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2020年8月 8日 (土)

似て非なるもの - POP vs POS(あるいは Initialism vs Acronym)

お久しぶりの本Subseries、ほぼ1年ぶりに登板ですが・・・。

 

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「POP」と言っているが実際には「ポスター」だと思う
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でもPOPとPosterの違いを説いて回りたいわけじゃない。今回は言葉尻の問題です。

 

この場合の「POP」とは、「ポンと鳴る」(e.g. “popcorn”)や「飛び出る」(e.g. “pop-up book”)等の “pop” や、“popular” を略した “pop”(e.g. “pop music”)とは関係がなくて、“Point of Purchase” の abbreviation。もともとは「購買時点」の意味しかなくて “advertisement” が省かれてるわけです(そもそもPOPとは何ぞやという方はどこぞのサイトでお勉強なさってからまたいらして下さい;傲然)。

 

厳密には、一口に abbreviation と言っても、これを「ピーオーピー」と発音すれば initialism、「ポップ」と発音すれば acronym と呼ばれることになる(cf.【その84】)。

 

ア、そっか、“COVID/Coronavirus Disease” も acronym なのか。浸透してないけど。2019年に報告され2020年に(から?)世界的に猛威を振るったCOVID-19のみならず、2000年代の “SARS/Severe Acute Respiratory Syndrome/重症急性呼吸器症候群” も2010年代の “MERS/Middle East Respiratory Syndrome/中東呼吸器症候群” も、コロナウイルスにより引き起こされるものである。これらもいずれも acronym 扱い。

 

別の例を挙げれば、英語で “AIDS/Acquired Immunodeficiency Syndrome/後天性免疫不全症候群” を「エイズ」と発音するのも同じ。フランス語やスペイン語では語順が変わって “SIDA/Syndrome d’ImmunoDéficience Acquise/Síndrome de InmunoDeficiencia Adquirida” となるので、これらは「シダ」と読むのだと思う。とは言え、スペイン語あたりじゃ “AIDS” の方が通りがいいのじゃないかと思ったりする。フラ語は・・・自国語尊重主義はまだ続いているだろうから、やっぱり “SIDA” なんだろうな。

 

大昔、中学時代だったか高校時代だったか、acronym作りに長けているのはフィリピン英語だと新聞で読んだことがある。確か、初めから acronym がうまい具合に(既存/新規の)単語になるようにフルスペルの正式名称を考えていく、とかいうのじゃなかったっけ。適当に母音字を入れるようにするのがミソです。
無論、英語としては initialism の方が正統のはず。でも、社会の認知度が上がるにつれ、acronym に変わっていったりもするんだろう。

 

ツルの仕事絡みで言えば、10年ほど前盛んに喧伝されていた、“IFRS/International Financial Reporting Standards/国際財務報告基準” というのも、初め initialism だったのが acronym に鞍替えしちゃったようです。IFRSとは、“IASB/International Accounting Standards Board/国際会計基準審議会” による会計基準のこと。昔からある “IAS/International Accounting Standards/国際会計基準” まで含んだ概念として捉えられることもある。

acronym としては、初め「アイファース」と読んでいたのが、four letter word の連想を呼ぶという話になって、後に「イファース」と発音するようになった。これ、ツルは「屁をひる」の意味の “I fart” のことだと思ってたんですが、調べてみるとちょっと違ってました。
2009年5月に出た『国際会計基準IFRS完全ガイド ― 経営・業務・システムはこう変わる!! 』なるムック本にこんなことが書いてあるそうな。

 

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IASBでは、IFRSを「アイエフアールエス」または「イファース」と読んでいる。
山田氏[引用註:IASB理事 山田辰巳]によると、当初は「アイファース」と読んでいた。ところが、2002年に国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)ができた際に、その略称を「アイフリック」と読むと、禁句である「I XXXX you」に語感が近いため、「イフリック」と読むことにした。これに合わせて、IFRSの読み方も「イファース」に改められた。
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あー、そのものズバリ感の「I f_ck you」の忌み言葉だったのかぁ。

 

長い長い前置きはこのくらいにしてと。

「POP」に似た言葉には「POS」というのもあって、「POSシステム」とかいうあれです。こちらは “Point of Sale” で、「購買時点広告」に対して「販売時点情報管理」。アナログじゃなくてデジタルの世界の話。

 

因みに「デジタル化」を英語でどう言うかというと、“digitization”、“digitalization”の両様がある(後者は少なくとも動詞では “digitalise” と綴られることもあるらしい)。もっとも、この2つの語に全く差異がないわけではなく、前者は主に、アナログで作られた情報のデジタルデータへの変換といったレベルの内容を、後者はより高次の、デジタル技術の利用による事業機会や産業構造の変化なんぞを指すようです。つまりは後者は「トレンド」あるいは「テーマ」の問題なんだろう。

 

1970年代辺りまでの古い辞書には、“digitalize” の項には「~をジギタリス化する(薬学)」という説明だけが載っていた。ジギタリスとは植物のキツネノテブクロ(英名の “foxglove” の直訳とされる)のことで、花を楽しむ園芸植物であると同時に、強心剤として用いられた薬草(従って毒草でもある)。

これの属名がDigitalis(新エングラー体系のゴマノハグサ科 → APG体系のオオバコ科)なわけです。Wikipediaのジギタリスの項には;

 

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学名のDigitalis(ディギターリス)はラテン語で「指」を表すdigitusに由来する。これは花の形が指サックに似ているためである。数字のdigitやコンピューター用語のデジタル(ディジタル、digital)と語源は同じである。
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という記述がある。
「ジギタリス」という花のことは子供の頃から知っていたけれど、社会人になった後に「デジタル」と同源だということに気づいて、随分意外な気がしたものです。

 

ええと、話戻って。ツルが社会人になりたての80年代後半頃、新人研修で「お店のPOPの書き方」を習ったことがあって(馬鹿にしてたけど、その後の人生で案外役に立ったみたい)、その時確か「前はPOSと呼んでいたが、それは違うものを指す言葉として既に存在しているのでPOPと呼ばれるようになった」旨の説明を受けたように記憶している。(ひょっとしたら逆だったかもしれない。でももうどうでもいいぐらい昔の話。)

ほぼフルデジタルになった今でも、手書きPOPというものの効果が販売現場で信奉されているのはちょっと面白いけど、実際には「当店 No. 1 人気!!」と書いただけなんてものも多いから、どれほどビジネスに好影響を与えているのか、そこは甚だ疑問です。

 

ああ、本題がすっかり脇に回っちゃった。まいっか。

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