【加筆編】むすんで、つないで:第十三結節(東京2020オフィシャルグッズ・ザ・チョコレート)
(承前)
野老朝雄の地方での仕事、も少し続けてみよう。
2016年の青森の他に、2007~2019年にかけての宮城での取り組み、2017~2019年における徳島での取り組みがあって、それから・・・
しかしその話に行く前に。
前回引用した国際芸術センター青森の発表資料の中に出てくる、謎に満ちた一文↓の真相に辿り着いた人はあまりいなかったのではないかしらん。
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本展でも、資料をある法則にのっとって並べることで「群」となり、あるパターンを生み出すかもしれません。
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ヒントとなったのは、大阪市淀川区の印刷会社、株式会社遊文舎のニューズレターに載っていた短い文章。
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(2019.07 遊文通信 95 抜粋)
東京2020オリンピックエンブレム制作者である野老朝雄氏による講演会が去る6 月27日(木)に(株)モリサワ本社にて開催されました。
〔中略〕
セミナーのチラシをコピーすると折り紙になります。
折ってみると模様の重なるところがあり、折手の任意でまた違った組市松紋を構成することができます。
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えええ!!
コレのことです↓(cf. 2019.10.23「正十二角形、描けますか?」)。
その図柄の大きな正方形も実は “TOKOLO Origami” になっていたとは(*_*)。となれば当然、青森のも同じだったろうと推測がつくわけです。
切って折っても模様は「つながる」。この大正方形において相対する各二辺のところの半円水玉模様も、互いに「つながる」配置になってるでしょ。よくよく見れば、ひとかたまりの模様が縦にも横にも4回ずつ現れていて、そこはモリサワも同じ。
ああ、一見地味に思えて実は精緻限りなし。こういう幾何学的なネタ、大好物っす♥♥。こんなトリック、かの故 泡坂妻夫先生(cf. 2009.02.25「後後後後 家紋夜話」;本職は「紋章上絵師」!!)の文字どおり全頁からくり仕掛けのミステリー、「しあわせの書」以来の経験ですわ。まんまと作者の思う壷。
菱形パズルの無限連鎖パターンは、有限・単立の「組市松紋」と区別する(必要があった?)ためか^^;、「組市松紋様」と名づけられている。ほとんど注目してなかったけど、2017年辺りから折り紙等々の東京五輪オフィシャルグッズにもなってました。Stand-aloneからConnectedへ、さらに新しい展開を見せたってとこか。
東京2020オリンピック
組市松紋様 折り紙
東京2020パラリンピック
組市松紋様 折り紙
W150×H150mm
12枚入り
720円(税別)
オリンピックバージョンは紺、パラリンピックバージョンは臙脂(赤?)ということらしい。
東京2020オリンピック
東京2020パラリンピック
東京染小紋(そめこもん) 風呂敷クロス
絹100%
11,000円(税別)
東京2020オリンピック
東京2020パラリンピック
横浜捺染(なっせん) トートバッグ
綿
5,300円(税別)
わざわざ「風呂敷クロス」と馬鹿っぽい名前になっているのは、別途「風呂敷バッグ」なる製品があったからだと思いまス。風呂敷は「東京染小紋 伝統工芸士」の富田 篤の手になるという逸品、ト-トバッグは表面と裏でデザインが異なるってのが御自慢らしいです😆。どっちも即日完売だった由。
東京2020オリンピック
組市松紋様 手ぬぐい 藍
東京2020パラリンピック
組市松紋様 手ぬぐい えんじ
W350×H900mm
綿100%
1,300円(税別)
東京2020オリンピック
組市松紋様 扇子
デザインコンセプト「花吹雪/Flower Storm」
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東京2020大会エンブレムと同じ3種類の四角形により構成されており、敷き詰めた状態から徐々に飛石のようにピースを減らし、花びらが舞い上がるようすを描いています。
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東京2020パラリンピック
組市松紋様 扇子
デザインコンセプト「円陣/Harmonized Formation」
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このデザインは組市松紋と同じ3種類の四角形により構成され、円陣が連続して組み合わさることで紋様が広がっていきます。スポーツを通して一致団結するようすを描いています。
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奉書紙・竹
7寸 30間
(閉じた状態)
W210mm×H26mm×D9mm
(開いた状態)
W210mm×H370mm×D27mm
6,000円(税別)
6,600円(税込)
両面差込なのがウリみたい。「国産扇子らしく白檀の香り付きです」という紹介文には結構笑った。
東京2020オリンピック
組市松紋様 団扇
デザインコンセプト「舞風(まいかぜ)/Wind Dance」
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東京2020大会エンブレムと同じ3種類の四角形により構成されており、敷き詰めた状態から徐々に飛石のようにピースを減らし、人々が勝利に歓喜し舞い上がるようすを描いています。
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東京2020パラリンピック
組市松紋様 団扇
デザインコンセプト「八重波/Multiwave」
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このデザインは組市松紋と同じ3種類の四角形により構成され、小さな波が幾重にも組み合わさり広がっていくようすを描いています。
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奉書紙・竹
W230mm×H360mm
3,800円(税別)
銀箔使いがオサレよね。持ち手はレーザー加工という実はハイテク製品。扇子にせよ団扇にせよ季節性の消耗品じゃねーかよ、というツッコミはおいといて。
見方を変えると次のようなことも言える。
以上の組市松紋様は、パラリンピックの扇子と団扇を除き、ピースの配列はいずれも同じものをベースとしている。つまり例えば「花吹雪/Flower Storm」と「舞風/Wind Dance」は基本同一なわけです。(ただし、モリサワと後出の明治ザ・チョコレートでは長方形/正方形の部分が藍色、残りの部分が白色でオリンピック/パラリンピックエンブレムと同じカラーパターン、その他の作品はその逆の配色だという点が異なるが。)一方、パラリンピックの扇子「円陣/Harmonized Formation」と団扇「八重波/Multiwave」ではピース配列自体がそれぞれ異なっているんですねえ。
野老はオリパラエンブレムにつき「パラリンピックは正解、五輪は正解を模索している図」と語っていた(cf. 2018.02.12「オリンピック/パラリンピックエンブレムの組市松紋のパズルを作ってみた(下段)」)。そのことからも、実はオリンピックよりパラリンピックの方を上位に置いているのではないかという気がするんですが、さて如何。
おまけ。
この1月に発売されたばかりのこんなもの。おまけつきなわけよ。
(続く)
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