【Intermezzo】封印された想いの深さ(山南小学校) ♯2
(承前)
山南中に統合される現2校の校章を見ると、またちょっと意外な感じに打たれます。
(現)山南中学校
和田中学校
作者の村上は、旧校章の「葉」を重ね合わせた複合紋だと述べていた。現 山南中は三つ葉系(日本の家紋で言えば欅だろうか?柏じゃないと思うけど。似た形のものでは梓としてあるものもある)だからまあ形は合ってるとして、問題は和田中。この家紋↓をベースにしたものだったんだ(cf. 2009.03.09「補 家紋夜話」)。
「橘」
でも橘紋にはこんなバリエーションがあって↓、新しい山南中はむしろこっちを取り入れたような気がするね。
「向う橘」
橘紋の上部を上から見たものということだろう。
これらの橘紋、ツルは今までなんとなく花を描いたものだとばかり思ってました。橘は古来から日本の文化ではかぐわしい「花橘」として扱われることが多かったから(つまりシトラスの花の香りね)、これもそうだと思い込んでいたので。
というのも、橘紋によく似たこんな紋もあってだ。
「茶の実」
「向い茶の実」
まあようけ似てますわ。ベーシックバージョンの違いは上部の「葉」がないというところのみ。こちらはあくまでも「実」だから、花ではあり得まい。であれば橘も向い橘もやっぱり「実」と「葉」を描いたものなのだろう(つまりは柑橘類だし、そもそも柑橘類って五弁花だ)。
脱線、終わり。
で、村上が「葉」と呼んだのは和田中の校章のどの部分なのか?はじめ、葉なんだから下の方についている2枚だと思ったけれど、新校章に描かれたのは3枚だし、となると上部の「実」の上についてる3枚なのだろうな。
新校章案は2021.06.21の第13回丹波市山南地域市立中学校統合準備委員会で決定され、07.09に発表された。前に書いたとおり当初予定から約4ヵ月遅れである。新型コロナウイルス感染拡大の禍の影響を受けたと説明されているけれど、そこよりも、2023年4月の開校までまだ2年もあるし、みたいなのんびり気分があったのではないかと思う。もうその頃にはZOOMとかのオンライン会議のツールも浸透していたわけでしょう?
その直前の第12回は2020.10.29開催だったので、8ヵ月も動きが止まっていたことになる。ちょっと、ね(苦)。
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(2021.07.09 同市サイト)
山南地域市立中学校「校章デザイン」「校歌歌詞歌」の公募は、696作品(校章デザイン544作品、校歌歌詞152作品)もの多くの作品が寄せられました。
6月21日に最終選考を行い、厳正公平なる審査の結果、校章デザイン(案)は丹波市在住の村上太一さんの作品、校歌歌詞(案)は埼玉県在住の宮崎宣男さんの作品にそれぞれ決定しました。
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で、この時上掲のデザインも「原案」として公開されたんですが、その後修整が入りまして。
居関ばりの[二重輪郭]にしちゃったという(*_*)。ところがこれがまたすったもんだのタネになった。
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(2021.11.16 第15回丹波市山南地域市立中学校統合準備委員会 会議録 抜粋)
まず(1)の校章デザインの補正についてですけども、デザインについては11ページに載っておりますけども、13回の統合準備委員会で決定していただきましたが、その後、作者と山南中、和田中両校の美術の先生方と調整をする中で、今後、校旗や校舎に使用する際に、少し周りの枠が細いことや、山南という文字がちょっと弱いかなと感じるというところがありまして、補正前のデザインを大きく変えることなく、作者に少し補正をいただいています。本日、この補正後のデザインというのを提案する予定としていたんですけども、先週11月12日、金曜日に、総務部会を開催しまして、このデザインについて意見交換をする中で、両方の葉っぱの立体感であったりとか、山南の文字の奥行き感というところ、この辺りをもう少し調整してはどうかという意見が出ましたので、本日の議事としては取り下げとさせていただきまして、今後、再度、作者と総務部会で調整を進めさせていただきまして、第16回、次回の統合準備委員会で提案させていただきたいと考えております。
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なんじゃそりゃ。詰めが甘かったというか、実務がグダグダだったというか。なんで調整未了のものを出したんだよ。
結局、第16回の統合準備委員会の開催はさらに半年後の2022.05.10。こういうこと↓で決着がついた。
あー、見比べてみると、やはり第1修整案は稚拙の謗りを免れないですな。というか、なるほど!・ザ・やっつけワールド。二重輪郭の入れ方がやっぱ妙だもん、二次元界にとどまっているというか。(ただし、二重輪郭とする必要が本当にあったかどうかはまた別の話。)
でも、外弁(つまり背面)3枚と内弁(前面)3枚の中心がズレているところは(多少度合いが減ったものの)最後までそのままだった。
↓
↓
意図的にそうしたってことですよね?これ、[SANNAN]という表示を入れたがために縦長に構成せざるを得なかった、[中]の字も中心に置けず上にずらしたというあたりが実態なんでしょう。
それにだよ。一番下のパーツが実は外弁ではなく内弁として描かれている不自然もだんだん目立ってきちゃった。外弁として描くとなると[SANNAN]のリボン部分に隠れてしまうからだろうけど、結局それって構図そのものに無理があったっちゅうことじゃないのか。リボンを六弁花の外に出して周囲を取り囲む構図にすれば全てが解決するような気がしますがね。
青い大円で囲んだ和田中由来の外弁が僅かに縮小されたことも目を惹く。原案では外弁と内弁は基本的に長さが同じだったのにww。デザイン上の必要はなかったはずだが、どんな意図があって・・・😱。
「美術の先生方」におかれてはどうお考えでしょう。
(続く)
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