蘊蓄Field:似て非なるもの

2022年2月27日 (日)

【退院記念企画】非にして非なるもの - 東京 vs 福岡:その後の変化

(承前)

 

前回、あれこれ書いていたら思いのほか福岡ネガティブ情報が多くなっちゃったので、何だか気分がすぐれないww。お口直しに、昨年のお正月に書いたことに関するアップデートなどちょっと。

 

・福岡の食いもんはまだ甘い?

 

> あと1年もすればまた何も思わなくなるんでしょうなあ。

 

はい、早いものでその1年が経ちまして、「甘っ!!」とはあまり感じなくなりつつあります、案の定。
でもなー、ツルはまだ芋焼酎のお湯割り、という境地にはまだ到達してないんであるよ。日本酒🍶好きだし😍。なぜ博多っ子はポン酒を飲まんのよ😠。貴様それでも日本人かァ!!てな具合。

 

・なぜ独り吞みをしない?

 

> そもそも福岡では一人で外に飲みに行くという習慣が
> ほとんどないようなんですよ。

 

ここんとこは、ツルはちょっと思い違いをしていたかもしれない。
なぜ福岡では独り吞みをあまりしないのか。実は簡単な話で、マイカー通勤の人が多いからである、さすがに地方都市らしく。日常生活の中で酒を呑むというのは、車の運転を終えてから家でゆっくりと、てなことになっちゃうんですねきっと。
そう言えば、ツルが2年前に転職した時の会社の歓迎会も、一旦家に帰ってから出直してくる人が結構いたのはちょっとしたカルチャーショックだった。通勤はマイカーで、飲み会に出てくる時は公共交通機関でというわけやね。新年会が土曜開催だったのにも驚いたけど。
因みに福岡県は飲酒運転が全国レベルのワーストクラスという不名誉な記録を永く保持してたんであるが、今どうなってるかは知りまっせん(またネガティブ情報が・・・w)。

 

・「糸島」がブランド化している
これまた食の話のついでに一つ。
福岡市の西隣に糸島市というところがあって;

 

福岡県糸島半島

 

玄界灘に突き出た竜の頭の西側の方ね。そのさらに西に行くと佐賀県唐津市になる。
もとは自然豊かでのどかな土地柄、福岡市のベッドタウン化に多少乗り遅れたところ(現在の福岡都市圏の拡大はまず南方向に向かって起こり、次いで東北方向に進んだと考えている)、よくってプチブル熟年博多っ子のちょっとした別荘地というイメージを持っていたんだけど、どうもその辺のイメージを逆手に取ってブラッシュアップしていったのではないかという気がツルはする。

 

で、同市のパンフレット「古今 糸島の食物語」には「やさい」として芥屋(けや)かぶ・キャベツ・ブロッコリー・ネギが挙げられているから、さほど珍しい種類が作られているというわけではなさそう。近郊型農業で都市圏に供給してるってことでしょう。「くだもの」としては、博多あまおう・あま伊都(ブドウ:マスカットベリーA x 巨峰)・はるか(ミカン:日向夏 x 甘夏柑)・柑橘(温州みかん 紅まる君・甘園坊・デコポン・アンコール)が挙げられていて、こちらではやや品種特化が進んでいる様子。
海産物だと、天然マダイ・糸島カキ・特鮮本鰆・天然ハマグリが掲載されている。「糸島市における平成29年度のマダイ漁獲量は955tで、7年連続日本一を誇ります」という記載があるし、近年ご当地の漁港界隈には冬になると「牡蠣小屋」なる飲食店が立って賑わうみたい(コロナ禍でそこはまた様変わりしてるらしいが)。とうとう2019年5月には「糸島カキ」が「地域団体商標」として登録されたそうな。

 

福岡市内の飲食店でも「糸島産の野菜を使っています」とか「糸島野菜のバーニャカウダ」とか謳うところが結構あって、ちょっと微笑ましい。糸島がまさかそんなことになってるとは思わなかったけれど、それがツルが福岡を離れていた年月というものなんでしょう。

 

ま、これには九州大学がキャンパスを福岡市内から糸島市に移転したことも影響してると思いますがね。

 

次回は遂に本編を復活させますばい。

2022年2月26日 (土)

【退院記念企画】非にして非なるもの - 東京 vs 福岡:三驚

不慮の骨折 in 京都からも順調に復活してまいりまして。

 

さて、1年前のお正月にもこのネタで書きましたが、さらに1年を重ねご当地在住満2年を超えた今、ふたたびしてみんとて、するなり。福岡移住のご参考までにどうぞ(爆)

 

・美人が多いか?
三大美人の産地、的な話になると、博多はまず間違いなくその中に入っていると思う。ツルの個人的経験からすれば、高校を卒業するまで住んでいた時代はそんなこと考えたこともなかったけれど、よその土地から友人の男どもが遊びに来て街なかを連れ回して歩いていると、彼らが周りをみ回して、感に堪えないように「美人が多いなあ」と宣うなんてことはよくあった。
で、戻ってきてからのツルの肌感覚なんですが、確かにそれはほんと。顔のきれいな女の人、多いと感じます。おしゃれだとかセンスがいいとか垢抜けているとかお化粧が上手だとか、そんな人はそりゃあ東京の方が多いですよ。でも、顔立ちそのものが美形、出会ってハッとするような美人の割合というのはご当地の方が確実に高い(今の会社も美人率高いんですわww)。
系統的に言うと、意志の強さがそのまま美しさに表れているといったタイプの美人さんが多いです。タレントで言うと(とかく芸能人には困らない土地柄)、例えば牧瀬里穂。彼女が出てきた時は「あ、この子博多出身じゃないかな」と思ったらほんとにそうだった。(芸人のはなわが「佐賀県」で「牧瀬里穂も佐賀 やっぱ公表してねぇ」と歌ったのはガセネタらしいです。)

 

・「食」が本当にうまいか?
東京に長く住んでいて、博多出身だと言うと「食べ物がおいしいんですってね」的なことを返されることがだんだん増えていった気はする。ミシュランの星つきのお店の割合も福岡が全国一だと最近ネットで読んだことがある。
でもそうした諸々、ツル的にはかなり意外なことだった。鶏/かしわの水炊きは確かに別格である(断言)にせよ、焼鳥屋(店舗数が日本一多いとか)に行っても際立って旨いとも安いとも思わない。豚骨ラーメンは所詮B級だし(そのブランディングには「屋台」が果たした役割も大きいとは思う)、辛子明太子や高菜漬けは存在そのものがちょっと食の変化球、辺縁系というものだろうし、もつ鍋がなんで博多名物としてのし上がっていけたのかもよくわかっていないけど。
つい先日、湘南出身の友人と電話で話していたら、「自分は福岡って食のイメージしかないよ」と言われてまたビックリしました。

 

・サバを生で普通に食べるか?
青魚のサバは足が速いことから「鯖の生き腐れ」と言われて、焼き魚とか味噌煮とか、加熱工程を経て食するのが普通なわけです、全国的には。非加熱調理となればせいぜい昆布と酢で締めて〆鯖にするぐらいね、普通は。例外的に、新鮮な魚が手に入る地域では刺身で食べる習慣があって、博多もその一つという話で。
そのことはずっと昔から知っていたんだけれども、それに加えて、福岡にリターンしてみると「ごまさば」なるものの存在感がすごく増大しているのにちょっと驚いた(ゴマサバ/Scomber australasicusという魚の種類のことではなく、料理の名前のことです)。つまりはさばの刺身をすり胡麻と醤油だれで和えたもので、熱い白ご飯のお供にも酒の肴にもぴったり系、例によって甘い(甘じょっぱい)味つけだけど。
これは「博多ではサバが生で食べらるっとよ」というブランディング戦略の結果ではないかと思う。多分、大分の関サバ、関アジのブランド化が進んだ後に出てきたものだろう(いかにも博多小役人の考えそうなことだ)。
因みに魚類の生食の場合に常に問題となるアニサキスは、ざっくり言うと太平洋側と日本海側で種類が違っていて、前者の方が内臓から筋肉に出てくることが多くて格段に危険度が高いのだそうな。従って博多や長崎あたりでごまさばを食べて自分でも作ってみようという東京人のアナタ、いくら新鮮なものが手に入った場合であってもそれは危険なことだからおやめなさいまし(と言って参入障壁を高くしておく。しっかり冷凍すれば死滅するらしいですが)。

 

でもね、博多なんかより佐賀の唐津とか呼子とかの方が魚介類の新鮮度はもっと高いと思うとですよ。

 

・七味唐辛子か一味唐辛子か?
食のついでにこのことも。
基本的にツルは酒飲みなので、週に1回ぐらいは帰りがけに居酒屋とかワインバーとか立ち寄ったりもします。(とは言え最近は入院だのテレワークだのオミクロンだのですっかり足が遠のいてますが。)
焼鳥屋に入ったりもするんだけど、そこでテーブルに置いてあるのはたいてい、七味唐辛子ではなくて一味唐辛子であることに気がついた。都内の焼鳥屋で一味を置いてあるところなんかまず見ませんよねえ。博多っ子は先鋭的な辛さを好むんだろうか?それとも、甘いにつけ辛いにつけ、はっきりした味を好むんだろうか?よくわかりませんが。
ツルは昔っから七味の方が好みなんですけどねえ。一方で糸唐辛子は料理に時々使うけど。

 

・ビジネスの電話で「もしもし」って言う?
えーと、ツルは基本的に東京でしか仕事をしてこなかった(一時神奈川県川崎市くんだりまで落ちのびたこともありましたが)ので、社会人としてのマナーも江戸前で叩き込まれたわけです。新卒の頃、社内で人事部の新人研修を受けていた時、仕事上の電話対応で「もしもし」というのは御法度だと教え込まれたのでそのようにしてきたし、実際、そのように言う人は周りにも(社外を含めて)いなかったと思う。
それがだねえ。福岡に転職後、職場で「もしもし」って言ってるのをよく耳にするんだよねえ。
まだ慣れません。なんかねー、ダメ社会人みたいに思えちゃうんですよね、ツルには。

 

・路上でアレを見かけるか?
「アレ」とはズバリ、立ち小便。と言ってもこっちで日常的に目にするわけじゃありませんがww、この2年間で1回だけ見た。自宅近くで、昼日中に、オッサン(or 団塊の世代のジイサン?)が、路肩でww。南区老司ってどっちかっつうと街なかと言うよりゃ郊外なんだけど(自宅の庭で白昼にイタチを見かけた時はさすがに驚いた)、これには仰天したし、みっともないと思った。そんな行為、何十年と見たことがなかったのでそれなりに衝撃でした。
昭和かよ。

 

・通勤/通学の手段は何?
東京で公共交通機関と言えば一義的に鉄道だと思う。JRにせよ私鉄にせよ東京メトロにせよ、まさに網の目ね。しかも少しずつ延伸を続けている。それは日本の首都が膨張を続けている証しでもあるだろう。
然るに福岡(というか福岡市)では私鉄は西鉄電車(西日本鉄道)しかないし、地下鉄も福岡市営のが3路線ほどあるのみ。最大規模の交通機関は西鉄バスで、網の目に走っているのはこちら。言い換えれば地域独占状態。でもコレが大きな問題でして。
実は福岡市というのは交通渋滞のひどい街です。ツルは中学時代はバス通学だったけど、朝の通学時の渋滞はひどかった、特に雨の月曜日なんてバス停5つ分で1時間かかったりしてました(だから高校では自転車通学に切り替えました)。
2年前にUターンしてきて一番びっくりしたのは、その状況が一向に改善していないこと。むしろ悪化している地域もあるかもしれない。
これが40年ぶりに住んだ福岡の、一番気に入らない、もしくは一番住みにくい点です。ご参考まで。

 

これは、一つには西鉄電車のターミナル駅のある天神地区と、JRの博多駅地区とを蜘蛛の巣の二つの中心として、放射状にバス交通網を発展させてきた政策の限界を示しているのだと思う。インフラがもともと脆弱なところにもってきて、人口増大についていってないときている。
それと、経糸ばかり発展させて緯糸の整備に力を入れてこなかった(というより切り捨ててきた)ために、公共交通機関による緯糸方向の移動はいささか不便なものになっている。そこは自家用車でいいだろという考え方なのだと思います。

 

もう一つ、主役を担う西鉄バスの責任も重いと思う。いつも遅れてダイヤどおりに来ないことが常態化していて、ほんとにイライラします。朝だけじゃなく、夕方の帰宅時にも結構混むんで時間がかかるんだよねえ(ツルは通勤にはバスと電車を使ってますが)。朝夕の所要時間と昼間の所要時間は渋滞状況を織り込んで変えてあると思うけど、それでも実態に合っていない。一体どうやって調査・設定しているんだろう?
それだけではありません。ダイヤ上、ある行き先のバスが例えば20分も来ないかと思うとその次は3分後に来る、みたいな設定がごく普通にある。こげなとって、他の都市の路線バスでも同じなんやろうか??配車繰りの問題があろうことは理解するし、営利目的の私企業であることも理解するけど、利用者の立場の尊重がされているとは到底考え難いです。

 

これだから地方の殿様企業ってダメなんだよ。つまり、福岡を住みにくくしている諸悪の根源は西鉄バスである(暴論だが直言)。
そもそも、設備投資のかかる鉄道増設を捨てて(市営地下鉄を除く)バスを取ったという歴史的経緯があるわけだけど、その結果、現在西鉄バスも人件費負担に苦しんでいるのではないのかね。

 

でも一番異なるのは、マイカー通勤率かもしれません。東京では自家用車を持たないことは割と普通だけど、福岡(いや、地方都市全般に言えることだろうけど)ではなかなかそうはいかない。そしてこのこと自体が交通渋滞を引き起こしているわけだよね。
福岡よ、そんなことじゃ低炭素社会に向けた潮流にも乗り遅れちまうぜ。

2021年6月 6日 (日)

似て非なるもの - 技能五輪 vs アビリンピック

(承前)

 

敢えて、「似て非なるもの」として取り上げます。基本的にツルの知らない世界だけれど。

 

今どきの「ものづくり」とはどんなものをいうのかと思って調べてみたら、「Tokyo技能五輪・アビリンピック2021大会実施計画」で、技能五輪の方は競技職種として次の42職種が挙げられている。

 

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〔機械系〕(9)
機械組立て
プラスチック金型
精密機器組立て
機械製図
旋盤
フライス盤
試作モデル製作
自動車工
時計修理

 

〔建設・建築系〕(10)
タイル張り
配管
石工
左官
家具
建具
建築大工
造園
冷凍空調技術
とび

 

〔金属系〕(5)
構造物鉄工
電気溶接
自動車板金
曲げ板金
車体塗装

 

〔サービス・ファッション系〕(10)
貴金属装身具
フラワー装飾
美容
理容
洋裁
洋菓子製造
西洋料理
和裁
日本料理
レストランサービス

 

〔電子技術系〕(5)
メカトロニクス
電子機器組立て
電工
工場電気設備
移動式ロボット

 

〔情報通信系〕(3)
ITネットワークシステム管理
情報ネットワーク施工
ウェブデザイン
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ふーむ。中には首を傾げたくなるものもありますねえ。「冷凍空調技術」なんていう「職種」があるとは知らなかった。
おなじみWikipediaで「技能五輪全国大会」の項に当たってみると、これが「46職種(ただし、年度によって実施されない職種がある)」と書かれており、単純に両者の差分を取ってみますと。

 

Wikipediaに記載のある;

 

「抜き型」「木型」「冷凍技術」「れんが積み」「製造チームチャレンジ」「ITPCネットワークサポート」「情報技術」「広告美術」「グラフィックデザイン」「アニメーター」

 

がなくなって(「製造チームチャレンジ」なる職種については皆目不明)、Wikipediaに記載のない;

 

「プラスチック金型」「試作モデル製作」「冷凍空調技術」「とび」「移動式ロボット」「ITネットワークシステム管理」

 

が加わっており、10減6増。Wikipediaの情報の方がそりゃ古いんでしょうが、「とび」が令和の今になって加わるわけ??詳しいことはわからんけど。持ち回り開催だから地域性もあるんだろうか?
もっと不思議なのは、デザイン系が3つも減っていること。若年層は「ウェブデザイン」しかやらないのかしら?まさかね。

 

ええと、ここでプチ蘊蓄。「旋盤」も「フライス盤」も時々聞く言葉ですけど、違いってご存じ?
簡単に言うと、旋盤は加工される物を回転させるもの、ユウガオの実を薄く剥いて干瓢を作る時みたいに(かえってわかりにくいか💦)。対してフライス盤は、工具の方が回転して切削していく。てことは電動ドリルもハンディなフライス盤ってことになるの?違うだろうな。
以上、町工場の町、東京都大田区の下丸子に住んでいた時(既に懐かしいわ)、工場イベントに参加して教えてもらったネタでした。(cf. 2014.02.15「不運のおおたオープンファクトリー ― 台風と雪に祟られて」)

 

一方、アビリンピック2021の方は25種目となっている。

 

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〔建築・工芸系〕(5)
家具
建築CAD
義肢
歯科技工
木工

 

〔情報技術系〕(7)
DTP
ワード・プロセッサ
データベース
ホームページ
表計算
パソコン操作
パソコンデータ入力

 

〔電子・機械系〕(4)
機械CAD
電子機器組立
コンピュータプログラミング
パソコン組立

 

〔サービス・ファッション系〕(9)
洋裁
フラワーアレンジメント
ビルクリーニング
製品パッキング
喫茶サービス
オフィスアシスタント
ネイル施術
写真撮影
縫製
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「木工」「パソコン操作」「パソコンデータ入力」「縫製」については「知的障害者に限る」とされている。
なぜ、今もって「ワード・プロセッサ」なんてものがまかり通っているのだろう?それを言い出せば「電子機器組立」「パソコン組立」もちょっと違和感があるし、「コンピュータプログラミング」にも時代感がついちゃってる気がするけれど😅。

 

そしてどちらも、テレワークの進展にはまだ対応できていない様子。

 

世の中、知らないことはまだまだ多いってことっすかね。

 

技能五輪の「競技職種」とアビリンピックの「種目」の差は、単に主催団体が違うというだけではなしに、端的に言えば障害者の雇用の幅の狭さを意味してもいるんだろうなあ。全国の、そして東京都の民間企業の障害者雇用率(2021年3月に2.2%→2.3%に引き上げられた)の実態はどうなっているんだろう。
調べてみると、2020年で全国が2.15%(前年 2.11%)で、過去最高を記録したとは言え、やはりいまだに未達の状況。法定雇用率達成企業の割合は48.6%(前年 48.0%)。東京都だとこれが2.04%(前年 2.00%)。
ロゴマークやスローガンやマスコットキャラクターがどうこうよりも、そうしたことの方が大きな課題でしょ。

2021年1月 3日 (日)

似て非なるもの - 柚子胡椒 vs かんずり

(承前)

 

柚子胡椒のこと、もう少し深掘りしましょう(つくづくヒマ人やわ。実際には全く暇じゃないけれど。)

 

柚子胡椒は基本的に大分のもので、ご当地の一村一品運動の中で成長していった物産だと捉えている。今では福岡県産のものもあって、ちょっとびっくりします。基本的に緑色(鴬色?)をしたペースト状だから、青いユズ(の果皮)と青トウガラシをすりつぶして塩を加えて作るわけ。材料はそれだけ。中には赤いのもあって、それは熟したトウガラシと黄熟したユズを使う。たいがい塩雲丹と同じようなガラス瓶に入って売られてます。

大変辛味と塩気が強いので、ほんの少しずつ使うものです。一瓶あれば数年保つ(笑)。七味唐辛子(そう言えば、福岡では七味より一味の方が一般的みたい。うどん屋に置いてあるのもたたいてい一味唐辛子だけだったりします)やわさびが使える場面ならたいがい使えるんじゃなかろうか。つまりはテーブル用の調味料というかスパイスといった役どころで、少量でも柚子の香がぱっと立っていい感じ。湯豆腐なんかの鍋物のポン酢の薬味というのが最も一般的な使い途だろうけど、塩焼鳥とか、あるいは白身魚の和風カルパッチョにもよろしいです。天ぷらに添える抹茶塩の代わりにもできるんじゃないかな。前々回も書いたけど、夏ならツルは素麺もこれがなくてはダメです、きっぱり。

 

ツルの友人に料理の得意な新潟出身の男がいて、新潟の「かんずり」なる調味料をもらったことがある。やはり「何にでも合う」系の、柚子胡椒によく似た香辛料です。こちらは基本的に赤い。秋口に収穫した赤唐辛子をまず塩で下漬けして、それを雪国のこととて冬の最中に数日間雪の上に晒す工程が入るので、「かんずり」の名前もそこから来ている(かんづくり → かんづり?)のだと思います。山菜などを刻んで入れたバージョンもあり。

 

似ているとは言え、大きく違うところもあって、それはまず、かんずりは発酵食品であるということ。柚子と唐辛子と塩までは材料も同じだけれど、かんずりには米糀が入る。初めて味わった時ツルは、なるほど確かに柚子胡椒に糀が加わった感じのマイルドな風味ぢゃわいと思いました。ま、柚子胡椒の方がストレートに「柚子&唐辛子!!」なわけ。

ほんとは、この系統の食品は日本各地で北は青森から南は沖縄まであって、何らかの形で糀/麹を用いるものがほとんどなので、これが加わらない柚子胡椒の方が変わり種のようですが。
作る時期も、青柚子と青唐辛子を使う関係上、柚子胡椒では夏から仕込みが始まるという点が違います。

 

こうして見ると、北国のかんずりの方がだいぶ南国の柚子胡椒より手間がかかっているみたい。3年も熟成させて、最後にもう一度寒気に当てて完成するというんだもん。柚子胡椒は割合簡単に自家製も作れるようです。

 

今回調べていて初めて知ったけど、「かんずり」は新潟県妙高市の「有限会社かんずり」の登録商標なんだそうな!!柚子胡椒が各社から競って販売されているのとはやはり対照的です。

2021年1月 2日 (土)

【新年特別企画】非にして非なるもの - 東京 vs 福岡:二驚

(大晦日から続く)

 

福岡に都落ちした😆ツルの感じてる文化ギャップ、第二弾です。博多の正月らしく、鰤雑煮などいただきながらものしてまいりませう。

 

・ウーロンハイが飲めない
そうなんですよ。ツルは基本的に左党なので、会社帰りにどこぞの店で飲んだりすることは週に1、2回はあるわけです。ちょいと一杯ひっかける、というやつ。コロナのせいで隠れ家的飲み屋の新規開拓にもだいぶ遅れが出ましたけどネ😄。
でだ。生ビールの次は何を、となると、平日なんかじゃ日本酒までいくことはさすがにあまりなくて(地酒も好きですが)、東京時代はご多分に漏れずでハイボールとか酎ハイとかのお手軽なところを注文したりしていたわけ。青リンゴサワーとかカルピスサワーとかグレープフルーツハイとかも飲まないじゃないけど、甘くないウーロンハイも選択肢の中には常に入っていた。

 

ところが。福岡だと焼鳥屋や海鮮居酒屋なんかで、ウーロンハイを置いてないところがとても多いことに気づいた(ハイボールはさすがに必ずあるが)。半数を軽く超える印象。コンビニのお酒コーナーにも、ウーロンハイや緑茶ハイの類はまず見かけない。

もちろん、九州だから焼酎を頼む人はとても多いです。てかそれが基本。でもそれはお湯割りが王道なわけ。もちろんサワー類もあるけれど、それは女性のための飲み物という役割で早い話がジュース感覚。女の子は甘いお酒が好きでしょとか、大人の男は焼酎を白湯または水以外のもの --雑味のついた-- で割るものではないといった考えが支配しているように思う。男尊女卑の伝統がこんなところにも残っているのだよ。酒に対する豊かな思考じゃないですけどね。

家の近くのある焼鳥屋でウーロンハイ頼んだら(メニューにはなかったけど)、若い男の子の店員が年上のお姉さん店員に小声でこっそり「ウーロンハイってどう作るんですか」って訊いてたのには笑った。

 

・「お一人様お断り」の店が多い
たとえ堂々とそのように謳っていなくても、「今日は予約で一杯ですので」「混んでいるため料理をお出しするのに15分ほどかかってしまいます」など様々の理由をつけて一人客 --特にツルみたいな熟年男性の-- を追っ払う店はよくある、もちろん東京だってどこだって。しかしその比率が確実に高いと思う。言い換えれば福岡の方が実は店の敷居が高いのだ。
これは一つには東京の方が店の数が多く競争が激しくてそんなことは言っとられんということと(新大久保の焼肉屋なんて無料サービスメニューをがんがんつけてきますよね)、もう一つ、東京の方が未婚・晩婚・非婚の率が高い(ほんとにそうかどうかは知らない。ただし初めから「ほんになんもねえところだで嫁っこの来手がねえだ」みたいな田舎のことは念頭に置いてない。悪しからず)からお一人様需要を取り込んだ方が売上拡大につながるということだと思っていた。
一方で、福岡も大都市ではあるんだから出張者や旅行者も多くいるわけで、お一人様ってそういう風に見られがちな気はする。ツルは初めてのお店でも割と話をする方ですが、「40年ぶりに戻ってきて・・・」という話をすると、大将から「ご出張かと思いよりました、東京の人はやっぱり話し方がパリッとしとんしゃあですけんね」などと言われたりします。こっちは博多弁話してるつもりなのに、何かしらやはり違うんでしょう。

 

しかし、こうした認識自体、ちょっと違うみたい。そもそも福岡では一人で外に飲みに行くという習慣がほとんどないようなんですよ。外飲みだったらグループで。だけど晩酌するなら何か買うてきて家でやりゃあいいやん、そっちの方が安かよ、となる。これはいろんな人に聞いてみてわかってきたこと。だから、「お一人様NG」=「流行っている店」「計算高い店」という単純な図式でもないように思う。あ、ひょっとしたら屋台はまた別なのかもしれませんが。

 

ついでに言わせてもらうと、でもそういうのってやっぱり商売上手とは言えんよな、って感じ。一人客って基本的に会話しないで「飲み」「食い」だけをずっと繰り返してるから、実は客単価高めになるんじゃないん?ハーフサイズ作ったりするのってそんなに手間ですか?客あしらいが面倒?
それに、高齢化社会という中で捉えれば、配偶者に先立たれた単独世帯の高齢者も必然的に増えるわけでしょう(施設入り、というところはおいといて)。「一人暮らしのお年寄り」というと低所得で病気がちなイメージだけど実際にはそうでもないわけで、元気なんだけれど、経済的に余裕はあるけれど毎日の食事作るのが面倒という層も一定数いるはずだよね。そこを取り込めないの?お酒をたくさん飲んでくれなきゃ儲けになりませんか?食事の宅配サービスやファミレスばかりにこのビジネスチャンスを与えておくわけ?とは思う。

 

・居酒屋で靴を脱ぐところがやたら多い
酒場ネタが続きますが、さほど広くない店でも入り口に下足箱が置いてあることがわかってきた。いやむしろ、狭い方がそうなのかな。広いところだとカウンター席+小上がりの座敷が標準。カウンター+テーブル、は少な目。

会社の近くに早朝からやってる「古民家パン屋」があるんだけど(実はさほど「古民家」でもないし値段はお高め、イートインあり)、そこも脱いでスリッパはいて店内に上がるので初めはちょっとまごついた。どうやら、「店内で飲み食いする」≒「靴を脱ぐ」という衛生感覚なんじゃないかしらん。さすがにコンビニのイートインでそんなところは見つけていませんが。

これ、慣れるとそっちの方が確かにくつろげるんでしょうが、初めての店にふらりと入ってみるか、なんて時にはちょっと引けちゃいますね。

 

食や酒ばかりで終わるのも何なので、違う分野からも1点だけ厳選してと。

 

・過剰な婉曲表現が生きている
いつ頃のことだったのだろう、もうよく覚えていないほど昔だけれど、お店なんかで「こちらが○○になります」とか、「○○でよろしかったでしょうか」とか、「1万円からお預かりいたします」とかの言葉遣いがだんだん増えてきて、またそこに対して「それって変」という動きも出てきたということがありました。「バイト敬語」などと言われたアレです。ツルが社会人になってからのことだと記憶しているから、バブル崩壊後の(話が古過ぎるわ)東京に生きていた時、ということになる。

ツル自身、そんなのは「こちらが○○です/でございます」、「○○でよろしいですか/よろしゅうございますか」、「1万円のお預かりから○円のお返しになります」という方が洗練された物言いだろと思ってたクチだけどね。必要以上に「○○させていただきます」とするのも嫌い、「本日は休業とさせていただきます」とかね。歴史のない言葉に阿り諂う必要なんて、ないのよ。言葉おたくなところがあるから、ツルは敬語で悩まされた経験はまずない。

 

そうだ、こうした流れを受けて、文科省あたりが「日本語の敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語のほかに丁重語やら美化語やらがあります」なんて言い出したんだ。調べてみると、同省下の文化庁の文化審議会が「敬語の指針」でこれをぶち上げたのが2007年。「ら抜き言葉」「さ入れ言葉」問題の少し後に出てきた話だったかと。

 

でもいつしか、そうした言葉もあまり耳にしなくなっていった気がする、東京では(個人の感想です)。「正しく美しい日本語かどうか」というより、「そーゆー言葉使ってると馬鹿っぽく見られるしぃ」的な観点じゃないかと。

ところが、福岡に戻ってきてから、そういう言葉遣いを耳にすることが多いんだよねーー。東京でこんなのを耳にしてたらツルはきっと引っかかりを覚えたはずだけど、そんな経験は久しくしていなかったから、よけい耳障り。やはりそこは何らか文化のギャップがあるんでしょう。福岡では「あー、コイツあったま悪ぅー」と感じることがしばしば(こらこら)(福岡ネガティブ情報その3)。

 

それでもツルはこの街で生きていくんだよぉ。

2021年1月 1日 (金)

【新年特別企画】非にして非なるもの - 東京 vs 福岡:一驚

令和3年、🎍明けまして🎍おめでとう🎍ございます🎍。

 

愚blogではこれまで何度か、「似て非なるもの」Subseriesも書いてきてるわけですが(実は【2011.04.11「上新粉 vs 白玉粉 vs 道明寺粉」】が愚blog一番のAll-Time人気ネタだったりする😅)、その裏企画というわけで、これいきましょう。

 

40年ぶりのUターンから1年余りほど経った今、ツルがリアルに感じてる東京🗼🌸と福岡↪🗾の違い。
こうしたネタはネット上に腐るほどあると思うけど、ツルの高い知性と研ぎ澄まされた感性による日常の生活感覚的ギャップ、その文化的考察です(息を吐くようにウソをつく)。言っとくけど「首都 vs 地方」みたいな小難しい話じゃありませんよ今回。年の初めのやりっぱなしの書いて出しでアップロード📤💦。

 

・福岡の食いもんは甘い
とにかく甘い。スーパーの惣菜コーナーで、飲み屋のメニューで、何でも甘い。蕗の煮物なんて砂糖漬けのアンゼリカかと思うほど甘い(ちょっと大げさ)。魚の南蛮漬けもチキン南蛮のタルタルソースもダダ甘い。酢の物すらしっかり甘い。摂取カロリーが気になるぐらい。
九州の醤油が甘いというのはよく言われるところで、それは10年ほど前からツルも帰省の度に感じるようになっていた。漬物にちょっとかけた醤油の甘さにうわっと驚いたりとか。長年の東京暮らしに舌が馴染んじゃったんでしょう。九州の中でも南に下れば下るほど醤油の糖度は高まるんだそうな。でもそんなことに限った話じゃないんです。とにかく何でも甘い。甘くないのはカレーぐらい(そうとう誇張)。
けどこれ、なぜかツルはUターン直後より現在の方が強く感じる。あと1年もすればまた何も思わなくなるんでしょうなあ。それと、福岡を離れて1981年に京都に住み始めた時も、その後1987年に東京に住み始めた時も、これと逆のことを感じたりはしなかったのに、というところがまた不思議。

 

この文脈でいうと、先日、勤め先の社長と話をしていて、「福岡のお店は意外にあまり日本酒置いてないですねえ」と言ったら、「福岡の食べ物は甘いでしょう、それを焼酎のお湯割で洗い流すんです」と言われていたく納得。「甘い」、まずありき。大昔に聞いた話のような気もするけれど、すっかり忘れていた。(今度の会社は皆言葉遣いがめっちゃ丁寧なんで、そこも驚き。前の会社は上が下を呼ぶ時は呼び捨てが普通だったので。)

 

・コンビニの肉まんに酢醤油がついてくる
ツルが子供の頃は、豚まん(これを肉まんと呼ぶか豚まんと呼ぶかについては別途本Subseriesでの検討に値する重要な Subject である)はお母さんがたまに買ってきて蒸し器で蒸かしてくれて食べるものでした。コンビニの中華まんなんてもちろんなかった。というより、コンビニエンスストアが初めてできたのは高1の時。中学時代の友達がバイトしてて、「スーパーやろ?」「違う、コンビニエンスストア!」「何やそれ、長ったらしかー!!」なんて会話したのを覚えてます。
で、そういう時は酢醤油がつきものだった。たまには辛子も(そう言えばチューブ入りの辛子やわさびや生姜もまだなかった)。京都に進学した頃はもちろんコンビニは普通の存在になっていて、いつしかレジ前に中華まんだのピザまんだのの加熱ケースが幅を利かすようになったけれど、ごく初期を除いて酢醤油つけるってことはないわけです。ツルはその頃、「酢醤油つけなくてもおいしいように商品開発したんだ」と思ってました。
それがこちら福岡だと、今でも酢醤油と辛子の小袋がついてくる。正直ちょっとうざいんですけどね、最近コンビニでつけてくれるペーパータオルと同じぐらいに。

 

・カレー/シチュー用の豚肉は定番商品ではない
スーパー編です。東京人は豚ばっか食ってる、というのは関西人がよく東京もんを見下すところですが、ツルは基本、ポークがお好き。
昔、口内炎がなっかなか治らなかったことがあって、ドラッグストア行ってチョコラBB薦められて飲んだらほんの数日で完治し、ついでに目の充血やかゆみの症状(効能書きにも載ってます)があったのも嘘のように解消した。あまりによく効いたので、それまでの自分の食生活をいたく反省したことでした。で、ビタミンB群を積極的に摂るようになっわけ。豚肉はその筆頭。ニンニクやネギ、タマネギなどと一緒に食べるとビタミンBの吸収率が6倍に、なんて古い新聞記事をスクラップしてたりもします😅。ご存じ?ビタミンB1剤の「アリナミン」ってネギ属の属名 Allium に由来するんだぜ。
で、豚汁(これをとんじると呼ぶかぶたじると呼ぶかについては別途本Subseriesでの・・・後略)なんか冬場はよく作るし、カレーやシチューも豚肉で作ることが割に多い。ところがそういうモードの日にスーパー(そう言えば、「まいばすけっと」みたいなミニスーパーはまだ福岡にはないんだよなあ)に行くと、それ用の角切り肉が置いてなかったりするんです。これはいかんねー💢。煮豚・角煮用のでっかいブロックなら常にあるんだけどね。多分これ、福岡ではチキン --古風に言うと「かしわ」-- に走りやすいということだと思う(ご当地A級グルメ「鶏の水炊き」なんてのもあるし)。

 

・チョリソーは定番商品ではない
同じ意味合いで言うと、チョリソーがなかなか売ってないことにもびっくりした。他のいろいろなソーセージ --あらびきとか皮なしとかハーブ入りとかチーズ入りとか何とかかんとか-- はいつもあるのに。貧しいわ(T^T)(福岡ネガティブ情報その1)

 

・長年離れているうちに、東京 ↔ 福岡/九州で均質化したものももちろんある。
九州の高菜漬けとその油炒め、高菜ライス/高菜チャーハンが全国区になったのはもう30年ぐらい前のことだと思う。昔は「漬物を油で炒めるの?!?!」とドン引きされたものです。北部九州で広く漬け菜として栽培されるタカナ/Brassica juncea var. integrifoliaはアブラナ科のカラシナ/Brassica juncea var. cernuaの変種/varietasで、実は中国のザーサイ/搾菜/Brassica juncea var. tumidaも「コブタカナ/瘤高菜」と呼ばれる近縁種です。食感が似とるっちゃ似とるわね。タカナは冬場に大きな葉を広げ、寒さに当たると独特の赤紫色を呈するので、慣れれば畑に植わってるのを見ただけでも一目でそれとわかります。産地でいうと、福岡県筑後地方の「三池高菜」より、残念ながら熊本県阿蘇山の「阿蘇高菜」が断然うまい、てか上等。だって三池高菜ってスジスジが歯に挟まるっちゃもん(福岡ネガティブ情報その2)。阿蘇高菜は少し小ぶりで、歯触りが丁度いいんです。福岡空港や博多駅でお土産にお求めの際は是非とも「阿蘇高菜」とご指名を。
因みに、Wikipediaにこんなことが載っていた。

 

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大牟田市が発祥といわれる高菜の油炒めは三池炭鉱の労働者たちに愛され、現在でも地元で愛されている。
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ああ、そうだったの。重労働でカロリーが必要だったんでしょうねえ。もっとこのネタは売り出していいような気がするけど。
福岡県の最南端、熊本県荒尾市と接する大牟田市は、少年期のツルが小4から中1まで過ごした場所。江戸中期に一時幕府の天領となっていた歴史もあってか、校区の中には「天領町」「右京町」などという床しい地名もあった。Uターン後、まだ一度も訪れていない。家の庭のあのツツジの巨木はまだあるのだろうか・・・。

 

遅れてきたのが柚子胡椒です。柚子胡椒というものを初めて食したのは小学校高学年か中学校の時だったかと思う。父親の友人の大分別府の方から「何にでも合う」系の薬味としていただいたんだよな。ツルは夏場の素麺のつゆに入れるのも生姜じゃなくてこれです。あと、庭に自生しとるww茗荷と紫蘇も欠かせん。

えーっと、これも20年ぐらい前かな、ひいきにしていた世田谷の隠れ家飲み屋で大将と話していて、「柚子胡椒?粉になってるんですか?」と聞かれてこっちがびっくりしたことがある。ペーストですペースト。「胡椒」と言った瞬間にトウガラシ/chilli pepperじゃなくてコショウ/pepperを思い浮かべる人は多かった。ユズの果皮を乾かして粉にしてコショウと混ぜるイメージですかね。(九州で唐辛子のことを「こしょう」と呼ぶ風習はツルの親世代辺りまで残っていたように思う。沖縄の液体スパイス「こーれーぐーす」も「高麗胡椒」で、島唐辛子を泡盛に漬け込んだものだ。)

今や、東京のコンビニのおでん買うときにも「辛子にしますか味噌にしますか柚子胡椒にしますか」と聞かれるようになったので、出世したなあと思う次第。
後はまあ、ピエトロ(本社は福岡市中央区天神)のドレッシングとかマルタイ(福岡市西区今宿/いまじゅく)の棒ラーメンとかかいな。あ、辛子明太子と長浜豚骨ラーメンは別格ね(もつ鍋は苦手なので除外)。ジャイアントPRETZの明太子バージョン、普通に酒のつまみにうまいので時々会社帰りに博多駅の土産物屋で買うとります。大分麦焼酎の麦茶割りがすすむじぇ。

 

(続く)

2020年8月 8日 (土)

似て非なるもの - POP vs POS(あるいは Initialism vs Acronym)

お久しぶりの本Subseries、ほぼ1年ぶりに登板ですが・・・。

 

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「POP」と言っているが実際には「ポスター」だと思う
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でもPOPとPosterの違いを説いて回りたいわけじゃない。今回は言葉尻の問題です。

 

この場合の「POP」とは、「ポンと鳴る」(e.g. “popcorn”)や「飛び出る」(e.g. “pop-up book”)等の “pop” や、“popular” を略した “pop”(e.g. “pop music”)とは関係がなくて、“Point of Purchase” の abbreviation。もともとは「購買時点」の意味しかなくて “advertisement” が省かれてるわけです(そもそもPOPとは何ぞやという方はどこぞのサイトでお勉強なさってからまたいらして下さい;傲然)。

 

厳密には、一口に abbreviation と言っても、これを「ピーオーピー」と発音すれば initialism、「ポップ」と発音すれば acronym と呼ばれることになる(cf.【その84】)。

 

ア、そっか、“COVID/Coronavirus Disease” も acronym なのか。浸透してないけど。2019年に報告され2020年に(から?)世界的に猛威を振るったCOVID-19のみならず、2000年代の “SARS/Severe Acute Respiratory Syndrome/重症急性呼吸器症候群” も2010年代の “MERS/Middle East Respiratory Syndrome/中東呼吸器症候群” も、コロナウイルスにより引き起こされるものである。これらもいずれも acronym 扱い。

 

別の例を挙げれば、英語で “AIDS/Acquired Immunodeficiency Syndrome/後天性免疫不全症候群” を「エイズ」と発音するのも同じ。フランス語やスペイン語では語順が変わって “SIDA/Syndrome d’ImmunoDéficience Acquise/Síndrome de InmunoDeficiencia Adquirida” となるので、これらは「シダ」と読むのだと思う。とは言え、スペイン語あたりじゃ “AIDS” の方が通りがいいのじゃないかと思ったりする。フラ語は・・・自国語尊重主義はまだ続いているだろうから、やっぱり “SIDA” なんだろうな。

 

大昔、中学時代だったか高校時代だったか、acronym作りに長けているのはフィリピン英語だと新聞で読んだことがある。確か、初めから acronym がうまい具合に(既存/新規の)単語になるようにフルスペルの正式名称を考えていく、とかいうのじゃなかったっけ。適当に母音字を入れるようにするのがミソです。
無論、英語としては initialism の方が正統のはず。でも、社会の認知度が上がるにつれ、acronym に変わっていったりもするんだろう。

 

ツルの仕事絡みで言えば、10年ほど前盛んに喧伝されていた、“IFRS/International Financial Reporting Standards/国際財務報告基準” というのも、初め initialism だったのが acronym に鞍替えしちゃったようです。IFRSとは、“IASB/International Accounting Standards Board/国際会計基準審議会” による会計基準のこと。昔からある “IAS/International Accounting Standards/国際会計基準” まで含んだ概念として捉えられることもある。

acronym としては、初め「アイファース」と読んでいたのが、four letter word の連想を呼ぶという話になって、後に「イファース」と発音するようになった。これ、ツルは「屁をひる」の意味の “I fart” のことだと思ってたんですが、調べてみるとちょっと違ってました。
2009年5月に出た『国際会計基準IFRS完全ガイド ― 経営・業務・システムはこう変わる!! 』なるムック本にこんなことが書いてあるそうな。

 

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IASBでは、IFRSを「アイエフアールエス」または「イファース」と読んでいる。
山田氏[引用註:IASB理事 山田辰巳]によると、当初は「アイファース」と読んでいた。ところが、2002年に国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)ができた際に、その略称を「アイフリック」と読むと、禁句である「I XXXX you」に語感が近いため、「イフリック」と読むことにした。これに合わせて、IFRSの読み方も「イファース」に改められた。
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あー、そのものズバリ感の「I f_ck you」の忌み言葉だったのかぁ。

 

長い長い前置きはこのくらいにしてと。

「POP」に似た言葉には「POS」というのもあって、「POSシステム」とかいうあれです。こちらは “Point of Sale” で、「購買時点広告」に対して「販売時点情報管理」。アナログじゃなくてデジタルの世界の話。

 

因みに「デジタル化」を英語でどう言うかというと、“digitization”、“digitalization”の両様がある(後者は少なくとも動詞では “digitalise” と綴られることもあるらしい)。もっとも、この2つの語に全く差異がないわけではなく、前者は主に、アナログで作られた情報のデジタルデータへの変換といったレベルの内容を、後者はより高次の、デジタル技術の利用による事業機会や産業構造の変化なんぞを指すようです。つまりは後者は「トレンド」あるいは「テーマ」の問題なんだろう。

 

1970年代辺りまでの古い辞書には、“digitalize” の項には「~をジギタリス化する(薬学)」という説明だけが載っていた。ジギタリスとは植物のキツネノテブクロ(英名の “foxglove” の直訳とされる)のことで、花を楽しむ園芸植物であると同時に、強心剤として用いられた薬草(従って毒草でもある)。

これの属名がDigitalis(新エングラー体系のゴマノハグサ科 → APG体系のオオバコ科)なわけです。Wikipediaのジギタリスの項には;

 

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学名のDigitalis(ディギターリス)はラテン語で「指」を表すdigitusに由来する。これは花の形が指サックに似ているためである。数字のdigitやコンピューター用語のデジタル(ディジタル、digital)と語源は同じである。
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という記述がある。
「ジギタリス」という花のことは子供の頃から知っていたけれど、社会人になった後に「デジタル」と同源だということに気づいて、随分意外な気がしたものです。

 

ええと、話戻って。ツルが社会人になりたての80年代後半頃、新人研修で「お店のPOPの書き方」を習ったことがあって(馬鹿にしてたけど、その後の人生で案外役に立ったみたい)、その時確か「前はPOSと呼んでいたが、それは違うものを指す言葉として既に存在しているのでPOPと呼ばれるようになった」旨の説明を受けたように記憶している。(ひょっとしたら逆だったかもしれない。でももうどうでもいいぐらい昔の話。)

ほぼフルデジタルになった今でも、手書きPOPというものの効果が販売現場で信奉されているのはちょっと面白いけど、実際には「当店 No. 1 人気!!」と書いただけなんてものも多いから、どれほどビジネスに好影響を与えているのか、そこは甚だ疑問です。

 

ああ、本題がすっかり脇に回っちゃった。まいっか。

2019年9月17日 (火)

似て非なるもののおまけ - サンマ王国の凋落

(承前)

 

前回挙げたサンマの記事は3月の話だったけれど、それから半年経って次の報道が出ていた。やっぱりサンマもさっぱり不漁という不景気話で。

 

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(2019.09.07 朝日新聞 抜粋)

 

秋の味覚「サンマ」の漁の出足が、大不漁となっている。今秋に日本近海に来遊する量の予測からその恐れは出ていたが、現実になってきた。スーパーや飲食店はサンマの確保に四苦八苦し、店頭の値段も上がって食卓に影響が出ている。
サンマの水揚げ量日本一を誇る北海道・根室の花咲港。秋の漁が8月上旬、小型船を皮切りに解禁、同月16日までに戻ると衝撃が走った。水揚げはほぼゼロ。22日に中型船が実質的に「初水揚げ」をしたが、その量は17トンで、昨年の120トン強を大きく下回った。
26日に大型船の帰港が始まったが、昨年のこの時期の量には及ばない。サンマ漁船の古林 勲機関長は、「魚群がなかなかいないうえ、魚体も小さめ。例年になく漁は厳しい」と話す。
毎年恒例の「根室さんま祭り」にも暗雲が漂う。9月21、22日に開き、会場で箱詰めの生サンマを販売して開催費に充てる計画だが、不漁で必要量を確保できるかがわからない。実行委員会の関係者は、「来年以降は開催時期を後にずらすことも考えないといけない」と頭を抱える。
宮城県気仙沼市の気仙沼港では8月27日に初水揚げがあり、60トンを超えた昨年の1割強の8トンだった。6割が130グラム未満と小さい魚が多い。
東京・目黒駅前で9月8日に開かれる「目黒のさんま祭り」は今年、炭火焼きのサンマを冷凍物にすることに。毎年生サンマを送ってくれた岩手県宮古市が、不漁で祭りに必要な7千匹を確保できなかった。
祭りのサンマは、「専門店や料亭でもなかなか味わえない『トップクラス』の味」と新鮮さを売りにしてきた。急きょ、北海道産への切り替えも検討したが、脂の乗りが良いものを集められなかったという。祭りの実行委員長の中崎政和さんは、「今回で24回目だが、こんな事態は初めてだ」とため息をつく。
同県大船渡市で8月25日にあった恒例の復興支援の恩返しイベントでも同様に、炭火焼き用の生サンマが冷凍になった。生サンマの販売も、「後日発送」とした。
漁業情報サービスセンターによると、8月に全国で水揚げされたサンマは約1千トン。約9千トンだった昨年どころか、48年ぶりの大不漁だった2017年(約7千トン)にも届かない。市場での平均価格(1キロあたり)は642円。昨年(316円)の倍に跳ね上がった。
渡邉一功・漁海況副部長は、「今秋のサンマ漁の出足は、過去約50年間で最低水準とみられる」と話す。
08年は34万トンあった日本のサンマの水揚げ量は、15年以降は10万トン前後と不漁続きだ。水産庁は、日本近海の海水温上昇で、温かい水を嫌うサンマが近づかなくなったことに加え、中国や台湾の漁船による公海での漁が本格化し、資源が枯渇していることが原因とみている。
国の研究機関「水産研究・教育機構」の予測では、今秋に日本近海に来遊するサンマの量は、比較できる03年以降で17年に次ぐ少なさだった。このため大不漁の恐れが出ていたが、予測通りの出足になっている。
不漁続きの近年は、漁場が従来よりも沖合にできる傾向がある。水研機構は、9月下旬になれば来遊量が増えると予想するが、今年の漁場は近年よりもさらに沖合になると見ている。
沖合だと燃料代がかさむうえ、往復に時間がとられ、漁の時間が短くなる。鮮度の維持も課題になる。冷凍設備が無く、沖合で漁ができない小型船も少なくない。同センターの渡邉副部長は「9月下旬以降も厳しい水揚げの状況は続くのではないか」と予想する。

 

〔後略〕
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出た。サンマの話題になると必ずと言っていいほど書かれる「目黒のさんま」ネタについては、割と知られていることじゃないかと思うけど、目黒界隈で焼きサンマがタダで食えるお祭りは2つある。2019年でいうと・・・;

 

9月8日(日)
第24回目黒のさんま祭り
@目黒駅前商店街(品川区上大崎二丁目)

※同日は深更から翌未明にかけて台風15号が首都圏を直撃したけど、朝から夜半までは雨も基本的に降ってなかったんです。

 

9月15日(日)
目黒のさんま祭(第43回目黒区民まつり(目黒のSUNまつり)の一環として)
@田道(でんどう)広場公園(目黒区目黒一丁目)

※目黒区民センターに隣接する公園で、目黒駅からは700mほど離れている。

 

の週替わり、目黒駅(品川区にある)の東側(山手線の内側)と西側(同 外側)に分かれて。後者はついおとといの開催でした。

 

これらのイベントは以前から岩手県宮古市(上大崎方) vs 宮城県気仙沼市(目黒方)の漁協同士の面子をかけた代理戦争でもあったけれど、さらにいろんな思惑が絡んできて、だんだん浅ましさを増している気がする。

 

上大崎方では;

・和歌山県日高郡みなべ町産の備長炭
・徳島県名西郡(みょうざいぐん)神山町産のスダチ
・栃木県那須塩原市産の辛味大根の大根おろし

のご当地産品がお約束ごとになってきているらしい。

 

目黒方でも;

・大分県臼杵市産のカボス

が添えられるとか。

 

実は、目黒方の「目黒のさんま祭」(ああ、ややこしいわ)でも一昨年は冷凍サンマを使うことを余儀なくされたので、上記記事がそこに一切触れていないのは不自然に思える。今年も上大崎方同様、冷凍ものかと思っていたら、2日前の13日に気仙沼で水揚げがあって5千匹の生サンマを出せたそうです。

 

ついでに言うと、「大型船による通年操業」の件について何も書かれてないのも不思議。

 

企業城下町化による地域振興が常にリスク含みで捉えられる(cf. 2018.06.09【その213】・2018.06.11 「平成とともにパジェロ、去る(?)」)のに比べ、農林水産業や手工業などの伝統産業によるそれは安心感をもって受け止められやすいだろう。しかし、それも・・・。

 

もう、無理してやるのなんかやめりゃいいのに、古典落語の馬鹿噺に便乗した都会の祭りとか。資源枯渇が叫ばれてる時に無料で食わせたりするのってどうなのよ(試算すると、2つの祭り合計で1.5トン程度にはなる)。この7月も環境省が「土用の鰻はご予約を」つっただけで大炎上したじゃん。
結局のところ、「獲る漁業からつくる漁業へ」などと謳ってみても、水産業においては自然を手なずけて利用する度合いが農林業に比べ格段に低いということなのだろうなあ。

2019年9月16日 (月)

似て非なるもの - ズワイガニ vs タラバガニ vs ケガニ:二杯目

(承前)

 

カニだけじゃないよねえ。例えば駿河湾の特産、サクラエビも不振を極めている。2018年の秋漁は全面休漁となり、2019年春漁は解禁されたものの漁果は振るわなかった。

 

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(2019.06.01 産経新聞 抜粋)

 

記録的な不漁が続く駿河湾で水揚げされるサクラエビ漁をめぐり、静岡県桜えび漁業組合は1日、当初の予定を5日前倒しし、今年の春漁を5月31日に打ち切ったと発表した。産卵エビが増加したことが理由で、資源保護を優先した。総水揚げ量は、春漁として記録が残る平成元年以降で最低となった昨春の312トンを大きく下回る85・3トンにとどまった。

 

〔後略〕
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ここも1994年から毎年5月3日に開催されている「由比桜えびまつり」が今年は中止(2014年も中止されており、好不漁の波が激しくなっている様子;cf. 2014.05.28「公募ガイダーのモチベーション:2」)。代わりにこの日は、静岡市清水商工会由比支所が中心となって新たに「由比いいもんまつり」を開いた由。

 

スルメイカもシラスウナギも記録的不漁が続く。

 

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(2019.02.19 日刊水産経済新聞 抜粋)

 

JF全漁連のまとめによると、昨年の全国のスルメイカの水揚げは生鮮、冷凍合わせて4万1697トンと全漁連の1984年以降の統計史上最低だった前年を23%も下回り、ワースト記録を更新した。平均単価は1%高のキロ567円と、不漁の“圧力”に抗しきれず、2年ぶりに上昇に転じた。
国内スルメイカ漁はこれで5年連続の前年割れ。各年の減少幅も大きく、2014年に14万トン超あった生産規模は、5年間で3分の1以下に縮小した。

 

〔後略〕
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(2019.03.22 株式会社ニューラル サステナビリティ研究所 サイト抜粋)

 

鹿児島県と宮崎県で3月19日までに、今漁期のニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)漁が終了した。

 

〔中略〕

 

鹿児島県では、2018年12月10日に漁を解禁し、3月10日に終了。許可採捕量1,869kgに対し、実績は136.2kg。前年同期比に比べ7.2kg増えたが、過去5年で見ると2番目に少ない。宮崎県でも3月19日に漁を終了し、許可採捕量500kgに対し実績は73kgで、統計開始した1994年度以降最低だった。うなぎ養殖漁の県別生産量は、1位鹿児島県、2位愛知県、3位宮崎県で、1位と2位の県ですでに深刻な不漁が確定した。他県では4月まで漁が続くが、高知県、静岡県、千葉県、茨城県、徳島県でも、今年は大幅な不漁になる見通し。

 

〔後略〕
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どうも1ヵ所記載ミスがあるようだけど。

 

「釘煮」で知られる春の味覚イカナゴ(半年近く夏眠する魚である)も各地で大不漁と報じられている。

 

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(2019.02.17 兵庫かわら版 抜粋)

 

〔前略〕

 

平成31年2月15日兵庫県水産技術センター(明石市)は、イカナゴの新子(稚魚)漁が、兵庫県内の瀬戸内海全域で不漁となる見込みと発表しました。
不漁の予報は3年連続です。
兵庫県のイカナゴ漁獲量は、平成14年頃までは1万5千トンから3万トン程度で大きく増減を繰り返していたのですが、平成15年以降は1万トン程度で推移。
一昨年、昨年は極端な不漁で、それぞれ852トン、1,621トンと、極端な不漁になっています。

 

〔後略〕
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(2019.03.12 みなと新聞)

 

伊勢湾と三河湾のイカナゴ(コウナゴ)について、愛知、三重両県の船びき網漁業者が11日、今期の漁を見合わせることを決めた。禁漁は4年連続。試験びきでイカナゴがほとんど水揚げされず、今年の操業もできないと判断した。
両県の水産試験場が1~2月、両湾で行った調査では、コウナゴがほとんど採取されなかった。3月9日に3地点で行った調査では、約20分間で2~48尾しか獲れなかったのを受け、漁業者は正式に漁を断念した。
両県では例年2月下旬~3月に漁が解禁し、4月まで食用、5月まで生餌用として水揚げされていた。しかし2016年に稚魚が激減し、初の禁漁となった。親魚の保護により資源の回復を図っているが、「湾口付近にある渥美外海に近年、暖水流が流入し、冷水で生息するイカナゴの親魚が増えない環境が続いている」(愛知県漁業生産研究所)。
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(2019.05.09 みなと新聞)

 

福島、宮城県のコウナゴ(イカナゴ稚魚)漁が過去に例がない不振に見舞われた。福島県下で5月上旬現在まで初漁がなく、このまま終漁を迎える見通し。一方、宮城県では序盤から漁模様が上向かないまま先月27日までに約26トンで終漁。両県ともに過去最低の生産となった。
福島県は例年、3月下旬から4月初めの間に解禁、初漁がある。しかし今年は、4月に入ってからも漁期前調査で満足な魚群が見えない状態が続いていた。相馬双葉漁協は「調査に出ても手のひら1杯程度しか入らなかったという報告がある」と説明する。他魚種の操業を行いながら様子を見ていたが、「魚は今も見えていない。例年なら5月初めごろまでの操業で、このまま終漁となりそう」(相馬双葉漁協)。
既に例年7月ごろからスタートするシラス試験操業に向けた準備を進めているという。関係者は「コウナゴがなかったため、今年は6月からでも操業できるような体制をとる。操業時期は今月中旬に行う会議で話し合う予定」としている。
宮城県は4月2日の初漁が前代未聞の水揚げゼロとなり、同9日に100キロを水揚げしてシーズンがスタート。しかし、その後も漁獲がまとまらないことに加え、小サイズ中心の組成が続いた。大不漁だった昨年の825トンから97%も減少。「これほど少なく、激減したのは初めて。過去最低の水揚量だ」とJFみやぎの担当者は話している。
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そのシラスだって不安定な状況が続いているわけだが。

 

そんな中で禁断の舵を切ったのはサンマ。

 

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(2019.03.07 時事通信 抜粋)

 

水産庁は7日、大型船によるサンマ漁の通年操業を認めることを決めた。これまで一定期間のみとしていたが不漁が続いているため、柔軟な操業ができるよう規制を緩和する。これを受け一部の漁業者は、5~7月ごろに日本の沖合や太平洋の公海で操業を始める見通しだ。

 

〔中略〕

 

サンマ漁は例年7月ごろから小規模漁業者から始まり、大型船の漁はサンマが日本近海にやってくる8~12月に限定してきた。しかし、近年は不漁が続き、大型船の漁業者が通年操業を認めるよう同庁などへの働き掛けを強めていた。
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となると思い出すのは、1992年から3年間全面禁漁とした秋田のハタハタ。資源回復の成功例だぐらいに考えてたら・・・。

 

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(2019.03.21 秋田魁新報 抜粋)

 

秋田県や県漁協でつくるハタハタ資源対策協議会は20日、秋田市土崎港のホテル大和で今季のハタハタ漁を総括する会合を開き、2018年漁期(18年9月~19年6月)の漁獲量は実質的に漁が終わった2月末現在で605トンと、漁獲枠(800トン)の76%だったと報告した。前年実績の481トンを26%上回ったものの小型魚が多く、漁獲金額は1995年の禁漁解禁以降最低の3億3820万円にとどまった。県水産振興センターは「日本海北部の資源量は増加傾向にない。漁獲を抑える方策が必要だ」と訴えた。

 

〔後略〕
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空恐ろしい数字が並ぶ。ご当地物産で地域興し、どころではない。

一方で、従来は南方の魚のリスクという認識だったシガテラ中毒も、昔から普及している食用魚での発生(イシガキダイやヒラマサでの報告例もある)が増えてくるのではないかという気がする(注意すれば防げるはずのアニサキスなんかより、なんぼか深刻な問題だと思う)。
もう、海の底は狂っているのだろうか。80年代頃から囁かれていたことかもしれないが。

2019年9月15日 (日)

似て非なるもの - ズワイガニ vs タラバガニ vs ケガニ:一杯目

このところ【似て非なるもの】で食のネタを取り上げてるつながりで、今回は豪華食材の饗宴とまいります。カニ三昧の大ネタ(でも生物学的興味が中心、悪しからず。風味の違いなんてネット上に食傷するほど出てますから)。
どちらかというと北国の美味、冬の味覚という感じだけれども、南から見ていこう。まずはこれ。

 

【ズワイガニ/Chionoecetes opilio/snow crab】
短尾下目(カニ下目) - ケセンガニ科 - ズワイガニ属
山陰以北の日本海と東北地方からカナダまでの北太平洋、オホーツク海、ベーリング海に分布し、3種の中では最も深海性のようである。
♀は♂(大きい個体では脚を広げると70cmに達する)の半分程度の大きさしかない。♂の方が体が大きいというのは割と珍しいねえ(哺乳類あたりを除いて)。これは確か、♀は卵を産むようになるとそちらに養分を取られるので脱皮しなくなり、成長が止まるということではなかったか(cf. 2015.11.25「ご当地の魚に向かひて我物申す:二匹目」)。

 

より深い場所に棲む近縁種ベニズワイガニ/Chionoecetes japonicusも近年、ズワイガニの代用品から脱皮して資源価値が高まっている。山陰の香住漁港でいうカスミガニ、北陸の富山湾のアカガニはこれ。肉が柔らかくて加熱すると身が縮みやすいものの、生の甘味・旨味の成分はズワイガニに勝るなるべし。価格が安いこともあって、市販のかにクリームコロッケなどに入っているのも大抵こちら。
漁期は西と東で異なり;
富山県以西:♂は11月6日~3月20日、♀は11月6日~1月10日
新潟県以東:♂♀とも10月1日~5月31日
とかなり開きがある。北の方ではGW越しても食えるっちゃ食えるんですなあ。さらに、省令や自主協定により、各地の規制は細かく異なるようです。

 

さらに話をややこしくするのがブランディングの問題。高級食材たる故に格好の地域ブランドの対象となっており、雌雄のサイズが異なることとも相俟って、様々に名称がつけられている。

 

♂では;
マツバガニ:山陰地方
トットリマツバガニ:鳥取県
カスミマツバガニ:兵庫県美方郡香美町の香住漁港(カスミガニはベニズワイガニ(の♂))
シバヤマガニ:兵庫県美方郡香美町の柴山漁港
ハマサカガニ:兵庫県美方郡新温泉町の浜坂漁港
ツイヤマガニ:兵庫県豊岡市の津居山漁港
タイザガニ:京都府京丹後市の間人(たいざ)漁港
アミノガニ:京都府京丹後市の浅茂川漁港(アミノガニにおける「タイザガニ」はご当地唯一の底引き船「大善丸」に由来するとやら)
エチゼンガニ:福井県
カノウ(加能)ガニ:石川県(公募により命名、越前に対抗して加賀+能登)
マイセツ(舞雪)ガニ:秋田県男鹿市で12月25日~2月末日に水揚げされる♂のうち、800g以上で脚が全て揃っているもの
ホッカイマツバガニ:北海道、青森県、山形県、新潟県、富山県、ロシアで水揚げされる♂のズワイガニや♂のオオズワイガニ
と百花繚乱。
なんでも、所属漁港や漁船名まで記しタグを付けたりしてるそうな。農産物や畜産物のノリ🌀🌀。

 

なお、脱皮直後の♂はミズガニと呼ばれ、鳥取県ではワカマツバガニと呼ぶ。
♂に比べると♀は割と単純ですが、それでも;
オヤガニ:鳥取県・島根県
セコガニ:兵庫県
コッペガニ:京都府
セイコガニ:福井県
コウバコガニ:石川県
などの地方名を持つ。
さらには、秋田県や山形県などで本種をタラバガニと称する地域まである由。
ただ、ここで押さえるべきポイントは、「ズワイガニは♀も漁業対象となっている」こと。タラバガニやケガニでは(ベニズワイガニも)資源保護の目的で♀は漁獲禁止なので、別の名前がつくこともないわけだろう。

 

とても覚え切れまっせん・・・。乱立がかえってブランド力の低下を招・・・ああいやいや。

 

ズワイガニよりさらに二回りほども大型化するのがタラバガニ。

 

【タラバガニ/Paralithodes camtschaticus/red king crab】
異尾下目(ヤドカリ下目) - ヤドカリ上科 - タラバガニ科 - タラバガニ属
カニではなく超巨大ヤドカリであることはよく知られている。
見分けのポイントは、右のハサミが左より大きいこと、♀の腹部が左右非対称であること、そして何より脚が4対しかない(ように見える)こと。これは、第5脚が非常に小さくて鰓掃除専用になってるため。茹でる前の体色は、ズワイガニの暗赤色に対して暗紫色。
一般的なカニの「横這い」に対し、縦方向にも歩けるという器用者っす、ヤドカリだから。また、生臭いとしてカニミソが食用に供されることはまずないらしい、ヤドカリだから。
分布は日本海、オホーツク海、ベーリング海等の北太平洋や北極海のアラスカ沿岸で、バレンツ海でも1960年代の放流により、天敵のいない環境下で爆発的に殖え生態系を脅かす存在にまでなっている由。また、南半球のチリ、アルゼンチン付近にも生息しているらしい。タラバ鱈腹食いたきゃバレンツ海かガラパゴスを目指せ。

 

我が国での主な漁場はオホーツク海で、漁期は基本的に1~5月と9~10月だけど、これにはあまり意味がない。現在日本で流通しているのはほとんどがロシア産(通年漁獲だとか)、あとはアラスカかカナダのもの。「産地直送」と謳ってあっても海外産、なんてことも珍しくないそうな。特に、「子持ちタラバ」だったら輸入品で、これは日本では古い農水省令で♀の漁獲が禁じられている(but販売については規制がない)ため。

 

近縁種には、北海道東端の根室市納沙布岬(のさっぷみさき:北海道北端の稚内市の野寒布岬/のしゃっぷみさきとは異なる)を中心として夏~秋に獲れるハナサキガニ/Paralithodes brevipesや、2004年にタラバガニ偽装で社会問題となったアブラガニ/Paralithodes platypus等がある。
ズワイガニとタラバガニを見分けられない人は割といると思うんだけど、次のものはそんなこともあまりないだろう。

 

【ケガニ/Erimacrus isenbeckii/horsehair crab】
短尾下目(カニ下目) - クリガニ科 - ケガニ属
北西太平洋の沿岸域に分布し、水深30~200mと案外浅いところに生息する。日本では何といっても北海道のうまいもん代表という立ち位置だけど、人間様の食用にされ始めたのは第二次世界大戦の少し前からと歴史は浅く、それまでは肥料にしていたとか。
漁期は北海道全体としてはほぼ通年。ただし漁場は、春のオホーツク海、夏の噴火湾、秋の釧路や根室、冬の十勝と移り変わる。

 

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で、ズワイガニ以外♀は資源保護のために禁漁だけれども、これにも問題はあるらしい。雄雌比に極端な偏りが生じて、繁殖に影響を与えているという説があるそうです。何だか、問題がズレている気もするんだけどねー。単に♂を獲り過ぎている、というのとはどう違うの?このところ、ケガニは深刻な不漁に襲われているらしいし。

 

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(2019.04.11 日刊水産経済新聞)

 

オホーツク沿岸で3月から始まった毛ガニかご漁は、南部で記録的不漁に見舞われている。浜相場は高騰し、平均単価は空前のキロ6000円台を記録、産地関係者からは「異常な高値」との声が上がり、製品販売の先行きに懸念が出ている。
同漁は例年通り、北部の宗谷管内を皮切りにスタートし、3月16日に同管内の宗谷、猿払村、頓別、枝幸で一斉に初水揚げがあった。20日からは南部のオホーツク管内の雄武-常呂、25日から網走-ウトロでも解禁。順次操業が始まり、4月8日の斜里での初水揚げをもって全地区が出揃った。
しかし、オホーツク管内の漁模様はシケもあって思わしくなく、道の集計によると3月31日現在の漁獲は前年同期比84%減のわずか11トンと低迷している。宗谷管内も8%減の296トンと前年を下回っているが、これは出漁日数が前年より3日少ないことに起因しており、一日当たりの漁獲量は11トンとほぼ前年並み。オホーツク管内の一日当たりの漁獲量は前年比74%減の0・5トンで、不振ぶりが際立つ。南部の漁協関係者は「出漁してかごを入れても全然(カニが)掛かってこない。資源が少ないようだ」と困惑している。
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今年、紋別郡雄武町(おうむちょう)では例年4月下旬に開催されている「毛がにまつり」が中止された。

 

(続く)

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