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2021年12月29日 (水)

【芋蔓編】色に迷って、型に嵌まって:その4(伊予市トライアスロン in ふたみ・兵庫労働基準連合会・日本認知症グループホーム協会)

(承前)

 

天野穂積同様、永田も年を経るに連れてテンプレート度合い、使い回し度合いが強くなってきているように感じていたのだけれど・・・
これまた確信が持てなくなってきた。10年ほど前に遡ったところから数点引いてみる。

 

まず、前回見た[かまぼこ型]への憧れは、2012年(?)制定のこんなところにも既に表れていた。

 

愛媛県伊予市双海町
伊予市トライアスロン大会 in ふたみ
ロゴマーク
永田康二(49歳:大阪府)
Nagataiyotriathlon

 

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燃えるような名物の[夕日]の地で、熱きファイトが飛び出すをイメージしています。
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すこぅし日本語が変(伏線)。
「夕映えの赤きかまぼこ」→「夜空の蒼きかまぼこ」へと時が経過していったという次第。
ご当地は「しずむ夕日が立ちどまる町」をキャッチフレーズにしていた伊予郡双海町が旧 伊予市・伊予郡中山町と2005年4月に新設合併したところ。Archipelagoたる瀬戸内海としては珍しく、ご当地の北西に広がる海は島影も少なく、その海原に沈む夕日は今も何より大切な地域興し資産なわけです。(でもこのトライアスロンは夕方に開催するのであろうか?)
第1回は2012年8月に開催されており、それに向けてロゴマークとキャッチフレーズが制定されたようです。[スイム]・[バイク]・[ラン]の3競技をピクトグラムにしているけれど、このバイクには無理があるよなー。車輪描いてないから競泳のスタートの瞬間かと思っちゃうもん。考えさせるデザインってこってすかねえ(笑)。

 

〔キャッチフレーズ〕
「風になれ ふたみの夕日に 夢のせて」
小寺光雄(66歳:愛知県)

 

あらー。コトバ公募界におけるテンプレ&リサイクルの覇者、小寺を選んじゃいましたか、もっと残念な😞(cf. 2013.12.21~23「光輝く夢と未来へ」)。まあ、なんつっても「夢」があるしね(爆)。

 

茜刺日者雖照者烏玉之夜渡月之隠良久惜毛
茜さす日は照らせれどぬばたまの夜渡る月の隠らく惜しも
     人麻呂

 

っそ、枚方&交野も飯能も、月は隠れてるの😜。(ほんとは全く違う意味です。「月」は早世した草壁皇子、「日」はその母の持統天皇を指している。)

 

こちらのイベントも、2020年8月1~2日、東京オリンピックの最中に開催する予定だった第9回が中止され(欠番となり)、2021年8月8日予定の第10回の節目の記念大会もまた2022年に延期された。今度はさすがに欠番にはしないようです。

 

次はこのペア。

 

兵庫県神戸市中央区
一般社団法人 兵庫労働基準連合会
ロゴマーク
(優秀作品:作品 NO518)
永田康二(大阪市)

 

東京都新宿区
公益社団法人 日本認知症グループホーム協会
ロゴマーク
永田康二(大阪府)

 

Nagatahyogolabourstandardsfederationnext Nagatajapandementiagrouphomeassociation

 

あーあ、やっちゃいました。同工異曲とはこのことか。前者は2011年10月発表、後者は2012年10月発表。つまり五十路前からこげんありましたと。
アルファベットの大文字の「H」を使ったデザインなんてごまんとあるやないかて?まさにそのとおり、平成大合併時の新自治体章に多く見られた丸ブータイプが下火になった後も、ブロック体のものが校章等でよく見られる(cf. 2017.05.24「Hのし過ぎは教育上よくないざーます!!」)。それが「Hの連鎖」。「なんか似てるよね」ぐらいじゃその図式は揺らぎまっせん💨。
透過色使いはこの頃から永田の決め技だったわけ(cf. 2021.12.26「色に迷って、型に嵌まって:その1)。

 

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兵庫の[ひ]の字が[対峙する人]を取り巻いて、さらに[H]の字を構成しています。
「H」の字はHyogo・Human・Healthを意味し労働者とその取り巻く環境の融合、また、高度な支援の「輪」を表現しています。
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グループホームの頭文字である[G]と[H]をモチーフに、人型の『H・human』を『G・group』で取り巻いています。互いを支え合う気持ちと[人と人]のつながりをイメージしました
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馬鹿なの?日本語間違ってるぞ。

 

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(大辞泉)

 

対峙

 

1 山などが、向かい合ってそびえること。「谷を隔てて―する岩峰」

 

2 対立する者どうしが、にらみ合ったままじっと動かずにいること。「橋を挟んで両軍が―する」
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永田の文体にも当然クセはある(e.g. 「ところ」が文の途中に句読点なしで挿入される)けど、これはそういう問題じゃない。ここで「対峙する人」なんつったら、「労働条件を巡って火花を散らす組合側と経営側」みたいじゃねーかよ┓( ̄∇ ̄;)┏。「真剣に向き合う」の意味だと誤解しているんでしょうが(え?アナタも?それ恥ずかしいから学校入り直しなさいまし)。
選考側も誰もおかしいと思わなかったの?こっちが馬鹿になったかと思ったぜ。

 

もう一つ、「Health」が入っているのにもヒンヤリする。
この法人の定款の事業目的には;

 

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第4条
この法人は、労働基準法及び労働安全衛生法並びに労働基準関係法令等の普及、適正な労働条件の確保及び労働条件の改善向上、労働災害の防止及び健康の確保等に関する事業を行い、労働者の福祉の増進と産業の健全な発展に寄与することを目的とする。
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とあって「健康」の語も用いられているから、あながち間違いとは言えないでしょう。けれど、こんな風に切り出すと違和感が大きい。この文脈でふさわしいのは「Welfare」または「Safety」のはずだ。安易なアルファベット使いの落とし穴はこんなところに開いている。

 

兵庫の入賞は次のとおり。

 

(最優秀作品:対価 10万円)
竹本 裕(大阪市)

 

(優秀作品:対価 3万円)
永田康二(大阪市)
斉藤哲哉(北海道札幌市)
日高美明(大阪府豊中市)
須藤裕明(東京都)

 

10年前となるとさすがに懐かし目の名前が並んどるな・・・。
あれ?「大阪市」?富田林市ではないん??永田の住所をこう表したものは、他には見つからないんだけど・・・(前回ちょっと触れた大阪府「いいデザイン100」の〔444〕を除けば)。
それに、あれれ、「須藤裕明」??これは明らかに「須賀」の誤りですな。コメント紹介のところでは「須賀」になってるし↓。

 

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Sugahyogolabourstandardsfederationnext
(作品 NO585)
須賀裕明

 

[H]の文字をモチーフとして、「人(兵庫労働基準連合会)」と「人(労働者)」が手を取り合い、兵庫県の産業を健全に発展させていく姿勢を表現、偏りのないシンメトリーなフォルムは「基準」を表し、無限([∞])のループを象りながら結び合うラインは、貴連合会の限りない発展性をシンボライズ。
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出た、このガイダーお決まりのその記号。

 

因みに採用作もこんなだし↓。

 

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Takemotohyogolabourstandardsfederation
竹本 裕

 

製作意図:兵庫の[H]をモチーフに、労働基準法、労働安全衛生法他諸々の法[オレンジ色の環]に守られて働く男女をデザインしました。
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「縛られて」「囚われて」でもいけるかもしれん。

 

こんなのもあるし↓。

 

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Hidakahyogolabourstandardsfederationnext
(作品 NO142)
日高美明

 

雇用側と労働者側、労働者の男性と女性、そんな区別なく一緒に手を取り合って快適な労働を目指す意味で、兵庫の頭文字[H]を二人の手を取り合うシンボルマークにしました。[オレンジ]は労働者のいよくと活性化を、[グリーン]は労働の安全と安心を表しています。
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なぜそこでいきなりひらがなが(笑)。この際敢えて「男性と女性」に触れる必要性はないだろうし(竹本作品についても言えること)、「雇用側と労働者側」が「区別なく」「一緒に手を取り合って」というのは何か大きな勘違いをしているんじゃないかという気もする(あっ!案外「対峙する人」は正しいのかも;爆)。

 

どのデザインも、大文字の「H」の2本の縦棒の上に●をつけて頭にして、「人」に見立てて、あとは適当に理屈をこねてるだけじゃない?
そしてどの文章も、一見至極まともなことを言っているように見えて、深く考え始めるとすごく妙なことが書いてある感じ。
つまりは選考メンバーがこんなのを欲しかったからおんなじ発想のものばっかし選んじゃったということでしょう💨。

 

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(2011.10.31 同連合会サイト 抜粋)

 

当初、優秀作品は2点の予定でしたが、応募作品が多くかつ優秀な作品も多数ありましたので4点とさせていただきました。
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ううう、頭イタい。677点も集まったげな。

 

おっと、多少脱線しちゃった。
認知症の方は以下のとおり。

 

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(2012.10.23 同協会サイト 抜粋)

 

かねてより公募していました当協会ロゴマークに全国から300件を超える応募がありました。応募者の皆さまには心よりお礼申しあげます。
当協会役員をはじめ、多摩美術大学森脇裕之准教授の協力による厳選なる審査の結果下記の結果となりましたのでお知らせいたします。
最優秀賞は採用作品とし、今後、当協会のシンボルマークとして様々な場面にて使用させていただきますのでよろしくお願いいたします。
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ここも日本語が不自由そうやなあ。「厳選なる審査」やて。アハハ。
多摩美のセンセイに見てもらって、ほれでこんな手垢のついたデザイン選んじゃったん?森脇の所属は美術学部情報デザイン学科(2017年4月から教授)。

 

ねえ、センセ。「H」が『H・human』だというのは大変意外だと思うんですよ。このビジュアル、この団体名だったら当然に『H・home』だと思うんですが。でもそこは解釈にもよるんでございましょうかね?
それと、センセ。兵庫のことはご存じでした?

 

(優秀賞)
齋藤友彦(北海道)
長登数久(京都府)

 

//

 

永田は現在58歳前後のはずで、天野穂積より10歳若いことになる(ツルと同年代だ)。天野同様、今後公募活動にますます精を出していくんでしょうなあ🌀。そして歴史は繰り返されてしまうのね。

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