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2020年4月

2020年4月26日 (日)

【加筆編のおまけ】謎が謎呼ぶ九畳篆・急

(承前)

 

というわけで、だんだん興が乗ってきて、お遊び&見よう見まねで作ってみたんですよね、「蕪」。(ああ、転職後初の通期決算発表を控えてるし、なのにコロナのせいでテレワークだしでとんでもなく忙しいんですがね😵)

 

Tokorokanji_turnip1

 

もちろん、TOKOLO九畳篆(この名前はツルが勝手にそう呼んでいるだけで、実際にはこのシリーズの名称はないみたい)の「無」を応用して。

 

17×17マス、色味は東京五輪エンブレムに敬意を表してR1:G32:B97にしてみました。【2019.10.23「正十二角形、描けますか?」】に書いたとおり、エンブレムはCMYKではC100:M86:Y0:K50、つまり2:√3:1の数値とされていて、これを単純にRGB変換した計算値はR0:G18:B128になるけれど、これでは色がいささか浅くなってしまうので(CMYK→RGB変換ではそういうものらしい)、適当に調整。

 

でも、うーん、下の「灬」のところがうまくないんだよなあ。横方向に2個や3個の空きマスが連続していて、それはTOKOLO九畳篆では許容していないと思われる。それが「律」でしょう。
こっちの方がいいかな。

 

Tokorokanji_turnip2

 

おんなじようなもんかあ。どっちにせよ、「灬」の各点のサイズが違うのは解決できてないし。
じゃあもう一捻りの力技で、これならどうだ。

 

Tokorokanji_turnip3

 

うん、決まりかなー。どうでしょう。

 

そもそも、TOKOLO九畳篆における「律」とは何だろう。ベースの「無」の字でちょっとお勉強。

 

Tokorokanji_null

 

これ、11×11=121マスからなっている。おん?
となるとだよ。東京五輪エンブレムを生んだ組市松紋60ピースのほぼ2倍の数だ。このうち色が塗られて文字の一部となっているところを数えてみると72マス、約6割。ふうむ。
「60」にやはり敬意を払って、これを60マスにしてみれば。

 

Tokorokanji_null_60pieces

 

適宜位置は動かしてあります。
でもこんなのは認められないんだろうなあ。最外周の行と列に黒が十分入ってないもん、とりわけ四隅のマスは全滅。余白をできるだけ残さず文字で埋め尽くすという平面充填が九畳篆(やイスラムのCalligraphy)の基本律だろうから。

 

だったら、ここから2行2列減らして、9×9マスにしたらどうなるか。

 

Tokorokanji_null_9x9grid1

 

いや、こうか。

 

Tokorokanji_null_9x9grid2

 

「灬」の不具合は解消できそうにないなあ😰。

 

こんなのもまるでダメ、ですよねえ?

 

Tokorokanji_turnip_15x15grid1

 

17×17マス → 15×15マス、だったらこういくか。

 

Tokorokanji_turnip_15x15grid2

 

まあ、これらの中にウミネコの飛翔する姿は表されていまいが。

 

これ↓をいじって

 

Tokorokanji_indigo

 

15×15マスでこんなの↓にするってのも御法度ですな。

 

Tokorokanji_indigo_15x15grid

 

草冠の上のところも空いてるし、そのすぐ下のところもそう。2×2マス以上の空間が空いちゃいかんのだよ、きっと。

 

そしてこれ↓を

 

Tokorokanji_rhombus

 

これ↓にするのも同じくNG。

 

Tokorokanji_rhombus_15x15grid

 

なかなか流麗ざんすけどもねえ。これはわざと空白を多めにしたので、何だかスカスカに思えてくる(笑)。

 

はーん、だんだんわかってきたぞ。
「最外周をできるだけ埋める、地色を残さない」と言った瞬間に、野老の語った『奇数のグリッドに塗りつぶすことになって、偶数だとダメだな』ということが導かれるんですね、多分。数学が不得手だったツルはこのことに気づくまでにだーいぶ時間がかかりました💧💧。左右対称のものが多いからだろぐらいに思ってたんだけど。

と同時に、「いかに少ないマス数で作り上げるか」という作業なのだろうと理解した。方眼をたくさん使えば作りやすいのか、ゴージャスなものができるのかというと実は必ずしもそうではなく、逆説的だけど元の文字に近づいていくだけなのかもしれない。

 

「草冠」に「染める」の「蒅」になるともう減らしようがない。

 

Tokorokanji_sukumo

 

いや。こんな風にできるのか。

 

Tokorokanji_sukumo_15x15grid1

 

いやいや、まだ「九」のところに3×2マスの余計な地色部分がある。
だったらこうか。

 

Tokorokanji_sukumo_15x15grid2

 

かなーり無理くり感たっぷりですが😓。

 

やっぱりここら辺にも作り手の個性は表れてくるのだろうけれども。

 

いろいろ見てきて、漢字が基本的に正方形の組み合わせである(だから中国で官印に用いるために九畳篆などというものが生まれてきた)のに対し、ひらがなは正三角形の組み合わせで同様のパターン化ができるのではないかはないかと思ったりもする。むろん、ひらがなは曲線が多いのだから、それってどうなのよということになるわけですが、だったら漢字だって案外曲線や斜線はあって、そこをいかに表すかというところも九畳篆の作者たちは悩まされてきたはずですね。所詮、視認性は度外視の世界だけど。

2020年4月25日 (土)

【加筆編のおまけ】謎が謎呼ぶ九畳篆・破

(承前)

 

般若心経の野老九畳篆では、「色即是空」のほか、「南無阿弥陀仏」の六字の名号のうち「無」が既に明らかとなっている。

 

【2020.01.25「第七結節」】
Tokoroheartsutra

 

つまりこういうこと。(等幅フォントで見て下さい)

 

 12345678901
1■■■■■■■■■■■
2■□□□□□□□□□□
3■□■■■■■■■■■
4■□□□□□□□□□■
5■■■■■■■■■■■
6□□■□■□■□■□□
7■■■■■■■■■■■
8□□■□■□■□■□□
9■■■■■■■■■■■
0□□□□□□□□□□□
1■■□■■□■■□■■

 

どうもわかりにくいしキレイじゃないな。ええい、だったら作っちゃえ、WORDとPAINTでちゃちゃっと。

 

Tokorokanji_null

 

うん、これなら定規だけでコンパスさえ要らない(パソコンはあった方がいいけど)。

 

アンガイ オモシロイ、
イガイニ タノシイ。

 

込み入ってるように見える割に、これも色即是空と同じ11×11マスでできてるんだ。

 

般若心経には他に「阿」と「仏」も出てくるけれど、上掲の画像には写り込んでいない。残念!

 

1923年/大正12年発表の江戸川乱歩の「二銭銅貨」に出てくるキーワードは、当時は「南無阿彌陀佛」と表記されていたはずで、どきどきしてくる(それを言うならタイトルも「貳錢銅貨」だったろうかと思って調べてみたら、実物は「二錢」でした↓)。

 

2sencoppercoinback

 

「彌」あたりになると、とても11×11マスぐらいでは表せそうにありませんが(笑)。
乱歩には「虫」という九相図めいた作品もあって、これも旧字体の「蟲」でなければダメだ、味わいが出ないという意見は昔からある。読んでみれば意味がわかります。

 

歯の根も合はぬ うつくしさ
絵にも描けない おそろしさ

 

「藍とくしま」ロゴマークならこうだ。(色合わせしてありまス。東京五輪エンブレムより「もっと濃くしてあります」ということなので。)

 

【2017.09.11「阿波より藍をこめて・野老より永遠に;拡散」】
藍とくしま

 

Tokorokanji_indigo

 

17×17マス、R20:G34:B83。

 

これの記者発表で野老が触れていた、『「くさかんむり」に染める』の「蒅」は、半年後の2017年7月、徳島県板野郡上板町で「すくもロゴマーク」として陽の目を見た。

 

【2020.02.08「第十一結節」】
Tokorokamiitatownlogomark

 

Tokorokanji_sukumo

 

これも17×17マス、色はR19:G33:B82。

 

「蓼」もだいぶ探し回ったけど、見つかりません・・・。ううむ。

 

しかし一方、LIXIL出版からまもなく発行予定の「Rhombus Connect」の表紙には、「菱」があしらわれていることに気がついた。

 

【2020.04.12「第十九結節」】
Tokolorhombusconnect

 

Tokolorhombusconnecttitle

 

Tokorokanji_rhombus

 

これまで17×17マスか!藍はR2:G25:B95、地色の灰色(実際には銀だと思う)はR220:G220:B220。

 

草冠揃い、いかが。

 

あっ、「蕪」もできそうだ!!カブでご当地興ししたいところなんて・・・あるっけ?そりゃあるわな・・・。
京都の聖護院蕪(聖護院大根とは別モノどす)、大阪の天王寺蕪(「なにわの伝統野菜」認証の逸品やで)、飛騨高山の飛騨紅蕪(和久俊三「赤かぶ検事奮戦記」シリーズの主人公は、この漬物が大好物の岐阜地方検察庁高山支部勤めの叩き上げ検事という設定である)あたりのメジャーどころではつまらないし・・・。

 

変化球で青森県八戸市の蕪島はどうっすかね?

島といっても本土のすぐそばにあり、戦時中の1942年に海軍の特攻基地にするため埋め立てられて陸続きとなった。海岸線長 0.8km、標高 19mの島全体がウミネコの繁殖コロニーになっていることで知られ、戦前から国の天然記念物に指定されている(もっとも、国指定天然記念物のウミネココロニーは他にも全国で4ヵ所あるが)。ツルも春先に訪れたことがあります。まさにミャーミャーミャーミャー、ミャーミャーミャーミャー、ウミネコだらけだったけど、無事爆弾を落とされることもなく。別に蕪の産地というわけではなかったです。

小さな島の頂上にある蕪嶋神社(御祭神は宗像三女神!てことは弁財天でもある;cf. 2012.03.18~19「八王子 - 三女神・宗像大社・厳島神社に近づいてみた」)は、2011年3月の東北地方太平洋沖地震での震度5レベルの揺れと4.6mの津波にも耐え抜いたのに、2015年11月に火事で全て焼け落ちてしまった・・・。社殿の再建工事はウミネコの繁殖時期の春夏を避け(@_@)4年もかけて行われ、この3月26日の例大祭で披露されたばかりです。再建費用5億円はクラウドファンディングも用いて募られたけれども、昨年末時点で1億4千万円ほど足りていなかった様子。誠に好事魔多し、再建後初の「蕪嶋まつり」は先週末の4月18~19日に開かれるはずだったところ、例のCOVID-19のために中止されている😞。

 

Hachinohecityeastjapanearthquakereport

 

2013年3月発行の記録誌の表紙にも、旧社殿を見上げた写真が使われている。比較的被害の少なかったというご当地でも、心のよりどころではあったろう。

 

ここはTOKOLO九畳篆紋作ってもらってネットで開運グッズ売って・・・どうでっか?(この神社、海運安全に加え、ダジャレで株価上昇の神様にもなっているんだそうな😆)

青森西部の津軽に残る「こぎん」に対し、東の南部地方には「菱刺し」なる刺し子もある!いっそそこまで巻き込んだら、青森全体での地域興しの話題性もバッチリですよ(cf. 【第十二結節】)。

 

(続く)

2020年4月19日 (日)

【加筆編のおまけ】謎が謎呼ぶ九畳篆・序

(承前)

 

そもそも色即是空・空即是色とは、般若心経のみならず、般若経、維摩経、大般(だいはつ)涅槃経などに出てくる言葉である。ツルの家は浄土真宗だったので、般若心経にはほとんど馴染みがありませんでしたが。

 

Tokoloformisvoidtile0

 

この各11×11マスの九畳篆タイルを見ていて、何だか、江戸川乱歩(1894/M27.10.21~1965/S40.07.28)の「二銭銅貨」(1923/T12)を思い出した。
「南無阿弥陀仏」の六字の名号が紡ぎ出す妖しく呪法めいたCryptgraph、短編ながら圧倒的な印象を残していく暗号小説の傑作です。実は探偵小説家乱歩の処女作である!

 

ツルは、暗号ミステリーの中で大人の鑑賞に耐え得るものは、乱歩の「二銭銅貨」と井沢元彦の「猿丸幻視行」(1980/S55)の2点しかないと信じているし、トリック自体が極めて美しいという意味では、横溝正史の「本陣殺人事件」(1946/S21)と双璧を成すと思う。

ツルの父親も、ミステリーを好んで読むようなタイプではなかったけれど、「若い時に読んだあれはとても面白かった」と言ってたっけ。父親はなぜかタイトルを「一銭銅貨」と誤って覚えてましたが、つまりは一度読んだぐらいで題名も忘れちゃったのに中身はしっかり半世紀後にも覚えていたというのは、推理小説としては極上の類の証しなのではないかと。

 

それに比べりゃダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」(2003)なんて、カトリック社会がその歴史とともに何世紀も伝えてきた秘密がガラスの器か何だか(しかも、vinegarなんかの入った!酢ですよ、酢。)に納められている、という馬鹿っぽさ安っぽさに幻滅した。大きな謎ほど、形のないものの中に受け継がれるものでしょうに。正直、途中から読むのがちょっと苦痛だった。けど、「実は真っ赤な偽物でした」というオチじゃないかという疑念を払拭したいがために何とか最後まで読み通しました。

 

さらに脱線すると、ツルは大学時代に○○ボランティアのサークル(「二銭銅貨」のネタバレに直結しちゃうのでここは自己規制)に入っていて、その友人たちと「あの小説って○○の拗音の表記方法におかしなところがあるよね、昔はああいう規則だったんだろうか」とひとしきり話題にしたことがあった。
それからかれこれ30年以上も経った後、暇つぶしに読んだ三上 延(えん)のミステリー仕立て(?)蘊蓄系ライトノベル「ビブリア古書堂の事件手帖」第4巻に、それは乱歩の単なるミスだったと書かれているのを見つけていたく驚きました。戦後になって指摘された後もこの誤りはなかなか正されず、今でも岩波文庫版はそのままにされているのだとか(Wikipediaにも詳しく出ている)。ツルが80年代初めに読んだのは確か角川文庫版だったけど、その頃はまだ訂正前だったんでしょう。

 

般若心経の話はこんなところにも顔を出していた。
徳島県知事 飯泉嘉門(いいずみ かもん)が野老を伴って行った、「藍とくしま」ロゴマークの発表において。

 

【2017.09.11「阿波より藍をこめて・野老より永遠に;拡散」】
藍とくしま

 

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(2017.01.24 臨時記者会見 質疑応答 抜粋)

 

(NHK)
今回その、藍の漢字を、これデザインは野老さんが、字体とか、何とか字体とか何かあるんでしょうか。

 

(野老氏)
古典的には、もう何千年前から中国の方で、僕あまり詳しくないんですけど、四角くまとめようとする体っていっぱいあるんですよね。例えば金印っていうのは、ここまでルールだっていないけれども、倭の国のってありますよね。あれは何か子供の頃からすごくあこがれていて、僕はこれはこれでずっと、漢字をもう1回消化するっていうか、バラして整えるっていうか、作品化するというか、その試みはずっとやっておりまして。
簡単に言うと、「般若心経」全文、今やろうと思ってやってるんですね。もうそれは5、6年かけてるんですけれども。なので、「くさかんむり」ってのはこういう風に解釈しようとか、「臣」って字はこうとかっていうのを、ほとんど手書きの状態なんですけれども、ずっとそういうトレーニングをしていたので、ぱっと見たら「藍」って字は難しいかなって思ったんだけど、ちょうどよくできるなってのは、何て言うのかな、とてもやりやすかったです。

 

(NHK)
そうすると、特に字体をイメージってよりも、デザインとしてバラしてこう組み立てたようなんですか。

 

(野老氏)
そうですね、うん。そうすると、よくできてるなって思うんですね。「旁(つくり)」とか「偏(へん)」とか。こういうことやってると全部ね、奇数のグリッドに塗りつぶすことになって、偶数だとダメだなとか。ちょっとうまく言えないんですけれども、すごく数理的に元々成り立っているからと思うんですけれども、漢字というものが。あと、1つは「?(すくも)」って言葉、「くさかんむり」に染める、でMacのほうだと出なかったりするんですけれども、それはすごくこう、この際、強く徳島県側が発信するべき言葉だなと思ってまして、たぶんWindowsはもう出るんでしたっけ、?って漢字って。昔出なかったんですよね、?って確か。出ますかね。で、この今の漢字のベースで「?」って字も作り始めてますし、「蓼(たで)」ってのも作り始めてますので、細かく分けようと思ったら、この、何て言うんだろうな、派生、も?って文字だったりとかっていうのも、読めるようになったらいいなと思ってます。
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へー、偶数じゃうまくいかないんだ。そういう「律」なんですか。漢字はこれ↓みたいに縦に中心線が通って左右対称となるものも多いから、奇数じゃないと具合が悪いのかな。

 

【2020.01.26「第八結節」】
Tokorokasuitei

 

「?」は、徳島県サイトでそう表示されてるんです😣。少なくともツルのPCとスマホではそう見えている。環境依存文字使ったんならそれなりの手当てしなきゃ。自分のやった仕事の足跡ちゃんと見直してねえな、徳島県経営戦略部秘書課広報戦略担当さんよ(17文字)。それ、読者にも作者にも失礼だよ。

『「?」って字も作り始めてますし』のところはどうも推測がつかない。全部「すくも」でいいんですかね。

 

2017年1月のこの時点で野老の「般若心経」は既に作品化されていたのに(↓が東京上野で展示されたのは2014年である)、その後もまだ続けてたんですね、写経を。

 

Tokoroheartsutra

 

今日はここまで。

 

//

 

仏説摩訶般若波羅蜜多心経
ぶっせつまか はんにゃはらみった しんぎょう

 

観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄
かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみったじ しょうけんごうんかいくう どいっさいくやく

 

舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是
しゃりし しきふいくう くうふいしき しきそくぜくう くうそくぜしき じゅそうぎょうしき やくぶにょぜ

 

舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減
しゃりし ぜしょほうくうそう ふしょうふめつ ふくふじょう ふぞうふげん

 

是故空中 無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界 乃至無意識界
ぜこくうちゅう むしき むじゅそうぎょうしき むげんにびぜっしんい むしきしょうこうみそくほう むげんかい ないしむいしきかい

 

無無明 亦無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得
むむみょう やくむむみょうじん ないしむろうし やくむろうしじん むくしゅうめつどう むちやくむとく

 

以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃
いむしょとくこ ぼだいさつた えはんにゃはらみったこ しんむけいげ むけいげこ むうくふ おんりいっさいてんどうむそう くうぎょうねはん

 

三世諸仏 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提
さんぜしょぶつ えはんにゃはらみったこ とくあのくたらさんみゃくさんぼだい

 

故知般若波羅蜜多 是大神咒 是大明咒 是無上咒 是無等等咒 能除一切苦 真実不虚
こちはんにゃはらみった ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ ぜむじょうしゅ ぜむとうどうしゅ のうじょいっさいく しんじつふこ

 

故説般若波羅蜜多咒 即説咒曰
こせつはんにゃはらみったしゅ そくせつしゅわつ

 

羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦
ぎゃてい ぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい

 

菩提薩婆訶 般若心経
ぼじそわか はんにゃしんぎょう

2020年4月18日 (土)

【加筆編】むすんで、つないで:第二十結節(色即是空/空即是色・瓢嘻コースター)

(承前)

 

[有田×野老]展の話に立ち戻りまして、まだまだ続きます。
同展に出された野老作品、パズルと言えばこれもだろう。

 

色即是空タイル
Tokoloformisvoidtile0

 

どうやら野老はクリスチャン(プロテスタント)の家庭に育ったみたいだけれども、アルファベットの聖句ではさすがに九畳篆にできなかったようで。というより、そこが表意文字と表音文字の違いということなのかもしれない。(他方、アラビア語には九畳篆に非常によく似たスクエアクーフィー体という書体がある由。インシャラー!畏るべしイスラーム。)

 

2014年7~8月の「マテリアライジング展Ⅱ」で東京藝術大学大学美術館陳列館(1999年に華々しくオープンし、上野ミュージアムエリアの人の流れを変えたとまで言われた大学美術館本館とは異なる。つまりは旧ギャラリーです)の壁面に飾られた、般若心経の九畳篆写経↓の抜粋というところでんな。

 

【第七結節】
Tokoroheartsutra

 

九畳篆というもの自体、パズルないしはオセロと言えそうだし。11×11マス。

 

Tokoloformisvoidtile2 Tokoloformisvoidtile1 Tokoloformisvoidtile3

 

これらの展示はただ無秩序に並べられているのではなさそうだ。「色即是空即是(色)」の四種六字(+ 冒頭の一字)が一行/列に書かれ、一字分ずれて隣の列/行に移る、それを七回唱えることで七行×七列の四十九字(「いろは」の仮名手本みたい)。それが「律」であるらしい。
各色混合のパターンでもこの配列は同じだが、配色と回転については律を見出せなかった。

 

ネットではこんな作品も売り出されている。

 

Lithography
色即是空即是色/FORM IS VOID (emptiness)
野老朝雄
Tokoloformisvoid

 

4版4色 + 金特刷り1版1色

 

こちらはまるで巨大な印鑑のようにも見えてくる。やはり、八行×八行ではないところにも意図はあるだろう。

 

Lithography
空即是色即是空/VOID (emptiness) IS FORM
野老朝雄
Tokolovoidisform

 

4版4色 + 銀特刷り1版1色

 

シグニチャーを見ると2012年2月に刷られたようだから、やはりオリパラエンブレム以前ということになりますか。

 

Tokolovoidisformsigniture

 

サイン右の落款印もおそらく九畳篆スタイルだと思うけど、残念、解像度が足りなくてわかりません。

 

そしてその後はこうなったわけでしょ。

 

東京都
京都 瓢嘻
コースター
Tokorohyokicoasters

 

はっとする。

 

【第八結節】で取り上げた高級しゃぶしゃぶ「瓢斗」グループのお店です。こちらは15×15マスで六行×六列。この意匠は2017年夏には使われていたらしい。「色即是空」「空即是色」「京都瓢嘻」はいずれも等しく四文字だから、行・列の数が異なるということは、配列の「律」が異なることをも意味していよう。

こちらは商業ベースであるせいもあってか、割と単純な繰り返しなので、ちょっと食い足りませんが。

 

(続く)

2020年4月12日 (日)

【加筆編】むすんで、つないで:第十九結節(RHOMBUS CONNECT・TOTOカタログ)

(承前)

 

もう、ほんとに勘弁して下さい状態でヘトヘトなんだけど(謎)、今月、とうとうこんな本が出ます。多分、明日。(と思ってたら、いつの間にか発売日が4月30日に延びている。これもきっとコロナウイルスのせいね。)

 

LIXIL出版
RHOMBUS CONNECT
野老朝雄(美術家)
Tokolorhombusconnect

 

Japanese/English
148×148mm・並製・50頁+1枚
1,600円(税抜)

 

 

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【2020.06.22 追記】

と思ってたら、次に見た時には4月21日発売とセブンネットには出ていた。しかも既に品切れと😠。どうなっとるんじゃ。 → 結局、6月中旬になって購入できました。まずはめでたしめでたし。

 

 

Tokolorhombusconnect2

 

福福紋様皿(cf.【第十五結節】)も有田焼 六寸皿「結/unite」(cf. 2017.09.13「組市松紋、全容を顕す!!」)も収載されとりますな。

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幾何学原理を用いたデザインで知られる美術家・野老朝雄による全24枚の正方形ポストカードブックです。
書名のRHOMBUS(ロンバス)とは菱形のこと。質感ある藍色の厚紙に映える銀色の図形群は、地に隙間なく敷き詰められた数種類の菱形を見えない基準線として描かれることで、多様な調和をかたちづくっています。
着脱可能なカードは、メッセージを書き込んでポストカードになるだけでなく、そのまま作品として飾れるほどのクオリティ。もちろん、野老朝雄のエッセンスを凝縮したアートブックとしても魅力ある一冊です。野老の創作の核心に迫る、建築家・豊田啓介によるテキストを付録として封入。日英バイリンガル。
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「銀色の図形群」!!これもそうだったね。

 

【第十三結節】
東京2020オリンピック
組市松紋様 団扇
デザインコンセプト「舞風/Wind Dance」
Tokolotokyo2020olympicuchiwawinddance

 

東京2020パラリンピック
組市松紋様 団扇
デザインコンセプト「八重波/Multiwave」
Tokolotokyo2020paralympicuchiwamultiwave

 

一方、表紙の図柄は東京2020オフィシャルグッズの;

 

 扇子・団扇(ただしパラリンピックを除く)
 折り紙
 風呂敷クロス
 トートバッグ
 手ぬぐい

 

と同一で;

 

 モリサワ文字文化フォーラム
 明治ザ・チョコレート

 

とは同柄で反対のカラーパターンである、多分。(cf.【第十三結節】・【第十三結節の綻び】)。

他にもこんなのがたくさん載っているのかしらん。

 

組市松紋パズルを自作して遊んでいた時(cf. 2018.02.06~12「オリンピック/パラリンピックエンブレムの組市松紋のパズルを作ってみた」)、ツルも確かに、外枠をとっ外してピースをたくさん並べていったらどうなるんだろうと考えたっけ。それは特に、これ↓を作っていて強く感じた。

 

【2017.09.13「組市松紋、全容を顕す!!】
組市松紋様 美濃焼豆皿
04 江戸紫色
デザインコンセプト「大扇/big fan」
大扇/big fan

 

扇を360°開いたら・・・と思った次第。ピースをたくさん作る手間を厭うてやらんまんまになっとりましたが。

 

LIXILは言わずと知れた住宅設備機器メーカー。10年ほど前にトステム、INAX、新日軽、東洋エクステリア、サンウエーブ工業等が経営統合した企業だが、それぞれの旧社名はブランドとして生き残っているらしい。ツルはねえ、ここの相次ぐCIは失敗だったと思うよ。Holding Companyの旧社名「住生活」を “LIVING” と “LIFE” に分解してそれぞれの頭文字2文字ずつを “X” でつないだ造語、というんだけれど、10年経ってもまるで溶け込んでこない、全く親しみが湧かない。
さらに言うと、Wikipediaの同社の項はどうでもいい枝葉末節情報がてんこ盛りに並んでいて、うんざりします。いかにも会社関係者が宣伝になると思って会社サイトの内容をコピペした感が丸出しで、好感が持てない。あまつさえ、こんなものまでWikipediaには載っていて。

 

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LIXIL Behaviors(3つの行動)
DO THE LIGHT THING
WORK WITH RESPECT
EXPERIMENT AND LEARN
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アンタたち、綴り間違ってるよ。馬鹿丸出しだよ。

 

しかし一番不可解なのは、この本がLIXILから出ることです。傘下のINAXの最大のライバルTOTOが、2018年からカタログデザインをこんなものにしてるというのに。

 

TOTO株式会社
住宅&パブリックカタログ 2018 表紙
設計施工集 2018 表紙
野老朝雄(肩書不明)
Tokorototocatalog20181cover Tokorototocatalog20182cover

住宅&パブリックカタログ 2019 表紙
設計施工集 2019 表紙
野老朝雄(アーティスト)
Tokorototocatalog20191cover Tokorototocatalog20192cover

 

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昨年に引き続き、水の流れや動きを意識して描いた紋様です。
一定の法則により繋がり、広がっていくパターンは、細やかに水面が波打つ様子にも見えます。
日本の伝統色である「藍色」と「萌葱色」を使用しました。
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住宅&パブリックカタログ 2020 表紙
設計施工集 2020 表紙
野老朝雄(美術家)

Tokorototocatalog20201cover Tokorototocatalog20202cover

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昨年に引き続き、水の流れや動きを意識して描いた紋様です。
一定の法則により繋がり、広がっていくパターンは、細やかに水面が波打つ様子にも見えます。
日本の伝統色である「藍色」と「萌葱色」を使用しました。
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イロイロつながりまくりっす。

つまり何だね、肩書は今年版になって「アーティスト」→「美術家」に変えられていて、けれど文章は使い回し。なんてことだ(苦)。しかしTOTOとTOKOLOとの間でとうとうトラブルになるところとなった、てなことじゃ洒落にもならんが(ダジャレですがね)、そこはどうなんだろう。

 

なんでツルがこれに気がついたかというと、40年ぶりに住み始めた福岡市南区老司の自宅(つい半年ほど前まで「無人実家」と呼んでたところです)のリフォームをあれこれかけていたので、工務店との打ち合わせでこのカタログを手にすることがよくあったから。
同社は2013年の便器ブランド「ネオレスト」発売20周年の際、TOKOLO紋様を全面に施した便器👀の大展示を行ったりもしていた(今もそのうち2台が本社施設「TOTOミュージアム」@福岡県北九州市小倉北区に飾られてるそうな、今年一杯)。

 

そりゃまあ、TOTOだってLIXILだってコネは持ってるでしょうよ。野老はもともと建築家なんだし、今や(今は?)飛ぶ鳥落とす勢いの売れっ子、「東京2020エンブレム考案美術家」は販促や広報にうってつけだろうし。けれどもちょっと、生臭い。

 

でもやっぱり買うことになるかなあ、このカードブックは。便器見に北九州くんだりまで行ったりはしないけど。
TOTOのカタログのビジュアルがLIXILの本に入ってたりしたら、また報告しますかね。

 

(続く)

2020年4月11日 (土)

【加筆編のおまけ】色に頼らない行き方とは何か(ミュンヘン五輪エンブレム)

(承前)

 

野老デザイン、奥が深くてツルはまだ到底消化し切れてないけれど。

 

前回ちょっと引用した2019.06.27開催のモリサワ文字文化フォーラムの参加レポート、なかなか興味深いです。主催した株式会社モリサワのサイトに出ているもの(以前【2019.10.23「正十二角形、描けますか?」】で抜粋した記事とは別ものです)。
文章作法がめちゃくちゃなのが著しく感興を殺ぎますが、それはおいといて。

 

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オリンピックエンブレムの外角に合わせた組み方は53万9968通り、パラリンピックエンブレムの外角に合わせたものでいえば335万7270通りになるという結果が数学者によって立証されている。驚くべきことに、中心のパーツを削らず、大中小全てを60個敷き詰めた形の組み合わせは237億7949万2214通りもあるのだとか。
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前半部分の情報は【2019.10.23「正十二角形、描けますか?」】で引用した中にも出ていたけれど、フルピースで作ると23,779,492,214パターンあるとは知らなかった。一生遊んで暮らせそう😅。

 

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並べ方でいえば、例えば丸を3つ重ねた三角形と4つ重ねた四角形を隣り合わせにし、それを軸として回転させながら同じパターンを並べていくと、結果として19個の円からなる12角形が出来上がる。決して理論上だけの話ではなく1円玉などを用いて誰でも再現することができ、特別な道具を用いなくても簡単に作ることができる。これは野老氏いわく「そうなってしまう」としか言いようのないもの、数学で言えば「定理」とも言えるものであり、これがいわば紋様を作る上の「律」となる。
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これ、ツルはすぐにはピンとこなかったけど;

 

【第二結節】
Tokolomusubiwhite Tokolomusubiindigo

 

 

【第十二結節】
Tokoro1000lightspattern

 

とを結びつけてみて初めて得心がいった。この風呂敷デザインに組み込まれている正三角形と正方形の各頂点を中心として円を描いていくと、17個の合同な円 ――正三角形や正方形の一辺の長さを直径とする―― が現れるという方法論ね(全体の中心にある一つをお忘れなく)。

 

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このエンブレムは時として「ランダムだ」「対称形ではない」と言われる事があるそうだ。しかし野老氏は「3回回転対称である」と言う。解説を聞けば聞くほど、このエンブレムに込められた「律」がはっきりと見えてくる。
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うんうん、すごく納得激しく同意。でもここの部分は平野敬子女史への皮肉ですかね。

 

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組市松紋のパターン化である「組市松紋様(英名:HARMONIZED CHEQUERED PATTERN)」は、野老氏が以前から行ってきた試みだ。パターンの組み方もエンブレム同様、ひとつのコンポーネントを増殖させていくことがベースとなっているが、この場合はエンブレムのようにある形に収めるのではなく、タイリング(タイルのように敷き詰めていくこと)の作業となる。その後、条件を設けて余分なパーツを削除したり付け足したりすることで、誰でも簡単にアニメーション的に動きを生み出す事が可能だという。
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組市松紋と組市松紋様との関係を明記したものは今まで見つけていなかったので、意を強くした。
「余分なパーツを削除」というところは既に実践されていて、オリンピック版の扇子や団扇がそうだったんですね。

 

【第十三結節】
Tokolotokyo2020olympicsensuflowerstorm

 

Tokolotokyo2020olympicuchiwawinddance

 

これらのパターン↑は、パラリンピック版↓からピースを外していったものなわけ。

 

Tokolotokyo2020paralympicsensuharmonized

 

Tokolotokyo2020paralympicuchiwamultiwave

 

「色」のことについても触れられている。

 

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1972年のミュンヘンオリンピックの時は黒一色のエンブレムが発表されたという。そこで野老氏は「黒以外で強いものを目指そうとした」ことにも言及した。ここで、2〜3ヶ月の間屋外にさらされたオリンピックのポスターの写真が映されたが、下部にあるオリンピックシンボルは、赤と黄の輪が色あせて見えなくなってしまっている。残されたのは緑と青と黒だが、青と緑はどちらがその色かは認識できないほど青みがかり、同系色に見える。対して上部のエンブレムははっきりと形が残されており、「藍色が強い」ということが確かに伝わってくる。藍色がもつ強さは、野老氏の中でアスリートの強靭な身体、鍛え上げられた筋肉のイメージと重なる。
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ああ、そういう話し方をしたのか!上述で引用したところでは;

 

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採用された「藍色」は日本の伝統色だ。色褪せしづらく防虫作用もあるとして古くから日本人に親しまれてきたこの色を、野老氏は「黒を除いた時に強い色」と語る。
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と低温度にさらりと書いてあるだけだったんだけど。
しかし、その半世紀近く前のエンブレムなんて、世界のどれほどの人が記憶にとどめているだろう。

 

ミュンヘンオリンピック
エンブレム
オトル・アイヒャー/Otl Aicher

Aicher1972municholympicsemblem

 

あー、全然記憶になかったけど、いかにも野老好みの意匠やねー。「光の冠/Strahlenkran」と呼ばれているそうな。2年ほど前に渋谷の東急HANDSで買った、小さい独楽みたいな隈 研吾のグッズにも似ているな(画像省略)。これで九曜紋とか作ったらキラキラしてるかも。

 

【2009.03.18「継継 家紋夜話」】

板倉巴(九曜巴)

Itakuratomoe

 

だったらというわけで、ついつい作ってみちゃいました、POWERPOINTとPAINTでちゃちゃっと。ミュンヘン五輪九曜紋😜。

 

Municholympicskuyo

 

・・・意外と面白くなかったかも・・・・・・💦💦。元が対称図形でないせいですかね。黒白反転させれば印象も変わるんかな。

 

実は全てのパーツは直線だけで構成されていて、曲線は一つも用いられていない!

 

組市松紋エンブレムが発表された当初、(佐野版エンブレムの時と同じように)地味で陰気だとか、カラフルな色遣いにすればずっとよくなるのにという声が割とあった。それは違うだろと強く感じたことを覚えているけど、モノトーンのアンモナイトのようなこの模様を野老が意識していたとは知りませんでした。

その後野老エンブレムの展開版は様々な彩りのものが出てきたけれど、やはりそこは妥協の産物ではなかったかと。

2020年4月 5日 (日)

【加筆編の加筆編】むすんで、つないで:第十五結節の軋み(黄金比 唐草・CONNECT)

(承前)

 

そして、「その後の発見」はもう一つありまして💦💦。これのこと。

 

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【2020.03.20「第十五結節」】

 

鳥🐦や宇宙人👾のように見えるのはTOKOLO唐草の例だろうし、細線唐草はkumapon(g)的黄金分割の無限連鎖と思えるけれど、
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【2020.02.23「第十四結節」】
Tokolo2019aritaxtokoloexhibition

 

見つけました、元ネタ一つ。やっぱりあったんです。

 

Tokologoldenratioarabesque

 

京都市中京区
山田繊維株式会社
ふろしきブランド むす美
天然藍染 野老むすび
黄金比 唐草
濃藍
藍むら染め
野老朝雄(美術家)
Tokolomusubigoldenratio1 Tokolomusubigoldenratio2

 

約100cm 各35,000円(税抜)

 

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黄金比 唐草
数学的な曲線から生み出された唐草紋は、野老氏の現代の唐草紋を追求する一環で生まれました。唐草の蔓の曲線は黄金比を基に描かれ、レイアウトされています。ふろしきの右下に唐草が集まる構図は、包んだ時のことを考えたデザイン。左下の落款が見えるように包んでも様になり、また違うふろしきの表情が楽しめます。
藍を無地で染めた後に、型を乗せ柄の部分の色を抜く「抜染」という手法で染められており、手仕事ならではの1枚1枚異なる表情や持ち主の使い方に合わせた経年変化をお楽しみ頂けるふろしきです。
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そう、実はこれ↓と同時に発表された風呂敷デザインだったんです。

 

【2019.12.28「第二結節」】
京都市中京区
山田繊維株式会社
ふろしきブランド むす美
野老むすび
PPP唐草 白
PPP唐草 紺
野老朝雄
〔2019年10月発売〕
Tokolomusubiwhite Tokolomusubiindigo

 

50cmサイズ 各1,200円(税抜)
100cmサイズ 各4,000円(税抜)

 

気がつかなかったわー。
お値段が1桁違うのは、こちらが「プレミアムライン」だから。

 

これらは、昨年秋の新製品だった。

 

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(2019.10.18 同社サイト)

 

〔前略〕

 

山田繊維で今年も9月に京都、東京で「新作展示会」が行われました。
今年は「山田繊維 設立60周年」を祝して特別パーティーも行われました。

 

〔中略〕

 

新作1 「野老むすび」
美術家 野老朝雄氏とふろしきブランドむす美が共同開発したふろしきです。野老氏の代表的な紋様、PPP紋様(Piecing Pieces Pattern)はピース同士を隣り合わせると、どの方向にも唐草紋様が繋がります。同じピースの組合せを変えることで、左右対称(白)と回転対称(紺)の2つのデザインを生み出しました。

 

〔中略〕

 

新作5 プレミアムライン「天然藍染」
むす美の天然藍染ふろしきは、阿波藍の産地として名を馳せた徳島県で藍の栽培から染色まで一貫して行う藍師・染師「BUAISOU」によって100%国産の天然藍を使い、伝統的な染色技法により1枚ずつ手作業で染められています。

 

〔後略〕
-----

 

この時の記念謝恩会では、東京のゲストスピーカーとして野老が登場している。

 

あれ、「BUAISOU」の名前には見覚えがあるぞ?「藍とくしま」ロゴマーク(cf. 2017.09.11「阿波より藍をこめて・野老より永遠に;拡散」)の発表の際に、野老が着ていった服がここのだったんだ。

 

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(2017.01.24 県知事臨時記者会見)

 

〔前略〕

 

そういうやっぱり藍をゼロから作って、ものを作っている、例えばBUAISOUだったりとか、実際の活動を見て、あの、あ今着てるのもBUAISOUさんのところのなんですけど、一張羅です、知事とお会いするとき絶対これを着ようと思いまして。あ、でも東京でも着るようにしてます。

 

〔中略〕

 

さらにね、こないだお目にかかったときより染め直してもらったんですよ。何回か(染め直して)。すごく贅沢なことだと思うんですけども、やっぱり贅沢だと大切にするっていうこともあると思いますし。

 

〔後略〕
-----

 

ここは渡邉健太、楮 覚郎(かじ かくお)、結城 研、三浦佑也による徳島県板野郡上板町の藍染めスタジオで、藍の栽培から手がけているという。白洲次郎(ジーンズを初めてはいた日本人とされる)の邸宅「武相荘」から取った名前だそうな。

 

さらに、この展示でもトップにクレジットされている。

 

(2017.10.16〜11.30)
野老朝雄展 CONNECT
@荒川技研工業株式会社 ショールーム “TIERS”@東京都渋谷区
Tokolo2017exhibitionconnectflyer

 

[    ] × 野老
[BUAISOU] 藍染
[土岐謙次] 漆
[KMDW] 建築
[永原レキ] サーフィン / 藍
[noiz] 建築
[李荘窯] 陶磁器
[松川昌平] アルゴリズミック・デザイン
[舘 知宏] 折紙工学
[平本知樹] デザイン × デジタルファブリケーション
[荒木義明] テセレーション
[and more]

 

「野老朝雄と10人(and more?)の愉快な仲間たち」といったところでしょう。愚blogで今まで書いてきたお人らがぎょうさん出てはりますわなあ。「りしょうがま」じゃなくて「りそうがま」だったんだ。

 

舘は東京大学大学院の准教授(「総合文化研究科」となっていたり、「工学系研究科」となっていたりして、そこら辺はよくわからない)で、専門分野は「建築構造デザイン、計算幾何学、ヒューマンインタフェース・インタラクション」、研究テーマは「計算折紙とその構造応用、形態と機能の解析と設計」だから、もともと建築出身の野老とはなにがしか共通項があるのだろう。野老が各種のORIGAMI作品を発表していることも思い出されたり(cf.【第五結節】・【第十二結節の弛み】・【第十三結節の綻び】)。

 

この企画展のことは、野老が登壇した2019.06.27開催の第27回モリサワ文字文化フォーラムの参加レポートにも出ている。

 

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「CONNECT」という文字は、過去の展覧会タイトルにもなった言葉だ。これらは輪郭の中や外にいくつかの線がひかれ、文字というよりは図面のようにも見える。寄棟(よせむね)のように中央のラインがもりあがった形をひとつずつたどることで、目の見える人も見えない人も同じように認識することができる文字。これらは30度、60度、90度の角度のみで構成されており、誰でも作ることができる仕組みになっているとのこと。“誰でも繋がれるものを作る” という考え方は、野老氏の原動力そのものなのだ。

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ちょっとよくわからないところもあるけど。

 

話を風呂敷に戻すと、「むす美」のプレミアムラインの一つとしてこの無限唐草柄が採用されたわけ。ただし、目下絶賛品切れ中となっておりますがねー。
今にkumapon(g)の風呂敷なんてのも出てくるんじゃないかしら。・・・もしももうあったらなんとしょう。(既に缶バッジやら漆のプレートやら紙の器やらにはなっとるしねー。)

 

いやいや、そんなことよりも、だ。🐦や👾の正体もいつかは判明するのだろうか。どなたかご存知ないですかね?

 

(続く)

2020年4月 4日 (土)

【加筆編の加筆編】むすんで、つないで:第十二結節の弛み(東松島市#1000 LIGHTs)

(承前)

 

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【2020.03.22「第十六結節:後節」】

 

TOKOLOデザインにここまでハマってみていつも思うのは、新しい何かを一つ見つけると、そこからまた新しい何かがいくつか立ち現れてくるということ。
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ホントにそうなんだよね。蓄積に乏しいもので、ドラフトを大幅に書き直すことも(野老ネタに関しては)しばしば。ひとえにこちらのリテラシーの問題💦。

必然的に、後から見落としに気づいて臍を噛む思いをすることも多くなる、リアルタイムで追いかけているから情報は掴みやすいはずなのに。

 

 

例えば。

 

【2020.02.09「第十二結節」】
青森市
青森公立大学 国際芸術センター青森
野老朝雄 × 青森市所蔵作品展「個と群」関連イベント
#1000 LIGHTs ── キャンドルで描く光の模様
〔2015年9月11~12日開催〕
Tokoro1000lights

 

Tokoro1000lightsflyer

 

何だか、今どきアレもコレもこの紋も新型のコロナウイルスに見えてきちゃいますが(苦)。

(やっぱりこのチラシ、野老デザインなのかどうかよくわからない。紋を3×3=9個並べたところは[有田×野老]展と同様だけど、それぞれの紋は「7」を基本数としていて、それだと「つながる」可能性を認めにくいんだよね、ツルの頭では。定規とコンパスでは正七角形は作れないし!)

 

思えばこれが披露されたのは、アメリカのSeptember 11 Attacksの14回目の追悼の日でもあったわけだけれど、これがこの被災地に伝播していた。

 

宮城県東松島市
東松島市震災復興伝承館
光のアートイベント
#1000 LIGHTs in Higashi Matsushima 2020
野老朝雄(アーティスト)
Tokolo1000lightshigashimatsushima2020

2018年度(2019年3月期)から始まったという同市の「復興応援品活用震災伝承業務」によるイベントの第2回。

 

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(2019.04.01 市報ひがしまつしま No.264)

 

震災後、全国から寄せられた千羽鶴を活用したアート作品が旧野蒜駅舎で展示されました。同市の合同会社コミュの企画で、2020年東京五輪・パラリンピックの大会エンブレムをデザインした野老朝雄さんが協力しました。透明な樹脂で固めた折り鶴を中心に、コップやキャンドルを規則的に配置したアートが並び、神秘的なキャンドルの光が子どもたちの笑顔も照らしていました。

(3月11日、旧野蒜駅)
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Tokolo1000lightshigashimatsushima2019

 

それが2020年にはこうなった。2020.02.07(上記の【第十二結節】を書いた2日前!)の市長 渥美 巖の定例記者会見の資料には次のように出ている(抜粋)。

 

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アートワークショップに参加しませんか?
東日本震災後、東松島市に各地より千羽鶴などの品々が復興を応援して寄せられました。そのうち多くのものが、これまでの間、市内のディスカバリーセンターにて大切に保管・展示されていました。しかし、震災より約9年の月日を経て劣化しているものも少なくありません。そこで東松島市と合同会社コミュが、2018年より、これらの品々に込められた思いを、いかに未来に繋げていくか、検討をおこなってきました。
その結果、これらの品々を写真集「3.11メモラビリア」に記録しました。そして、「繋げる事」をテーマに制作活動を続けるアーティスト野老朝雄氏とコラボレートし、一部分をアート作品として震災復興伝承館に常時展示できるよう準備をすすめています。
アート作品を制作するにあたり、ぜひ市民の方にも参加していただき、みなさんにとって思い出深い作品づくりができればと思っています。

 

第1回ワークショップ:2020年2月11日(10時から約1時間半)
第2回ワークショップ:2020年3月11日(時間未定)
場所:震災復興伝承館
問い合わせ:東松島市政策事業推進室
☎0225-82-XXXX(内線XXXX)

 

合同会社コミュ(COMU LLC)
コミュニティの持続的な発展のために2016年に設立。小平裕子(1981年東京出身)と鶴岡信太郎(1978年愛知県出身)による建築家ユニット。英国で建築教育を受け、世界各地でプロジェクトを実施してきた二人は、東日本大震災の発災をきっかけに、2012年より被災地の東北を活動の中心とし、その復興を後押しするため、ハード、ソフトの枠組みに捉われない創造的な切り口でまちづくりのプロジェクトを実施してきた。主なプロジェクトに東松島市とバンダアチェ市の相互復興を目指す「コミュプロジェクト」、復興と野蒜石産業の記憶によってつくられた「メモリアルベンチ・プロジェクト」、集団移転地でみんなのものをみんなでつくる「コミュニティファニチャー・プロジェクト」など。

 

〔中略〕

 

文、写真、グラフィックデザイン:合同会社コミュ
-----

 

ワークショップの内容には、実は「アート作品に封入する折り鶴の制作」も入っていたので、定めしこうしたものも使われたのだろうなあ。

 

【2020.01.01「第五結節」】
TOKOLO PATTERN ORIGAMI
03. ORIZURU
Tokoloorigami03orizuru

 

ああ、どこまでもつながっていく。

 

そして当日の3月11日。

 

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14:00 ワークショップ「光の紋様をキャンドルで描こう」(~17:00)
アーティスト野老朝雄さんと一緒にキャンドルの模様をつくりませんか?
申込み
東松島市役所 政策事業推進室 0225-82-XXXX(内線XXXX)

 

14:46 黙祷

 

18:00 #1000 LIGHTs in Higashi Matsushima 2020(~20:00) 入退場自由
伝承館屋内・旧野蒜駅プラットホームに描かれた光の模様を自由にご観覧ください。

 

18:00 「Tokolo×COMU」 メモリアルアート完成記念式典(~18:45)
アーティスト野老朝雄と建築家ユニットCOMUが、東日本大震災の後、東松島市に届けられた多数の千羽鶴をメモリアルアートとして再生しました。ついにお披露目です。

 

20:00 閉館

 

どなたでも参加できます。全てのプログラムは無料です。
コロナウイルス対策として、当日はマスクを配布し、会場に消毒液を設置します。

 

主催:東松島市
企画:合同会社コミュ
協力:みうら家具株式会社、奥松島公社
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この20年ほど、日本のいろんなご当地で開かれるようになった(特に北の方に多いように思えるのは気のせいだろうか)安易なキャンドルイベントには反対です。火と水は人間の永遠のあこがれではあるけれど、そこに寄りかかり過ぎている(人寄せの水琴窟も同様ね)。特に、こうしたデザインだったら電球でも成立してしまうのではないかと思ったりします。

 

Tokoro1000lightspattern

 

揺らぎのある裸火だからこそ亡き人を偲ぶよすがになるのだ、というのだったら、Creativityの入り込む余地はない、とまでは言わなくても著しく制限されてしまうのではないか。生と死の境目に想いを向けるのだったら、そこは本質的にArtの領域でもあるはずだ。

 

因みに、その後3月20日にはご当地にある航空自衛隊松島基地で「聖火到着式」が執り行われた。東松島市はギリシャから運ばれてきた聖火が初めて日本に入る場所として選ばれたわけで、そこには「震災復興」の国策が当然働いていただろう。地元がこれを大変名誉なことと考えたのは間違いあるまい。もう少し早く到着させられれば、聖火使ってこのキャンドルナイトやれたのに(そりゃ無理か)、そしたら趣旨もガラリと変わって、かつ話題性もそれこそ1000倍アップだったのに(こらこら)。

新型コロナウイルス感染が拡大する中、規模を縮小しながらも実際にこの式典は行われた。東京2020の開催延期が発表されたのは3月24日で、26日から始まるはずだった日本全国トーチリレーもお預けに。

 

しかしなあ、あけすけに言ってはなんだけど、2020年というのはコロナウイルスで震災の記憶が一気に風化した/する年だと思う。「つながる」が「つながってはいけない」に。「東京で2度目のオリンピックが開かれた年」として人々に記憶されるはずであったところ、「コロナで世界が大変なことになった年」に既に置き換えられたということでもある。

 

(続く)

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