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2020年11月 8日 (日)

【加筆編】草の根分けて探し出してまいりました:二本目(はしぼう・金武タームくん・ターム君)

(承前)

 

草野作品は、2014年前半には京都市西京区「たけにょん」の前後にも相次いで採用されていた。
まず年明け早々にはこれ。

 

和歌山県橋本市
マスコットキャラクター
はしぼう
草野敬一(長崎県:デザイナー)
〔2014年1月発表〕
Kusanohashibo

 

[USA/Unidentified Small Animals]系のプラットフォームに、アイテムを二つだけ盛り付けたシックでシンプルな出で立ちである(冗談です)。

 

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特産品の[柿]のヘアースタイルが特徴の、紀の川の[妖精]をイメージしました。[紀州へら竿]と水と緑の豊かな自然を大切にしています。親しみやすい表情で、橋本市のさまざまな魅力や特色を全国へ発信します。

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「紀の川の妖精」というからには、奈良の大台ヶ原から注ぐこの一級河川にはこんな小動物が棲息・繁殖していると見えます😁(カッパの変種かいな)。カキは市の木にでもなっているかと思ったらさにあらずで、そこはモクセイとサクラという全国標準種だった。二本背負った「紀州へら竿」とは国の伝統的工芸品とやらになっている代物で(番傘じゃありませんよ)、つまりはヘラブナ用の釣り竿、マニア向け盛りアイテムの極致。ニッチやわー。それと[寄り目]も草野作品の大きな特徴。

 

決定時のご当地ローカルの電子メディア「橋本新聞」2014.01.17記事には、『今は空前のキャラクター時代、「はしぼう」にかける橋本市の商工・農林・観光関係者の期待は大きい。』とあり、まさに隔世の感。
この翌年、2015年には、ご当地は地域興しネタとしてこれも名産という鶏卵に走った(「食」に特化することを求める市民からの1通のメールがきっかけだったという無鉄砲無軌道無節操ぶり)。「和歌山はしもとオムレツ推進協議会」なる団体まで作って2016年からご当地グルメ「はしもとオムレツ」を売り出している。柿の実を乗っけたはしぼうも「大好物はもちろんオムレツ」てなことでPRに勤しんだわけです。

 

Hashimotoomelette

 

そうなると、むしろ次点の中本作品あたりを選んどいた方がまだよかったのじゃないかと思えてくるけど(冗談です)。

 

(優秀作品:候補⑧)
中本竹識(広島県)(cf. 2014.09.25「それって許されるの?:Recycle 1」)
橋本市マスコット

 

(優秀作品:候補⑨)
峯 隆文(橋本市隅田町)

 

Hashimotocitycharactercandidates

 

泣きキャラの前田昌克も入ってますなぁ(候補①)。そういえば前田は「たけにょん」公募にも顔を出していたっけ。

 

まあ、「釣り竿で地域興し」よりか一般社会に受容されやすいとは思う。しかし結局、橋本市役所には何の定見もなかったのね。(ばっさり)

 

その後、「たけにょん」をはさんで、2014年4月にはこれが。

 

沖縄県国頭郡金武町(くにがみぐん きんちょう)
イメージキャラクター
田芋の妖精 → 金武タームくん
草野敬一(長崎市)
(愛称)仲間信乃介(8歳:金武町)・伊波ルカ(12歳:金武町)
〔2014年4月デザイン発表・7月愛称発表〕
KusanokintahmkuninitialKusanokintahmkunfinal1 Kusanokintahmkunfinal2

 

ほーら、これも[寄り目]でしょ。実に沖縄っぽくなーい(笑)、色白ひ弱系キャラです、「あどけない」というより。

 

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特産品の[田芋]の[妖精]で、お気に入りの[タコライス]柄のTシャツを着ており、ほのぼのとした愛らしい表情で、金武町を全国にPRします。

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「田芋」はサトイモの一種。同じ「妖精」でもこっちは里芋由来かいな。

 

Kintowncharactercandidates

 

なんか、塩っ辛いのが一匹おるけど、どやって料理しようかねー。

 

デザイン補整により[町名]は[町章]に差し替えられ、ご当地発祥B級グルメ[Taco Rice]の文字も削られたようですが、惜しむらくは、その肝腎のタコライスがカレーライスだかハヤシライスだかに見えちゃうこと。そこ、大事なところだと思いますよ。「カレーに里芋入れるん?」な感じもありで。

 

しかしそこより何より、その名はやばみ(爆)。田芋は琉球語では「たーんむ」と発音するのだと思っていたら、ご当地では「たーむ」or「たーまーむ」と呼ぶそうな。つまり「金武ターム」は「金武町の里芋」ぐらいの意味なんだけど、誰もそうとは取るまいて、なアグレッシヴなネーミングセンスです。

 

≪さがなき童べどもの仕りける、奇怪に候ふことなり≫

 

因みに命名者の一人、仲間の表記は「信乃介」「進乃介」の二様あり、沖縄タイムスや琉球新報の報道では前者、2014年8月発行の同町の「広報金武」No.551↓では後者となっているが;

 

Kusanokintahmkunfinal1naming

 

ツル調べによれば前者が正しい。サーカスを絵に描いた作品や空手大会に出場した際の表記からそのように判断する次第。ダメじゃん、情報の出元がウソ書いてちゃ。

 

この「金武タームくん」の名前は、ご当地で先立つこんなキャラクターの影響下にあったのだと思う。

 

Momococorotahmkun

 

今やマンホール蓋マニアの脳裏に残るばかりとなりにけり、のようですが・・・

 

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中央には魔法使いターム君。元気のない人がいれば、[田芋]の形をした「タームジェット」で飛んで駆けつけ、 田芋料理をふるまって皆を元気にする少年。そして黄色の町章。「ようこそ 田芋の郷へ」「巨大タコライス ギネス認定 2010.11.14」 「金武町キャラクター ターム君」「なみさと・きん」「おすい」の表記。金武町はタコライス発祥の地。ギネス記録のために作った巨大タコライスは、長さ12m、幅1.8m、重さ746kgで2000食分もある大きさだったそうである。
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1999年誕生、金武町商工会の田芋の販売促進用のキャラクター
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「なみさと・きん」は金武町の5行政区である並里区と金武区のこと。
金武町は農業集落排水で、地区ごとに違ったデザインで蓋が作られていています。
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などの情報が次々と見つかる。そして遂に突き止めた。

 

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(2013.04.10 琉球新報 抜粋)

 

【金武】飲食店が立ち並ぶ金武町新開地の道路に、特産品の[田芋]を基に描かれた「魔法使いターム君」をデザインしたマンホールのふたが3月上旬から設置され、地元特産品のPRに一役買っている。

 

ターム君は、1999年に金武町商工会が田芋の販売促進のためのキャラクターを企画した際、琉球新報で「がじゅまるファミリー」を連載しているウチナー漫画家、ももココロさんが考えたキャラクター。

 

〔中略〕

 

企画当時は金武町商工会で田芋の販促活動に一役買っていたが、現在は多くの町民の目につく機会が減っていた。
そんなターム君に、金武町産業振興課の職員らが目を付けた。農林水産省の補助を受けて進める農業集落排水事業の一環として、住宅地の排水路を延ばす計画にマンホールの設置があった。新開地は観光客も訪れる場所。地味なマンホールよりは少しでも地域活性化につなげようと、埋もれていたターム君を掘り出した。
色鮮やかなターム君のマンホールのふたは、新開地を歩けばすぐに目に留まるほど鮮やか。すでに60個ほど設置されており、2013年度内には計120個設置する予定だ。ターム君が再び注目を浴びることに、ももココロさんも「地域に役立ててくれて、とてもうれしい」と喜んでいる。
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え?国家予算をこんなことに使ったの??「農業集落排水事業の一環として、住宅地の排水路を延ばす計画」!?都会人には意味がようとわからん(爆)。「金武タームくん」は、つまり15年が経過して古びてきたキャラクターデザインの更新をかけたものだったわけか。で、愛称は基本的に踏襲したと。(しかしなんつー情報てんこ盛りのマンホール蓋や。)
ももココロ(1968.01.31~)は本名 桃原 毅(とうばる つよし:「とうばら」ではないことに注意)、中頭郡読谷村楚辺(なかがみぐん よみたんそん そべ)出身とWikipediaには出ている。

 

はーん、興味深いですねえ。

橋本市も金武町も、アプローチは違えど、素材系の食材(柿・田芋)から加工食品(オムレツ・タコライス)へ、それを用いたサービスへと地域興しの軸足を移してきた、と言って悪ければ幅を広げてきたように思えるわけです。しかしそれはすなわち、「自然豊かなふるさと」のイメージだけでは成り立たなくなってきていることを意味していると感じられるのだけれど。

 

2010年代というのは、「産業の高次化」が盛んに叫ばれていた時期と重なると思う。「6次産業化」という概念に着目したのは2009年誕生の民主党政権だったと記憶する。「第一次産業+第二次産業+第三次産業」から来たこの言葉も途中で「第一次産業×第二次産業×第三次産業」に変えられたという素性の悪さだけど、しかしその表層はここに来てまた一部剥がれ落ちた、一つには新型コロナウイルスによって。外食産業や旅行業など第三次産業が特に大きな痛手を受け、業態転換をも迫られている今、これらのキャラクターの行く末にもご当地の向かう方向性にも暗雲が立ちこめる。

 

(続く)

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