地上庭園黒歴史
cf.
2019.06.27「校正まだまだ畏るべし」
(承前)
前々回にこう書いてて↓思い出したことがある・・・。
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しかしよく見つけられましたねえ!いくら防犯カメラが作動していたといってもだよ。商店街のシャッターにスプレーで落書きするのなんか普通に見かけるでしょ。ああいうのってたいてい犯人捕まってないんじゃないかと思ってたんだけど、どうなんでせう。
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もう10年以上前、ツルがまだ東京に住んでいて、福岡のこの家を「実家の空き家」と呼んでいた頃、裏手のはす向かい(変な表現だが)の家の住人から、当家の庭、つまり「地上庭園@福岡市南区老司」にある庭木の枝を勝手に伐られたことがあった。いつも年に3回ほどは帰省してたのだけれど、ある時帰ったら裏庭のヤブニッケイの主幹の梢の方がバッサリやられていて、すごく驚いたし凹みました((((゜д゜;))))。
これもれっきとした器物損壊ですなあ(-_-##)。元の姿に戻すのに何年かかったことか。
別に防犯カメラを入れてたとかいうわけじゃないけど、隣家のご主人(もちろん犯人とは別人)が気の毒がって「私も、そんなことはしなさらん方がいいですよと止めたんですけれども、裏のご主人が鋸を持ち出して・・・」と子細を教えてくれて下手人を知った次第。往時の新興分譲地も、今ではそんなコミュニティができあがってるわけです。
言っとくけど、枝が伸びて越境したなんてことは一切ない。植わっているのは境界から2メートルほども離れたところだし(つまり、賊は明らかに当家の庭に無断で侵入して鋸を振るったことになる(@_@))、年に2、3回帰省すると必ず真っ先に剪定をして美しい姿をキープしていたので、デカくなり過ぎたなんてことは決してありません。大きくならないようにいつも必死だったもん。現在も高さ3mもないぐらいかな。犯人は自分の家の庭の(後から建てた)温室に影を落とすからという理由で凶行に及んだらしいけど、ごく客観的に見てそういう物理的状況にも決してない。近隣トラブルがあったわけでもないので、一層理解に苦しんだ。
つまりは「空き家だからいいや」という身勝手な解釈でやったのだと考えている。だけど何より、ツルが帰省の度に汗水垂らして真面目に剪定してるのをそのジジイも目にしていたはず、この40年来。伐り落とされた芯の太枝は無造作に当家の庭に投げ捨ててあって、植物好きのツルとしてはとても心が痛んだ。切り口も汚くってさー(T^T)。
そしてもちろんと言うべきか、驚くことにというべきか、事前事後とも、本件に関する断りも挨拶も謝罪も全くないんです。
おそらくは当該ジジイは、犯人が自分だとツルが知っていることも知らないだろうと思う。なぜツルの態度がいつもひどく突っ慳貪なのか不思議にも思っていよう。しかしそれはアナタの播いた種。そこから生え出た、バレてないからいいやというその心根もすごく嫌。
ヤブニッケイなんて本来庭木にするようなものではないけれど、この地上庭園の裏庭エリアはヤブニッケイとクヌギの2本を主役に野趣を楽しむ造りとしている。花木はツバキ(鴇色の八重の百合咲き銘花「羽衣」;姪っ子の誕生木)、アジサイ、レンギョウ、クサボケ程度、草物もシュウメイギクやミズヒキ、白花シラン(斑入り葉のニ芸品)に今年の夏なら敢えて抜かずに残した雑草のツユクサやタカサゴユリとかで、もちろん洋花は一切入れていない。
中でもヤブニッケイは、この家に移ってきたばかりの中学1年の頃、クラスメイトの瓦屋の息子に誘われて近所の老松神社の裏山から小さな苗木を掘り取ってきたのが育ったもので、まあ、想い出の樹なわけね。ツルの母親は俳句(いわゆる現代俳句)を詠んでいたので、格好の題材を提供することにもなった。
秘密の樹持つ少年に冬夕焼 京子(昭和五十年)
句会でいい点数を取ったと言って喜んでいたっけ。お母さん、あの樹はまだ生きて在るんですよ。
ついでに言うと、全国女流俳句大会というので二席に入ったという次の句も、生まれたばかりのツルを題材に取ったもの。
逝く春や子の粥一匙ずつ冷ます 京子(昭和三十九年)
一人息子の一挙手一投足は俳人としての目に常時監視されていたのだw。
上述のジジイは総白髪になった今もくたばる様子もなくまだ生きている。でもそれ以来ずっと、地上庭園で作業してて顔を合わせてもツルは一切口を利かないことにしている。他のneighborhoodとはまるで違う扱い。もちろん、昨秋福岡に戻ってきて40年ぶりに再び住み始めた今もそう。毎週末、草取りにせっせせっせと精を出している時、ジジイが庭に出て何やらやってるのが視野に入ってくるとげんなりする。
いわば、「ウチはあそこの家とは金輪際付き合わん!」という不幸かつ非建設的な状況。一人相撲かもしれませんがね。決して忘れはしない。
小田さん、アナタのことですよ。お宅の庭のど真ん中にある橙色の花のダチュラの木を、無闇に大きく育って花もみすぼらしいからと誰かが勝手にガシガシ伐っていったりしたら、どんな気持ちがなさいます?
もちろんツルは神かけて、そんなことはしない。盟三五大切。
けれど、この樹に鋏を入れるたびあれを思い出して、冷静を保つのが難しいと感じることが時々ある。ヤブニッケイの剪定は、本来、甘いシナモンの香りに包まれてとても爽快で気持ちのよい体験なんですが、その香りさえ苦々しく感じられて。
香奠は絶対に出さんぞ。
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