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2020年10月11日 (日)

【鶏口牛後編】蜻蛉洲よ何処に(国産チキンシンボルマーク・Piece Together for Peace):頭

(承前)

 

東京都千代田区
一般社団法人 日本食鳥協会
国産チキンシンボルマーク
Japanchicken

 

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これ、[日本列島]の形を模してるんですねえ。秀逸だと思ったけど、この手の見立てはよくあるんだろうか?(^_-)
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うん、そこそこあることは知ってたけど、ツルの印象に残ってるのは次の作品ぐらいです。

 

“Piece Together for Peace” Project 01
十二支/Twelve Animals
酉/Rooster
長井健太郎
Nagai12animalsrooster

 

2008年の第12回文化庁メディア芸術祭のアート部門で審査委員会推薦作品として選ばれた連作より。5年後に意外なところで反響を呼んだ作品。

 

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2014年1月19日、韓国紙・朝鮮日報(電子版)によると、日本のグラフィックアーティスト・Kentaro Nagai氏が2009年に発表した作品「Twelve Animals」が韓国で話題になっている。20日付でチャイナネットが伝えた。
Nagai氏は[世界地図]を国別にバラバラにし、これを再度組み合わせて、十二支の動物の姿を描き出している。今回注目を浴びたのは[ニワトリ](酉)で、頭部は南アメリカ大陸とオーストラリア大陸で構成されている。胸部と羽の部分は北アメリカ大陸とアフリカ大陸で出来ており、下半身はユーラシア大陸だ。そして韓国はちょうど肛門の部分に位置している。日本はニワトリの目の部分で、あたかも目を閉じているように見える。
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ずいぶん上品に書かれている。
「本来、ケツの部分に来るのは(韓国ではなく)日本のはずなのに、それが頭の部分に置かれているとは日本人の作品に違いない!」という拡がり方であったと思い出す。まあ、どんぴしゃ当たってたわけですけど。恨の国、汝の名は。

 

世界地図で動物を象ったこのシリーズはイラク戦争を機に始められたもので、“Piece Together for Peace” と銘打たれ、十二支のほか、WWF/World Wide Fund for Natureと組んだクジラやホッキョクグマやオットセイとか、国連開発計画関連の “Millennium Panda” とか、髑髏と鳩を表した一対 “War and Peace” などが作られてきている。

 

Nagaiwhale

 

ひっくり返すとイルカかオルカになるのがミソです(ウソですww)。

 

長井の作品が話題を呼んだのは、「思ったより細工が細かい」「詰め込み系じゃなく空白を活かしたデザイン」という意外性じゃないかと思う。手法自体は決して目新しいものじゃないと思うけれど。

下記のあたりとはアプローチが違っているわけね。

 

【2014.03.08「野獣の花輪に護られて(5)」】
大分県
豊の魚(おおいたのいお)一村一魚 シンボルマーク
(優秀賞)
幅田朱美
〔2002年発表〕
豊の魚一村一魚(幅田案)

 

そして、長井のデザインを見てずっと不思議に思っていた謎が、このたび遂に解けました。

 

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A-Design Award and Competition

 

Kentaro Nagai War and Peace Poster
War and Peace Poster is Silver Design Award winner in 2018 - 2019 Graphics and Visual Communication Design Award Category.

 

"War and Peace" is the third poster series for "Piece together for peace" project that started in 2007. "War" is skull, "Peace" is pigeon. The two visuals made from map of the same size with only movement and rotation. This project makes the image of nation, corporation and peace using the figure of land in the world. Then, he believe it could express the vision of every people and world become unified. "Piece together for peace" project has the meaning that assembles the parts of piece like a puzzle for peace.
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「map of the same size」というのは各ピース(各地形)の縮尺を変えていないということなんだよねえ?これはスゴいという評価にもつながってる点なんだろうけれど、ツル的に気になるのはそこよりも・・・。

 

逆説的に言えば、縮尺を変えないからこそ小さな島々まで省くことなく使われている(使うことができた)わけですよね。
でもそうすると、確かに表現の幅は飛躍的に拡がるだろうけれども、逆に Challenging/Aggressive なデザインではなくなるような気がする。あるいは、極めて純化するけどその分進化の余地を切り捨てていっちゃったというか。小さいピース(日本列島を含めて)を輪郭代わりにキャンバスに落としていけばそりゃ何だって描けるでしょうよ、とツッコミを入れたくなる感じ。
ツルが感じる微妙な居心地の悪さは、ピースの面積によって役割が固定化してしまうというところにあるのかもしれない。絶対化と相対化ということを考えたりもする。

 

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Kentaro Nagai
Graduate of Tokyo Zokei University. After working for Tycoon Graphics, Kentaro Nagai established Graflex Directions on July 20, 2006 (37 years after the day man set foot on the moon for the first time). With “vivid & bold” being the overall concept, he handles art direction and design for CI, VI, editorials, packages, products, he pursues the possibilities of expression through visual communications.
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野老朝雄と同じく造形大だったかあ。で、同大学のサイトを見るとインタビューが載っている(抜粋)。

 

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プロフィール
長井健太郎
Kentaro Nagai
(Graflex Directions)
1977年生まれ。東京造形大学造形学部視覚伝達専攻卒業。タイクーングラフィックスを経て、2006年グラフレックスディレクションズを設立。CI、BI、エディトリアル、パッケージ、プロダクト等のアートディレクション、及びデザインを手がけ、ビジュアルコミュニケーションにおける表現の可能性を追求。87th NY ADC SILVERほか、D&AD、NY ADC、東京ADC、Graphic Design in�Japan、香港ポスタートリエンナーレ、世界ポスタートリエンナーレトヤマ、文化庁メディア芸術祭等、入賞・入選多数。JAGDA、NY ADC、D&AD会員。
www.graflexdirections.com
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現在、母校の准教授のようです。

 

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■2006年に「グラフレックスディレクションズ」設立されましたが、会社名に込められた思いを教えて下さい

 

かなりマニアックな話になりますが…。アポロの月面着陸の映像を幼い頃に見て以来、宇宙開発にとても興味がありました。あるとき日本はなんでスペースシャトルを作らないんだろう?という疑問を持ち、調べてみると実は作ろうとした形跡があった。それが「HYFLEX (Hypersonic Flight Experiment)」という当時のNASDA(現 JAXA)が行った実験で、結局実験自体はデータ収集にとどまり、H-IIロケットに開発がシフトするのですが、その先見の明と心意気に勝手に感銘を受け、会社名の基礎にしました。グラフィックデザインにおいても、やはり実験性と革新性は必要だと思っていたので、HypersonicをGraphicに置き換え、Graflex (Graphic Flight Experiment) とし、Graflex Directions と名乗ることにしました。直訳すると「グラフィック飛行実験」という意味不明な上に読みづらい会社名ですが、自分では気に入っています。
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念のため書いとくと、アポロ11号が「静かの海/Mare Tranquillitatis/Sea of Tranquility/Sea of Tranquillity」に降り立ったのは1969年7月20日のことだから、当時まだ生まれていなかった長井は後から人類初の月面着陸映像を見たことになる。

小学校に入って初めての通知表もらって😄初めての夏休みを迎えていたツルは、その頃の社会の興奮、というより熱狂をよく覚えている。確か当日は満月かそれに近い月齢だった気がするんです。姉たちと外に出て「今あそこにいるんだー」と月を見上げた記憶があるので(いいでしょう)。

東京五輪(さすがにツルも記憶にございません)の5年後、大阪万博の1年前という年代感。日本は若く、ツルも稚かったのよ。

 

The night was young, and so was he. But the night was sweet, and he was sour.

 

・・・日本列島がどこに置かれているか、わかりました?

 

― Inspired by「幻の女/Phantom Lady」(1942)William Irish/Cornell Woolrich(1903.12.04~1968.09.25)―

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