四種類販売し、包装紙にマークを使用している。市から十二日に連絡があり、一部商品を店頭から撤去した。
水戸市は十一日、市の梅ブランド「ふくゆい」のシンボルマークの作成で、藤原氏が無断で、他人がデザインした作品を提案した恐れがあるとしてマークの使用中止を決めた。市は、デザインの制作者に、今後も使用可能かどうか連絡を取っているという。
新妻さんは「使えるかどうか早くはっきりしてほしい。じゃないと次に進めない」と訴える。年間で最も売り上げがある来年一月から始まる観梅の時期も迫っており、マークが使用できなくなれば、包装紙を早急に作り直す必要がある。
「ふくゆい」を使った菓子を製造販売する「水戸菓子工業協同組合」の林太一理事長も「やっとここまで来たのに。藤原氏には直接出て来て謝ってもらわないと」と憤る。

 

〔中略〕

 

本紙は、メールで藤原氏にコメントを求めたが、期限までに連絡はなかった。

 

一方、山口県萩市は十日付で、藤原氏を「萩ふるさと大使」から解任。東京地裁が、藤原氏に対して食品会社への損害賠償金支払いを命じたことを受け、市のイメージダウンにつながることを理由としている。
市によると、発信力のある藤原氏に出版物で市の特産品をPRしてもらおうと、一三年五月に任命。無報酬で任期は決まっていない。主な活動実績はなく、市内での金銭トラブルなどは確認されていないという。

 

高萩、笠間、鉾田の三市も藤原氏にブランド向上のアドバイザーなどを依頼していたが、トラブルはないとしている。
-----

 

予期せぬことであったにせよ、小役人の杜撰な運営によって民業に圧迫を与えたわけであるp(`Д´)q。

 

「トラブルなし」になってるとは言え、他の自治体もこんだけ↓払ったとなるとねー(いずれも累計額のようですが)。

 

Fujiwaraibarakiworks

 

茨城県 2,166万円
高萩市 810万円
笠間市 1,517万円
鉾田市 178万円

 

なお、ネット上では、高萩市が日本酒の展開デザインを募集した際に藤原が提出した候補案は、この3年前に新潟県佐渡市の北雪酒造が作ったもの(maybe by 高橋理子(ひろこ))だとか、藤原が小野瀬水産に提出した商品パッケージ(maybe スイートポテト)の候補案は過去に雑貨大手Loftのキャンペーンで使われていたデザインに酷似しているとかのヤバげな話も出てますが、どうにもきりがないし裏が取れないので深掘りはよします。

 

もう、水戸市の85万円なんて端金にしか見えなくなってくるな。
・・・あれ?支払金額が10万円増えとるぞ。調べてみると、差額は「講演料」らしい。2015年度に食をテーマにこの講演会をやったのが両者の最初の接点だったという。どういうきっかけで藤原に白羽の矢が立ったのかは不明だけど。

 

-----
(2019.12.24 水戸市サイト 抜粋)

 

藤原氏への対応
平成28、29、30年度の水戸産梅のブランド化に係る謝礼合計75万円の返金とあわせ、説明を求めるため、12月24日付けで、内容証明により文書を送付した。
-----

 

その後どうなってることやら。

 

問題となったマークはこれ。

 

茨城県水戸市
水戸の梅産地づくり協議会
水戸乃梅「ふくゆい」 マーク
守野由紀子(静岡県:デザイナー)

Morinofukuyuimark

 

フリー画像を一流作家の作品と騙って売りつけた龍ケ崎市の高橋肉店のケースと、無断使用した画像を許可済みと偽って売りつけた水戸市のケースと、どちらが藤原の罪は深いのか。
ご当地は偕楽園の[梅]で全国に知られながら、実梅の商業生産はほとんどなかったところ、近年力を入れている由。当然ブランド化が必要だとして官が後押ししてるわけですが、ネ。
因みに、水戸市はその後守野と著作権譲渡契約を(新規に!)結び、12月24日になって無事使用再開にこぎつけた。譲渡対価は10万円、だいぶ藤原よりお安くなっております😁。本当にどちら様もとんだとばっちりでお気の毒なことでした。

 

へっ?ちょっと待て。萩市も6年半も活動実績がなかったと!?無報酬とは言ってもなー。ご当地キャラ作りなんぞに血道を上げるより(cf. 2015.08.06「大河ドラマは儲かるか:乙」)、こういうところをキチッとしていかんかいっ😠😠。

 

まだまだある。「JAPANブランド育成支援事業」の件はさらなる爆弾を抱え込んでいた。

 

-----
(2019.12.13 東京新聞 抜粋)

 

藤原氏を巡り、県中小企業振興公社は、職員が国の補助事業で、藤原氏がロゴマークの作成に関わった会社に不適切な指導をして、補助金を得ていたことを明らかにし、謝罪した。
十日に発表した。公社によると、不適切な指導があったのは中小企業庁の「JAPANブランド育成支援事業」。二〇一六年度にあったパッケージデザイン事業で、補助金を受けるには、比較できるよう二社以上から見積もりを取る必要があった。
しかし、藤原氏にデザインを依頼した五社は、いずれも藤原氏の義母が代表の会社の見積もりのみを提出。このため、公社の職員は、別のデザイン会社からより高額な見積もりをとり、後付けで書類を整えるよう各社に指示したという。各社とも指示に従い、結果、補助金は交付された。
公社の助川和明常務理事は「年度末で報告書の提出期限が迫り、企業が補助金を受けられるよう、担当者はよかれと思ってやった」と釈明。藤原氏への便宜は否定した。

 

〔続く〕
-----

 

そんな釈明、聞く耳は持たぬ。
つまりは「相見積もり」のハードルをクリアするための裏技を知悉してらしたわけね、小役人ども、いやお役人様方は。もうこうなると、誰が悪者やらほとんどわからなくなってくる。小野瀬水産、藤原 浩、筑西市、茨城県中小企業振興公社、茨城県、中小企業庁、そして経済産業省。

 

となるとやおら泡を食って騒ぎ出すのも行政によくあること(小野瀬水産の破綻については茨城県の責任も大きいという論調はネット上に多い)。

 

-----
(2019.12.14 茨城新聞)

 

茨城県内企業との金銭トラブルが発覚したフードアナリストの藤原浩氏(55)が県委嘱の「いばらき大使」を解任されたことを受け、県は13日、「いばらき大使」委嘱の在り方を見直す方針を明らかにした。県が事業者からの相談で一部トラブルを把握していたことも判明。同日開かれた県議会常任委員会で報告した。
県によると、大使委嘱の際、これまでは肩書などに変更がないか確認する、年1回の「現況確認」だけだった。申告された略歴や肩書を調べる「本人確認」を行うほか、定期的に活動を報告する場の必要性などを検討していく。
また販売流通課は2017年8月、事業者から相談を受けていた。藤原氏に提案されたデザインが盗用されたものだったとの相談で、同課が藤原氏に対応を申し入れた。本人が委託料を全額返すとし、同月中に事業者から示談の連絡があった。同課は「示談と聞いて気を緩めてしまった。そのほか(問題が)あるか調査しなかったことは反省している」と述べた。
このほか、県中小企業振興公社の不適切な指示について、公社を所管する産業戦略部の小泉元伸部長が陳謝。国から補助金返還を求められる可能性もあることから、公社に必要な対応や職員の処分などを求めていく考えを示した。
-----

 

はー、よくもまあ次から次へと出てくるよなあ。不祥事未然防止の観点はゼロだったわけね。
ツルは、168人も委嘱するだけしておいて、後は実質的なチェックをまるでやっていなかったというところに一番驚きます。本気度合い(のなさ)が知られようというものである。上場企業の取締役だって、今や1年任期が当たり前(法定の基本の2年ではなく)、毎年総会で株主の信任を問われる時代だぜ。監査部門も何をやっていたのだ。

 

濁流だ濁流だと叫び流れゆく末は泥土か夜明けか知らぬ
     齋藤 史

 

(続く)

2020年1月13日 (月)

【Catastrophe編】地方のチカラを引き出せなくて・・・(2)

(承前)

 

藤原ルートというのがまたえらーく複雑でしてねえ(笑)。藤原が名乗っていた肩書は18個もあったとされる。

 

食文化研究家
フードアナリスト
株式会社フレール代表取締役
農林水産省「食のオフィシェ」
クールジャパン推進会議茨城県地方会議メンバー
日本フードアナリスト協会常務理事
日本フードアナリスト協会検定試験委員
いばらき大使
いばらき食のアドバイザー
茨城県総合計画審議会委員
笠間市ブランディングアドバイザー
鉾田市未来創造プロデューサー
高萩市ブランディングアドバイザー
古河市ブランディングアドバイザー
山形県観光・つや姫特命大使
山口県萩市ふるさと大使
やまがた伝統野菜ブランディング推進会議メンバー
富山さかなブランド化推進協議会メンバー

 

もっとも、これには過去の経歴も含まれており、例えば山形県サイトの「県民の生の声コーナー」には、問い合わせに対し『報道された人物については、本県の「やまがた特命観光・つや姫大使」を平成28年11月に退任しています』という回答が出ている(ネット上、これを今回のゴタゴタによる解任としているものは誤りということになる)。
一方、詐称があるのは確かなようで、「株式会社フレール」については実在しないことが発覚し(このニュースはツルもなんとなく記憶がある)、取材に対して「見えを張ってしまった」と虚偽を認めているぐらいだから、他もそんなところがあるかもしれません(渡辺美里を嫁に、なんて与太話もあったとやら)。

 

そんなこんなで茨城県はとっとと縁を切った。

 

-----
(2019.12.04 茨城新聞)

 

フードアナリストの藤原 浩氏(55)と県内事業者の金銭トラブルを受け、県は3日、藤原氏に2014年度から委嘱している「いばらき大使」を同日付で解任したと発表した。今回のトラブルを「大使としてふさわしくない行為」と認め、大井川和彦知事は「このような事態が生じたことは誠に遺憾」とのコメントを出した。

 

〔中略〕

 

県は一連の問題が発覚した2日以降、藤原氏と事業者の金銭トラブルを巡る民事訴訟の訴状や判決文を確認。藤原氏の携帯電話や事務所とされた固定電話に数回ずつ電話をかけたが、一度もつながらず、本人からも連絡がないという。

 

藤原氏は2014年4月に大使に就任し、20年3月末まで任期があった。藤原氏はいばらき大使のほか、13〜17年度には農林水産物のブランド化などについて助言をもらう「いばらき食のアドバイザー」に就いていた。
藤原氏をいばらき大使に委嘱した理由について、県の担当者は「(当時は)食のアドバイザーをしていて、メディアへも出演していた。本県のPRが見込まれた」と説明。今回の事態を踏まえ「非常に残念」と述べた。

 

いばらき大使は1995年に始まった制度で、本県の魅力を広くPRしてもらうのが狙い。任期は3年で、本人の申し出がない限り自動更新される。3日現在で168人に委嘱している。
-----

 

ほら、「いばらき食のアドバイザー」も過去の経歴に過ぎなかったんだ。
本人は雲隠れにし夜半の月かな、だったわけですが、一部メディアとはコンタクトを続けていたらしい。

 

-----
(2019.12.07 毎日新聞 抜粋)

 

食品関連会社との金銭トラブルを受け、茨城県の「いばらき大使」を解嘱されたフードアナリストの藤原 浩氏(55)が4、5日、毎日新聞の電話取材に応じた。藤原氏は、会社側に金銭を返還する意思を示したが、一部は事業に関わった県中小企業振興公社に請求すべきだと主張した。

 

〔後略〕
-----

 

案外狡猾。役所からの電話には居留守を決め込み、記者からの電話には出ていたのだから。

 

12月10日には小野瀬水産訴訟の判決が出て、被害者の会の記者会見も開かれた。

 

-----
(2019.12.11 東京新聞 抜粋)

 

県の「いばらき大使」や「いばらき食のアドバイザー」を務めたフードアナリストの藤原 浩氏(55)と県内の複数の食品会社との間で金銭トラブルが相次いでいる。社長らが十日、県庁で記者会見し、被害者の会を設立したと発表した。藤原氏の関わる活動に注意を促し、被害の拡大を防ぐのが設立の目的としている。藤原氏は本紙の電話取材に「誠意を持って対応する」と説明する一方、一部を仲介した県中小企業振興公社の責任にも言及した。

 

会に名を連ねるのは、金砂郷食品(常陸太田市)、小野瀬水産(筑西市)、高橋肉店(龍ケ崎市)、備前堀LAB(水戸市)の水越建一社長。会見には小野瀬水産以外が出席した。
代理人の杉田昌平弁護士らによると、金砂郷食品は食関連の書籍で社の製品を広報するとの約束で百八万円を出資したが、書籍の発行はなく、返金も一部で未払い分があると主張している。水越社長は、藤原氏から新会社設立を持ち掛けられ、資金繰りが悪化したと訴える藤原氏に百二十万円を貸したものの、会社設立は破談し、返金もなかったとしている。それぞれ東京簡裁と東京地裁に訴訟を起こし、未払い金を支払うよう命じる判決が出ている。
小野瀬水産と高橋肉店は、県中小企業振興公社から藤原氏を紹介され、ブランディング業務などを委託した。小野瀬水産は、委託した商品パッケージのデザインなどが行われなかったとして、損害金約百九十万円の支払いを求めて東京地裁に提訴し、十日、藤原氏に百十四万円余の支払いを命じる判決が出た。

 

〔中略〕

 

被害者の会の代表を務める金砂郷食品の永田由紀夫社長は「判決後も藤原氏から謝罪の言葉や返済もない。このままでは、他の都道府県の事業者にも被害が拡大する恐れもある」と設立目的を説明。四社以外にも被害に遭った県内企業があるとして「申し出てほしい」と呼び掛けた。
加えて「いばらき大使」の委嘱などが藤原氏の信用につながったとして、県や振興公社にこの問題を調査して再発防止を図るよう要請したいとした。

 

〔後略〕
-----

 

こんな悪徳コンサル、野放しにしてはおけないということだったんでしょう。
それでも藤原は強気の態度を崩しておらず、筑西市も何らのアクションを取った形跡はない。

 

-----
(2019.12.11 東京新聞)

 

藤原氏は、本紙の取材に「このような事態を招き、申し訳ない」と関係者に謝罪するとともに、「借りたお金は少しずつでも返済する意思はある。誠意を持って対応したい」と強調した。
金砂郷食品や水越社長の件では非を認めた上で、「経済的に厳しく、返そうにも返せなかったが、返すべきものと考えている」と語った。経済的な理由については、重い病気を患った家族の治療費などが関係しているとした。
小野瀬水産の件は、提出したデザインを気に入ってもらえず、やり直しの最中に打ち切られたので仕事をしなかったわけではないと釈明。高橋肉店の件については、素材の使用確認を取ったと説明し、「文字を組み合わせることでオリジナルになる。高いとされる価格も県中小企業振興公社を交えた話し合いで決め、納得して払ってもらった」と主張。「いずれも公社の管理下でした仕事。責任を言うなら公社にもあるのでは」と公社の責任に言及した。

 

いばらき大使の解任には「粛々と受け止めるが、東京から年百二十日以上茨城に足を運び、県のために尽くして来た自負はある。それがなかったことにされるのは寂しい」と話した。
-----

 

割とスゴい理屈が並んでいるけど、虚言癖があるようだから全て鵜呑みにはできまい。そりゃやっぱり、責任転嫁にしか見えないんですが。攻め手と受け手と、どちらも役所側の責任を挙げているのがちょっと可笑しい。
各自治体の小役人たちも戦々兢々であろうなあ。いや、一番ヤバいのは「食のオフィシェ」なる何かを委嘱していた農水省ですか。

 

-----
( 2019.12.13 江藤農林水産大臣 記者会見 抜粋)

 

記者
ちょっと話は変わるんですが、元いばらき大使の藤原 浩さんの問題についてお伺いしたいと思います。藤原さんはですね、農水省の「食のオフィシェ」という肩書を広く使っていたことが分かっていて、地域の皆さん、金銭的な被害も出ている中で、そもそも任命は適正だったのかというところと、被害に遭われた方への大臣のお考えをお聞かせください。

 

大臣
非常にけしからん話だと思っています。22年にですね、当省が任命したということでありますが、27年に「食のオフィシェ」の制度自体が終わってますので、なくなってるわけでありますけれども、ああいう報道等を見てるとですね、今でも名乗ってる可能性が排除できないと思いますので、そういうことのないようにですね、御本人なかなかつかまるかどうかわかりませんが、こちらから申し入れはしっかりさせていただこうというふうに思っております。
-----

 

フン、〇流官庁がタイムアウトを隠れ蓑にしおったか。任命責任については何も答えてないじゃないか。・・・などとと思ってたら件の中小企業庁の親玉の経産省まで騒ぎ出して。

 

-----
(2019.12.14 産経新聞)

 

梶山弘志経済産業相は13日の閣議後の記者会見で、「いばらき大使」を解任された元フードアナリストの藤原 浩氏に関し「(経産省中小企業庁の)補助金が過大に交付された可能性がある。必要に応じて返還を含めて適切に対応する」と述べた。
補助金は中小企業の海外販路の開拓を支援する「JAPANブランド育成支援事業」。企業から委託を受けたデザイン料の一部として平成29年4月に藤原氏に85万円を支払った。その後、費用が適切に使われていない可能性が浮上し、経産省は県を通じて事実関係を確認している。
-----

 

いつの間にか「元フードアナリスト」になっちゃった。この85万円というのは筑西市の小野瀬水産に係る分です(cf. 前回)。おせちどころか海外展開を夢見ていたんだ。

 

(続く)

2020年1月12日 (日)

【Catastrophe編】地方のチカラを引き出せなくて・・・(1)(高橋肉店ロゴ)

(承前)

 

続報です。筑西市のおせち料理の不始末、いや、ふるさと納税の不手際、思わぬ大騒ぎになっていた。

 

まず、小野瀬水産ルートから。

 

-----
(2020.01.08 帝国データバンク)

 

ふるさと納税返礼品のおせち発送停止問題でトラブルとなっていた小野瀬フーズなど2社(茨城)、破産開始

 

フードアナリストとの間でトラブルを抱えていた
(株)小野瀬フーズ(TDB企業コード:250280230、資本金5000万円、茨城県筑西市玉戸1004-22、代表小野瀬あや子氏)と関係会社の小野瀬水産(株)(TDB企業コード:250136719、資本金1000万円、同所、同代表)は、1月7日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。
破産管財人は竹山 拓弁護士(東京都中央区銀座2-7-17、飯沼総合法律事務所、電話03-3567-7319)。

 

(株)小野瀬フーズは、1991年(平成3年)8月に設立された飲食店運営業者。回転寿司の「すし勢」、和風レストランの「ごほう」「晤寶」、とんかつ店の「かつ萬」などを地元筑西市や水戸市、栃木県小山市、千葉県我孫子市などに展開し、2003年7月期には年売上高約17億5600万円を計上していた。
しかし、その後は消費者の節約志向による外食離れや大手飲食チェーンとの激しい競争で客足は伸び悩んでいた。2010年には、都内吉祥寺や池袋にも出店するなど、スクラップ・アンド・ビルドを重ねていたが、2014年7月期の年売上高は10億円を割り込み、2017年7月期には約8億400万円と低迷、赤字経営を強いられていた。

 

この間、金融機関の支援を得ながら経営再建に取り組んでいたが、関係会社の小野瀬水産(株)が請け負っていた、ふるさと納税の返礼品として筑西市が企画した「おせち料理」の生産が期日までに間に合わないというトラブルが発生したことから、先行きの見通しが立たなくなり、7日までに事業継続を断念、同日東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 

関連会社の小野瀬水産(株)は1979年(昭和54年)6月創業、82年(昭和57年)5月に法人化した水産加工品卸売業者。主に(株)小野瀬フーズに対して生鮮魚介はじめ同加工品などを販売していたが、同社に連鎖する形で同様の措置となった。

 

負債は(株)小野瀬フーズが約9億円、小野瀬水産(株)が約1億円、2社合計で約10億円となる見込みだが、今後変動する可能性がある。
-----

 

あちゃー。「破産」だからもうつぶすしか道はないのね。前回、「ピンチをチャンスに変える方策はあるだろうか」と書いたけれど、自ら極刑を選んだわけです。

 

気になったのは「フードアナリストとの間でトラブル」で、なぜか本文には出ていない。調べてみると、もっと大変なことが見えてきました。

 

話は一月余り前に遡る。地元の茨城新聞が連日詳しく報じていた。

 

-----
(2019.12.02 茨城新聞)

 

食関連事業のコンサル業務を行い、茨城県をPRする「いばらき大使」も務めるフードアナリストの藤原 浩氏(55)と県内事業者の間で金銭トラブルが相次いでいることが1日、分かった。確定判決を含め、藤原氏が被告となった訴訟は、東京地裁、同簡裁で3件あり、中には県中小企業振興公社の勧めで藤原氏に業務を委託し、トラブルに発展したケースもあった。「被害」を受けた県内事業者は少なくとも6社に上り、一部事業者は今後、「被害者の会」を設立する。

 

藤原氏は、日本フードアナリスト協会理事を務める食文化研究家。これまでに県の「いばらき食のアドバイザー」をはじめ、鉾田や笠間、高萩の各市でブランド向上のアドバイザーなどを務めた。現在は古河市でも同様の業務を請け負っている。テレビやラジオ番組の出演のほか、日本経済新聞「NIKKEIプラス1 何でもランキング」審査員を長年務めている。

 

藤原氏とのトラブルが判明したのは、小野瀬水産(筑西市)▽高橋肉店(龍ケ崎市)▽金砂郷食品(常陸太田市)▽備前堀LABの水越建一社長(水戸市)-のほか、県西地区の2社(示談済み)。

 

同公社が2016年度に扱った中小企業庁の事業「JAPANブランド育成支援事業」では、小野瀬水産と高橋肉店が、それぞれブランディング業務などを藤原氏に委託した。このうち、小野瀬水産は昨年10月、藤原氏を相手に損害金191万円余りの支払いを求めて東京地裁に提訴。近く判決が出される見通しだ。
訴状によると、同社は同公社の紹介で藤原氏に新商品のパッケージデザインやブランド戦略などの立案業務を200万円で委託。しかし、藤原氏は業務を行わず、委託料も返金していないという。委託料のうち85万円余りに同事業の補助金が充てられた。

 

〔後略〕
-----

 

詐欺師だったんですねえ。1年以上前の2018年秋にはもうトラブルが表面化してたわけだ。小野瀬水産は被害者の筆頭に挙げられており、12月10日には藤原に114万円余の支払いを命じる判決が出されている。
もう一つ見逃せないキーワードは「県中小企業振興公社」。茨城県のお役所が紹介したコンサルだったんですよ(@_@)。因みに中小企業庁は経済産業省の下にある(伏線)。

 

他のケースはこんなだったらしい。

 

-----
(2019.12.03 茨城新聞 抜粋)

 

フードアナリストの藤原 浩氏(55)と県内事業者の金銭トラブル問題で、藤原氏が無料イラストと酷似したデザイン画を事業者に納品する際、有名デザイナーの作品で「1点300万円」などと説明していたことが2日、分かった。別の事業者から現金120万円を借りた際は「一生恩は忘れません」と謝意を示したものの、その後、返済せず、連絡を一方的に絶っていたことも判明。事業者は藤原氏の対応に「絶対に許せない」と憤りの声を上げている。

 

高橋肉店(龍ケ崎市)によると、藤原氏は2016年11月、委託された店舗ロゴのデザイン画を同社に納品。その際、藤原氏はデザイン画の制作者について、「(1点で)300万円の一流クリエーター」とうたい、別の事業者もデザイン画の制作料として「1アイコン300万円を支払っている」と、高橋肉店の担当者に説明したという。
高橋肉店は、デザイン画の制作やブランディング業務などの代金として藤原氏に数十万円を支払った。しかし、デザイン画と字体は、インターネットサイトで誰でも自由に入手できる「フリー素材」「フリーフォント」とそれぞれ酷似していることが判明。その後、店舗ロゴを変更した。
同社は「(当時は)有名デザイナーのオリジナルと聞いて採用した」としている。

 

一方、洋菓子店・備前堀LAB(水戸市)の水越建一社長によると、昨年8月上旬、資金繰りが悪化したという藤原氏に現金120万円を無担保で貸した。藤原氏からは「本当に助かります」「一生恩は忘れません」と、謝意を伝えるメッセージがスマートフォンに届いた。
しかし、藤原氏は同10月上旬、一転して「万策尽きてしまいました」「債務整理せざるを得ない状況」「心苦しく申し訳ありません」とのメッセージを水越社長へ送信。借金返済を求める水越社長からの電話や無料通信アプリ「LINE(ライン)」のメッセージに一切応答しなくなったという。
藤原氏はその後も現在まで、コンサルタント業務を続けており、有名飲食店の料理やラジオ番組で共演した芸能人との写真などをフェイスブックで公開している。

 

水越社長は「事業途中ではしごを外されたし、借金も返済しない。謝って済む問題じゃない」と語った。
藤原氏は、これまでの茨城新聞の取材に対し「私にとって不利益な内容なのでコメントできない」と話した。

 

〔後略〕
-----

 

高橋肉店
ロゴ

藤原 浩提出

Fujiwaratakahashimeat

 

「イラスト沖縄」上のフリー画像
Illustokinawa

 

悪質だなあ。
因みに、高橋肉店の問いに対し、その「一流クリエーター」の名前はどうしても明かさなかったそうで🌀🌀。

 

(続く)

2020年1月11日 (土)

【加筆編】むすんで、つないで:第六結節(空気の器)

(承前)

 

ちょっとばかり書き込みにお正月休みをいただきましたが(なにせ新入社員は忙しいのよ、社長秘書まで仰せつかったし)、松も取れたところで続けてまいります。

 

「かみの工作所」で何と言ってもすごいと思ったのはこれ。

 

空気の器
アーティストコラボレーションシリーズ 第五弾 野老朝雄ver.
Tokoroairvases

 

(デザイン)トラフ建築設計事務所
(製造・販売)福永紙工株式会社
(企画)かみの工作所

 

空気の器 No.32
Kumapon(g)
両面金箔押し
750円(税抜)
Tokoroairvaseno32kumapong

 

-----
空気の器の直径から、黄金比の比率で割り出された円のみで構成されたクマは美しく、愛らしい。
-----

 

空気の器 No.33
RHOMBUS
金×銀 箔押し
750円(税抜)
Tokoroairvaseno33rhombus

 

-----
45個の菱形から構築される環形には、「輪(和)を成す」という意味が込められている。
-----

 

空気の器 No.34
PPP
500円(税抜)
Tokoroairvaseno34ppp

 

-----
曲線で構成された有機的な紋様は、コンパスで作図されたピースが結合することによって形成される。
-----

 

空気の器 No.35
BABEL
500円(税抜)
Tokoroairvaseno35babel

 

-----
小さな円を段階的に拡張することによって生まれる波紋は、塔(BABEL)のような紋様を形成する。
-----

 

空気の器 No.36
BABEL COLORED
650円(税抜)
Tokoroairvaseno36babelcolored

 

-----
小さな円を段階的に拡張することによって生まれる色の濃淡は、1枚の紙に立体感を生み出す。
-----

 

空気の器 No.37
ATOM WAVY
650円(税抜)
Tokoroairvaseno37atomwavy

 

-----
正三角形から規則的に変形させた三角形で構築された紋様は、波のような揺らぎを生み出す。
-----

 

はー、美しいっすね・・・。同心円状に細かく切り込みを入れた紙を引き伸ばしていくと器状になるというしかけです。

 

-----
空気を包みこむように、形を自由に変えられる紙の器です。
広げ方によって、様々な形をつくることが可能です。
紙なので薄くて軽く、立体になると張りと強度がでて自立します。
-----

 

なんだそうで。「何に使うの?」なんて訊いちゃいけません(笑)。とにかくアーティスト達の創造意欲をかき立てるアイテムであることは間違いないのだから。

 

時期的には、「PAPER PHOMBUS PUZZLE」と「TOKOLO PATTERN ORIGAMI」の間に入る2017年4月の発売です。こちらは銀座の文房具店、Itoyaで記念イベント打ったとか。(因みに、RHOMBUSとKumapon(g)がお高いのは多分、箔押しだから。一方PPPとBABELは単色使い。)

 

もっとも、これの基本デザインを作り出したのは野老ではない。鈴野浩一と禿(かむろ) 真哉のユニット、トラフ建築設計事務所/TORAFU ARCHITECTSによるもので、2010年に発表されて以来45種類以上のバリエーションが生まれている。いろいろ賞を獲ったりしているようです。上掲のシリーズはそのうちのTOKOLO柄バージョンという次第。
2018年12月、遂にはこんなものまで発表された。

 

-----
(2019.01.15 デザイン情報サイトJDN コラム 技あり紙モノ通信 第23回 抜粋)

 

〔前略〕

 

今までの空気の器には表裏の両面にクリエイターが制作した絵柄が印刷されていましたが、今回は印刷ではなく、紙自体の色を活かした120色の空気の器が登場。紙の専門商社、竹尾が扱うファインペーパー「NTラシャ」四六判100kgのラインナップにある120色すべてを使った「空気の器 120 COLORS」ができました。こちらが120色の空気の器。圧巻です。

 

Airvases120before
紙を広げる前

 

Airvases120after
紙を広げたあと。2枚以上重ねて、色が混ざり合うのを楽しむこともできる。

 

NTラシャは、ファインペーパーの中でも色数が多くそろうことで知られる定番紙で、良質のコットンパルプを配合した、緻密で温かい肌触りが特徴。紙自体に適度なハリがあるので、紙を細かい網目状に広げても形崩れせず、しっかりと広がります。

 

空気の器の型抜きの間隔は約0.9mm。これ以上、狭い間隔では抜けない限界だそうです。通常の空気の器にはもう少し薄い紙が使われているので、NTラシャ100kgの厚みで抜くのは難しいのではないか?と思いましたが、適性は良かったとのこと。今までにさまざまな種類の紙で型抜きのテストをしたそうですが、適性のよい紙のほうが少なく、紙選びにはいつも苦労しているとか(和紙のような繊維質の紙は向かないそうです)。

 

〔中略〕

 

福永紙工の山田祥子さんに企画意図をうかがったところ、「空気の器は2010年に発表してから、まる8年が経ちました。直径20cmの円形の型を変えることなく、空気の器を長く楽しんでもらえるように展開をしてきました。9年目となる、次の展開を考えた時にあえて素材に立ち返り、紙の風合いや色に着目した空気の器があったなら、折り紙、画用紙のような感覚で空気の器を素材として使ってもらえる。いろいろな人の発想の素になって、世界中で楽しい作品が生まれる予感がします」とのお返事をいただきました。

 

〔後略〕
-----

 

へー。和紙じゃダメなんだ。

 

こちらはバラ売りのみで1枚350円(税抜)、24色セレクトの「空気の器 24 COLORS」だと3,500円(税抜)。野老バージョンに比べ、だいぶお求めになりやすい価格となっております(笑)。

 

確かにこれも、「つながる」、いや「つながってる」わけじゃあるなあ(物理的に)。

 

(続く)

2020年1月 3日 (金)

地方のチカラを引き出すために?

正月早々、次のニュースを興味深く読んだ。

 

-----
(2020.01.01 毎日新聞)

 

茨城県筑西市は1日、ふるさと納税の返礼品であるおせちセットの一部、357セットを昨年末までに寄付者に届けることができなかったと発表した。市内の受注業者「小野瀬水産」の生産が間に合わなかったためで、市は寄付金の返金や、別の返礼品の発送などの対応を検討している。

 

市企画課や同社によると、6種約2000セットを受注したが、357セットの生産が間に合わず、12月30日から31日の配達予定日に配達できなかった。31日午後以降、寄付者から「返礼品が届かない」と問い合わせが相次ぎ、問題が発覚したという。届かなかった返礼品は寄付額5万円と9万円で、3段重のグレードの高いものばかりだった。

 

同社のおせち受注数は全部で例年より約2〜3割増で、ふるさと納税向けの受注も昨年より4〜5倍も増えていた。同社の担当者は「例年通りの手順で生産可能と判断していたが、間に合わなかった。大手スーパーやネット注文のおせちなどで発送の遅れが出ている。年に1度の晴れの日に大変申し訳ないことをした」と釈明している。

 

同社のおせちは2016年度以降、返礼品として使用していたが、こうしたトラブルは初めて。市の担当者は「ご迷惑をおかけして申し訳ない」と話した。
-----

 

ひでえなあ。
ポイントは三つだろうか。

 

・なぜ、小野瀬水産は然るべき時点で対象者に連絡をしなかったのか

 

明るみに出たのは筑西市の方から小野瀬水産に連絡を取ったからであったという。しかも、『市が確認すると、1日に同社から「対応ができない」と、357セットの配送中止の連絡があった』(2020.01.02 読売新聞)とのことで、完全タイムアウトです。ビジネス上、あり得ない話で。
市にも監督責任は当然あろう。

 

・なぜ、受注が「昨年より4〜5倍も増えていた」のか

 

バズったわけですね。思いつくのはこのことで↓。

 

-----
(Wikipedia ふるさと納税 抜粋)

 

総務省は返礼品競争の是正のため、2017年春と2018年春に返礼品について寄付額の3割以下でかつ地場産品とするよう総務大臣名の通知を出した。この通知に強制力はなく2018年9月1日時点で寄付額の3割超の返礼品を送っている自治体は246市町村(13.8%)で、このうち174市町村が見直しの意向がないまたはその時期を未定とした。
-----

 

本件の場合、お高い方の「幸寿」の価格(税込3万円)は寄付金額の33%、「華琴」(はなこと:同 1万8,000円)は36%となる。因みに「幸寿」は国産伊勢海老や国産鮑煮を詰めたというのがウリだったようです。

なんかね、浅はかとしか言いようがない。納税者と受益者の歪み、地方と都会の歪みを増大させるだけのこの制度にはそもそも反対だが、(ついでに言うと、仕事柄、安易な株主優待にも株主総会土産にも賛成しかねるが、)例えば、高額返礼のため法改正によるふるさと納税の新制度から締め出されて国を提訴している大阪府泉佐野市と、過疎地ながら高齢者中心に「つまもの」の葉っぱビジネスに取り組んでいる徳島県勝浦郡上勝町(cf. 2017.08.14「丸ブー🌀艶競べ♥ [45]」)と、どちらが前向き、どちらが実業と言えるだろうか。因みに『2018年上勝町は「SDGs未来都市」に選定されました』由。(そりゃ、上勝町だって地ビールやらなんやらでふるさと納税を実施しているが。)

 

・本件で相当程度に落ちたご当地のReputationをどのようにすれば回復できるのか

 

これが一番難題だと思える。無論、「寄付金の返金や、別の返礼品の発送などの対応」のレベルの話ではない。もともと、ふるさと納税の実態は各Localityの発展を願ってというところからはかけ離れていて、一般に言われている効果やメリットは限定的だと考えているけれども、これで一旦不手際や不祥事が起きたら、そのダメージの方は大きいはず。乱暴に言えば全国に赤恥を晒したわけだから、小野瀬水産がというより筑西市が。話は「これで嫌な思いをした」357世帯にとどまらない。ピンチをチャンスに変える方策はあるだろうか。

 

よそから迂回する形で収入増をもたらすというのでは、単なるパイの食い合いで諸課題の解決策にはならないだろう。近視眼的な「ご当地」観念に頼ることは、長い目で見て危険ですらある。総務省が当初この制度を野放しにしたのは失策であったと思う。

 

ご当地塩キャラ「ちっくん」(cf.【その1】)も困惑気味です😜。

 

Afchickunsorry

2020年1月 1日 (水)

【加筆編】むすんで、つないで:第五結節(PAPER RHOMBUS PUZZLE・TOKOLO PATTERN ORIGAMI)

(承前)

 

皆様、あけましておめでとうございます。博多より2020年新春のお慶びを申しあげます。
日本海性気候の福岡の冬には珍しく、一片の雲もなく晴れわたった青空のお正月です。そりゃ裏日本でも(これっ!)、たまには東京の冬みたくなるのよ。
ともあれ、旧年中に引き続き、ご愛顧ご贔屓のほどよろしくお願い申しあげます。

 

さて、華やいだお屠蘇気分のまま、TOKOLO Worksの続きを見てまいりませう。

 

ここら辺で、これも押さえとかんといけんやろうな。

 

【第2結節】で取り上げた福永紙工株式会社は印刷からpost-print加工まで手がける会社で、アーティストとの共同企画もアグレッシブに行っている。2019年に(再)発売された「TOKOLO PATTERN MAGNET」は、その「かみの工作所」プロジェクトにおける野老コラボとして、「PAPER RHOMBUS PUZZLE」「TOKOLO PATTERN ORIGAMI」に続く第3弾だそうな。

 

え!?rhombus!?菱形!?
で、これがですよ。

 

PAPER RHOMBUS PUZZLE
野老朝雄(アーティスト)
01. GRAY
2,900円(税抜)
Tokolopaperrhombuspuzzle01gray

 

02. GOLD
2,900円(税抜)
Tokolopaperrhombuspuzzle02gold

 

03. RED
3,000円(税抜)
Tokolopaperrhombuspuzzle03red

 

パッケージサイズ:W200 × H200 × D5mm
GRAY, GOLD:60ピース
RED:45ピース + 12角形ピース

 

おおーー、遂に‼️各ピースの文様は違うけれど、組市松紋と同じ正十二角形の60ピース菱形パズルが既に発売されていたのであった。GRAYとGOLDは2016年10月発表、REDは少し遅れて2017年1月に発売されている。REDの45ピースというのは東京オリンピック/パラリンピックエンブレムと同じ構成で、12角形ピースは両エンブレムの空白部分、すなわち取り除かれた15ピース分の塊の形に相当する。
各ピースには磁石がついていて、台座にくっつく構造らしいです(少なくともREDは)。だから壁に飾ることもできる。

TOKOLO PATTERN MAGNETをはじめとする正方形+正三角形パズルを見た後で改めてこれらの菱形パズルに戻ってくると、また新たな気づきを感じます。
3種類の菱形ピースのうち、「大」は正方形でもあり、「中」は正三角形を2つつなげたものである。となると、先に正方形+正三角形パズルまずありきで、それをランダムに組んでいった場合に生じ得るすきまを埋めるものとして「小」が生まれてきたのではないか。

 

それにだよ、前にちょっと書いたけど(cf. 2018.02.09「オリンピック/パラリンピックエンブレムの組市松紋のパズルを作ってみた(中段)」)、こんな↑商品が販売されているということは、2016年4月に野老が東京五輪の組織委員会に100万円の対価で譲り渡した権利の中味には、デザインの大骨格たる「3種類の菱形/rhombusによる平面充填」のアイデアそのものは入っていなくて、そのピースに長方形/正方形の藍色をつけたバリエーションのみだった、ということになるな。一身専属的な著作者人格権の不行使という手段でも抗し切れなかったものと見えます、組織委員会側としては。

逆に言えば、あの組市松紋パズル自体は権利関係の問題で売り出すことができなかったものらしい。ちぇっ。(でも愚blogでは無料でゲットできちゃうの♥;cf. 2018.02.12 「オリンピック/パラリンピックエンブレムの組市松紋のパズルを作ってみた(下段)」)

 

こうなると折り紙も気になる。いよよ華やかにまいりませう。

 

TOKOLO PATTERN ORIGAMI
野老朝雄
01. PPP
赤 6枚(3柄 × 各2枚) + 紺 6枚(3柄 × 各2枚)
02. DOT
赤 6枚(2柄 × 各3枚) + 紺 6枚(2柄 × 各3枚)
Tokoloorigami

 

03. ORIZURU
赤 6枚 + 紺 6枚
Tokoloorigami03orizuru

 

パッケージサイズ:W155 × H150mm
各600円(税抜)

 

当初、2017年10月に上掲の3セットが発売された由。その後徐々に種類が増えていて。

 

04. ORIZURU BW
白 + 黒 各6枚
Tokoloorigami04orizurubw

 

2018年6月、上野の森美術館の「ミラクルエッシャー展」で先行発売されたもの。

 

05. RHOMBUS STRIPE
各柄 6枚
Tokoloorigami05rhombusstripe

 

どこにどんな “rhombus” が隠れているのか、ツルの眼力では到底わかりかねますが。(実際に購入して、切り刻んでみたらわかるのだろうけれども。)

 

06. GRGR-J
紫 6枚 + 緑 6枚
Tokoloorigami06grgrj

 

同年12月発売。
05と06の各柄は拡大 ↔ 縮小の相似形になってるんですね。

 

07. RAINBOW ORIZURU
赤 + オレンジ + 黄 + 黄緑 + 青 + 紫 各2枚

Tokoloorigami07orizururainbow

 

あれ、六色の虹だ、と思ったら、やはりこんなことが同社サイトに出ていた。

 

-----
PRIDE HOUSE TOKYO -プライドハウス東京-
「プライドハウス東京」は、セクターを超えた団体・個人・企業が連帯し、2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催されるタイミングを契機と捉え、LGBTなどのセクシュアル・マイノリティに関するポジティブな情報発信を行い、世界中から訪れる方々が安心して集える場所とホスピタリティを提供しようというプロジェクト。
9月20日にはラグビーW杯に合わせ期間限定の情報発信施設「プライドハウス東京2019」が東京・原宿にあるsubaCOにてオープンしました。
プロジェクト全体のロゴデザインは、東京2020オリンピック・パラリンピックエンブレムを手がけ、「つながり」や「多様性」をテーマとした作品制作を続けている、美術家の野老朝雄氏が担当。
-----

 

このスペースで2019.09.20~11.04の間、販売されたらしいです。確かに;

 

-----
となると、赤・橙・黄・緑・青・紫の六色の虹から成るRainbow FlagがLGBTの象徴である(因みに、これが1978年に考案された当初は虹の七色にピンクを加えた八色の旗だったとか)ことが思い出されてくる。
-----

 

のカラーリング。

 

大昔、ラグビー雑誌には名古屋かどこかの女装会館?の広告が載っていると聞いたことがあるけど、今はどうなんだろう。厳密にはその場合の “T”はTransgenderではなくてTransvestiteなんでしょうが。ネットの辞書で調べてみると「異性服装倒錯者」という訳が多いので、そりゃ侮蔑的だという時代がすぐに来ると思うなー。この数年の「LGBT擁護」ないしは「LGBTの権利主張」という問題はまさに目覚ましいからなー。

 

でもなー、正直言うと「ちゃんとした〇〇ならそんなことはしません」的な規範性というものもやはり必要ではないのかしらん、社会にとっては。〇〇には「日本人」とか「デザイナー」とか「男性」とか「知識階級」とか「母親」とか、いろいろ(肯定的な概念を表した)言葉が入り得る。「『〇〇らしさ』の否定」は常に時代の最先端を行くものではありましょうけれども。
そこのところはどう折り合いをつけていくのか、当事者としてのMinorityに聞いてみたい気がする、いつも。

 

上述の文章で用いられた「美術家」という肩書が、会社側の書いたものなのか、野老サイドの意向によるものなのかはわかりませんが、おそらく後者だと思われます(∵他作品でもこの表記が増えているようなので。2016年4月の五輪エンブレム発表時は「アーティスト」というクレジットだった)。そうだとしたら微妙にダサい・・・ミッツ・マングローブの「女装家」みたいな感じで(これは “Transvestite” ですな)。
どうでもいいけど、野老氏が髭剃って女装したら肉感的な美熟女になるんじゃないかと思う。梅沢富美男が白塗りで妖艶な太夫に変身するノリね。(野老先生、ごめんなさい。)

 

(続く)

« 2019年12月 | トップページ | 2020年2月 »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のトラックバック

無料ブログはココログ
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想