もうやめようよ、ご当地キャラとか。(その267:桃の妖精)
(承前)
あけましておめでとうございます。
2023年、あらたまの癸卯(みずのと う)の年の始まりでございます。
さて、このところあまりに塩崎一族から離れ過ぎて塩キャラ/塩ロゴ斬りがお留守になっていたので、お正月らしく(?)久しぶりに本編、いきますか。
とはいえ、地方自治体やら社会福祉協議会やらのキャラクターなんて今どき新規制定することがレアケース、平成大合併(2004年から2005年にかけて最も多く実施された)から数えた新自治体の周年記念ロゴマークの類いも現在はちょっと端境期、自動車の図柄入りナンバープレートも次の波を待っている(今年の10月頃から新たな10地域の交付が始まるそうな)という現状。でも何だか全般に盛り上がりに欠ける気がする。そんなことやるぐらいならコロナ対策に金回せよというようなご時世なので、それも致し方ないんでしょう。
ツル自身が前ほどこの問題に身を入れられなくなっているということもあるかもしれない💦💦。もう10年続けたんだからそろそろ手を引いてもいいかってな感じで。
で、そんな中ではありますが、お正月ですから榮一作のキャラクター作品を取り上げませう。ゆるキャラの帝王、公募ガイダーの中の公募ガイダー、テンプレの中のテンプレ、塩崎一族の総帥!しかし、ちょっと前、2018年3月決定のしかも次点という、謹賀新年のご挨拶にはいささか力不足なネタかも・・・。
岡山市北区
独立行政法人 国立病院機構
岡山医療センター 小児科
マスコットキャラクター
(優秀賞)桃の妖精
塩崎榮一
あ、でも今年は當る卯歳だからこれでいいのか。微妙な干支ネタです。
何ゆえ岡山の[桃]キャラが[ウサギ耳]なんだ、というところは不明だけれど、この家紋に手がかりはありそうだ。
「真向き兎」
兎紋はなぜかこういう体形で表されるんです。
胸元の図柄はこれ。
独立行政法人 国立病院機構
岡山医療センター
シンボルマーク? ロゴマーク?
[前髪ちょろ]のこのカタチは今後多く見ていくことになると思うので、記憶に残しといてね。
しかし、このキャラの一番のポイントはこれらのどれでもなく、「医療に関する要素が一切入っていないこと」だよな。図柄だけ見せられて病院キャラと見抜ける人なんて誰一人いないわけですよ😆。盛りアイテムを削ぎ落としてしまうと訴求力も一気に弱まっちゃう。
ツッコミどころはもう一つ、「桃の妖精」というネーミング。なんぼなんでも愛称として成立せんやろう。
(最優秀賞)
さにーちゃん
松本 唯(岡山県)
(優秀賞)
サニーくん
兒山弓子(岡山県)
桃の妖精
塩崎榮一(大阪府)
採用作を含め、岡山県内からの入賞2点がいずれも「Sunny」のネーミングなのは、ご当地が「晴れの国おかやま」との名乗りを上げているからだろう。(実際には岡山県が取り立てて晴れの日が多いわけではなく、47都道府県中16位である。雨の日の少なさでは1位だそうですが。)
「さにーちゃん」は[太陽]がモチーフ、「サニーくん」は[ライオン]のキャラクターだけどたてがみが[太陽]の形なので、やはりこのキャッチコピーを意識したものと思われます。
「岡山なら桃」という全国レベルの発想が「岡山なら晴れ」というご当地レベルの(でしょ?)発想に競り負けたわけだ。
榮一の「桃の妖精」はさすがに「晴れの国」イメージのネーミングにするわけにはいかないだろうから、改名するならさしずめ「モモちゃん」あたりでしょうが(笑)、そんなものはご当地の塩キャラで既に使われとるでねー。
【無明の闇 37】
岡山県
公益社団法人 岡山県社会福祉士会
マスコットキャラクター
ももちゃん
(作者不明)
〔2011年制定〕
【その227】
岡山県赤磐市
赤磐市社会福祉協議会
マスコットキャラクター
こももちゃん
福添歩美
〔2018年12月発表〕
あ、こももちゃんの方が桃の妖精より後なのか。
デザインの話に戻ると、確かに既視感が物凄く強いんだよね。特にこのキャラクター↓との相似は気になる。
【無明の闇 37】
東京都立川市
株式会社ココラッセ(現 株式会社YAK社会福祉センター)
ここらっせ イメージキャラクター/オリジナルキャラクター/公式キャラクター
ここちゃん
(作者不明)
〔2018年2月制定〕
今はもう使われていないキャラのようだけど、時期も極めて近いし、ほら、[前髪ちょろ]のカタチもそっくり・・・。
ただ、塩崎一族を「ここちゃん」の作者に擬することについては、もう一度深掘りしなきゃと思ってますが・・・。底深い闇、あるいは全てが嘘。
ズブズブと沈んでいきそうなので、お正月気分を取り戻しましてと。
募集告知のチラシにはこんなことが書いてある。
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子どもの頃、病院に行くとき、どのような気持ちだったでしょうか?苦い薬や注射など、病院には苦手なものが一杯だったのではないでしょうか?子どもたちが快適に病院で過ごせるようにするには、どうしたら良いのでしょうか?
このたび私たちは、子どもの療育環境改善のための試みとして岡山医療センター小児科の独自マスコットキャラクターを作成します。
子どもたちを喜ばせ、『~くん(ちゃん)に会いに病院に行きたい!』と言ってもらうことが目標です。子どもたちの心を和ませる、子どもたちに愛されるキャラクターデザインを皆さまから募集します。多数のご応募をお待ちしています。
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このコンセプトは強いと思う。
ご当地の認知度や好感度を上げるとか、自社・自団体の製品/サービスの宣伝・販促に使うとかではなく、もっとダイレクトに利用者の福祉を志向しているからです。ターゲティングもはっきりしている。地方自治体の小役人が「ウチもやらなきゃ」的同調圧力に屈して目的も曖昧なままにご当地キャラクターを制定するなんてのとは違うと思えるけど、どうでしょう。
そうした点から考えれば、この病院キャラクターのモチーフとすべきはやはり「桃」なんかではなかったろう。
(実はこの公募にも大きな地雷が埋まっているんですが、さすがに今日はあげつらうのをやめとこう。)
今や、ご当地キャラというもの自体、全国(さらには全世界www)に向けた発信という大風呂敷なところよりも、まず地元民の意識を目覚めさせるというところに重点が移ってきている気がする。この数年日本でも盛んに語られ始めた「シビックプライド」という概念(これにはマイナスの面もあるんじゃないかと思っているけれども・・・)と一脈相通ずる見方です。
有楽町界隈に多い(今でもそうだよね?東京を卒業してから3年この方、ほとんど行っとらんけんようわからん😄)全国各地のアンテナショップの最大の顧客層が結局は各ご当地の出身者だったりするというのとちょっと似ている。強いて例外を挙げれば、北海道と沖縄県、そして辛うじて京都府ぐらいじゃないかしらん。
今どきご当地アイテム盛り盛りのDogmaに支配されたゆるキャラなど一般社会はおろか地元民からももう求められておらず、それをノスタルジックに追っているのは「元地元民」ぐらいではないか、そんな気がします。
それがあってかあらずか、塩崎栄一は制作活動をやめてしまったように見受けられる。2022年に入って募集がかけられたご当地公募での入賞例(や応募例と見なされるもの)がとんと見つからないんです(福添歩美名義は別として)。とうとう栄一名義の在庫も切れちゃったし。
このままご当地公募界から引退しちゃうんじゃないかしらん。
♪いつまでたっても来ぬ人と
死んだ人とは同じこと
そう、公募ガイダー生命の終焉。栄一は現在満81歳のはずであり(cf.【その58】)、そうなっても不思議はないだろう。むろん、別名義やペンネームまでは追いかけ切れないけど、はて、来たる2023年、どうなりますことやら。
― Inspired by「夜桜お七」坂本冬美(1994.09.07リリース:作詞 林 あまり:作曲 三木たかし)―
(続く!)
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