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2020年2月 1日 (土)

【加筆編】むすんで、つないで:第九結節(文京区シンボルマーク・文京区紋章・組六紋)

(承前)

 

これまで見てきた文字系TOKOLO紋は、基本的に、比較的複雑な字形の漢字を九畳篆よろしく縦と横の太線だけで構成したものだったけれど、曲線をベースにしたものも作られている。

 

東京都文京区
シンボルマーク
野老朝雄(ところ あさお)(文京区:東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレムデザインアーティスト)
Tokorobunkyowardsymblemark

 

野老がご当地在住とは存じませなんだ。区制70周年記念で、2017年1月18日の庁議で決定されている。ただし、その後2月27日の区長記者会見で発表・3月15日の区制70周年記念式典で正式制定と、随分勿体をつけたみたい。What an Untimely Disclosure!!

「5」を基本数にした野老デザインも今まで見たことがなかった感じです。そしてああ、これもきっとさ定規とコンパスだけで作れるんだろうな(五角形だから分度器も要るかな)。

これがまたすごいのは、stand-aloneだけじゃなく連続文様としての利用も想定してあったこと。

 

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平成29年1月18日庁議資料
総務部

 

文京区シンボルマークの決定について

 

以下を文京区のシンボルマークとする。

 

Tokorobunkyowardsymblemark

 

1 デザインの意図
・「文」は文教の府である区の性格が出る文字なので、大きさの異なる[円]を組み合わせることにより[文]と読める形を制作した。
・紋章と同様に中心に二つの[同心円]を配置することで、紋章とのつながりを示した。
・シンボルマークはつながることを前提とした個であり、マークをつなげることで、様々な姿に発展させていくことが可能とした。

 

2 「つなげる」の発展例
Tokorobunkyowardsymbolmarkvariation1 Tokorobunkyowardsymbolmarkvariation2
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「個」の文字も見えるから、コンセプトの文章は野老サイドで作ったんでしょう。
利用のための規定類を整備した際の発表資料では、次の一文が追加されている。

 

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(2017.07.25 同区発表資料 抜粋)

 

また、基本の色は、区の花であるつつじの色をイメージした[マゼンタ100%]とし、利用の場面により他の色を利用することも可能とした。
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庁議資料には出てこないということは、こちらは後付けの理屈だろう。「区の花であるつつじの色をイメージ」というのは、いかにも地方の小役人様の、いやお役人様の考えそうな発想で、およそ野老らしからぬ思考回路だと思うけど。「緑と赤の補色で目立たせたかった」じゃダメなの?

 

そもそもこれ、M100ですか?ほんとに?

 

M100

 

ああ、合ってるのか、大体。

 

同区サイトにはこのようにも出ている。

 

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シンボルマークのコンセプト
文京区基本構想では、将来都市像として、「歴史と文化と緑に育まれた、みんなが主役のまち『文の京』」を掲げ、その中では、「多様な主体が対等なパートナーとして、ふれ合い、支え合い、助け合える、みんなが主役のまちづくりを浸透させていきます。」としています。この将来都市像を実現するうえで、重要な要素が、「人々のつながり」であると考え、「つなげる」をコンセプトにしたシンボルマークとしました。

 

シンボルマークのデザイン
シンボルマークのデザインは、大きさの異なる[円]を組み合わせることにより、[文]の形を表現しています。また、昭和26年に決定した文京区紋章とデザイン上のつながりも意図して制作されています。
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シンボルマークにつながっているとされた古い紋章はこのデザイン。

 

東京都文京区
文京区紋章
千葉喬弘(たかみつ)(本名 一彦:19歳:東京藝術大学美術学部学生)
Chibabunkyowardcrest

 

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区の紋章は、昭和26年3月1日に制定されました。昭和25年10月、区民の愛区精神を育て、文化芸術活動を活発にするため、一般から広く募集しました。中から、文京区の姿を象徴する[文]の字を図案化したものが選ばれ、これを正式に区の紋章としました。
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終戦後まだ5年という時代に1,080点を集めたそうで、それって実にすげえと思う(今、その当時の父親の日記を読んだりしているので特にそう思うのかもな)。

 

実はこの千葉こそ、前回書いた千葉 学の父君(@_@) (@_@)。藝大卒業後、東映や日活に美術監督として勤めたほか、1970年大阪万博の日本館のサブプロデューサー等も務めた。
文京区が千葉親子にインタビューした動画も公開されており、地味目だけど大変興味深い。シンボルマーク記者会見には野老だけではなく千葉(父)も登場していて、父子二代、野老とは因縁浅からぬ間柄のようです。(願わくば、このシンボルマークの仕事がご当地にある東京大学の副学長たる千葉(子)の口利きなんかであったりせぬことを。)

 

文字ではないけれど、これも同類項。

 

長野県上田市
上田商工会議所
上田プロジェクト
組六紋
野老朝雄(デザイナー)
Tokorokumirokumon

 

かの有名な「六連銭/ろくれんせん/むつれんせん」の紋所(cf. 2009.03.25「延々々々々 家紋夜話」;「六文銭」は俗称である)をアレンジしたデザインで、やはり「個」を「つなげる」思想に立っている。

 

Rokurensen

 

よく見ると、連続バージョンのパターン配列の最小単位はこれも正方形と正三角形であることに気づきます。
こちらは五輪エンブレムの組市松紋に先立って作られたものだった(ただし、「組六紋」の名称は2016年7月に発表されたらしい)。

 

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(2016.08.20 NIKKEI STYLE 抜粋)

 

上田プロジェクトはリーダーである藤本つむぎ工房(上田市)の佐藤元政営業部長、事務局長の協和食品(同)の宮下 修社長ら5人を中心に、3年前から新商品開発や販路開拓の勉強会を開催。ブランド統一の重要性に行き着き、昨夏に野老氏にデザイン制作を依頼した。野老氏が10月に上田を訪問してメンバーと話し合い、11月に4種類の基本形を完成させた。
組六紋は上田ゆかりの真田氏の家紋[六文銭]を基に、一文銭に[筋]を入れてデザインしたもの。組み合わせで富の象徴である米俵やぶどうの房に見える。基本形は単色だが、カラー化など自由な展開が可能。野老氏が五輪向けにデザインした「組市松紋」とは制作時期も近く姉妹のような存在だ。プロジェクトの略称や上田市の読み(上だ)をもじった[UP↑]を組六紋と合わせて使う。
幸運が訪れたのは4月25日。野老氏のデザインが五輪公式エンブレムに選ばれ、組六紋への関心も急上昇した。想定外の追い風を受けてデザインは様々な商品に活用されている。
メンバー内では藤本が上田産繭を使った化粧用商品「玉繭コスメ」、箱山食糧販売店(上田市)が「りんご米」などブランド米の包装に使用。飯島商店(同)のみすゞ飴(あめ)、八幡屋礒五郎(長野市)の上田限定のスパイスなど地元の著名商品にも使われ始めた。
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ほんとの姉妹は文京区にいると思うぞ。

 

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(同上)

 

上田市で7月1日に開かれた日本デザイン学会の研究発表大会で基調講演した野老朝雄氏は、上田プロジェクトについて熱意を込めて語った。
「真田氏の六文銭は子どもの脳裏にも焼き付く形の持つ強さがある」という野老氏。「六文銭を今の時代の紋にできないか考えた。組六紋は筋を入れることで輝きとつながりを表現。六文銭と同じように100年、200年もつものができるといい」と期待を込めた。
組六紋をベースにしたカラー化などのアレンジは他のデザイナーができるようにし、使用する際には野老氏に1件ずつ確認を取る。「さらに普及させるには権利関係を明確にした利用のガイドラインを作り、審査機関も必要になる」と宮下氏はみる。
野老氏は自らの制作に携わる姿勢を「いかに事象を他人事でなく自分事にできるか」と語る。
組六紋の成長も、まさに地元がいかに積極的に関わっていくかにかかっている。
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単色版をベーシックとして、他の色にも展開可能としたところも同じ。うーむ。手法的にもう固まっちゃってるんだなあ。ひょっとしたら、文京区でもバリエーション展開には野老の確認を要することになっていたのかもしれない。

 

ん?おろ?ここでも講演か。

 

2016.07.01
日本デザイン学会 第63回春季研究発表大会
特別講演「つながる/つなげる」
野老朝雄(アーティスト)
@サントミューゼ(上田市)

 

因みに野老の直前に講演したのは往年のコメディアン、小松政夫(福岡県出身)だったとか。

 

つまりは、上田市には僥倖が向こうから転がり込んできたわけですね。僥倖と言えば、2016年はNHK大河ドラマで真田幸村の生涯が取り上げられてもいた。嵩に懸かって攻め立てれ状態だったんやな。

 

でもなあ。その後どのぐらい世の中に浸透したんでしょう。大河ドラマの題名だって、もはや「真田丸」だったか「黒田丸」(cf.【その8】)だったかすらあやふやだし。

 

(続く)

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