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2020年2月 8日 (土)

【加筆編】むすんで、つないで:第十一結節(すくもロゴマーク・娯茶平連法被・轟神社紋様)

cf.
2017.09.11「阿波より藍をこめて・野老より永遠に;拡散」

 

(承前)

 

今回のsubseriesで見てきた野老作品は基本的に中央発信のもの、ないしは企業ものであって、ご当地ネタ的な要素はほとんど持っていない。東京都文京区だって、いくら地方自治体とは言え、文化的に歴史的に見て、今さら独自のLocalityは見出しにくい。ぶっちゃけ、東大があるから文京の名前もあるわけでしょ。その時点で既に「地方」たり得んのじゃないかね^^;。日本一の(世界一のとは言わない(^_-))俊秀が集まる学府は、『「東京」は「地方」からやって来る』の一典型でもあろう。
とまあ軽くぶちかましておいて、今回はLocalityやCommunityを前面に据えたものを挙げていこう。

 

2017年7月、舞台は再び徳島。

 

徳島県板野郡上板町(かみいたちょう)
すくもロゴマーク
野老朝雄(48歳:アーティスト)
Tokorokamiitatownlogomark

 

こちらは17×17マスの方眼紙。

 

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(2017.07.26 徳島新聞)

 

藍染の染料・すくもの生産量が全国一の上板町は、町内外への情報発信に活用するロゴマークを作った。2020年の東京五輪・パラリンピックの大会公式エンブレムをデザインしたアーティスト野老(ところ)朝雄さん(48)が手掛けた。
ロゴは、ジャパンブルーとも呼ばれる[藍色]を下地に、[八角形]で囲った漢字の[すくも]を[白]で表現した。県が今年制作し、野老さんがデザインした「藍」のロゴと共通の書体を採用している。
25日、町役場で発表会があり、七条 明町長や野老さんらが出席。七条町長は「産地である上板のPRにつなげたい」と意気込み、野老さんは「藍師が丹精込めたすくもを、たくさんの人に知ってもらうきっかけになれば」と話した。
役場正面玄関に、藍染愛好家らでつくる町藍染研究会が作製した「藍」と「すくも」のロゴが入ったタペストリー(縦190センチ、横90センチ)が左右に掲げられ、完成を祝った。
制作には国の地方創生交付金(総額2540万円)の一部を充てた。具体的な制作費は非公表。町は近く県や県藍染研究会、阿波藍製造保存会などと利用方法を協議する。
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[藍]のロゴとは、もちろんこれのことだろう。

 

徳島県
藍とくしま ロゴマーク
野老朝雄
〔2017年1月発表〕
藍とくしま

 

実はこれも17×17マスだった・・・。
ふと、「泥棒捕らえて繩を綯う」という古い言葉を思い出したりする。

 

♪有難の、有難の、藍染の御衣や。

 

今作りました。

 

「すくも」と読む漢字は、「蒅」「糘」「粭」「粠」「𥹖」「𥻂」など何種類もあるそうな(お使いの環境で出てこなかったらごめんなさいまし)。中国地方などで地名に用いられる、いわゆるローカル漢字が多いらしい。このデザインの場合は[蒅]でしょう。「草冠」に「染」とは、草木染全般に使えそうな字だ。まあ、読めはせんわな、普通。

 

因みに、ご当地にはすくも作りを担う藍師が2名いる、いや2名しかいない由。県内で他には2~3名らしい。それが厳しい現実です。「藍とくしま」の理念を徹底するなら、このロゴマークもご当地上板町以外の阿波藍の産地に使わせてやってもよさそうなものだが。

その翌月にはさらに・・・

 

徳島市
阿波おどり 娯茶平連
法被
野老朝雄(48歳:アーティスト)
Tokorogojaheirenhappycoat

 

「ごぢゃへい」という有力連の揃いの衣装が披露された。13×13マス、裾はきっちり市松模様(微笑)。[娯]の字はなにがしか、踊り手の姿を模してある感じです。単純な[平]の字ではマス数を満たすためにちょっと苦労したようですな。

 

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(2017.08.08 徳島新聞 抜粋)

 

徳島市の阿波踊り初日の12日、娯茶平の岡 秀昭連長(76)が、2020年の東京五輪・パラリンピックの大会公式エンブレムをデザインしたアーティスト野老(ところ)朝雄さん(48)が手掛けた藍染の法被を着て演舞場に踊り込む。7日、法被が出来上がり、同市の徳島新聞社で岡連長が披露した。

 

法被は、背中や両袖の表側に娯茶平の[娯]、襟や両袖の裏側などに[娯茶平]の文字をあしらった。県が今年制作し、野老さんがデザインした「藍」のロゴマークと同じ書体を採用している。
東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムに藍色が採用されたのを機に、藍染の法被で阿波踊りを盛り上げようと、岡連長が6月にプロダクトデザイナーの永原レキさん(35)=海陽町宍喰浦=らを通じて野老さんに相談。野老さんがデザイン制作を快諾し、藍染作家の阿部正臣さん(42)=上勝町旭=が染め上げた。

 

〔後略〕
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連長の突飛なファッションの方がまず目に飛び込んできてかなわぬが。

 

夕霧は捲毛のやうにほぐれ来てえにしだの薮も馬もかなはぬ
   齋藤 史

 

ご当地ではさらに、2019年になってこんなものも作られた。

 

徳島県海部郡海陽町(かいふぐん かいようちょう)
轟神社
紋様
野老朝雄(50歳:美術家)

Tokorotodorokishrinecrest

 

その名が示すとおり、この神社の御神体は名瀑の誉れ高い「轟の滝」(本滝・王餘魚滝/かれいだき)。酷道の悪名高い国道193号線を通らないと辿り着けません、悪しからず。
これには遂に最多、35×35マスが使われている。なんだかこれ↓に雰囲気が似てますねえ、特に(笑)。

 

【2020.01.25「むすんで、つないで:第七結節」】
宮城県塩竈市
菅野美術館
野老朝雄展 -Solo Exhibition of Asao TOKOLO-
ポスター
〔2007年7~9月開催〕
Tokolokannomuseum2007poster

 

こちらは23×23マス(実質的には21×21マス)。
[轟]と[竈]、普通のフォントでもちょっと似てるからね😌。

 

どうでもいいけど、塩竈市(正式表記は塩釜市ではなく塩竃市でもなく塩竈市である)の「塩」はもとは「鹽」と書いた。この字は前述の「藍」と共通点があるし一層複雑な字面だから、こちらもさぞや野老の九畳篆ゴコロの琴線を掻き鳴らしたに違いないと推測します。

 

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(2019.11.16 徳島新聞)

 

2020年東京五輪・パラリンピックの大会エンブレムを手掛けた美術家野老朝雄さん(50)=東京都=が海陽町平井の轟神社の文様を制作したことを記念した石碑が神社境内に建立され、10日に行われた秋祭りで見物客らに披露された。
石碑は県産の青石製で、高さ120センチ、幅30センチ、奥行き11センチ。野老さんがデザインした神社の文様が下部に配され、梅枝紘一宮司(79)の書による神社名が刻まれている。

 

神社総代を務める永原レキさん(37)=同町宍喰浦、藍染スタジオ経営=が野老さんと親交があったことから、文様の制作につながった。石碑のほかに文様入りのTシャツやお守りも製作。今年の秋祭りでは、みこしの担ぎ手たちが身に着ける白装束も背中や襟元に文様を入れて新調した。
石碑の建立や白装束の新調にはクラウドファンディング(CF)で集まった約120万円の一部を活用した。同じく総代を務める岩本健輔さん(36)=同町大里、会社員=が神社運営の厳しさを知り、野老さんデザインの文様入りの返礼品を贈るCFを提案した。
岩本さんは「個人が資材を投じなくても祭りを継続していける仕組みが必要。目標額を達成できてほっとした」と話した。

 

今後も祭りの時期などにCFを行うほか、文様入りの新製品の製作も予定している。
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レキさん、大活躍の大貢献です(サーフィンの世界でも有名なおヒトらしい)。

 

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(2019.11.03 クラウドファンディングサイト READYFOR)

 

クラウドファンディングを始めてからあっという間に3週間が経とうとしています。
本当にたくさんの方々からのご支援をいただいており、大変感謝しております!今回はこのプロジェクトを立ち上げる一つのきっかけにもなった<轟神社新紋様>についてご紹介させていただきます。

 

プロジェクトページ本文中にもありますが、こちらの紋様は著名な美術家である野老朝雄氏より轟神社へ奉納して頂きました。[轟]の文字がモチーフになっています。
野老氏が大切にしている色の一つである“藍/Japan Blue”…これをきっかけに天然藍染料蒅(すくも)の日本一の生産地として日本の藍染文化を支えてきた徳島県と野老氏の繋がりが生まれました。そして、同じく藍色がコンセプトカラーとなった東京2020大会にサーフィンが史上初めて正式種目に決定したことからサーフィンのメッカでもある海陽町にも訪問して下さり、その際に参拝された轟神社で轟本滝の壮大さや祭りの由縁・歴史に感銘を受け、この轟紋様を制作・奉納してくださいました。

 

時間がない中で大慌てで作った今回のプロジェクト。東京オリンピックパラリンピックを来夏に控えた令和元年轟神社秋季例大祭、エンブレムデザイナー野老さんが奉納してくださった“阿波海部轟神社オリジナル紋様”のパワーを最大限に活かすには今年の例大祭までにどうにかこのプロジェクトを立ち上げる必要がありました。そして必ず成功させる必要があります。
納期が短い中ご無理を承知で多くの方々に依頼しご協力をいただき、この新紋様を施した手ぬぐいやTシャツ、バスタオル、御守りなどをご支援の御礼の品としてご用意させていただきました。加えて、海部川の恵みや徳島が誇る藍染製品など、阿波海部の特産品もご用意しておりますので、 これらご当地の産品からもぜひ皆様に海部川流域の自然や歴史文化の魅力を感じて頂けましたら幸いです。
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しかし、う~~ん。不思議な話ではあるなあ。「奉納」とあるからには野老は無報酬だったんですよねえ??もしそうだとしたら、ちょっとおかしくない?クラウドファンディングまでやってるのに。「個人が資材を投じなくても祭りを継続していける仕組み」(「資材」は徳島新聞の馬鹿記者が「私財」を書き間違えたのだと思う)と言いながら、その「一つのきっかけにもなった」デザイナーは割を食うというわけ??それってSpec Work以下の話じゃん(cf. 2016.08.04~06「恐怖の "Spec Work"」)。そんな説得力のないことじゃ120万円が底をついた先はどうやっていくんだろう。そしてその先の阿波藍はどうなっていくんだろう。

 

そもそも御神紋(でしょ?)を、なぜ今作ったんだろう。これまで持たなかったというのかしらん?しかも有難いシンボルマークを、言っちゃ悪いがこんな簡単に、ですよ。「機は遂に熟した」という状況ではなかったことは上述の「時間がない中で大慌てで作った」という言葉からして明らかである。
シビアに見れば、だんだん、祭りの費用を賄うためのクラウドファンディングにキャッチーなネタが欲しかっただけじゃないのかと思えてくる。

 

さらに気になるのは、地方の自治体/団体における野老作品が、九畳篆タイプに偏ってしまっている(ように思える)こと。前にも書いたけど、野老にとって、そのパターンは昔日の「千本ノック時代」の修業の産物に過ぎず、新しく生み出された「何か」ではないのではないか。

 

ともあれ、「墓石に掘れるか」「身体に刻めるか」(cf.【第七結節】)と述べていた野老にとり、その墓碑銘とTattooがまた一つ出来上がってしまったわけやね。

 

20191110todorokishrine

 

(続く)

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